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JP2015083453A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2015083453A JP2014187337A JP2014187337A JP2015083453A JP 2015083453 A JP2015083453 A JP 2015083453A JP 2014187337 A JP2014187337 A JP 2014187337A JP 2014187337 A JP2014187337 A JP 2014187337A JP 2015083453 A JP2015083453 A JP 2015083453A
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Abstract

【課題】パンク時の耐久性及び乗り心地に優れる空気入りタイヤ2の提供
【解決手段】このタイヤ2のサイドウォール8は、軸方向外向きに突出するリムプロテクター34を備える。ビード12は、コア38と、エイペックス40とを備える。このタイヤ2では、一方のエイペックス40aが裏側エイペックスとされ、他方のエイペックス40bが表側エイペックスとされたとき、この裏側エイペックス40a及び表側エイペックス40bのそれぞれについて、コア38の外側端から半径方向外側に1.0mm離れた第一基準位置における第一基準厚みT1、コア38の内側端から半径方向外側に17.0mm離れた第二基準位置における第二基準厚みT2、第二基準位置とリムプロテクター34の先端Prとの半径方向中間位置における第三基準厚みT3及び複素弾性率が調整される。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、サイドウォールの内側に荷重支持層を備えたランフラットタイヤが開発され、普及しつつある。この支持層には、高硬度な架橋ゴムが用いられている。このランフラットタイヤは、サイド補強タイプと称されている。このタイプのランフラットタイヤでは、パンクによって内圧が低下すると、支持層が車重を支えうる。ランフラットタイヤでは、パンク状態でも、ある程度の距離の走行が可能である。
ランフラットタイヤがパンク状態で走行すると、このタイヤの車輌の幅方向において外側(表側とも称される。)に位置する部分よりも、その内側(裏側とも称される。)に位置する部分に、損傷が集中する傾向にある。これは、パンク状態では、タイヤのキャンバー角はネガティブキャンバーにあり、表側のサイドウォールの温度よりも裏側のサイドウォールの温度が高いことから、裏側のサイドウォールの部分の撓みが表側のサイドウォールの部分の撓みよりも大きいことに起因していると考えられている。
パンク時の耐久性(ランフラット耐久性とも称される。)の向上の観点から、裏側の荷重支持層の厚みを表側のそれよりも大きくする、裏側のエイペックスの高さを表側のそれよりも大きくする等の検討がなされている。このような検討の一例が、特開2013−071468公報に開示されている。
特開2013−071468公報
発明者らは、パンク状態で走行したランフラットタイヤの損傷状況について、詳細に調査した。その結果、タイヤのビードの部分(詳細には、エイペックス及び/又はクリンチ)を起点とする損傷が多いことが判明した。ランフラットタイヤでは、支持層を十分に機能させつつ、ランフラット耐久性をさらに向上させるには、ビードの部分の耐久性向上が不可欠である。
大きな厚みを有するエイペックスは、ビードの部分の耐久性に寄与しうる。しかし、大きな厚みを有するエイペックスを左右のビードに採用すると、動的バランスだけでなく、乗り心地が悪化してしまう。
大きな複素弾性率を有するエイペックスは、ビードの部分の耐久性に寄与しうる。しかし、大きな弾性率を有するエイペックスを左右のビードに採用すると、動的バランスだけでなく、乗り心地が悪化してしまう。
大きな厚みを有するクリンチは、ビードの部分の耐久性に寄与しうる。しかし、左右のクリンチが大きな厚みを有すると、動的バランスだけでなく、乗り心地が悪化してしまう。
大きな複素弾性率を有するクリンチは、ビードの部分の耐久性に寄与しうる。しかし、左右のクリンチが大きな弾性率を有すると、動的バランスだけでなく、乗り心地が悪化してしまう。
本発明の目的は、パンク時の耐久性及び乗り心地に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがこのクリンチよりも軸方向内側に位置するビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれが上記サイドウォールよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えている。それぞれのサイドウォールは、軸方向外向きに突出するリムプロテクターを備えている。それぞれのビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えている。上記コアの外側端から半径方向外側に1.0mm離れた位置を第一基準位置とし、この第一基準位置における上記エイペックスの厚みが第一基準厚みT1とされ、この第一基準位置における上記クリンチの厚みが第一基準厚みS1とされ、このコアの内側端から半径方向外側に17.0mm離れた位置を第二基準位置とし、この第二基準位置におけるこのエイペックスの厚みが第二基準厚みT2とされ、この第二基準位置におけるこのクリンチの厚みが第二基準厚みS1とされ、この第二基準位置と上記リムプロテクターの先端との半径方向中間位置を第三基準位置とし、この第三基準位置におけるこのエイペックスの厚みが第三基準厚みT3とされ、この第三基準位置におけるこのクリンチの厚みが第三基準厚みS3とされ、一方のエイペックスが裏側エイペックスとされ、他方のエイペックスが表側エイペックスとされ、一方のクリンチが裏側クリンチとされ、他方のクリンチが表側クリンチとされたとき、このタイヤは下記条件(1)から(8)のいずれかを満たす。
条件(1) 上記裏側エイペックスの第一基準厚みT1aと上記表側エイペックスの第一基準厚みT1bとの差(T1a−T1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(2) 上記裏側エイペックスの第二基準厚みT2aと上記表側エイペックスの第二基準厚みT2bとの差(T2a−T2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(3) 上記裏側エイペックスの第三基準厚みT3aと上記表側エイペックスの第三基準厚みT3bとの差(T3a−T3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(4) 上記裏側エイペックスの複素弾性率Eaの上記表側エイペックスの複素弾性率Ebに対する比(Ea/Eb)が1.4以上1.7以下である。
条件(5) 上記裏側クリンチの第一基準厚みS1aと上記表側クリンチの第一基準厚みS1bとの差(S1a−S1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(6) 上記裏側クリンチの第二基準厚みS2aと上記表側クリンチの第二基準厚みS2bとの差(S2a−S2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(7) 上記裏側クリンチの第三基準厚みS3aと上記表側クリンチの第三基準厚みS3bとの差(S3a−S3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(8) 上記裏側クリンチの複素弾性率Maの上記表側クリンチの複素弾性率Mbに対する比(Ma/Mb)が1.4以上1.7以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤは、上記条件(1)から(8)のうち、少なくとも2つの条件を満たす。
より好ましくは、この空気入りタイヤは、上記条件(1)及び上記条件(2)、この条件(2)及び上記条件(3)、並びに、この条件(3)及びこの条件(1)のいずれかを満たす。さらに好ましくは、この空気入りタイヤは、上記条件(1)、上記条件(2)及び上記条件(3)を満たす。特に好ましくは、この空気入りタイヤは上記条件(4)をさらに満たす。
より好ましくは、この空気入りタイヤは、上記条件(5)及び上記条件(6)、この条件(6)及び上記条件(7)、並びに、この条件(7)及びこの条件(5)のいずれかを満たす。さらに好ましくは、この空気入りタイヤは、上記条件(5)、上記条件(6)及び上記条件(7)を満たす。特に好ましくは、この空気入りタイヤは上記条件(8)をさらに満たす。
本発明に係る空気入りタイヤでは、第一基準位置、第二基準位置及び第三基準位置のいずれかで裏側エイペックスの厚みが表側エイペックスの厚みよりも大きいか、裏側エイペックスの複素弾性率Eaが表側エイペックスの複素弾性率Ebよりも大きい。又は、第一基準位置、第二基準位置及び第三基準位置のいずれかで裏側クリンチの厚みが表側クリンチの厚みよりも大きいか、裏側クリンチの複素弾性率Maが表側クリンチの複素弾性率Mbよりも大きい。このタイヤでは、裏側のビードの部分が表側のビードの部分の剛性よりも高い剛性を有する。このため、裏側のビードの部分が車輌の幅方向において内側に位置するようにこのタイヤが車輌に装着されることにより、パンク時の耐久性の向上が達成される。しかも差(T1a−T1b)、差(T2a−T2b)、差(T3a−T3b)及び比(Ea/Eb)、並びに、差(S1a−S1b)、差(S2a−S2b)、差(S3a−S3b)及び比(Ma/Mb)の上限が適切に調整されているので、良好な乗り心地が維持される。このタイヤは、パンク時の耐久性及び乗り心地に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して概ね対称である。図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ2が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインは、軸方向に延びる。
このタイヤ2は、トレッド4、ウィング6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接触するトレッド面26を形成する。トレッド面26には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層30とキャップ層32とを有している。キャップ層32は、ベース層30の半径方向外側に位置している。キャップ層32は、ベース層30に積層されている。ベース層30は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層30の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層32は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
ウィング6は、トレッド4とサイドウォール8との間に位置している。ウィング6は、トレッド4及びサイドウォール8のそれぞれと接合している。ウィング6は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール8は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール8の半径方向外側端は、トレッド4及びウィング6と接合されている。このサイドウォール8の半径方向内側端は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール8は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール8は、軸方向においてカーカス14よりも外側に位置している。サイドウォール8は、カーカス14の損傷を防止する。
損傷防止の観点から、サイドウォール8の硬さは50以上が好ましく、55以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬さは70以下が好ましく、65以下がより好ましい。本願において、硬さは「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬さが測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。後述するクリンチ10及び荷重支持層16の硬さも同様にして測定される。
このタイヤ2では、サイドウォール8はリムプロテクター34を備えている。リムプロテクター34は、軸方向外側に向かって突出している。このタイヤ2が装着されるリムのフランジの損傷を、リムプロテクター34は防止する。図示されているように、このリムプロテクター34は頂面36を備えている。このリムプロテクター34は、この頂面36からカーカス14に向かって裾広がりな形状を呈している。符号Prは、リムプロテクター34の頂面36における半径方向内側端である。本願においては、この内側端Prがリムプロテクター34の先端である。このリムプロテクター34が外向きに先細りな形状を呈している場合は、リムプロテクター34の頂点が先端Prとされる。通常ビードベースラインからこの先端Prまでの半径方向高さは、20mm以上30mm以下に設定される。
クリンチ10は、サイドウォール8の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ10は、リムのフランジと当接する。
耐摩耗性の観点から、クリンチ10の硬さは60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬さは90以下が好ましく、80以下がより好ましい。
ビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア38と、このコア38から半径方向外向きに延びるエイペックス40とを備えている。コア38はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス40は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス40は、高硬度な架橋ゴムからなる。このタイヤ2では、エイペックス40の半径方向外側端42はリムプロテクター34の先端Prよりも半径方向外側に位置している。
このタイヤ2では、エイペックス40の硬さは75以上100以下が好ましい。この硬さが75以上に設定されることにより、このエイペックス40がタイヤ2の剛性に効果的に寄与するので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。さらにパンクによってこのタイヤ2の内圧が低下した場合には、このエイペックス40が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬さは80以上がより好ましい。この硬さが100以下に設定されることにより、エイペックス40によるサイドウォール8の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬さは95以下がより好ましい。このエイペックス40の硬さは、前述のサイドウォール8及びクリンチ10のそれと同様にして測定される。
カーカス14は、カーカスプライ44からなる。カーカスプライ44は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ44は、トレッド4及びサイドウォール8の内側に沿っている。カーカスプライ44は、コア38の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ44には、主部46と折り返し部48とが形成されている。折り返し部48の端50は、トレッド4の近傍にまで至っている。詳細には、折り返し部48の端50はベルト18の直下にまで至っている。換言すれば、折り返し部48はベルト18とオーバーラップしている。このカーカス14は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス14は、パンク状態におけるタイヤ2の耐久性に寄与する。このカーカス14は、パンク状態での耐久性に寄与する。
図示されていないが、カーカスプライ44は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。この支持層16は、カーカス14よりも軸方向内側に位置している。この支持層16は、カーカス14とインナーライナー22とに挟まれている。支持層16は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層16は、三日月に類似の形状を有する。支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。タイヤ2がパンクしたとき、この支持層16が荷重を支える。この支持層16により、パンク状態であっても、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。このタイヤ2は、ランフラットタイヤとも称されている。このタイヤ2は、サイド補強タイプである。このタイヤ2が、図1に示された支持層16の形状とは異なる形状を有する支持層16を備えてもよい。
カーカス14のうち、支持層16とオーバーラップしている部分は、インナーライナー22と離れている。換言すれば、支持層16の存在により、カーカス14は湾曲させられている。パンク状態のとき、支持層16には圧縮荷重がかかり、カーカス14のうち支持層16と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層16はゴム塊なので、圧縮荷重に十分に耐えうる。カーカス14のコードは、引張り荷重に十分に耐えうる。支持層16とカーカス14のコードとにより、パンク状態でのタイヤ2の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ2は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
パンク状態での縦撓みの抑制の観点から、支持層16の硬さは60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬さは90以下が好ましく、80以下がより好ましい。
ベルト18は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト18は、カーカス14と積層されている。ベルト18は、カーカス14を補強する。ベルト18は、内側層52及び外側層54からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層52の幅は外側層54の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層52及び外側層54のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層52のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層54のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト18の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト18が、3以上の層を備えてもよい。
バンド20は、ベルト18の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド20の幅はベルト18の幅と略同等である。図示されていないが、このバンド20は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド20は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト18が拘束されるので、ベルト18のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト18及びバンド20は、補強層を構成している。ベルト18のみから、補強層が構成されてもよい。バンド20のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー22は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー22は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー22は、架橋ゴムからなる。インナーライナー22には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー22の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー22は、タイヤ2の内圧を保持する。
チェーファー24は、ビード12の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー24がリムと当接する。この当接により、ビード12の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー24は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー24がクリンチ10と一体とされてもよい。この場合、チェーファー24の材質はクリンチ10の材質と同じとされる。
図1において、二点鎖線Bはこのタイヤ2が装着される乗用車の車輌のボディを表している。この図1において、左右方向は車輌の幅方向でもある。右側は車輌の幅方向内側(IN側)であり、左側は車輌の幅方向外側(OUT側)である。
図2には、図1に示されたタイヤ2の一部が示されている。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。この図2には、このタイヤ2の一方のビード12aの部分が示されている。この図2には、このタイヤ2が乗用車に装着されたとき、車輌の幅方向において内側に位置するビード12aの部分が示されている。したがって、この図2の右側は車輌の幅方向内側でもある。
この図2において、実線L1は軸方向に延びる第一基準線である。両矢印H1は、コア38の半径方向外側端からこの第一基準線L1までの半径方向高さを表している。本願においては、この高さH1は1.0mmである。つまり、第一基準線L1は、コア38の外側端から半径方向外側に1.0mm離れた位置(以下、第一基準位置)を通り軸方向に延びる仮想直線である。実線L2は、軸方向に延びる第二基準線である。両矢印H2は、コア38の半径方向内側端からこの第二基準線L2までの半径方向高さを表している。本願においては、この高さH2は17.0mmである。つまり、第二基準線L2は、コア38の内側端から半径方向外側に17.0mm離れた位置(以下、第二基準位置)を通り軸方向に延びる仮想直線である。実線LRは、リムプロテクター34の先端Prを通り軸方向に延びる仮想直線である。実線L3は、この仮想直線LRと第二基準線L2との半径方向中間位置(以下、第三基準位置)を通る仮想直線である。本願においては、この実線L3は第三基準線と称される。
この図2において、両矢印T1は第一基準線L1に沿って計測されるエイペックス40の第一基準厚みである。つまりこの第一基準厚みT1は、第一基準位置におけるエイペックス40の厚みである。両矢印T2は、第二基準線L2に沿って計測されるエイペックス40の第二基準厚みである。つまりこの第二基準厚みT2は、第二基準位置におけるエイペックス40の厚みである。両矢印T3は、第三基準線L3に沿って計測されるエイペックス40の第三基準厚みである。つまりこの第三基準厚みT3は、第三基準位置におけるエイペックス40の厚みである。
この図2において、両矢印S1は第一基準線L1に沿って計測されるクリンチ10の第一基準厚みである。つまりこの第一基準厚みS1は、第一基準位置におけるクリンチ10の厚みである。両矢印S2は、第二基準線L2に沿って計測されるクリンチ10の第二基準厚みである。つまりこの第二基準厚みS2は、第二基準位置におけるクリンチ10の厚みである。両矢印S3は、第三基準線L3に沿って計測されるクリンチ10の第三基準厚みである。つまりこの第三基準厚みS3は、第三基準位置におけるクリンチ10の厚みである。なお、クリンチ10の外面に突起物又は窪みが設けられている場合には、突起物又は窪みがないとして得られる仮想外面に基づいて厚みS1、厚みS2及び厚みS3は得られる。
本発明では、エイペックス40及びクリンチ10における第一基準位置、第二基準位置及び第三基準位置は、このタイヤ2がパンク状態で走行しているときに、歪みが集中する箇所に相当する。この歪みの程度は、有限要素法(Finite Element Method;FEM)による解析から算出される。解析のための条件は、以下の通りである。
リム:17×6.0JJ
内圧:0kPa
荷重:4.24kN
前述したように、図2には、このタイヤ2が乗用車に装着されたとき、車輌の幅方向において内側に位置するビード12aの部分が示されている。本願においては、この部分に含まれるビード12aは裏側ビードとも称される。このビード12aの一部をなすコア38aは、裏側コアとも称される。このビード12aの他の一部をなすエイペックス40aは、裏側エイペックスとも称される。図2に示されているように、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1は「T1a」として表される。第二基準厚みT2は、「T2a」として表される。第三基準厚みT3は、「T3a」として表される。さらにこの部分に含まれるクリンチ10aは裏側クリンチとも称される。図2に示されているように、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1は「S1a」として表される。第二基準厚みS2は、「S2a」として表される。第三基準厚みS3は、「S3a」として表される。
図3には、図1に示されたタイヤ2の他の一部が示されている。この図3において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。この図3には、このタイヤ2の他方のビード12bの部分が示されている。この図3に示されたビード12bにおいても、前述の図2に示されたビード12aと同様にして、エイペックス40の第一基準厚みT1、第二基準厚みT2及び第三基準厚みT3が定義される。この図3に示されたクリンチ10bにおいても、前述の図2に示されたクリンチ10aと同様にして、クリンチ10の第一基準厚みS1、第二基準厚みS2及び第三基準厚みS3が定義される。
このタイヤ2では、左右のコア38は赤道面に対して対称であること以外は同等の構成を有している。したがって、左右のコア38の半径方向高さも、左右のコア38の中心位置も同等である。さらにこのタイヤ2では、左右のエイペックス40の外側端42の半径方向における位置も同等である。左右のクリンチ10の外側端(図1中の符号PC)の半径方向における位置も同等である。
この図3に示されているのは、このタイヤ2が乗用車に装着されたとき、車輌の幅方向において外側に位置するビード12bの部分である。したがって、この図3の左側は車輌の幅方向外側である。本願においては、この部分に含まれるビード12bは表側ビードとも称される。このビード12bの一部をなすコア38bは、表側コアとも称される。このビード12bの他の一部をなすエイペックス40bは、表側エイペックスとも称される。図3に示されているように、表側エイペックス40bの第一基準厚みT1は「T1b」として表される。第二基準厚みT2は、「T2b」として表される。第三基準厚みT3は、「T3b」として表される。さらにこの部分に含まれるクリンチ10bは表側クリンチとも称される。図3に示されているように、表側クリンチ10bの第一基準厚みS1は「S1b」として表される。第二基準厚みS2は、「S2b」として表される。第三基準厚みS3は、「S3b」として表される。
このタイヤ2では、表側エイペックス40bの構成は従来のタイヤと同様である。したがって、この表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bは9.0mm以上10.0mm以下である。この表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bは、8.0mm以上9.0mm以下である。この表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bは、6.5mm以上7.5mm以下である。さらにこの表側エイペックス40bの複素弾性率Ebは、15MPa以上100MPa以下である。
このタイヤ2では、表側クリンチ10bの構成は従来のタイヤと同様である。したがって、この表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bは2.0mm以上6.0mm以下である。この表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bは、4.0mm以上8.0mm以下である。この表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bは、7.0mm以上11.0mm以下である。さらにこの表側クリンチ10bの複素弾性率Mbは、15MPa以上100MPa以下である。
本発明では、表側エイペックス40bの複素弾性率Eb及び表側クリンチ10bの複素弾性率Mbは「JIS K 6394」の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。
粘弾性スペクトロメーター:岩本製作所の「VESF−3」
初期歪み:10%
動歪み:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
なお、後述する、裏側エイペックス40aの複素弾性率Ea及び裏側クリンチ10aの複素弾性率Maも、この弾性率Eb及び弾性率Mbと同様にして測定される。
このタイヤ2では、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aと表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bとの差(T1a−T1b)、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aと表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bとの差(T2a−T2b)、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aと表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bとの差(T3a−T3b)及び裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaの表側エイペックス40bの複素弾性率Ebに対する比(Ea/Eb)、並びに、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aと表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bとの差(S1a−S1b)、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aと表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bとの差(S2a−S2b)、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aと表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bとの差(S3a−S3b)及び裏側クリンチ10aの複素弾性率Maの表側クリンチ10bの複素弾性率Mbに対する比(Ma/Mb)が適切に調整されている。詳細には、このタイヤ2は下記条件(1)から(8)のいずれかを満たす。
条件(1) 差(T1a−T1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(2) 差(T2a−T2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(3) 差(T3a−T3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(4) 比(Ea/Eb)が1.4以上1.7以下である。
条件(5) 差(S1a−S1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(6) 差(S2a−S2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(7) 差(S3a−S3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
条件(8) 比(Ma/Mb)が1.4以上1.7以下である。
このタイヤ2では、第一基準位置、第二基準位置及び第二基準位置のいずれかで裏側エイペックス40aの厚みが表側エイペックス40bの厚みよりも大きいか、裏側エイペックス40aの弾性率Eaが表側エイペックス40bの弾性率Ebよりも大きい。又は、第一基準位置、第二基準位置及び第三基準位置のいずれかで裏側クリンチの厚みが表側クリンチの厚みよりも大きいか、裏側クリンチの複素弾性率Waが表側クリンチの複素弾性率Mbよりも大きい。このタイヤ2では、裏側ビード12aの部分が表側ビード12bの部分の剛性よりも高い剛性を有する。このため、裏側ビード12aの部分が車輌の幅方向において内側に位置するようにこのタイヤ2が車輌のボディBに装着されることにより、パンク時の耐久性の向上が達成される。しかも差(T1a−T1b)、差(T2a−T2b)、差(T3a−T3b)及び比(Ea/Eb)、並びに、差(S1a−S1b)、差(S2a−S2b)、差(S3a−S3b)及び比(Ma/Mb)の上限が適切に調整されているので、良好な乗り心地が維持される。このタイヤ2は、パンク時の耐久性及び乗り心地に優れる。
前述の通り、このタイヤ2では、表側ビード12bの部分の構成は従来のタイヤのそれと同様である。このため、このタイヤ2では、左右のビードに大きな剛性を有するエイペックスを採用した従来のタイヤに認められる乗り心地及び動的バランスへの影響が抑えられている。このタイヤ2では、左右のクリンチが大きな剛性を有するように構成された従来のタイヤに認められる乗り心地及び動的バランスへの影響が抑えられている。本発明によれば、乗り心地だけでなく動的バランスが良好に維持されたタイヤ2が得られる。
条件(1)を満たすタイヤ2では、差(T1a−T1b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(T1a−T1b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側エイペックス40aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(T1a−T1b)は0.6mm以上が好ましい。この差(T1a−T1b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側エイペックス40aと表側エイペックス40bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(T1a−T1b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(1)を満たす場合、この条件(1)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(2)を満たすタイヤ2では、差(T2a−T2b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(T2a−T2b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側エイペックス40aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(T2a−T2b)は0.6mm以上が好ましい。この差(T2a−T2b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側エイペックス40aと表側エイペックス40bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(T2a−T2b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(2)を満たす場合は、この条件(2)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(3)を満たすタイヤ2では、差(T3a−T3b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(T3a−T3b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側エイペックス40aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(T3a−T3b)は0.6mm以上が好ましい。この差(T3a−T3b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側エイペックス40aと表側エイペックス40bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(T3a−T3b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(3)を満たす場合は、この条件(3)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(4)を満たすタイヤ2では、比(Ea/Eb)は1.4以上1.7以下である。比(Ea/Eb)が1.4以上に設定されることにより、裏側エイペックス40aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この比(Ea/Eb)は1.5以上が好ましい。この比(Ea/Eb)が1.7以下に設定されることにより、裏側エイペックス40aと表側エイペックス40bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この比(Ea/Eb)は1.6以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(4)を満たす場合は、この条件(4)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(5)を満たすタイヤ2では、差(S1a−S1b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(S1a−S1b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側クリンチ10aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(S1a−S1b)は0.6mm以上が好ましい。この差(S1a−S1b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側クリンチ10aと表側クリンチ10bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(S1a−S1b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(5)を満たす場合、この条件(5)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側クリンチ10bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(6)を満たすタイヤ2では、差(S2a−S2b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(S2a−S2b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側クリンチ10aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(S2a−S2b)は0.6mm以上が好ましい。この差(S2a−S2b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側クリンチ10aと表側クリンチ10bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(S2a−S2b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(6)を満たす場合は、この条件(6)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側クリンチ10bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(7)を満たすタイヤ2では、差(S3a−S3b)は0.5mm以上1.2mm以下である。この差(S3a−S3b)が0.5mm以上に設定されることにより、裏側クリンチ10aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この差(S3a−S3b)は0.6mm以上が好ましい。この差(S3a−S3b)が1.2mm以下に設定されることにより、裏側クリンチ10aと表側クリンチ10bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この差(S3a−S3b)は1.1mm以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(7)を満たす場合は、この条件(7)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側クリンチ10bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
条件(8)を満たすタイヤ2では、比(Ma/Mb)は1.4以上1.7以下である。比(Ma/Mb)が1.4以上に設定されることにより、裏側クリンチ10aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。この観点から、この比(Ma/Mb)は1.5以上が好ましい。この比(Ma/Mb)が1.7以下に設定されることにより、裏側クリンチ10aと表側クリンチ10bとの剛性差が適切に維持される。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。動的バランスも良好になるとの観点から、この比(Ma/Mb)は1.6以下が好ましい。なお、タイヤ2が条件(8)を満たす場合は、この条件(8)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であるのが好ましい。
このタイヤ2は、前述の条件(1)から(8)のうち、少なくとも2つの条件を満たすのが好ましい。これにより、裏側エイペックス40a及び/又は裏側クリンチ10aがパンク時の耐久性に効果的に寄与しうる。裏側エイペックス40aと表側エイペックス40bとの剛性差及び/又は裏側クリンチ10aと表側クリンチ10bとの剛性差が適切に維持されるので、優れた乗り心地及び良好な動的バランスが適切に維持される。本発明によれば、乗り心地及び動的バランスを適切に維持しつつ、耐久性に優れる空気入りタイヤ2が得られる。この観点から、条件(1)から(8)のうち、少なくとも3つの条件を満たすのがより好ましく、少なくとも4つの条件を満たすのがさらに好ましく、少なくとも5つの条件を満たすのがさらに好ましく、少なくとも6つの条件を満たすのがさらに好ましく、少なくとも7つの条件を満たすのがさらに好ましい。特に好ましくは、前述の条件(1)から(8)の全てを満たすことである。
このタイヤ2では、左右のエイペックス40の剛性差のみを調整して、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上が達成されてもよい。この場合、左右のエイペックス40の剛性差による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、そして、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
左右のエイペックス40の剛性差のみを調整して、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上を達成する場合(以下、ケース1)、このタイヤ2は、条件(1)及び条件(2)、条件(2)及び条件(3)、並びに、条件(3)及び条件(1)のいずれかを満たすのが好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。この観点から、このタイヤ2が条件(1)及び条件(2)を満たす場合は、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(1)及び(2)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。このタイヤ2が条件(2)及び条件(3)を満たす場合は、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(2)及び(3)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。このタイヤ2が条件(3)及び条件(1)を満たす場合は、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(3)及び(1)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。
上記ケース1の場合、このタイヤ2は、条件(1)から(3)のいずれか2つの条件に加えて条件(4)をさらに満たすように構成されてもよい。この場合、各条件による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、このタイヤ2が条件(1)、(2)及び(4)を満たすときには、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であるのが好ましい。このタイヤ2が条件(2)、(3)及び(4)を満たすときには、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であるのが好ましい。このタイヤ2が条件(3)、(4)及び(1)を満たすときには、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であるのが好ましい。
さらに上記ケース1の場合、このタイヤ2は、条件(1)、条件(2)及び条件(3)を満たすのがより好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。なお、この場合、各条件による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であるのが好ましい。
そして上記ケース1の場合、このタイヤ2は、条件(1)、条件(2)、条件(3)及び条件(4)、つまり、条件(1)から(4)で示された4つの条件全てを満たすのがさらに好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。
このタイヤ2では、左右のクリンチ10の剛性差のみを調整して、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上が達成されてもよい。この場合、左右のクリンチ10の剛性差による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側エイペックス40aの第一基準厚みT1aは表側エイペックス40bの第一基準厚みT1bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第二基準厚みT2aは表側エイペックス40bの第二基準厚みT2bと同等以上であり、裏側エイペックス40aの第三基準厚みT3aは表側エイペックス40bの第三基準厚みT3bと同等以上であり、そして、裏側エイペックス40aの複素弾性率Eaは表側エイペックス40bの複素弾性率Ebと同等以上であるのが好ましい。
左右のクリンチ10の剛性差のみを調整して、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上を達成する場合(以下、ケース2)、このタイヤ2は、条件(5)及び条件(6)、条件(6)及び条件(7)、並びに、条件(7)及び条件(5)のいずれかを満たすのが好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。この観点から、このタイヤ2が条件(5)及び条件(6)を満たす場合は、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(5)及び(6)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。このタイヤ2が条件(6)及び条件(7)を満たす場合は、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(6)及び(7)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。このタイヤ2が条件(7)及び条件(5)を満たす場合は、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であり、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。これにより、この条件(7)及び(5)による効果がタイヤ2の性能に有効に反映される。
上記ケース2の場合、このタイヤ2は、条件(5)から(7)のいずれか2つの条件に加えて条件(8)をさらに満たすように構成されてもよい。この場合、各条件による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、このタイヤ2が条件(5)、(6)及び(8)を満たすときには、裏側クリンチ10aの第三基準厚みS3aは表側クリンチ10bの第三基準厚みS3bと同等以上であるのが好ましい。このタイヤ2が条件(6)、(7)及び(8)を満たすときには、裏側クリンチ10aの第一基準厚みS1aは表側クリンチ10bの第一基準厚みS1bと同等以上であるのが好ましい。このタイヤ2が条件(7)、(8)及び(5)を満たすときには、裏側クリンチ10aの第二基準厚みS2aは表側クリンチ10bの第二基準厚みS2bと同等以上であるのが好ましい。
さらに上記ケース2の場合、このタイヤ2は、条件(5)、条件(6)及び条件(7)を満たすのがより好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。なお、この場合、各条件による効果がタイヤ2の性能に有効に反映されるとの観点から、裏側クリンチ10aの複素弾性率Maは表側クリンチ10bの複素弾性率Mbと同等以上であるのが好ましい。
そして上記ケース2の場合、このタイヤ2は、条件(5)、条件(6)、条件(7)及び条件(8)、つまり、条件(5)から(8)で示された4つの条件全てを満たすのがさらに好ましい。これにより、乗り心地及び動的バランスを良好に維持しつつ、パンク時の耐久性のさらなる向上が達成される。
このタイヤ2では、左右のビード12の部分に剛性差が存在する。このため、このタイヤ2が装着された車輌では、車輌の右側に装着されたタイヤ2とこの車輌の左側に装着されたタイヤ2とで、コーナリングフォースの大きさに違いが生じてしまう。この場合、ハンドル応答性が悪化し、操縦安定性が低下する恐れがある。
本発明者らは、エイペックス40及びクリンチ10のそれぞれについて、タイヤ2のコーナリングフォースへの影響を鋭意検討した。その結果、左右のクリンチ10の剛性差がコーナリングフォースに与える影響は、左右のエイペックス40の剛性差がコーナリングフォースに与える影響よりも小さいことが判明した。したがって、このタイヤ2では、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上の観点から、エイペックス40及びクリンチ10のいずれかの剛性を調整する場合は、左右のエイペックス40の剛性を調整するというよりはむしろ、左右のクリンチ10の剛性を調整するのが好ましい。これにより、操縦安定性を適切に維持しつつ、パンク時の耐久性及び乗り心地に優れたタイヤ2が得られる。左右のエイペックス40の剛性を調整してパンク時の耐久性及び乗り心地の向上を図る場合は、左右のクリンチ10の剛性も調整するのが好ましい。これにより、左右のエイペックス40の剛性差による操縦安定性への影響を最小限に抑えつつ、タイヤ2の、パンク時の耐久性及び乗り心地の向上が達成される。
以上説明したように、このタイヤ2では、エイペックス40の厚さ又は弾性率を調整する、及び/又は、クリンチ10の厚さ又は弾性率を調整することにより、特に、裏側ビード12aの部分において、耐久性の向上が図られている。このタイヤ2の、裏側ビード12aの部分が車輌の幅方向において内側に位置するように、このタイヤ2が車輌に装着された乗用車では、動的バランス及び乗り心地を損なうことなく、パンク時の耐久性の向上が達成される。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。このタイヤ2が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表5に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(ランフラットタイヤ)を得た。このタイヤのサイズは、「225/45R17」とされた。この実施例1では、表側エイペックスの第一基準厚みT1bは9.5mmとされた。第二基準厚みT2bは、8.5mmとされた。第三基準厚みT3bは、7.0mmとされた。複素弾性率Ebは、50MPaとされた。裏側エイペックスの第一基準厚みT1aは10.5mmとされた。第二基準厚みT2aは、9.5mmとされた。第三基準厚みT3aは、8.0mmとされた。複素弾性率Eaは、80MPaとされた。この実施例1では、表側クリンチの第一基準厚みS1bは4.0mmとされた。第二基準厚みS2bは、6.0mmとされた。第三基準厚みS3bは、9.0mmとされた。複素弾性率Mbは、50MPaとされた。裏側クリンチの第一基準厚みS1aは4.0mmとされた。第二基準厚みS2aは、6.0mmとされた。第三基準厚みS3aは、9.0mmとされた。複素弾性率Maは、50MPaとされた。
[実施例2−55及び比較例1−17]
裏側エイペックスの第一基準厚みT1a、第二基準厚みT2a、第三基準厚みT3a及び複素弾性率Ea、並びに、裏側クリンチの第一基準厚みS1a、第二基準厚みS2a、第三基準厚みS3a及び複素弾性率Maを調整して、差(T1a−T1b)、差(T2a−T2b)、差(T3a−T3b)及び比(Ea/Eb)、並びに、差(S1a−S1b)、差(S2a−S2b)、差(S3a−S3b)及び比(Ma/Mb)を下記の表1−14の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−55及び比較例1−17のタイヤを得た。
[耐久性(パンク時)]
タイヤを正規リム(サイズ=17×8.0J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を250kPaとした。このタイヤは、裏側エイペックスが車輌の幅方向内側に相当する位置にあるように、ドラム式走行試験機に装着された。装着後、JATMAにて規定される最大負荷荷重の75%に相当する縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現し、このタイヤを80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−14に示されている。数値が大きいほど、好ましい、つまり、ランフラット耐久性に優れる。
[縦バネの評価]
下記の条件にて、タイヤの縦バネ定数を測定した。
使用リムのサイズ:17×8.0J
内圧:230kPa
荷重:JATMAにて規定される最大負荷荷重の80%に相当する荷重
比較例1のタイヤのバネ定数を100としたときの指数が、下記の表1−14に示されている。数値が低いほど、縦バネが小さく、乗り心地に優れることを表す。
[動的バランス]
タイヤを正規リム(サイズ=17×8.0J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤをバランサー試験機に取り付け、動的バランスを取るのに必要な錘の質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−14に示されている。数値が低いほど、良好である。
[操縦安定性]
タイヤをリム(サイズ=17×8.0J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が4300ccである乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性を評価させた。この結果が、比較例1を6点とした指数で下記の表1−14に示されている。数値が大きいほど好ましい。なお、この評価の満点は10点である。
Figure 2015083453
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表1−14に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車輌にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
8・・・サイドウォール
10、10a、10b・・・クリンチ
12、12a、12b・・・ビード
14・・・カーカス
16・・・荷重支持層
26・・・トレッド面
34・・・リムプロテクター
38、38a、38b・・・コア
40、40a、40b・・・エイペックス

Claims (8)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがこのクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれが上記サイドウォールよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えており、
    それぞれのサイドウォールが軸方向外向きに突出するリムプロテクターを備えており、
    それぞれのビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    上記コアの外側端から半径方向外側に1.0mm離れた位置を第一基準位置とし、この第一基準位置における上記エイペックスの厚みが第一基準厚みT1とされ、この第一基準位置における上記クリンチの厚みが第一基準厚みS1とされ、このコアの内側端から半径方向外側に17.0mm離れた位置を第二基準位置とし、この第二基準位置におけるこのエイペックスの厚みが第二基準厚みT2とされ、この第二基準位置におけるこのクリンチの厚みが第二基準厚みS1とされ、この第二基準位置と上記リムプロテクターの先端との半径方向中間位置を第三基準位置とし、この第三基準位置におけるこのエイペックスの厚みが第三基準厚みT3とされ、この第三基準位置におけるこのクリンチの厚みが第三基準厚みS3とされ、
    一方のエイペックスが裏側エイペックスとされ、他方のエイペックスが表側エイペックスとされ、一方のクリンチが裏側クリンチとされ、他方のクリンチが表側クリンチとされたとき、
    下記条件(1)から(8)のいずれかを満たす、空気入りタイヤ。
    条件(1) 上記裏側エイペックスの第一基準厚みT1aと上記表側エイペックスの第一基準厚みT1bとの差(T1a−T1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(2) 上記裏側エイペックスの第二基準厚みT2aと上記表側エイペックスの第二基準厚みT2bとの差(T2a−T2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(3) 上記裏側エイペックスの第三基準厚みT3aと上記表側エイペックスの第三基準厚みT3bとの差(T3a−T3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(4) 上記裏側エイペックスの複素弾性率Eaの上記表側エイペックスの複素弾性率Ebに対する比(Ea/Eb)が1.4以上1.7以下である。
    条件(5) 上記裏側クリンチの第一基準厚みS1aと上記表側クリンチの第一基準厚みS1bとの差(S1a−S1b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(6) 上記裏側クリンチの第二基準厚みS2aと上記表側クリンチの第二基準厚みS2bとの差(S2a−S2b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(7) 上記裏側クリンチの第三基準厚みS3aと上記表側クリンチの第三基準厚みS3bとの差(S3a−S3b)が0.5mm以上1.2mm以下である。
    条件(8) 上記裏側クリンチの複素弾性率Maの上記表側クリンチの複素弾性率Mbに対する比(Ma/Mb)が1.4以上1.7以下である。
  2. 上記条件(1)から(8)のうち、少なくとも2つの条件を満たす、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記条件(1)及び上記条件(2)、この条件(2)及び上記条件(3)、並びに、この条件(3)及びこの条件(1)のいずれかを満たす、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記条件(1)、上記条件(2)及び上記条件(3)を満たす、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記条件(4)をさらに満たす、請求項3又は4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記条件(5)及び上記条件(6)、この条件(6)及び上記条件(7)、並びに、この条件(7)及びこの条件(5)のいずれかを満たす、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記条件(5)、上記条件(6)及び上記条件(7)を満たす、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 上記条件(8)をさらに満たす、請求項6又は7に記載の空気入りタイヤ。
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