JP2015065286A - Method of manufacturing photoelectric conversion device - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、I−III−VI族化合物を含む半導体層を用いた光電変換装置の製造方法に関
するものである。
The present invention relates to a method for manufacturing a photoelectric conversion device using a semiconductor layer containing an I-III-VI group compound.
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CuInSe2(CISという)やCu(In,Ga)Se2(CIGSという)等のカルコパイライト構造のI−III−VI族
化合物を含む半導体層を光吸収層に用い、この光吸収層上にII−VI族化合物等のバッファ層を形成したものがある。光吸収層は、スパッタリング法等の真空成膜装置を用いて金属から成る前駆体層を形成した後、これをセレン元素を含む雰囲気で加熱してセレン化することによって作製される。
As a photoelectric conversion device used for photovoltaic power generation or the like, a semiconductor layer containing a chalcopyrite structure I-III-VI group compound such as CuInSe 2 (referred to as CIS) or Cu (In, Ga) Se 2 (referred to as CIGS) is used. There is a light absorption layer in which a buffer layer such as a II-VI group compound is formed on the light absorption layer. The light absorption layer is produced by forming a precursor layer made of a metal using a vacuum film forming apparatus such as a sputtering method and then heating it in an atmosphere containing selenium element to form selenium.
このような光電変換装置は、光電変換効率のさらなる向上が要求されている。例えば特許文献1では、CIGSから成る光吸収層の表面にCu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSSという)から成る、厚さが150nm程度の表面層を設け、この表面層における硫黄元素濃度をバッファ層側の表面から光吸収層の内部に向かって減少するように濃度勾配をつけることが提案されている。このような構成によって、光吸収層とバッファ層との界面接合性を改善し、光電変換効率を向上させることできる。
Such a photoelectric conversion device is required to further improve the photoelectric conversion efficiency. For example, in
この特許文献1では、光吸収層の表面に上記表面層を設けるため、CIGS層を形成した後、このCIGS層を、硫黄元素を含む雰囲気中で加熱することによって、CIGS層の表面のセレン元素を硫黄元素に置換する方法が用いられている。
In this
また、光電変換装置はさらなる低コスト化も望まれており、I−III−VI族化合物を含む半導体層を容易に作製する方法も検討されている。特許文献2では、CuとInあるいはGaと有機セレン化合物とが1つの錯体分子内に存在するSingle Source Precursorと呼
ばれる錯体を用いることが提案されている。このような錯体を用いた半導体層の作製方法は、錯体を溶媒に溶解して原料溶液を作製し、この原料溶液を塗布して加熱するだけでよいため、スパッタリング装置等の高コストの真空成膜装置を用いる必要はなく、CISやCIGSから成る半導体層を容易に作製することできる。
In addition, further cost reduction is desired for the photoelectric conversion device, and a method for easily manufacturing a semiconductor layer containing an I-III-VI group compound has been studied. In
そこで、特許文献1と特許文献2とを組み合わせることによって、容易な方法で高効率の光電変換装置を作製することができると考えられる。
Therefore, it is considered that a highly efficient photoelectric conversion device can be manufactured by an easy method by combining
しかしながら、上記のような錯体を用いてCIGS層を形成し、これを特許文献1と同様に硫黄元素を含む雰囲気で加熱しても、カルコパイライト構造とは異なる異相が形成されやすくなり、光電変換効率を向上することが困難である。
However, even if a CIGS layer is formed using the complex as described above and heated in an atmosphere containing a sulfur element as in
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、錯体を用いた容易な方法で高効率の光電変換装置を作製することを目的とする。 The present invention has been made in view of the above problems, and an object thereof is to produce a highly efficient photoelectric conversion device by an easy method using a complex.
本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法は、1つの錯体分子中に11族元素、13族元素、有機硫黄化合物および有機セレン化合物を含む単一源錯体を有機溶媒に溶解した原料溶液を準備する工程と、電極層上に前記原料溶液を塗布して皮膜を作製する工程と、該皮膜を硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによって16族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物層にする工程とを具備する。
A method for manufacturing a photoelectric conversion device according to one embodiment of the present invention is a raw material solution in which a single source complex containing a
本発明の上記実施態様によれば、容易な方法で高効率の光電変換装置を作製すること可能となる。 According to the above embodiment of the present invention, a highly efficient photoelectric conversion device can be manufactured by an easy method.
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。 Hereinafter, a method for manufacturing a photoelectric conversion device according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. In the drawings, parts having similar configurations and functions are denoted by the same reference numerals, and redundant description is omitted in the following description. Further, the drawings are schematically shown, and the sizes, positional relationships, and the like of various structures in the drawings are not accurately illustrated.
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図9には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
<(1) Configuration of photoelectric conversion device>
FIG. 1 is a perspective view showing an example of a
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
The
各光電変換セル10は、下部電極層2、I−III−VI族化合物層3(以下では、I−III−VI族化合物層のことを第1の半導体層ともいう)、第2の半導体層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
Each
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。例えば、基板1として、1〜3mm
程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
The
Blue plate glass (soda lime glass) having a certain thickness may be used.
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
The
光吸収層としての第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面(一主面ともいう)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はカルコパイライト系のI−III−VI族化合物を含む半導体層である。I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と、13族元素(III−B族元素ともいう)と、16族元素(VI−B族元素ともいう)とを含んだ化合物である。そして、第1の半導体層3は16族元素として少なくともセレン(Se)元素および硫黄(S)元素とを含んでいる。このようなI−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)、CuIn(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム、CISSともいう)、CuGa(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅ガリウム、CGSSともいう)等が挙げられる。
The
そして、第1の半導体層3は、下部電極層2とは反対側の表面部3aにおいて、S元素の原子数MSとSe元素の原子数MSeとの合計原子数(MS+MSe)に対するS元素の相対原子数比MS/(MS+MSe)が、下部電極層2から離れるに従って増加している。このような構成により、第2の半導体層4とpn接合を行なう第1の半導体層3の表面部3aにおいてバンドギャップを大きくすることができるため、pn接合性を良好にして界面再結合を抑制することができるとともに、開放電圧を大きくすることができる。その結果、光電変換装置11の光電変換効率を高めることができる。
The
第1の半導体層3の厚み方向の組成分布は、例えば図3に示すように表わされる。なお、第1の半導体層3の厚み方向の組成分布は、種々の元素分析法によって測定できる。例えば、S元素およびSe元素については、第1の半導体層3をスパッタリング法等によって厚み方向に削りながらX線電子分光分析法(XPS)で元素分析したり、あるいは第1の半導体層3の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いたエネルギー分散型X線分析法(EDS)で元素分析したりすることによって測定できる。
The composition distribution in the thickness direction of the
第1の半導体層3におけるS元素およびSe元素の濃度分布は、第1の半導体層3を厚み方向に3等分したときに、中央部における相対原子数比MS/(MS+MSe)の平均値が0〜0.5であり、第2の半導体層4側の表面部における相対原子数比MS/(MS+MSe)の平均値が0.02〜0.8であり、さらに第2の半導体層4側の表面部における相対原子数比MS/(MS+MSe)の平均値が中央部における相対原子数比MS/(MS+MSe)の平均値よりも0.02以上大きければよい。
The concentration distribution of the S element and the Se element in the
第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の上に設けられた半導体層である。この第2の半導体層4は、第1の半導体層3の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有している。第1の半導体層3と第2の半導体層4との接合によって、第1の半導体層3で光電変換されて生じた正負キャリアが良好に電荷分離される。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層3の導電型がp型である場合、第2の半導体層4の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層3の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層4の導電型がp型である態様も有り得る。
The
第2の半導体層4は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等の化合物半導体によって構成されている。そして、電流の損失が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。なお、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。
The
また、第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば5〜200nmに設定される。
The
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
The
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
The
Examples include IZO (Indium Zinc Oxide), ITO (Indium Tin Oxide), and FTO (Fluorine tin Oxide).
上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
The
第2の半導体層4および上部電極層5は、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光を透過させやすい性質(光透過性ともいう)を有する素材によって構成され得る。これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
The
また、光透過性が高められると同時に、光反射のロスが防止される効果と光散乱効果とが高められ、更に光電変換によって生じた電流が良好に伝送される観点から言えば、上部電極層5は、0.05〜0.5μmの厚さとなるようにすることができる。更に、上部電極層5と第2の半導体層4との界面で光反射のロスが低減される観点から言えば、上部電極層5と第2の半導体層4との間で絶対屈折率が略同一となるようにすることができる。
In addition, from the viewpoint of improving the light transmittance, the effect of preventing loss of light reflection and the light scattering effect, and further transmitting the current generated by the photoelectric conversion, the
集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
The collecting
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
The collecting
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2
に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
The charges collected by the
As shown in FIG. 4, the
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
The
<(2)光電変換装置の製造方法>
図4から図9は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図4から図9で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
<(2) Method for Manufacturing Photoelectric Conversion Device>
4 to 9 are cross-sectional views each schematically showing a state during the manufacture of the
まず、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、レーザースクライブ加工によって形成することができる。図4は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
First, the
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、原料溶液を塗布して皮膜Mを作製する。原料溶液は、1つの錯体分子中に11族元素、13族元素、有機硫黄化合物および有機セレン化合物を含む単一源錯体を有機溶媒に溶解したものである。原料溶液に含まれる単一源錯体は、例えば、構造式1で示される錯体分子である。
After forming the first groove P1, a raw material solution is applied on the
構造式1中、M1は11族元素を表し、M2は13族元素を表す。R1〜R4はそれぞれ有機基を表し、R1〜R4のそれぞれが異なる構造であってもよく、2つ以上(全部でもよい)が同じ構造であってもよい。また、R1〜R4のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。R1〜R4としては、例えば、アルキル基やアリール基等があり、これらは任意の置換基で置換されていてもよい。R1〜R4の具体例としては、例えば、メチル基やエチル基、プロピル基、フェニル基等がある。また、X1〜X4のうち1個以上3個以下がS元素を表わすとともに残りがSe元素を表わす。つまり、R1−X1、R2−X2、R3−X3およびR4−X4は、それぞれ有機硫黄化合物または有機セレン化合物を表わしている。なお、有機硫黄化合物とは、チオール類等のS元素を含む有機化合物であり、炭素(C)元素とS元素との共有結合を有する有機化合物である。また、有機セレン化合物とは、セレノール類等のSe元素を含む有機化合物であり、
C元素とSe元素との共有結合を有する有機化合物である。また、L1〜L2はそれぞれ非共有電子対を有する配位子であり、ルイス塩基として機能するものである。L1〜L2は、R1−X1〜R4−X4で表される有機硫黄化合物や有機セレン化合物よりも配位力の高いものが用いられ、例えば、非共有電子対を有するV−B族元素(15族元素ともいう)を具備した官能基や非共有電子対を有するVI−B族元素を具備した官能基を有する有機化合物が用いられる。また、L1〜L2はそれぞれ異なる構造であってもよく、同じ構造であってもよい。L1〜L2としては、例えば、P(Ph)3やP(C4H9)3等がある(なお、Phはフェニル基である)。また、L1〜L2が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
In
It is an organic compound having a covalent bond between C element and Se element. L 1 and L 2 are ligands each having an unshared electron pair and function as a Lewis base. L 1 to L 2 are those having higher coordinating power than the organic sulfur compounds and organic selenium compounds represented by R 1 to X 1 to R 4 to X 4 , for example,
例えば、皮膜Mを作製する際に用いる原料溶液に含まれる単一源錯体に、11族元素として銅(Cu)を含むとともに13族元素としてインジウム(In)を含む第1単一源錯体と、11族元素としてCuを含むとともに13族元素としてガリウム(Ga)を含む第2単一源錯体との混合体を用いてもよい。この場合、生成する第1の半導体層3が、Cu、InおよびGaを含むI−III−VI族化合物層となり、太陽光に対する光電変換をさらに良好に行なうことが可能となる。
For example, the single source complex contained in the raw material solution used when producing the film M includes a first single source complex containing copper (Cu) as a
このような第1単一源錯体の一例を構造式2に示し、第2単一源錯体の一例を構造式3に示す。
An example of such a first single source complex is shown in
原料溶液に含まれる有機溶媒は、上記単一源錯体を溶解可能なものであればよく、例えば、極性有機溶媒等を用いることができる。極性有機溶媒の具体例としては、ピリジンやアニリン等の非共有電子対を有する含窒素有機溶媒が挙げられる。 The organic solvent contained in the raw material solution is not particularly limited as long as it can dissolve the single source complex. For example, a polar organic solvent or the like can be used. Specific examples of the polar organic solvent include nitrogen-containing organic solvents having unshared electron pairs such as pyridine and aniline.
皮膜Mは、上記原料溶液を、例えば、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ダイコータ等によって下部電極層2上に膜状に被着し、溶媒を乾燥によって除
去することによって作製できる。この工程を繰り返して皮膜Mを厚く形成してもよい。図5は、皮膜Mを形成した後の状態を示す図である。
The film M can be produced by depositing the above raw material solution on the
次にこの皮膜Mを、S元素を含む第1雰囲気で加熱することによって、16族元素としてSe元素およびS元素を含み、下部電極層2とは反対側の表面部3aにおいて、相対原子数比MS/(MS+MSe)が下部電極層2から離れるに従って増加しているI−III
−VI族化合物層(第1の半導体層3)を良好に作製することができる。つまり、上記の単一源錯体を用いて皮膜Mを作製することによって、皮膜Mの表面に第1雰囲気中のS元素を良好に取り込むとともに良好に結晶化を行なうことができる。その結果、カルコパイライト構造以外の異相が生じるのを有効に抑制して、表面部3aにS元素の濃度勾配を有する良好な第1の半導体層3を作製することができる。これは、単一源錯体がS元素とSe元素との両方を含むことによって、皮膜Mの加熱によって金属硫化物および金属セレン化物の混晶体が容易に形成し、この混晶体に対して第1雰囲気中のS元素が良好に反応しやすくなるためではないかと考えられる。このように表面部3aでS元素の濃度勾配を有するとともに異相の少ない良好な第1の半導体層3とすることで、光電変換装置11の光電変換効率を良好に高めることができる。なお、第1雰囲気における皮膜Mの加熱温度は、例えば、400〜650℃とすることができる。図6は、第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
Next, this film M is heated in a first atmosphere containing S element, so that Se element and S element are included as group 16 elements, and
The -VI group compound layer (first semiconductor layer 3) can be produced satisfactorily. That is, by producing the film M using the above-mentioned single source complex, it is possible to satisfactorily incorporate the S element in the first atmosphere into the surface of the film M and perform crystallization well. As a result, it is possible to effectively suppress the occurrence of a heterogeneous phase other than the chalcopyrite structure, and to produce a good
第1雰囲気は、S元素を硫黄蒸気や硫化水素等の状態で含んでいる。第1雰囲気は、皮膜Mの硫化反応を制御しやすくするため、非酸化性ガス中にS元素を含んだものであってもよい。なお、非酸化性ガスとは、窒素やアルゴン等の不活性ガスまたは水素等の還元性ガスをいう。特に、皮膜M中の有機成分を良好に分解除去しやすいという観点からは、第1雰囲気として水素ガス中にS元素を含んだものを用いてもよい。非酸化性ガス中に含まれるS元素の量としては、非酸化性ガスを構成する分子のモル数をGとしたときに硫黄原子のモル数が、例えばGの10−6倍〜5×10−2倍程度、より好ましくはGの10−5倍〜5×10−3倍であればよい。このような範囲であれば、S元素を皮膜M中に良好に取り込むことができるとともに、皮膜Mの硫化が過度に進行して異相が生じるのを有効に低減できる。 The first atmosphere contains S element in a state of sulfur vapor, hydrogen sulfide, or the like. The first atmosphere may contain an S element in a non-oxidizing gas in order to easily control the sulfurization reaction of the coating M. The non-oxidizing gas refers to an inert gas such as nitrogen or argon or a reducing gas such as hydrogen. In particular, from the viewpoint of easily decomposing and removing the organic components in the film M, the first atmosphere containing an S element in hydrogen gas may be used. The amount of the S element contained in the non-oxidizing gas is such that the number of moles of sulfur atoms is, for example, 10 −6 times to 5 × 10 5 −2 times, more preferably 10 −5 times to 5 × 10 −3 times G. If it is such a range, while being able to take in S element well in the membrane | film | coat M, it can reduce effectively that the sulfurization of the membrane | film | coat M advances excessively and a heterogeneous phase arises.
また、第1雰囲気において皮膜Mを加熱する際、第1雰囲気中のS元素の濃度を加熱時間とともに増加させてもよい。これにより、加熱開始時ではS元素の少ない状態あるいはS元素のない状態として、皮膜Mの硫化が進行する前に皮膜M中に残存している有機成分をより良好に分解除去することができる。その結果、不純物の少ない良好な第1の半導体層3とすることができる。
Further, when the coating M is heated in the first atmosphere, the concentration of the S element in the first atmosphere may be increased with the heating time. As a result, the organic component remaining in the film M can be decomposed and removed more satisfactorily before the sulfidation of the film M proceeds in a state where there is little S element or no S element at the start of heating. As a result, a good
また、皮膜Mを第1雰囲気で加熱する前に、皮膜Mの単一源錯体に含まれる有機成分を熱分解により除去しておいてもよい。このような工程を行なうことによって、第1の半導体層3の結晶化をより良好に行なうことができ、より欠陥の少ない第1の半導体層3を作製することができる。なお、皮膜Mの有機成分の除去方法としては、例えば、皮膜Mを不活性ガス中で100〜350℃に加熱すればよい。
Moreover, before heating the film M in the first atmosphere, the organic components contained in the single source complex of the film M may be removed by thermal decomposition. By performing such steps, the
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5を順に形成する。
After the formation of the
第2の半導体層4は、溶液成長法(CBD法ともいう)によって形成することができる。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とをアンモニア水に溶解し、これに第1の半導体層3の形成まで行なった基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上にCdSを含む第2の半導体層4を形成することができる。
The
上部電極層5は、例えば、Snが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。図7は、第2の半導体層4および上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
The
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、スクライブ針を用いたメカニカルスクライビング加工によって形成することができる。図8は、第2溝部P2を形成した後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
After the
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散した導電性を有するペースト(導電ペーストともいう)を、所望のパターンを描くように印刷し、これを加熱することで形成できる。図9は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
After forming the second groove P2, the
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度とすることができる。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビング加工によって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
After forming the
<(3)単一源錯体の製造方法>
上記単一源錯体の製造方法の一例を以下に示す。まず、塩化銅(I) (8mmol、0.
795g)とトリフェニルホスフィン(16mmol、4.197g)をトルエン100
mlに投入し、そこにメタノール20mlに溶解させた塩化インジウム無水(8mmol、1.770g)もしくは塩化ガリウム無水(8mmol、1.409g)を混ぜ合わせる。そして、この混合液を50℃で2時間加熱しながら撹拌する。
<(3) Method for producing single source complex>
An example of a method for producing the single source complex is shown below. First, copper (I) chloride (8 mmol, 0.
795 g) and triphenylphosphine (16 mmol, 4.197 g) in toluene 100
Into this solution, anhydrous indium chloride (8 mmol, 1.770 g) or anhydrous gallium chloride (8 mmol, 1.409 g) dissolved in 20 ml of methanol is mixed. The mixture is stirred while being heated at 50 ° C. for 2 hours.
さらに、あらかじめナトリウムメトキシド(32mmol,1.764g)と、チオフェノール(16mmol、1.765g)と、ベンゼンセレノール(16mmol,2.533g)とをメタノール20mlに溶かし、60℃に加熱しておいた溶液を、上記混合液に加える。この混合液を60℃で3時間加熱しながら撹拌する。その後、加熱温度を100℃にすることでメタノールを蒸発させ、除去する。残った溶液を熱時濾過することで、不純物を除去する。ろ液を室温放置することで、目的物が析出してくるので、これをろ取することによって構造式(2)もしくは構造式(3)の半導体形成用化合物を得ることができる。 Further, sodium methoxide (32 mmol, 1.764 g), thiophenol (16 mmol, 1.765 g), and benzeneselenol (16 mmol, 2.533 g) are dissolved in 20 ml of methanol and heated to 60 ° C. in advance. The solution was added to the above mixture. The mixture is stirred while heating at 60 ° C. for 3 hours. Then, methanol is evaporated and removed by setting the heating temperature to 100 ° C. The remaining solution is filtered while hot to remove impurities. When the filtrate is allowed to stand at room temperature, the target product is precipitated. By filtering this, the compound for forming a semiconductor of the structural formula (2) or the structural formula (3) can be obtained.
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。例えば、上記の光電変換装置の製造方法の例では、皮膜Mを、S元素を含む第1雰囲気で加熱することによって、第1の半導体層3を作製したが、皮膜Mを第1雰囲気で加熱した後に、Se元素を含む雰囲気で加熱してもよく、皮膜Mを第1雰囲気で加熱する前に皮膜MをSe元素を含む雰囲気で加熱してもよい。あるいは第1雰囲気にSe元素を含めてもよい。
The present invention is not limited to the above-described embodiment, and various changes and improvements can be made without departing from the scope of the present invention. For example, in the example of the manufacturing method of the photoelectric conversion device described above, the
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:皮膜
1: Substrate 2: Lower electrode layer 3: First semiconductor layer 4: Second semiconductor layer 5: Upper electrode layer 6: Connection conductor 7: Current collecting electrode 10: Photoelectric conversion cell 11: Photoelectric conversion device M: Film
Claims (5)
電極層上に前記原料溶液を塗布して皮膜を作製する工程と、
該皮膜を硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによって16族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物層にする工程と
を具備する光電変換装置の製造方法。 Preparing a raw material solution in which a single source complex containing a group 11 element, a group 13 element, an organic sulfur compound and an organic selenium compound in one complex molecule is dissolved in an organic solvent;
Applying the raw material solution on the electrode layer to produce a film;
And heating the film in a first atmosphere containing a sulfur element to form a I-III-VI group compound layer containing a selenium element and a sulfur element as a group 16 element.
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