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JP2015063424A - 炭素系材料、電極触媒、電極、電気化学装置、燃料電池、及び炭素系材料の製造方法 - Google Patents

炭素系材料、電極触媒、電極、電気化学装置、燃料電池、及び炭素系材料の製造方法 Download PDF

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JP2015063424A JP2013197440A JP2013197440A JP2015063424A JP 2015063424 A JP2015063424 A JP 2015063424A JP 2013197440 A JP2013197440 A JP 2013197440A JP 2013197440 A JP2013197440 A JP 2013197440A JP 2015063424 A JP2015063424 A JP 2015063424A
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亮 釜井
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Shuji Nakanishi
周次 中西
祐基 北出
Sukeki Kitade
祐基 北出
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Takao Hayashi
隆夫 林
雄也 鈴木
Takeya Suzuki
雄也 鈴木
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Abstract

【課題】触媒活性が高く、容易に製造されることができ、しかもバインダを要することなく電極触媒として容易に使用され得る炭素系材料を提供する。【解決手段】本発明に係る炭素系材料1は、シート状の形状を有する。炭素系材料1は、無定形炭素製のシート材2を備える。更に、炭素系材料1は、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含有する非金属原子並びに金属原子を含有する活性層3を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒として好適な炭素系材料、前記炭素系材料を含む電極触媒、前記炭素系材料を備える電極、前記電極を備える電気化学装置及び燃料電池、並びに前記炭素系材料の製造方法に関する。
下記に示す酸素還元反応は、H2/O2燃料電池、食塩電解等における、カソード反応であり、エネルギー変換電気化学デバイスなどにおいて重要である。
2+4H++4e- → 2H2
また、この酸素還元反応の逆反応である下記の酸素発生反応は、水の電気分解等におけるアノード反応として重要である。
2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
各種デバイスにおいて酸素還元反応又は酸素発生反応を進行させる場合、通常は触媒として白金、酸化ルテニウム、酸化イリジウムなどの貴金属が広く使用されている。
例えば特許文献1には、固体高分子型燃料電池におけるガス拡散電極を得るにあたり、触媒として白金族金属及び白金族合金からなる群から選ばれる金属粒子を用い、これをカーボンブラック粉末等の担体に担持させることで金属担持触媒を形成し、この金属担持触媒を、カーボンクロス等からなるガス拡散層に、含フッ素イオン交換樹脂で固定することが、開示されている。
特開2002−184414号公報
しかし、貴金属は稀少で高価であり、且つ価格が不安定であるので、貴金属を触媒として使用することには、省資源化の観点、入手安定性を確保する観点、低コスト化の観点などから、問題がある。
また、触媒が粒子状であると、上記のようにガス拡散層等に触媒を固定させるための手間を要するようになる。また、触媒をガス拡散層等の部材に固定するためには、上記の通り含フッ素イオン交換樹脂等のバインダが必要となるが、ガス拡散電極を長期間使用すると、電極反応により生成する酸素ラジカル種等によってバインダが次第に劣化してしまう。このことが、ガス拡散電極の経時劣化の原因となっている。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒活性が高く、容易に製造されることができ、しかもバインダを使用することなく電極触媒として容易に使用されることができ、又は、バインダを使用してさらに別の触媒を固定したとしても電極の経時性能劣化を抑制できる炭素系材料、前記炭素系材料を含む電極触媒、前記炭素系材料を備える電極、前記電極を備える電気化学装置及び燃料電池、並びに前記炭素系材料の製造方法を提供することを目的とする。
第1の態様に係る炭素系材料は、
シート状の形状を有し、
無定形炭素製のシート材と、
窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含有する非金属原子並びに金属原子を含有する、活性層とを備える。
第2の態様に係る炭素系材料では、第1の態様において、前記シート材が、無定形炭素製の織布又は不織布である。
第3の態様に係る炭素系材料は、第1又は第2の態様において、多孔質である。
第4の態様に係る炭素系材料では、第1乃至第3のいずれか一の態様において、前記シート材の表層に前記非金属原子及び前記金属原子がドープされており、前記表層に前記活性層が形成されている。
第5の態様に係る炭素系材料は、第1乃至第4のいずれか一の態様において、XPS測定で評価される炭素原子に対する前記金属原子の比が0.01未満、かつ炭素原子に対する前記非金属原子の比が0.05未満である。
第6の態様に係る炭素系材料では、第4又は第5の態様において、前記活性層の厚みが1nm以下である。
第7の態様に係る炭素系材料では、第4乃至第6のいずれか一の態様において、CuKα線を用いてX線回折測定されることで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する、不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピークの強度の比が、0.1以下である。
第8の態様に係る炭素系材料では、第1乃至第3のいずれか一の態様において、前記活性層が、前記非金属原子と前記金属原子とを有する炭素化合物を含有する。
第9の態様に係る炭素系材料では、第7の態様において、前記炭素化合物が、前記非金属原子と前記金属原子とを有する有機金属錯体と、前記非金属原子と前記金属原子とを有するポリマー錯体とのうち、少なくとも一方を含有する。
第10の態様に係る炭素系材料では、第8又は第9の態様において、前記炭素化合物を焼成することで前記活性層が形成されている。
第11の態様に係る炭素系材料では、第1乃至第10のいずれか一の態様において、前記非金属原子が窒素原子を含み、前記金属原子が鉄原子とコバルト原子とのうち少なくとも一方を含む。
第12の態様に係る電極触媒は、第1乃至第10のいずれか一の態様に係る炭素系材料を含む。
第13の態様に係る電極は、第1乃至第11のいずれか一の態様に係る炭素系材料を備える。
第14の態様に係る電極は、第13の態様において、ガス拡散電極として構成されている。
第15の態様に係る電極は、第13又は第14の態様において、前記炭素系材料に重なっている撥水層を備える。
第16の態様に係る電極では、第15の態様において、前記撥水層が多孔質である。
第17の態様に係る電気化学装置は、第13乃至第16のいずれか一の態様に係る電極を備える。
第18の態様に係る燃料電池は、第13乃至第16のいずれか一の態様に係る電極を備える。
第19の態様に係る炭素系材料の製造方法は、
窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選択される一種以上の原子を含有する非金属原子を有する非金属化合物と、金属化合物とを、無定形炭素製のシート材に付着させる工程と、
前記非金属化合物、前記金属化合物及び前記シート材を、800℃以上1000℃以下の範囲内の温度で、45秒以上600秒未満の範囲内の時間、加熱する工程とを含む。
第20の態様に係る炭素系材料の製造方法では、第19の態様において、前記シート材が、無定形炭素製の織布又は不織布である。
第21の態様に係る炭素系材料の製造方法では、第19又は第20の態様において、前記シート材が多孔質である
第22の態様に係る炭素系材料、第19乃至第21のいずれか一の態様に係る方法で製造される。
本発明によれば、炭素系材料の触媒活性を向上することができ、更に、炭素系材料を得るための炭素源原料として無定形炭素製のシート材を使用することができるために、炭素系材料を容易に得ることができ、しかも炭素系材料がシート状であることで、バインダを使用することなく電極触媒として容易に適用することができ、又は、バインダを使用してさらに別の触媒を固定したとしても電極の経時的な性能劣化を抑制できる。
本発明の一実施形態における炭素系材料及びこの炭素系材料のみで構成される電極の例を示す概略図である。 本発明の一実施形態における炭素系材料及び撥水層を備える電極の例を示す概略図である。 実施例1により得られた炭素系材料について、ボルタンメトリーにより得られた、1Mトリス塩酸塩水溶液中での酸素還元領域におけるボルタモグラムを示すグラフである。 実施例2により得られた炭素系材料について、ボルタンメトリーにより得られた、1Mトリス塩酸塩水溶液中での酸素還元領域におけるボルタモグラムを示すグラフである。 実施例1により得られた炭素系材料を備えるガス拡散電極について、ボルタンメトリーにより得られた、1Mトリス塩酸塩水溶液中での酸素還元領域におけるボルタモグラムを示すグラフである。
本実施形態に係る炭素系材料1は、無定形炭素製のシート材2と、活性層3とを備える。活性層3は、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含有する非金属原子並びに金属原子を含む。
このため、本実施形態では、炭素系材料1が高い触媒活性を有する。更に、炭素系材料1を得るための炭素源原料として、入手容易な無定形炭素製のシート材2を使用することができるために、炭素系材料1を容易に得ることができる。従って、触媒活性の高い炭素系材料1を、容易に得ることができる。更に、炭素系材料1がシート状であることから、この炭素系材料1を、電極6を構成する部材として使用することで、バインダを要することなく電極触媒として容易に使用することができる。
尚、本明細書において、無定形炭素という語は、一般的な意味で用いられる。すなわち、無定形炭素とは、明確な結晶構造を有さない炭素を意味する。特に、無定形炭素をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度の、黒鉛(例えばパナソニック株式会社製、PGSグラファイトシート、17μm厚)をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する比の値が、0.05〜0.5の範囲内であることが好ましい。
シート材2は、無定形炭素製の織布又は不織布であることが好ましい。また、炭素系材料1が、多孔質であることも好ましい。これらの場合、炭素系材料1が、ガス拡散電極におけるガス拡散層を構成すると同時に電極触媒を構成することができる。
非金属原子及び金属原子が、シート材2の表層にドープされていてもよい。この場合、シート材2の表層に活性層3が形成される。この場合、炭素系材料1の導電性が活性層3によって阻害されにくい。このため、特に炭素系材料1が電極触媒に適用される場合にその触媒活性が更に向上する。
尚、本実施形態において、シート材2に非金属原子が「ドープされている」とは、シート材2を構成する原子と非金属原子とが化学結合していることをいう。特に、非金属原子が、シート材2中の炭素骨格の中に組み込まれていることが好ましい。より具体的には、例えば、sp2炭素が順次結合して構成されている炭素骨格における、1つ以上の炭素が、ドーパント原子に置換されていることが好ましい。
シート材2に非金属原子がドープされていることは、例えば、ラマン分光測定を行うことにより確認できる。具体的には、例えば次の方法により、シート材2に非金属原子がドープされていることが確認できる。まず、炭素系材料1についての、ラマン分光測定によって得られるラマンスペクトルにおける、炭素のsp2軌道による結合に由来するGバンドのピークと、炭素のsp2軌道による結合の欠陥に由来するDバンドのピークとを確認する。このDバンドのピークの強度(Id)と、Gバンドのピークの強度(Ig)との比(Id/Ig)は、シート材2に異種元素がドープされることで大きくなる。未ドープのシート材2の場合と比較して強度比(Id/Ig)が大きい場合に、異種元素がドープされていることが確認できる。
シート材2に非金属原子がドープされていることは、X線光電子分析法でも確認できる。具体的には、例えば炭素系材料1についての、X線光電子分析法により得られた束縛エネルギースペクトルにおける、シート材2にドープされた非金属原子に由来するピーク位置(例えば窒素原子の1s軌道電子に由来するピーク位置)に基づいて、シート材2に非金属原子がドープされていることを確認できる。例えば、非金属原子が窒素原子である場合、束縛エネルギースペクトルにおける、窒素原子の1s軌道電子に由来するピークが、399.9eV付近に位置していれば、炭素骨格の中に組み込まれた窒素原子の存在が確認できる。
本実施形態において、シート材2に金属原子が「ドープされている」とは、シート材2を構成する原子と金属原子とが化学結合していることをいう。特に、金属原子が、シート材2にドープされている非金属原子と配位結合していることが好ましい。この場合、シート材2にドープされている金属原子は、シート材2中の炭素原子と直接結合していなくてもよい。炭素系材料1についての、金属原子のK端広域X線吸収微細構造(EXAFS)をフーリエ変換して得られる動径分布関数に、金属原子と非金属原子との配位結合距離付近でピークが現れていれば、非金属原子と金属原子との配位結合の存在を確認できる。更に、炭素系材料1について得られるX線吸収スペクトル(XAS)における、非金属原子の内殻電子(たとえば窒素原子であれば1s軌道電子)の非占有軌道への励起に由来する吸収ピークの位置と、金属原子の内殻電子(例えば鉄原子であれば2p軌道電子)の非占有軌道への励起に由来する吸収ピークの位置の各々が、配位結合が存在しない場合のピーク位置からシフトし、且つこれらのピーク位置のシフト方向が互いに異なる方向であれば、非金属原子と金属原子との配位結合の存在を確認できる。これは、非金属原子と金属原子とが配位結合することにより、一方の原子の電子密度が高く、他方の原子の電子密度が低くなるからである。すなわち、XASにおいて、非金属原子と金属原子とのうち電子密度が高くなる原子に由来する吸収エネルギーのピークは低エネルギー側にシフトし、電子密度が低くなる原子に由来する吸収エネルギーのピークは高エネルギー側にシフトするからである。
炭素系材料1をXPS測定で評価した場合に、炭素原子に対する金属原子の比が0.01未満、かつ炭素原子に対する非金属原子の比が0.05未満であってもよい。このように金属原子のドープ量が少なくても、炭素系材料1は高い触媒活性を有する。
尚、XPS測定は、光源としてAlの特性X線を使用し、3X10-8Paの真空条件下で行われる。炭素系材料1をXPS測定すると、炭素系材料1の表層における一定領域内での元素組成を確認することができる。このため、XPS測定によって、一定領域内における金属原子のドープ量が測定される。尚、「XPS測定により評価される炭素原子に対する金属原子の割合が、0.01未満」である場合には、炭素原子に対する比率が0.01以上の金属原子が測定可能な条件下において、測定精度の限界によって金属原子の存在が検出不能な場合を含む。また「XPS測定により評価される炭素原子に対する前記非金属原子の割合が、0.05未満」である場合には、炭素原子に対する比率が0.05以上の非金属原子が測定可能な条件下において、測定精度の限界によって非金属原子の存在が検出不能な場合を含む。
炭素系材料1のXPS測定にあたっては、予め炭素系材料1を酸性水溶液で洗浄するなどして、炭素系材料1とは独立して存在している物質の混入量を充分に低減しておく。酸洗浄にあたっては、例えば炭素系材料1を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間、撹拌する。
活性層3の厚みが1nm以下であることが好ましい。このように活性層3の厚みが薄いことで、炭素系材料1の導電性が活性層3によって更に阻害されにくくなる。このため、特に炭素系材料1が電極触媒に適用される場合にその触媒活性が更に向上する。
尚、「活性層3の厚みが1nm以下である」場合には、厚み1nmを超える活性層3を測定可能な条件下において、測定精度の限界によって活性層3の存在が確認不能な場合を含む。
炭素系材料1をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する、不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピークの強度の比が、0.1以下であることが好ましい。この場合、炭素系材料1の触媒活性が更に向上する。これは、不活性金属化合物及び金属結晶の含有量が少ないため、金属化合物及び金属結晶によって炭素系材料1の触媒活性が阻害されにくくなるからであると、考えられる。
尚、不活性金属化合物とは、炭素系材料1内における、シート材2にドープされていない金属原子が構成要素となっている化合物であり、例えば金属炭化物、金属窒化物、及び金属硫化物である。また金属結晶とは、シート材2にドープされていない金属原子からなる結晶である。
また、回折強度曲線のピークの強度を評価するにあたり、回折強度曲線のベースラインは、Shirley法によって決定される。このベースラインを基準にして、回折強度曲線のピーク強度が決定される。
また、炭素系材料1のX線回折測定にあたっては、予め酸性水溶液により炭素系材料1を洗浄するなどして、炭素系材料1とは独立して存在している物質の混入量を充分に低減しておく。酸洗浄にあたっては、例えば炭素系材料1を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間、撹拌する。
活性層3が、非金属原子と金属原子とを有する炭素化合物を含有してもよい。この場合、炭素系材料1の導電性が活性層3によって阻害されにくい。このため、特に炭素系材料1が電極触媒に適用される場合にその触媒活性が更に向上する。炭素化合物は、例えば非金属原子と金属原子とを有する有機金属錯体と、非金属原子と金属原子とを有するポリマー錯体とのうち、少なくとも一方である。活性層3が、炭素化合物を焼成することで形成されてもよい。
活性層3における非金属原子が窒素原子を含み、金属原子が鉄原子とコバルト原子とのうち少なくとも一方を含むことが、好ましい。非金属原子が窒素原子のみであってもよい。また、金属原子が、鉄原子とコバルト原子とのうち少なくとも一方のみであってもよい。
この場合、炭素系材料1が特に高い触媒活性を有する。このため、炭素系材料1が電極触媒、特に酸素還元電極触媒又は酸素発生触媒に適用される場合に、非常に優れた性能を発揮する。
以下、本実施形態に係る炭素系材料1の、より具体的な形態について説明する。
まず、本実施形態に係る炭素系材料1の第一の形態について説明する。本形態に係る炭素系材料1は、無定形炭素製のシート材2の表層に、非金属原子及び金属原子がドープされて成る。このため、シート材2の表層に、活性層3が形成されている。換言すれば、本形態に係る炭素系材料1は、実質的に無定形炭素からなるコア層4と、コア層4を覆う、非金属原子と金属原子とを含有する活性層3とを備える。これは、炭素系材料1が製造される過程において、シート材2に金属原子と非金属原子とがドープされる際、非金属原子と金属原子とはシート材2の内部までは容易には侵入せず、主としてシート材2の表層にドープされるからである。
炭素系材料1は、多孔質であることが好ましい。この場合、炭素系材料1が、電極6を構成する部材として好適であり、特にガス拡散電極におけるガス拡散層として好適である。
無定形炭素製のシート材2は、例えば無定形炭素製の織布又は不織布である。この場合、炭素系材料1が多孔質になる。また、この場合、シート材2を構成する繊維5(無定形炭素繊維)の表層に活性層3が形成される。換言すれば、シート材2を構成する繊維5は、実質的に無定形炭素からなるコア層4と、コア層4を覆う、非金属原子と金属原子とを含有する活性層3とを備える。
炭素系材料1の寸法は特に制限されず、例えばこの炭素系材料1が微小な寸法を有してもよい。
シート材2にドープされている金属原子は、特に限定されないが、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、及び金(Au)から選択される、一種以上の原子を含有することが好ましい。この場合、炭素系材料1が、特に酸素還元反応を促進させるための触媒として、優れた性能を発揮する。シート材2にドープされる金属原子の量は、炭素系材料1が優れた触媒性能を発揮するように適宜設定されればよい。
シート材2にドープされている非金属原子は、上記の通り、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含有する。シート材2にドープされている非金属原子の量も、炭素系材料1が優れた触媒性能を発揮するように適宜設定されればよい。
シート材2にドープされている金属原子と非金属原子との組み合わせは、適宜選択される。特に、炭素系材料1が酸素還元電極触媒に適用される場合には、非金属原子が窒素原子を含み、金属原子が鉄原子を含むことが好ましい。この場合、炭素系材料1が特に優れた触媒活性を発揮することができる。非金属原子が窒素原子のみであってもよい。また、金属原子が鉄原子のみであってもよい。
また、炭素系材料1が酸素発生電極に適用される場合には、非金属原子が窒素原子を含み、金属原子がコバルト原子とマンガン原子とのうち少なくとも一方を含むことが、好ましい。この場合、炭素系材料1が特に優れた触媒活性を発揮することができる。非金属原子が窒素原子のみであってもよい。また、金属原子がコバルト原子のみ、マンガン原子のみ、或いはコバルト原子及びマンガン原子のみであってもよい。
本形態に係る炭素系材料1のサイクリックボルタンメトリーによる測定結果(ボルタモグラム)によると、ボルタモグラムには、シート材2にドープされている金属原子(イオン)の酸化還元反応に由来するピークが現れる。換言すれば、この金属原子の酸化還元に由来するピークの存在に基づいて、シート材2に金属原子がドープされていることが、確認できる。また、このボルタモグラムにおける酸化反応時のピーク位置の電位と還元反応時のピーク位置の電位との平均値(酸化還元電位)は、シート材2にドープされている非金属原子の種類に応じてシフトする。換言すれば、酸化還元電位の値或いはシフト量に基づいて、シート材2に非金属原子がドープされていることが、確認できる。また、炭素系材料1上での電気化学的反応は炭素系材料1の表面で生じると考えられるため、金属原子及び非金属原子はシート材2の表層に存在すると評価できる。
本形態に係る炭素系材料1は、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む直径1nm以上の粒子を、含有しないことが好ましい。特に、炭素系材料1が、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子を、その粒径にかかわらず、含有しないことが好ましい。
尚、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子の存在及びその粒径は、炭素系材料1を透過型電子顕微鏡で観察することによって、確認される。「不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む直径1nm以上の粒子を、含有しない」とは、炭素系材料1を透過型電子顕微鏡で観察した場合、炭素系材料1のいかなる位置を観察したとしても、透過型電子顕微鏡により得られる画像からは、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む直径1nm以上の粒子の存在が認められないことを、意味する。尚、粒子の直径とは、透過型電子顕微鏡により得られる粒子の画像を画像処理することで得られる真円換算直径である。透過型電子顕微鏡としては、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の型番H−9000UHRを使用することができる。
炭素系材料1を透過型電子顕微鏡で観察するにあたっては、予め酸性水溶液により炭素系材料1を洗浄するなどして、炭素系材料1とは独立して存在している物質の混入量を充分に低減しておく。酸洗浄にあたっては、例えば炭素系材料1を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間、撹拌する。
上記のように炭素系材料1が、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む直径1nm以上の粒子を含有しない場合、炭素系材料1の触媒活性が更に高くなる。これは、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子が存在せず、或いはこの粒子が非常に小さいために、金属化合物及び金属結晶によって炭素系材料1の触媒活性が阻害されにくくなるからであると、考えられる。尚、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子は、炭素系材料1の製造過程において、金属原子がドープされずに不活性金属化合物や金属結晶が生成することで生じると考えられる。
また、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子は、炭素系材料1に一旦ドープされた金属原子が脱離してそのまま凝集し或いはこの金属原子が炭素原子等と結合して凝集することによっても、生じると考えられる。このため、不活性金属化合物及び金属結晶のうち少なくとも一方を含む粒子が存在せず、或いはこの粒子が非常に小さいということは、炭素系材料1からの金属原子の脱離が抑制され、炭素系材料1の表層に充分な量の金属原子が分布していることを意味すると、考えられる。このことも、本形態に係る炭素系材料1の触媒活性が高いことの一因であると、考えられる。
また、本形態に係る炭素系材料1をXPS(X線光電子分光)測定することで評価される炭素原子に対する金属原子の割合が、0.01未満であり、かつ炭素原子に対する非金属原子の割合が、0.05未満であることが好ましい。この場合、炭素系材料1の表層における一定領域内での金属原子及び非金属原子の量が少ないことから、炭素系材料1における金属原子及び非金属原子のドープ量が少ないと評価できる。本形態では、このように金属原子のドープ量が少なくても、高い触媒活性を有する炭素系材料1が得られる。
炭素原子に対する金属原子の割合は、特に0であることが好ましい。また炭素に対する非金属原子の割合は、特に0であることが好ましい。尚、この金属原子及び非金属原子の割合は、あくまでXPS測定により評価される値であり、この値が0であっても、実際に炭素系材料1の表層における金属原子及び非金属原子の量が0であるとはいえない。炭素系材料1の表層に金属原子及び非金属原子が存在することは、炭素系材料1のサイクリックボルタンメトリーによる測定結果から確認される。
また、本形態に係る炭素系材料1における活性層3の厚みが、1nm以下であることが好ましい。この場合、活性層3の厚みが薄いため、炭素系材料1の導電性が活性層3によって阻害されにくくなる。上記の通り、「活性層3の厚みが1nm以下である」場合には、厚み1nmを超える活性層3を測定可能な条件下において、測定精度の限界によって活性層3の存在が確認不能な場合を含むため、活性層3の厚みの好ましい下限は規定されない。尚、活性層3の存在が確認不能であっても、炭素系材料1の表層に金属原子及び非金属原子が存在しないとはいえない。炭素系材料1の表層に金属原子及び非金属原子が存在することは、上記の通り炭素系材料1のサイクリックボルタンメトリーによる測定結果から確認される。
また、本形態に係る炭素系材料1を、CuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する、不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピークの強度の比が、0.1以下であることが好ましい。この場合、炭素系材料1中の不活性金属化合物及び金属結晶の割合は非常に低くなる。このため、炭素系材料1の触媒活性が更に向上する。このピークの強度の比は小さいほど好ましく、回折強度曲線に不活性金属化合物及び金属結晶に由来するピークが認められなければ、特に好ましい。
尚、回折強度曲線のピークの強度を評価するにあたり、回折強度曲線のベースラインは、Shirley法によって決定される。このベースラインを基準にして、回折強度曲線のピーク強度が決定される。
尚、本形態に係る炭素系材料1のX線回折測定をおこなう場合、測定の対象となるのは炭素系材料1のみであり、炭素系材料1に混入している物質や、炭素系材料1に付着している物質などのように、炭素系材料1とは独立して存在している物質は、測定の対象からは除外される。このため、炭素系材料1のX線回折測定にあたっては、予め酸性水溶液により炭素系材料1を洗浄するなどして、炭素系材料1とは独立して存在している物質の混入量を充分に低減しておく必要がある。酸洗浄にあたっては、例えば炭素系材料1を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間、撹拌する。
また、本形態に係る炭素系材料1をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度の、黒鉛(例えばパナソニック株式会社製、PGSグラファイトシート、17μm厚)をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する比の値が、0.05〜0.5の範囲内であることが好ましい。
尚、炭素系材料1及び黒鉛についての回折強度曲線における、(002)面のピークは、2θが26°付近の位置に現れる。θは、X線回折測定時の、サンプルに対するX線の入射角を示す。また、回折強度曲線のベースラインは、Shirley法によって決定され、このベースラインを基準にして、回折強度曲線のピーク強度が決定される。
本形態に係る炭素系材料1は、上記の通り電極触媒として用いられる場合に、優れた触媒性能を発揮し、特に酸素還元触媒として用いられる場合又は酸素発生触媒として用いられる場合に、優れた触媒性能を発揮する。
次に、第一の形態に係る炭素系材料1の製造方法について、説明する。
本製造方法は、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、及びリン原子から選択される一種以上の原子を含む非金属原子を有する非金属化合物と、金属化合物とを、無定形炭素製のシート材2に付着させる工程と、非金属化合物、金属化合物及びシート材2を、800℃以上1000℃以下の範囲内の温度で、45秒以上600秒未満の範囲内の時間、加熱する工程とを含む。
シート材2は、例えば無定形炭素製の織布又は不織布である。また、シート材2は、例えば多孔質である。
本製造方法によって、高い触媒活性を有する炭素系材料1が得られる。更に、炭素系材料1を得るための炭素源原料として、入手容易な無定形炭素製のシート材2を使用するために、炭素系材料1を容易に得ることができる。更に、シート状の炭素系材料1が得られるため、この炭素系材料1を電極6を構成する部材として使用することで、バインダを要することなく電極触媒として容易に使用することができる。
本製造方法では、非金属化合物、金属化合物及び無定形炭素製のシート材2が高温で短時間加熱されることで、これらが加熱される過程で金属原子がシート材2にドープされずに不活性金属化合物や金属結晶が生成してしまうことが、抑制され、そのために炭素系材料1の触媒活性が高くなるものと、考えられる。すなわち、炭素系材料1中に不活性金属化合物及び金属結晶が存在せず、或いはこれらの量が少なくなるため、炭素系材料1の触媒活性が不活性金属化合物及び金属結晶によって阻害されることが、抑制されるものと考えられる。
また、非金属化合物、金属化合物及び無定形炭素製のシート材2が高温で短時間加熱されると、炭素系材料1に一旦ドープされた金属原子が脱離しにくくなる。このため金属原子が脱離してそのまま凝集したり、この金属原子が炭素原子等と結合して凝集したりすることが抑制されると考えられる。このことも、不活性金属化合物及び金属結晶の生成が抑制されることの一因であると、考えられる。また、このように炭素系材料1からの金属原子の脱離が抑制されると、炭素系材料1の表層に充分な量の金属原子が分布する。このことも、炭素系材料1の触媒活性が高くなることの一因であると考えられる。
本形態に係る炭素系材料1の製造方法について、更に具体的に説明する。
本製造方法では、無定形炭素製のシート材2を用意する。このシート材2は、上述の通り、多孔質であることが好ましい。このようなシート材2は、例えば無定形炭素製の織布又は不織布である。シート材2の寸法は特に制限されず、例えばこのシート材2が微小な寸法を有してもよい。このシート材2をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度の、黒鉛(例えばパナソニック株式会社製、PGSグラファイトシート、17μm厚)をCuKα線を用いてX線回折測定することで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する比の値が、0.05〜0.5の範囲内であることが好ましい。
金属化合物は、無定形炭素製のシート材2にドープされる得る金属原子を有する適宜の化合物を含有することができる。例えば金属化合物は、金属の塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、臭化物塩、よう化物塩、フッ化物塩などのような無機金属塩;酢酸塩などの有機金属塩;無機金属塩の水和物;及び有機金属塩の水和物から選ばれる、一種以上の化合物を含有することができる。また、例えばシート材2に鉄原子がドープされる場合には、金属化合物が、塩化鉄(III)を含有することが好ましい。また、シート材2にコバルト原子がドープされる場合には、金属化合物が塩化コバルトを含有することが好ましい。また、シート材2にマンガン原子がドープされる場合には、金属化合物が酢酸マンガンを含有することが好ましい。
金属化合物の使用量は、シート材2への金属原子のドープ量に応じて適宜設定される。例えば金属化合物の使用量は、シート材2に対する金属化合物中の金属原子の割合が5〜30質量%となるように決定されることが好ましく、更にこの割合が5〜20質量%の範囲となるように決定されることが好ましい。
非金属化合物は、上記の通り、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含む非金属原子を有する。非金属化合物は、例えばペンタエチレンヘキサミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、オクチルボロン酸、1,2−ビス(ジエチルホスフィリエタン)、亜リン酸トリフェニル及びベンジルジサルフィドからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
特に非金属化合物が、シート材2にドープされる金属原子と反応して錯体を形成可能な化合物を含有することが好ましい。特に、非金属化合物が、金属原子と反応して錯体を形成可能な化合物として、ペンタエチレンヘキサミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、及びエチレンジアミンからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することが好まし。この場合、炭素系材料1の触媒活性が特に高くなる。その理由は、次の通りであると推察される。金属原子と反応して錯体を形成可能な化合物が用いられると、金属原子と非金属原子とがシート材2にドープされる過程において、金属化合物に由来する金属原子と非金属化合物とが一時的に錯体を形成してから、金属原子と非金属原子とがシート材2にドープされやすくなると考えられる。その結果、炭素系材料1中では、金属原子と非金属原子が配位結合すると、考えられる。ここで、炭素系材料1の触媒活性は、炭素系材料1中における非金属原子と金属原子とが近接している位置で発現すると考えられる。このために、金属原子と反応して錯体を形成可能な非金属化合物が用いられることで、炭素系材料1の触媒活性が更に向上すると、考えられる。ここで、炭素系材料1の触媒活性は、炭素系材料1中における非金属原子と金属原子とが近接している位置で発現すると考えられる。このために、金属原子と反応して錯体を形成可能な非金属化合物が用いられることで、炭素系材料1の触媒活性が更に向上すると、考えられる。
尚、上記の通り、炭素系材料1のサイクリックボルタンメトリーによる測定結果によると、酸化還元電位は、炭素系材料1にドープされている非金属原子の種類に応じてシフトする。この酸化還元電位のシフトは、金属原子と非金属原子とが配位結合することで、金属原子の電子状態が変化するためであると考えられる。換言すれば、炭素系材料1の酸化還元電位がシフトしている場合には、この炭素系材料1にドープされている金属原子と非金属原子とが配位結合していると評価できる。
また、非金属化合物の分子量は、800以下であることが好ましい。この場合、非金属化合物に由来する非金属原子が、シート材2に容易にドープされる。これは、非金属化合物の分子量が小さいために、非金属化合物が短時間で熱分解して非金属原子が生成し、そのため、非金属原子が速やかにシート材2にドープされるからであると、考えられる。
非金属化合物の使用量は、シート材2への非金属原子のドープ量に応じて適宜設定される。例えば非金属化合物の使用量は、金属化合物中の金属原子と、非金属化合物中の非金属原子とのモル比が、1:1〜1:2の範囲となるように決定されることが好ましく、更にこのモル比が1:1.5〜1:1.8の範囲となるように決定されることが好ましい。
金属化合物と非金属化合物とは、例えば次のようにしてシート材2にドープさせられる。まず金属化合物と非金属化合物とを含有する溶液を調製する。この溶液を、80℃のホットプレート上にのせたシート材2の上に滴下してから、加熱する。これにより、金属化合物と非金属化合物とがシート材2に付着する。
次に、金属化合物、非金属化合物及びシート材2を加熱する。この加熱は、適宜の手法でなされる。例えば、還元性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下において、金属化合物、非金属化合物及びシート材2を加熱することができる。これにより、シート材2に金属原子及び非金属原子がドープされる。この加熱処理時の加熱温度は800℃以上1000℃以下の範囲内であり、加熱時間は45秒以上600秒未満の範囲内である。このように加熱時間が短時間であるため、炭素系材料1が効率良く製造され、しかも炭素系材料1の触媒活性が更に高くなる。
この加熱処理にあたって、金属化合物、非金属化合物及びシート材2を加熱温度まで昇温させる際の昇温速度は、50℃/s以上であることが好ましい。このように金属化合物、非金属化合物及びシート材2が急速加熱されると、炭素系材料1の触媒活性が更に高くなる。これは、炭素系材料1中の不活性金属化合物及び金属結晶の量が更に低減するためであると考えられる。
この炭素系材料1に対して、更に酸洗浄を施してもよい。酸洗浄にあたっては、例えば炭素系材料1を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間撹拌する。このような酸洗浄がなされると、炭素系材料1が触媒として適用される場合の過電圧には、酸洗浄が施されない場合と比べて大きな変化はみられないが、炭素系材料1からの金属成分の溶出が抑えられる。
このような製造方法により、不活性金属化合物及び金属結晶の含有量が著しく低く、且つ導電性の高い炭素系材料1が得られる。
次に、本実施形態に係る炭素系材料1の、第二の形態について説明する。本形態に係る炭素系材料1は、非金属原子と金属原子とを有する炭素化合物を含有する活性層3を備える。
炭素化合物は、例えば有機金属錯体と、非金属原子と金属原子とを有するポリマー錯体とのうち、少なくとも一方を含有する。有機金属錯体の具体例としては、コバルトポルフィリン錯体及び鉄ポルフィリン錯体が挙げられる。また、ポリマー錯体の具体例としては、Poly(bis-2,6-diaminopyridinesulfoxide)及びコバルトポリピロールが挙げられる。
本形態に係る炭素系材料1を製造するにあたっては、例えばまず炭素化合物を含有するコーティング剤を調製し、このコーティング剤を、無定形炭素製のシート材2に塗布する。これにより、シート材2上に、炭素化合物を含有する活性層3が形成される。また、コーティング剤を、シート材2に塗布してから、このコーティング剤を加熱して焼成してもよい。この場合の加熱温度は700〜1000℃の範囲内、加熱時間は1〜3時間の範囲内であることが好ましい。これにより、シート材2上に、炭素化合物の焼成物から成る活性層3が形成される。これにより、最外層に活性層3を備えるシート状の炭素系材料1が得られる。
本実施形態に係る炭素系材料1は、高い触媒活性を有すると共に高い導電性を有することから、特に、電気化学的手法により電極6上で化学反応を進行させるために使用される触媒(すなわち、電極触媒)として好適である。更に、電極6上で酸素還元反応を進行させるために使用される触媒(すなわち、酸素還元電極触媒)として好適であり、或いは電極6上で酸素発生反応を進行させるために使用される触媒(すなわち、酸素発生電極触媒)として好適である。また、気相中の酸素を還元させるためなどに用いられるガス拡散電極に適用される触媒として、特に好適である。
本実施形態に係る炭素系材料1を含む電極触媒及び本実施形態に係る炭素系材料1を備える電極6について説明する。
本実施形態に係る電極触媒は、炭素系材料1を含む。この電極触媒は、炭素系材料1が高い触媒活性を発揮するため、優れた性能を有する。また、この電極触媒を、バインダを要することなく電極6に容易に適用することができる。この電極触媒は、特に酸素還元電極触媒又は酸素発生電極触媒として好適である。
本実施形態に係る電極6は、炭素系材料1を備える。この場合、炭素系材料1が電極触媒として優れた性能を有するため、電極6も優れた性能を有する。また、炭素系材料1を、バインダを要することなく電極6に容易に適用することができるため、電極6が容易に得られる。この電極6は、特に酸素還元電極又は酸素発生電極として好適である。
本実施形態に係る電極6は、ガス拡散電極として構成されてもよい。特に炭素系材料1が多孔質であれば、炭素系材料1が電極触媒とガス拡散層とを兼ねることができる。
本実施形態に係る電極6は、撥水層7を備えてもよい。特に電極6がガス拡散電極として構成されている場合に、電極6が撥水層7を備えることが好ましい。この場合、電解液が電極6を透過することを、撥水層7が妨げることができる。また、撥水層7が、電極6の耐久性を向上することができる。
撥水層7は、多孔質であることが好ましい。この場合、撥水層7が、電解液が電極6を透過することを妨げると共に、気体が電極6を透過することを許容することができる。このため、電極6が、特にガス拡散電極として優れた性能を有する。
本実施形態に係る電極6について、更に詳しく説明する。
電極6がガス拡散電極として構成される場合、電極6は、炭素系材料1からなるガス拡散層を備える。電極6は、必要に応じ、さらに支持体を備え、この支持体に炭素系材料1が支持されていてもよい。また、電極6は、炭素系材料1のみから構成されてもよい。この炭素系材料1には、炭素系材料1とは別に触媒が固定される必要はない。
支持体は、それ自身が剛性を有し、電極6に一定の形状を付与することのできる部材をいう。支持体の材質は、電極6が一定の形状を保持できる程度の剛性を有していれば、特に制限されない。また、支持体は絶縁体であっても導電体であってもよい。支持体が絶縁体である場合、支持体は、例えばガラス、プラスチック、合成ゴム、セラミックス、耐水若しくは撥水処理が施された紙及び植物片(例えば、木片を含む)、並びに動物片(例えば、骨片、貝殻、スポンジを含む)から選択される一種以上の材料から作製される。支持体が多孔質であると、支持体における炭素系材料1と接触し得る面の面積が大きくなるため、電極6の質量活性が増大する。多孔質な支持体は、例えば、多孔質セラミック、多孔質プラスチック、及び動物片からなる群から選択される一種以上の材料から作製される。また、支持体が導電体である場合、支持体は、例えば炭素系物質(例えば、カーボンペーパー、カーボンファイバ、炭素棒を含む)、金属、及び導電性ポリマーからなる群から選択される一種以上の材料から作製される。支持体が導電体の場合には、例えば炭素系材料1を担持した担体が支持体の表面上に配置されると、支持体が集電体を兼ねることができる。
電極6が支持体を備える場合、通常、支持体の形状が電極6の形状を反映する。支持体の形状は、電極6の機能を果たすことができる形状であれば、特に限定されず、燃料電池等の形状等に応じて適宜定めればよい。支持体の形状の例としては、(略)平板状(薄層状を含む)、(略)柱状、(略)球状、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
電極6が炭素系材料1のみから構成される場合、例えば図1に示される炭素系材料1が、電極6(61)を構成することができる。炭素系材料1は、電極触媒とガス拡散層とを兼ねており、電極61はガス拡散電極として構成されている。
電極6が、炭素系材料1とは別に、粒子状等の電極触媒を更に備えてもよい。この場合、電極6上での電気化学反応の反応活性が更に向上する。粒子状の電極触媒は、例えば導電性バインダによって炭素系材料1に固定される。粒子状の電極触媒に、特に制限はない。
電極6は、撥水層7を備えてもよい。特にガス拡散電極として構成される電極6が撥水層7を備えると、撥水層7が電解液の透過を阻害することができる。このため、撥水層7が、電極6を含む電気化学系中の気相と液相とを良好に分離することができる。撥水層7は、ガス拡散層を構成する炭素系材料1に対して気相側に位置することが好ましい。
図2に、撥水層7を備える電極6(62)の一例を示す。この電極62は、図1に示す炭素系材料1と撥水層7とで構成される。この電極62では、撥水層7は、炭素系材料1の外部に設けられ、且つ炭素系材料1に接するように重ねられている。尚、炭素系材料1の外部に撥水層7が形成される場合、撥水層7と炭素系材料1とは接していなくてもよいが、撥水層7と炭素系材料1との距離は近いほど好ましい。また、撥水層7は、炭素系材料1が多孔質である場合にこの炭素系材料1の内部に形成されていてもよい。また、撥水層7が、炭素系材料1の内部と外部の両方に形成されていてもよい。
撥水層7は多孔質であることが好ましい。この場合、撥水層7は、撥水性と高い気体透過性とを共に有する。このため、撥水層7は、電極62を含む電気化学系中の気相と液相とを良好に分離しながら、気相から液相へ向かう気体の移動を許容することができる。
撥水層7は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ジメチルポリシロキサン(PDMS)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)からなる群から選択される一種以上の材料から作製される。
本実施形態に係る電極6を具備する電気化学装置について、説明する。炭素系材料1を備える電極6は、種々の電気化学装置におけるアノード、カソードのいずれにも適用されることができる。電気化学装置の具体例として、燃料電池、水の電気分解装置、二酸化炭素透過装置、食塩電解装置、金属空気電池(金属リチウム空気電池)等が、挙げられる。例えば電極6は、二酸化炭素透過装置、食塩電解装置等におけるカソードへの適用が可能である。
炭素系材料1が酸素還元電極触媒として働く場合、炭素系材料1を備える電極6は、例えば燃料電池におけるカソード、二酸化炭素透過装置におけるカソード、食塩電解装置におけるカソード等に、適用される。また、炭素系材料1が酸素発生電極触媒として働く場合、炭素系材料1を備える電極6は、例えば水の電気分解装置におけるアノード、金属空気電池におけるアノード等に、適用される。
本実施形態に係る電極6を具備する燃料電池について、説明する。本明細書でいう燃料電池は、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)及びリン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)のような水素燃料電池、並びに微生物燃料電池(MFC:Microbial Fuel Cell)を含む。
水素燃料電池は、水の電気分解の逆動作に基づいて水素と酸素から電気エネルギーを得る燃料電池であり、PEFC、PAFC、アルカリ型燃料電池(AFC; Alcaline Fuell Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;Molten Cabonate Fuell Cell)、固体電解質型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuell Cell)等が知られている。本実施形態による燃料電池は、PEFC又はPAFCであることが好ましい。PEFCはプロトン伝導性イオン交換膜を、またPAFCはマトリクス層に含侵されたリン酸(H3PO4)を、それぞれ電解質材とする燃料電池である。
本実施形態に係る電極6を備える燃料電池は、水素燃料電池、MFC等に、好適に適用され得る。燃料電池は、炭素系材料1を含む電極触媒を備えるガス拡散電極を備えること以外は、各燃料電池で公知の構成を有していればよい。例えば、燃料電池は、「燃料電池の技術」,電気学会燃料電池発電次世代システム技術調査専門委員会編,オーム社,H17や、Watanabe, K., J. Biosci. Bioeng., 2008,. 106:528-536に記載の構成を有することができる。
燃料電池において、本実施形態に係る電極6は、アノード(燃料極)、カソード(空気極)のいずれにも適用されうる。水素燃料電池において、本実施形態に係る電極6がアノードである場合、炭素系材料1が、燃料である水素ガスのH2→2H++2e-の反応を触媒して、アノードに電子を供与する。本実施形態に係る電極6がカソードである場合、炭素系材料1は酸化剤である酸素ガスの1/2O2+2H++2e-→H2Oの反応を触媒する。一方、MFCにおいて、アノードが電子供与微生物から直接電子を受容するため、本実施形態によるガス拡散電極は、主として水素燃料電池と同じ電極6反応を起こすカソードとして用いられる。
[実施例1]
0.1M塩化鉄(III)エタノール溶液に、0.15Mとなるようにペンタエチレンヘキサミンを加えることで、混合液を調製した。0.1M塩化鉄(III)エタノール溶液の使用量は、無定形炭素繊維のシート材に対する鉄原子の割合が15質量%になるように調製した。
ホットプレートの加熱温度を80℃に設定し、このホットプレート上に、平面視5cm×5cmの無定形炭素製のシート材(不織布、大阪ガスケミカル株式会社製、品名 ドナカーボフェルト LFP−105)を配置した。この状態で、シート材上に混合液を滴下し、加熱乾燥させた。これにより、シート材、塩化鉄、及びペンタエチレンヘキサミンを含有するサンプルを得た。
このサンプルを、石英管の一端部内に詰め入れ、続いてこの石英管内をアルゴンで置換した。この石英管を、900℃の炉に入れてから45秒で引き抜いた。石英管を炉に挿入する際には、石英管を炉に3秒間かけて挿入することで、加熱開始時のサンプルの昇温速度を300℃/sに調整した。続いて、石英管内にアルゴンガスを流通させることでサンプルを冷却させた。これにより、シート状の炭素系材料を得た。
この炭素系材料を、2M硫酸中に入れて、80℃で3時間撹拌することで、酸洗浄した。続いて、炭素系材料を純水で充分にすすいでから、大気中で乾燥させた。
[実施例2]
実施例1において、0.1M塩化鉄(III)エタノール溶液の代わりに0.1M塩化コバルト(II)エタノール溶液を使用した。0.1M塩化コバルト(II)エタノール溶液の使用量は、無定形炭素繊維のシート材に対するコバルト原子の割合が20質量%になるように調製した。
それ以外は、実施例1と同じ方法及び同じ条件で、炭素系材料を得た。
[XPS測定]
実施例1,2で得られた炭素系材料のXPS測定を、光源としてAlの特性X線を使用し、3×10-8Paの真空条件下でおこなった。測定の際には、炭素系材料をIn箔上に押圧することで固定した。その結果、いずれの実施例においても、炭素原子に対する金属原子の比の値は0.01未満であり、かつ炭素原子に対する非金属原子の比の値は0.05未満であった。
[X線回折測定]
実施例1,2で得られた炭素系材料を酸洗浄した。この炭素系材料の、CuKα線を用いるX線回折測定をおこなった。
その結果、いずれの実施例においても、回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する、不純物を示すピークの比率は、0.1以下であった。
[酸素還元活性評価]
実施例1及び実施例2の各々で得られた炭素系材料に電気配線を接続し、この炭素系材料を作用電極とした。この作用電極を用い、電解液として1Mトリス塩酸塩水溶液を用いて、掃引速度5mV/sの条件で、電解液を酸素ガスでバブリングしながらボルタンメトリーをおこなった。その結果得られたボルタモグラムを図3及び図4に、それぞれ示す。
このボルタモグラムによれば、実施例1では電極電位0.8V(vs.RHE)付近から酸素還元反応が進行することが認められる。また、実施例2では電極電位0.75V(vs.RHE)付近から酸素還元反応が進行することが認められる。これらは、いずれも非白金系の酸素還元触媒としは最高水準にある。
[ガス拡散電極としての酸素還元活性評価]
実施例1で得られた炭素系材料に、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートを重ね、この多孔質PTFE製シートを加熱することで炭素系材料に融着した。これにより、ガス拡散層であり且つ電極触媒でもある炭素系材料と、撥水層とを備える、電極(ガス拡散電極)を得た。
この電極における炭素系材料に電気配線を接続し、この電極を作用電極とした。この作用電極を用い、電解液として1Mトリス塩酸塩水溶液を用いて、この電解液を窒素ガスでバブリングしながら、掃引速度5mV/sの条件でボルタンメトリーをおこなった。尚、測定に際しては、炭素系材料が電解液に浸漬し、且つ撥水層が大気に露出するように、電極を配置した。その結果得られたボルタモグラムを図5に示す。
このボルタモグラムによれば、電極電位0.8V(vs.RHE)付近から酸素還元反応が進行することが認められる。従って、大気中の酸素が、撥水層を通過して炭素系材料上で反応していること、すなわち電極がガス拡散電極として機能していることが、確認できた。この電極の性能は、非白金系の酸素還元ガス拡散電極としては最高水準にある。
1 炭素系材料
2 シート材
3 活性層
6 電極

Claims (22)

  1. シート状の形状を有し、
    無定形炭素製のシート材と、
    窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される一種以上の原子を含有する非金属原子並びに金属原子を含有する活性層とを備える炭素系材料。
  2. 前記シート材が、無定形炭素製の織布又は不織布である請求項1に記載の炭素系材料。
  3. 多孔質である請求項1又は2に記載の炭素系材料。
  4. 前記シート材の表層に前記非金属原子及び前記金属原子がドープされており、前記表層に前記活性層が形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炭素系材料。
  5. XPS測定で評価される炭素原子に対する前記金属原子の比が0.01未満、かつ炭素原子に対する前記非金属原子の比が0.05未満である請求項4に記載の炭素系材料。
  6. 前記活性層の厚みが1nm以下である請求項4又は5に記載の炭素系材料。
  7. CuKα線を用いてX線回折測定されることで得られる回折強度曲線における、(002)面のピークの強度に対する、不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピークの強度の比が、0.1以下である請求項4乃至6のいずれか一項に記載の炭素系材料。
  8. 前記活性層が、前記非金属原子と前記金属原子とを有する炭素化合物を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炭素系材料。
  9. 前記炭素化合物が、前記非金属原子と前記金属原子とを有する有機金属錯体と、前記非金属原子と前記金属原子とを有するポリマー錯体とのうち、少なくとも一方を含有する請求項8に記載の炭素系材料。
  10. 前記炭素化合物を焼成することで前記活性層が形成されている請求項8又9に記載の炭素系材料。
  11. 前記非金属原子が窒素原子を含み、前記金属原子が鉄原子とコバルト原子とのうち少なくとも一方を含む請求項1乃至10のいずれか一項に記載の炭素系材料。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の炭素系材料を含む電極触媒。
  13. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の炭素系材料を備える電極。
  14. ガス拡散電極として構成されている請求項13に記載の電極。
  15. 前記炭素系材料に重なっている撥水層を備える請求項13又は14に記載の電極。
  16. 前記撥水層が多孔質である請求項15に記載の電極。
  17. 請求項13乃至16のいずれか一項に記載の電極を備える電気化学装置。
  18. 請求項13乃至16のいずれか一項に記載の電極を備える燃料電池。
  19. 窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選択される一種以上の原子を含む非金属原子を有する非金属化合物と、金属化合物とを、無定形炭素製のシート材に付着させる工程と、
    前記非金属化合物、前記金属化合物及び前記シート材を、800℃以上1000℃以下の範囲内の温度で、45秒以上600秒未満の範囲内の時間、加熱する工程とを含む炭素系材料の製造方法。
  20. 前記シート材が、無定形炭素製の織布又は不織布である請求項19に記載の炭素系材料の製造方法。
  21. 前記シート材が、多孔質である請求項19又は20に記載の炭素系材料の製造方法。
  22. 請求項19乃至21のいずれか一項に記載の方法で製造される炭素系材料。
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