JP2015099742A - 耐インバータサージ絶縁ワイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、焼き付け炉を通す回数を増やさないために1回の焼き付けで塗布できる厚さを厚くする方法もあるが、この方法では、ワニスの溶媒が蒸発しきれずにエナメル層の中に気泡として残るという欠点があった。
しかしながら、皮膜に潤滑性能を付与させても電線皮膜自体の強度を向上させる訳ではないので、外傷要因に対しては効果があるように見えるが、実際にはコイル加工時の効果に限界があった。
この結果、エナメル層と押出被覆樹脂層の間に接着層を設けた絶縁ワイヤにおいて、押出被覆樹脂層を構成する樹脂の特性、接着層の厚さ、エナメル層及び押出被覆樹脂層それぞれの厚さ及び合計の厚さが課題解決に重要であることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
(1)矩形状の断面を有する導体の外周に、少なくとも1層のエナメル焼付層と、その外側に少なくとも1層の押出被覆樹脂層とを有する耐インバータサージ絶縁ワイヤであって、該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層との間に厚さ2〜20μmの接着層を有し、該接着層上の押出被覆樹脂層がいずれも同一の樹脂からなり、耐インバータサージ絶縁ワイヤの断面における前記エナメル焼付層と前記押出被覆樹脂層の断面形状が矩形状であって、断面図における前記導体を取り囲む該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層が形成する前記矩形の断面形状において、該導体に対して上下または左右で対向する2対の2辺のうちの少なくとも1対の2辺がともに、前記エナメル焼付層の厚さが60μm以下、前記押出被覆樹脂層の厚さが200μm以下であり、該エナメル焼付層の樹脂がポリアミドイミドであり、該押出被覆樹脂層の樹脂が融点300℃以上370℃以下であり、かつ該耐インバータサージ絶縁ワイヤが、300℃168時間熱処理後の絶縁破壊電圧が熱処理前と比較して90%以上であることを特徴とする耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(2)前記押出被覆樹脂層が、1層であることを特徴とする(1)に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(3)前記耐インバータサージ絶縁ワイヤの皮膜層間の接着強度が、100g以上400g未満であることを特徴とする(1)または(2)に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(4)断面図における前記導体を取り囲む前記エナメル焼付層と前記押出被覆樹脂層が形成する前記矩形の断面形状において、該導体に対して上下または左右で対向する2対の2辺のうちの少なくとも1対の2辺がともに、該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層との合計厚さが80μm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(5)前記押出被覆樹脂層が、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド及び芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(6)前記接着層が、ポリエーテルイミド、ポリフェニルサルホン及びポリエーテルサルホンからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の層であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
(7)前記エナメル焼付層の外周に、ワニス化された樹脂を焼き付けて前記接着層を形成し、その後、該接着層に用いる樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で溶融状態となる、押出被覆樹脂層を形成する熱可塑性樹脂を該接着層に押出して接触させ、該エナメル焼付層に該接着層を介して該押出被覆樹脂を熱融着させて該押出被覆樹脂層を形成することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤの製造方法。
従って、本発明では、導体の外周に、少なくともエナメル焼付層、接着層および押出被覆樹脂層を有する耐インバータサージ絶縁ワイヤにおいて、本発明の課題を解決するものである。
接着層の厚みは2〜20μmであり、エナメル焼付層の厚さが60μm以下、押出被覆樹脂層の厚さが200μm以下であり、エナメル焼付層の樹脂がポリアミドイミドであり、該押出被覆樹脂層の樹脂が融点300℃以上370℃以下であり、かつ該耐インバータサージ絶縁ワイヤが、300℃168時間熱処理後の絶縁破壊電圧が熱処理前と比較して90%以上である。
本発明の絶縁ワイヤにおける導体としては、従来、絶縁ワイヤで用いられているものを使用することができるが、好ましくは、酸素含有量が30ppm以下の低酸素銅、さらに好ましくは20ppm以下の低酸素銅または無酸素銅の導体である。酸素含有量が30ppm以下であれば、導体を溶接するために熱で溶融させた場合、溶接部分に含有酸素に起因するボイドの発生がなく、溶接部分の電気抵抗が悪化することを防止するとともに溶接部分の強度を保持することができる。
また、導体はその横断面が所望の形状のものを使用できるが、ステータースロットに対する占有率の点で、円形以外の形状を有するものが好ましく、特に平角形状のものが好ましい。更には、角部からの部分放電を抑制するという点において、4隅に面取り(半径r)を設けた形状であることが望ましい。
本発明の絶縁ワイヤにおけるエナメル焼付層(以下、単に「エナメル層」ともいう)は、エナメル樹脂で少なくとも1層に形成され、1層であっても複数層であってもよい。
なお、本発明において、1層とは、層を構成する樹脂および含有する添加物が全く同じ層を積層した場合は同一層とするものであり、同一樹脂で構成されていても添加物の種類や配合量が異なるなど、層を構成する組成物が異なる場合を層の数としてカウントする。
これは、エナメル層以外の他の層においても同様である。
本発明では、エナメル樹脂層が複数層で積層される場合は、これらの層間で同一の樹脂を使用するのが好ましく、各層とも1種の樹脂からなるのが好ましい。本発明では、エナメル層が1層の場合が特に好ましい。
本発明の絶縁ワイヤにおける押出被覆樹脂層は、エナメル層の外側に少なくとも1層設けられ、1層であっても複数層であってもよい。なお、本発明においては、押出被覆樹脂層を複数層有する場合は、各層間で同一の樹脂が使用される。すなわち、エナメル層側に最も近い押出被覆樹脂層に含まれる樹脂と同じ樹脂で形成された層が積層される。ここで、樹脂が同じであれば、各層間で樹脂以外の添加物の有無、種類、配合量が異なっていてもよい。本発明では、押出被覆樹脂層は1層または2層が好ましく、1層が特に好ましい。
この熱可塑性樹脂は、比誘電率が、4.5以下が好ましく、4.0以下がさらに好ましい。ここで、比誘電率とは市販の誘電率測定装置で測定することができる。測定温度、周波数については、必要に応じて変更するものであるが、本発明においては、特に記載の無い限り、25℃、50Hzにおいて測定した値を意味する。
本発明では、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂が好ましいが、これらを単独でもブレンドしたものでもよいが、単独で使用するのがなかでも好ましい。
押出成形によって押出被覆樹脂層を形成する場合に、熱可塑性樹脂をエナメル層上に押出成形した後に10秒以上の時間を空けて冷却、例えば水冷するか、又は、熱可塑性樹脂をエナメル層上に押出成形した後に約250℃まで例えば水冷し、次いで外気温に2秒以上晒すと、所望の絶縁破壊電圧を維持できる。
接着層は、熱可塑性樹脂の層であり、熱可塑性樹脂はエナメル層に押出被覆樹脂層を熱融着可能な樹脂であればいずれの樹脂を用いてもよい。このような樹脂として、ワニス化する必要性があることから溶剤に溶けやすい非結晶性樹脂であるのが好ましい。さらには、絶縁ワイヤとしての耐熱性を低下させないためにも耐熱性に優れた樹脂であるのが好ましい。これらのことを考慮すると、好ましい熱可塑性樹脂として、例えば、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等が挙げられる。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が200℃を超え、耐熱性に優れた非結晶性樹脂である、ポリエーテルイミド、ポリフェニルサルホン及びポリエーテルサルホンからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であるのが好ましく、押出被覆樹脂と相溶性が高いポリエーテルイミドがさらに好ましい。
また、接着層は2層以上の積層構造であっても構わないが、この場合、各層の樹脂は互いに同じ樹脂が好ましい。本発明においては、接着層は1層が好ましい。
この製造方法において、接着層、すなわちエナメル層と押出被覆樹脂層を十分に熱融着させるためには、押出被覆工程における、押出被覆樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の加熱温度は、接着層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であるのが好ましく、さらに好ましくはTgよりも30℃以上高い温度、特に好ましくはTgよりも50℃以上高い温度である。ここで、押出被覆樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の加熱温度は、ダイス部の温度である。
接着層を形成する熱可塑性樹脂をワニス化する溶剤は、選択した熱可塑性樹脂を溶解させ得る溶剤であればいずれでもよい。
なお、押出被覆樹脂層の厚さが、該断面の一対の対向する2辺と他の一対の対向する2辺とで異なる場合は、一対の対向する2辺の厚さを1とした時もう1対の対向する2辺の厚さは1.01〜5の範囲にするのが好ましく、さらに好ましくは1.01〜3の範囲である。
絶縁ワイヤの導体に最も近い絶縁被覆層のみを一部剥離した電線試料を引張試験機(例えば、島津製作所製の引張試験機「オートグラフAG−X」)にセットし、4mm/minの速度で押出被覆樹脂層を上方へ引き剥がす(180℃剥離)際に、浮きが生じた引張荷重が接着強度である。
浮きが生じた引張荷重が、20g以上100g未満である場合が好ましく、40g以上100g未満がなかでも好ましい。
絶縁ワイヤの押出被覆樹脂層のみを一部剥離した電線試料を引張試験機(例えば、島津製作所製の引張試験機「オートグラフAG−X」)にセットし、4mm/minの速度で押出被覆樹脂層を上方へ引き剥がす(180℃剥離)際に、浮きが生じた引張荷重が接着強度である。
浮きが生じた引張荷重が、100g以上400g未満である場合が好ましい。
300℃熱処理後の絶縁破壊電圧は以下のようにして測定し、絶縁破壊電圧変化比率を求める。
直状片の絶縁ワイヤを300mm切り出し、300℃168時間加熱処理する。加熱処理後、中央部にアルミホイルを巻きつけ、300mmの一方の端末の被覆層を剥離し、端末剥離箇所とアルミホイル部の間に通電する。500V/minで昇圧させ、絶縁破壊を起こした電圧を測定する。
この電圧をV1とし、加熱前絶縁破壊電圧をV0とした場合、絶縁破壊電圧変化比率を下記式で求める。
加工前後での電気絶縁性維持特性は、以下のように、鉄芯に巻付け、加熱前後での絶縁破壊電圧を測定して評価する。
加熱前後での電気絶縁性維持特性を次のようにして評価する。
絶縁ワイヤを直径が30mmの鉄芯に巻付けて恒温槽内で280℃まで昇温させて30分保持する。恒温槽から取り出した後に、鉄芯に巻き付けたままの状態で鉄芯を銅粒に挿し込んで巻き付けた一端を電極につなぎ、10kVの電圧において絶縁破壊を起こすことなく1分間の通電を保持できることが好ましい。
絶縁ワイヤの製造方法は、個々の層で説明した通りである。
すなわち、前記エナメル焼付層の外周に、ワニス化された樹脂を焼き付けて前記接着層を形成し、その後、該接着層に用いる樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で溶融状態となる、押出被覆樹脂層を形成する熱可塑性樹脂を該接着層に押出して接触させ、該エナメル焼付層に該接着層を介して該押出被覆樹脂を熱融着させて該押出被覆樹脂層を形成する。
ここで、本発明では、接着層は、押出加工で被覆するのでなく、ワニス化した樹脂を塗布して設けるものである。
したがって、本発明の耐インバータサージ絶縁ワイヤ(以下、単に「絶縁ワイヤ」という)は、耐熱巻線用として好適であり、例えば、インバータ関連機器、高速スイッチング素子、インバータモーター、変圧器等の電気機器コイルや宇宙用電気機器、航空機用電気機器、原子力用電気機器、エネルギー用電気機器、自動車用電気機器用のマグネットワイヤ等に用いることができる。
1.8×3.4mm(厚さ×幅)で四隅の面取り半径r=0.3mmの平角導体(酸素含有量15ppmの銅)を準備した。エナメル層の形成に際しては、導体の形状と相似形のダイスを使用して、ポリアミドイミド樹脂(PAI)ワニス(日立化成(株)製、商品名:HI406)を導体へコーティングし、450℃に設定した炉長8mの焼付炉内を、焼き付け時間15秒となる速度で通過させ、この1回の焼き付け工程で厚さ5μmのエナメルを形成した。これを繰り返し8回行うことで厚さ40μmのエナメル層を形成し、エナメル線を得た。
次に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にポリエーテルイミド樹脂(PEI)(サビックイノベーティブプラスチックス製、商品名:ウルテム1010)を溶解させ、20質量%溶液とした樹脂ワニスを、導体の形状と相似形のダイスを使用して、前記エナメル線へコーティングし、450℃に設定した炉長8mの焼付炉内を、焼き付け時間15秒となる速度で通過させ、これを繰り返し1回行うことで厚さ5μmの接着層を形成し(1回の焼き付け工程で形成される厚さは5μm)、厚さ45μmの接着層付きエナメル線を得た。
エナメル層の樹脂、接着層の樹脂、押出被覆樹脂層の樹脂の種類および厚みを下記表2〜5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして各絶縁ワイヤを得た。なお、押出温度条件は表1に従って行った。なお、表2〜5では押出樹脂被覆層を「押出被覆層」として示している。
ここで、表2〜5において、実施例9および10の接着層にはポリフェニルサルホン樹脂(PPSU)(ソルベイスペシャリティポリマーズ製、商品名:レーデルR5800、ガラス転移温度220℃)を使用した。また、押出被覆樹脂層は、実施例13では、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂(変性PEEK)(ソルベイスペシャリティポリマーズ製、商品名:アバスパイアAV−650、比誘電率3.1)を使用した。
実施例及び比較例における押出温度条件を下記表1に示す。
表1において、C1、C2、C3は押出機のシリンダー部分における温度制御を分けて行っている3ゾーンを材料投入側から順に示したものである。また、Hは押出機のシリンダーの後ろにあるヘッドを示す。また、Dはヘッドの先にあるダイを示す。
エナメル層の樹脂に、実施例1で使用したポリアミドイミド樹脂(PAI)を使用し、接着層の樹脂にフェノキシ樹脂を使用して、実施例1と同様にして、下記表5に示す厚みの接着層付きエナメル線を得た。押出被覆樹脂層を、下記表5に示すように異なった樹脂で、接着層側に、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)(住友化成(株)製、商品名:スミカエクセル4800G)、接着層と反対側に実施例13で使用した変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂(変性PEEK)またはポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)(DIC製、商品名:FZ−2100、比誘電率3.4)となるように押出被覆樹脂層を形成した。なお、実施例1とは異なり、押出ダイを用いて押出被覆を行った後の水冷は行わなかった。
押出被覆樹脂層10mgを、熱分析装置「DSC−60」(島津製作所製)を用いて、5℃/minの速度で昇温させたときの、250℃を超える領域で見られる融解に起因する熱量のピーク温度を読み取って、融点とした。なお、ピーク温度が複数存在する場合には、より高温のピーク温度を融点とする。
直状片の絶縁ワイヤを300mm切り出し、300℃168時間加熱処理した。加熱処理後、中央部にアルミホイルを巻きつけ、300mmの一方の端末の被覆層を剥離し、端末剥離箇所とアルミホイル部の間に通電した。500V/minで昇圧させ、絶縁破壊を起こした電圧を測定した。
この電圧をV1とし、加熱前絶縁破壊電圧をV0とした場合、絶縁破壊電圧変化比率は下記式で求まる。
加熱前後での電気絶縁性維持特性を次のようにして評価した。すなわち、絶縁ワイヤを直径が30mmの鉄芯に巻付けて恒温槽内で280℃まで昇温させて30分保持した。恒温槽から取り出した後に、鉄芯に巻き付けたままの状態で鉄芯を銅粒に挿し込んで巻き付けた一端を電極につなぎ、10kVの電圧において絶縁破壊を起こすことなく1分間の通電を保持できれば合格である。表2〜5において、合格を「○」で示し、不合格を「×」で示した。なお、10kVの電圧の通電を1分間保持できず、絶縁破壊した場合を不合格とした。絶縁破壊する場合、電線の可撓性が乏しくなり電線表面に白化等変化が生じ、亀裂まで生じることもある。
まず、絶縁ワイヤの導体に最も近い絶縁被覆層のみを一部剥離した電線試料を島津製作所製の引張試験機「オートグラフAG−X」にセットし、4mm/minの速度で押出被覆樹脂層を上方へ引き剥がした(180℃剥離)。
その際に読み取った引張荷重が40g以上100g未満であった場合を表2〜5に「◎」で示し、20g以上40g未満であった場合を「○」で示し、20g未満であった場合を「×」で示した。
まず、絶縁ワイヤの押出被覆樹脂層のみを一部剥離した電線試料を島津製作所製の引張試験機「オートグラフAG−X」にセットし、4mm/minの速度で押出被覆樹脂層を上方へ引き剥がした(180℃剥離)。
その際に読み取った引張荷重が100g以上400g未満であった場合を表2〜5に「◎」で示し、40g以上100g未満であった場合を「○」で示し、40g未満であった場合を「×」で示した。
総合評価は、優れた耐熱老化特性をより長期間にわたって維持できることを含め、絶縁破壊電圧変化比率が90%以上を満たすとともに、鉄芯巻付、加熱後絶縁破壊電圧、導体との接着強度及び皮膜間の接着強度がいずれも「○」である場合、総合評価は「○」であり、これ以外の場合の総合評価は「×」である。
これらの結果をまとめて、下記表2〜5に示す。
しかも、絶縁破壊電圧変化比率が90%以上であることで、長期間に及ぶ耐熱老化特性を満足できる。
Claims (7)
- 矩形状の断面を有する導体の外周に、少なくとも1層のエナメル焼付層と、その外側に少なくとも1層の押出被覆樹脂層とを有する耐インバータサージ絶縁ワイヤであって、該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層との間に厚さ2〜20μmの接着層を有し、該接着層上の押出被覆樹脂層がいずれも同一の樹脂からなり、耐インバータサージ絶縁ワイヤの断面における前記エナメル焼付層と前記押出被覆樹脂層の断面形状が矩形状であって、断面図における前記導体を取り囲む該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層が形成する前記矩形の断面形状において、該導体に対して上下または左右で対向する2対の2辺のうちの少なくとも1対の2辺がともに、前記エナメル焼付層の厚さが60μm以下、前記押出被覆樹脂層の厚さが200μm以下であり、該エナメル焼付層の樹脂がポリアミドイミドであり、該押出被覆樹脂層の樹脂が融点300℃以上370℃以下であり、かつ該耐インバータサージ絶縁ワイヤが、300℃168時間熱処理後の絶縁破壊電圧が熱処理前と比較して90%以上であることを特徴とする耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 前記押出被覆樹脂層が、1層であることを特徴とする請求項1に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 前記耐インバータサージ絶縁ワイヤの皮膜層間の接着強度が、100g以上400g未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 断面図における前記導体を取り囲む前記エナメル焼付層と前記押出被覆樹脂層が形成する前記矩形の断面形状において、該導体に対して上下または左右で対向する2対の2辺のうちの少なくとも1対の2辺がともに、該エナメル焼付層と該押出被覆樹脂層との合計厚さが80μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 前記押出被覆樹脂層が、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド及び芳香族ポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 前記接着層が、ポリエーテルイミド、ポリフェニルサルホン及びポリエーテルサルホンからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤ。
- 前記エナメル焼付層の外周に、ワニス化された樹脂を焼き付けて前記接着層を形成し、その後、該接着層に用いる樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で溶融状態となる、押出被覆樹脂層を形成する熱可塑性樹脂を該接着層に押出して接触させ、該エナメル焼付層に該接着層を介して該押出被覆樹脂を熱融着させて該押出被覆樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐インバータサージ絶縁ワイヤの製造方法。
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