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JP2014529314A - 解剖学的構造へのインプラントの適合を最適化するシステムおよび方法 - Google Patents

解剖学的構造へのインプラントの適合を最適化するシステムおよび方法 Download PDF

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ランディー・シー・ワインバーガー
ウィリアム・エル・バウアーズ・ジュニア
ジェームズ・ベネット・ウィーブ・サード
ナサニエル・ミルトン・レンツ
ザカリー・クリストファー・ウィルキンソン
ショーン・エム・ハドック
ライアン・ロイド・ランドン
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Abstract

特定個人の解剖学的構造に対して整形外科用インプラントの適合を手術前に最適化するシステムおよび方法が提供される。この方法は、個人の解剖学的構造の三次元解剖モデルを含む情報を受信するステップと、いずれの異常形態を参照することなく解剖モデルのシミュレーションした切除部分の外周を計算するステップと、シミュレーションした切除表面に使用するために整形外科用インプラント構成要素についての事前のサイズを特定するステップと、シミュレーションした切除部分に対して整形外科用インプラントのモデルを初期配置するステップと、シミュレーションした切除部分および整形外科用インプラントのモデルの外周のまわりにランダムな点集合を生成するステップと、シミュレーションした切除部分の外周に対しての整形外科用インプラントの外周の位置が最適であるか判定するポジションオプティマイザを利用するステップと、選択した整形外科用インプラントのモデルがはみ出すことになるか判定するステップと、整形外科用インプラントの位置および/または整形外科用インプラントのサイズを検証するステップとを含む。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2011年7月20日に出願した米国特許仮出願第61/509,928号、および2011年7月26日に出願した米国特許仮出願第61/511,713号の利益を主張するPCT国際特許出願である。各出願の開示は、参照によりその全体が組み込まれる。
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
該当なし
[添付書類]
該当なし
膝関節の関節表面(articulating surface)を切除し、インプラントに交換する膝関節置換術などの関節置換手技によくある問題は、インプラントが患者の解剖学的構造の切除表面を最適に覆わないことが多いというものである。通常のインプラントセットは、いくつかのサイズの選択肢しか用意しておらず、人によって骨および他の解剖学的構造の形態のばらつきがあるとすると、特定の患者にとって最も近いサイズは、インプラントの外周が切除表面からはみ出すこと(over−hanging)および/または切除表面の一部を完全には覆わないことのいずれかをしばしばもたらすことになる。いずれの状況も望ましくなく、時として軟組織の過敏または機能的妥協などの問題をもたらし得る。
しばしば全膝関節置換術(TKA)においては、術後の患者の芳しくない結果は、粗末な設計の人工装具により引き起こされるものではない。そうではなく、この問題は、よく設計された人工装具が、最良の解剖学的適合を得ようとして、患者の自然の解剖学的構造に対して最適とは言えない生体力学的位置に装着されることによりよく生じ得る。言い換えれば、前記人工装具がずれている場合または人工装具の向きの生体力学的影響を考慮せずに人工装具が装着される場合には、痛みまたは異常摩耗による膝の再手術の確率は、よく設計された人工膝関節を用いても高いものであり得る。
全膝関節置換術(TKA)では、外科医は、前側冠状面から後側冠状面までの遠位の大腿骨のA−P幅を測定することによって大腿部の膝関節インプラント構成要素のサイズを決定することができる。骨のサイジングが行われて、前側の大腿皮質に切り込みをつけることなく最も近いサイズの大腿構成要素を決定する。特定の整形外科用製品のポートフォリオ内で大腿構成要素のサイズ間のA−P幅の切り込み可能なギャップにより、インプラントの生体力学的適合、感覚、および機能は、3つの異なる技法についてそれぞれ3つの異なる形で損なわれる。
第1に、外科医が、後方基準技法を使用することを決断する場合、大腿構成要素インプラントの前側フランジは、インプラントの前後方向のサイズに応じてそれがあり得る場所に収まる。多くの場合、患者の骨のサイズは、整形外科向け製品の提供物によって決められたサイズ間に収まる。後方基準技法と共により大きいサイズのインプラントを使用することは、より良い骨のカバーをもたらす一方で、膝蓋骨の詰め物、支帯のストレッチ(retinacular stretch)、膝蓋大腿の靱帯のストレッチ、四頭筋および膝蓋骨の腱(patellar tendon)の過伸展、4倍の非能率(quad inefficiency)、および膝蓋骨に対する力の増大による前側の膝の痛みがもたらされ得る。逆に、後方基準技法と共により小さいサイズのインプラントを用いることは、緩い四頭筋および膝蓋骨の腱、膝蓋骨の亜脱臼、乏しい膝蓋骨のトラッキング、ならびに膝関節の不安定性/緩みを引き起こす可能性がある。
第2に、外科医が、前方基準技法を使用することを決断する場合、大腿構成要素の1つまたは複数の後方顆路は、それらのサイズおよび幾何学的形状に応じてそれらがあり得る場所に収まる。多くの場合、患者の骨のサイズは、整形外科向け製品の提供物によって決められたサイズ間に収まる。前方基準技法と共により大きいサイズのインプラントを使用することは、より良い骨のカバーをもたらす一方で、側副靱帯の張りの増加、屈曲の硬い関節、可動域の減少、およびACLおよびPCLなどの軟組織を損傷するリスクの増加をもたらすことができる。逆に、前方基準技法と共により小さいサイズのインプラントを用いることは、より厚い脛骨インサートが屈曲の緩みを補償するために使用される場合、深い屈曲における関節の緩み、緩い側副靱帯、および膝蓋骨の偽りの収まり(pseudo−patellar baja)を引き起こす可能性がある。
第3に、そうすることはまれであるが、外科医が、中道の技法をとること(すなわち、前方基準と後方基準の間のどこかに任意に基準をとること)を決断する場合、前述の弱点の組合せが存在する可能性があり、または解剖的適合および非運動学的な手術中の靱帯のバランスに純粋に基づいて選択されるものよりも理想的なインプラントの位置であり得る。
in−vivoで機能的活動(例えば、カリフォルニア州サンクレメンテのLifeModeler, Inc.による製品のLifeMOD/KneeSIM)をシミュレートするソフトウェアプログラムが、インプラント設計の性能を評価するために使用されてきた。そのようなプログラムは、三次元のダイナミクス指向性の物理ベースのモデリング法を使用する。これらのプログラムは、これまでインプラントの幾何学的形状を設計するために使用されてきたが、従来技術は、インプラントが個々の患者の要望を満たし、それらを超えるようにインプラントの解剖学的な配置またはサイジングを微調整するためにそのようなソフトウェアを利用していなかった(すなわち、標準およびカスタム)。2011年12月13日にOttoらに発行された特許文献1は、人工装具のインプラントの準備において個人の生体力学的機能を手術前に特徴付けるそのようなソフトウェアプログラムを使用するシステムおよび方法を開示している。特許文献1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
米国特許第8,078,440号公報
上記の課題に鑑みて、本発明は開発された。本発明は、様々な外周形状を特徴付ける多数のファミリーのインプラントのサイズを利用するこれらの問題に対処するシステムおよび方法である。最良に適合するインプラントは、患者の解剖学的構造の三次元モデル上で計画された切除をシミュレートすることによってこのファミリーから特定することができる。計画された(1つまたは複数の)切除がシミュレートされると、最良に適合する(1つまたは複数の)インプラントを特定するために、それらの切除の外周部は、様々なインプラントのサイズまたはサイズ群、およびそれらのインプラントの可能な位置に比較することができる。いくつかのインプラントが「最良に適合する」として特定される場合、他の基準/寸法が、可能なインプラントをただ1つまたはより小さい群に絞るために検討される場合もあり得る。
本発明の一態様では、患者の解剖学的構造の三次元モデルが、手術前に取得されたMRI、CTまたは他の画像データなどの画像データから生成され、計画された切除を解剖学的構造に反映させるように修正することができる。インプラントの三次元CADまたは他のモデルは、患者の解剖学的構造の修正された三次元モデルの上にオーバーレイできる。手動または自動のコンピュータプログラムを用いて、インプラントモデルの外周と修正された解剖モデルを比較することができる。このコンピュータプログラムは、最適なインプラントモデルを特定するための決定ルールを利用することができる。
生体力学的性能を改善するために、所与の人工装具および患者のための構成要素の最良の生体力学的サイジングを決定するシステムおよび方法が提供される。生体力学的サイジング(例えば、運動学的なサイジング)は、インプラント構成要素がシミュレーションモデルの結果により示唆された最適な向きおよび構成に装着されるときに、特定の患者にとって最も自然で、最適な力環境、可動域、感覚および生体力学的パターンを与えるように最適なインプラント構成要素のサイズを決定するステップとして定義されてもよい。概して、サイジングは、サイズに関して異なる寸法を含意し、幾何学的形状の変更がいくつかの実施形態に含まれ得るが、関節の幾何学的形状などの幾何学的形状の選択肢は必ずしも必然的ではない。良い生体力学的サイジングは、インプラントのわずかなはみ出し、または従来の方法によって典型的に望まれるものよりわずかに小さい骨の適用範囲を必要とし得るが、手術後の活動中に患者の満足感の見込みを潜在的に増加させる。例えば、個々の患者に第1の向きに配置された小さい3つの区画に分かれた大腿構成要素は、骨のカバーがより少なくなるものであり、より良い骨のカバーを与える第2の向きに配置されたより大きい3つの区画に分かれた大腿構成要素より高い機能的生体力学的性能値を与えることができる。この例では、小さい3つの区画に分かれた大腿構成要素は、より大きい3つの区画に分かれた大腿構成要素よりもより良い生体力学的サイズであるとみなされる。
生体力学を通じてのサイジングは、現在のインプラントが生体力学的に「不適切な組合せをしており」、インプラントの形状の変化を促進して望ましくない応力および/または運動学を減少させるかについての特定を可能にする。さらに、制約の範囲が、特定の患者にとって望ましいものとすることができる。例えば、高齢の患者は、固有受容感覚が乏しく、そのため性能限界(performance envelope)は、より大きい安定性の感覚を高齢の患者に与えるように小さくなり、一方、より若い患者は、良好なバランスを有し、より大きい可動域を欲し、そのため性能限界は、それに応じて拡大される。これは、外科医の手術中の判断にやや類似するが、コンピュータが、運動学的なトレードオフより包括的な解析、および適切なインプラントの選択をもたらす。
全ての例において、モジュール式のインプラントの使用またはより大きいインプラントの選択を通じて適合を見るときに、外科医は、妥協する機会がある。外科医は、本発明のコンピュータシミュレーションから生成される推奨をいつでも破棄することができる。本発明は、主に、手術前と手術中の両方で考えるためのより多くの選択肢を外科医に与える役割を果たす。本発明は、許されるオプションの数を減少させない。
いくつかの実施形態によれば、いくらか従来からされた骨の適合であるにも関わらず、インプラントの前に1つまたは複数の人工装具の向きを調整して最良の生体力学的性能を与える方法が提供される。まず、仮想の患者のフォワードダイナミックコンピュータモデルが生成される。そのようなモデルは、LifeMODによるBodySIMソフトウェアで生成することができる。次いで、このモデルを使用して1つまたは複数の人工装具(例えば、TKA構成要素、単顆構成要素、両顆構成要素)を患者に「仮想的に」インプラントし、1つまたは複数の人工装具のどの構成および向きが、指定された活動全体にわたって最良の生体力学的性能、可動域、および軟組織の力環境をもたらすかを判定する。患者のライフスタイルの要求に基づいて、人工装具の構成要素ごとに理想的なインプラントのサイズ、タイプ、ブランド、および空間的向きが、反復モデリングおよびシミュレーションに基づいて選ばれる。次いで、人工装具構成要素は、それに応じてインプラントされる。
特定個人の解剖学的構造に対して整形外科用インプラントの適合を手術前に最適化する方法が提供される。この方法は、個人の解剖学的構造の三次元解剖モデルを含む情報を受信するステップと、プロセッサを用いていずれの異常形態を参照することなく三次元解剖モデルのシミュレーションした切除部分の外周を計算するステップと、シミュレーションした切除表面に使用するために整形外科用インプラント構成要素についての事前のサイズを特定するステップと、三次元骨モデルのシミュレーションした切除部分に対して事前に特定された整形外科用インプラントのモデルを初期配置するステップと、シミュレーションした切除部分および整形外科用インプラントのモデルの外周のまわりにランダムな点集合を生成するステップと、ポジションオプティマイザを利用して、シミュレーションした切除部分の外周に対して整形外科用インプラントの外周の位置が最適であるか判定するステップと、選択した整形外科用インプラントのモデルが、三次元解剖モデルに対してはみ出すことになるか判定するステップと、整形外科用インプラントの位置および/または整形外科用インプラントのサイズを検証するステップとを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、三次元解剖モデルの複数の切除面を作成するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、切除安全ゾーンを生成するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、三次元解剖モデルの異常形態を検出するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、整形外科用インプラントについての事前のサイズを記録するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、点集合間の最小距離を計算するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、特定された最適なインプラントのサイズおよび位置が、正しいように思われ、そのような特定されたインプラントのサイズが、外科的手技に使用される他の構成要素に適切であることを検証するのに十分な情報をユーザに出力するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、三次元骨モデルのシミュレーションした切除部分に対して事前に特定された整形外科用インプラントのモデルを初期配置するステップを繰り返すステップと、シミュレーションした切除部分および整形外科用インプラントのモデルの外周のまわりにランダムな点集合を生成するステップとをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、異なるサイズの整形外科用インプラントを選択するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、サイズ最適化ステップを通じての先の反復がそのインプラントモデルについてのはみ出しを特定したか判定するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、検証ステップは、半自動または完全自動の検証手続きである。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
従来技術に現在存在する問題を示す概略ベン図である。 解剖学的構造へのインプラントの適合を最適化する方法の非限定の一例を概略的に示す図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法における拡大図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。 図2の方法におけるあるステップを概略的に示す図である。
同じ参照符号が同じ要素を示す添付図面を参照すると、図1は、従来技術の外科的方法が遭遇した問題を示すベン図(800)である。この図(800)は、少なくとも3つの人工装具の性能円(802、804および806)を含む。性能円(802)は、所与の人工装具にとって最良の解剖的適合を表す。靱帯のバランス性能円(804)は、患者の筋肉の入力および他のダイナミック入力なしに実現できる最良の手術中の靱帯のバランスを表す。例えば、TKAにおける試験修復中の良好な屈曲/伸展のギャップおよび良好な安定性は、靱帯のバランス性能円(804)内に人工装具の性能値(812)全体を置き得る。
性能円(806、806’、806’’、806’’’)は、様々な手術後の活動中に期待される最良の生体力学的性能を表す。生体力学的性能円(806、806’、806’’、806’’’)は、他方の性能円(802、804)に対して移動することができ、または1)誤ったインプランテーションに対する人工装具の頑強さの程度、2)人工装具の幾何学的形状が患者集団内の(脱落者を含めた)全ての患者にどの程度よく対処するのか、および3)性能が測定およびベースとされる活動に基づいてより大きくなったり、より小さくなったりすることができる。
従来、外科医は、患者に最も良く解剖学的に適合する人工装具の構成要素のタイプおよびサイズを選択し、次いで最良の骨の適用範囲および解剖的適合のための向きに人工装具の構成要素を(例えば、良好な機能軸の位置合わせで)インプラントする。そのようなやり方で装着された人工装具から実現される総合的性能は、ぎりぎりまたは良好な総合的な人工装具の性能値(810)を有するものとして特徴付けることができる。良好な解剖学的適合(802)に純粋に基づいて実現される全体の人工装具の性能値(810)は、以下の理由により制限される。1)屈曲/伸展のギャップは最適化できず、可動域の部分全体にわたって望ましくない緩みまたは動きの悪さ(stiffness)をもたらし得る。2)靱帯はバランスをとることができず、それによって運動中に痛みまたは代償がもたらされ得る。3)人工装具の表面形状は、人工装具の表面形状が多数の患者集団に適するように設計され、全ての患者(例えば、「脱落者」)の要望に十分には対処することができないので、本質的に妥協される。
いくつかの実施形態では、所望の人工膝関節製品の作製およびモデルの数(make and model number)をコンピュータシミュレーションモデルに入力するステップと、モデルが個々の患者の機能パターン、または患者のパターンにとても類似するパターンをシミュレーションするステップとを含む方法が提供される。所望の人工膝関節は、限定するものではないが、単顆大腿構成要素(unicondylar femoral component)、膝蓋大腿構成要素、両顆大腿構成要素、複数の単顆大腿構成要素、両顆大腿構成要素と単顆大腿構成要素の組合せ、2つの単顆大腿構成要素と膝蓋大腿構成要素の組合せ、単顆脛骨インサート、単顆脛骨トレイ、全双顆十字温存脛骨インサート(total bi−condylar cruciate−sparing tibial insert)、双顆十字温存脛骨トレイ(bi−condylar cruciate−sparing tibial tray)、双顆十字犠牲脛骨インサート(bi−condylar cruciate−sacrificing tibial insert)、双顆十字犠牲脛骨トレイ(bi−condylar cruciate−sacrificing tibial tray)、膝蓋骨のボタン、膝蓋骨のトレイ、固定支承デバイス、可動支承デバイス、全関節置換術デバイス、半関節置換術デバイス、局所欠損修復、およびそれらの組合せのうちのいずれか1つまたは複数を含みことができる。所望の人工膝関節の作製およびモデルの数を入力するステップは、1つまたは複数の整形外科の製造業者またはサードパーティから得て、サーバドライブなどに記憶したCADファイルのデータベースによって促進することができる。特注の人工装具が使用される場合、インプラントされる特注の人工膝関節の完全なCADファイルをコンピュータシミュレーションモデルにアップロードすることができる。コンピュータシミュレーションモデルに取り入れられた人工膝関節のCADモデルは、二次元(2D)モデルまたは三次元(3D)モデルとすることができる。人工膝関節モデルは、人工装具の構成要素のサイズを特定することなくコンピュータシミュレーションモデルに取り入れることができ、それによってコンピュータシミュレーションモデルは、最適なサイズに対応する1つまたは複数の最適な向きに加えて人工装具の構成要素ごとに最適なサイズを示唆することができる。
例えば、第1の最適な向きに配置されるより小さいサイズの人工装具の構成要素は、第2の最適な向きのより大きいサイズの人工装具の構成要素と比べてより良い生体力学的性能(806)をもたらすことができる。他の例では、例えば、本発明によるコンピュータシミュレーションモデリングは、サイズの小さい内側単顆大腿構成要素に対して第1の構成でインプラントされたサイズの大きい膝蓋大腿構成要素は、サイズの小さい単顆大腿構成要素に対して第2の構成でインプラントされたサイズの小さい膝蓋大腿構成要素よりも所与の活動について同じまたはより良い性能特性をもたらすことを示し得る。性能差は、膝蓋大腿構成要素と単顆大腿構成要素の間の接触状態および移行に起因し得る。この情報は、手術前または手術中に外科医へ中継することができる。患者の特徴付けの最中に集めた解剖的ランドマークおよび測定データを用いて、コンピュータシミュレーションモデルまたはCASシステムのいずれかは、どちらの関係が生体力学的性能の実質的な低下なしで最良の解剖学的適合をもたらすのかを外科医が決定するのを助けることができる。
コンピュータシミュレーションモデルは、概して、1つまたは複数の様々な活動についての患者特有の生体力学的パターンをシミュレーションし、有限回数のモデリング反復について反復実行できる。各モデリング反復中、1つまたは複数の入力変数が、患者の機能的特性評価および機能的限界(functional envelope)に従って徐々に変更または追加される。ある入力変数は、個々の患者の必要および期待に応じてより大きい重みおよび重要性が与えられ得る。各モデリング反復中にコンピュータシミュレーションモデル内で変更または追加される入力変数には、例えば、所望のインプラントの作製およびモデル(make and model)、所望のインプラントの各構成要素のサイズ、所望のインプラントの各構成要素の前後方向(A−P)の配置、所望のインプラントの各構成要素の内側外側(M−L)の配置、所望のインプラントの各構成要素の上下(S−I)の配置、所望のインプラントの各構成要素の内旋外旋の配置、所望のインプラントの各構成要素の内外反(すなわち、外転内転)の配置、および所望のインプラントの各構成要素の屈曲伸展の配置が含まれ得る。他の多くの入力変数が、コンピュータシミュレーションモデルにおいて追加または変更されてもよいことを当業者が理解するであろうことを理解されたい。
コンピュータモデルシミュレーションが完了した後、ソフトウェアプログラム、またはソフトウェアプログラムとは別個のプログラムは、異なるインプラント構成についての期待される生体力学的結果を編集する。結果は、各シミュレーション反復中にインプラント構成要素の1つまたは複数から受ける力ベクトル、荷重、せん断応力、およびモーメントの大きさおよび方向に対応する生データの表の形態になり得る。生データは、続くインプラントの設計研究のために、または本開示において後述の特性チャートまたはルックアップテーブルを生成するのを助けるためにデータベースに記憶することができる。代替として、生データは、外科医によってより明らかなユーザ解析および解釈のために処理されてもよい。このデータは、それらに人工膝がインプラントされた後の人工膝の期待される総合的な人工装具の性能について文書化および通信するやり方として患者に分配することもできる。この結果は、患者の解剖学的構造に対しての膝の人工装具構成要素ごとの最適な配置およびサイジングの情報を決定するために編集および処理される。例えば、記載したコンピュータシミュレーションモデルは、反復コンピュータシミュレーションから好ましくは統計解析(例えば、表計算ソフトウェアまたはThe MathWorks,Inc製のMATLAB)のために構成されたデータプログラムに生データをエクスポートすることができる。次いで、そこにリンクされたデータプログラム自体または別のプログラムは、生データを編集し、反復コンピュータシミュレーションに使用された入力変数ごとに1つまたは複数の最適値を決定する。シミュレーションの入力変数ごとの最適値を知ることによって、外科医が測定した患者に特有の手術計画を練るのを助けることができる。手術計画は、インプラントおよび周囲の軟組織に対して最適な応力および力を与えるように骨の切断、穴、および靱帯の解放に戦略的に向かわせる示唆を含んでもよい。外科的な推奨および/または期待される生体力学的結果は、チャート、グラフ、スプレッドシート、または表の使用によって外科医または技師へ提示することができる。提示した材料は、データプログラムまたはシミュレーションソフトウェア自体によって生成することができる。例えば、反復モデリング後、コンピュータシミュレーションソフトウェアは、(1)使用するために最良な人工装具構成要素のサイズ、(2)人工装具構成要素ごとに使用するための最良の前後方向(A−P)の傾斜角、(3)骨の解剖学的構造に対しての人工装具構成要素ごとの最良の内側外側(M−L)の向き、(4)人工装具構成要素ごとの最良の上下(S−I)の位置(すなわち、近位または遠位の骨切断部の深さ)、(5)人工装具の構成要素ごとの最良の内旋外旋の位置、(6)人工装具構成要素ごとに使用するための最良の内外反(すなわち、外転内転)の角度、および(7)人工装具構成要素ごとの最良の屈曲伸展角度を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシミュレーションソフトウェアは、推奨される外科的な手法(前方基準または後方基準など)、鋸の切断方向、または靱帯の解放(アルゴリズムWhitesideの使用など)を示すことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシミュレーションソフトウェアは、選択した1つまたは複数の選択肢に基づいて推奨される行動のコースを示すことができる。そのような推奨は、自分で選ぶ冒険ものの子供向けの本のように選択した選択肢に応じて分岐および階層型であってもよい。
コンピュータシミュレーションモデルは、内側側副靱帯および外側側副靱帯(MCL、PCL)、前十字靱帯(ACL)、後十字靱帯(PCL)、大腿四頭筋、膝蓋骨の腱、内側支帯および外側支帯、および反復シミュレーション中の他の軟組織内の応力を考慮に入れることができ、限定するものではないが、インプラント骨界面で最大の安定性および最小の力を与える靱帯の解放の位置および量(例えば、切開の深さ)、人工装具の構成要素の向き、および骨切断の構成のいずれか1つまたは複数を示唆することができる。
本明細書に記載の各データベースは、画像データセット、画像のないデータセット、式、公差、幾何学的モデル、患者の解剖学的データ、または解剖学的構造に関してのパラメータのいずれか1つまたは複数を含むことができる。データベースは、生体力学的機能特性データ、解剖学的ランドマークデータ(例えば、軟組織取り付け点)、および解剖学的ランドマーク間の様々な相対寸法に関連したデータをさらに含むことができる。データベースは、どのインプラント構成が種々の生成された患者群に対して最良の結果および最大の許容可能なインプラントおよび軟組織の応力をもたらすか見るために、何百ものインプラントシミュレーションを実行することによって1つまたは複数の患者の特性チャートまたはルックアップテーブルを開発するために使用することができる。コンピュータモデリングソフトウェアは、特定の患者に対してどのインプラント構成から開始するのか迅速に決定するために、特性チャート、ルックアップテーブル、またはデータベースを参照することができる。例えば、患者は、まず評価および特徴付けされ、次いで多くの事例から取得されたデータより編集された特性チャートと比較される。この特性チャートは、どのインプラントのタイプ、サイズ、および相対的な空間的向きの構成が、特定の患者に属する特性に対して最も良く働くと信じられるかまたは統計的に立証されるかを示す。インプラントは、単独で特性チャートに基づいて装着することができ、または特性チャートは、1つまたは複数のインプラント構成要素のサイズおよび位置を微調整するために、患者のさらなるコンピュータシミュレーションのための開始点として働くことができる。
患者のコンピュータシミュレーションは、1つまたは複数の活動中の身体または膝のシミュレーションを含むことができる。シミュレーションは、カリフォルニア州サンクレメンテのLifeModeler,Inc.からのLifeMOD./KneeSIMおよびBodySIMなどのソフトウェアによって促進することができる。インプラントのサイズ、幾何学的形状、および構成は、所与の人工装具の設計から最良の生体力学的性能(806)を得るためにシミュレーション間で反復的に変更される。外科医が好ましいブランドを有さない場合、または所与の人工装具および患者の組合せについての生体力学的性能円(806、806’、806’’、806’’’)が、良好な解剖的適合を与えるのに小さ過ぎるまたは相互に排他的である場合、人工装具の設計は、シミュレーション間で反復的に変更することもできる。良好な生体力学的適合は、より多くの自然な感覚を患者にもたらすことを助け、インプラント骨界面でのせん断力を最小にするのを助けることができる。
患者の特性評価およびコンピュータシミュレーションは、患者の解剖学的ランドマークを単独で、または前述の生体力学的機能の測定と組み合せて使用することができる。解剖的測定(すなわち、モデルからとった)と生体力学的測定(例えば、歩行実験からとった)の両方が行われる場合、所与の人工装具についての手術後の運動学的機能(806)と骨適合性能(802)の両方が最適化されて、総合的な性能値(818)の増加を患者にもたらすことができる。
本開示全体にわたって説明したコンピュータシミュレーションは、モーションキャプチャ、力プレートデータ、階段を上るデータ、階段を下りるデータ、椅子を持ち上げるデータなどのいずれか1つまたは複数を用いて手術前に患者の人体計測から構築された仮想的な患者のコンピュータモデルを含むことができる。仮想的な患者のコンピュータモデルは、骨のCTデータまたはMRデータによって構築することもでき、解剖的適合(802)および生体力学的性能(806)、および靱帯のバランス(804)の最適化を可能にする。仮想的な患者のコンピュータモデルが構築されると、外科医または技師は、仮想の患者に関して反復的な仮想手術を行うことができ、患者の機能的限界に対して最良のインプラント構成を決定する。反復は、コンピュータの自動化によって手動または自動で行うことができる。大腿構成要素のサイズ、タイプ、ブランドおよび空間的向きなどのパラメータは、反復ごとに手動または自動で仮想の患者のモデル内で変更される。例えば、大腿部のつなぎ目の向き、大腿部の内反/外反の向き、大腿部の内旋外旋の向き、大腿部の屈曲/伸展の向き、および他の大腿部の空間的向きは、最適な結果のために大腿構成要素の位置を「調整」するために、モデル内で反復して変更することができる。加えて、脛骨の構成要素のサイズ、タイプ、ブランドおよび空間的向きなどのいくつかのパラメータは、仮想の患者のモデル内で変更することができる。例えば、脛骨の内旋外旋、脛骨の後方傾斜、脛骨のA−P配置、脛骨の内反/外反の向き、ならびに他の脛骨の空間的向きは、脛骨の構成要素のインプラントを単独でまたは前述の大腿構成要素と組み合せて「調整する」ために変更することができる。さらに、膝蓋骨の構成要素のサイズ、タイプ、ブランドならびに大腿構成要素および/または脛骨の構成要素に対しての空間的向きなどのいくつかのパラメータは、仮想モデル内で変更することができ、特定の患者の解剖学的構造、生体力学的機能、およびライフスタイルに最良のインプラント性能特性をもたらす全体構成を得る。
いくつかの実施形態によれば、外科医は、反復的な仮想手術を用意することができる。本明細書に記載の方法を用いて患者の生体力学的機能および/または解剖学的構造を特徴付けた後、外科医は、最良の骨の適用範囲および機械的位置合わせのために、シミュレーションソフトウェアだけを用いて従来行われていたように個々の患者の骨モデルに1つまたは複数の仮想インプラントを仮想配置することができる。次いで、外科医は、1つまたは複数の範囲、閾値、変数、限界、またはパラメータを定めて、患者にインプラントされる1つまたは複数のインプラントを表す1つまたは複数の仮想インプラントについてのサイズおよび空間的向きの限界を設定することができる。例えば、1つまたは複数の仮想インプラントの限界は、外科医または技師の入力メッセージによって定めることができる。入力メッセージは、例えば、インプラントのサイズについての上限または下限、内側外側方向の位置の変化(mm)、上下方向の位置の変化(mm)、内旋/外旋の角度位置(度)の変化、内反/外反の角度位置(度)の変化、屈曲/伸展の角度位置(度)の変化、および前後方向の位置の変化(mm)を含むことができる。次いで、コンピュータシミュレーションを実行することができ、各反復は、定められた限界内で1つまたは複数のインプラントの位置をわずかに修正する。
例えば、外科医または技師は、最良の骨適合および機能軸位置合わせのために、まず仮想的にサイズを決定し、仮想の大腿構成要素および仮想の脛骨の構成要素を仮想の患者のモデルに仮想的にインプラントすることができ、これは従来行われていたようになされるが、手術中に実際の試験修復ステップに代わりにソフトウェアを用いて行われる。この初期の仮想のサイジングおよび仮想の配置は、内旋外旋を決定するために顆上軸およびホワイトサイドの線(Whiteside’s line)の使用、あるいは脛骨の場合にはアカギの線または非常に内側外側の位置からの線の使用などの一般的な技法に基づくことができ、生体力学的性能(806)を最適化するための大ざっぱな開始とみなすことができる。次いで、外科医は、N回のコンピュータモデリングシミュレーションの反復(ただし、Nは、反復的な仮想手術の特定回数である)の最大および/または最小を使用して、内側外側方向の空間的向きの限界+/−0.1mm、内旋/外旋+/−0.1度、内反/外反+/−0.1度、および前後方向に+/−0.1mm内で、ならびに所定の空間的向きの分解能0.1mmおよび0.1度(すなわち、シミュレーション反復同士の間の各入力変数を変更させるための量)内で仮想の大腿構成要素を様々に仮想的に配置することを必要とする。
仮想手術シミュレーションが終了した後、データは編集され、仮想の大腿構成要素および仮想の脛骨の構成要素の1つまたは複数の示唆したサイズおよび/または相対的な空間的向きが、示唆したサイズおよび相対的な空間的向きに関連した1つまたは複数の期待される性能特性[例えば、期待される金属またはポリマーの容積消耗速度、靱帯の張力(例えば、当てはまる場合はMCL、LCL、ACL、および当てはまる場合はPCL)、可動域、能率、応力環境、生体力学的環境、固定の強さ、靱帯のバランス、解剖的適合(例えば、骨適合)、固定力、インプラントの寿命、可動域全体にわたっての脛骨大腿部および膝蓋大腿部の運動学(例えば、最大屈曲、最大内旋/外旋、最大膝蓋骨屈曲および傾斜、最大大腿部のロールバック)、大腿四頭筋力]と共に表示される。次いで、外科医は、解剖的適合および生体力学的性能を最適化するためにソフトウェアによって計算された期待される性能特性に基づいて人工装具の構成要素に新たに方向を与えることを決断することができる。
インプラントが、患者が属するニッチな特徴の患者集団内の使用のために特注されるまたは他の方法でインプラントに特に設計される場合、自然な感覚(例えば、固有受容感覚)およびインプラントの生体力学的性能は、より良く確立できる。例えば、患者の人種、体格、宗教(例えば、よく用いられる祈りの姿勢)、趣味(例えば、ゴルフ、サイクリング、ハイキング)、性差、活動レベル(高対低)、およびライフスタイルのいずれか1つまたは複数に特に設計されているインプラントのブランドまたはタイプは、本発明の新規な装着調整方法が使用されるときに生体力学的性能を改善することができる。
本発明の利点は、靱帯のバランス(804)などの手術中の軟組織の制約を全て考慮に入れつつ、最適なサイズ、最適な配置、最適な空間的向き、最適な位置合わせ、および/または解剖的適合(802)と生体力学的機能(806)の間の最良の性能の妥協を決定するために、外科医が反復分析の使用を通じて何百もの仮想の手術を実施できることである。最適化パラメータは、骨インプラント界面応力の最小化、応力遮蔽および/またはインプラントの沈下の減少、四頭筋および膝腱の共収縮の最小化、様々な活動に必要な大腿四頭筋力の最小化、自然なねじのホーム位置の実現、後膝組織に対する応力の減少、膝蓋骨・骨界面上のせん断荷重および応力の減少、個人のEMGパターンと正常な関節の機能および正常な生体力学的機能のマッチング、正常の運動学の実現、ならびに適切な靱帯の張力ならびにACL、PCL、MCLおよびLCLの1つまたは複数についての制約の実現を含むことができるが、これらに限定されない。
本発明によって与えられる方法は、人工装具の構成要素の全タイプの最適な位置合わせおよび配置を決定する手術前の計画ツールとして有利に使用することができ、患者特有の切断用ガイドおよび器具(例えば、鋸刃切断ブロック、ドリルガイドブロック、ルータガイドブロック、およびミルガイドブロック(mill guide block))を構成するために使用することもできる。言い換えれば、各反復中に特定の整形外科用インプラントについてわずかに異なるサイズおよび/または空間的向きで患者の膝(または他の関節)の身体シミュレーションを反復実行した後、かつどの空間的向きおよび/または整形外科用インプラントのサイズが最良の総合的な人工装具の性能値(814)を与えるか判定した後に、1つまたは複数の患者特有の切断ガイドデバイスは、モデリングソフトウェアおよび/または患者スキャンから生成することができる。患者特有の切断ガイドデバイスは、(例えば、選択的レーザ焼結(SLS)によって)迅速に製造することができ、一般に、最良の総合的な人工装具の性能値(814)を与える同じ空間的向きにインプラントを患者に配置するために外科医の切除、切断、および穴開けを案内する役割を果たす。本明細書に記載の患者特有の切断ガイドデバイスは、切断ブロックを備えることができ、好ましくは、切断ブロックは、Bスプライン3D曲面部分、または少なくとも3つの戦略的に配置された接触点を有し、それらは、骨または軟骨性の関節または個々の患者の関節の非関節表面にはまる。患者特有の切断ガイドデバイスに助けられた骨の切除が、モデリングソフトウェアによって示唆された(患者の骨の解剖学的構造に対して)同じ最適な空間的向きに1つまたは複数のインプラントを効果的に配置するように、Bスプライン3D曲面部分または少なくとも3つの戦略的に配置された接触点は、患者の骨の解剖学的構造に対して全6自由度でブロックを空間的に向ける。
本明細書に記載の仮想の患者のテストベッドは、KneeSIM Oxfordのリグモデル(rig model)が、インプラントの幾何学的形状を設計するために従来使用されているのとほとんど同様に使用できる。多くのシミュレーションは、実証されたモデルにおいて実行することができ、特定の患者についての指定されたインプラントの空間的向きをカスタマイズおよび最適化する。最適化は、モデル中の多くの異なる入力変数およびパラメータを反復的に変更し、モデルを実行し、結果を記録し、所定数のモデルの反復が完了した後に結果を編集し、この結果を処理し、この結果を比較し、次いで所望のまたは許容可能な総合的な性能をもたらす(1つまたは複数の)結果を選択することによって実現される。異なる患者の活動(例えば、登山、サイクリング、ハイキング、ゴルフ、ウォーキング、膝立ちなど)についてモデルが実証されると、それらは患者の人体計測の機能的特性評価および/または解剖学的青写真に基づいて入力パラメータを単純に変更することによって異なる患者に再使用することができる。
図2は、特定個人の解剖学的構造に対しての整形外科用インプラントの適合を最適化するアルゴリズムの非限定の一例を示す。図2の実施形態では、アルゴリズムは、患者の近位の脛骨にある計画された切除を覆うための脛骨インプラントの最適な位置およびサイズの決定を促進する。当業者は、このアルゴリズムまたは同様のアルゴリズムは、限定するものではないが、(例えば、大腿部または膝蓋骨の)他の膝関節インプラント、股関節インプラント、肩関節インプラント、または他の関節もしくは解剖学的構造のためのインプラントが含まれる他の整形外科的手技のための他のインプラントの(例えば、位置およびサイズの観点の)適合を最適化するために使用することができると認識されよう。本発明の有用性は、全膝関節置換術(TKA)用途に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の方法は、膝関節半置換術(knee hemi−arthroplasty)、膝関節面再建(knee resurfacing)、単顆人工膝関節置換術(knee uni−compartmental arthroplasty)、両顆人工膝関節置換(knee bi−compartmental arthroplasty)、人工股関節全置換術(THA:total hip arthroplasty)、股関節半置換術(hip hemi−arthroplasty)、股関節面再建(hip resurfacing)、肩関節置換術(shoulder arthroplasty)、肩関節半置換術(shoulder hemi−arthroplasty)、肘関節再建術、足関節再建術、および他の外科的用途にも同様に役に立つ可能性がある。
図2の方法は、概して、サイズグループ/カバー適合最適化(size group/coverage fit optimization)のための骨CADモデルの前処理(ステップ102〜108)、位置最適化(ステップ110〜128)、サイズ最適化(ステップ130〜146)、および検証(ステップ148〜152)に分割することができる。これらの処理を実行するステップの特定の例が以下に記載されるが、他の処理ステップが、以下の与えられる特定の非限定の例の代わりになり得るまたは他の方法で変更できることを当業者は認識されよう。
[前処理]
図2中の第1のステップ102は、患者の解剖学的構造の三次元解剖モデルの生成である。三次元解剖モデルは、MRI、CT、X線、超音波、または他の画像データなどの患者の解剖学的構造の画像データをセグメント化または他の方法で処理することによって生成して、正確な幾何学的形状および形状を再構成する、または他の方法で患者の解剖学的構造についての関連した面および他の形態的な側面を定めることができる。そのようなセグメント化は、手動プロセス、自動プロセス、または半自動プロセスによって実現することができる。いくつかの実施形態では、セグメント化は、例えば、マサチューセッツ州レキシントンのAble Software Corp.(3D−doctor)、ベルギー国ルーバンのMaterialise(Mimics)、または他のソフトウェアから市販のソフトウェアのパッケージによって促進することができる。セグメント化または他のプロセスは、解剖学的構造の軟組織および軟骨表面を囲む解剖学的構造の骨表面、骨軟骨界面、または他の生理学的な特徴、または解剖学的構造の関連した部分を特定することができる。
患者に関しての画像データまたは他の情報は、限定するものではないが、三次元解剖モデルおよび他の基準座標系の情報に関しての患者の脚の機能軸の位置および/または向きなどの三次元解剖モデルに組み込まれるまたは他のそれと共に使用するための追加の定性的または定量的な情報を特定するために使用することもできる(例えば、三次元解剖モデルに関しての特定の基準点、軸、または他の構造の特定)。三次元モデルは、骨(例えば、骨質)、軟骨、および軟組織の機械的特性に関しての情報を組み込むこともでき、または他の方法でそれを反映することもできる。
図2のアルゴリズム中の次のステップ104は、仮想の切除または解剖モデル上の切除の生成である。代替として、「インプラントの姿勢」が計算されもよい。この特定の実施形態では、仮想の切除は、平坦な切除を近位の脛骨に反映して、(脛骨ベースプレートなどの)脛骨インプラントを受け入れるために平面状表面を生成することができる。図3は、切除された脛骨モデルおよびその外周202の平面状表面の上部平面図を示す。図4は、切除されていない脛骨Tの三次元モデルに対しての計画された切除の外周202’を示す。他の実施形態では、複数の切除が、解剖モデルに定められてもよい。例えば、遠位、前側、後側の大腿骨のモデルを伴う一例では、前側の面取り箇所および後側の面取り箇所の切除が、定められてもよい。(1つまたは複数の)切除は、幅広い自動技法、半自動技法および手動技法を用いて解剖モデルに定められてもよい。もちろん、部分的膝関節置換術または半関節置換術の場合には、切除表面全体を含まないように、外周は先端が切り捨てられている。例えば、切除、したがって外周は、脛骨の隆起の一部に沿って端が切り捨てられていてもよい。
生体力学的適合に関する上記の開示のいずれかを使用して仮想の切除モデル104への1つまたは複数の追加の設計入力を生成することができる。
いくつかの実施形態では、解剖モデルは、複数の骨(例えば、大腿骨および脛骨)を含み得るものであり、切除部は、様々な技法を用いてこれらの骨に定めることができる。一実施形態では、大腿骨における切除が脛骨における切除から独立して決定される計測切除手法を利用することができる。例えば、大腿部の切除は、大腿骨上の特徴(例えば、内側顆または外側顆の最遠位点、膝蓋大腿の溝の遠位点など)の測定または他の基準から決定することができ、一方、脛骨の切除は、大腿骨と脛骨の間の空間関係から独立して、脛骨上の特徴(例えば、骨のプラトー(plateau)にある特徴)の測定または他の基準から決定することができる。他の実施形態では、ある骨での切除が、対向した骨に関連して全体または一部において決定される技法が利用できる。例えば、いくつかの実施形態では、大腿骨における切除は、脛骨中の計画された切除または切除されていない脛骨の特徴、あるいはその逆を参照することによって全部または一部に決定することができる。これらの実施形態では、関節に関連した靱帯および/または他の軟組織の実際または所望の張力は、切除の位置および/または向きの決定において参照されることも可能である。いくつかの実施形態では、切除の位置および/または向き、あるいは整形外科的手技の他の側面が、骨などの2つの解剖的構造の間の関節ギャップまたは関節空間の測定を参照することによって全部または一部に決定することができ、これは、例えば、当業者に良く知られているスペーサセット、テンソル、または他のデバイスの仮想の測定ツールの均等物を用いて実行することができる。
様々な実施形態では、手動技法、半自動技法および完全自動技法を利用して解剖モデルの切除を定めることができる。いくつかの手動の実施形態では、外科医の入力、外科医の好み、または他のユーザによる入力を使用して、従来の関節置換術の手技と共に使用される技法と同様のやり方で、解剖モデルにおける切除面を定めることができる。他の実施形態では、切除面の位置および向きは、関節置換術の手技の生体力学的性能および他の側面を最適化するように設計されたコンピュータにより実現されるアルゴリズムに基づくことができる。
図示の特定の実施形態では、切除安全ゾーン203も、切除のためにステップ104において決定される。いくつかの実施形態では、切除安全ゾーン203は、計画された切除の約1〜2mm上下で領域を取り囲む。いくつかの実施形態では、多かれ少なかれ積極的な骨切断のため、安全ゾーンは、安全な切除のためのガイドとして使用することができる。図5は、近位の脛骨に対する計画された切除を取り囲む安全ゾーン203の非限定の一例を示す。代替として、切除安全ゾーンは、医用画像における製造公差、計測デバイスのばらつき、および/または、誤差に対するゆとりに基づいていることができる。
図2の非限定の例では、次のステップ106は、異常形態の検出である。異常形態は、限定するものではないが、骨棘また他の形態学的異常、不整、または骨減少の領域を含むことができる。図6は、このステップ106で特定された骨棘204の領域を示す。図2の実施形態では、他の自動、半自動、または手動の技法が使用されてもよいが、訓練を受けたニューラルネットワークを使用して切除された三次元モデル上の異常形態を特定する。例えば、他の実施形態では、自動セグメント化プロセスは、(例えば、閾値による技法、確率的アトラスによる技法、統計的な形状モデリングによる技法、または他の技法を用いて)異常形態の特定を可能にすることができる。いくつかの実施形態は、(マサチューセッツ州ネイティックのMathWorks, Inc.の)Matlabによるプロセスをそのようなプロセスの一部として少なくとも部分的に利用することができる。いくつかの実施形態では、ユーザおよび/または外科医は、様々な量の骨棘の除去をシミュレーションする選択肢を有する。外科医の好み次第では、骨棘が靱帯の包みに主に影響を与えるとき、特定の量の骨の除去が、シミュレーションから推奨された量の代わりになってもよい。
図2に示されるように、一旦、いずれかの異常形態が、切除された三次元モデル上で特定されたなら、次のステップ108は、異常形態のない切除された三次元モデルの外周の評価である。図7は、骨棘204などの異常形態のない外周206の評価を示す。
[位置最適化]
図2の位置最適化ステップは、ステップ110から始まり、ステップ110は、切除表面に使用するためにインプラント構成要素についての事前のサイズを特定する。この特定の実施形態では、1つまたは複数の内側外側および前後方向の寸法の測定が、評価した外周206に基づいて行われ、事前のインプラントのサイズは、可能なインプラントのサイズのデータベースから選択される。いくつかの例では、データベースは、異なるサイズのインプラントのCADまたは他のコンピュータ三次元モデルを含むことができる。いくつかの実施形態では、可能なインプラントのサイズは何百または何千と存在し得る。
上述のように、本明細書に記載の患者特有の切断ガイドデバイスは、個々の患者の関節の骨または軟骨性の関節または非関節表面に沿っている少なくとも1つのBスプライン3D曲面部分、または少なくとも3つの戦略的に配置された接触点を好ましくは有する切断ブロックを備えることができる。前記患者特有の切断ガイドデバイスに助けられた骨の切除が、モデリングソフトウェアによって示唆された(前記患者の骨の解剖学的構造に対して)同じ最適な空間的向きに1つまたは複数のインプラントを効果的に配置するように、Bスプライン3D曲面部分または少なくとも3つの戦略的に配置された接触点は、患者の骨の解剖学的構造に対して全6自由度でブロックを空間的に向ける。いくつかの実施形態では、このシステムは、患者のBスプラインとの比較またはマッチングのための2Dまたは3DのBスプラインのライブラリを含むことができる。
図8は、切除した三次元解剖モデル上の外周206に対してなされ得る前後方向208および内側外側210の測定の非限定の例を示す。他の実施形態では、複数の内側外側、複数の前後方向、および/または他の次元の他の測定がなされてもよい。これらの測定を使用して、測定した寸法に最も近づくインプラントモデルのデータベースからインプラントモデルを最初に選択することができる。
図2に示される次のステップ112は、三次元骨切断モデルに対して事前に選択したインプラントモデルを初期配置することである。この例では、初期配置は、CADインプラントモデルの重心と三次元骨切断モデルの切除した骨の曲面の重心とを一直線に並べることによって行われる。切除した解剖モデルに対してのインプラントモデルの初期配置および位置合わせは、脛骨の結節に基づいた位置合わせなど、固定された骨格ランドマークを用いたインプラントおよび切除した解剖モデルの基準座標系を互いに対して位置合わせすることを伴うことができる。図9は、モデルの重心214、216が位置合わせされた状態で、切除した解剖モデルの外周206に対して配置された事前に選択したインプラントモデルの外周212を示す。代替として、事前に選択したインプラントモデル外周部は、切除した骨に対して多項式曲線を適合させ、スプラインのライブラと最良の適合の比較を行うことによって決定できる。
他の実施形態では、重心の位置合わせ以外の技法が、解剖モデルに対してインプラントモデルを初期配置するために使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、様々な解剖モデルの軸(解剖学的軸、機能軸、前後方向の軸、上軸)が、インプラントモデルに関連した軸、他の特徴、または構造に対して位置合わせされてもよい。図10は、初期の位置合わせに使用できる切除した脛骨およびインプラントのモデルの様々な平面および/または層217の非限定の例を示す。いくつかの実施形態では、骨格ランドマーク(例えば、脛骨の結節、顆など)が、上記のいずれかに加えてまたはその代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、モデルの内側外側および前後方向の寸法の中心(またはそのような中心からの一定のずれ)は、位置合わせに使用することができる。いくつかの実施形態では、中心またはモデルを外接させる円の他の側面(例えば、外周部、弓形、半径、直径など)は、位置合わせに用いることができる。
図2の特定の例では、次のステップ114は、解剖モデルおよびインプラントモデルの外周のまわりにランダムな点集合の生成である。図11は、ランダムに生成された点集合218の一例を示す。この特定の実施形態では、点集合は、ラテン超方格サンプリングなどの統計的手法を用いてランダムに生成されるが、他の実施形態では、他の統計的なランダムまたは非ランダムの手法が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、外周部の周りのランダムに特定している点の代わりにまたはそれに加えて、優先ゾーンが利用できる(例えば、前側領域、後側領域、内側領域など)。いくつかの実施形態では、図12に示されるようなグリッドシステム220は、点集合218’を特定するのを促進することができる。他の実施形態では、図13に示されるような動径分布222が使用されてもよい。そのような実施形態では、そのようなグリッドまたは動径の技法を用いて、最初に、点218’’が、切除された解剖学的構造およびインプラントモデルの一方に対して特定することができ、対応する点が、解剖学的構造およびインプラントモデルの他方に対して特定される。いくつかの実施形態は、ランダムな点を利用することができるのに対して、他の実施形態は、均一に分布した点を利用することができる。例えば、断面スプラインの「基準点」は、線の曲率の量に関連している点の個数および位置と共に使用することができる。さらに、余分の点が骨の成形に関してより多く影響を与えるとき、基準点の最小セットが存在し得る。いくつかの実施形態では、より多くの点が、高い曲率の領域に位置し、少ない点が、低い曲率の領域に位置する。いくつかの実施形態では、より大きいモデルが、より小さいモデルより多くの点を利用することができる。
次のステップ116では、点集合間の最小距離が計算される。これらの距離224は、図14に概略的に示されている。他の実施形態では、点集合間の最小距離の測定以外の技法が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、2つのモデルの断面間の面積差が計算されてもよい。これらの実施形態または他の実施形態では、面積差を使用してその重心および対応する点の間の距離を計算することができる。いくつかの実施形態では、仮想の(1つまたは複数の)ばねベースのアルゴリズムが、モデルに適用されて、解剖モデルの切除表面にあるインプラントモデルの平衡位置を決定することができる。
次のステップ118および120では、ポジションオプティマイザを使用して、解剖的外周に対しての選択したインプラントの外周の現在の位置が最適であるか判定する。いくつかの実施形態では、ポジションオプティマイザは、例えば、2点間の最小距離を特定するための数式、解剖的外周および位置(およびことによっては解剖モデルの他の側面)についてのデータを組み込んでいる関数関係、インプラントの外周および位置、ならびに最小距離の点集合に基づいたコンピュータアルゴリズムを利用して、解剖モデルに対しての選択したインプラントの現在の位置が、目的関数を満たすか判断する。満たさない場合、ステップ122において、選択したインプラントモデルの位置は、解剖モデルに対して徐々に平行移動させられ、ステップ116〜120が繰り返される。
図2の実施形態では、目的関数が満たされると判定される場合、アルゴリズムはステップ124へ進み、解剖モデルに対しての選択したインプラントの現在の位置が記録される。ステップ126では、アルゴリズムは、ステップ114〜124が適切な回数で反復されているか(例えば、2回以上)判定する。そうでない場合、アルゴリズムはステップ114に戻ってランダムな点集合を再び生成し、位置最適化ステップを繰り返す。ステップ114〜124が適切な回数反復された場合、アルゴリズムはステップ128へ進み、平均最適化位置が先の反復から決定される。他の実施形態では、ステップ126は必須ではなく、この方法は、位置最適化ステップについて単一の反復をただ必要とする。平均最適化位置に関するデータおよび選択したインプラントは、インプラントのサイズの最適化に関連して以下に記載するステップで使用される。
当業者は、ステップ114〜128によって示されたもの以外の他のプロセスを利用して、解剖モデルに対してのインプラントモデルについての最適な位置を決定することができることを認識されよう。
[サイズ最適化]
図2の例では、ステップ110〜128によって決定された最初に選択したインプラントモデルおよび平均最適化位置で開始し、ステップ130〜146は、インプラントモデルの可能性のあるサイズによって進行して、はみ出さない切除された解剖学的構造の最良のカバーを与えるサイズを特定する。
ステップ130では、(最適化位置または平均最適化位置に位置するときの)選択したインプラントモデルがはみ出しになるか判定される。図15は、選択したインプラントの外周212と解剖モデルの外周206の間のはみ出し230の非限定の一例を概略的に示す。図示の実施形態では、はみ出しがあるとステップ130で判定される場合、プロセスは、ステップ132へ進み、サイズ最適化ステップを通じてこれが最初の反復であるのか判定する。そうである場合、ステップ134では、次のサイズ「ダウン」インプラントモデルが選択され、位置最適化のさらなる反復手順(ステップ114〜128)およびサイズ最適化手順(ステップ130〜146)に用いられる。サイズ「ダウン」の移行は、必ずしも必要ではなく、次のインプラントモデルは分析された先のインプラントモデルより一部または全部の寸法が小さくなることを当業者は認識されよう。いくつかの例では、サイズ「ダウン」の移行は、インプラントモデルのいくつかの寸法(例えば、内側外側の幅)の減少をもたらし得る一方、他の寸法は、特定のサイズ(例えば、前後方向の幅)の間で同じままである。いくつかの例では、サイズ「ダウン」の移行は、特定の寸法の減少をいつも必要とするとは限らないが、例えば、インプラントモデルの外周の形状の変化をもたらす可能性がある。同様の概念は、サイズの「アップ」の移行に関連しており、サイズの「アップ」は、以下により詳細に述べられる。いくつかの実施形態では、可能なインプラントのサイズに対して順に並べられた階層が存在し、それにそって「アップ」および「ダウン」のサイズが選択できる(例えば、5.1、5.2、5.3、5.4など)。
ステップ132に戻ると、サイズ最適化ステップを通じて第1の反復がない場合、この方法は、ステップ136へ進み、サイズ最適化ステップを通じてそのインプラントモデルについて先の反復がはみ出しと特定されたか判定される。先の反復においてはみ出しが特定されなった場合、この方法はステップ138へ進み、先の反復において(その最適化位置と共に)分析されたはみ出しにならなかったインプラントモデルは、患者の特定の解剖学的構造について最良の適合として特定される。ステップ136において、先の反復がはみ出しになったと判定された場合、この方法は上述のステップ134へ進み、次のサイズダウンのインプラントモデルがさらなる解析のために選択される。
ステップ130に戻ると、現在選択されているインプラントモデルがはみ出しにならないと判定される場合、この方法はステップ140へ進み、これはサイズ最適化ステップを通じて第1の反復であると決定される。ステップ140において、サイズ最適化ステップを通じて第1の反復である場合、この方法はステップ142へ進み、次のサイズ「アップ」のインプラントモデルが選択され、位置最適化(ステップ114〜128)手順のさらなる反復、およびサイズ最適化(ステップ130〜146)手順に用いられる。ステップ140において、サイズ最適化ステップを通じて第1の反復でない場合、この方法はステップ144へ進み、先のインプラントモデルのサイズの反復がはみ出しになるか判定される。はみ出しでない場合、この方法はステップ142へ進み、さらなる解析のために次のサイズアップのインプラントモデルを選択する。はみ出しである場合、この方法はステップ146へ進み、現在のサイズのインプラントモデルが患者の特定の解剖学的構造に対して最良の適合と特定されることが決定される。
[検証]
図2に示された非限定の例は、ユーザ(技師、医師または他のユーザなど)によって、または半自動または完全自動の検証手続きによって計画された整形外科的手技の様々な側面を検証できる検証ステップ148〜152を含んでいる。図示の特定の実施形態では、ステップ148において、特定された最適なインプラントのサイズおよび位置が正しいように思われ、そのような特定されたインプラントのサイズが、外科的手技に使用される他の構成要素に適切であること(例えば、特定された脛骨インプラントが特定の大腿部のインプラントと共に使用されるのに適しているということ)を検証するのに十分な情報がユーザに出力される。ステップ148では、ユーザが出力された情報を検証する場合、このプロセスは、患者の特定のインプラントおよび/または計測デバイスを製造するのに十分な情報などの情報を続く手順に使用するためにステップ152において出力する。2つ以上の最良の適合のインプラントのサイズが出力される可能性がある。一例として、このシステムは5つの最良の適合の選択肢を与えることができる。ユーザがステップ148において出力された情報を検証しない場合、ステップ150によって示されるように、このプロセスは、前処理、位置最適化、および/またはサイズ最適化のうちのより早いステップに戻ることができる。
いくつかの実施形態では、技師は、骨モデル、測定、計画された切除、撮像、骨モデルに対するインプラントの提案した配置等)などの提案した外科的手技についての詳細を含む手術前計画を見直し、検証することができる。いくつかの実施形態では、この手術前計画は、承認のために(電子メール、インターネットへのアップロード、物理的な郵便、または他の手段によって)外科医に送ることもでき、または外科医は計画の変更を提案する。承認された場合、3D CADモデルおよび/または他の情報は、手技に向けて計測デバイスおよび/またはインプラントの生産のために送信することができる。
[コンピュータシステム]
いくつかの実施形態では、画像処理、位置最適化、サイズ最適化、および他のステップは、コンピューティングデバイスを用いて完全にまたは少なくとも一部を実行することができる。コンピューティングデバイスは、患者を撮像するために使用される(1つまたは複数の)デバイスの一部またはそのデバイスから遠隔であり得、この(1つまたは複数の)デバイスは、計測デバイス、インプラントまたはこの手技を行うための他のデバイスをカスタム製造するために使用され、有線、無線、光、磁気、または固体状態の通信媒体を含む任意の適切な通信媒体を介して患者から得られた画像をもたらすデータの受信およびアクセスを可能にする。このコンピューティングデバイスは、メモリなどのコンピュータ可読媒体に記憶されるコードを実行できるプロセッサを備えることができる。このコンピューティングデバイスは、データを処理し、動作を行うための命令のセットであるコードを実行することができる任意のデバイスであり得る。コンピューティングデバイスの例には、データベースサーバ、ウェブサーバ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、サーバデバイス、ハンドヘルド式コンピューティングデバイス、モバイルデバイス、またはそれらの組合せが含まれ得る。
いくつかの実施形態では、プロセッサには、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、状態機械、または他の適切なプロセッサが含まれ得る。プロセッサは、1つのプロセッサまたは任意の個数のプロセッサを含むことができると共に、メモリ内に記憶されたコードにアクセスすることができる。このメモリは、コードを明白に具体化できる任意の一時的でないコンピュータ可読媒体であり得る。このメモリは、プロセッサに実行可能コードを与えることができる電子デバイス、磁気デバイス、または光デバイスを含むことができる。メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、DVD(digital video device)、磁気ディスク、ASIC、設定されたプロセッサ、または他のストレージデバイスが含まれる。
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、入出力(I/O)インタフェースを介して追加の構成要素を用いてデータを共有および/または受信することができる。I/Oインタフェースは、コンピューティングデバイスと別の構成要素の間でデータ転送を可能にすることができるUSBポート、イーサネット(登録商標)ポート、シリアルバスインタフェース、パラレルバスインタフェース、ワイヤレス通信インタフェース、または任意の適切なインタフェースを含むことができる。追加の構成要素は、情報データベースなどの構成要素を含むことができる。他の実施形態では、コンピューティングデバイスは、情報データベースを含む。
いくつかの実施形態は、ウェブユーザインタフェースなどのユーザインタフェースを備えることができ、技師、外科医、または他のユーザが、画像データ、文書、外科医ノート、好みのもの等などのデータをアップロードすることを可能にする。このインタフェースは、ユーザによるアップロード、アクセス、視覚化、注釈、および/またはX線、MRI、DICOMファイル、3D CADモデルなどの操作を可能にするグラフィカルユーザインタフェースであってもよい。いくつかの実施形態では、このインタフェースは、ユーザが骨およびインプラントモデルを移動させることができ、異なる位置、向き、サイズ、切断面等を示唆する。
当業者は、追加、削除、置換または他の修正が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく上記の非限定の実施形態に対してなされてもよいことが認識されよう。
例えば、限定するものではないが、上記の説明は、骨における切除表面へのインプラントの適合を最適化する実施形態に焦点を合わせているが、本明細書に具体化された概念は、骨の切除を伴わない整形外科的手技に適用可能でもあることを当業者は認識されよう。例えば、同様のシステムおよびアルゴリズムを使用して2つの脊椎の間の一定のまたは所望の関節スペースまたはギャップの中への背骨のインプラントの適合を最適化することができることを、当業者は、理解されよう。
別の非限定の例として、切除に基づいたシステムおよび方法は、単に平坦な切除に限定されず、本発明の実施形態は、湾曲したまたは他の形状の切除へのインプラントの適合の最適化を促進することができることを当業者は認識されよう。
前述のことを考慮して、本発明のいくつかの利点が、実現および達成されることが理解されよう。
本発明の原理およびその実際的な適用例を最も良く説明するために、本実施形態を選択して記載したものであり、これによって当業者は様々な実施形態で本発明を最もよく利用することが可能になり、予期される特定の使用に適しているように様々な修正形態が存在する。
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正が本明細書に記載および図示された構造および方法になされてもよいので、前述の説明に含まれたまたは添付図面に示された全ての事項は、限定ではなく例示として解釈されるべきであることが意図される。例えば、これらの図は、膝関節置換術に適用されるものとして本発明を示すが、本発明は、同様に他の分野に適用可能である。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上記の典型的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、本明細書に添付された以下の特許請求の範囲およびその均等物に従ってのみ定められるべきである。
104 仮想の切除モデル
202 外周
202’ 外周
203 切除安全ゾーン、安全ゾーン
204 骨棘
206 外周、解剖モデル 外周
208 前後方向
212 外周、選択したインプラントの外周
214 重心
216 重心
217 平面および/または層
218 点集合
218’ 点集合
218’’ 点
220 グリッドシステム
222 動径分布
224 距離
230 はみ出し
800 ベン図
802 性能円、人工装具の性能円、解剖学的適合
804 人工装具の性能円、靱帯のバランス性能円、靱帯のバランス
806 人工装具の性能円、性能円、生体力学的性能円、生体力学的性能、生体力学的機能
806’ 性能円、生体力学的性能円
806’’ 性能円、生体力学的性能円
806’’’ 性能円、生体力学的性能円
810 総合的な人工装具の性能値
812 総合的な人工装具の性能値
814 最良の総合的な人工装具の性能値

Claims (11)

  1. 特定個人の解剖学的構造に対して整形外科用インプラントの適合を手術前に最適化する方法であって、
    a. 前記個人の解剖学的構造の三次元解剖モデルを含む情報を受信するステップと、
    b. プロセッサを用いていずれの異常形態を参照することなく前記三次元解剖モデルのシミュレーションした切除部分の外周を計算するステップと、
    c. 前記シミュレーションした切除表面に使用するために整形外科用インプラント構成要素についての事前のサイズを特定するステップと、
    d. 三次元骨モデルの前記シミュレーションした切除部分に対して、前記事前に特定された整形外科用インプラントのモデルを初期配置するステップと、
    e. 前記シミュレーションした切除部分および前記整形外科用インプラントのモデルの外周のまわりにランダムな点集合を生成するステップと、
    f. ポジションオプティマイザを利用して、前記シミュレーションした切除部分の外周に対して前記整形外科用インプラントの外周の位置が最適であるか判定するステップと、
    g. 前記選択した整形外科用インプラントのモデルが、前記三次元解剖モデルに対してはみ出すことになるか判定するステップと、
    h. 前記整形外科用インプラントの位置および/または前記整形外科用インプラントのサイズを検証するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記三次元解剖モデルの複数の切除面を作成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 切除安全ゾーンを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記三次元解剖モデルの異常形態を検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記整形外科用インプラントについての前記事前のサイズを記録するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 点集合間の最小距離を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 特定された最適なインプラントのサイズおよび位置が、正しいように思われ、そのような特定されたインプラントのサイズが、前記外科的手技に使用される他の構成要素に適切であることを検証するのに十分な情報をユーザに出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 三次元骨モデルの前記シミュレーションした切除部分に対して前記事前に特定された整形外科用インプラントのモデルを初期配置するステップを繰り返すステップと、前記シミュレーションした切除部分および前記整形外科用インプラントのモデルの外周のまわりにランダムな点集合を生成するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 異なるサイズの整形外科用インプラントを選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記サイズ最適化のステップを通じての先の反復がそのインプラントのモデルについてのはみ出しを特定したか判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記検証ステップが半自動または完全自動の検証手続きである、請求項1に記載の方法。
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