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JP2015065796A - 蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法 - Google Patents

蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法 Download PDF

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JP2015065796A JP2013199746A JP2013199746A JP2015065796A JP 2015065796 A JP2015065796 A JP 2015065796A JP 2013199746 A JP2013199746 A JP 2013199746A JP 2013199746 A JP2013199746 A JP 2013199746A JP 2015065796 A JP2015065796 A JP 2015065796A
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淳史 小澤
中村 和夫
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Abstract

【課題】簡易な構成によってセルの電圧を迅速に均等化する蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法を提供する。
【解決手段】直列接続された複数のセルと、直列接続された複数のリアクタンス素子と、各セルと各リアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインと、各接続ラインを個別に開閉する複数のスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御して前記セル間でエネルギーを授受させる蓄電制御装置と、を備えること。
【選択図】図1

Description

本開示は、蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法に関する。より詳しくは、セルに電気を蓄える蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法に関する。
従来から、直列接続された複数のセルの電圧を均等化する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、n個の蓄電セルを直列接続して構成される第1の直列回路と、n−1個の蓄電セルを直列接続して構成される第2、第3の直列回路と、第1、第2のスイッチ群とを備える電圧均等化回路が提案されている。
特開2012−257440号公報
直列接続された複数のセルの電圧を均等化する構成は、簡易でありながら各セルの電圧を迅速に均等化することが望ましい。
本開示は、簡易な構成によってセルの電圧を迅速に均等化する蓄電装置、蓄電制御装置および蓄電制御方法を提供する。
本開示に係る蓄電装置は、直列接続された複数のセルと、直列接続された複数のリアクタンス素子と、各セルと各リアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインと、各接続ラインを個別に開閉する複数のスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御して前記セル間でエネルギーを授受させる蓄電制御装置と、を備えるものである。
前記蓄電制御装置は、前記複数のセルのうちの一連のセルの両端に配置された接続ラインの第1の対を閉路させ、その後、前記接続ラインの第1の対を開路させ、かつ、前記一連のセルのうちの対象セルの両端に配置された接続ラインの第2の対を閉路させてもよい。
この場合、前記蓄電制御装置は、前記複数のセルの全部または一部を前記一連のセルとして選択し、複数の前記対象セルを選択してもよい。
あるいは、各リアクタンス素子は、定数が互いに同一であってもよい。この場合、各リアクタンス素子は、コンデンサを含んでもよい。この場合、各リアクタンス素子は、リアクトルを含んでもよい。この場合、前記蓄電制御装置は、前記リアクタンス素子と前記セルとの接続を前記リアクタンス素子の共振周波数で切り替えてもよい。
前記リアクタンス素子の共振周波数は、交流インピーダンス法で測定された前記セルの内部インピーダンスのコールコールプロットにおける虚数成分が0となる場合の周波数であってもよい。
前記スイッチング素子の個数及び前記接続ラインの個数は、前記セルの個数に1を加えた個数であってもよい。
前記蓄電制御装置は、前記対象セルを選択した上で前記接続ラインの第1の対を閉路させてもよい。この場合、前記蓄電制御装置は、電圧が最小のセルを含む前記対象セルを選択してもよい。
本開示に係る蓄電制御装置は、直列接続された複数のセルと直列接続された複数のリアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインを、複数のスイッチング素子を制御して個別に開閉させて、前記セル間でエネルギーを授受させるものである。
本開示に係る蓄電制御方法は、直列接続された複数のセルと直列接続された複数のリアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインを、複数のスイッチング素子を制御装置によって制御して個別に開閉させて、前記セル間でエネルギーを授受させる。
本開示によれば、簡易な構成によってセルの電圧を迅速に均等化することができる。
本開示の第1の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の蓄電装置の動作例を模式的に示す図であり、Aは、スイッチング素子の第1の制御状態を示し、Bは、スイッチング素子の第2の制御状態を示し、Cは、スイッチング素子の第3の制御状態を示す図である。 本開示の第1の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の構成を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図であり、Aは、スイッチング素子の第1の制御状態を示し、Bは、スイッチング素子の第2の制御状態を示し、Cは、スイッチング素子の第3の制御状態を示す図である。 本開示の第2の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第2の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図であり、Aは、接続ラインの第1の対の閉路状態を示し、Bは、接続ラインの第1の対の開路状態を示し、Cは、接続ラインの第2の対の閉路状態を示す図である。 本開示の第2の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図であり、Aは、接続ラインの第1の対の閉路状態を示し、Bは、接続ラインの第1の対の開路状態を示し、Cは、接続ラインの第2の対の閉路状態を示す図である。 本開示の第3の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第3の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第3の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第4の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第4の実施形態の第1の比較例の蓄電装置の構成を模式的に示す図である。 本開示の第4の実施形態の第2の比較例の蓄電装置の構成を模式的に示す図である。 本開示の第4の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図であり、Aは、接続ラインの第1の対の閉路状態を示し、Bは、接続ラインの第2の対の閉路状態を示す図である。 本開示の第5の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第5の実施形態の蓄電装置の動作例を示すタイムチャート 本開示の第5の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第5の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の構成例を説明するためのセルの放電曲線図である。 本開示の第6の実施形態の蓄電装置の構成例を説明するためのコールコールプロット図である。 本開示の第6の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の構成例を説明するためのコールコールプロット図である。
以下、本開示を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する複数の実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。また、各実施形態において、互いに対応する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施形態
(直列接続された複数のセルと複数のリアクタンス素子とを一対一対応で接続する複数の接続ラインを備える蓄電装置の例)
2.第1の実施形態の第1の変形例
(直列接続されたセルの数が多い蓄電装置の例)
3.第2の実施形態
(一連のセルからリアクタンス素子を介して対象セルにエネルギーを供給する蓄電装置の例)
4.第2の実施形態の第1の変形例
(全部のセルを一連のセルとして選択し、複数の対象セルを選択する蓄電装置の例)
5.第2の実施形態の第2の変形例
(一部のセルを一連のセルとして選択し、複数の対象セルを選択する蓄電装置の例)
6.第3の実施形態
(対象セルを選択した上で接続ラインの第1の対を閉路させる蓄電装置の例)
7.第3の実施形態の第1の変形例
(電圧が最小のセルを対象セルに含める蓄電装置の例)
8.第4の実施形態
(リアクタンス素子がコンデンサである蓄電装置の例)
9.第4の実施形態の第1の変形例
(各リアクタンス素子の定数が同一である蓄電装置の例)
10.第5の実施形態
(リアクタンス素子が直列接続されたリアクトルおよびコンデンサである蓄電装置の例)
11.第5の実施形態の第1の変形例
(セルとリアクタンス素子との接続をリアクタンス素子の共振周波数で切り替える蓄電装置の例)
12.第5の実施形態の第2の変形例
(実質的にフラットな放電特性を有するセルを適用した蓄電装置の例)
13.第6の実施形態
(リアクタンス素子がコールコールプロットに適応した共振周波数を有する蓄電装置の例)
14.第6の実施形態の第1の変形例
(充電率ごとのコールコールプロットを考慮して直流共振回路の共振周波数が設定された蓄電装置の例)
<1.第1の実施形態>
[装置の構成例]
図1は、本実施形態の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。図1に示すように、蓄電装置100は、複数のセル110a、110b、複数のリアクタンス素子120a、120b、複数の接続ライン160a、160b、160c、複数のスイッチング素子140a、140b、140c、及び、蓄電制御装置130を備える。リアクタンス素子120a、120bの個数は、セル110a、110bの個数と同数である。スイッチング素子140a〜140cの個数は、接続ライン160a〜160cの個数と同数である。
[セル110a、110b]
図1に示すように、各セル110a、110bは、直列接続されている。各セル110a、110bは、いずれも充放電可能とされている。すなわち、各セル110a、110bは、充電の際には、不図示の充電装置から供給された充電電流を電荷として蓄積し、放電の際には、蓄積された電荷を放電電流として不図示の負荷に供給することができる。ここで、セル全体の正極側の端部すなわち正極端子から数えてi番目(ただし、iは1〜セルの総数)のセルのことを、i番目のセルと定義する。図1の例では、1番目のセル110aの負極に2番目のセル110bの正極が接続されることで、両セル110a、110bが直列接続されている。
セル110a、110bの個数は、複数であれば図1に示すような2つに限定されない。各セル110a、110bは、同一規格で構成されていてもよく、または、別規格で構成されていてもよい。各セル110a、110bは、それぞれが単電池および組電池のいずれであってもよい。各セル110a、110bをそれぞれ組電池とする場合、組電池内での接続は、直列または並列もしくはこれらの双方であってもよい。
[リアクタンス素子120a、120b]
図1に示すように、各リアクタンス素子120a、120bは、直列接続されている。各リアクタンス素子120a、120bは、容量性リアクタンス又は誘導性リアクタンス若しくはこれらの双方を有していてもよい。各リアクタンス素子120a、120bは、抵抗成分を有することを除外しない。ここで、リアクタンス素子全体の正極側の端部から数えてj番目(ただし、jは1〜リアクタンス素子の総数)のセルのことを、j番目のリアクタンス素子と定義する。図1の例では、1番目のリアクタンス素子120aの負極に2番目のリアクタンス素子120bの正極が接続されることで、両リアクタンス素子120a、120bが直列接続されている。
[接続ライン160a〜160c]
各接続ライン160a〜160cは、各セル110a、110bと各リアクタンス素子120a、120bとを一対一対応で並列接続する。ここで、正極側から数えてk番目(ただし、kは1〜接続ラインの総数)の接続ラインのことを、k番目の接続ラインと定義する。
図1に示すように、1番目の接続ライン160aは、セル側の端部が1番目のセル110aの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が1番目のリアクタンス素子120aにおける正極側の端部に接続される。2番目の接続ライン160bは、セル側の端部が1番目のセル110aの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が1番目のリアクタンス素子120aにおける負極側の端部に接続される。すなわち、1番目のセル110aと、これに対応する1番目のリアクタンス素子120aとは、一対の接続ライン160a、160bによって一対一対応で並列接続される。
また、2番目の接続ライン160bは、セル側の端部が2番目のセル110bの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が2番目のリアクタンス素子120bにおける正極側の端部に接続される。3番目の接続ライン160cは、セル側の端部が2番目のセル110bの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が2番目のリアクタンス素子120bにおける負極側の端部に接続される。すなわち、2番目のセル110bと、これに対応する2番目のリアクタンス素子120bとは、一対の接続ライン160b、160cによって一対一対応で並列接続される。
[スイッチング素子140a〜140c]
図1に示すように、各スイッチング素子140a〜140cは、各スイッチング素子140a〜140cに対応する接続ライン160a〜160c上にそれぞれ配置されている。各スイッチング素子140a〜140cは、オフ状態またはオン状態になることで、対応する接続ライン160a〜160cを開閉すなわち切断状態または接続状態にする。各接続ライン160a〜160cの開閉は、スイッチング素子140a〜140c毎に個別に行われる。ここで、正極側から数えてk番目のスイッチング素子のことを、k番目のスイッチング素子と定義する。
スイッチング素子140a〜140cの態様は限定されず、例えば、スイッチング素子140a〜140cを半導体素子等によって構成してもよい。半導体素子は、トランジスタ等であってもよい。トランジスタは、電界効果トランジスタ等であってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等であってもよい。電界効果トランジスタを採用することで、消費電力を抑えることができる。
[蓄電制御装置130]
蓄電制御装置130は、各スイッチング素子140a〜140cの動作を制御して、セル110a、110b間でエネルギーを授受させる。図1には、蓄電制御装置130がスイッチング素子140a〜140cの動作を制御する構成であることが、スイッチング素子140a〜140cを囲む破線枠および蓄電制御装置130から破線枠に向かう破線矢印で表されている。蓄電制御装置130は、各スイッチング素子140a〜140cに制御信号を出力することによって各スイッチング素子140a〜140cの動作を制御してもよい。制御信号は、電界効果トランジスタのゲート電圧等であってもよい。
蓄電制御装置130は、電子装置等によって構成してもよい。この場合、電子装置は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置等を備えてもよい。ROMには、蓄電制御装置130の機能を実現するためのプログラムすなわちコンピュータを蓄電制御装置130として機能させるプログラムを格納してもよい。また、ROMには、演算処理装置がプログラムを実行する際に参照するデータを格納してもよい。演算処理装置は、ROMに格納されたプログラムを実行することで、蓄電制御装置130の機能を実現してもよい。RAMは、演算処理装置の作業領域等として利用してもよい。ただし、このような構成に限定されない。
[装置の動作例]
蓄電装置100の動作例を以下に述べる。以下の動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。ただし、本開示に係る蓄電制御方法は、蓄電装置100以外の構成で具現化されてもよい。
本実施形態では、蓄電制御装置130によってスイッチング素子140a〜140cが図2A〜図2Cの如く制御されることで、セル110a、110b間でエネルギーが授受される。
具体的には、図2Aには、スイッチング素子140a〜140cの第1の制御状態が示されている。第1の制御状態では、1番目のスイッチング素子140aと、3番目のスイッチング素子140cとがオン状態に制御され、2番目のスイッチング140bがオフ状態に制御される。換言すれば、第1の制御状態では、1番目の接続ライン160aと3番目の接続ライン160cとが閉路すなわち接続状態にされ、2番目の接続ライン160bが開路すなわち切断状態にされる。これにより、全てのセル110a、110bすなわち直列接続されたセル群と、全てのリアクタンス素子120a、120bすなわち直列接続されたリアクタンス素子群とが、閉路状態の接続ライン160a、160cを介して並列接続される。このような第1の制御状態では、全てのセル110a、110bから全てのリアクタンス素子120a、120bにエネルギーが移動され、移動されたエネルギーは、各リアクタンス素子120a、120bに蓄積される。
図2Bには、スイッチング素子140a〜140cの第2の制御状態が示されている。第2の制御状態では、全てのスイッチング素子140a〜140cがオフ状態に制御される。第1の制御状態からの変化は、第1の制御状態においてオン状態であった1番目のスイッチング素子140aおよび3番目のスイッチング素子140cがオフ状態に切り替えられたことである。すなわち、第2の制御状態では、全ての接続ライン160a〜160cが開路される。これにより、第2の制御状態では、全てのセル110a、110bと全てのリアクタンス素子120a、120bとが切断される。第2の制御状態では、第1の制御状態において各リアクタンス素子120a、120bに蓄積されたエネルギーが、各リアクタンス素子120a、120bに蓄積され続ける。
図2Cには、スイッチング素子140a〜140cの第3の制御状態が示されている。第3の制御状態では、2番目のスイッチング素子140bおよび3番目のスイッチング素子140cがオン状態に制御され、1番目のスイッチング素子140aがオフ状態に制御される。第2の制御状態からの変化は、第2の制御状態においてオフ状態であった2番目のスイッチング素子140bおよび3番目のスイッチング素子140cがオン状態に切り替えられたことである。すなわち、第3の制御状態では、2番目の接続ライン160bおよび3番目の接続ライン160cが閉路され、1番目の接続ライン160aが開路される。これにより、第3の制御状態では、2番目のセル110bと2番目のリアクタンス素子120bとが並列接続される。第3の制御状態では、2番目のリアクタンス素子120bに蓄積されているエネルギーが、2番目のセル110bに移動される。このとき、1番目のリアクタンス素子120aに蓄積されているエネルギーは変化しない。
以上を総括すると、図2A〜図2Cでは、全てのセル110a、110bから全てのリアクタンス素子120a、120bにエネルギーが移動された後に、2番目のセル110bに2番目のリアクタンス素子120bからエネルギーが移動される。すなわち、セル110a、110b全体のエネルギーがリアクタンス素子120a、120bに分配された後に、1番目のセル110aよりも保有エネルギーが小さい2番目のセル110bに、2番目のリアクタンス素子120bからエネルギーが供給される。エネルギーの供給後は、両セル110a、110b間のエネルギーのばらつきが低減もしくは解消される。ただし、以上の動作はあくまで一例であり、本開示の範囲を限定するものではない。例えば、蓄電装置100は、2番目のセル110bが保有するエネルギーが1番目のセル110aが保有するエネルギーより大きい場合にも有効に動作することができる。
本実施形態によれば、セル110a、110bとリアクタンス素子120a、120bとを一対一対応で並列接続する接続ライン160a〜160cを、スイッチング素子140a〜140cで個別に開閉させてセル間でエネルギーを授受させることができる。本実施形態によれば、保有するエネルギーが大きいセルと保有するエネルギーが小さいセルとの全体のエネルギーを複数のリアクタンス素子に分配し、分配されたエネルギーを、保有するエネルギーが小さいセルに供給することができる。これにより、電圧均等化処理すなわちアクティブセルバランス処理を簡易な構成によって迅速に行うことができる。なお、隣接するセル間でのエネルギーの授受に特化した構成では、特にセル数が多い場合に電圧均等化処理が遅くなる場合があるが、本開示では、そのような不具合を回避することができる。また、本開示によれば、複数のセル全体のエネルギーを複数のリアクタンス素子に分配して、分配されたエネルギーを対象セルに供給するという発想に基づき、スイッチング素子の個数が削減された低コストの回路構成による迅速な電圧均等化処理を実現できる。
<2.第1の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
図3は、本実施形態の第1の変形例の蓄電装置100の構成を模式的に示す全体図である。本変形例の蓄電装置100は、図1の蓄電装置100に対して、セル、リアクタンス素子、接続ラインおよびスイッチング素子の個数が相違する。以下、相違点を詳細に説明する。
[セル110a〜110f]
本変形例の蓄電装置100は、1番目、2番目のセル110a、110bに加えて、3番目のセル110c、4番目のセル110d、5番目のセル110eおよび6番目のセル110fを備える。各セル110a〜110fは、番号順に直列接続されている。
[リアクタンス素子120a〜120f]
本変形例の蓄電装置100は、1番目、2番目のリアクタンス素子120a、120bに加えて、3番目のリアクタンス素子120c、4番目のリアクタンス素子120d、5番目のリアクタンス素子120eおよび6番目のリアクタンス素子120fを備える。各リアクタンス素子120a〜120fは、番号順に直列接続されている。
[接続ライン160a〜160g]
本変形例の蓄電装置100は、1番目〜3番目の接続ライン160a〜160cに加えて、4番目の接続ライン160d、5番目の接続ライン160e、6番目の接続ライン160fおよび7番目の接続ライン160gを備える。
3番目の接続ライン160cは、セル側の端部が3番目のセル110cの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が3番目のリアクタンス素子120cにおける正極側の端部に接続される。4番目の接続ライン160dは、セル側の端部が3番目のセル110cの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が3番目のリアクタンス素子120cにおける負極側の端部に接続される。すなわち、3番目のセル110cと、これに対応する3番目のリアクタンス素子120cとは、一対の接続ライン160c、160dによって一対一対応で並列接続される。
4番目の接続ライン160dは、セル側の端部が4番目のセル110dの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が4番目のリアクタンス素子120dにおける正極側の端部に接続される。5番目の接続ライン160eは、セル側の端部が4番目のセル110dの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が4番目のリアクタンス素子120dにおける負極側の端部に接続される。すなわち、4番目のセル110dと、これに対応する4番目のリアクタンス素子120dとは、一対の接続ライン160d、160eによって一対一対応で並列接続される。
5番目の接続ライン160eは、セル側の端部が5番目のセル110eの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が5番目のリアクタンス素子120eにおける正極側の端部に接続される。6番目の接続ライン160fは、セル側の端部が5番目のセル110eの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が5番目のリアクタンス素子120eにおける負極側の端部に接続される。すなわち、5番目のセル110eと、これに対応する5番目のリアクタンス素子120eとは、一対の接続ライン160e、160fによって一対一対応で並列接続される。
6番目の接続ライン160fは、セル側の端部が6番目のセル110fの正極に接続され、リアクタンス素子側の端部が6番目のリアクタンス素子120fにおける正極側の端部に接続される。7番目の接続ライン160gは、セル側の端部が6番目のセル110fの負極に接続され、リアクタンス素子側の端部が6番目のリアクタンス素子120fにおける負極側の端部に接続される。すなわち、6番目のセル110fと、これに対応する6番目のリアクタンス素子120fとは、一対の接続ライン160f、160gによって一対一対応で並列接続される。
[スイッチング素子140a〜140g]
本変形例の蓄電装置100は、1番目〜3番目のスイッチング素子140a〜140cに加えて、4番目のスイッチング素子140d、5番目のスイッチング素子140e、6番目のスイッチング素子140fおよび7番目のスイッチング素子140gを備える。
4番目のスイッチング素子140dは、4番目の接続ライン160d上に配置されており、オフ状態またはオン状態になることで、4番目の接続ライン160dを開閉する。5番目のスイッチング素子140eは、5番目の接続ライン160e上に配置されており、オフ状態またはオン状態になることで、5番目の接続ライン160eを開閉する。6番目のスイッチング素子140fは、6番目の接続ライン160f上に配置されており、オフ状態またはオン状態になることで、6番目の接続ライン160fを開閉する。7番目のスイッチング素子140gは、7番目の接続ライン160g上に配置されており、オフ状態またはオン状態になることで、7番目の接続ライン160gを開閉する。
[蓄電制御装置130]
蓄電制御装置130は、各スイッチング素子140a〜140gの動作を制御して、セル110a〜110f間でエネルギーを授受させる。蓄電制御装置130は、各スイッチング素子140a〜140gに制御信号を出力することによって各スイッチング素子140a〜140gの動作を制御してもよい。
[装置の動作例]
本変形例の蓄電装置100の動作例を以下に述べる。以下の動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
本変形例では、蓄電制御装置130によってスイッチング素子140a〜140gが図4A〜図4Cの如く制御されることで、セル110a〜110f間でエネルギーが授受される。
具体的には、図4Aには、スイッチング素子140a〜140gの第1の制御状態が示されている。第1の制御状態では、1番目のスイッチング素子140aと、7番目のスイッチング素子140gとがオン状態に制御され、2番目〜6番目のスイッチング140b〜140fがオフ状態に制御される。すなわち、第1の制御状態では、1番目の接続ライン160aと7番目の接続ライン160gとが閉路され、2番目〜6番目の接続ライン160b〜160fが開路される。これにより、第1の制御状態では、全てのセル110a〜110fと全てのリアクタンス素子120a〜120fとが、閉路状態の接続ライン160a、160gを介して並列接続される。第1の制御状態では、全てのセル110a〜110fから全てのリアクタンス素子120a〜120fにエネルギーが移動され、移動されたエネルギーは、各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積される。
図4Bには、スイッチング素子140a〜140gの第2の制御状態が示されている。第2の制御状態では、全てのスイッチング素子140a〜140gがオフ状態に制御される。第1の制御状態からの変化は、第1の制御状態においてオン状態であった1番目のスイッチング素子140aおよび7番目のスイッチング素子140gがオフ状態に切り替えられたことである。すなわち、第2の制御状態では、全ての接続ライン160a〜160gが開路される。これにより、第2の制御状態では、全てのセル110a〜110fと全てのリアクタンス素子120a〜120fとが切断される。第2の制御状態では、第1の制御状態において各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積されたエネルギーが、各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積され続ける。
図4Cには、スイッチング素子140a〜140gの第3の制御状態が示されている。第3の制御状態では、6番目のスイッチング素子140fおよび7番目のスイッチング素子140gがオン状態に制御され、1番目〜5番目のスイッチング素子140a〜140eがオフ状態に制御される。第2の制御状態からの変化は、第2の制御状態においてオフ状態であった6番目のスイッチング素子140fおよび7番目のスイッチング素子140gがオン状態に切り替えられたことである。すなわち、第3の制御状態では、6番目の接続ライン160fおよび7番目の接続ライン160gが閉路され、1番目〜5番目の接続ライン160a〜160eが開路される。これにより、第3の制御状態では、6番目のセル110fと6番目のリアクタンス素子120fとが並列接続される。第3の制御状態では、6番目のリアクタンス素子120fに蓄積されているエネルギーが、6番目のセル110fに移動される。
以上を総括すると、本変形例では、全てのセル110a〜110fから全てのリアクタンス素子120a〜120fにエネルギーが移動された後に、6番目のセル110fに6番目のリアクタンス素子120fからエネルギーが移動される。すなわち、セル110a〜110f全体のエネルギーがリアクタンス素子120a〜120fに分配された後に、保有エネルギーが相対的に小さい6番目のセル110fに、6番目のリアクタンス素子120fに分配されたエネルギーが供給される。ただし、以上の動作はあくまで一例であり、本開示の範囲を限定するものではない。例えば、蓄電装置100は、6番目のセル110f以外のセルが保有するエネルギーが相対的に小さい場合にも有効に動作することができる。
本変形例によれば、図1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、多直列のセル間の電圧均等化処理を簡易な構成によって迅速に行うことができ、または、電圧均等化処理の態様の自由度を向上させることができる。
<3.第2の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、図1および図3の蓄電装置100に対して、蓄電制御装置130の制御内容が特定されている。
具体的には、本実施形態の蓄電制御装置130は、複数のセルのうちの一連のセルの両端に配置された接続ラインの第1の対を閉路させる構成である。ここで、一連のセルは、連続する2以上のセルであれば、全てのセルに限定されない。したがって、接続ラインの第1の対は、図4Aに示した両端の接続ライン160a、160gに限定されない。また、本実施形態の蓄電制御装置130は、接続ラインの第1の対を閉路させた後、接続ラインの第1の対を開路させ、かつ、前記一連のセルのうちの対象セルの両端に配置された接続ラインの第2の対を閉路させる構成である。対象セルは、エネルギーを受け取る対象となるセルすなわち給電対象となるセルである。蓄電制御装置130は、接続ラインの第1の対のそれぞれに配置されたスイッチング素子を制御することで、接続ラインの第1の対を開閉する。蓄電制御装置130は、接続ラインの第2の対のそれぞれに配置されたスイッチング素子を制御することで、接続ラインの第2の対を開閉する。
蓄電制御装置130は、予め設定された選択基準にしたがって一連のセルを選択してもよい。一連のセルの中には、対象セルへのエネルギー供給の実効性を確保するために、対象セルよりも電圧が大きいセルが含まれることが望ましい。蓄電制御装置130は、全てのセルのうちの電圧が最大のセルを含む一連のセルを選択すれば、より効率的な電圧均等化処理が可能となる。蓄電制御装置130は、一連のセルの選択結果を、例えばセルの番号等のセルの識別情報と対応付けて蓄電制御装置130の記憶領域に記録してもよい。
蓄電制御装置130は、接続ラインの第1の対を閉路させる際に、例えば、予め記憶領域に記憶されているセルとスイッチング素子との対応関係を示す情報と、一連のセルの選択結果とに基づいて、オン状態に切り替えるべきスイッチング素子を決定してもよい。セルとスイッチング素子との対応関係は、セルと、このセルの正極および負極に接続されたスイッチング素子との関係であってもよい。また、セルとスイッチング素子との対応関係を示す情報は、セルの識別情報と、セルに対応するスイッチング素子の識別情報とが紐づけられた情報であってもよい。
対象セルは、予め設定された選択基準にしたがって選択されたセルであってもよい。蓄電制御装置130は、接続ラインの第2の対を閉路させる際に、例えば、予め記憶領域に記憶されているセルとスイッチング素子との対応関係と、対象セルの識別情報とに基づいて、オン状態に切り替えるべきスイッチング素子を決定してもよい。
[装置の動作例]
図5は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図5の動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
説明の便宜上、図5の初期状態では、全てのスイッチング素子がオフ状態すなわち全ての接続ラインが開路状態であることで、全てのセルがリアクタンス素子から切断された状態であるとする。
そして、初期状態から、先ず、図5のステップ51(S51)において、蓄電制御装置130により、一連のセルを選択する。
次いで、ステップ52(S52)において、蓄電制御装置130により、ステップ51(S51)において選択された一連のセルに対応する接続ラインの第1の対を、この第1の対に対応するスイッチング素子をオン状態に切り替えることで閉路する。
ステップ52(S52)により、一連のセルが、閉路された接続ラインの第1の対を介して、一連のセルに対応する一連のリアクタンス素子に並列接続される。そして、一連のセルから一連のリアクタンス素子に電流が流れて、一連のセルから一連のリアクタンス素子にエネルギーが移動される。移動されたエネルギーは、各リアクタンス素子の定数に応じて各リアクタンス素子に蓄積される。
次いで、ステップ53(S53)において、蓄電制御装置130により、ステップ52(S52)において閉路された接続ラインの第1の対を、この第1の対に対応するスイッチング素子をオフ状態に切り替えることで開路する。このとき、ステップ52(S52)において一連のリアクタンス素子に蓄積されたエネルギーは、各リアクタンス素子に蓄積され続ける。
次いで、ステップ54(S54)において、蓄電制御装置130により、一連のセルのうちの対象セルに対応する接続ラインの第2の対を、この第2の対に対応するスイッチング素子をオン状態に切り替えることで閉路する。
ステップ54(S54)により、対象セルのみが、閉路された接続ラインの第2の対を介して、対象セルに対応するリアクタンス素子に並列接続される。そして、対象セルに対応するリアクタンス素子から対象セルに電流が流れてエネルギーが移動される。
次いで、ステップ55(S55)において、蓄電制御装置130により、ステップ54(S54)において閉路された接続ラインの第2の対を、この第2の対に対応するスイッチング素子をオフ状態に切り替えることで開路する。その後は、電圧均等化処理を終了するか、または、必要に応じてステップ51(S51)もしくはステップ52(S52)に戻る。
本実施形態の蓄電装置100によれば、一連のセルから対応するリアクタンス素子群にエネルギーを引き渡して個々のリアクタンス素子に分配させた後に、対象セルが、対応するリアクタンス素子からこの素子に分配されたエネルギーを受け取ることができる。これにより、簡便な接続ラインの開閉動作による迅速な電圧均等化処理が可能となる。
<4.第2の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図5で説明した蓄電装置100に対して、蓄電制御装置130の制御内容が特定されている。
具体的には、本変形例の蓄電制御装置130は、全てのセルを一連のセルとして選択し、複数の対象セルを選択する構成である。すなわち、本変形例の蓄電制御装置130は、全てのセルから全てのリアクタンス素子にエネルギーを移動させた上で接続ラインの第1の対を開路させた後に、複数対の接続ラインの第2の対を閉路させる構成である。複数の対象セルは、互いに隣接する位置関係を有していてもよく、または、互いに離れた位置関係を有していてもよく、あるいは、これら双方の位置関係を有する対象セルが混在していてもよい。
[装置の動作例]
本変形例の蓄電装置100の動作例を以下に述べる。以下の動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
本変形例では、蓄電制御装置130によるスイッチング素子140a〜140gの制御によって接続ライン160a〜160gが図6A〜図6Cの如く開閉されることで、一連のセルと複数の対象セルとの間でエネルギーが授受される。
具体的には、図6Aには、接続ラインの第1の対の閉路状態が示されている。より具体的には、図6Aの状態は、1番目の接続ライン160aと7番目の接続ライン160gとの対すなわち組が、接続ラインの第1の対として閉路された状態である。図6Aの状態では、1番目〜6番目のセル110a〜110fから、1番目〜6番目のリアクタンス素子120a〜120fにエネルギーが移動され、移動されたエネルギーは、各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積される。
図6Bには、図6Aにおいて閉路された接続ラインの第1の対の開路状態が示されている。図6Bの状態では、図6Aの状態において各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積されたエネルギーが、各リアクタンス素子120a〜120fに蓄積され続ける。
図6Cには、接続ラインの第2の対の閉路状態が示されている。図6Cの状態は、2番目の接続ライン160bと3番目の接続ライン160cとの対が、接続ラインの第2の対として閉路された状態である。また、図6Cの状態は、5番目の接続ライン160eと7番目の接続ライン160gとの対も、接続ラインの第2の対として閉路された状態である。図6Cの状態では、2番目のリアクタンス素子120bに蓄積されているエネルギーが2番目のセル110bに移動される。また、図6Cの状態では、5番目および6番目のリアクタンス素子120e、120fに蓄積されているエネルギーが、5番目および6番目のセル110e、110fに移動される。
ただし、以上の動作は本変形例の一態様に過ぎず、本変形例の範囲を限定するものではない。例えば、蓄電装置100は、2番目、5番目および6番目のセル110b、110e、110f以外の複数のセルが対象セルとなる場合にも有効に動作することができる。
接続ラインの第1の対と接続ラインの第2の対とが共通の接続ラインを含まない場合等においては、蓄電制御装置130は、接続ラインの第1の対の開路と接続ラインの第2の対の閉路とを同時に行ってもよい。接続ラインの第1の対と接続ラインの第2の対とが共通の接続ラインを含む場合については、共通の接続ラインは開路状態を経由せずに閉路状態を継続させてもよい。
本変形例の蓄電装置100によれば、図5で説明した蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、対象セルの位置および個数の制約が緩和されたフレキシブルな電圧均等化処理が可能となる。あるいは、本変形例の蓄電装置100によれば、複数の対象セルにエネルギーを同時に移動させることができるので、電圧均等化処理の迅速性を有効に確保することが可能となる。
<5.第2の実施形態の第2の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図6で説明した蓄電装置100に対して、蓄電制御装置130の制御内容が相違する。
具体的には、本変形例の蓄電制御装置130は、全セルのうちの一部のセルを一連のセルとして選択し、複数の対象セルを選択する構成である。すなわち、本変形例の蓄電制御装置130は、連続する一部のセルから連続する一部のリアクタンス素子にエネルギーを移動させた上で接続ラインの第1の対を開路させた後に、複数対の接続ラインの第2の対を閉路させる構成である。全セルのうちの一部のセルを一連のセルとして選択する場合は、セル電圧に基づいて電圧均等化処理を要しないと判断されるセルを一連のセルから除外する場合等であってもよい。より具体的には、例えば、最大電圧セルと最小電圧セルに挟まれないセルを除外してもよいが、これに限定されない。
[装置の動作例]
本変形例の蓄電装置100の動作例を以下に述べる。以下の動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
本変形例では、蓄電制御装置130によるスイッチング素子140a〜140gの制御によって接続ライン160a〜160gが図7A〜図7Cの如く開閉されることで、一連のセルと複数の対象セルとの間でエネルギーが授受される。
具体的には、図7Aには、一連のセルとして選択された一部のセルに対応する接続ラインの第1の対が閉路された状態が示されている。より具体的には、図7Aの状態は、2番目〜6番目のセル110b〜110fが一連のセルに選択された状態である。また、図7Aの状態は、2番目の接続ライン160bと7番目の接続ライン160gとが、接続ラインの第1の対として閉路された状態である。
図7Aの状態では、一連のセル110b〜110fから、全体として、2番目〜6番目のリアクタンス素子120b〜120fにエネルギーが移動され、移動されたエネルギーは、各リアクタンス素子120b〜120fに蓄積される。
図7Bには、図7Aにおいて閉路された接続ラインの第1の対の開路状態が示されている。図7Bの状態では、図7Aの状態において一連のリアクタンス素子120b〜120fに蓄積されたエネルギーが、各リアクタンス素子120b〜120fに蓄積され続ける。
図7Cには、接続ラインの第2の対の閉路状態が示されている。図7Cの状態は、3番目の接続ライン160cと4番目の接続ライン160dとの対が、接続ラインの第2の対として閉路された状態である。また、図7Cの状態は、6番目の接続ライン160fと7番目の接続ライン160gとの対も、接続ラインの第2の対として閉路された状態である。図7Cの状態では、3番目のリアクタンス素子120cに蓄積されたエネルギーが3番目のセル110cに移動され、6番目のリアクタンス素子120fに蓄積されたエネルギーが、6番目のセル110fに移動される。
ただし、以上の動作は本変形例の一態様に過ぎず、本変形例の範囲を限定するものではない。例えば、一連のセルとして、最も負極側のセルを除く一連のセルや、最も正極側および最も負極側のセルを除く一連のセルが選択されてもよい。
本変形例の蓄電装置100によれば、図6の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、一連のセルの位置および個数の制約が緩和されたフレキシブルな電圧均等化処理が可能となる。
<6.第3の実施形態>
[装置の構成例]
図8は、本実施形態の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。本実施形態の蓄電装置100は、第2の実施形態の蓄電装置100に対して、蓄電制御装置130の構成が相違する。すなわち、蓄電制御装置130は、対象セルを選択した上で接続ラインの第1の対を閉路させる構成である。
具体的には、図8に示すように、蓄電装置100は、セル電圧監視部150を備える。また、図8に示すように、蓄電制御装置130は、対象セル選択部131およびスイッチ駆動決定部132を備える。
[セル電圧監視部150]
セル電圧監視部150は、各セル110a〜110fの電圧を監視する構成である。図8に示すように、セル電圧監視部150は、各セル110a〜110fの正極および負極に接続されており、各セル110a〜110fの端子間電圧を個別に監視する構成である。図8に示すように、各セル110a〜110fとセル電圧監視部150とを接続する配線170の数は、接続ライン160a〜160gと同数であってもよい。
セル電圧監視部150は、各セル110a〜110fの電圧の監視結果すなわち検出されたセル電圧を蓄電制御装置130に出力する。監視結果は、蓄電制御装置130側で監視結果に対応するセル110a〜110fを特定可能な態様で出力されてもよい。例えば、監視結果は、蓄電制御装置130におけるセル110a〜110f毎の入力端子に向けて出力されたり、セル110a〜110fの識別情報が対応付けられたりしてもよい。
セル電圧監視部150の態様は限定されず、セル110a〜110fの電圧を監視可能な種々の電子装置を採用することができる。電子装置は、集積回路等を含んでもよい。
[蓄電制御装置130]
[対象セル選択部131]
対象セル選択部131は、対象セルを選択する構成である。対象セル選択部131には、セル電圧監視部150から出力された監視結果が入力される。対象セル選択部131は、セル電圧監視部150から入力された監視結果に基づいて対象セルを選択する。
対象セル選択部131による対象セルの選択基準は限定されない。例えば、対象セル選択部131は、セル電圧が相対的に小さいすなわち低いセルを優先的に対象セルに選択してもよい。また、対象セル選択部131は、セル電圧が小さいセルの個数や位置に応じて、対象セルの個数や位置を決定してもよい。
[スイッチ駆動決定部132]
スイッチ駆動決定部132は、スイッチング素子140a〜140gの駆動方法、例えば、スイッチング素子140a〜140gに対するオン動作またはオフ動作の割り当て及び順序等を決定する構成である。また、スイッチ駆動決定部132は、決定されたスイッチング素子140a〜140gの駆動方法に従ってスイッチング素子140a〜140gを駆動する構成である。
スイッチ駆動決定部132は、対象セル選択部131による対象セルの選択結果を受けて、スイッチング素子140a〜140gの駆動方法を決定する。つまり、スイッチ駆動決定部132は、対象セルが選択された上で、一連のセルに対応するスイッチング素子すなわち接続ラインの第1の対に対応するスイッチング素子を、オン状態に切り替える構成である。スイッチ駆動決定部132は、スイッチング素子140a〜140gの駆動方法を決定する際には、各セル110a〜110fのいずれを一連のセルとして選択すべきかを判断してもよい。このような判断は、セル電圧監視部150の監視結果に基づいてもよい。スイッチ駆動決定部132が常に全てのセルを一連のセルに選択する構成である場合には、スイッチ駆動決定部132は、一連のセルとして選択すべきセルを判断しなくてもよい。スイッチ駆動決定部132は、決定された駆動方法に従った制御信号をスイッチング素子140a〜140gに出力してもよい。
対象セル選択部131およびスイッチ駆動決定部132は、ハードウェアまたはソフトウェアもしくはこれらの双方によって具現化してもよい。
[装置の動作例]
図9は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図9に示す動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
説明の便宜上、図9の初期状態では、電圧均等化処理は開始されておらず、全てのスイッチング素子140a〜140gがオフ状態、すなわち、全てのセル110a〜110fがリアクタンス素子120a〜120fから切断された状態とする。
そして、初期状態から、先ず、図9のステップ91(S91)において、セル電圧監視部150により、セル電圧を監視する。
次いで、ステップ92(S92)において、蓄電制御装置130により、ステップ91(S91)におけるセル電圧の監視結果に基づいて、電圧均等化処理を継続すべきか否かを判定する。そして、ステップ92(S92)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ93(S93)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ91(S91)に戻る。
次いで、ステップ93(S93)において、対象セル選択部131により、ステップ91(S91)におけるセル電圧の監視結果に基づいて対象セルを選択する。
次いで、ステップ94(S94)において、スイッチ駆動決定部132により、スイッチング素子140a〜140gの駆動方法を決定する。この決定は、ステップ93(S93)における対象セルの選択結果に基づく。
そして、ステップ95(S95)以降は、スイッチ駆動決定部132により、ステップ94(S94)において決定されたスイッチング素子140a〜140gの駆動方法にしたがってスイッチング素子140a〜140gを駆動する。具体的には、ステップ95(S95)においては、一連のセルに対応するスイッチング素子をオン状態に切り替えて、接続ラインの第1の対を閉路させる。
次いで、ステップ96(S96)においては、ステップ95(S95)においてオン状態に切り替えられた一連のセルに対応するスイッチング素子をオフ状態に切り替えて、接続ラインの第1の対を開路させる。
次いで、ステップ97(S97)においては、ステップ93(S93)において選択された対象セルに対応するスイッチング素子をオン状態に切り替えて、接続ラインの第2の対を閉路させる。
次いで、ステップ98(S98)においては、ステップ97(S97)においてオン状態に切り替えられた対象セルに対応するスイッチング素子をオフ状態に切り替えて、接続ラインの第2の対を開路させる。その後は、ステップ91(S91)に戻る。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第2の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。又は、本実施形態によれば、予め対象セルを選択することで、スイッチ駆動決定部132が一連のセルとして選択すべきセルを判断する構成の場合に、スイッチ駆動決定部132が、一連のセルに対象セルが含まれるように一連のセルを適切に選択することができる。
もしくは、本実施形態の蓄電装置100によれば、予め対象セルを選択することで、接続ラインの第1の対の閉路と接続ラインの第2の対の閉路との切り替えを、接続ラインの第1の対の開路後における対象セルの選択を待つことなく速やかに行うことができる。このように接続ラインの開閉動作の連続性を確保することは、後述の<11.第5の実施形態の第1の変形例>の実効性を確保することにも繋げることができる。
<7.第3の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図8の蓄電装置100に対して、対象セルを選択するための構成が特定されている。
具体的には、本変形例の蓄電制御装置130は、電圧が最小のセルを対象セルに含ませる構成である。本変形例の対象セル選択部131は、セル電圧監視部150の監視結果に基づいて、電圧が最小のセルを検知する構成である。また、本変形例の対象セル選択部131は、電圧が最小のセルを含む対象セルを選択する構成である。
対象セルは、電圧が最小のセルのみであってもよく、または、電圧が最小のセル以外のセルも含んでもよい。これ以外にも、対象セルの選択の態様は限定されない。例えば、電圧が最小の第1のセルと、第1のセルとの電位差が所定値以内の1又は2以上の第2のセルとが存在する場合、対象セル選択部131は、第1のセルと第2のセルとの双方を対象セルに選択してもよい。この場合、第1のセルと第2のセルとは、隣接する位置関係を有していてもよく、または、離れた位置関係を有していてもよい。
[装置の動作例]
図10は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図10に示す動作例は、本開示に係る蓄電制御方法の一実施形態を含む。
図10に示すように、本変形例では、図9におけるステップ93(S93)が、ステップ931(S931)およびステップ932(S932)によって具現化される。
具体的には、ステップ931(S931)では、対象セル選択部131により、セル電圧監視部150の監視結果に基づいて、電圧が最小のセルを検知する。
ステップ932(S932)では、対象セル選択部131により、ステップ931(S931)において検知された電圧が最小のセルを含む対象セルを選択する。対象セルを選択した後は、ステップ94(S94)に進む。
本変形例の蓄電装置100によれば、図8の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、電圧が最小のセルにエネルギーを受け取らせることで、更に効率的な電圧均等化処理が可能となる。
<8.第4の実施形態>
[装置の構成例]
図11は、本実施形態の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。本実施形態の蓄電装置100は、第1〜第3の実施形態の蓄電装置100に対して、リアクタンス素子およびスイッチング素子の構成が特定されている。以下、詳細に説明する。
[リアクタンス素子120a〜120b]
本実施形態におけるリアクタンス素子120a〜120fは、コンデンサ121である。リアクタンス素子120a〜120fは、一連のセルから移動されたエネルギーを電荷として蓄積する。
[スイッチング素子140a〜140g]
図11に示すように、各スイッチング素子140a〜140gは、寄生ダイオードの向きが互いに相反する一対のMOSFET141によって構成されている。各MOSFET141は、スイッチ駆動決定部132に接続されており、スイッチ駆動決定部132から制御信号の一例であるゲート電圧すなわちゲート・ソース間電圧が印加されることにより、オン状態またはオフ状態になる。同一のスイッチング素子を構成するMOSFET141同士は、直列接続されている。同一のスイッチング素子を構成するMOSFET141同士は、ドレイン電極同士が接続されている。このような構成によれば、寄生ダイオードによる電流の流れを防止して双方向の電流に対するスイッチ機能を発揮させることができる。MOSFET141は、図11に示すようなPチャンネル型に限定されず、nチャンネル型であってもよい。また、同一のスイッチング素子を構成するMOSFET141同士は、ソース電極同士が接続されていてもよい。
[装置の動作例]
本実施形態の蓄電装置100は、スイッチ駆動決定部132が、一連のセルに対応するスイッチング素子に対して例えばゲートしきい値電圧(絶対値)以上のゲート電圧(絶対値)を供給することで、一連のセルに対応するスイッチング素子をオン状態に切り替える。これにより、一連のセルから一連のリアクタンス素子に、接続ラインの第1の対を介して電流すなわち放電電流が流れ、各リアクタンス素子を構成するコンデンサに電荷が蓄積される。このようにして一連のセルから一連のリアクタンス素子にエネルギーが移動された後は、スイッチ駆動決定部132が、例えばゲート電圧(絶対値)をゲートしきい値電圧(絶対値)未満にすることで、一連のセルに対応するスイッチング素子をオフ状態に切り替える。そして、スイッチ駆動決定部132が、対象セルに対応するスイッチング素子をオン状態に切り替える。これにより、リアクタンス素子に蓄積されている電荷が、接続ラインの第2の対を介して、対象セルに電流すなわち充電電流として流れる。このようにして、リアクタンス素子から対象セルにエネルギーが移動される。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第1〜第3の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、コンデンサにより、セル110a〜110fの短絡の防止能力すなわち安全性が向上された電圧均等化処理が可能となる。
次に、本実施形態と同様にMOSFETをスイッチング素子に適用した蓄電装置の比較例を、図12および図13に示す。図12に示す第1の比較例の蓄電装置200は、隣接するセル210同士の間で、コンデンサ220を介してエネルギーを授受する構成である。図13に示す第2の比較例の蓄電装置300は、隣接の有無を問わず任意のセル310同士の間でコンデンサ320を介してエネルギーを授受する構成である。図12および図13を図11と比較すれば分かるように、両比較例の蓄電装置200、300とも、本実施形態の蓄電装置100に比べてスイッチング素子240、340の個数が増加している。具体的には、本実施形態の蓄電装置100では、スイッチング素子140a〜140gが7個であるのに対して、比較例の蓄電装置200、300では、スイッチング素子240、340が12個に増加している。また、比較例の蓄電装置200、300では、本実施形態の蓄電装置100に比較して接続ライン260、360の個数も増加している。
すなわち、本実施形態の蓄電装置100は、スイッチング素子140a〜140gおよび接続ライン160a〜160gの個数がセル110a〜110fの個数に1を加えた個数であり、比較例よりもスイッチング素子および接続ラインの数を減らすことができる。これにより、比較例よりもコストを削減することができる。また、本実施形態の蓄電装置100によれば、隣接するセル同士のエネルギーの授受を繰り返して電圧均等化処理を行う場合に比較して、電圧均等化処理を迅速に行うことができる。
<9.第4の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図11の蓄電装置100に対して各リアクタンス素子160a〜160fの定数が特定されている。
具体的には、本変形例において、各リアクタンス素子160a〜160fの定数すなわちコンデンサの静電容量は、互いに同一とされている。
[装置の動作例]
図14には、本変形例の蓄電装置100の動作例が模式的に示されている。具体的には、図14Aには、1番目のスイッチング素子140aおよび7番目のスイッチング素子140gのオン状態が示されている。すなわち、図14Aには、接続ラインの第1の対の閉路状態として、1番目の接続ライン160aと7番目の接続ライン160gとが閉路された状態が示されている。図14Bには、6番目のスイッチング素子140fおよび7番目のスイッチング素子140gのオン状態が示されている。すなわち、図14Bには、接続ラインの第2の対の閉路状態として、6番目の接続ライン160fと7番目の接続ライン160gとが閉路された状態が示されている。
図14Aに示すように、各セル110a〜110fの電圧をV1〜V6とした場合、各リアクタンス素子120a〜120fの電圧Vcは、各リアクタンス素子120a〜120fの定数が等しいことにより、(V1+V2+V3+V4+V5+V6)/6となる。すなわち、各リアクタンス素子120a〜120fの電圧は、各セル110a〜110fの平均電圧となる。図14では、V6<Vcと仮定する。
図14Bに示すように、リアクタンス素子120a〜120fよりも電圧が低い6番目のセル110fと、6番目のリアクタンス素子120fとが接続されることで、リアクタンス素子120fからセル110fにエネルギーが移動される。このとき、エネルギーが移動されるセル110fは、電圧が最小のセルであってもよく、または、リアクタンス素子120a〜120fよりも電圧が低ければ、電圧が最小のセル以外のセルであってもよい。
本変形例の蓄電装置100によれば、図11の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、各セルの平均的なエネルギーを授受させることで、効率的な電圧均等化処理が可能となる。
<10.第5の実施形態>
図15は、本実施形態の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。本実施形態の蓄電装置100は、図11の蓄電装置100に対して、リアクタンス素子の構成が相違する。以下、詳細に説明する。
[リアクタンス素子120a〜120b]
本実施形態におけるリアクタンス素子120a〜120fは、コンデンサ121およびリアクトル122すなわちインダクタである。リアクタンス素子120a〜120fは、LC直列共振回路を構成する。本実施形態の蓄電装置100は、コンデンサ121だけでなくリアクトル122にもエネルギーが蓄積される構成である。本実施形態の蓄電装置100は、リアクタンス素子120a〜120fの直列共振現象によって生じる共振電流を利用して、電圧均等化処理を行う構成である。
[装置の動作例]
本実施形態の蓄電装置100では、接続ラインの第1の対の閉路状態において、一連のセルから一連のリアクタンス素子に向かう共振電流すなわち放電電流が流れて、一連のリアクタンス素子にエネルギーが移動される。各リアクタンス素子120a〜120fの定数が互いに同一である場合、一連のリアクタンス素子に移動されたエネルギーは、一連のリアクタンス素子に均等に分配される。接続ラインの第2の対の閉路状態においては、リアクタンス素子から対象セルに向かう共振電流すなわち充電電流が流れて、対象セルにエネルギーが移動される。
図16に、共振電流の一例を模式的に示す。図16の横軸は時刻tであり、図16の縦軸は共振電流の電流値iである。図16では、放電電流の電流値を正、充電電流の電流値を負にとっている。図16における期間T1では、接続ラインの第1の対が閉路されていて、正弦波的に時間変化する放電電流が流れる。図16における期間T2では、接続ラインの第2の対が閉路されていて、正弦波的に時間変化する充電電流が流れる。
本実施形態の蓄電装置100によれば、図11の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、セル同士の電位差が少ない場合でも、リアクトル122を介してセル間でエネルギーを迅速に授受することができる。あるいは、本実施形態の蓄電装置100によれば、リアクタンス素子の直列共振現象を利用してセル間でエネルギーを効率的に授受することができる。
<11.第5の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図15の蓄電装置100に対して、セル110a〜110fとリアクタンス素子120a〜120fとの接続を切り替えるための構成が相違する。以下、詳細に説明する。
本変形例の蓄電制御装置130は、リアクタンス素子120a〜120fとセル110a〜110fとの接続をリアクタンス素子120a〜120fの共振周波数で切り替える構成である。すなわち、蓄電制御装置130は、一連のセルと一連のリアクタンス素子との接続と、対象セルと対象セルに対応するリアクタンス素子との接続とを共振周波数で切り替える構成である。
ここで、コンデンサ121の静電容量をC[F]、リアクトル122の自己インダクタンスをL[H]とすると、リアクタンス素子の共振周波数は1/{2π(L×C)1/2}[Hz]となる。各リアクタンス素子120a〜120fの定数すなわちLおよびCが互いに同一である場合、一連のセルに接続される一連のリアクタンス素子の共振周波数と、対象セルに接続されるリアクタンス素子の共振周波数とは等しい。一連のリアクタンス素子は、直列接続数をnとすると、合成インダクタンスがnLとなり、合成容量がC/nとなる。したがって、一連のリアクタンス素子の共振周波数は、1/{2π(n×L×C/n)1/2}となり、n×LとC/nとの積によってnが消去されるため、単数のリアクタンス素子の共振周波数1/{2π(L×C)1/2}と変わらない。
セルがリアクタンス素子に接続されてから切断されるまでの期間を接続切り替え周期Scと定義すると、接続切り替え周期Scは、π(L×C)1/2[s]となる。本変形例の蓄電制御装置130は、このような接続切り替え周期Sc毎にリアクタンス素子とセルとの接続を切り替える構成ということもできる。
蓄電制御装置130は、共振周波数や接続切り替え周期Scの情報が記憶され、当該記憶された情報に基づいて、接続の切り替えタイミングを割り出して動作する構成でもよい。
[装置の動作例]
図17は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図17では、先ず、ステップ171(S171)において、蓄電制御装置130により、一連のセルを一連のリアクタンス素子に接続させる。
次いで、ステップ172(S172)において、蓄電制御装置130により、リアクタンス素子の共振周波数に基づく接続の切り替えタイミングになったか否かを判定する。そして、ステップ172(S172)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ173(S173)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ172(S172)を繰り返す。
次いで、ステップ173(S173)において、蓄電制御装置130により、一連のセルを一連のリアクタンス素子から切断させる。
次いで、ステップ174(S174)において、蓄電制御装置130により、対象セルを対応するリアクタンス素子に接続させる。
次いで、ステップ175(S175)において、蓄電制御装置130により、リアクタンス素子の共振周波数に基づく接続の切り替えタイミングになったか否かを判定する。そして、ステップ175(S175)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ176(S176)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ175(S175)を繰り返す。
次いで、ステップ176(S176)において、蓄電制御装置130により、対象セルをリアクタンス素子から切断させる。
次いで、ステップ177(S177)において、蓄電制御装置130は、電圧均等化処理を終了すべき場合には処理を終了し、電圧均等化処理を継続すべき場合にはステップ171(S171)に戻る。電圧均等化処理を終了すべきか否かの判断は、ステップ177(S177)以前に行ってもよい。ステップ171(S171)に戻る場合には、セル電圧の監視結果等に基づいて、対象セルまたは一連のセルもしくはこれらの双方を再選択してもよい。
本変形例の蓄電装置100によれば、図15の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、エネルギーの授受に好適なタイミングでセルの接続を切り替えることができる。
<12.第5の実施形態の第2の変形例>
本変形例の蓄電装置100は、図15の蓄電装置100に対して、セルが特定されている。
具体的には、本変形例におけるセルは、実質的にフラットな放電特性を有するセルである。
実質的にフラットな放電特性の一例として、正極材がオリビン型リン酸鉄とされたリチウムイオン二次電池を1C放電した場合の放電曲線を図18に示す。図18の放電曲線は、横軸が、充電率の一例としてのSOC[%]であり、縦軸が、セルの端子電圧[V]である。図18の放電曲線は、充電率0%〜100%の区間のうちの5割以上に亘る一連の区間での電圧変化が0.25V以下となっている。より具体的には、図18の放電曲線は、充電率20%〜90%の区間における電圧変化が約0.1Vとなっている。図18の放電曲線は、放電開始直後は内部抵抗による電圧降下が大きいが、その後はフラットな特性が続くことから、直列接続で構成した組電池内における電圧のばらつきは小さくなる。セルは、オリビン型リン酸鉄を用いたリチウムイオン二次電池に限定されない。
ここで、蓄電装置100は、装置内の温度分布が比較的一様で、負荷電流も自動車などと比較すると変動が少ないため、セル間の電圧のばらつきは小さい。よって、蓄電装置100では、電圧均等化処理で大電流を使って高速にセル間電圧のばらつきを解消するよりも、少ない電流で無駄なくセルバランスを確保する方が望ましい。本変形例のような放電特性がフラットなセルを適用すれば、セルへの負担が軽減された少ない電流での電圧均等化処理を、LC直列共振回路によって迅速に行うことができる。実質的にフラットな放電特性を有するセルの使用は、リアクタンス素子がLC直列共振回路を構成する場合に限定されない。
<13.第6の実施形態>
本実施形態の蓄電装置100は、第1〜第5の実施形態の蓄電装置100に対して、リアクタンス素子の共振周波数が相違する。
具体的には、本実施形態におけるリアクタンス素子の共振周波数は、交流インピーダンス法で測定されたセルの内部インピーダンスのコールコールプロットにおける虚数成分が0となる場合の周波数である。
ここで、交流インピーダンス法では、セルに交流を印加して周波数を変化させながら、周波数毎の内部インピーダンスを測定する。コールコールプロットは、交流インピーダンス法の測定結果を図示する方法の1つである。コールコールプロットでは、内部インピーダンスの実数成分を横軸にとり、内部インピーダンスの虚数成分を縦軸にとった複素平面上に、交流インピーダンス法で求められた周波数毎のセルの内部インピーダンスをプロットする。
コールコールプロットの一例を図19に示す。図19では、内部インピーダンスの虚数成分が0となる場合の周波数が、fmin[Hz]となっている。この場合、fminが共振周波数となるようにリアクタンス素子を設計すればよい。具体的には、fmin=1/{2π×(L×C)1/2}を満足するように、リアクトル122の自己インダクタンスLおよびコンデンサ121の静電容量Cを選択すればよい。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第1〜第5の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、セルの内部インピーダンスを最小にすることで、エネルギーを更に効率的に授受することができる。
<14.第6の実施形態の第1の変形例>
本変形例の蓄電装置100は、図19を参照して説明した蓄電装置100に対して、リアクタンス素子の共振周波数の設定の態様が相違する。
本変形例の蓄電装置100を説明するためのコールコールプロットの一例を図20に模式的に示す。図20の横軸Z’は、セルの内部インピーダンスの実部であり、図20の縦軸Z”は、セルの内部インピーダンスの虚数部である。図20には、セルの充電率の一例としてのSOC(State of Charge)[%]ごとのコールコールプロットが示されている。図20のコールコールプロットは、FRA (Frequency Response Analyzer)によるセルの内部インピーダンスの測定結果に基づくプロットである。図20中の具体的な数値はあくまで一例であり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
図20に示すように、コールコールプロットは、SOCに応じて異なる場合がある。コールコールプロットにおける虚数成分が0となる場合の周波数fminがSOCに応じて異なる場合、fminをSOC毎に求め、求められたSOC毎のfminを総合的に考慮してリアクタンス素子の共振周波数を設定してもよい。例えば、SOC毎のfminの平均値を求め、この平均値が共振周波数となるようにリアクタンス素子を設計してもよい。
本変形例によれば、SOCの変化を加味したエネルギーの効率的な授受が可能となる。
上述の各実施形態および変形例は、これらを適宜組み合わせてもよい。
各実施形態および変形例に記載された作用効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の作用効果があってもよい。本開示は、各実施形態および変形例に記載された複数の作用効果のいずれか一つを奏すればよい。

また、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
(1)直列接続された複数のセルと、
直列接続された複数のリアクタンス素子と、
各セルと各リアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインと、
各接続ラインを個別に開閉する複数のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を制御して前記セル間でエネルギーを授受させる蓄電制御装置と、
を備える蓄電装置。
(2)前記蓄電制御装置は、前記複数のセルのうちの選択された一連のセルの両端に配置された接続ラインの第1の対を閉路させ、その後、前記接続ラインの第1の対を開路させ、かつ、前記一連のセルのうちの対象セルの両端に配置された接続ラインの第2の対を閉路させる構成の(1)に記載の蓄電装置。
(3)前記蓄電制御装置は、前記複数のセルの全部または一部を前記一連のセルとして選択し、複数の前記対象セルを選択する構成の(2)に記載の蓄電装置。
(4)各リアクタンス素子は、定数が互いに同一である(1)〜(3)のいずれかに記載の蓄電装置。
(5)各リアクタンス素子は、コンデンサを含む(1)〜(4)のいずれかに記載の蓄電装置。
(6)各リアクタンス素子は、リアクトルを含む(5)に記載の蓄電装置。
(7)前記蓄電制御装置は、前記リアクタンス素子と前記セルとの接続を前記リアクタンス素子の共振周波数で切り替える構成の(6)に記載の蓄電装置。
(8)前記リアクタンス素子の共振周波数は、交流インピーダンス法で測定された前記セルの内部インピーダンスのコールコールプロットにおける虚数成分が0となる場合の周波数である(1)〜(7)のいずれかに記載の蓄電装置。
(9)前記スイッチング素子の個数及び前記接続ラインの個数は、前記セルの個数に1を加えた個数である(1)〜(8)のいずれかに記載の蓄電装置。
(10)前記蓄電制御装置は、前記対象セルを選択した上で前記接続ラインの第1の対を閉路させる構成の(2)に記載の蓄電装置。
(11)前記蓄電制御装置は、電圧が最小のセルを含む前記対象セルを選択する構成の(10)に記載の蓄電装置。
(12)コンピュータを、
直列接続された複数のセルと直列接続された複数のリアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインを、複数のスイッチング素子を制御して個別に開閉させて、前記セル間でエネルギーを授受させる手段
として機能させる蓄電制御プログラム。
100 蓄電装置
110a、110b セル
120a、120b リアクタンス素子
130 蓄電制御装置
140a、140b、140c スイッチング素子
160a、160b、160c 接続ライン

Claims (13)

  1. 直列接続された複数のセルと、
    直列接続された複数のリアクタンス素子と、
    各セルと各リアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインと、
    各接続ラインを個別に開閉する複数のスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子を制御して前記セル間でエネルギーを授受させる蓄電制御装置と、
    を備える蓄電装置。
  2. 前記蓄電制御装置は、前記複数のセルのうちの一連のセルの両端に配置された接続ラインの第1の対を閉路させ、その後、前記接続ラインの第1の対を開路させ、かつ、前記一連のセルのうちの対象セルの両端に配置された接続ラインの第2の対を閉路させる構成の請求項1記載の蓄電装置。
  3. 前記蓄電制御装置は、前記複数のセルの全部または一部を前記一連のセルとして選択し、複数の前記対象セルを選択する構成の請求項2記載の蓄電装置。
  4. 各リアクタンス素子は、定数が互いに同一である請求項2記載の蓄電装置。
  5. 各リアクタンス素子は、コンデンサを含む請求項4記載の蓄電装置。
  6. 各リアクタンス素子は、リアクトルを含む請求項5記載の蓄電装置。
  7. 前記蓄電制御装置は、前記リアクタンス素子と前記セルとの接続を前記リアクタンス素子の共振周波数で切り替える構成の請求項6記載の蓄電装置。
  8. 前記リアクタンス素子の共振周波数は、交流インピーダンス法で測定された前記セルの内部インピーダンスのコールコールプロットにおける虚数成分が0となる場合の周波数である請求項1記載の蓄電装置。
  9. 前記スイッチング素子の個数及び前記接続ラインの個数は、前記セルの個数に1を加えた個数である請求項2記載の蓄電装置。
  10. 前記蓄電制御装置は、前記対象セルを選択した上で前記接続ラインの第1の対を閉路させる構成の請求項2記載の蓄電装置。
  11. 前記蓄電制御装置は、電圧が最小のセルを含む前記対象セルを選択する構成の請求項10記載の蓄電装置。
  12. 直列接続された複数のセルと直列接続された複数のリアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインを、複数のスイッチング素子を制御して個別に開閉させて、前記セル間でエネルギーを授受させる構成の蓄電制御装置。
  13. 直列接続された複数のセルと直列接続された複数のリアクタンス素子とを一対一対応で並列接続する複数の接続ラインを、複数のスイッチング素子を制御装置によって制御して個別に開閉させて、前記セル間でエネルギーを授受させる蓄電制御方法。
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