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JP2015063904A - トランスミッションの支持構造 - Google Patents

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JP2015063904A
JP2015063904A JP2013196586A JP2013196586A JP2015063904A JP 2015063904 A JP2015063904 A JP 2015063904A JP 2013196586 A JP2013196586 A JP 2013196586A JP 2013196586 A JP2013196586 A JP 2013196586A JP 2015063904 A JP2015063904 A JP 2015063904A
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貴之 寺本
Takayuki Teramoto
貴之 寺本
秀明 宮園
Hideaki Miyazono
秀明 宮園
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Abstract

【課題】トランスミッションケースの剛性を十分に確保できるトランスミッションの支持構造を提供する。
【解決手段】トランスミッションケース11の上面におけるスタータ2に対面する領域よりもエンジンと反対側の領域にエンジンマウント3を設ける。エンジンマウント3から入力されてトランスミッションハウジング12に向かう荷重の伝達経路上に位置し且つトランスミッションケース11の上面におけるスタータ2に対面する領域とエンジンマウント3が設けられている領域との間の筐体中央領域と、スタータ2とを連結部材5で互いに連結する。これにより、トランスミッションケース11の上面の剛性を高め、トランスミッションケース11での応力集中を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トランスミッションの支持構造に係る。特に、本発明は、トランスミッションの筐体の剛性を高めるための対策に関する。
従来、特許文献1および特許文献2に開示されているように、エンジンに接続されているトランスミッションケースの外周側にスタータを配設した構成が提案されている。各特許文献のものでは、トランスミッションケースの上方にスタータが配設されている。この構成によれば、エンジン、トランスミッションおよびスタータを含めた構成の軸線方向(エンジン出力軸の延長方向)の長さが短くなり、車両への搭載性が向上する。
特開平6−346754号公報 特開平11−78555号公報
ところで、このようにトランスミッションケースの外周側にスタータが配設された構成の場合、以下に述べる課題がある。
例えば、近年普及しつつあるアイドリングストップシステムを搭載したエンジンにあっては、スタータの使用頻度が高いため、スタータモータの耐久性を考慮してスタータが大型化する傾向にある。一般に、トランスミッションケースは、その剛性を確保するために、外面にリブを設けたり、ケースの肉厚を大きくすることが必要であるが、前述の如く、スタータが大型化してしまうと、このスタータの外面とトランスミッションケースの外面との間の隙間が小さくなり、トランスミッションケースの外面にリブを設けたり、ケースの肉厚を大きく確保したりすることが難しくなる。そして、十分な大きさのリブが設けられない場合やケースの肉厚が十分に得られない場合には、トランスミッションケースの剛性が低下し、外力が作用した際に、トランスミッションケースの一部分に応力が集中してしまう可能性がある。
このような状況は、スタータが大型化した場合ばかりでなく、エンジンコンパートメント内の省スペース化を図る場合も同様である。つまり、この省スペース化を図るために各部品同士の間の隙間が小さくなる場合においても、トランスミッションケースの外面にリブを設けたり、ケースの肉厚を大きく確保したりすることが難しくなり、トランスミッションケースに外力が作用した際、その一部分に応力が集中してしまう可能性がある。
また、トランスミッションの変速段数の増大(多段化)に伴ってトランスミッションが大型化する場合においても、スタータとの間の隙間が小さくなり、トランスミッションケースの外面にリブを設けたり、ケースの肉厚を大きく確保したりすることが難しくなるため、前記と同様の課題が生じる可能性がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トランスミッションケースの剛性を十分に確保できるトランスミッションの支持構造を提供することにある。
−発明の解決原理−
前記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、エンジンまたはトランスミッションハウジングに接続されているスタータに、トランスミッションケースの剛性を高くする機能が発揮されるように、スタータとトランスミッションケースとを連結している。
−解決手段−
具体的に、本発明は、エンジンからトランスミッションに亘る動力伝達系の筐体として、第1筐体と、トランスミッションケースの筐体である第2筐体とを少なくとも備え、前記第1筐体に接続されたスタータの外面と、前記第2筐体の外面とが、エンジン出力軸の延長方向に対して略直交する方向で互いに対面するよう配置されたトランスミッションの支持構造を前提とする。このトランスミッションの支持構造に対し、前記第2筐体の外面における前記スタータに対面する領域よりもエンジンと反対側の領域に、トランスミッションを車体に支持するためのマウント部材を設ける。そして、前記第2筐体の外面における、前記スタータに対面する領域と前記マウント部材が設けられている領域との間を筐体中央領域とし、前記筐体中央領域と前記スタータとを互いに連結させた構成としている。
この特定事項により、車体等からの荷重がマウント部材を介して第2筐体に入力された場合、この荷重は、第2筐体から第1筐体に向かって伝達されていく。本解決手段では、前記筐体中央領域と前記スタータとを互いに連結しているため、第2筐体の剛性が高く確保されている。その結果、第2筐体の一部分に応力が集中してしまうといったことが回避できる。
前記筐体中央領域としては、具体的に、前記マウント部材から入力されて前記第1筐体に向かう荷重の伝達経路に位置し且つ前記第2筐体の外面における前記スタータに対面する領域と前記マウント部材が設けられている領域との間である。
これにより、伝達経路上における第2筐体の剛性が高く確保され、この第2筐体での応力集中が効果的に回避できる。
前記筐体中央領域と前記スタータとの連結構造として具体的には以下のものが挙げられる。つまり、前記筐体中央領域と前記スタータとを連結部材によって互いに連結するものである。
より具体的には、前記連結部材を、前記筐体中央領域に設けられたボス部およびスタータにそれぞれ締結した構成としている。
このように、第2筐体およびスタータとは別部材である連結部材によって、これら第2筐体とスタータとを連結することにより、第2筐体およびスタータの形状を既存のものから大幅に変更する必要がない。このため、筐体等の大幅な設計変更を必要とすること無しに第2筐体の剛性を高く確保することが可能になる。
また、前記連結部材を、前記第2筐体の外面において、前記スタータおよびマウント部材とエンジン出力軸の延長方向に平行な直線状に配置している。
より具体的には、前記マウント部材を、ボルトによって第2筐体の外面に締結する構成である場合に、このボルトの少なくとも一つがねじ込まれるボルト孔と、前記筐体中央領域に設けられた前記ボス部とを、エンジン出力軸の延長方向に平行な直線上に位置させている。
これにより、第2筐体から第1筐体に向かう伝達経路上で、連結部材によって第2筐体の外面とスタータとを連結することが可能となり、第2筐体の剛性を効果的に高めることが可能になる。特に、第2筐体が第1筐体から離れる方向へ作用する荷重(第2筐体を第1筐体から引き離す方向の荷重)に対する強度を十分に高めることができ、第2筐体と第1筐体との接続箇所での応力集中を緩和することができる。
また、前記解決手段に適用されるエンジンの一例としては、所定の自動停止条件が成立した際に駆動が停止され、且つ自動始動条件が成立した際に前記スタータからの動力を受けて始動されるアイドリングストップシステムを搭載したものが挙げられる。
このようにアイドリングストップシステムを搭載したエンジンにあっては、アイドリングストップシステムを搭載しないエンジンに比べてスタータの使用頻度が高くなる。このため、スタータモータの耐久性を考慮してスタータは大型化されているのが一般的である。つまり、アイドリングストップシステムを搭載しないエンジンに使用されているスタータに比べて、アイドリングストップシステムを搭載したエンジンに使用されているスタータは剛性が高くなっている。このため、アイドリングストップシステムを搭載したエンジンに本発明を適用した場合には、剛性が高くなっているスタータと第2筐体の筐体中央領域とを連結することになるため、第2筐体の剛性を十分に高くすることが可能となる。
本発明では、トランスミッションの筐体とスタータとを互いに連結させることで、トランスミッションの筐体の剛性を高く確保するようにしている。このため、マウント部材を介して筐体に入力された荷重が筐体の一部分で応力集中してしまうといったことが回避できる。
実施形態に係るトランスミッションの支持構造の概略を示す模式図である。 実施形態に係るトランスミッションおよびその周辺部を示す斜視図である。 スタータとトランスミッションケースとの連結部分を示す斜視図である。 スタータとトランスミッションケースとが連結された状態におけるトランスミッションの平面図である。 連結部材およびエンジンマウントが取り付けられる前のトランスミッションの平面図である。 比較例におけるトランスミッションの支持構造の概略を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、アイドリングストップシステムを搭載したエンジン横置き型のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係るトランスミッション1(トランスアクスルと呼ばれる場合もある)の支持構造の概略を示す模式図である。また、図2は、本実施形態に係るトランスミッション1およびその周辺部を示す斜視図である。
−トランスミッション−
これらの図に示すように、トランスミッション1は、このトランスミッション1の筐体を構成するトランスミッションケースユニット10を備えている。このトランスミッションケースユニット10は、トランスアクスルを収容する筐体であって、その内部には、図示しないトルクコンバータ、変速機構、ディファレンシャル機構等が収容されている。
本実施形態に係るトランスミッションケースユニット10は、4つの部材が一体的に連結された構造となっている。
具体的には、駆動力伝達方向(図1および図2の左右方向)の中央に配置されたトランスミッションケース11(本発明でいう「第2筐体」に相当)と、このトランスミッションケース11の一方側(エンジン側;図1および図2の左側)に取り付けられたトランスミッションハウジング12(本発明でいう「第1筐体」に相当)と、トランスミッションケース11の他方側(エンジンと反対側;図1および図2の右側)に取り付けられたリヤカバー13と、トランスミッションケース11の底側に取り付けられたオイルパン14とが一体的に組み付けられた構造になっている。
前記トランスミッションハウジング12は、図示しないトルクコンバータの外周囲を囲むと共にディファレンシャル機構におけるエンジン側を覆う形状に形成されている。また、このトランスミッションハウジング12におけるエンジン側の外縁部にはエンジン側フランジ12aが形成されている。このエンジン側フランジ12aが、エンジンEに対して複数本のボルトB,B,…によって締結されている。また、このトランスミッションハウジング12におけるトランスミッションケース11側の外縁部にはケース側フランジ12bが形成されている。
前記トランスミッションケース11は、変速機構の外周囲を囲むと共にディファレンシャル機構における反エンジン側を覆う形状に形成されている。また、このトランスミッションケース11におけるトランスミッションハウジング12側の外縁部にはハウジング側フランジ11aが形成されている。このハウジング側フランジ11aが、前記トランスミッションハウジング12のケース側フランジ12bに対して複数本のボルト(図示省略)によって締結されている。また、このトランスミッションケース11におけるリヤカバー13側の外縁部にはカバー側フランジ11bが形成されている。
前記リヤカバー13は、トランスミッションケース11において前記トランスミッションハウジング12側とは反対側の開口部分を閉鎖する部材である。このリヤカバー13の外縁部にはフランジ13aが形成されている。このフランジ13aが、前記トランスミッションケース11のカバー側フランジ11bに対して複数本のボルトB,B,…によって締結されている。
このようにしてトランスミッションケース11、トランスミッションハウジング12、および、リヤカバー13が一体化されてトランスミッションケースユニット10が構成され、このトランスミッションケースユニット10内に、前記トルクコンバータ、変速機構、ディファレンシャル機構等が収容されている。
なお、前記トランスミッションハウジング12、トランスミッションケース11、リヤカバー13は、共にアルミニウム製である。これにより、トランスミッション1の軽量化が図られている。
なお、トランスミッションケースユニット10の構造としては前述したものには限定されない。
−スタータ−
前記トランスミッションハウジング12には、エンジンEを始動させるエンジン始動装置としてのスタータ2が取り付けられている。
図3は、前記スタータ2およびその周辺部を示す斜視図である。図4は、スタータ2およびその周辺部を示すトランスミッション1の平面図である。また、図5は、後述するエンジンマウント3および連結部材5が取り付けられる前のトランスミッション1の平面図である。なお、図3〜図5では、本発明の特徴を理解しやすくするために、スタータ2に給電を行う配線や、アイドリングストップ制御を行うための制御モジュールについては省略している。また、図4および図5では、トランスミッションケースユニット10の外縁形状を仮想線で示している。
これらの図に示すように、スタータ2は、内部にスタータモータを収容したスタータケース21を備えている。具体的に、スタータケース21は有底円筒形状に形成されており、その内部に図示しないスタータモータが収容されている。また、このスタータケース21の一端縁(エンジン側の一端縁)には、フランジ22が形成されている。このフランジ22における水平方向の両側(図3における手前側および奥側)には締結部22a,22aが設けられており、これら締結部22a,22aの中央部には、その板厚方向(スタータモータの軸線方向に沿う方向)に貫通する貫通孔がそれぞれ形成されている。
一方、トランスミッションハウジング12の上面における図2の手前側の領域にはスタータ取り付け部12cが設けられている。このスタータ取り付け部12cには、前記スタータケース21のフランジ22および締結部22aに対応する締結座12dが設けられている。この締結座12dには、前記締結部22aに形成されている貫通孔に対応するボルト孔が形成されている。
そして、トランスミッションハウジング12の締結座12dに、スタータケース21のフランジ22および締結部22aを重ね合わせ、この締結部22aに形成されている貫通孔および前記締結座12dに形成されているボルト孔を位置合わせした状態で、これら孔に亘ってボルトBがねじ込まれることにより、スタータ2がトランスミッションハウジング12に取り付けられている。
このようにして、スタータ2がトランスミッションハウジング12(第1筐体)に取り付けられているため、スタータ2の外面と前記トランスミッションケース11(第2筐体)の外面とが、エンジン出力軸の延長方向(水平方向)に対して略直交する方向(鉛直方向)で互いに対面している。
前記トランスミッションハウジング12の内部には、エンジンEのクランクシャフトに回転一体に固定されたリングギヤ(フライホイールの外周囲に形成されたリングギヤ)が収容されている。そして、前述の如くスタータ2がトランスミッションハウジング12に取り付けられた状態では、前記スタータモータに回転一体に設けられた図示しないピニオンギヤが前記リングギヤから後退した位置となっている。そして、所定のエンジン始動条件が成立した場合には、このピニオンギヤが前進移動してリングギヤに噛み合わされ、スタータモータの回転力がピニオンギヤおよびリングギヤを介してクランクシャフトに伝達されてエンジンEのクランキングが行われるようになっている。
なお、本実施形態に係るエンジンEは、前述した如くアイドリングストップシステムを搭載している。つまり、交差点での信号待ち等のように一時的に停車した際に、エンジンEの各気筒に備えられた燃料噴射弁からの燃料供給を停止(フューエルカット)してエンジンEを停止させるアイドリングストップ制御を行うようになっている。このアイドリングストップシステムでは、アイドリングストップ制御によってエンジンEが停止している状態から所定のエンジン始動条件(例えばオートマチックトランスミッション車にあっては運転者のブレーキペダルの踏み込み解除操作等)が成立した場合に、前記ピニオンギヤが前進移動してリングギヤに噛み合わされ、スタータモータの回転力がピニオンギヤおよびリングギヤを介してクランクシャフトに伝達されてエンジンEのクランキングが行われる。そして、クランクシャフトの回転速度が所定値に達した時点で燃料噴射弁からの燃料供給および点火プラグによる点火が行われることでエンジンEを再始動させるようになっている。
このようなアイドリングストップシステムを搭載したエンジンEの場合、アイドリングストップシステムを搭載しないエンジンに比べてスタータ2の使用頻度が高くなる。このため、スタータモータの耐久性を考慮してスタータ2は大型化されている。つまり、アイドリングストップシステムを搭載しないエンジンに使用されているスタータに比べて、アイドリングストップシステムを搭載したエンジンEに使用されているスタータ2は剛性が高くなっている。
なお、スタータ2の構成としては、前述したものに限らず、スタータモータに回転一体に設けられたピニオンギヤが、前記リングギヤに常時噛み合わされた常時噛み合い式のスタータモータを備えたものであってもよい。
−エンジンマウント−
エンジンマウント3(本発明でいう「マウント部材」であって、トランスミッションマウントと呼ばれる場合もある)は、トランスミッション1を車体骨格(例えばサイドメンバ4;図1を参照)に弾性的に支持している。
エンジンマウント3の具体構成としては、同軸に配置された金属製の内筒と外筒31との間に弾性体としてのマウントラバーが収容されている(各図ではエンジンマウント3の外筒31のみを示している)。そして、内筒に一体成形されたブラケット41(図1を参照)が車体のサイドメンバ4に連結されている。また、外筒31に一体成形されたブラケット32がトランスミッションケース11の上面に締結されている。そして、これら内筒と外筒31との間に介在された前記マウントラバーの変形によってトランスミッション1とサイドメンバ4との間での振動を伝え難くする(吸収する)ように構成されている。
図5に示すように、トランスミッションケース11の上面におけるリヤカバー13側の端縁近傍には、エンジンマウント3を載置するための載置座11cが設けられている。この載置座11cの各隅角部の4箇所にはボルト孔11d,11d,…が形成されている。
一方、エンジンマウント3のブラケット32の形状は、前記載置座11cの形状に略一致しており、この載置座11cに形成されているボルト孔11d,11d,…に対応する位置に貫通孔が形成されている。
そして、図4に示すように、トランスミッションケース11の載置座11cにエンジンマウント3のブラケット32を重ね合わせ、このブラケット32に形成されている前記貫通孔と載置座11cに形成されているボルト孔11dとを位置合わせした状態で、これら貫通孔およびボルト孔11dに亘ってボルトBがねじ込まれることにより、エンジンマウント3がトランスミッションケース11の上面に取り付けられている。
なお、エンジンEも同様のエンジンマウントによって車体骨格(サイドメンバ等)に弾性的に支持されている。
−トランスミッションケースとスタータとの連結構造−
本実施形態の特徴は、前記トランスミッションケース11とスタータ2とが連結部材5によって連結されている点にある。以下、この連結部材5によるトランスミッションケース11とスタータ2との連結構造について具体的に説明する。
図3および図4に示すように、スタータケース21の側面(図3における手前側の側面)には、この側面からエンジンマウント3側に向かって水平方向に延びるブラケット23が溶接されている。このブラケット23は、スタータケース21の側面に重ね合わされる溶接部23aと、スタータケース21の端縁からエンジンマウント3側に向かって水平方向に延びる延長部23bとを有している。前記溶接部23aは、スタータケース21の側面に重ね合わされる内側面(図3における奥側の面)が、このスタータケース21の側面の形状に沿った曲面となっている。また、この溶接部23aの外側面(図3における手前側の面)は平坦面となっている。一方、延長部23bは、その内側面および外側面共に平坦面とされた平板形状となっている。そして、このブラケット23の延長部23bには、スタータモータの軸線方向に対して直交する水平方向に貫通する貫通孔が形成されている。
なお、スタータケース21に対するブラケット23の接続は溶接に限らずボルト止め等であってもよい。
一方、前記トランスミッションケース11の上面には上方に向かって延びるボス部11eが一体成形されている(図5を参照)。このボス部11eの内部には雌ネジが形成されている。
図5に示すように、このボス部11eの形成位置と、スタータ2の配設位置と、エンジンマウント3が載置される載置座11cのボルト孔11d,11dの形成位置とは、スタータモータの軸線方向に沿う直線上に位置している(図5に一点鎖線で示す直線Lを参照)。車体等からの荷重がエンジンマウント3を介してトランスミッションケース11に入力された場合、この荷重は、トランスミッションケース11からトランスミッションハウジング12に向かって伝達されることになる。つまり、この荷重の伝達方向は、スタータモータの軸線方向に沿う方向(前記直線Lに沿う方向)である。従って、前記ボス部11eの形成位置と、スタータ2の配設位置と、載置座11cのボルト孔11d,11dの形成位置との配置方向(スタータモータの軸線方向に沿う方向)は荷重の伝達方向に略一致していることになる。
そして、前記ブラケット23とボス部11eとの間は連結部材5によって連結されている。この連結部材5は、金属片の折り曲げ加工により成形されており、図3に示すように、鉛直方向に延びる第1片51と、この第1片51の下端から水平方向に延びる第2片52とを有している。
第1片51の上端部近傍位置および第2片52の中央位置にはそれぞれ板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている。第1片51に形成されている貫通孔の形成位置は、前記ブラケット23の延長部23bに形成されている前記貫通孔の形成位置に対応している。第2片52に形成されている貫通孔の形成位置は、前記トランスミッションケース11の上面に形成されているボス部11eの形成位置に対応している。
そして、連結部材5によってトランスミッションケース11とスタータ2とを連結する際には、連結部材5の第1片51の貫通孔が前記ブラケット23の延長部23bに形成されている貫通孔に位置合わせされ、且つ連結部材5の第2片52の貫通孔が前記ボス部11eに位置合わせされた状態で、連結部材5の第1片51と前記ブラケット23の延長部23bとをボルトBおよびナットNによって一体的に締結し(図4を参照)、連結部材5の第2片52を前記ボス部11eにボルトBによって締結する。これにより、トランスミッションケース11とスタータ2とが連結部材5によって連結される。
このようなトランスミッションケース11とスタータ2との連結構造であるため、トランスミッションケース11の上面としては、スタータ2に対面する領域と、この領域よりもエンジンEと反対側に位置し且つエンジンマウント3が設けられている領域と、これら領域の間の領域であって、連結部材5の第2片52が締結されるボス部11eが設けられた領域(本発明でいう「筐体中央領域」)とを有していることになる。このため、この筐体中央領域は、エンジンマウント3から入力されてトランスミッションハウジング12に向かう荷重の伝達経路に位置し且つトランスミッションケース11の外面におけるスタータ2に対面する領域とエンジンマウント3が設けられている領域との間の領域として規定されることになる。そして、この筐体中央領域とスタータ2とが連結部材5によって連結された構成となっている。
このようにしてトランスミッションケース11とスタータ2とが連結部材5によって連結された状態では、車体等からの荷重がエンジンマウント3を介してトランスミッションケース11に入力された場合、この荷重は、トランスミッションケース11からトランスミッションハウジング12に向かう伝達経路に沿って伝達されていくことになるが、トランスミッションケース11とスタータ2とが連結部材5によって連結されているため、この伝達経路上におけるトランスミッションケース11の剛性が高く確保されている。その結果、トランスミッションケース11の一部分に応力が集中してしまうといったことが回避できる。
特に、本実施形態の構成の場合、エンジンマウント3から下向きの荷重が入力された際、図1に仮想線で示すように、トランスミッションケース11とトランスミッションハウジング12との連結部分において、トランスミッションケース11の上端部分をトランスミッションハウジング12から引き離す方向の力が作用することになるが、本実施形態の構成では、その荷重の伝達経路上のトランスミッションケース11の剛性が特に高くなっているため、トランスミッションケース11とトランスミッションハウジング12との連結部分への応力の集中を回避することができる。
図6は、比較例として、トランスミッションケース11とスタータ2とが連結されていない場合におけるトランスミッション1、スタータ2、および、エンジンマウント3の配設状態を示す概念図である。この比較例にあっては、スタータ2の外面とトランスミッションケース11の外面との間の隙間が小さくなっており、トランスミッションケース11にリブを設けたり、トランスミッションケース11の肉厚を大きく確保したりすることが困難である。このため、トランスミッションケース11に外力が作用した際に、その一部分に応力が集中してしまう可能性がある。
これに対し、図1に示す本実施形態の構成では、トランスミッションケース11とスタータ2とが連結部材5によって連結されているため、車両走行時等においてサイドメンバ4を経て伝達される振動等の荷重がエンジンマウント3を介してトランスミッションケース11に作用したとしても、トランスミッションケース11の剛性が高く確保されていることで、トランスミッションケース11の一部分に応力が集中してしまうといったことが回避できる。
また、前述したように本実施形態のエンジンEはアイドリングストップシステムを搭載しており、スタータ2の剛性が高くなっている。このため、この剛性が高くなっているスタータ2とトランスミッションケース11とを連結部材5によって連結することで、トランスミッションケース11の剛性を十分に高くすることが可能である。
本発明の発明者らは、本発明の効果を確認するために、前記連結部材5による連結構造を採用したもの(図1に示すもの)と採用しないもの(図6に示すもの)とを比較する実験を行った。この実験では、エンジンマウント3に対し下向きに所定荷重を作用させ、トランスミッションケース11の上面の歪み量を比較した。その結果、本発明に係る連結構造を採用したものでは、この連結構造を採用しないものに比べて歪み量が20%程度減少することが確認された。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、アイドリングストップシステムを搭載したエンジン横置き型のFF方式の車両に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、アイドリングストップシステムを搭載していない車両や、エンジン縦置き型のFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の車両についても適用が可能である。また、ガソリンエンジンを搭載した車両に限らず、ディーゼルエンジンを搭載した車両にも本発明は適用が可能である。また、コンベンショナル車両(動力源としてエンジンのみを搭載した車両)に限らず、ハイブリッド車両(動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載した車両)に対しても本発明は適用が可能である。
また、前記実施形態では、スタータ2がトランスミッションハウジング12に接続された構成としていた。つまり、本発明でいう第1筐体をトランスミッションハウジング12としていた。本発明はこれに限らず、エンジンE、特にシリンダブロックを第1筐体としてもよい。例えば、連結部材5の一端をスタータ2を介してシリンダブロックに、他端をトランスミッションケース11にそれぞれ締結する構成としてもよい。
また、前記実施形態では、エンジンマウント3がトランスミッションケース11に設けられた構成としていた。本発明はこれに限らず、エンジンマウント3がリヤカバー13に設けられた構成としてもよい。つまり、前記トランスミッションケース11とリヤカバー13とが互いに連結されたケースユニットを本発明でいう第2筐体とするようにしてもよい。このように、本発明でいう「エンジンからトランスミッションに亘る動力伝達系の筐体」とは、前記エンジンEのシリンダブロックおよび前記トランスミッションケースユニット10を含む概念である。
また、前記実施形態では、スタータ2と連結部材5との連結構造としては、スタータケース21に設けられたブラケット23に連結部材5をボルト止めしていた。本発明はこれに限らず、連結部材5をスタータケース21に直接的にボルト止めしたり溶接したりしてもよい。また、スタータケース21の外面のうちエンジンマウント3に対面する側の面に連結部材5を連結する構成としてもよい。
また、前記実施形態では、連結部材5を、スタータ2およびトランスミッションケース11とは別部材としていた。本発明はこれに限らず、連結部材5をスタータ2と一体成形しておき、この連結部材5の一端部分をトランスミッションケース11に締結する構成としてもよい。また、連結部材5をトランスミッションケース11と一体成形しておき、連結部材5の一端部分をスタータ2に締結する構成としてもよい。
さらに、前記実施形態では、スタータ2がトランスミッションケースユニット10の上方に位置し、エンジンマウント3がトランスミッションケース11の上面に設けられた構成に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、スタータ2がトランスミッションケースユニット10の側方に位置し、エンジンマウント3がトランスミッションケース11の側面に設けられた構成に対しても適用が可能である。
また、本発明の技術的思想は、第1筐体と第2筐体とが同じ部材で構成されているものも含まれる。一例として、前記トランスミッションケース11とトランスミッションハウジング12とが一体成形されたものなど種々の構成が挙げられる。
また、前記実施形態では、トランスミッションハウジング12にスタータ取り付け部12cを設け、このスタータ取り付け部12cにスタータ2を取り付けていた。そして、連結部材5の一端をスタータ2に取り付け、連結部材5の他端をトランスミッションケース11に取り付けていた。本発明はこれに限らず、この場合に、連結部材5の他端をリヤカバー13に取り付けるようにしてもよい。また、エンジンEにスタータ取り付け部を設け、このスタータ取り付け部にスタータ2を取り付けるようにしてもよい。この場合、連結部材5の一端は、スタータ2に取り付けられ、連結部材5の他端は、トランスミッションハウジング12、トランスミッションケース11およびリヤカバー13のうちの何れかに取り付けられることになる。また、トランスミッションケース11にスタータ取り付け部を設け、このスタータ取り付け部にスタータ2を取り付けるようにしてもよい。この場合、連結部材5の一端は、スタータ2に取り付けられ、連結部材5の他端はリヤカバー13に取り付けられることになる。
本発明は、エンジンに接続されたトランスミッションケースの支持構造に適用可能である。
1 トランスミッション
10 トランスミッションケースユニット
11 トランスミッションケース(第2筐体)
11d ボルト孔
11e ボス部
12 トランスミッションハウジング(第1筐体)
13 リヤカバー
2 スタータ
3 エンジンマウント(マウント部材)
5 連結部材
E エンジン
B ボルト

Claims (7)

  1. エンジンからトランスミッションに亘る動力伝達系の筐体として、第1筐体と、トランスミッションケースの筐体である第2筐体とを少なくとも備え、前記第1筐体に接続されたスタータの外面と、前記第2筐体の外面とが、エンジン出力軸の延長方向に対して略直交する方向で互いに対面するよう配置されたトランスミッションの支持構造において、
    前記第2筐体の外面における前記スタータに対面する領域よりもエンジンと反対側の領域には、トランスミッションを車体に支持するためのマウント部材が設けられており、
    前記第2筐体の外面における、前記スタータに対面する領域と前記マウント部材が設けられている領域との間を筐体中央領域とし、前記筐体中央領域と前記スタータとが互いに連結されていることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  2. 請求項1記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記筐体中央領域は、前記マウント部材から入力されて前記第1筐体に向かう荷重の伝達経路に位置し且つ前記第2筐体の外面における前記スタータに対面する領域と前記マウント部材が設けられている領域との間であることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  3. 請求項1または2記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記筐体中央領域と前記スタータとが連結部材によって互いに連結されていることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  4. 請求項3記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記連結部材は、前記筐体中央領域に設けられたボス部およびスタータにそれぞれ締結されていることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  5. 請求項3または4記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記連結部材は、前記第2筐体の外面において、前記スタータおよびマウント部材とエンジン出力軸の延長方向に平行な直線状に配置されていることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  6. 請求項5記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記マウント部材は、ボルトによって第2筐体の外面に締結されており、このボルトの少なくとも一つがねじ込まれるボルト孔と、前記筐体中央領域に設けられた前記ボス部とは、エンジン出力軸の延長方向に平行な直線上に位置していることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
  7. 請求項1〜6のうち何れか一つに記載のトランスミッションの支持構造において、
    前記エンジンは、所定の自動停止条件が成立した際に駆動が停止され、且つ自動始動条件が成立した際に前記スタータからの動力を受けて始動されるアイドリングストップシステムを搭載したものであることを特徴とするトランスミッションの支持構造。
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