JP2015066801A - 非吸着性シーラントフィルム及びそれよりなる包装材用積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、ベース樹脂層と、シール層とからなる非吸着性シーラントフィルムであって、該シール層は、ガラス転移点が70〜90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、アクリロニトリル系樹脂は、良好なシール強度が得られず、また高価であるため、より好ましい非吸着性シーラントフィルムの開発が求められている。
(1)少なくとも、ベース樹脂層と、シール層とからなる非吸着性シーラントフィルムであって、該シール層は、ガラス転移点が70〜90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。
(2)前記ベース樹脂層の積層面に、易接着処理がなされていることを特徴とする、上記(1)に記載の非吸着性シーラントフィルム。
(3)前記シール層を前記ベース樹脂層上に押出コーティングする前に、該ベース樹脂層の積層面にアンカーコート剤を塗布することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の非吸着性シーラントフィルム。
(4)少なくとも、基材フィルム層と、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の非吸着性シーラントフィルムからなる層と、からなる包装材用積層体。
また、樹脂フィルムからなるベース樹脂層上に、共重合ポリエステルからなるシール層を積層する前に、該ベース樹脂層の積層面にアンカーコート剤を塗布することにより、層間接着強度が高まり、非吸着性及びシール強度が一層向上した。
さらに、本発明の非吸着性シーラントフィルムをシーラント層として有する積層体は、種々の包装材として使用するのに適しており、特に、非吸着性が求められる医薬品用包装袋を形成するために、好適に使用することができる。
<1>本発明の非吸着性シーラントフィルム及びそれを有する積層体の層構成
図1〜4は、本発明の非吸着性シーラントフィルム及びそれを有する積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の非吸着性シーラントフィルムは、図1に示すように、ベース樹脂層1、及びシール層2、の2層を基本の構成とする。
また、図2に示すように、ベース樹脂層1にシール層を積層する前に、その積層面に、任意の易接着層3を設けておいてもよい。また場合により、易接着層3の表面にアンカーコート剤層4を設けておいてもよい。
基材フィルムBの具体的態様としては、図4に示すように、樹脂フィルム5、接着剤層6及びアルミニウム箔7からなる態様を一例として挙げることができる。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明の非吸着性シーラントフィルムのベース樹脂層は、任意の樹脂フィルムからなる。各種包装材や包装容器に用いられる任意の樹脂フィルムを使用することができ、貼り合わせる基材フィルムの種類等に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの具体例としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂等)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂等からなる樹脂フィルムが例示できる。上記樹脂フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。また、2枚またはそれ以上の樹脂フィルムを貼り合わせた多層構成の樹脂フィルムであってもよい。
また、ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの積層面、すなわち接着性樹脂層を積層する面は、接着性樹脂層との密着性を高めるため、表面処理により易接着層(例えば、コロナ放電処理層、プライマー処理層など)を設けてもよい。
本発明の非吸着性シーラントフィルムのシール層は、ガラス転移点が70〜90℃、より好適には70〜80℃である非晶性の共重合ポリエステルからなる。
本発明における共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)が代表例としてあげられる。このような共重合PETとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを主成分とし、これに、共重合成分としてテレフタル酸以外の多価カルボン酸及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコールを、非晶性を示し且つガラス転移点が70〜90℃となるように添加し、共重合して得られる変性PETが用いられる。
共重合成分として添加される多価カルボン酸としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸(不飽和脂肪酸の二量体又はその水素添加物を主体とするもの)、ジフェニルカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。
また、共重合成分として添加される多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物等が挙げられる。
上記主成分及び共重合成分の混合比は、非晶性を示し且つ所望のガラス転移点を有する限り、特に限定されないが、例えば、原料となる多価カルボン酸の50モル%以上がテレフタル酸であり、また、原料となる多価アルコールの50モル%以上がエチレングリコールである。原料となるテレフタル酸及びエチレングリコールの量がこれより少ないと、耐衝撃性及び非吸着性が損なわれ得る。
さらに、本発明においては、上記非晶性共重合ポリエステルのうち、ガラス転移点が70〜90℃となるように調製された共重合ポリエステルを用いる。この調製は、原料として使用する多価カルボン酸及び多価アルコールの化学構造等に応じて、これらの混合比や重合度等を変化させることにより、当業者が適宜に行うことができる。
シウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、けいそう土等の無機化合物系のアンチブロッキング剤、及びこれらのうちの2種またはそれ以上からなる混合物が挙げられる。
本発明の非吸着性シーラントフィルムは、ベース樹脂層を形成する樹脂フィルム上に、シール層を形成する上記共重合ポリエステルを押出コーティングすることにより製造される。
押出温度は、共重合ポリエステルの種類に応じて当業者が適宜に選択でき、例えば200〜280℃の広範囲の温度域であってよい。
樹脂フィルム上に上記共重合ポリエステルを押出コーティングすることにより、高い非吸着性及びシール強度が発揮される。
また、シール層の層厚は、15〜60μm、より好ましくは20〜50μmである。15μmより薄いと安定性が悪く、シール強度が弱くなり、また60μmより厚いとシーラントフィルムとして固く、コストも高くなるため好ましくない。
特に、ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの積層面に、ポリウレタン系、ポリエステル系またはアクリル系のアンカーコート剤を塗布することにより、また場合によってはさらにオゾン処理することにより、層間の接着性がさらに向上する。
本発明のシーラントフィルムからなる層に、基材フィルム層を積層して、包装材用積層体を得ることができる。
ここで用いる基材フィルム層としては、プラスチックフィルム等の単層フィルム、または多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装袋及び包装容器に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。好ましく使用される積層体の具体例としては、二軸延伸PETフィルム上に、接着剤層を介してアルミニウム箔を貼り合わせた多層積層フィルムを基材フィルムとして、該アルミニウム箔側の面上に、本発明の非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最表層となるように重ね合せ、ドライラミネート等で積層してもよい。
上記の積層体を使用し、非吸着性シーラントフィルムからなる層が最内層となるように製袋して、包装袋とすることができる。また、上記積層体を、非吸着性シーラントフィルム層を最内層とする蓋材として使用し、包装容器を製造することができる。
、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とする。
上記積層体を蓋材として使用する包装容器を製造するには、樹脂製容器の開口部に、非吸着性シーラントフィルム層の面が接するように積層体を重ね合せ、袋と同様にヒートシールすることによって行うことができる。
上記積層体よりなる包装袋や包装容器は、特に、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の包装のために、例えば、貼付剤の外袋として、または化粧水等の詰め替え用内容物に使用されるスタンディングパウチとして、好適に使用することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)ベース樹脂層として2軸延伸ナイロンフィルム(興人フィルム&ケミカルズ(株)製ボニールQ;厚さ15μm)を用意し、その一方の面上にポリウレタン系アンカーコート剤(三井化学(株)製タケラック/タケネート、A−3210/A−3075;配合比3/1)を版深20μmの斜線版を用いて塗工量0.4g/m2で塗布した。
(2)次いで、このアンカーコート剤塗布面上に、シール層として非晶性PET(東洋紡(株)製SI−173;ガラス転移点78℃)を押出しコーティングにより層厚30μmとなるように積層し、ベース樹脂層/アンカーコート剤層/シール層の層構成を有する本発明の非吸着性シーラントフィルムを製造した。
(3)一方、2軸延伸PETフィルム(東洋紡績(株)製E5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H−7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、厚さ7μmのアルミ箔(日本製箔(株)製 A1N30H−O)と貼り合せ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、基材フィルムとした。(4)上記基材フィルムのアルミ箔を設けた面に接着剤を同様に塗布し、上記(2)で製造した本発明のシーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合せ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、積層体を製造した。得られた積層体の層構成は以下のとおりであった:
基材フィルム層(PETフィルム/接着剤層/アルミ箔)/接着剤層/ベース樹脂層/アンカーコート剤層/シール層
シール層の形成において、非晶性PETの代わりに低密度ポリエチレン樹脂(LDPE;日本ポリエチレン(株)製ノバテックLC522)を使用した以外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルム及び積層体を製造した。
シール層の形成において、非晶性PETの代わりに直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE;住友化学(株)製 スミカセンCW8003)を使用した以外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルム及び積層体を製造した。
(1)吸着性試験(l−メントール)
実施例及び比較例のシーラントフィルムを10cm×10cm四方に切り取り、その初期重量を測定した。
容積10リットルのステンレス容器内にl−メントール固体(純正化学(株))10gを入れ、蓋をして容器内をl−メントール蒸気で満たし、その中に切り取ったシーラントフィルムを吊り下げて、40℃で7日間保管した。
保管後、シーラントフィルムを取り出して重量を測定し、初期重量との差からl−メントールの吸着量を算出した。
実施例及び比較例のシーラントフィルムを5cm×5cm四方に切り取り、その初期重量を測定した。
シール層側の面に酢酸dl−α−トコフェロール溶液(関東化学(株))を塗布し、ガラスシャーレに塗布面を下にして密着させ、蓋をして40℃で7日間保管した。
保管後、シーラントフィルムを取り出して塗布面のdl−α−トコフェロール溶液を除去した後、重量を測定し、初期重量との差から酢酸dl−α−トコフェロールの吸着量を算出した。
実施例及び比較例のシーラントフィルムを、ベース樹脂層を外側にして重ね合せ、ヒートシーラー(テスター産業(株)製TP−701S HEAT SEAL TESTER)で、160℃で1秒間、圧力1kgf/cm2でヒートシールした。
次いで、これを幅15mmの短冊状に切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製 RTC−1310A)を用いて圧着されたシール部を引き剥がし、シール強度を測定した。このときの引張速度は300mm/分とした。
以下の表に結果を示す。
B.基材フィルム
C.接着剤層
1.ベース樹脂層
2.シール層
3.易接着層
4.アンカーコート剤層
5.樹脂フィルム
6.接着剤層
7.アルミニウム箔
Claims (4)
- 少なくとも、ベース樹脂層と、シール層とからなる非吸着性シーラントフィルムであって、
該シール層は、ガラス転移点が70〜90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。 - 前記ベース樹脂層の積層面に、易接着処理がなされていることを特徴とする、請求項1に記載の非吸着性シーラントフィルム。
- 前記シール層を前記ベース樹脂層上に押出コーティングする前に、該ベース樹脂層の積層面にアンカーコート剤を塗布することを特徴とする、請求項1または2に記載の非吸着性シーラントフィルム。
- 少なくとも、基材フィルム層と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非吸着性シーラントフィルムからなる層と、からなる包装材用積層体。
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