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JP2015098138A - 透明導電膜形成用基材、透明導電性基材及びタッチパネル - Google Patents

透明導電膜形成用基材、透明導電性基材及びタッチパネル Download PDF

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JP2015098138A
JP2015098138A JP2013239395A JP2013239395A JP2015098138A JP 2015098138 A JP2015098138 A JP 2015098138A JP 2013239395 A JP2013239395 A JP 2013239395A JP 2013239395 A JP2013239395 A JP 2013239395A JP 2015098138 A JP2015098138 A JP 2015098138A
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邦聡 芳片
Kuniaki Yoshikata
邦聡 芳片
中川 博喜
Hiroki Nakagawa
博喜 中川
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Abstract

【課題】耐ブロッキング性に優れるとともに、透明導電性を形成した際の白化を抑制し得る透明導電膜形成用基材を提供する。
【解決手段】透明基材の一方の面に、ハードコート層と、二以上の透明層から構成され該二以上の透明層の少なくとも一層に微粒子の凝集体からなる粒子aを含有してなる光学干渉層と、無機層とをこの順に有してなり、粒子aと透明層とが以下の関係を満たす、透明導電膜形成用基材。
粒子aの平均粒子径 > [粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]
【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電膜形成用基材、透明導電性基材及びタッチパネルに関する。
近年、タブレット型PCならびにスマートフォンに代表される双方向の通信機能を備え、かつ情報表示ならびに情報入力用の透明タッチパネルを搭載したモバイル型の情報端末機器が、日本ばかりでなく世界で広く普及しはじめてきた。
透明タッチパネルとしては、コスト的に優れた抵抗膜方式があるが、マルチタッチ等のジェスチャー操作、透過率向上による表示デバイスの画質維持が可能である等の点で、情報端末機器の爆発的な普及もトリガーとなり、静電容量方式のタッチパネル、特に、投影型静電容量方式のタッチパネルの需要が拡大してきている。
タッチパネルの基本構造としては、透明基材の片面又は両面にITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜が積層された構成となっており、通常、液晶表示デバイス、有機EL表示デバイス等の前面に配置される。
タッチパネルは、指先等の接触加圧操作により繰返し押圧されたときに、タッチパネルを構成するパネル基材が、長期の連続の使用においてダメージを受けても動作に支障が生じない程度の機械的強度が必要とされる。さらに、タッチパネル全体の光透過率の向上等のために、反射防止機能が必要とされる。このため、タッチパネルに機械的強度及び反射防止機能を付与するために、パネル基材として、透明基材、ハードコート層及び光学干渉層を有する光学積層体が従来より用いられている(特許文献1及び2)。
特開2005−71901号公報 特開2006−346878号公報
しかしながら、従来のパネル基材は、製造工程の巻取り時等にパネル基材間でブロッキングを起こし、剥れにくくなったり、貼り付きによる転写跡等が生じるため、品質の低下、歩留まりの低下を含め生産性が低下するといった問題があった。
製造時のブロッキングを防止するためには、最初に形成するハードコート層に粒子を含有させ、光学干渉層の表面に滑り性を付与することにより、耐ブロッキング性を付与することが有効である。
しかし、ハードコート層中に粒子を含有させて耐ブロッキング性を付与する場合、通常は、該粒子の平均粒子径をハードコート層の厚みよりも大きくする必要がある。ハードコート層は所定の強度を出すために、厚みは通常1μm以上である。したがって、粒子の平均粒子径は少なくとも1μmを超えるものとなり、このような大きな粒子をハードコート層に含有させた場合、急峻な凹凸により強い白化が生じて視認性が低下するという問題があった。
上記問題を解決するために、ハードコート層上に形成する光学干渉層中に粒子を含有させる手段が考えられる。光学干渉層中に粒子を含有させる場合、粒子の平均粒子径が小さくても表面凹凸を形成でき、ハードコート層中に粒子を含有させた場合ほど表面凹凸は急峻にならないため、透明基材上にハードコート層及び光学干渉層を形成した段階では白化が生じない。しかし、光学干渉層上に透明導電膜を形成した際に白化が生じて視認性が低下するという問題が生じた。
本発明者らは上記問題について鋭意検討を行った。まず、白化による視認性の低下の原因を探るために光学フィルムにおいて白化を評価する代表的な指標であるヘーズの測定を行ったが、透明導電膜の形成前後で目立ったヘーズの変化は認められなかった。そこでさらなる検討を行ったところ、透明導電膜を形成した後に、ヘーズでは測定できない±2.5度以内の拡散反射光が増加していること、及び該±2.5度以内の拡散反射光が白化の原因であることを見出した。そして、さらに検討を行った結果、耐ブロッキング性に優れるとともに、透明導電性を形成した後の白化を抑制し得る透明導電膜形成用基材を開発するに至った。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]〜[15]の透明導電膜形成用基材、透明導電性基材及びタッチパネルを提供する。
[1]透明基材の一方の面に、ハードコート層と、二以上の透明層から構成され該二以上の透明層の少なくとも一層に微粒子の凝集体からなる粒子aを含有してなる光学干渉層と、無機層とをこの順に有してなり、粒子aと透明層とが以下の関係を満たす、透明導電膜形成用基材。
粒子aの平均粒子径 > [粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]
[2]前記無機層の厚みが1〜15nmである、上記[1]に記載の透明導電膜形成用基材。
[3]前記二以上の透明層は、それぞれの層の厚みが10〜200nmである、上記[1]又は[2]に記載の透明導電膜形成用基材。
[4][透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率]−[無機層の屈折率]の差が0.01〜0.10である、上記[1]〜[3]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[5]前記無機層の屈折率が1.35〜1.55である、上記[1]〜[4]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[6]前記透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率が1.37〜1.57である、上記[1]〜[5]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[7]前記二以上の透明層が、屈折率1.50〜2.00の高屈折率層、及び屈折率1.37〜1.57の低屈折率層からなる、上記[1]〜[6]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[8][粒子aの平均粒子径]−[粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]の差が30〜300nmである、上記[1]〜[7]の何れかに記載載の透明導電膜形成用基材。
[9]前記粒子aを、前記二以上の透明層のうち、前記透明基材から最も離れた透明層以外の透明層に含有してなる、上記[1]〜[8]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[10]前記粒子aの平均粒子径が100〜400nmである、上記[1]〜[9]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[11]前記粒子aを構成する微粒子の平均一次粒子径が10〜70nmである、上記[1]〜[10]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[12]粒子aを含有する透明層の全固形分に占める粒子aの割合が0.1〜5.0質量%である、上記[1]〜[11]の何れか記載の透明導電膜形成用基材。
[13]前記二以上の透明層がウェットプロセスから形成されてなり、前記無機層がドライプロセスから形成されてなる、上記[1]〜[12]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
[14]上記[1]〜[13]の何れかに記載の透明導電膜形成用基材の無機層上に透明導電膜を有してなる、透明導電性基材。
[15]タッチパネル用の電極として、上記[14]に記載の透明導電性基材を用いてなる、タッチパネル。
本発明の透明導電膜形成用基材は、耐ブロッキング性に優れるとともに、透明導電性を形成した後の白化による視認性の低下を抑制できる。また、本発明の透明導電性基材及びタッチパネルは、耐ブロッキング性に優れるとともに、白化を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[透明導電膜形成用基材]
本発明の透明導電膜形成用基材は、透明基材の一方の面に、ハードコート層と、二以上の透明層から構成され該二以上の透明層の少なくとも一層に微粒子の凝集体からなる粒子aを含有してなる光学干渉層と、無機層とをこの順に有してなり、粒子aと透明層とが以下の関係を満たすものである。
粒子aの平均粒子径 > [粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]
<透明基材>
透明基材としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。透明基材は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。
また、プラスチックフィルムの中でも、リタデーション値3000〜30000nmのプラスチックフィルム又は1/4波長位相差のプラスチックフィルムは、偏光サングラスを通して液晶ディスプレイの画像を観察した場合に、表示画面に色の異なるムラが観察されることを防止できる点で好適である。
透明基材の厚さは、5〜300μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。
透明基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
<ハードコート層>
ハードコート層は、透明導電膜形成用基材の機械的強度を向上させるとともに、薄膜である光学干渉層の表面に硬度を付与する役割を有する。
ハードコート層は、主として樹脂成分から構成される。樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、機械的強度をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。本発明において、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味し、他の類する記載も同様である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、透明導電膜形成時や結晶化工程の熱により残留した光重合開始剤が昇華し、透明導電膜の低抵抗化が損なわれることを防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、機械的強度、硬度及び靭性とのバランスの観点から、1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
なお、本発明において「厚み」とは、粒子aの存在しない箇所の厚みのことをいう。各層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による透明導電膜形成用基材の断面写真の粒子aの存在しない箇所の厚みを10点選び、その平均値により算出できる。
ハードコート層の屈折率は、干渉縞抑制の観点から、透明基材の屈折率と0.03以内の差とすることが好ましい。ただし、ハードコート層の屈折率が前記条件を満たさなくても、透明基材としてTACを用いて、TACにハードコート層形成組成物の溶媒を浸透させて界面を消失させたり、透明基材とハードコート層との間に、透明基材とハードコート層との中間の屈折率を有するプライマー層を形成することによっても、干渉縞を抑制することができる。
ハードコート層の表面のJIS K5600−5−4(1999)の鉛筆硬度は、機械的強度、硬度及び靭性とのバランスの観点から、HB〜3Hとすることが好ましく、F〜2Hとすることがより好ましい。
ハードコート層中にはブロッキングを防止するための粒子を含有していてもよい。しかし、ハードコート層中にブロッキングを防止するための粒子を含有すると、通常、該粒子の平均粒子径はハードコート層の厚みより大きくする必要があり、表面に急峻な凹凸が形成されて強い白化を招いてしまう。また、大きな突出粒子が存在することで、ディスプレイ上に設置した場合、画質の滑らかさがなくなってしまう。また、表面に急峻な凹凸が形成された場合、透明導電膜の膜厚を均一にすることができず、透明導電膜にクラック等の欠陥が生じやすくなり、透明導電膜の表面抵抗率が不安定化してしまう。一方、粒子の平均粒径を小さくしてブロッキングを防止しようとする場合、粒子の添加量は増加し、しかもハードコート層は強度を付与するためにミクロン単位の厚みを有するため、粒子の絶対量が大幅に増加し、内部拡散による白化や透明性の低下を招いてしまう。したがって、ハードコート層にはブロッキングを防止するための粒子を実質的に含有しないことが好ましい。「実質的に含有しない」とは、ハードコート層に含まれるブロッキングを防止するための粒子の割合が0.01質量%以下であることを意味し、好ましくは0質量%である。なお、ハードコート層のブロッキングを防止するための粒子とは、平均一次粒子径又は平均二次粒子径(凝集体の平均粒子径)が500nmを超えるものをいうものとする。
ハードコート層がブロッキングを防止するための粒子を実質的に含有しない場合、ハードコート層及び光学干渉層は、インラインで連続的に形成することが好ましい。ハードコート層及び光学干渉層をインラインで連続的に形成することにより、各層を形成するごとに巻き取られないため、ハードコート層にブロッキングを防止するための粒子を含有させる必要がなくなる。
一方、ハードコート層及び光学干渉層をオフラインで形成する場合、ハードコート層には、視認性及び透明導電膜の表面抵抗率の安定性を損なわない程度に、ブロッキングを防止するための粒子を含有することが好ましい。
<光学干渉層>
光学干渉層は、ハードコート層上に設けられるものである。光学干渉層は、光学干渉層上にパターン化された透明導電膜が形成された際に、透明導電膜を有する箇所と、透明導電膜を有さない箇所との反射率曲線を近似させ、透明導電膜のパターンを見えづらくする役割を有する。
光学干渉層は、二以上の透明層から形成され、該二以上の透明層の少なくとも一層に微粒子の凝集体からなる粒子aを含有してなる。
光学干渉層を構成する二以上の透明層の厚みは、透明導電膜の屈折率、透明層の屈折率、透明層の積層数等により異なるため一概には言えないが、それぞれの層の厚みが10〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、15〜80nmであることがさらに好ましい。
また、光学干渉層の合計厚みは、透明層の積層数等により異なるため一概には言えないが、400nm未満であることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましく、50〜100nmであることがさらに好ましい。
二以上の透明層は、光学干渉機能を発揮するために、互いに接する層の屈折率が異なるように構成する。また、二以上の透明層は、透明基材側に最も屈折率の高い透明層を配置し、透明基材から遠ざかるにつれて屈折率が低い透明層を配置することが好ましい。透明基材から最も遠い側に位置する透明層は、屈折率1.37〜1.57の低屈折率層あることが好ましい。低屈折率層は屈折率1.42〜1.52であることがより好ましい。
二以上の透明層としては、高屈折率層及び低屈折率層の2層構造、高屈折率層、中屈折率層及び低屈折率層の3層構造、あるいは4層以上の多層構造が挙げられる。この中でも、製造効率の観点から、高屈折率層及び低屈折率層の2層構造が好適である。
高屈折率層は、例えばバインダー樹脂及び高屈折率粒子を含有してなるものが挙げられる。
高屈折率粒子としては、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3〜2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、酸化イットリウム(1.87)及び酸化ジルコニウム(2.10)等が挙げられ、これらの中でも、適度に高い屈折率を有し、耐光性等の耐久安定性が高いという観点から、酸価ジルコニウムが好適である。なお、上記かっこ内は、各粒子の材料の屈折率を示す。
高屈折粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等の何れであってもよい。
また、高屈折率粒子は塗膜中で分散体(一次粒子)の形態で存在することが好ましい。高屈折粒子の平均一次粒子径は、通常、100nm以下であり、10〜60nmであることが好ましい。なお、本発明において、高屈折率粒子及び低屈折率粒子の平均一次粒子径は、BET窒素吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準じる)から換算した値である。
高屈折率層のバインダー樹脂は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、硬度を付与する観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物としては、ハードコート層で例示したものを用いることができる。また、これらの樹脂は、芳香族環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄、窒素、リン原子等を導入して、屈折率を高く調整したものであってもよい。
高屈折率層の屈折率は、光学干渉層を高屈折率層及び低屈折率層の2層構成とする場合、1.50〜2.00であることが好ましく、1.55〜1.75であることがより好ましい。
高屈折率層の厚みは、光学干渉層を高屈折率層及び低屈折率層の2層構成とする場合、200nm以下であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
高屈折率層中の高屈折率粒子の含有量は、目的とする屈折率に合わせて適宜調整すればよい。
低屈折率層は、例えばバインダー樹脂及び低屈折率粒子を含有してなるもの、あるいは低屈折率の樹脂材料単体からなるものが挙げられる。
低屈折率層のバインダー樹脂は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、硬度を付与する観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物としては、ハードコート層で例示したものを用いることができる。なお、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料をバインダー樹脂として混合してもよい。
また、硬度及び透明導電膜の密着性という観点からは、電離放射線硬化性化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレート等の、OH基を1個以上有する多官能(メタ)アクリレートを構成要素として含むものを用いることが好適である。なお、構成要素として含むとは、該多官能(メタ)アクリレートが、他の材料(例えばイソシアネート系化合物)と反応するなどして、OH基を少なくとも1個以上残存させた形で存在するものを含むことを意味する。
低屈折率粒子は、シリカ、フッ化マグネシウム等が挙げられる。中でも、耐熱性、耐湿熱性、耐光性等の耐久性の観点、及び無機層との密着性、透明性の観点からシリカが好適である。また、シリカは、分散安定性の観点から、コロイダルシリカを有機溶媒に分散させたコロイド溶液が好ましく使用される。また、シリカ表面に反応性官能基を有する反応性シリカ粒子を使用することができ、該反応性シリカ粒子は、バインダー樹脂との間で架橋構造を構成することが可能となり、低屈折率層の硬度を極めて優れたものとすることができる。
低屈折粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等の何れであってもよい。
また、低屈折率粒子は塗膜中で分散体(一次粒子)の形態で存在することが好ましい。
低屈折粒子の平均一次粒子径は、通常、100nm以下であり、5〜60nmであることが好ましい。
また、低屈折率の材料単体から低屈折率層を形成する場合、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料を用いることができる。
低屈折率層の屈折率は、光学干渉層を高屈折率層及び低屈折率層の2層構成とする場合、1.37〜1.57であることが好ましく、1.42〜1.52であることがより好ましい。
低屈折率層の厚みは、光学干渉層を高屈折率層及び低屈折率層の2層構成とする場合、200nm以下であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
低屈折率層中の低屈折率粒子の含有量は、目的とする屈折率に合わせて適宜調整すればよい。
<粒子a>
微粒子の凝集体からなる粒子aは、二以上の透明層のうちの何れかの層に含有される。本発明では、粒子aをハードコート層ではなく、二以上の透明層のうちの何れかの層に含有することから、粒子aの粒子径を大きくすることなく耐ブロッキング性を付与することが可能となり、白化による視認性の低下や、表面抵抗率の不安定化を抑制することができる。
粒子aを構成する微粒子は、光透過性を有する微粒子が好適に使用される。このような微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子の何れも用いることができる。光透過性を有する微粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等の何れであってもよい。
光透過性を有する有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド共重合体、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる微粒子が挙げられる。
また、光透過性を有する無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。
上記微粒子の中でも、硬度及び耐久安定性の観点から無機微粒子が好適である。また、無機微粒子の中でも、凝集粒子の制御しやすさや、耐薬品性の観点からシリカが好適である。
粒子aは、透明層内で凝集体の形態を取っている。通常、ブロッキングを防止するための粒子は滑り性を付与するために略球形の形状を有しており、該粒子が一次粒子の形態でブロッキングを防止する場合、該一次粒子に基づく表面凹凸は急峻になりやすい。一方、凝集体の形態でブロッキングを防止する場合、該凝集体に基づく表面凹凸は滑らかになりやすい。凝集体から形成される表面凹凸が滑らかになる理由は、次の(1)、(2)が考えられる。(1)凝集体は、自身を構成する微粒子の間に隙間を有するが、塗膜を形成する際の塗膜の収縮により該隙間が破壊され、凝集体は厚み方向に潰される。(2)凝集体の形状は不定形であり、かつ塗膜内において凝集体の長径方向が塗膜面に略水平になるような向きで安定する。
このように、透明層内で粒子aが凝集体の形態を取ることにより、光学干渉層の表面を滑らかにすることができ、表面凹凸が急峻な場合に比べて白化を抑制することができる。また、光学干渉層の表面が滑らかな場合、透明導電膜の膜厚を均一にすることができ、透明導電膜のクラック等の欠陥の発生を防止することができるため、透明導電膜の表面抵抗率を安定させることができる。
粒子aを微粒子の凝集体とする場合、塗工液中では一次粒子の形態で存在する微粒子を塗布、乾燥する際に、塗膜の乾燥時間を長く確保して、乾燥中に微粒子の凝集を進行させる手段が挙げられるが、凝集体の制御の容易の観点から、塗工液の時点で微粒子の凝集体となっているものを用いることが好ましい。
粒子aを含有させる層は、二以上の透明層のうちの何れかの層であれば上述の効果を発揮し得るが、二以上の透明層のうち、透明基材から最も離れた透明層以外の透明層に含有させることが好ましく、二以上の透明層のうち、最もハードコート層に近い側の透明層に含有させることがより好ましい。かかる構成とすることにより、粒子aを含有する透明層上にさらに別の透明層を有する構成となり、粒子aに基づく光学干渉層の表面凹凸をより滑らかにすることができ、白化を抑制でき、さらには表面抵抗率を安定させることもできる。
特に、光学干渉層を高屈折率層及び低屈折率層の2層構造として、高屈折率層中に粒子aを含有させる構成が、耐ブロッキング性、白化の抑制及び表面抵抗率の安定性のバランスに優れ、かつ製造効率の点でも好適である。
なお、粒子を含有する透明層上にさらに別の透明層を積層する場合、上述のように、複数の透明層が重なることによって粒子に起因する凹凸は滑らかになるが、該凹凸の幅が広くなり、光学干渉層上に屈折率の高い透明導電膜を形成した際に拡散反射が生じやすくなる。粒子が略球形の粒子の場合、急峻な凹凸の幅が広がり、強い白化が生じる。本発明では、粒子aが凝集体の形態を取っていることにより、上述のように表面凹凸が極めて滑らかになるため、凹凸の幅が広がったとしても、透明導電膜を形成した際の拡散反射の角度分布を略球形粒子を用いた場合に比べて小さくすることができ、白化を抑制することができる。
しかしながら、ブロッキングを防止するための粒子として凝集体を用いても、透明導電膜を形成した際の白化が目立つ場合がある。本発明では、後述するように、透明層上に無機層を設けた構成とすることにより、白化をより抑制することを可能としたものである。
なお、二以上の透明層のうちの複数の層に粒子aを含有させることは差し支えない。その場合、後述の条件は、何れの透明層に含まれる粒子aが満たしていても良く、最も基材側の透明層に含まれる粒子aが満たしていることが好ましい。
粒子aの平均粒子径は、後述する条件を満たすことが必要であり、粒子aが含まれる透明層の位置、及び透明層の厚みにより異なるため一概には言えないが、100〜400nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
粒子aの平均粒子径を100nm以上とすることにより、耐ブロッキング性を付与しやすくなり、400nm以下とすることにより、白化を抑制しやすくできる。
粒子aの平均粒子径 > [粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]
上記条件を満たさない場合、光学干渉層側の表面が平滑となり、耐ブロッキング性を付与できなくなるとともに、透明導電膜の密着性が低下してしまう。
また、本発明の透明導電膜形成用基材は、耐ブロッキング性、透明導電膜の密着性及び表面抵抗率の安定性のバランスの観点から、[粒子aの平均粒子径]−[粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]の差が30〜300nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましい。
本発明において粒子の平均粒子径は、粒子が凝集体の形態をとる場合、該凝集体の長径及び短径の平均から個々の凝集体の粒子径を算出し、これを平均することにより算出できる。具体的には、原子間力顕微鏡(AFM)による透明導電膜形成用基材の表面又は断面の写真、あるいは走査型透過電子顕微鏡(STEM)による透明導電膜形成用基材の表面又は断面の写真から無作為に2個の凝集体を抽出し、個々の凝集体の長径及び短径を測定して、個々の凝集体の粒子径を算出し、同じサンプルの別画面の撮像から同様の作業を9回行って、合計20個分の凝集体の粒子径の数平均から得られる値を凝集体の平均粒子径とした。なお、長径は、凝集体の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が凝集粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
また、本発明において粒子が凝集体の形態をとっていない場合(分散体の形態の場合)、該粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、BET窒素吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準じる)から換算した値である。
粒子aを構成する微粒子の平均一次粒子径は、粒子aの平均粒子径を上述の範囲とする観点、及び透明層形成組成物中での微粒子の分散性の観点から、10〜70nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。
粒子aを構成する微粒子の一次粒子の平均比表面積は、粒子aの平均粒子径を上述の範囲とする観点、及び透明層形成組成物中での微粒子の分散性の観点から、10〜100m2/gであることが好ましく、60〜80m2/gであることがより好ましい。なお、本発明の比表面積は、BET窒素吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準じる)で測定される値をいうものとする。
粒子aは、粒子aを含有する透明層の全固形分に占める粒子aの割合が0.1〜5.0質量%となるように含有されてなることが好ましい。粒子aの含有量を0.1質量%以上とすることにより、耐ブロッキング性を付与しやすくすることができ、5.0質量%以下とすることにより、白化を抑制しやすくするとともに、表面抵抗率を安定化しやすくできる。粒子aの含有量は、0.1〜3.0質量%であることがより好ましく、0.1〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
光学干渉層の表面の算術平均粗さRa(JIS B0601:1994)は0.5〜10nmであることが好ましく、1〜6nmであることがより好ましい。Raを0.5nm以上とすることにより耐ブロッキング性を付与するとともに、無機層及び透明導電膜の密着性を向上することができ、10nm以下とすることにより白化を抑制し、透明導電膜の表面抵抗率の安定性が損なわれることを抑制できる。
また、Raが上記数値範囲を満たしていても、表面粗さが均質でない場合、上記効果が適切に得られない場合がある。したがって、光学干渉層の表面の二乗平均平方根粗さRq(JIS B0601:2001)が、1〜30nmであることが好ましく、1〜15nmであることがより好ましい。Rqを前記範囲とすることにより、表面粗さの均質性が担保され、耐ブロッキング性並びに無機層及び透明導電膜の密着性をより良好にするとともに、白化及び表面抵抗率の安定性が損なわれることをより抑制できる。
さらに、光学干渉層上での表面が粒子aによって隆起した部位の平均分布密度が3〜30(個/5μm□)であることが好ましい。この範囲であれば、全体に偏りなく滑り性が発現し、白化も生じにくい。
凝集体の平均分布密度は、AFMによる光学干渉層の表面のAFM写真から測定できる。具体的には、AFM写真から無作為に5領域(1領域:5μm×5μm)を抽出し、各々の領域内に存在する微粒子の凝集体である粒子aの数を数え、各々1領域の面積で除した値を求め、それらを算術平均することにより算出できる。
光学干渉層を構成する各透明層は、バインダー樹脂、高屈折率粒子又は低屈折粒子等の屈折率調整粒子、必要に応じて添加する粒子a、さらに必要に応じて配合する紫外線吸収剤等の添加剤及び希釈溶剤によって透明層形成組成物を調整し、当該組成物を透明基材上に従来公知の塗布方法によって塗布、乾燥、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成することができる。
光学干渉層を構成する各透明層は、生産性やコストの観点から、上述のようにウェットプロセスで形成することが好適である。
無機層は光学干渉層上に形成される。無機層を光学干渉層上に形成することにより、透明導電膜を形成した際の白化による視認性の低下を抑制することができる。無機層を設けることにより白化を抑制できる理由は定かではないが、透明導電膜を形成する際に透明基材や透明層から放出されるガスを無機層がブロックすること、透明導電膜を形成する際に下地となる層が動きにくいこと(透明層はやわらかく動きやすいが、透明層は硬くて動きにくい)が考えられる。
無機層の屈折率は、透明導電膜の不可視化の観点から、1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることがより好ましい。
また、無機層の屈折率は、透明導電膜の不可視化の観点から、透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率より低いことが好ましい。具体的には、[透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率]−[無機層の屈折率]の差が0.01〜0.10であることが好ましく、0.01〜0.05であることがより好ましい。
無機層は、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン等;又はこれらの酸化物、炭化物、窒化物;あるいはこれらの混合物から形成するものが挙げられる。これらの中でも、無機層は、酸化珪素、フッ化マグネシウム等の低屈折率材料から形成することが好ましい。
無機層は、上記無機材料のみから形成し、樹脂成分を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、無機層中の樹脂成分は0.01質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
無機層は、上述の低い屈折率の範囲とするため、物理的蒸着法又は化学的蒸着法のドライプロセスで形成することが好ましい。ドライプロセスで無機層を形成することにより、低膜厚、低屈折率で、かつ膜厚の均一性を高くすることができ、透明導電膜形成後の白化を抑制しやすくできる。
物理的蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学的蒸着法には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
無機層の厚みは、1〜15nmであることが好ましく、4〜10nmであることがより好ましい。無機層の厚みを1nm以上とすることにより、光学干渉層上の全面に膜として存在して白化を抑制でき、15nm以下とすることにより、耐ブロッキング性が損なわれることを防止できる。また、透明導電膜のパターンを見えづらくする観点からは、無機層の厚みは10nm以下とすることが好適である。
また、耐ブロッキング性及び白化の抑制の観点から、[透明基材から最も遠い側に位置する透明層の厚み]−[無機層の厚み]の差は、5〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。
<その他の層>
本発明の透明導電膜形成用基材は、上述したハードコート層、光学干渉層以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、帯電防止層、易接着層、透明基材のハードコート層とは反対側の面に設ける背面ハードコート層等が挙げられる。
<製造工程>
本発明の透明導電膜形成用基材の製造工程は特に限定されないが、ハードコート層及び光学干渉層はインラインで連続的に製造することが好ましい。ハードコート層及び光学干渉層をインラインで連続的に製造することにより、ハードコート層にブロッキングを防止するための粒子を実質的に含有させる必要がなくなり、本発明の効果をより発揮しやすくすることができる。
無機層は、ハードコート層及び光学干渉層の後に形成すればよい。
[透明導電性基材]
本発明の透明導電性基材は、上述した本発明の透明導電膜形成用基材の光学干渉層上に、透明導電膜を有してなるものである。透明導電膜は、一般的な無機導電性材料から形成することができる。
透明導電膜の厚みは、適用する材料によっても異なるため一概には言えないが、表面抵抗率で300Ω/□以下、好ましくは150Ω/□以下になるような厚みであって、10nm以上、好ましくは20nm以上、80nm以下、好ましくは70nm以下の範囲が好適である。本発明の透明導電性基材は、上述した本発明の透明導電膜形成用基材を用いていることから、結晶性を良好にすることができ、透明導電膜の厚みに応じた表面抵抗率を安定して得ることができる。
無機導電性材料としては、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、金、銀、パラジウム等が挙げられる。中でも、透明性と導電性に優れ、比較的低コストに得られる酸化インジウム、インジウムスズ酸化物が好適である。
透明導電性基材は、上述した本発明の透明導電膜形成用基材の無機層上に、物理的蒸着法又は化学的蒸着法によって透明導電膜を形成することにより、得ることができる。
物理蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。蒸着材料としては、上述した無機導電性材料を用いることができる。
透明導電性基材は、静電容量方式のタッチパネルの電極として用いられる場合、透明導電膜をパターニングして用いる。本発明では、光学干渉層により、透明導電膜を有する箇所と有さない箇所の反射率曲線を近似させることにより、透明導電膜のパターンを見えづらくしている。
透明導電膜のパターニングはエッチングで行うことができる。エッチングは、燐酸、硝酸、酢酸等から選ばれる酸成分、及び水を含む酸性エッチング液を用いて、フォトリソ法によりパターン化することにより行うことができる。エッチングの後は、アルカリ洗浄液等でエッチング液を洗浄することが好ましい。アルカリ洗浄液は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液(通常0.5〜3規定)を用いることができる。エッチング液は、前記洗浄液により、5〜60分程度の浸漬方式又は流水方式で除去することができる。
[タッチパネル等]
本発明の透明導電性基材は、各種電極に使用することができる。特に、静電容量式や抵抗膜式等のタッチパネル用の電極は、ディスプレイの画像の鮮明性を損なわない良好な視認性と高い感度が要求されることから、タッチパネル用の電極として、本発明の透明導電性基材を用いることは好適である。
抵抗膜式タッチパネルは、透明導電膜を有する上下一対の透明基板の透明導電膜同士が対向するようにスペーサーを介して配置されてなる構成を有する基本構成からなるものである。このような抵抗膜式タッチパネルの上部電極及び/又は下部電極として、本発明の透明導電性基材を用いることができる。
静電容量式タッチパネルは、表面型、投影型等が挙げられる。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成からなるものである。このX電極及び/又はY電極として、本発明の透明導電性基材(電極パターニング済み)を用いることができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
<透明導電膜形成用基材の物性測定及び評価>
以下のように、実施例及び比較例の透明導電膜形成用基材の物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
[粒子aの平均粒子径]
走査型透過電子顕微鏡(STEM)による透明導電膜形成用基材の断面写真から、無作為に2個の凝集体を抽出し、各々の凝集体の長径及び短径を測定して、個々の凝集体の粒子径を算出し、同じサンプルの別画面の撮像から同様の作業を9回行って、合計20個分の凝集体の粒子径の数平均値から得られる値を粒子aの平均粒子径とした。
[表面形状]
非接触表面形状測定機(Zygo社製、商品名New View 6300)で測定した表面形状のデータを元に、JIS B0601:1994に準じて、低屈折率層の表面形状(Ra)を算出した。測定面積は0.12mm四方とし、10箇所の測定値の平均値をRaとした。
[耐ブロッキング性]
透明導電膜形成用基材を200〜400N/cmの張力で巻取り、5日間常温で放置した後、空ロールへ巻き返し、貼りつきの有無を目視で確認し、以下の基準により評価した。
A:貼り付きなし
C:貼り付きあり
[滑り性]
各実施例及び比較例において透明導電膜形成用基材を2つ作製し、それぞれ10cm×10cmの大きさにカットした。透明導電膜形成用基材の無機層どうしを対向するようにして重ね合わせ、擦り合わせることにより、下記の基準にて、滑り性を評価した。
A:貼り付きがなく、滑り性が良好であった。
C:一部に貼り付きが発生し、滑り性が不良であった。
[表面抵抗率]
透明導電膜形成用基材の無機層上に、アルゴンガス99容量%と酸素ガス1容量%とからなる0.5Paの雰囲気中で温度100℃の条件で加熱しながら、放電出力5W/cm2で反応性スパッタリング法により、厚さ25nmのITO膜(屈折率2.00)を形成した。その後、150℃で30分間、アニーリング処理を行い、表面抵抗計(三菱化学社製、ロレスタMCP:四端子プローブ)を用いて、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、表面抵抗率を測定した。
その結果、表面抵抗率が150Ω/□未満であるものを「A」、表面抵抗が150Ω/□以上であるものを「C」とした。
[視認性(白化)]
上記アニーリング処理後のサンプルの透明基材側の面を透明粘着剤を介してアクリル板に貼り、暗所にて3波長蛍光灯管を光源とする卓上スタンドの下で、以下の基準で白濁感を観察した。アクリル板は、透明アクリル板と黒色アクリル板の2種類を準備した。透明導電膜を形成していない実施例1の透明導電膜形成用基材をリファレンスとして、以下の基準で評価を行った。
A:透明アクリル板及び黒色アクリル板ともに、サンプルとリファレンスとの違いが目視で認識できない。
B:透明アクリル板ではサンプルとリファレンスとの違いが目視で認識できないが、黒色アクリル板ではサンプルとリファレンスとの違いが僅かに識別できる。
C:透明アクリル板及び黒色アクリル板の両方でサンプルとリファレンスとの違いが僅かに識別できる。
D:透明アクリル板及び黒色アクリル板の両方でサンプルとリファレンスとの違いがはっきり識別できる。
[実施例1]
厚み188μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、A4300、屈折率1.57〜1.58)上に、ハードコート層(厚み1.5μm、屈折率1.52、鉛筆硬度H)、高屈折率層(厚み50nm、屈折率1.66)及び低屈折率層(厚み40m、屈折率1.49)をインラインで連続的に形成し、透明導電膜形成用基材を得た。
ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層の塗布液は以下のものを用いた。ハードコート層の乾燥条件は70℃、60秒、高屈折率層の乾燥条件は50℃、60秒、低屈折率層の乾燥条件は50℃、60秒とした。また、ハードコート層への紫外線照射は、ハードコート層の乾燥後、高屈折率層の形成前、高屈折率層への紫外線照射は、高屈折率層の乾燥後低屈折率層の形成前、低屈折率層への紫外線照射は、低屈折率層の乾燥後に行った。
次いで、高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、低屈折率層上にターゲット物質(二酸化珪素)からなる無機層(厚み5nm、屈折率1.46)を形成した。
<ハードコート層塗布液>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 50部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 2部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・メチルイソブチルケトン 60部
・シクロヘキサノン 15部
<高屈折率層塗布液>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 0.7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・シリコーン系レベリング剤 0.3部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・粒子a含有液 0.3部
(平均粒子径150nmの凝集体、固形分30%)
(CIKナノテック社製、SIRMIBK−H84)
(凝集体を構成する微粒子の平均一次粒子径30nm)
・高屈折率粒子(酸化ジルコニウム) 50部
(住友大阪セメント社製、MZ−230X、固形分32.5%)
(平均一次粒子径:25nm)
・メチルイソブチルケトン 500部
・シクロヘキサノン 250部
・メチルエチルケトン 500部
<低屈折率層塗布液>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 5部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 1部
(BASF社製、イルガキュア127)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・低屈折率粒子 17部
(日産化学工業社製、MIBK−ST、固形分30%)
(平均一次粒子径10〜15nm)
・メチルイソブチルケトン 1000部
・シクロヘキサノン 250部
[実施例2]
実施例1の高屈折率層の厚みを30nmに変更し、低屈折率層の厚みを20nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例3]
実施例1の高屈折率層塗布液の粒子a含有液の添加量を0.15部に変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例4]
実施例1の高屈折率層塗布液の粒子a含有液の添加量を0.6部に変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例5]
実施例1の高屈折率層塗布液に粒子a含有液を添加せず、低屈折率層塗布液に粒子a含有液を0.1部追加した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例6]
実施例1の高屈折率層塗布液の粒子a含有液の添加量を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例7]
実施例1の無機層の厚みを4nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例8]
実施例1の無機層の厚みを3nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例9]
実施例1の無機層の厚みを10nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[実施例10]
実施例1の無機層の厚みを15nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[比較例1〜6]
無機層を形成しなかった以外は、実施例1〜6と同様にして、比較例1〜6の透明導電膜形成用基材を得た。
[比較例7]
実施例1の高屈折率層塗布液に粒子a含有液を添加せず、ハードコート層塗布液に粒子a含有液を1.5部追加した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
[比較例8]
実施例1の高屈折率層塗布液の粒子a含有液を、日産化学社製の商品名MIBK−SD−L(平均粒子径50nm、単分散粒子、固形分30%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜形成用基材を得た。
Figure 2015098138
表1の結果から、実施例1〜10の透明導電膜形成用基材は、耐ブロッキング性に優れるとともに、白化を抑制できるものであった。また、実施例1〜10の透明導電膜形成用基材は、透明導電膜を形成した際に安定した表面抵抗率を得ることができるものであった。また、表中には記載していないが、実施例1〜9のものは、実施例10のものよりも、透明導電膜をパターニングした後のパターンの不可視化に優れるものであった。
一方、比較例1〜8の透明導電膜形成用基材は、耐ブロッキング性及び白化の抑制を同時に満足できないものであった。

Claims (15)

  1. 透明基材の一方の面に、ハードコート層と、二以上の透明層から構成され該二以上の透明層の少なくとも一層に微粒子の凝集体からなる粒子aを含有してなる光学干渉層と、無機層とをこの順に有してなり、粒子aと透明層とが以下の関係を満たす、透明導電膜形成用基材。
    粒子aの平均粒子径 > [粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]
  2. 前記無機層の厚みが1〜15nmである、請求項1に記載の透明導電膜形成用基材。
  3. 前記二以上の透明層は、それぞれの層の厚みが10〜200nmである、請求項1又は2に記載の透明導電膜形成用基材。
  4. [透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率]−[無機層の屈折率]の差が0.01〜0.10である、請求項1〜3の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  5. 前記無機層の屈折率が1.35〜1.55である、請求項1〜4の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  6. 前記透明基材から最も遠い側に位置する透明層の屈折率が1.37〜1.57である、請求項1〜5の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  7. 前記二以上の透明層が、屈折率1.50〜2.00の高屈折率層、及び屈折率1.37〜1.57の低屈折率層からなる、請求項1〜6の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  8. [粒子aの平均粒子径]−[粒子aを含む透明層の厚み+該層より透明基材とは反対側に存在する透明層の厚み]の差が30〜300nmである、請求項1〜7の何れかに記載載の透明導電膜形成用基材。
  9. 前記粒子aを、前記二以上の透明層のうち、前記透明基材から最も離れた透明層以外の透明層に含有してなる、請求項1〜8の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  10. 前記粒子aの平均粒子径が100〜400nmである、請求項1〜9の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  11. 前記粒子aを構成する微粒子の平均一次粒子径が10〜70nmである、請求項1〜10の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  12. 粒子aを含有する透明層の全固形分に占める粒子aの割合が0.1〜5.0質量%である、請求項1〜11の何れか記載の透明導電膜形成用基材。
  13. 前記二以上の透明層がウェットプロセスから形成されてなり、前記無機層がドライプロセスから形成されてなる、請求項1〜12の何れかに記載の透明導電膜形成用基材。
  14. 請求項1〜13の何れかに記載の透明導電膜形成用基材の無機層上に透明導電膜を有してなる、透明導電性基材。
  15. タッチパネル用の電極として、請求項14に記載の透明導電性基材を用いてなる、タッチパネル。
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