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JP2014531031A - 小分析物の定量的検出のためのポイントオブケア免疫アッセイ - Google Patents

小分析物の定量的検出のためのポイントオブケア免疫アッセイ Download PDF

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Abstract

生物学的サンプルにおいて、オピオイド、テトラヒドロカンナビノール(「THC」)、またはホルモンなどの、小分析物の量を定量的に測定するためのポイントオブケアアッセイが開示される。上記アッセイは、分析物に選択的に結合する結合剤、および結合剤および分析物の複合体に選択的に結合するが、フリーの結合剤やフリーの分析物には結合しない捕捉剤を用いて、小分析物の非競合検出が可能である。上記アッセイは、多重分析および定量的コントロールのための、複数の分析物の同時検出(diction)が可能である。定量的測定値を、結果を複数の標準分析物から計算された応答曲面に対してプロットし、内部コントロールを用いて調整することによって得る。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2012年4月23日に出願された米国特許仮出願第61/637,146号、および2011年10月21日に出願された米国特許仮出願第61/550,141号に対し優先権を主張し、その両方の内容は、全体が参照によって本開示に援用される。
発明の分野
本発明は一般的に、サンプル中の分析物の存在を検出するためのアッセイ方法、およびそれを行うためのデバイスおよびキットに関連する。
発明の背景
処方オピオイドの乱用および中毒は、米国の個人、組織、および実業に対して急速に大きな損害を与えている。約250万人の個人が、毎年処方オピオイドの非医学的使用を開始すると推定され、そして処方オピオイドの乱用の件数は、今やコカインおよびヘロインを含む多くの従来のストリートドラッグのそれを超えている。オピオイド処方物は、広い範囲の方法によって誤用され得る。患者は、本当の、誇張された、または存在しない疼痛症状のために処方オピオイドを求め、複数の医師を訪問し、そして複数の薬局で該処方物を充足させ得、それは「ドクターショッピング」として公知の行為である。次いでこれらの処方物が、患者自身によって誤用される、家族または友人に転用される、または闇市場で販売され得る。
処方薬物の乱用は増加しており、医療提供者が、さらなる処方を提供する前に、オピオイドおよび/または他の処方薬物を誤用している患者を特定するポイントオブケアの方法を有することが重要である。薬物検査は現在、尿、毛髪、唾液、または血液中のオピオイドを検出するために利用可能である。しかし、これらのアッセイは、ポイントオブケアの検出に適切でないか、または十分定量的でない。同じ問題が、マリファナの活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannibinol)(「THC」)などの、他の型の違法薬物にあてはまる。
薬物乱用の関係の他に、他の小分析物(small analyte)のポイントオブケアのニーズが存在する。例えば、ニコチンを代謝する個人の能力は、ニコチン処置に応答する該個人の能力と負に相関することが示された。ニコチン代謝が低下した喫煙者は、より高い血中ニコチンレベルを有し、そして喫煙を減らすことによってこれを補正する。これらの個人ではまた、経皮ニコチン治療試験においてより高いレベルの中止が明らかに示されている。逆に、通常の代謝速度を有する個人は、より多く喫煙する傾向があり、そしてより低い中止率を有する。これらの通常の代謝者は、ニコチン代謝の損傷した人においては潜在的に有害作用を引き起こし得る、より高用量のニコチン置換の候補であり得る。従って、被験体においてニコチン代謝を測定するためのポイントオブケアアッセイのニーズが存在する。
毒性の関係において、重金属は、体によって代謝されず、そして軟部組織に蓄積する場合、毒性になる。重金属の毒性は、精神的および中枢神経機能の損傷または抑制、エネルギーレベルの低下、および血液組成、肺、腎臓、肝臓、および他の生体臓器への損傷を引き起こし得る。長期間の曝露は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋ジストロフィー、および多発性硬化症に似た、ゆっくり進行する、身体の、筋肉の、および神経の変性過程を引き起こし得る。アレルギーは珍しくなく、そしていくつかの金属またはその化合物との反復する長期間の接触は、がんさえ引き起こし得る。いくつかの重金属に関して、毒性レベルは、現実には天然に見出されるバックグラウンド濃度より少し上であり得る。従って、検査が必須である。生物学的サンプルにおいて、鉛などの重金属のレベルを分析するために、いくつかの分析方法が利用可能である。採用される最も一般的な方法は、フレーム原子吸光分析(AAS)、黒鉛炉原子吸光分析(GFAAS)、陽極ストリッピングボルタンメトリー(ASV)、誘導結合プラズマ−原子発光分析(ICP/AES)、および誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)である。しかし、これらの実験室的方法は、労働集約的であり、時間がかかり、そして高価である。
非ヒトの使用のために、特に獣医学の領域で現在利用可能でない、ポイントオブケアアッセイの他のニーズが存在する。例えば、家畜および飼育動物における妊娠判定は、血液サンプルを得て、そしてそのサンプルを実験室へ輸送して、妊娠を評価するためのホルモンレベルを測定すること、または専門トレーニングおよび装置を必要とする超音波検査を行うことを必要とする。もし採取の場所で、生物学的サンプルの測定のためにポイントオブケアアッセイが利用可能なら、より安価および効果的である。
特にサンプルを使用する、薬物/ホルモン評価の最初の検査として、酵素媒介イムノアッセイが頻繁に使用される。そのようなアッセイは、多数の薬物または薬物の種類を試験し得、ある種類の物質が存在するかまたは非存在であるかを決定し得、そして典型的には適切な感度を示す。しかし、これらのアッセイは特異的ではなく、そして同じ種類の異なる薬物を区別できない。Christoら、Pain Physician、14:123−143(2011)。
採取の場所で、被験体からの生物学的サンプル中の、乱用薬物、重金属、またはホルモンなどの小分析物の量を定量的に測定して、すぐに結果を提供する、ポイントオブケアアッセイを提供することが、本発明の目的である。
生物学的サンプル中の、小分析物の量を測定するためのポイントオブケアアッセイのためのキットを提供することも、本発明の目的である。
Christoら、Pain Physician、14:123−143(2011)
発明の要旨
被験体からの生物学的サンプル中の小分析物の量を定量的に測定するためのポイントオブケアアッセイが開発された。その分析物は、有機化合物、無機化合物、または有機金属化合物、または金属イオンであり得る。代表的な分析物は、薬物、代謝物、ホルモンなどの生物製剤、毒素、および環境汚染物を含む。
上記アッセイは、競合または非競合アッセイのいずれかであり得る。しかし、好ましい実施態様において、上記アッセイは、非競合イムノアッセイであり、それは典型的には、サンドイッチアッセイにおいて分析物に同時に結合する結合剤および捕捉剤の使用を包含する。低分子量の分析物は、抗原の異なるエピトープを認識する2つの抗体に依存するサンドイッチアッセイなどの、慣用の試薬を用いた同時結合のために十分大きくはない。いくつかの実施態様において、その非競合アッセイは、分析物に選択的に結合して、結合剤および分析物の「捕捉複合体」を形成する「結合剤」、およびその捕捉複合体に選択的に結合するが、フリーの分析物には結合せず、「サンドイッチ複合体」を形成する「捕捉剤」の使用を包含する。これらの実施態様において、サンドイッチ複合体の量は、サンプル中の分析物の量と直接関連する。上記アッセイは、多重分析のための複数の分析物および定量的コントロールの同時検出が可能である。
上記アッセイは一般的に、生物学的サンプルをアッセイ流体、薬物分析物に特異的に結合する薬物結合剤、較正/コントロール分析物、および較正分析物に特異的に結合する較正/コントロール結合剤と組み合わせる工程を含む。代表的な結合剤および捕捉剤としては、それぞれ分析物または捕捉複合体に特異的に結合する、抗体、核酸アプタマー、およびペプチドアプタマーが挙げられる。結合剤は、好ましくは検出可能な標識、例えば蛍光標識と連結して、サンドイッチ複合体の検出を促進する。捕捉剤もまた、検出可能な標識と直接または間接的に連結して、検出パラメーター、例えば蛍光標識のための光強度を正規化し得る。いくつかの好ましい実施態様において、可動要素(mobile element)のみが標識を含む。
いくつかの実施態様において、結合剤または捕捉剤は、捕捉複合体またはサンドイッチ複合体が形成された場合に消光または非消光が起こるように、フルオロフォアおよび消光剤ペアと連結した核酸アプタマービーコンである。好ましい実施態様において、結合剤はアプタマーであり、捕捉剤は抗体である。他の好ましい実施態様において、結合剤は抗体であり、捕捉剤はアプタマーである。
いくつかの実施態様において、結合剤および捕捉剤上の蛍光分子が、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ドナー−アクセプターペアを形成する。FRETにおいて、分子フルオロフォア(ドナー)からのエネルギーが、高エネルギー状態に励起され、そして分子間双極子−双極子カップリングによって、別のフルオロフォア(アクセプター)に転移する。
上記アッセイは、好ましくは側方流動イムノアッセイである。側方流動イムノアッセイは、典型的には、適用ポイント(例えばサンプルパッド)を有する膜小片、任意選択のコンジュゲートゾーン(conjugate zone)、捕捉ゾーン、および吸収ゾーン(absorption zone)(例えばウィッキングパッド)を含む。特に好ましい膜小片は、FUSION5TM(Whatman Inc.)であり、それは単一の材料において側方流動小片の全ての機能を行い得る。必要に応じてアッセイ流体と組み合わせた生物学的サンプルを、小片の近位端の適用ポイントに加え、そしてサンプルが毛管作用によって小片を通り、捕捉ゾーンまで、および捕捉ゾーンを通って移動することを可能にする条件下で、その小片を維持する。
いくつかの実施態様において、結合剤を、膜小片の適用ポイントへの投与の前に、生物学的サンプルに加える。他の実施態様において、サンプルは、結合剤が固定化されたコンジュゲートゾーンを通って移動する。サンプルは結合剤を再び動員し、そしてサンプル中の分析物が結合剤と相互作用して捕捉複合体を形成する。次いでその捕捉複合体が、1つまたはそれより多くの捕捉剤が固定化された捕捉ゾーンに移動する。過剰な試薬は捕捉ラインを通り過ぎ、そしてウィッキングパッドに捉えられる。
捕捉剤は、好ましくは、上記膜内に物理的に捕捉されている捕捉粒子にコーティングされている、または連結している(例えば共有結合を用いて)。捕捉剤を、直接その膜に結合体化し得る。捕捉ゾーンを、捕捉剤を含む1本またはそれより多くの捕捉ラインに構築し得る。好ましい実施態様において、捕捉ゾーンは、多重分析、すなわち2つまたはそれより多くの分析物の検出のために、複数の捕捉ラインを含む。それに加えて、捕捉ゾーンは、コントロール分析物の存在を検出するための、1本またはそれより多くのコントロール捕捉ラインを含み得る。コントロール分析物は、希釈コントロール、すなわち典型的には予測可能な濃度で生物学的サンプルに存在するクレアチンなどの分析物であり得る。コントロール分析物はまた、標識の検出量および分析物の量の間に定量的相関を提供するために使用される、公知の濃度の参照分析物であり得る。
上記アッセイはまた、固相器具(solid phase apparatus)と流体接触していないサンプル採取器具の使用を含み得る。そのサンプル採取器具は、結合剤を含み得る。ある実施態様において、その結合剤は、サンプル採取器具において蒸発乾燥、減圧乾燥、または凍結乾燥される。
結果を、複数の標準分析物から計算し、そして内部コントロールを用いて調整した応答曲面(response surface)に対してプロットすることによって、定量的測定値を得ることができる。例えば、サンプル中の分析物の量を決定するために、捕捉ゾーンの各捕捉ラインにおけるサンドイッチ複合体の量を、結合剤または捕捉剤に結合した検出可能な標識を測定することによって評価する。
いくつかの実施態様において、上記膜内、または該膜上に固定化された(例えば該膜に捕捉された捕捉粒子上にコーティングされた)検出可能な標識を、検出パラメーター、例えば蛍光標識の光強度を正規化するために使用し得る。これらの実施態様において、結合剤上の検出可能な標識の、上記膜中または該膜上に固定化されたものに対する比を、好ましくは複数の標準分析物から計算した応答曲面に対してプロットする。好ましい実施態様において、3つまたはそれより多くの内部標準分析物(曲率を検出するために必要)を、未知の分析物と同時に検出し、そして所定の応答曲面を調整するために使用して、その特定のアッセイの実施に関して誤差を最小限にする。
開示される側方流動イムノアッセイは、即時に結果を提供するために、採取の場所で、生物学的サンプル中の小分析物(例えば薬物、薬物代謝物、重金属、またはホルモン)の量の迅速および正確な決定を提供する。
図1Aから1Bは、分析物に特異的に結合する抗体(結合剤)、およびその抗体/分析物コンジュゲート(メタタイプ)に特異的に結合するDNAまたはRNAアプタマー(すなわち捕捉剤)を使用する、小分析物の検出方法の図解である。図1Aにおいて、抗体は、Em2の発光波長を有する蛍光マーカーに結合していることが示され、そしてアプタマーはEm1の発光波長を有する固定化蛍光粒子に結合体化していることが示される。図1Bにおいて、アプタマーは、Em2の発光波長を有する蛍光マーカーに結合していることが示され、そして抗体はEm1の発光波長を有する固定化蛍光粒子に結合体化していることが示される。分析物は抗体に結合し、それは次いでアプタマーによって捕捉される。次いで励起波長Ex1またはEx2を使用して、蛍光粒子(コントロールとして)および蛍光マーカーをそれぞれ検出し得る。
図2Aは、分析物に特異的に結合する抗体(結合剤)、およびその抗体/分析物コンジュゲート(メタタイプ)に特異的に結合するタンパク質アプタマー(すなわち捕捉剤)を使用する、小分析物の検出方法の図解である。図2Aにおいて、抗体は、Em2の発光波長を有する蛍光マーカーに結合していることが示され、そしてアプタマーは、Em1の発光波長を有する固定化蛍光粒子に結合体化していることが示される。図2Bは、分析物に特異的に結合するタンパク質アプタマー(結合剤)、およびそのアプタマー/分析物コンジュゲート(メタタイプ)に特異的に結合する抗体(すなわち捕捉剤)を使用する、小分析物の検出方法の図解である。図2Bにおいて、アプタマーは、Em2の発光波長を有する蛍光マーカーに結合していることが示され、そして抗体は、Em1の発光波長を有する蛍光粒子に結合体化していることが示される。
図3A−3Bは、共に分析物に結合する、DNA/RNA複合体およびアプタマー(図3A)または抗体(図3B)を使用する、小分析物の検出方法の図解である。DNA/RNA複合体は、消光した状態の蛍光マーカーに結合体化しており、それが分析物およびアプタマー(図3A)または抗体(図3B)に結合した場合に、Em2の発光波長でアンクエンチされることが示される。アプタマー(図3A)および抗体(図3B)は、Em1の発光波長を有する固定化蛍光粒子に結合体化していることが示される。図3Cは、分析物に特異的に結合する抗体(結合剤)、およびその抗体/分析物コンジュゲートに特異的に結合するDNA/RNAフォールディングアプタマービーコン(すなわち捕捉剤)を用いる、小分析物の検出方法の図解である。DNA/RNA複合体は、Em1の発光波長を有する固定化蛍光粒子に結合体化しており、かつ消光した状態の蛍光マーカーにも結合体化しており、それが分析物および抗体に結合した場合に、Em2の発光波長でアンクエンチされることが示される。
図4は、近位端に適用ポイント、続いてコンジュゲートゾーン(conjugation zone)、捕捉ゾーン、および吸収ゾーン(absorbent zone)を有する、膜小片から作られた側方流動デバイスの図解である。矢印は、近位から遠位端への側方流動の方向を示す。複数の捕捉ラインが、捕捉ゾーンに示される。
発明の詳細な説明
採取の場所で、患者または飼育動物または家畜からの生物学的サンプル中の、1つまたはそれより多くの小分析物(例えば薬物、薬物代謝物、重金属、またはホルモン)を定量的に測定するために使用し得る、ポイントオブケアアッセイが開示される。特に、ポイントオブケアアッセイは、医師が、任意の薬剤を処方する前に、被験体の薬物、薬物代謝物、重金属、および/またはホルモンレベルを決定することを可能にする。好ましい実施態様において、このアッセイを、生物学的サンプルを得てから1時間以内に、好ましくは30分以内に、より好ましくは10分以内に行い得る。
I.定義
「アッセイ」という用語は、対象とする1つまたはそれより多くの分析物の存在、非存在、または量を決定するためにサンプルを分析する、インビトロの手順を指す。
分析物と関連して使用される「コントロール」および「較正」という用語は交換可能に使用され、それは内部標準として使用される分析物を指す。
「分析物」という用語は、生物学的サンプルの潜在的な構成成分であり、そしてアッセイによって分析される、対象とする化学的物質を指す。
「小分析物」という用語は、小さすぎて、分析物に特異的な2つの抗体が特異的に結合できない分析物を指す。例えば、小分析物は、2,000ダルトン未満、より好ましくは1,500ダルトン未満、最も好ましくは1,000ダルトン未満の分子量を有し得る。その小分子は、親水性化合物、疎水性化合物、または両親媒性化合物であり得る。
「オピオイド」という用語は、オピオイド受容体に結合することによって作用する化学物質を指す。その用語は、天然オピエート、および合成および半合成オピオイドを含む。
「オピオイド代謝物」という用語は、患者におけるオピオイド代謝の産物を指す。
「重金属」という用語は、水の比重の少なくとも5倍の比重を有する金属を指す。
「側方流動」アッセイは、サンプル中の標的分析物の存在(または非存在)を検出することを意図するデバイスであり、ここで試験サンプルは毛管作用によって固体基板にそって流れる。
本明細書中で使用される「膜」という用語は、その表面にそって、およびその内部を通って、毛管作用によって、分析物に結合した抗体またはアプタマーの移動を可能にするのに十分な空隙率を有する固体基板を指す。
「膜小片」または「試験小片」という用語は、分析物の分離および検出を可能にするのに十分な膜の長さおよび幅を指す。
「適用ポイント」という用語は、流体を適用し得る膜の位置である。
「結合剤」という用語は、分析物に特異的に結合する化合物を指す。「捕捉剤」という用語は、結合剤と複合体化した分析物(捕捉複合体)またはフリーの結合剤(コントロールとして)に選択的に結合する、固定化された化合物を指す。捕捉剤は、固定化された捕捉粒子に結合体化し得る。結合剤および捕捉剤は、(直接的または間接的に)検出可能な標識と結合し得る。結合剤は、検出可能な標識と直接結合する粒子に結合するなら、それは検出可能な標識と間接的に結合する。結合剤および捕捉剤は、抗体、核酸アプタマー、およびペプチドアプタマーを包含する。
「捕捉複合体」という用語は、分析物に対する結合剤の特異的結合によって形成された複合体を指す。固定化された捕捉剤によって捕捉された場合、その捕捉複合体は、検出のために固定化される。
「サンドイッチ複合体」という用語は、結合剤および分析物に対する、固定化された捕捉剤の特異的結合によって形成される複合体を指す。
「固定化された」という用語は、膜などの基板上または基板中の位置への、薬剤または粒子の化学的または物理的固定を指す。例えば、捕捉剤を、膜に化学的に結合体化し得る、そして捕捉剤でコーティングした粒子を、膜に物理的に捕捉し得る。
「捕捉粒子」という用語は、複数の捕捉剤でコーティングされた粒子を指す。好ましい実施態様において、捕捉粒子は、定義された捕捉ゾーンに固定化される。
「捕捉ゾーン」という用語は、1つまたはそれより多くの捕捉剤が固定化される、膜小片上の点を指す。
「サンドイッチアッセイ」という用語は、分析物が、結合剤および捕捉剤の間に結合するイムノアッセイの1つの型を指す。捕捉剤は一般的に固体表面(例えば膜または粒子)に結合し、結合剤は一般的に標識される。
「抗体」という用語は、それらが分析物に結合する能力に関して選択される限り、インタクトな免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片またはポリマー、1本鎖免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のヒトまたはヒト化バージョン、および組換え免疫グロブリン分子を指す。
「アプタマー」という用語は、特定の標的分子に結合するオリゴ核酸またはペプチド分子を指す。アプタマーは一般的に、ランダム配列プールから選択される。選択されたアプタマーは、特有の3次構造に適応し、そして高い親和性および特異性で標的分子を認識し得る。
「核酸アプタマー」は、そのコンフォメーションによって標的分子に結合するオリゴ核酸である。核酸アプタマーは、DNA、RNA、またはその組み合わせから構成され得る。核酸アプタマーは、典型的にはSELEX(指数富化によるリガンドの系統進化(systematic evolution of ligands by exponential enrichment))を用いて工学的に作製される。
「ペプチドアプタマー」は、標的分子に結合するその能力に関して選択された、無作為化アミノ酸配列を有するコンビナトリアルペプチド分子である。ペプチドアプタマーは、典型的には酵母ツーハイブリッドアッセイまたはファージディスプレイアッセイを用いて、コンビナトリアルペプチドライブラリーから選択される。
「メタタイプ」という用語は、分析物に結合した場合の、結合剤の分析物結合部位を指す。「イディオタイプ」という用語は、その分析物を有さない、結合剤の分析物結合部位を指す。
「抗メタタイプ」という用語は、結合剤−分析物複合体(メタタイプ)を選択的に認識するが、フリーの分析物またはフリーの結合剤に対する特異性を欠落している結合剤を指す。「抗イディオタイプ」という用語は、別の結合剤の分析物結合部位を選択的に認識する結合剤を指す。
「特異的に結合する」または「選択的に結合する」という用語は、不均一な集団において、分析物の存在に対し決定力のある結合反応を指す。一般的に、2番目の分子に「特異的に結合する」第1の分子は、その2番目の分子と、約10−1超(例えば10−1、10−1、10−1、10−1、1010−1、1011−1、および1012−1またはそれより大きい)の親和定数(K)を有する。
「検出可能な標識」という用語は、スクリーニングアッセイにおいて選択的に検出され得るあらゆる部分を指す。例としては、放射性標識(例えばH、14C、35S、125I、131I)、アフィニティタグ(例えばビオチン/アビジンまたはストレプトアビジン)、抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ、蛍光または発光部分(例えばフルオレセインおよび誘導体、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ローダミンおよび誘導体、ランタニド)、比色定量プローブ、および酵素部分(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)が挙げられる。
「生物学的サンプル」という用語は、被験体由来の組織(例えば組織生検)、臓器、細胞、細胞ライセート、または体液を指す。体液の制限しない例としては、血液、尿、血漿、血清、涙、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門分泌液および膣分泌液、汗、精液、漏出液、浸出液、および滑液が挙げられる。
本明細書中で使用される「サンプル採取器具」は、生物学的サンプルの採取のために使用し得る、または採取した生物学的サンプルを寄託または保存し得る器具を指す。
本明細書中で使用される「流体接触していない」は、流体がサンプル採取器具から適用ポイント上に/適用ポイント中へと受動的に流れないことを示す。例えば、物理的分離または物理的構成部分による分離を使用し得る。
II.ポイントオブケアアッセイ
ヒトおよび獣医学的被験体を含む、患者由来の生物学的サンプルにおいて、ホルモン、重金属、薬物、または薬物代謝物などの小分析物を定量的に測定するために、迅速で、信頼性が高く、感度が高い、定性的、および定量的ポイントオブケアアッセイが開発された。そのポイントオブケアアッセイを、薬物、薬物代謝物、重金属、またはホルモンと特異的に結合する結合剤および捕捉剤と組み合わせて使用し得る。
アプタマー(単独で採用される)が小分子を認識することが示された特殊な例が存在し得るが、一般的に、その結合親和性は低く、そして対象とする全ての小分子標的に対するアプタマーを進化させる能力ははっきりしないことがわかった。Jayasena、Clin.Chem.45:1628−50(1999)。これはおそらく、小分子標的で提示される協同的結合機会の相対的な欠如、およびアプタマーがより複雑な抗体の結合ポケットを欠くためである。他方、抗体は、疎水性、イオン性、および立体的相互作用に基づく結合を進化させるために、より豊富な構造的ポケットを有するが、しかしながら、特に小分子が関わる場合、交差反応性の問題が存在する。オピエート構造を調べる場合、分子が構造的に非常に似ている(1つの側鎖(side group)ほど小さい差異)ので、抗体における交差反応性の問題は明らかである。抗体は、典型的には、宿主生物の免疫系によって最も高い親和性で結合するよう選択されるので、これは多くの場合、構造的に似たモチーフを標的とする抗体を生じる。従って、注視される交差反応性の問題がオピエートにおいて観察される。さらに、所望の免疫複合体に対する抗体をインビボで生じることは、非常に困難であり、そしてほとんど全ての場合において実行できない。対照的に、アプタマーを、最終的なイムノアッセイとほとんど同じ条件下で、標的免疫複合体に対して進化させ得る。
水素結合ドナーおよびアクセプターが豊富な構造を有する、より大きな複合体領域の存在のために、タンパク質のアプタマーは一般的に、より高い親和性を示す。異なるタンパク質に対するアプタマーに関して、ナノモル濃度およびナノモル濃度以下の範囲の親和性が測定された。Masciniら、Angew.Chem.Int.Ed.、51:1316−1332(2012)。理論によって拘束されないが、本明細書中で記載されるサンドイッチアッセイは、一般的にアプタマーの不十分な標的である小さな分子を、はるかに良い(すなわちマイクロモル濃度と比較してナノモル濃度の親和性)標的であるタンパク質標的へ「変換する」。例えば抗体および標的分子の免疫複合体は、アプタマー結合のはるかに豊富な標的を表わす。抗体および標的分子の間の免疫複合体のはるかに豊富な結合標的に対するアプタマーを進化させることは、はるかに一般化可能な戦略である(すなわち、抗体は既に必要とされる固定化のための一般化可能な手(handle)を提示するので、各標的分子に固定化のための特別な標識は必要ない)。複合体に対して強く結合するものは、進化させるのがより容易であり、そして構造的に類似のモチーフが抗体ポケットに隠れている場合、その分子の外に面した部分が、アプタマーによって認識され得る、区別できる側鎖構造を含む可能性があり、そして従って交差反応性免疫複合体と反対に、所望の免疫複合体の特異的認識を引き起こす。
本明細書中で記載されるポイントオブケアアッセイは、好ましくは側方流動イムノアッセイである。いくつかの実施態様において、上記アッセイは、固相器具と流体接触しないサンプル採取器具の使用を包含する。
A.検出される小分析物
本明細書中で記載されるポイントオブケアアッセイを用いて検出し得る分析物は、薬物、または薬物代謝物、ホルモン、および重金属を含むがこれに限らない。
i.薬物および薬物代謝物
上記アッセイを、生物学的サンプル中の、薬物、例えば乱用の可能性のある薬物のレベルを定量的に決定するために使用し得る。代表的な薬物および薬物代謝物を、下記で記載する。いくつかの実施態様において、上記アッセイは、半定量的である。例えば、異なるオピエートおよび代謝物が、別の色によって示され、そして目視検査によって分析される試験小片。
1.オピオイド
定量的ポイントオブケアアッセイを用いて検出し得る代表的なオピオイドとしては、モルヒネ、コデイン、テバイン、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、デソモルフィン、ニコモルフィン、プロポキシフェン、ジプロパノイルモルフィン、ベンジルモルフィン、エチルモルフィン、ブプレノルフィン、フェンタニル、ペチジン、メペリジン、メタドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、またはそのアナログまたは誘導体が挙げられる。例えば、オキシコドン(OxyContin(登録商標))は、アヘン由来のテバインから合成された、オピオイド鎮痛薬である。パーコセットは、オキシコドンおよびアセトアミノフェン(パラセタモール)の組み合わせである。バイコディンは、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン(パラセタモール)の組み合わせである。好ましい実施態様において、上記アッセイは、オキシコドン、ヒドロコドン、またはその組み合わせを定量的に測定する。
開示される定量的側方流動イムノアッセイを用いて検出し得る、代表的なオピオイド代謝物を表1に示す。
2.THC(マリファナ)
大麻植物において、THCは、主にテトラヒドロカンナビノールカルボン酸(THC−COOH)として存在する。酵素によって触媒されて、ゲラニルピロリン酸およびオリベトール酸が反応してカンナビゲロール酸を生じ、それが酵素THC酸合成酵素によって環化されてTHC−COOHが得られる。時間につれて、または加熱した場合、THC−COOHは、脱炭酸されてTHCを生じる。THCは、ヒトの体によって、主に11−OH−THC(11−ヒドロキシ−THC)に代謝される。この代謝物は依然として精神賦活性であり、そしてさらに11−ノル−9−カルボキシ−THC(THC−COOH)に酸化される。ヒトおよび動物において、100超の代謝物が同定され得るが、11−OH−THCおよびTHC−COOHが主な代謝物である。代謝は、主に肝臓において、チトクロムP450酵素CYP2C9、CYP2C19、およびCYP3A4によって起こる。55%超のTHCが糞便中に、そして約20%が尿中に排泄される。尿中の主な代謝物は、グルクロン酸およびTHC−COOHのエステルおよびフリーのTHC−COOHである。糞便中では、主に11−OH−THCが検出される。
THC、11−OH−THC、およびTHC−COOHを、血液、尿、毛髪、口腔流体または汗において検出および定量化し得る。そのような分析から得られた濃度は、多くの場合積極的使用と消極的使用、または処方使用と不正使用、投与経路(経口対喫煙)、使用からの経過時間、および使用の程度または期間の区別において有益であり得る。
3.ニコチン
ニコチンが体に入った場合、それは血流によって迅速に分布し、そして血液脳関門を通過して、吸入後10−20秒以内に脳に到達する。体内のニコチンの排出半減期は、約2時間である。喫煙から体によって吸収されたニコチンの量は、タバコの種類、煙を吸ったかどうか、およびフィルターを使用したかどうかを含む、多くの因子に依存する。口内の唇および歯茎の間に入れる、または鼻から吸い込む、噛みタバコ、噛みタバコ(dipping tobacco)、スヌースおよびスナッフに関して、体内に放出される量は、喫煙したタバコよりはるかに多い傾向がある。
ニコチンは、肝臓でチトクロムP450酵素(ほとんどCYP2A6、およびCYP2B6にもよる)によって代謝される。尿中に排出される、ニコチンの主な代謝物は、コチニンであり、それはニコチン使用の、信頼性の高い、そして必要な指標である。他の主な代謝物としては、ニコチンN’−酸化物、ノルニコチン、ニコチンイソメトニウム(isomethonium)イオン、2−ヒドロキシニコチンおよびニコチングルクロニドが挙げられる。グルクロン酸抱合およびニコチンのコチニンへの酸化代謝はどちらも、メントールを含む巻きタバコへの添加物であるメントールによって阻害され、従ってインビボでニコチンの半減期を増加させる。
ニコチン(コチニン)を、血液、血漿、または尿中で定量化して、中毒の診断を確認し得る、または法医学的な死亡調査を促進し得る。採用前および健康保険の医学的スクリーニングプログラムの目的で、多くの場合尿または唾液のコチニン濃度を測定する。巻きタバコの煙に対する受動的な曝露が、ニコチンの有意な蓄積、続く様々な体液中へのその代謝物の出現を引き起こし得るので、結果の注意深い解釈が重要である。
CYP2A6酵素は、代謝活性の変化を予測する、ある対立遺伝子で遺伝的に多型である。ニコチン代謝の主な酵素として、CYP2A6の代謝活性のバリエーションは、個人のタバコ消費のレベルに有意な影響を有する。低い代謝表現型は、より高い血液/ニコチンレベルをもたらし、そして喫煙者はより少なく喫煙することによってこれを補正する傾向がある。逆に、代謝速度の増加を有する個人は、より多く喫煙する傾向がある。CYP2A6変異体によるより低いニコチン代謝はまた、禁煙に影響を有し、代謝が遅い人は、経皮ニコチン治療試験においてより高いレベルの禁煙を明らかに示す。これは、代謝の低い人のサブグループが、同等レベルの経皮ニコチン処置から、より高い治療量のニコチンを得るためであり得る。代謝が正常の人は、おそらく現在の処置が十分高いレベルの補充血中ニコチンを提供できない結果として、より低い中止率を有する。これらの代謝が正常の人は、ニコチン代謝が損傷した人においては潜在的に有害作用を引き起こし得る、より高用量のニコチン補充の候補であり得る。
開示された組成物および方法を使用して、患者のニコチンの代謝を評価し得る。例えば、コントロールした用量のニコチンを患者に投与した後、開示された組成物および方法を用いてニコチンレベルを定量化し得る。これは、いくつかの実施態様において、被験体が巻きタバコを喫煙することを可能にすることを含み得る。好ましい実施態様において、処方された期間、被験体にニコチンパッチまたはガムを与える。次いで被験体の生物学的サンプル中のニコチンまたはその代謝物(例えばコチニン)の量を、変化の速度に関してモニターし得る。
ii.動物において妊娠または排卵の時期を検出するためのホルモン
ヒトと異なり、イヌなどの飼育ペットおよびウマ、ウシ、およびブタなどの家畜のホルモンサイクルは、それほど容易にはアッセイできず、そして利用可能なポイントオブケアアッセイは存在しない。しかし、排卵の開始、交配のタイミング、および妊娠を示すホルモンの生殖レベルは、当業者によってよく理解され、そして本明細書中で記載されるポイントオブケアイムノアッセイを用いて容易に定量し得る。
動物において発情(estrus)(発情(heat))周期および妊娠の調節を助ける複数のホルモンが存在する。これらとしては、卵巣を刺激して卵を生成させるエストロゲン、卵巣を刺激して卵を放出させる黄体ホルモン(LH)、および妊娠を維持するプロゲステロンが挙げられる。ほとんどの哺乳類は、血中のエストロゲンレベルが上昇したときに排卵する。しかしイヌは、エストロゲンレベルが低下し、そしてプロゲステロンレベルが上昇しているときに排卵する。プロゲステロンレベルおよび黄体ホルモン(LH)レベルが、いつ排卵が起こるか、およびいつが交配の最も良い時期かの、最も良い指標である。
iii.重金属イオン
重金属は毒性であり、そして残留性の環境汚染物である。比較的無害な産物に完全に分解され得る、炭素に基づく汚染物と異なり、金属イオンは、生物学的または化学的浄化過程による、限られた数の方法のみで変換され得る。
重金属は、水の比重の少なくとも5倍の比重を有する。水の比重の5倍またはそれより大きい比重を有する、いくつかの周知の毒性金属元素は、ヒ素、カドミウム、鉄、鉛、および水銀である。さらなる毒性重金属としては、アンチモン、ビスマス、セリウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、金、マンガン、ニッケル、プラチナ、銀、テルル、タリウム、スズ、ウラン、バナジウム、および亜鉛が挙げられる。
重金属の毒性は、精神および中枢神経機能の損傷または低下、エネルギーレベルの低下、および血液組成、肺、腎臓、肝臓、および他の生体臓器への損傷を引き起こし得る。長期間の曝露は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋ジストロフィー、および多発性硬化症に似た、ゆっくりと進行する、身体の、筋肉の、および神経の変性過程を引き起こし得る。アレルギーは珍しくなく、そしていくつかの金属またはそれらの化合物への、反復する長期間の接触は、がんさえ引き起こし得る。
少量のこれらの元素は、我々の環境および食事において正常であり、そして実際健康のために必要であるが、それらはどれも大量では、急性または慢性毒性を引き起こし得る。重金属は、体によって代謝されず、そして軟部組織に蓄積する場合、毒性になる。重金属は、食物、水、空気から、または農業においておよび製造、医薬品、工業、または住宅の状況においてヒトと接触した場合に、皮膚からの吸収によって、ヒトの体に入り得る。工業的な曝露が、成人の曝露の通常の経路の原因となる。小児においては、経口摂取が最も一般的な曝露の経路である。小児は、汚染した土と接触した小さい小児の通常の手から口の活動から、または実際食物ではない物(土または塗料片)を食べることによって、毒性レベルに達し得る。一般的でない曝露の経路は、放射線学的手順の間、不適切な投薬または静脈内(非経口)栄養の間のモニタリングから、壊れた温度計から、または自殺または殺人の企てからである。
いくつかの重金属に関して、毒性レベルは、現実には天然に見出されるバックグラウンド濃度のすぐ上であり得る。従って、過剰な曝露に対して保護的手段をとることが重要である。自分または家庭内の誰かが重金属毒性を有し得ると考える人に関して、検査が必須である。採用される最も一般的な方法は、フレーム原子吸光分析(AAS)、黒鉛炉原子吸光分析(GFAAS)、陽極ストリッピングボルタンメトリー(ASV)、誘導結合プラズマ−原子発光分析(ICP/AES)、および誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)である。しかし、これらの実験室的方法は、労働集約的であり、時間がかかり、そして高価である。
抗体に基づくアッセイは、金属イオン検出の別のアプローチを提供する。イムノアッセイは、迅速、安価、実施が容易、および適度に移動可能である;それらはまた感度および選択性が高くあり得る。サンプル分析は、汚染部位の改善における主なコストの1つであり、そして研究は、抗体に基づくアッセイの使用は、分析コストを50%またはそれより多く低減し得ることを示した。
B.結合剤および捕捉剤
開示されるアッセイにおいて使用するための結合剤は、オピオイド分析物または較正分析物に選択的に結合するあらゆる分子を含む。好ましい実施態様において、結合剤は、モノクローナル抗体などの抗体、または核酸またはペプチドアプタマーなどのアプタマーである。
i.抗体
組成物および方法において使用し得る抗体は、あらゆるクラスの免疫グロブリン全体(すなわちインタクトな抗体)、その断片、および少なくとも抗体の抗原結合可変ドメインを含む合成タンパク質を包含する。可変ドメインは、抗体の間で配列が異なり、そしてその特定の抗原に対する特定の抗体それぞれの結合性および特異性で使用される。しかし、その可変性は、通常抗体の可変ドメインを通して均一に分布しない。それは典型的には、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方にある、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集まっている。可変ドメインの、より高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、4つのFR領域を含み、大きくベータシート配置をとり、3つのCDRが結合し、それは該ベータシート構造をつなぐループを形成し、いくつかの場合では該ベータシート構造の一部を形成する。各鎖のCDRは、FR領域が近接して一緒に維持され、そして他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。従って、開示された抗体は、少なくともDNA結合を維持する、および/またはDNA修復に干渉するための必要なCDRを含む。
生物活性を有する抗体の断片も使用し得る。その断片は、他の配列に結合しているかどうかに関わらず、非改変抗体または抗体断片と比較して、その断片の活性が有意に変化せず、損なわれない限り、特定の領域または特定のアミノ酸残基の挿入、欠失、置換、または他の選択された改変を含む。
本開示の抗原性タンパク質に特異的な1本鎖抗体を生成するための、技術を適合させ得る。1本鎖抗体の生成方法は、当業者に周知である。短いペプチドリンカーを用いて重鎖および軽鎖の可変ドメインを一緒に融合し、それによって単一の分子に抗原結合部位を再構築することによって、1本鎖抗体を作製し得る。15から25アミノ酸のペプチドまたはリンカーによって、1つの可変ドメインのC末端が、他の可変ドメインのN末端につながった1本鎖抗体可変断片(scFv)が、抗原結合やその結合の特異性を有意に損なうことなく開発された。重鎖および軽鎖がその適切なコンフォメーションの方向で一緒に結合することを可能にするようにリンカーを選択する。
二価の1本鎖可変断片(di−scFv)を、2つのscFvを連結することによって工学的に作製し得る。これを、2つのVHおよび2つのVL領域を有する1本のペプチド鎖を生成し、タンデムscFvを生じることによって行い得る。scFvをまた、2つの可変領域が一緒にフォールディングされるには短すぎるリンカーペプチド(約5アミノ酸)を用いてデザインして、scFvを二量体化させ得る。このタイプは、ダイアボディとして公知である。ダイアボディは、対応するscFvより40倍まで低い解離定数を有することが示され、このことは、それらがその標的に対してはるかに高い親和性を有することを意味する。さらにより短いリンカー(1または2アミノ酸)は、三量体(トリアボディまたはトリボディ)の形成をもたらす。テトラボディも生成された。それらは、その標的に対して、ダイアボディよりさらに高い親和性を示す。
適当な抗体が、市販で入手可能であり得る。例えば、コデイン(abcam(登録商標)#ab31202)、ヘロイン(Randox Life Sciences#PAS10133)、モルヒネ(abcam登録商標)#ab1060、#ab23357)、ヒドロコドン(AbbiotecTM#252375)、ヒドロモルフォン(abcam登録商標)#ab58932)、オキシコドン(abcam登録商標)#ab30544)、プロポキシフェン(abcam登録商標)#ab50726)、ブプレノルフィン(abcam登録商標)#ab31201)、フェンタニル(abcam登録商標)#ab30729、#ab31323)、ペチジン(Novus Biologicals登録商標)#NBP1−41034)、メペリジン(abcam登録商標)#ab59530)、メタドン(abcam登録商標)#ab35799)、およびトラマドール(abcam登録商標)#ab58934)に特異的に結合する抗体が、市販で入手可能である。
重金属に結合する能力を有するいくつかの抗体が報告された。水銀イオンに対するモノクローナル抗体が、動物をグルタチオン−Hg誘導体で免疫することによって生成された(Wylieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4104−4108(1992))。イミノ二酢酸と複合体化したある特定の金属を優先的に認識する組換え抗体断片も報告された(Barbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6385−6389(1993))。EDTA−Cd(II)、DTPA−Co(II)、2,9−ジカルボキシル−1,10−フェナントロリン−U(VI)、またはシクロヘキシル−DTPA−Pb(II)の複合体に特異的なモノクローナル抗体を、キレート化したカドミウム、鉛、コバルト、およびウランを検出するための競合イムノアッセイにおいて使用した(Blake DAら、Biosensors&Bioelectronics 16:799−809(2001))。
分析物に特異的に結合する抗体をまた、慣用の方法を用いて作製し得る。例えば、分析物で免疫した動物から抗体を精製し得る。骨髄腫細胞を、オピオイド分析物で免疫したマウス由来の脾臓細胞と、またはインビトロで免疫したリンパ球と融合することによって、モノクローナル抗体を生成し得る。抗体をまた、組換え技術を用いて生成し得る。
開示される組成物および方法の捕捉剤は、抗メタタイプ抗体などの抗体であり得る。抗メタタイプ抗体は、結合したリガンドまたはリガンド結合していない抗体と相互作用しない、リガンド結合した抗体活性部位のコンフォメーションに特異的な免疫学的試薬である。捕捉複合体と選択的に結合するが、フリーの分析物には結合しない抗体を、当該分野で公知の標準的な方法を用いて得ることができる。例えば、ナイーブscFv抗体断片ファージディスプレイライブラリーを使用して、分析物および分析物に特異的に結合する抗体のFab断片の免疫複合体に結合する抗体を選択し得る。まず、ファージをプレインキュベートしてそれ自体Fab断片に結合するものを選別する。結合していないファージを分離し、そして分析物および固定化Fabの混合物とインキュベートして、固定化Fabおよび分析物の間に形成される免疫複合体に結合するファージを選択する。結合していないファージを洗い流し、そして次いで複合体に結合したものを溶出する。分析物の非存在下でFabに対する結合をチェックすることによって、バックグラウンドをモニターする。数回のパニングの後、多くのクローンを選択し、配列決定し、そして発現して、捕捉剤として使用するためのscFv断片を生じる。
ii.核酸アプタマー
核酸アプタマーは、典型的にはステム−ループまたはGカルテットなどの、定義された2次および3次構造にフォールディングする、長さ15〜50塩基の範囲のオリゴヌクレオチドである。そのオリゴヌクレオチドはDNAまたはRNAであり得、安定性について改変し得る。核酸アプタマーは一般的に、標的に対して抗体よりも高い特異性および親和性を有する。核酸アプタマーは、好ましくは標的分子に10−6未満、10−8未満、10−10未満、または10−12未満のKで結合する。核酸アプタマーはまた、非常に高い程度の特異性で標的分子に結合し得る。核酸アプタマーが、他の分子とのKよりも、少なくとも10、100、1000、10,000、または100,000倍低い、標的分子とのKを有することが好ましい。それに加えて、アプタマー結合に必要な標的アミノ酸残基の数は、抗体のそれより少ない可能性がある。
核酸アプタマーは、典型的には、吸着、回収、および再増幅の反復過程によって、合成オリゴヌクレオチドの複合体ライブラリーから単離される。例えば、核酸アプタマーを、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法を用いて調製し得る。SELEX法は、それぞれその両端にランダム配列領域およびプライマー結合領域を有するRNA分子から成るRNAプールから、標的分子に結合するRNA分子を選択する工程、回収したRNA分子をRT−PCRによって増幅する工程、得たcDNA分子を鋳型として用いて転写を行う工程、および生じたものを続く手順のためのRNAプールとして使用する工程を包含する。そのような手順を数回から数十回反復して、標的分子により強く結合する能力を有するRNAを選択する。ランダム配列領域およびプライマー結合領域の塩基配列の長さは、特に制限されない。一般的に、ランダム配列領域は、約20から80塩基を含み、そしてプライマー結合領域は、約15から40塩基を含む。将来を見越して標的分子と類似の分子をRNAプールと混合すること、および対象とする分子と結合しなかったRNA分子を含むプールを用いることによって、標的分子に対する特異性を増強し得る。そのような技術によって最終産物として得られたRNA分子を、RNAアプタマーとして使用する。様々な異なる標的分子に結合するアプタマーをどのように作製および使用するかの代表的な例を、米国特許第5,476,766、5,503,978、5,631,146、5,731,424、5,780,228、5,792,613、5,795,721、5,846,713、5,858,660、5,861,254、5,864,026、5,869,641、5,958,691、6,001,988、6,011,020、6,013,443、6,020,130、6,028,186、6,030,776、および6,051,698号において見出し得る。アプタマーおよびインビトロセレクション法によって生成した非天然リボザイムについての包括的な配列情報を含むアプタマーデータベースが、aptamer.icmb.utexas.eduで入手可能である。
いくつかの実施態様において、アプタマーは分子アプタマービーコンである。分子ビーコンは、そのステムの各末端に連結したフルオロフォアおよび消光剤を有する、ヘアピン型のオリゴヌクレオチドである。分子認識のシグナル伝達メカニズムは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)および、分子ビーコンのコンフォメーション変化に基づく。分子ビーコンは、通常は閉じてフルオロフォア/消光剤ペアを一緒にして蛍光を「オフ」にするスイッチのように作用する。標的生体分子に結合した場合、それはコンフォメーション変化を起こしてヘアピン構造を開き、フルオロフォアおよび消光剤を引き離して、それにより蛍光を「オン」にする。アプタマーの配列特異性および感度を、分子ビーコンのリアルタイム検出の利点と組み合わせるために、分子アプタマービーコンが開発された。簡単には、核酸アプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドを、ヘアピンを形成する相補的なDNAまたはRNA配列を有するようにデザインし、そのヘアピンはアプタマー配列がその標的に結合した場合に開く。分子アプタマービーコンは、Choら、Annu Rev Anal Chem(Palo Alto Calif)2:241−64(2009)、Hamaguchi Nら、Anal Biochem.294(2):126−31(2001);Li JJら、Biochem Biophys Res Commun.292(1):31−40(2002)において記載されている。
iii.ペプチドアプタマー
ペプチドアプタマーは、標的分子に結合する能力に関して選択された、無作為化アミノ酸配列を有する小さなペプチドである。ペプチドアプタマーの選択を、異なるシステムを用いて行い得るが、現在最も使用されているのは、酵母ツーハイブリッドシステムである。ペプチドアプタマーをまた、ファージディスプレイおよび、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、細菌ディスプレイ、および酵母ディスプレイなどの他の表面ディスプレイ技術によって構築された、コンビナトリアルペプチドライブラリーから選択し得る。これらの実験手順はまた、バイオパニングとして公知である。バイオパニングから得られるペプチドのうち、ミモトープは、ペプチドアプタマーの一種と考えることができる。コンビナトリアルペプチドライブラリーからパニングされた全てのペプチドは、MimoDBという名前の特別なデータベースに保存されている。
C.生物学的サンプル
開示されたアッセイにおいて、生物学的サンプルを、小分析物の存在、非存在、または最も好ましくは量に関して評価する。生物学的サンプルは、好ましくは全血、血漿、血清、尿、脳脊髄液、唾液、精液、硝子体液、または滑液などの体液である。好ましい実施態様において、体液は、全血、血漿、または血清である。
アッセイ流体
水性アッセイ流体をまた、生物学的サンプルに入れて、混合流体サンプルを形成し得る。アッセイ流体は、分析物および標識結合剤の間の反応を支援し(例えば、結合に干渉しない)、そしてアッセイ流体が毛管作用によって移動することを可能にするには十分低い粘性を有する。いくつかの実施態様において、アッセイ流体は、1つまたはそれより多くの以下の成分を含む:緩衝剤(例えばホスフェート);塩(例えばNaCl);タンパク質安定剤(例えばウシ血清アルブミン「BSA」、カゼイン、血清);および非イオン性洗浄剤(detergent)または界面活性剤(surfactant)などの洗浄剤(例えばNINATE(登録商標)411、ZONYL(登録商標)FSN100、AEROSOL OT100%、GEROPON(登録商標)T−77、BIO−TERGE(登録商標)AS−40、STANDAPOL(登録商標)ES−1、TETRONIC(登録商標)1307、SURFYNOL(登録商標)465、SURFYNOL(登録商標)485、SURFYNOL(登録商標)104PG−50、IGEPAL(登録商標)CA210、TRITONTMX−45、TRITONTMX−100、TRITONTMX305、SILWET(登録商標)L7600、RHODASURF(登録商標)ON−870、CREMOPHOR(登録商標)EL、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、BRIJ35、CHEMAL LA−9、PLURONIC(登録商標)L64、SURFACTANT10G、SPANTM60)。必要に応じて、もし所望の場合、アッセイ流体は増粘剤を含み得る。代表的なアッセイ流体としては、食塩水、または50mMのTris−HCl、pH7.2が挙げられる。いくつかの実施態様において、アッセイ流体は水である。
D.側方流動デバイス
好ましい実施態様において、開示されるポイントオブケアアッセイは、側方流動アッセイであり、それは試験サンプルが毛管作用によって固体基板にそって流れるイムノアッセイの形態である。図4に示すように、側方流動デバイス10は、適用ポイント14、任意選択のコンジュゲートゾーン16、捕捉ゾーン18、および吸収ゾーン20(例えばウィッキングパッド)を有する、膜小片などの固体基板12を含む。結合剤は、必要に応じてコンジュゲートゾーン16に存在する。捕捉剤は、捕捉ゾーン18に固定化され、それは好ましくは捕捉した分析物(捕捉複合体)を検出するための複数の捕捉ライン22を含む。
i.固体基板
膜小片などの固体基板12を、その表面に沿った、およびその内部を通る毛管作用による抗体および分析物の移動を可能にするのに十分な空隙率のある物質から作製し得る。適当な膜物質の例としては、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、グラスファイバー、ナイロン、高分子電解質イオン交換膜、アクリルコポリマー/ナイロン、およびポリエーテルスルホンが挙げられる。1つの実施態様において、膜小片は、硝酸セルロース(例えばマイラー(Mylar)の裏打ちを有する硝酸セルロース膜)またはグラスファイバーから作製される。
好ましい実施態様において、膜小片は、FUSION5TM材料(Whatman)であり、それは側方流動小片の全ての機能を行う、単層マトリックス材料である。FUSION5TMに関して、最適なビーズサイズは、約2ミクロンである;FUSION5TM材料は、約2.5ミクロンのビーズに関して98%の保持効率を有する。2.5ミクロンのビーズは、一般的にマトリックスには入らず、一方1.5ミクロンより小さいビーズは、マトリックスから洗い流される。
ii.適用ポイント
固体基板12は、適用ポイント14を含み、それは必要に応じて適用パッドを包含する。例えば、分析物を含むサンプルが、上記イムノアッセイから優先的に排除されるべき粒子または成分を含むなら、適用パッドを使用し得る。適用パッドは、典型的には、本開示される方法において使用される粒子よりも大きな(例えば約2から5ミクロンより大きい)粒子または成分をろ過して除去し得る。適用パッドを使用して、生物学的サンプルを改変すること(例えばpHを調整する)、固体成分をろ過して除去すること、全血成分を分離すること、および望ましくない抗体を吸着して除去することができる。もし適用パッドを使用するなら、それは膜上に、適用ポイントに対してごく近くに隣接して、または適用ポイントを覆って配置されている。適用パッドは、パッドに適用した場合、膜上の適用ポイントに流体サンプルを送達し得る吸収物質で作製し得る。代表的な物質としては、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、ナイロン、高分子電解質イオン交換膜、アクリルコポリマー/ナイロン、ポリエーテルスルホン、またはグラスファイバーが挙げられる。1つの実施態様において、上記パッドは、HemasepTM−Vパッド(Pall Corporation)である。別の実施態様において、上記パッドはPallTM133、PallTMA/D、またはグラスファイバーのパッドである。
iii.コンジュゲートゾーン
固体基板12は、必要に応じてコンジュゲートゾーン16を含み、それは結合剤を含む。いくつかの実施態様において、コンジュゲートゾーンは、測定すべき分析物およびコントロール分析物に結合する結合剤を含む。サンプルが結合剤を含むコンジュゲートゾーンを通って移動する場合、サンプル中の分析物が結合剤と相互作用して、捕捉複合体を形成する。
iv.吸収ゾーン
吸収ゾーン20は、好ましくはウィッキングパッドを含む。もしウィッキングパッドが存在するなら、それは適用パッドに関して記載されたような吸収物質から同様に作製し得る。好ましい実施態様において、ウィッキングパッドは、毛管作用による液体の流れが捕捉ゾーンを通過して継続することを可能にし、そして結合しなかった剤が捕捉ゾーンから移動して離れることを促進する。
v.捕捉ゾーン
捕捉ゾーン18は、膜小片に固定化された(例えば膜上にコーティングされた、および/または膜を通って浸透させた)捕捉剤を含む。好ましい実施態様において、捕捉剤は、捕捉ゾーン18に固定化された捕捉粒子に結合体化している。
捕捉ゾーン18は、好ましくは捕捉剤を含む1本またはそれより多くの捕捉ラインへと構築される。好ましい実施態様において、捕捉ゾーンは、多重分析、すなわち2つまたはそれより多くの分析物の検出のための、複数の捕捉ラインを含む。それに加えて、捕捉ゾーン18は、コントロール分析物の存在を検出するための、1本またはそれより多くのコントロール捕捉ラインを含み得る(すなわち、コントロール捕捉ゾーンまたは較正捕捉ゾーン)。好ましい実施態様において、コントロール分析物は、いかなる処方または非処方薬物、食物、飲料、または栄養補助食品にも通常存在しない化合物である。好ましくは、コントロール分析物捕捉試薬は、コントロール分析物に特異的に結合するが、測定するサンプル分析物とは相互作用しない。
較正捕捉ゾーンは、好ましくは、サンプル捕捉ゾーンが適用ポイントおよび較正捕捉ゾーンの間にあるように位置する。好ましい実施態様において、較正捕捉ゾーンおよびサンプル捕捉ゾーンの両方において、アッセイの成分の毛管作用の動態が同様である(例えば実質的に同じ)ように、較正捕捉ゾーンはサンプル捕捉ゾーンとごく近くに隣接している。例えば、2つの捕捉ゾーンは、液体の流速が両方のゾーンで同様であるように十分近い。それらはごく近くに隣接しているが、較正捕捉ゾーンおよびサンプル捕捉ゾーンはまた、各ゾーンで止められた粒子を個々に定量し得る(例えば相互干渉無しに)ように十分間隔があいている。さらに、好ましい実施態様において、そのサンプル捕捉ゾーンは、サンプル捕捉ゾーンおよび較正捕捉ゾーンの間の短い距離と比較して、長い距離である空間によって適用ポイントから離されている。アッセイにおいて粒子捕捉が律速工程であるので、適用ポイントおよび捕捉ゾーン(粒子が捕捉される場所)の間の距離は、液体の流速を、液体流がサンプル捕捉ゾーン上を移動するときに、粒子の捕捉を可能にするのに十分遅い速度まで遅らせるために十分でなければならない。膜小片上の成分間の最適な距離を、日常の実験を用いて決定および調節し得る。
いくつかの実施態様において、捕捉ゾーン18は、希釈コントロール分析物、すなわち典型的には予測可能な濃度で生物学的サンプル中に存在する分析物を検出するための、捕捉剤を含む少なくとも1本の捕捉ライン22を含む。生物学的サンプルが尿である場合、クレアチンが特に好ましい希釈コントロール分析物である。血清クレアチニンに関する典型的なヒト参照範囲は、女性で0.5から1.0mg/dL(約45〜90μmol/L)、および男性で0.7から1.2mg/dL(60〜110μmol/L)である。
いくつかの実施態様において、捕捉ゾーン18は、参照分析物を検出するための、捕捉剤を含む1本またはそれより多くの捕捉ラインを含む。その参照分析物を、公知の濃度で生物学的サンプルに投与し得る。これらの参照値は、標識検出量および分析物量の間の定量的相関を促進し得る。
vi.捕捉粒子
捕捉粒子は、捕捉剤でコーティングし、そして捕捉ゾーン18において膜に固定化し得る、ポリマー粒子などの粒子である。好ましい実施態様において、粒子は、物理的に膜中に捕獲されている。これは、化学的固定化が必要なことによって影響を受けない、最適な粒子の化学的性質の選択を可能にする。適当な捕捉粒子は、リポソーム、コロイド金、有機ポリマーラテックス粒子、無機蛍光粒子、および燐光粒子を含む。いくつかの実施態様において、粒子は、ポリスチレンラテックスビーズであり、そして最も具体的には、界面活性剤フリーのSuperactive Uniform Aldehyde/Sulfate Latexes(Interfacial Dynamics Corp.、Portland、Oreg.)などの、界面活性剤の非存在下で調製されたポリスチレンラテックスビーズである。
好ましい実施態様において、粒子は、メラミン樹脂(MF)(例えばSigma−Aldrichから入手可能)に基づく、単分散ポリマーマイクロスフィアである。メラミン樹脂マイクロスフィアを、界面活性剤無しに、70〜100℃の温度範囲で、メチロールメラミンの酸触媒水熱重縮合によって製造する。未改変のMF粒子は、高密度の極性トリアジン−アミノ基および極性トリアジン−イミノ基のために、親水性の荷電表面を有する。その表面の官能基(メチロール基、アミノ基等)は、他のリガンドの共有結合を可能にする。特別な適用のために、MF粒子を、カルボキシル基などの他の官能基を組み込むことによって改変し得る。これは、発色団またはフルオロフォア標識などの可能性のある表面誘導体化を増加させる。
上記粒子の物理的性質に有意に影響しない手段によって、検出を促進するためにその粒子を標識し得る。例えば、粒子を内部で標識し得る(すなわち、その標識は粒子内に、例えばリポソーム内またはポリスチレンラテックスビーズの内側に含まれる)。代表的な標識としては、発光標識;化学発光標識;燐光標識;蛍光標識;燐光標識;酵素結合標識;電気活性剤(例えばフェロシアン化物)などの化学標識;および色素などの比色定量標識が挙げられる。1つの実施態様において、蛍光標識を使用する。別の実施態様において、燐光粒子、特に米国特許第5,043,265号において記載されたものなどの、アップコンバーティング燐光粒子を使用する。
粒子を、好ましくは、サンプル分析物捕捉剤およびコントロール分析物捕捉剤などの捕捉剤でコーティングする。それらを、捕捉剤をコンジュゲーション緩衝液中で混合することによって調製し得る。次いで粒子上で共有結合を行い、捕捉剤の粒子へのランダムな結合を生じさせる。
E.サンプル採取器具
定量的ポイントオブケアアッセイは、固相器具と流体接触していないサンプル採取器具の使用を包含し得る。サンプル採取器具は、結合剤を含み得、そして測定した体積の流体サンプルを加え得るあらゆる器具であり得る。代表的なサンプル採取器具は、サンプルチューブ、テストチューブ、バイアル、ピペットまたはピペットチップ、シリンジを含む。好ましい実施態様において、サンプル採取器具は、ピペットまたはピペットチップである。
1つの実施態様において、サンプル採取器具は、結合剤の集合を含む。結合剤を、安定な形態で、すなわちその剤が保存中に化学組成または物理的状態が有意に変化しない形態で、サンプル採取器具内に保存し得る。その安定な形態は、液体、ゲル、または固体形態であり得る。好ましい実施態様において、上記剤は、蒸発乾燥;凍結乾燥;および/または減圧乾燥される。1つの好ましい実施態様において、サンプル採取器具は、そのチップ内に減圧乾燥した結合粒子を有するピペットチップを含む。別の好ましい実施態様において、そのサンプル採取器具は、そのチップ内に減圧乾燥した分析物結合粒子および減圧乾燥した較正分析物結合粒子を有するピペットチップを含む。
他の実施態様において、サンプル採取器具は、薬物結合粒子の集団および較正結合粒子の集団を含む。サンプル採取器具はまた、較正分析物を含み得る。もしそうなら、粒子の集団は、サンプル採取器具内で、較正分析物とは異なる位置にある。較正分析物はまた、サンプル採取器具において、蒸発乾燥、減圧乾燥、または凍結乾燥し得る。もしその較正分析物がサンプル採取器具内に保存されないなら、それはアッセイ流体に存在し得る。
いずれかの実施態様において、粒子の集団は、粒子のサイズおよび組成、固相器具の膜の組成、およびアッセイの感度レベルに依存して変動する。その集団は、典型的には、約1×10および1×10の間の範囲であるが、もし所望であれば、より少ないまたはより多くの集団を使用し得る。ある実施態様において、粒子の量を、サンプル採取器具内における保存のために粒子に適用するために使用される懸濁液中の固体の量として決定される。例えば、サンプル採取器具中での凍結乾燥または減圧乾燥のために、溶液中の粒子を適用する場合、5μlの懸濁液中、約0.05%から0.228%の固体(W/V)の懸濁液を使用し得る。あるいは、例えば約0.01%から0.5%(W/V)を含む、他の量を使用し得る。
結合粒子(薬物結合剤および較正結合剤の両方でコーティングされている)、または分析物結合粒子および較正分析物結合粒子を、サンプル採取器具内に、安定な形態で、すなわちその粒子が、保存中に化学組成または物理的状態において有意に変化しない形態で保存し得る。分析物結合粒子および較正分析物結合粒子を、サンプル採取器具内の同じ位置に保存する(例えば均一な混合物としてその位置に適用する)。
III.アッセイ法
側方流動アッセイを、生物学的サンプル中の、薬物、薬物代謝物、重金属、またはホルモンなどの、小分析物を検出するために使用し得る。上記アッセイは一般的に、生物学的サンプルをアッセイ流体、薬物分析物に特異的に結合する薬物結合剤、較正/コントロール分析物、および較正分析物に特異的に結合する較正/コントロール結合剤と組み合わせる工程を含む。接触した捕捉粒子は、分析物がその流体サンプル中に存在するかどうか、および分析物が結合粒子上の分析物結合剤に結合したかどうかに依存して、分析物結合剤に結合した分析物を有し得る、または有さない可能性がある。捕捉粒子上には分析物の複数の結合部位が存在するので、粒子に結合した分析物の存在および濃度は変動する;粒子に結合した分析物の濃度は、流体サンプル中に存在する分析物の量と比例して増加し、そしてサンプル捕捉ゾーンに停止する粒子の確率は同様に、粒子上の薬物結合剤に結合した分析物の量の増加と共に増加する。従って、接触した結合粒子の集団は、薬物結合剤に結合した様々な量の分析物を有する粒子、および薬物結合剤に結合した分析物を有さない粒子を含み得る。いくつかの好ましい実施態様において、移動要素のみが標識を含む。
好ましい実施態様において、上記薬物分析物およびコントロール分析物は、同様の物理的性質を有する。例えば、コントロール分析物は、好ましくは対象とする薬物分析物と同様のサイズの小分子である。しかし、較正分析物は、好ましくはヒト生物学的サンプルには存在せず、そして薬物結合剤と交差反応しない。従って、好ましい実施態様において、較正分析物は、あらゆる処方薬物または非処方薬物、食品、飲料、または栄養補助食品に通常存在しない化合物である。
別の好ましい実施態様において、薬物結合剤およびコントロール結合剤はまた、同様の性質を有する。例えば、もし薬物結合剤が抗体であるなら、較正結合剤もまた、好ましくは抗体である。さらに、較正/コントロール分析物に対する較正/コントロール結合剤の親和性および/またはアビディティは、好ましくは、薬物分析物に対する薬物結合剤の親和性および/またはアビディティに匹敵する(例えば1けた以内)。
A.サンプルの調製
1つの実施態様において、生物学的サンプルをまず、アッセイ流体中で結合剤と組み合わせて、混合流体サンプルを生成する。もし分析物が混合流体サンプル中に存在するなら、分析物および結合剤の間に結合が生じて捕捉複合体を生成する。結合の程度は、複数の条件の時間因子が増加するにつれて増大する。大部分の結合が1分以内に起こるが、1分超、2分超、5分超、10分超、または15分超のさらなるインキュベーションが、さらなる結合を結果として生じる。いくつかの実施態様において、結合剤は、サンプル採取器具中に存在する。生物学的サンプルを、好ましくは較正分析物および較正結合剤でコーティングした粒子と混合する。好ましい実施態様において、結合粒子は、検出可能な標識を含む。
サンプル採取器具に較正分析物が存在しないなら、アッセイ流体が較正分析物を含み得る。従って、上記混合流体サンプルは、薬物結合粒子、較正結合粒子、較正分析物およびサンプル分析物(もし存在するなら)を含む。
さらに他の実施態様において、結合剤は、側方流動膜小片のコンジュゲートゾーンに存在する。これらの実施態様において、サンプルを、そのようなサンプルを採取するために当該分野で使用されるあらゆるサンプル採取容器に採取する、例えば、無作為な尿サンプルを採取するためのあらゆる通常の検査室容器を、尿を採取するために使用し得る。例えばMoellerら、Mayo Clin.Proc.83(1):66−76(2008)において尿サンプルに関して記載されたように、偽陰性結果を回避するために、当該分野で公知の推奨ガイドラインに従ってサンプルを採取するべきである。
B.サンプルの適用
サンプルを、膜小片の適用ポイント14、またはもし存在するなら適用パッドに適用する。膜小片がサンプルと接触した後、膜小片を、標識結合剤が膜に沿って捕捉ゾーン18に、またはそれを通って、そして続いて捕捉ゾーン18を越えて(例えばウィッキングパッドに)毛管作用によって移動して、それによってあらゆる非結合標識結合剤を捕捉ゾーンから除去することを可能にする複数の条件下(例えば十分な時間および流体体積)で維持する。いくつかの実施態様において、サンプルは、結合剤を含むコンジュゲートゾーンを通って移動する。サンプル中の分析物は、結合剤と相互作用して捕捉複合体を形成する。
適用したサンプルが膜小片を通過するとき、結合剤に結合した分析物(サンプル/コントロール分析物)(捕捉複合体)を、好ましくは固定化捕捉粒子に結合体化している捕捉剤によって、捕捉ゾーン18に固定化する。その捕捉ゾーン18は、好ましくは捕捉ゾーンの特定の領域において1本またはそれより多くの捕捉ラインへと構築され、ここでそれらは、捕捉複合体が移動するときに、捕捉ラインによってそれを捕捉するように作用する。捕捉ゾーン18は、好ましくは多重分析および定量化のための、複数の捕捉ライン22を含む。
毛管作用は続いて、停止しなかったあらゆる結合剤を、捕捉ゾーン18を越えて前方に、例えば捕捉ゾーン18に続くウィッキングパッドへと動かす。もし所望なら、補助的な洗浄工程を使用し得る。混合流体サンプルを膜に、またはもし存在するなら適用パッドにしみこませた後、アッセイ流体を、適用ポイントに適用し得る。補助的な洗浄工程を、それが混合流体サンプルを希釈しない限り、その後のいずれかの時間に使用し得る。補助的な洗浄工程は、捕捉粒子を検出するときに、バックグラウンドシグナルの低減に寄与し得る。
C.検出
次いで捕捉ゾーンに停止した、結合剤に結合した分析物(サンドイッチ複合体)の量を検出し得る。標識結合剤または標識捕捉剤を、好ましくは使用する標識の種類に適当な手段を用いて検出する。好ましい実施態様において、標識結合剤または標識捕捉剤を、吸光度または蛍光を測定することによるような、光学的方法によって検出する。好ましい実施態様において、粒子を、ESEQuantTM Lateral Flow Immunoassay Reader(Qiagen)を用いて検出する。あるいは、標識結合剤または標識捕捉剤を、電気伝導率または誘電性(静電容量)を用いて検出し得る。あるいは、インジウムイオン、ビスマスイオン、ガリウムイオン、またはテルルイオン、またはフェロシアン化物などの、放出された電気活性剤の電気化学的検出を使用し得る。例えば、もしリポソームを使用するなら、リポソーム内に封入されたフェロシアン化物を、捕捉ゾーンにおいて1滴の洗浄剤を加えることによって放出し得、そしてその放出されたフェロシアン化物を、電気化学的に検出し得る。もし金属イオンをキレート化するためにキレート化剤−タンパク質コンジュゲートを使用するなら、捕捉ゾーンにおける1滴の酸の添加が、そのイオンを放出し、陽極ストリッピングボルタンメトリーによる定量を可能にする。あるいは、磁気粒子検出法および比色定量法を利用し得る。
D.結果の解釈
非競合アッセイに関して、サンプル中の分析物の量は、捕捉ラインにおいて検出される検出剤のレベルと直接関連している。この値は、好ましくは検出デバイスおよびパラメーター(例えば光強度)のバリエーションを明らかにするために、膜中(例えば捕捉ゾーン)に固定化された別の検出可能な標識の量によって正規化される。次いでこの正規化された値を、標準曲線、またはこれらの正規化された値を分析物濃度と関連付ける応答曲面に対してプロットし得る。例えば、標準曲線または応答曲面を、標準分析物を用いて前もって調製し得る。それに加えて、3つまたはそれより多くの内部標準分析物を上記アッセイにおいて検出し、そして参照曲線または曲面から標準曲線または曲面を調整または選択するために使用し得る。
応答曲面法(RSM)は、対象とする応答が、いくつかの変数によって影響され、そしてその目的がこの応答を最適化することである、問題のモデリングおよび分析のために有用な、数学的および統計学的技術の集合である(Montgomery、DouglasC.2005.Design and Analysis of Experiments:Response surface method and designs.New Jersey:John Wiley and Sons,Inc.)。いくつかの場合において、ある範囲の検出剤を含む多重化アッセイから分析物濃度をより正確に決定するために、適合RSMモデルを使用する。例えば、分析物の捕捉剤への結合は、特定の剤x(例えば抗体)および分析物x(例えばTHC)の濃度の両方に依存する。その試験を、x(連続変数)およびx(基数変数(cardinal variable))の組み合わせによって行って、分析物の値(連続変数)に対する応答を決定し得る。基数値は、試験小片の物理的順序を構成し得る(例えばライン1、ライン2等)。しかし、RSMは誤差を最小限にするために適合され、そしてアッセイにおける結合剤の実際の物理的順序と本質的に関連しないので、適合を単純化するために他の順序(すなわち順序、連続的)が好ましい場合がある。最も単純な場合において、蛍光強度yが応答変数であり、そしてこの検出された強度が、分析物濃度(x)および使用した結合剤(x)の関数である。この関数を、
y=f(x,x)+ε
のように表し得る。
変数xおよびxは、独立変数であり、ここでその応答yはそれらに依存する。定量的結果を改善するために、さらなる独立変数(例えばx、x等)も使用し得る。従属変数yは、x、x、およびεとして示される実験誤差の項の関数である。誤差の項εは、応答に対するあらゆる測定誤差、およびfで計算されない他の型の変動を示す。これは通常ゼロ平均および分散sで分布すると想定される統計学的誤差である。ほとんどのRSM問題において、真の応答関数fは未知である。fの適切な近似を展開するために、実験を小試験領域における低位の多項式から始める。もしその応答を、独立変数の一次関数によって定義し得るなら、その近似関数は、一次モデルである。2つの独立変数を有する一次モデルを、
y=β+β+β+ε
と表し得る。
結合曲線でよくあるように、もし応答曲面に湾曲が存在するなら、より高次の多項式を使用するべきである。2つの変数を有する近似関数は、2次モデルと呼ばれる:
y=β+β+β+β11 11+β22 22+β12+ε
より高次のモデルが可能であるが、一般的に全てのRSM問題は、これらのモデルのいずれか1つまたは両方の混合物を使用する。
yが検出されたシグナルであり、そしてそのシグナルの位置が特定の結合剤xと関連することが公知であるRSMの等式を考慮して、未知の濃度xを解くことができる。ここでxは正の実数の値である。
好ましい実施態様において、その応答値yは、正規化された強度である。この正規化は、光源から生じる光強度の変動(すなわち、経年変化、ウォームアップ、低周波ドリフト(low frequency drift)等)に関連するノイズを除去する。分析物濃度(例えば結合剤またはアプタマービーコン上の)に依存する蛍光検出を、好ましくは、膜中、または膜上に存在する別の蛍光マーカーに対して正規化する。例えば、必要に応じて分析物濃度に依存する蛍光標識と同じ励起および発光波長の蛍光ビーズを、別のコントロールラインに含んで、検出の出力を正規化し得る。これを、式
=y/y
によって表し得、ここでyは未知の分析物の検出された応答であり、yは膜中または膜上のコントロールマーカーの検出された応答であり、そしてyは正規化した応答である。
好ましい実施態様において、分析物の濃度値xは、それぞれの結合剤と結合した特定の分析物の最も高い検出濃度によって測定される(scaled)無次元の値である。これは、様々な検出分析物を、同様のスケールにすることによって、RSM適合を単純化するが、診断的に関連する検出範囲は、それぞれの分析物の間で(すなわちフェンタニルvsモルヒネ)大きく異なり得る。これは、式
1n=x/x
によって表し得、ここでx1nは未知の分析物の無次元の濃度であり、xは分析物の濃度であり、そしてxは、アッセイにおいて最も高いレベルの分析物の濃度(すなわち、診断的に関連していない、より高いレベル)である。RSM由来の無次元の値から、分析物の実際の値を回復するためには、その分析物の定数xをかけるだけである。典型的には、この操作は、デバイスの操作に対して本質的であり、検出された分析物の報告される濃度を調べるだけの末端使用者には不可視である。
好ましい実施態様において、結合剤xは、各分析物および結合剤についての決定された検量線を順序付けすること、および最小限の誤差で最も単純なRSMを与えるように、各結合に関して値xを決定することによって、連続的な値として表される。最も低い応答曲線が最初であり、そしてより激しい応答に進行するように、ナイーブなケースはこれらを基数方式で順序づける。しかし、検出ラインの物理的位置は決定された表面の順序付けと関連しないので、RSM適合を最適化するために連続的な値を割り当て得る(すなわち、モルヒネ=0.2、フェンタニル=1.1等)。
好ましい実施態様において、分析物および結合剤の公知の組み合わせを試験することによって決定された、この最適なRSM曲面を使用して、未知の分析物濃度を解く。内部標準を含むことは、所定の試験に関して、決定される値が予測される分散(ε)内にあること、またはもしそうでないなら調整して個々の試験の正確性を補償および改善し得ることを保証することによってこの計算を改善する。最も単純な例において、含まれる内部標準は、一定のオフセット、β+β’と関連する誤差を示し得、そして決定されたオフセット、β’をその式から引くことによって結果を修正して、未知の値を決定し得る。3つまたはそれより多くの標準を含むことは、全く新しいモデルを得る必要なく、湾曲の修正を含む、RSM曲面に対するより複雑な修正を可能にする。好ましくは、5つの内部標準を使用し、そしてRSMモデルの4つの端(extremity)プラス中心点をカバーする。
IV.キット
開示された方法において使用するためのキットも提供される。1つの実施態様において、キットは、本明細書中で開示される側方流動デバイスを含み、それは必要に応じて好ましくは結合剤を含むコンジュゲートゾーン16を含む。キットは必要に応じて、サンプル採取器具を含む。
いくつかの実施態様において、サンプル採取器具は、側方流動器具と流体接触していない。いくつかの実施態様において、サンプル採取器具は、好ましくはサンプル採取器具上に蒸発乾燥、凍結乾燥、または減圧乾燥された結合剤の集団を含む。キットの成分はさらに、標準曲線を生成するための、公知の濃度の分析物、捕捉粒子、結合剤を有するコーティング粒子のための粒子およびコンジュゲーション緩衝液、処理器具(例えばバイオハザードゴミ袋)、および/またはサンプル採取器具に関する他の情報または指示(例えばロット情報、有効期限等)を含み得る。
実施例1:アプタマーの選択
表Iに示す抗体は、オキシコドンの非競合アッセイに使用し得るアプタマーを同定するための概念実証アッセイにおいて有用である。ヒドロモルフォンをネガティブコントロールとして使用し得る。抗体は全て、表Iに示すように、オキシコドン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、ノルオキシコドン、およびヒドロモルフォンに対して交差反応性を有する。オキシコドン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、ノルオキシコドン、およびヒドロモルフォンの構造を下記に示す。
概念実証のために使用する抗体、およびオキシコドンに対する相対活性を表Iに示す。
PAS9713、PAS9712は、オキシコドンをその標的とするヒツジポリクローナル抗体であり、Randox Life Sciencesから入手可能である。PAS9771は、Randox Life Sciencesから入手可能な抗ヒドロモルフォン抗体である。MBS315355は、MyBioSource、San Diego、CAから入手可能な、ウサギで産生した抗オキシコドン抗体である。PAS9713、PAS9712、およびPAS9771は、抗オキシコドン抗体であるが、それらは表Iで示したように、ヒドロコドン、オキシモルフォン、およびヒドロモルフォンと交差反応する。
対象とする薬物、例えばオキシコドンに選択的なアプタマーを、インビトロの手順、SELEXを用いて選択し得る。アプタマーを、オキシコドン免疫複合体に対するそれらの認識に基づいて選択する。
簡単には、SELEX手順は、大きな無作為オリゴヌクレオチドライブラリー(プール)から始まり、その複雑性および多様性は、その無作為なヌクレオチド位置の数に依存する。Mayer、Anew.Chem.Int.Ed.、48:2672−2689(2009)。SELEX手順の間、配列由来の結合DNAを、親和性を欠くDNAから分離する。対象とする標的、例えば抗体−薬物複合体を、カラムマトリックス、通常アガロースまたはセファロースに固定化し、そして複数回の洗浄による不要な配列の容易な分割を可能にすることによって、これを達成し得る。あるいは、FluMag SELEXシステム、Stoltenburgら、Anal.Bioanal.Chem.383:83−91(2005)に記載されたように、固体マトリックスとして磁気ビーズを使用し得る。これは、富化されたプールを生じ、それを標的分子に関するそのプールの親和性を増加させる(ポジティブセレクション)、または望ましくない化合物に対する親和性を有するプールのメンバーを排除する(ネガティブセレクション)ように作用するさらなる選択ラウンドにかける。数ラウンドの後、その富化したプールをクローニングし、配列決定し、そして特徴付けをして、対象とする薬物に選択性を示すアプタマーを発見する。抗体に対して非特異的結合を示すアプタマー(apatamer)を選択して除くために、抗体(薬物無し)に対するアプタマーの結合を、ネガティブセレクションアッセイにおいて使用し得る。免疫複合体(例えばヒドロモルフォンを用いた)に対する非特異的結合に関するネガティブセレクションをまた、オキシコドンに選択的なアプタマープールを富化するために使用し得る。

Claims (33)

  1. 被験体からの生物学的サンプル中の分析物の量を定量的に測定するための非競合アッセイ方法であって:
    a)該生物学的サンプルを
    (i)結合剤であって、該分析物に選択的に結合して、該結合剤および該分析物の捕捉複合体を形成する結合剤、および
    (ii)捕捉剤であって、該捕捉複合体に選択的に結合するが、フリーの分析物には結合せず、該結合剤、捕捉剤および分析物のサンドイッチ複合体を形成する捕捉剤、と反応させる工程、および
    b)サンドイッチ複合体形成物を測定する工程;を含み、
    該サンドイッチ複合体形成物の量が、該サンプル中の該分析物の量と直接関連する、方法。
  2. 被験体からの生物学的サンプル中の分析物の量を定量的に測定するための非競合アッセイ方法であって:
    a)該分析物に集団で選択的に結合して、結合剤、捕捉剤および分析物のサンドイッチ複合体を形成する該結合剤および該捕捉剤と、該生物学的サンプルを反応させる工程、および
    b)サンドイッチ複合体形成物を測定する工程、を含み、
    該サンドイッチ複合体形成の量が、該サンプル中の該分析物の量と直接関連する、方法。
  3. 前記結合剤が、分析物に選択的に結合する、抗体、核酸アプタマー、またはペプチドアプタマーを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  4. 前記捕捉剤が、前記捕捉複合体に選択的に結合する、抗体、核酸アプタマー、またはペプチドアプタマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  5. 前記結合剤が、第一の検出可能な標識と連結する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  6. 前記捕捉剤が、第二の検出可能な標識と連結する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  7. 前記第一の検出可能な標識および前記第二の検出可能な標識が、別々の励起波長および発光波長の組み合わせを有する蛍光分子である、請求項6に記載の非競合アッセイ方法。
  8. 前記第一の検出可能な標識および前記第二の検出可能な標識が、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ドナー−アクセプターペアを形成する、請求項6または7に記載の非競合アッセイ方法。
  9. 前記核酸アプタマーの結合剤または捕捉剤が、フルオロフォアおよび消光剤ペアを含み、前記サンドイッチ複合体の形成が、結果として該フルオロフォアの検出可能な消光または非消光が生じる、請求項5〜8のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  10. 前記分析物が、2,000ダルトン未満の分子量を有する、ホルモン、薬物、または薬物代謝物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  11. 前記薬物が乱用薬物である、請求項10に記載の非競合アッセイ方法。
  12. 前記薬物がオピオイドまたはオピオイド代謝物である、請求項11に記載の非競合アッセイ方法。
  13. 前記オピオイドが、モルヒネ、コデイン、テバイン、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、デソモルフィン、ニコモルフィン、プロポキシフェン、ジプロパノイルモルフィン、ベンジルモルフィン、エチルモルフィン、ブプレノルフィン、フェンタニル、ペチジン、メペリジン、メタドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の非競合アッセイ方法。
  14. 前記薬物が、オキシコドン、ヒドロコドン、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の非競合アッセイ方法。
  15. 前記薬物代謝物が、ノルオキシコドン、オキシモロフォン、ヒドロモルフォン、ノルヒドロコドン、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の非競合アッセイ方法。
  16. 前記分析物がTHCまたはその代謝物である、請求項11に記載の非競合アッセイ方法。
  17. 前記分析物がニコチンまたはその代謝物である、請求項10に記載の非競合アッセイ方法。
  18. 側方流動イムノアッセイを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  19. 請求項18に記載の非競合アッセイ方法であって、
    a)必要に応じて、結合剤を前記生物学的サンプルに加える工程;
    b)該生物学的サンプルを、適用ポイント、任意選択のコンジュゲートゾーン、捕捉ゾーン、および吸収ゾーンを含む膜小片に適用する工程であって、該コンジュゲートゾーンが該結合剤を含み、該捕捉ゾーンが、該膜小片内、または該膜小片上に固定化された前記捕捉剤を含み、該生物学的サンプルを該適用ポイントに適用する、工程;
    c)必要に応じて、該生物学的サンプル中に存在する分析物が、毛管作用によって該膜小片を通り、該コンジュゲートゾーンまで移動することを可能にし、かつ該分析物に対する該結合剤の結合が、捕捉複合体を形成することを可能にする条件下で、該膜小片を維持する工程;
    d)該捕捉複合体が、毛管作用によって該膜小片を通り、該捕捉ゾーンまで移動することを可能にし、かつ該捕捉複合体に対する該捕捉剤の結合が、サンドイッチ複合体を形成することを可能にする条件下で、該膜小片を維持する工程;
    e)さらに、該捕捉ゾーンに固定化されていない結合剤の該吸収ゾーンへの移動を可能にする条件下で、該膜小片を維持する工程;および
    f)該捕捉ゾーンのサンドイッチ複合体の量を決定する工程、を含み、
    該サンプル中の分析物の量が、該捕捉ゾーンに存在するサンドイッチ複合体の量と直接関連する、方法。
  20. 前記膜小片が、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、グラスファイバー、ナイロン、高分子電解質、アクリルコポリマー、ポリエーテルスルホンからなる群から選択される材料を含む、請求項19に記載の非競合アッセイ方法。
  21. 前記膜小片が単層融合マトリクス材料を含む、請求項19に記載の非競合アッセイ方法。
  22. 前記サンドイッチ複合体の量が、前記捕捉ゾーンで検出される第一の検出可能な標識の量の、該捕捉ゾーンで検出されるコントロールの検出可能な標識の量に対する比として決定される、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記捕捉剤を、前記膜小片内に捕捉されている粒子に結合体化する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  24. 前記コントロールの検出可能な標識が、前記粒子内または前記粒子上にある、請求項23に記載の非競合アッセイ方法。
  25. 前記捕捉剤が、前記捕捉ゾーン内の捕捉ラインに存在する、請求項19〜24のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  26. 前記捕捉ラインで検出される結合剤の量が、コントロール捕捉ラインで検出されるコントロール分析物と特異的に結合する結合剤の量に対して正規化される、請求項25に記載の非競合アッセイ方法。
  27. 前記コントロール分析物が、前記生物学的サンプルを前記膜小片の前記適用ポイントへ投与する前に、該サンプルに加えられる、請求項26に記載の非競合アッセイ方法。
  28. 前記生物学的サンプル中の分析物の量が、複数の標準分析物から計算し、かつ内部コントロールを用いて調整した応答曲面に対して、検出される結合剤の量をプロットすることによって、決定される、請求項19〜27のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法。
  29. 前記応答曲面が内部コントロールを用いて調整される、請求項28に記載の非競合アッセイ方法。
  30. 2,000ダルトン未満の分子量を有する、ホルモン、薬物、または薬物代謝物からなる群から選択される分析物のための、請求項1〜29のいずれか一項に記載の非競合アッセイ方法を行うためのキットであって、
    該キットが、適用ポイント、捕捉ゾーン、および吸収ゾーンを含む膜小片を含み、
    該捕捉ゾーンが、結合剤−分析物複合体に選択的に結合するが、フリーの分析物には結合しない、該膜小片内、または該膜小片上に固定化された捕捉剤を含み、
    該捕捉剤が、抗体、核酸アプタマー、またはペプチドアプタマーを含む、キット。
  31. 前記膜小片が、さらにコンジュゲートゾーンを含み、該コンジュゲートゾーンが、該膜小片内、または該膜小片上に固定化された、抗体、核酸アプタマー、またはペプチドアプタマーからなる群から選択される結合剤を含む、請求項30に記載のキット。
  32. 前記捕捉ゾーンが固定化されたコントロール分析物を含む、請求項30に記載のキット。
  33. さらにサンプル採取器具を含み、該サンプル採取器具が、前記分析物に選択的に結合する結合剤を含む、請求項30に記載のキット。
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