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JP2014229555A - 透明電極、透明電極の製造方法、及び、電子デバイス - Google Patents

透明電極、透明電極の製造方法、及び、電子デバイス Download PDF

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JP2014229555A
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敏幸 木下
Toshiyuki Kinoshita
敏幸 木下
健 波木井
Takeshi Hakii
健 波木井
小島 茂
Shigeru Kojima
茂 小島
和央 吉田
Kazuo Yoshida
和央 吉田
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Abstract

【課題】導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を提供する。【解決手段】透明部材と、透明部材上に設けられた導電層12とを備える透明電極10を構成する。透明部材は、プラズマ処理されたプラズマ処理面を有する。導電層12は、透明部材のプラズマ処理面上に形成され、導電層12が、プラズマ処理をした後、透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、透明電極、この透明電極の製造方法、及び、この透明電極を用いた電子デバイスに係わる。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。
透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば下記特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルのインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、電気伝導率の高い銀等の金属材料を薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚で導電性を確保する構成も提案されている(例えば下記特許文献3参照)。
特開2002−15623号公報 特開2006−164961号公報 特開2009−151963号公報
しかしながら、電気伝導率の高い銀やアルミニウムを用いて構成された透明電極であっても、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であり、有機EL素子のような電子デバイスの特性の向上を妨げる要因となっている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極、透明電極の製造方法、及び、電子デバイスを提供する。
本発明の透明電極は、透明部材と、透明部材上に設けられた導電層とを備える。透明部材は、プラズマ処理されたプラズマ処理面を有する。導電層は、透明部材のプラズマ処理面上に形成され、導電層が、プラズマ処理をした後、透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく形成されている。
また、本発明の電子デバイスは、上記透明電極を備える。
また、本発明の透明電極の製造方法は、透明部材の表面にプラズマ処理を行う工程と、プラズマ処理を行った後、透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく、プラズマ処理面上に導電層を形成する工程とを有する。
本発明の透明電極、及び、透明電極の製造方法によれば、プラズマ処理をした後、透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく導電層を形成することにより、プラズマ処理した透明部材と、導電層との相互作用により、薄いながらも均一な厚さの導電層が得られる。
従って、透明電極において、導電性の向上と光透過性の向上との両立が可能となる。また、この透明電極を用いて、導電性と光透過性とに優れる電子デバイスを構成することができる。
本発明によれば、導電性と光透過性とに優れた透明電極、及び、電子デバイスを提供することができる。
第1実施形態の透明電極の概略構成を示す図である。 第2実施形態の透明電極の概略構成を示す図である。 第2実施形態の変形例の透明電極の概略構成を示す図である。 第3実施形態の有機EL素子の概略構成を示す図である。 実施例2で作製したボトムエミッション型の有機EL素子の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明電極(第1実施形態)
2.透明電極(第2実施形態)
3.透明電極(第2実施形態の変形例)
4.電子デバイス(第3実施形態)
〈1.透明電極(第1実施形態)〉
本発明の第1実施形態について説明する。図1に、第1実施形態の透明電極の概略構成図(断面図)を示す。
[構成]
図1に示すように、透明電極10は、透明部材としての透明基材11と、導電層12とを備える。なお、本例の透明電極10において、透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
透明電極10において、導電層12が形成される面は、プラズマ処理が施されている。つまり、本例では、透明基材11の導電層12が形成されている面が、プラズマ処理面である。そして、この透明基材11のプラズマ処理面上に導電層12が形成されている。
また、この導電層12は、透明基材11のプラズマ処理が終了した後、透明基材11のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく形成されている。さらに、導電層12の形成は、透明基材11のプラズマ処理が終了した時点から5分以内に開始される。つまり、透明電極10において、透明基材11のプラズマ処理面が露出される時間は、5分以内である。
透明部材は、導電層12が形成される下地となる層である。透明部材としては、特に限定されず、例えば、透明電極10の基材や、透明電極10の光学的作用を調整するための層により構成することができる。また、透明部材は、例えば、有機、無機、高分子等のいずれの材料から構成することができる。透明部材は、導電層12の形成に際し、プラズマ処理を行うことから、プラズマ処理による変性等の少ない材料を用いることが好ましい。本例では、透明部材として透明基材11を用いている。
以下に、本例の透明電極10について、透明基材11、導電層12の順に、詳細な構成を説明する。
[透明基材]
透明基材11は、少なくとも導電層12が形成される面が、プラズマ処理されている。透明基材11としては、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。透明基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、透明電極10の積層構造との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて研磨等の物理的処理や、無機物又は有機物からなる被膜、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、樹脂フィルムの劣化をもたらす水分や酸素等素子の浸入を抑制する機能を有する材料を用いる。例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。特に、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法を好ましく用いることができる。
[導電層]
透明電極10において、導電層12は、透光性の導電性材料により形成される必要がある。この導電層12は、透明基材11のプラズマ処理が終了した後、透明基材11のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく形成されている。より好ましくは、導電層12は、透明基材11のプラズマ処理終了時から、5分以内に形成が開始される。
導電層12は、例えば、銀を主成分として構成された層であって、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層である。このような導電層12の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、及び、ディップ法等のウェットプロセス、並びに、抵抗加熱やEB(Electron Beam)等の蒸着法、スパッタ法、及び、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
導電層12を構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、一例として銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、AgAu等が挙げられる。
以上のような導電層12は、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この導電層12は、厚さが4〜15nmの範囲にあることが好ましい。厚さ15nm以下、特に12nm以下であることにより、導電層12の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、透明電極10の光透過率が維持されるため好ましい。また、厚さが4nm以上であることにより、導電層12の導電性も確保される。
なお、以上のような、導電層12は、上部が保護膜で覆われていてもよく、別の導電性材料が積層されていてもよい。この場合、透明電極10の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び導電層が光透過性を有することが好ましい。
[透明電極の製造方法]
次に、透明電極10の製造方法について説明する。
まず、導電層12を形成するための透明部材を準備する。本例では、透明部材として、上述の透明基材11を準備する。
次に、透明基材11の導電層12を形成する面に、プラズマ処理を行う。
透明基材11のプラズマ処理は、適宜最適化を施すことにより一般に公知の方法で行うことができる。例えば、RFプラズマを用いることが好ましい。
プラズマ処理に使用する処理気体としては、酸素や酸化窒素等の酸素原子を含有する気体、及び、窒素、Ar等の不活性ガスを用いることができる。また、酸素原子、不活性ガスから複数種類のガスを用いてもよい。
処理気体の圧力としては0.1〜2Pa程度が好ましい。
プラズマ発生方法は誘導結合型(ICP:Inductive Coupled Plasma)や容量結合型(CCP:Capacitive Coupled Plasma)などがあるが、プラズマが発生であればこれらに限定されない。
プラズマ発生装置に印加される高周波としては、一般に周波数13.56MHz程度、電力0.1〜5kWh程度の高周波電力が印加されるが、プラズマを発生することが可能な周波数、電力であればこれらに限定されない。
次に、透明基材11のプラズマ処理を施した面に、導電層12を形成する。導電層12の形成は、透明基材11のプラズマ処理が終了した後、透明基材11のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく行う。さらに、透明基材11のプラズマ処理の終了後から、5分以内に開始される。
導電層12は、上述の導電性材料、例えば銀を主成分とする導電性材料を用いて、形成する。また、導電層12は、上述のウェットプロセスやドライプロセスを用いて形成することができる。特に、抵抗加熱やEB法等の蒸着法を用いることが好ましい。
[効果]
第1実施形態の透明電極によれば、透明部材の表面をプラズマ処理した後、このプラズマ処理の終了から5分以内に導電層の形成が開始される。
導電層を形成する透明部材の表面をプラズマ処理することにより、表面の汚染物質を除去して導電層を緻密化することができる。
また、プラズマ処理のスパッタリング効果により、透明部材の表面が不安な状態となる。このような不安定な状態表面に導電層を形成すると、導電層の形成で最初に発生する成長核の発生数が増加する。
透明部材の表面は、プラズマのスパッタリングによって、表面洗浄だけでなく、欠陥の発生による形状不安定化と、エネルギーレベルの不安定化が発生すると推測される。
プラズマのスパッタリングにより、透明部材の表面に発生する欠陥は、時間経過により自己整合に補正される程度の欠陥と推測される。また、透明部材の表面は、プラズマでスパッタリングされた部分が局所的に高いエネルギーレベル状態になると推測される。この局所的なエネルギーレベルの状態も、時間経過により自己整合に補正されると推測される。
このような、欠陥の存在と、局所的な高いエネルギーレベルの存在とにより、透明部材の表面が不安定になると考えられる。
そこで、欠陥が補正される前、つまりプラズマ処理から一定時間以内に導電層の形成を開始すると、銀との相互作用により透明部材の欠陥が修復される。このため、自己整合により欠陥が修復される前に銀を供給することで、銀との透明部材の全面に渡って、局所的な欠陥を補正するために微小な銀粒子が一様に形成されると考えられる。
また、プラズマ処理により、局所的にエネルギーレベルが高い状態となった透明部材の表面に、導電層を形成することで、導電層を構成する銀との相互作用により表面のエネルギーレベルを安定化させることができると推測される。このため、透明部材の表面に微小な銀粒子が一様に形成され、導電層を形成する起点となる成長核の数を多く発生しやすくなり、銀粒子の拡散長が短くなる。
従って、プラズマ処理した後に導電層を形成すると、表面への銀原子の付着が起こりやすく、導電層を形成する起点となる成長核が発生しやすくなる。このため、この成長核を起点とする導電層の形成が安定化する。
また、大気に暴露すると欠陥に酸素や水等の活性な物質との作用により、安定な状態となってしまう。このため、プラズマ処理後、大気中に暴露せずに導電層を形成する必要がある。また、一定時間経過した後、自己整合的に、欠陥やエネルギー状態が安定化するため、プラズマ処理による不安定な状態が安定化する前に、導電層を形成する。
さらに、プラズマ処理後に導電層を形成することで、透明部材の表面が銀との接触により安定化するため、表面に付着した銀の移動が抑制される。このため、銀の拡散距離が減少し、凝集が抑えられる。これにより、一般的には核成長型(Volumer-Weber:VW型)での成長により島状に孤立し易い銀が、単層成長型(Frank-van der Merwe:FM型)の成長によって形成されるようになる。
特に、プラズマ処理の終了から導電層の形成開始までの時間を5分以内とすることにより、上記の効果が顕著になる。プラズマ処理後は、時間経過とともに、自己整合により表面が安定な状態となる。このため、プラズマ処理からある程度の時間が経過した後、導電層を形成すると、表面に形成される成長核の数が減少する。このため、プラズマ処理の終了から5分以内に導電層を形成することで、薄く均一な厚さの導電層が得られ、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を作製することができる。
〈2.透明電極(第2実施形態)〉
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図2に、第2実施形態の透明電極の概略構成図(断面図)を示す。以下、第1実施形態と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2実施形態の透明電極について説明する。
[構成]
図2に示すように、透明電極20は、透明基材11と、透明基材11上に形成された高屈折率層13、及び、高屈折率層13上に形成された導電層12とを備える。なお、本例では導電層12が形成される透明部材として、透明基材11、及び、この透明基材11上に設けられた高屈折率層13を用いている。
透明電極20において、導電層12が形成される面は、プラズマ処理が施されている。つまり、本例では、高屈折率層13の導電層12が形成されている面が、プラズマ処理面である。そして、この高屈折率層13のプラズマ処理面上に導電層12が形成されている。また、この導電層12は、高屈折率層13のプラズマ処理が終了した後、高屈折率層13のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく形成されている。さらに、導電層12の形成は、高屈折率層13のプラズマ処理が終了した時点から5分以内に開始される。つまり、透明電極20において、高屈折率層13のプラズマ処理面が露出される時間は、5分以内である。
以下、透明電極20の各構成について説明する。なお、透明電極20において、透明基材11、及び、導電層12は、上述の第1実施形態で説明した構成と同様の構成を用いることができる。このため、これらの第1実施形態と同様の構成は説明を省略する。
[高屈折率層]
高屈折率層13は、少なくとも導電層12が形成される面が、プラズマ処理されている。
高屈折率層13は、波長550nmにおける屈折率(n)が1.9以上の層である。特に好ましくは、波長550nmにおける屈折率(n)が2.0以上の層である。このような高屈折率層13には金属酸化物が用いられ、例えば、二酸化チタン(TiO:n=2.3〜2.4)、酸化ジルコニウム(ZrO:n=2.4)、酸化カドミウム(CdO:n=2.49)、酸化インジウムスズ(ITO:n=2.1〜2.2)、酸化ハフニウム(HfO:n=2.1)、五酸化タンタル(Ta:n=2.16)、酸化ニオブ(Nb:n=2.2〜2.4)、酸化セリウム(CeO:n=2.2)、インジウム亜鉛酸化物(IZO:n=2.0〜2.4)、酸化亜鉛(ZnO:n=1.9〜2.0)、酸化錫(SnO:n=1.9〜2.0)、硫化亜鉛(ZnS:n=2.0〜2.2)等の光学フィルムに一般的に用いられる高屈折率材料が用いられる。屈折率や生産性の観点からTiO、Nbであることが好ましい。
また、高屈折率層13は、10〜100nmの厚さで形成されていることが好ましい。特に、20nm程度の厚さとすることにより、透明電極20の反射抑制に効果的である。
高屈折率層13は、例えば、スパッタリング法、イオンアシストEB蒸着法等の製法を用いることにより、緻密な層を形成することができる。このように、導電層12に接して高屈折率層13を設けることにより、透明電極20の光透過性が向上する。
[透明電極の製造方法]
次に、透明電極20の製造方法について説明する。
まず、導電層12を形成するための透明部材を準備する。本例では、透明部材として、上述の透明基材11を準備し、この透明基材11上に、高屈折率層13を形成する。
高屈折率層13は、一般的に公知な方法により形成することができる。例えば、上述の金属酸化物を用いたEB蒸着法により形成することができる。
次に、高屈折率層13の導電層12を形成する面に、プラズマ処理を行う。
高屈折率層13のプラズマ処理は、適宜最適化を施すことにより一般に公知の方法で行うことができる。例えば、RFプラズマを用いることが好ましい。
プラズマ処理に使用する処理気体としては、酸素や酸化窒素等の酸素原子を含有する気体、及び、Ar等の不活性ガスを用いることができる。また、酸素原子を含有する気体と不活性ガスとの混合物を用いてもよい。
処理気体の圧力としては0.1〜2Pa程度が好ましい。
高周波誘導コイルに印加される高周波としては、一般に周波数13.56MHz程度、電力0.1〜5kWh程度の高周波電力が印加されるが、プラズマを発生するに可能な周波数、電力であればこれらに限定されない。
次に、高屈折率層13のプラズマ処理を施した面に、導電層12を形成する。導電層12の形成は、透明基材11のプラズマ処理の終了後から、5分以内に開始される。好ましくは、3分以内に開始される。
導電層12は、上述の導電性材料、例えば銀を主成分とする導電性材料を用いて、形成する。また、導電層12は、上述のウェットプロセスやドライプロセスを用いて形成することができる。特に、抵抗加熱やEB法等の蒸着法を用いることが好ましい。
[効果]
第2実施形態の透明電極によれば、透明部材として透明基材と高屈折率層とを用い、高屈折率層の表面をプラズマ処理した後、このプラズマ処理の終了から5分以内に導電層の形成が開始される。
このように、透明部材を複数の層からなる積層体とした場合にも、導電層の形成面をプラズマ処理できる構成であれば、透明電極に適用することができる。
導電層を形成する透明部材の表面をプラズマ処理することにより、表面の汚染物質の除去による導電層の緻密化することができる。また、プラズマ処理のスパッタリング効果により、透明部材の表面が不安な状態となる。このような不安定な状態表面に導電層を形成すると、導電層の形成で最初に発生する成長核の発生数が増加する。このため、この成長核を起点とする導電層の形成が安定化する。さらに、プラズマ処理により改質された透明部材の表面との相互作用により、導電性材料の拡散距離が減少し、凝集が抑えられる。これにより、一般的には核成長型(Volumer-Weber:VW型)での成長により島状に孤立し易い導電性材料が、単層成長型(Frank-van der Merwe:FM型)の成長によって形成されるようになる。
特に、プラズマ処理の終了から導電層の形成開始までの時間を5分以内とすることにより、上記の効果が顕著になる。
従って、薄く均一な厚さの導電層が得られ、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を作製することができる。
〈3.透明電極(第2実施形態の変形例)〉
[変形例]
次に、本発明の第2実施形態の変形例について説明する。図3に、第2実施形態の変形例の透明電極の概略構成図(断面図)を示す。以下、第2実施形態の透明電極と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、変形例の透明電極について説明する。
図3に示すように、透明電極25は、透明基材11と、透明基材11上に形成された第1高屈折率層16、第1高屈折率層16上に形成された導電層12、及び、導電層12上に形成された第2高屈折率層17とを備える。なお、本例では導電層が形成される透明部材として、透明基材11、及び、この透明基材11上に設けられた第1高屈折率層16を用いている。
透明電極25においても、上述の第2実施形態と同様に、導電層12を形成する第1高屈折率層16の表面がプラズマ処理されている。また、透明基材11、及び、導電層12は、上述の第2実施形態と同様の構成である。さらに、第1高屈折率層16は、上述の第2実施形態の高屈折率層と同様の構成である。
第2高屈折率層17も、第2実施形態の高屈折率層と同様の構成を用いることができる。
第2高屈折率層17は、例えば、スパッタリング法、イオンアシストEB蒸着法等の製法を用いることにより、緻密な層を形成することができる。このように、導電層12上に接して緻密な第2高屈折率層17を形成することにより、導電層12を構成する銀又は銀合金を安定化(不動態化)することができる。このため、導電層12上に、第2高屈折率層17を形成することにより、導電層12の信頼性が向上し、透明電極25の信頼性や、この透明電極25を備える電子機器の信頼性が向上する。
また、導電層12が、第1高屈折率層16及び第2高屈折率層17に挟持されている。このため、導電層12と第1高屈折率層及び第2高屈折率層17との界面での反射を抑制することができる。
また、プラズマ処理面上に導電層12を形成することにより、上述の第2実施形態の透明電極と同様の効果を得ることができる。従って、薄く均一な厚さの導電層が得られ、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を作製することができる。
〈4.電子デバイス(第3実施形態)〉
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、電子デバイスの一例として、上述の第2実施形態の透明電極を用いたボトムエミッション型の有機電界発光素子(有機EL素子)について説明する。図4に、本実施形態の有機EL素子の断面構成図を示す。以下にこの図に基づいて有機EL素子の構成を説明する。
[有機EL素子の構成]
図4に示す有機EL素子30は、透明基材11上に設けられており、透明基材11側から順に、高屈折率層13、アノードとなる導電層12、発光機能層14、及びカソードとなる対向電極15が積層されている。有機EL素子30は、発生させた光を、少なくとも透明基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。
このうち、透明基材11、高屈折率層13及び導電層12は、上述の第2実施形態の透明電極20と同様の構成である。このため、高屈折率層13の導電層12が形成されている面が、プラズマ処理面である。そして、この高屈折率層13のプラズマ処理面上に導電層12が形成されている。また、この導電層12の形成は、高屈折率層13のプラズマ処理が終了した時点から5分以内に開始される。
また、有機EL素子30の全体的な層構造は、上記に限定されることはなく、一般的な層構造であってもよい。ここでは、透明電極20の導電層12がアノード(すなわち陽極)側に配置され、この導電層12がアノードとして機能する一方、対向電極15がカソード(すなわち陰極)として機能する。
この場合、例えば発光機能層14は、アノードである導電層12の上部に[正孔注入層14a/正孔輸送層14b/発光層14c/電子輸送層14d/電子注入層14e]をこの順に積層した構成を例示できるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層14cを有する。正孔注入層14a及び正孔輸送層14bは、正孔輸送性と正孔注入性とを有する正孔輸送/注入層として設けられてもよい。電子輸送層14d及び電子注入層14eは、電子輸送性と電子注入性とを有する単一層として設けられてもよい。また、これらの発光機能層14のうち、例えば電子注入層14eは無機材料で構成されていてもよい。
また、発光機能層14は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層14cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させて発光層ユニットとして形成されていてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらにカソードである対向電極15も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明電極20の導電層12と対向電極15とで発光機能層14が挟持されている部分のみが、有機EL素子30における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明電極20の導電層12の低抵抗化を図ることを目的とし、導電層12に接して補助電極が設けられていてもよい。
以下、上述した有機EL素子30を構成する各層の構成を説明する。なお、透明電極20、並びに、透明電極20を構成する透明基材11、高屈折率層13、及び、導電層12は、上述の第2実施形態で説明した構成と同様の構成を用いることができる。このため、これらの第2実施形態と同様の構成は説明を省略する。
[対向電極(カソード)]
対向電極15は、発光機能層14に電子を供給するためのカソードとして機能する導電層であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
対向電極15は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄層を形成させることにより作製することができる。また、対向電極15としてのシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましく、厚さは通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[発光層]
本実施形態の有機EL素子に用いられる発光層14cは、発光材料として例えば燐光発光化合物が含有されている。
この発光層14cは、電極又は電子輸送層14dから注入された電子と、正孔輸送層14bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層14cの層内であっても発光層14cにおける隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層14cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層14c間には非発光性の中間層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層14cの厚さの総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い電圧で駆動することができることから1〜30nmである。なお、発光層14cの厚さの総和とは、発光層14c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
複数層を積層した構成の発光層14cの場合、個々の発光層の厚さとしては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の厚さの関係については、特に制限はない。
以上のような発光層14cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により形成することができる。
また発光層14cは、複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)を同一発光層14c中に混合して用いてもよい。
発光層14cの構成として、ホスト化合物(発光ホストともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物、ゲスト材料ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(ホスト化合物)
発光層14cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに、燐光量子収率が0.01未満である化合物が好ましい。また、ホスト化合物は、発光層14cに含有される化合物の中で、層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子30を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
以下に、有機EL素子に適用可能なホスト化合物の具体例(H1〜H79)を示す。なお、有機EL素子に適用可能なホスト化合物は、これらに限定されない。
ホスト化合物H68〜H79において、x及びyはランダム共重合体の比率を表す。その比率は、例えば、x:y=1:10などとすることができる。
Figure 2014229555
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公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(発光材料)
本実施形態の有機EL素子に用いることのできる発光材料としては、燐光発光性化合物(燐光性化合物、燐光発光材料ともいう)が挙げられる。
燐光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本例において燐光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光性化合物に移動させることで燐光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、燐光発光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり燐光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、燐光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
燐光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物である。さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本実施形態の有機EL素子においては、少なくとも一つの発光層14cに2種以上の燐光発光性化合物を含有していてもよく、発光層14cにおける燐光発光性化合物の濃度比が発光層14cの厚さ方向で変化していてもよい。
燐光発光性化合物は好ましくは発光層14cの総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
(一般式(1)で表される化合物)
発光層14cに含まれる化合物(燐光発光性化合物)は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(1)で表される燐光発光性化合物(燐光発光性の金属錯体ともいう)は、有機EL素子30の発光層14cに発光ドーパントとして含有されることが好ましい態様であるが、発光層14c以外の発光機能層に含有されていてもよい。
Figure 2014229555
上記一般式(1)中、P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A2はQ−Nと共に芳香族複素環を形成する原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
そして、一般式(1)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、置換基を有してもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、上記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、先に例示した置換基を有してもよい。
一般式(1)において、A2が、Q−Nと共に形成する芳香族複素環としては、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、先に例示した置換基を有してもよい。
P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(1)において、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(1)において、M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム好ましい。
(一般式(2)で表される化合物)
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 2014229555
上記一般式(2)中、Zは、炭化水素環基又は複素環基を表す。P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A3は−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−又は−N=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子又は置換基を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(2)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。好ましくは、Zで表される基は、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基である。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、A1がP−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、上記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)のA3で表される、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−において、R01、R02で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(2)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
また、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(2)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)は、一般式(1)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
(一般式(3)で表される化合物)
上記一般式(2)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014229555
上記一般式(3)中、R03は置換基を表し、R04は水素原子又は置換基を表し、複数のR04は互いに結合して環を形成してもよい。n01は1〜4の整数を表す。R05は水素原子又は置換基を表し、複数のR05は互いに結合して環を形成してもよい。n02は1〜2の整数を表す。R06は水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。n03は1〜4の整数を表す。Z1はC−Cと共に6員の芳香族炭化水素環若しくは、5員又は6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Z2は炭化水素環基又は複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。R03とR06、R04とR06及びR05とR06は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(3)において、R03、R04、R05、R06で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1がC−Cと共に形成する6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1がC−Cと共に形成する5員又は6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z2で表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z2で表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でもよく、また、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの環は無置換でもよく、さらに一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1及びZ2で形成される基としては、ベンゼン環が好ましい。
一般式(3)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(1)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(3)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
また、燐光発光性化合物は、有機EL素子30の発光層14cに使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本実施形態の有機EL素子に適用される燐光発光性化合物は、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に燐光発光性化合物の具体例(Pt−1〜Pt−3、A−1、Ir−1〜Ir−50)を示す。なお、本実施形態の有機EL素子に適用される燐光発光性化合物は、これらに限定されない。なお、これらの化合物において、m及びnは繰り返し数を表す。
Figure 2014229555
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Figure 2014229555
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Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
上記の燐光発光性化合物(燐光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letters誌 vol.3 No.16 2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻 第8号 1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻 4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻第7号 1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻 第12号 3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻 1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻 695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[注入層:正孔注入層、電子注入層]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層14cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層14aと電子注入層14eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層14aであれば、アノードと発光層14c又は正孔輸送層14bの間、電子注入層14eであればカソードと発光層14c又は電子輸送層14dとの間に配置される。
正孔注入層14aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層14eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層14eはごく薄い層であることが望ましく、素材にもよるがその厚さは1nm〜10μmの範囲が好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層14bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層14a、電子阻止層も正孔輸送層14bに含まれる。正孔輸送層14bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層14bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層14bの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層14bは、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層14bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層14bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[電子輸送層]
電子輸送層14dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層14e、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層14dに含まれる。電子輸送層14dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層14d、及び積層構造の電子輸送層14dにおいて発光層14cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層14cに伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層14dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層14dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されていても、電子輸送層14dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層14cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層14dの材料として用いることができ、正孔注入層14a、正孔輸送層14bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層14dの材料として用いることができる。
電子輸送層14dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層14dの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層14dは上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層14dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層14dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層14dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層14dの材料(電子輸送性化合物)として、好ましくは、下記一般式(4)で表される化合物を用いることができる。
(Ar1)n1−Y1 ・・・一般式(4)
一般式(4)の式中、n1は1以上の整数を表し、Y1はn1が1の場合は置換基を表し、n1が2以上の場合は単なる結合手又はn1価の連結基を表す。Ar1は後記する一般式(A)で表される基を表し、n1が2以上の場合、複数のAr1は同一でも異なっていてもよい。ただし、上記一般式(4)で表される化合物は分子内に3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
一般式(4)において、Y1で表される置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(4)において、Y1で表されるn1価の連結基としては、具体的には、2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基等が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)、酸素や硫黄などのカルコゲン原子、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基等(ここで、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、好ましくはN、O及びSから選択されたヘテロ原子を、縮合環を構成する元素として含有する芳香族複素縮合環であることが好ましく、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等)が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される3価の連結基としては、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ピリジントリイル基、カルバゾールトリイル基等が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される4価の連結基としては、上記の3価の基にさらにひとつ結合基がついたものであり、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、ピリジンテトライル基、カルバゾールテトライル基等が挙げられる。
なお、上記の2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基は、各々さらに一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(4)で表される化合物の好ましい態様としては、Y1が3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を表すことが好ましく、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環が好ましい。また、n1が2以上であることが好ましい。
さらに、一般式(4)で表される化合物は、分子内に上記の3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
また、Y1がn1価の連結基を表す場合、一般式(4)で表される化合物の三重項励起エネルギーを高く保つために、Y1は非共役であることが好ましく、さらに、Tg(ガラス転移点、ガラス転移温度ともいう)を向上させる点から、芳香環(芳香族炭化水素環+芳香族複素環)で構成されていることが好ましい。
ここで、非共役とは、連結基が単結合(一重結合ともいう)と二重結合の繰り返しによって表記できないか、又は連結基を構成する芳香環同士の共役が立体的に切断されている場合を意味する。
(一般式(A)で表される基)
一般式(4)中におけるAr1は、下記一般式(A)で表される基を表す。
Figure 2014229555
式中、Xは、−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は、−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。*はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。Y3及びY4は、各々5員又は6員の芳香族環から導出される基を表し、少なくとも一方は環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n2は1〜4の整数を表す。
ここで、一般式(A)のXで表される−N(R)−又は−Si(R)(R′)−において、さらに、E1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
また、一般式(A)において、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
さらに、一般式(A)において、Y3及びY4で各々表される5員又は6員の芳香族環から導出される基の形成に用いられる5員又は6員の芳香族環としては、ベンゼン環、オキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
さらに、Y3及びY4で各々表される5員又は6員の芳香族環から導出される基の少なくとも一方は、環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表すが、当該環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環としては、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
(Y3で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y3で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、ベンゼン環から導出される基である。
(Y4で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y4で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、窒素原子を環構成原子として含む芳香族複素環から導出される基であり、特に好ましくは、Y4がピリジン環から導出される基である。
(一般式(A)で表される基の好ましい態様)
一般式(A)で表される基の好ましい態様としては、下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、又は(A−4)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure 2014229555
上記一般式(A−1)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E11〜E20は、−C(R2)=又は−N=を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表す。但し、E11、E12の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 2014229555
上記一般式(A−2)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E21〜E25は−C(R2)=又は−N=を表し、E26〜E30は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、E21〜E30の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E21又はE22の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 2014229555
上記一般式(A−3)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E31〜E35は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、E36〜E40は−C(R2)=又は−N=を表し、E31〜E40の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E32又はE33の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 2014229555
上記一般式(A−4)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E41〜E50は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E42又はE43の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
以下、一般式(A−1)〜(A−4)のいずれかで表される基について説明する。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかのXで表される−N(R)−又は−Si(R)(R′)−において、さらにE1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかにおいて、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
一般式(A−1)のE11〜E20、一般式(A−2)のE21〜E30、一般式(A−3)のE31〜E40、一般式(A−4)のE41〜E50で、各々表される−C(R2)=のR2で表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
次に、一般式(4)で表される化合物のさらに好ましい態様について説明する。
(一般式(5)で表される化合物)
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。以下、一般式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 2014229555
上記一般式(5)の式中、Y5は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E51〜E66は、各々−C(R3)=又は−N=を表し、R3は水素原子又は置換基を表す。Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基又は芳香族複素環から導出される基を表し、Y6又はY7の少なくとも一方、及びY8又はY9の少なくとも一方は、N原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n3及びn4は0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。
一般式(5)におけるY5で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。
また一般式(5)におけるY5で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。
Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(5)においてE51〜E66で各々表される−C(R3)=のR3が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基が適用される。
一般式(5)において、E51〜E66で各々表される基としては、E51〜E58のうちの6つ以上及びE59〜E66のうちの6つ以上が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい。
一般式(5)において、Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基の形成に用いられる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
さらに、上記芳香族炭化水素環は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(5)において、Y6〜Y9は、各々芳香族複素環から導出される基の形成に用いられる芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
さらに、上記芳香族炭化水素環は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(5)において、Y6又はY7の少なくとも一方、及びY8又はY9の少なくとも一方で表されるN原子を含む芳香族複素環から導出される基の形成に用いられるN原子を含む芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
一般式(5)において、Y7、Y9で表される基としては、各々ピリジン環から導出される基を表すことが好ましい。
また、一般式(5)において、Y6及びY8で表される基としては、各々ベンゼン環から導出される基を表すことが好ましい。
(一般式(6)で表される化合物)
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014229555
上記一般式(6)の式中、Y21は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=または−N=を表し、R21は水素原子または置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つおよびE230〜E238の少なくとも1つは−N=を表す。k21およびk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。
一般式(6)におけるY21は、一般式(5)におけるY5と同義である。
一般式(6)において、E201〜E216、E221〜E238で各々表される−C(R21)=のR21が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基が同様に適用される。
一般式(6)において、E201〜E208のうちの6つ以上、およびE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(6)において、E225〜E229の少なくとも1つ、およびE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(6)において、E225〜E229のいずれか1つ、およびE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(6)において、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。
さらに、一般式(6)で表される化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。
さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
以上のような一般式(4)、(5)、または(6)で表される化合物の具体例として、下記に示す化合物(1〜134)が例示される。
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
Figure 2014229555
[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上述のように有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層14dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層14dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層14cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層14bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層14bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
[補助電極]
補助電極は、透明電極20の抵抗を下げる目的で設けられ、透明電極20の導電層12に接して設けられる。補助電極を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面からの発光光の取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
[封止材]
封止材は、有機EL素子30を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤によって透明基材11側に固定されていてもよく、封止層であってもよい。この封止材は、有機EL素子30における透明電極20及び対向電極15の端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光機能層14を覆う状態で設けられている。また封止材に電極を設け、有機EL素子30の透明電極20及び対向電極15の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
なかでも、素子を薄型化できるということから、封止材として薄型のフィルム状にしたポリマー基板を好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、これに限らず、金属材料を用いてもよい。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止材として用いることにより、有機EL素子が設けられた発光パネル全体を薄型化できる。
また、このような板状の封止材を透明基材11側に固定するための接着剤は、封止材と透明基材11との間に挟持された有機EL素子30を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子30を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、室温から80℃までに接着硬化できる接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材と透明基材11との接着部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材と透明基材11と接着剤との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材として封止層を用いる場合、有機EL素子30における発光機能層14を完全に覆い、かつ有機EL素子30における透明電極20及び対向電極15の端子部分を露出させる状態で、透明基材11上に封止層が設けられる。
このような封止層は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子30における発光機能層14の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機材料が用いられる。さらに封止層の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる層と共に、有機材料からなる層を用いて積層構造としてもよい。
これらの層の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[保護層、保護板]
尚、ここでの図示は省略したが、透明基材11との間に有機EL素子EL及び封止材を挟んで保護層若しくは保護板を設けてもよい。この保護層若しくは保護板は、有機EL素子ELを機械的に保護するためのものであり、特に封止材が封止層である場合には、有機EL素子ELに対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護層若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護層若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち特に、軽量かつ薄型化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
なお、上述の各実施形態の透明電極において、例えば、導電層12上に、有機保護層や無機保護層等の保護層を形成するための形成部や、透明電極の光学的作用を調整する高屈折率層等を形成するための形成部を設けてもよい。
また、上述の第3実施形態では、透明基材11、高屈折率層13、及び、導電層12からなる透明電極30をボトミエミッション型の有機EL素子50に適用した構成について説明しているが、この透明電極30が適用される有機EL素子は、ボトムエミッション型に限られず、例えば、対向電極側から光を取り出すトップエミッション型の構成や、両面から光を取り出す両面発光型の構成としてもよい。有機EL素子がトップエミッション型であれば、対向電極に透明な材料を用いると共に、透明電極の基材に換えて反射性を有する不透明な基材を用い、発光光を基板で反射させて対向電極側から取り出す構成としてもよい。また、有機EL素子が両面発光型であれば、対向電極に透明電極と同様に透明な材料を用い、発光光を両面から取り出す構成としてもよい。
また、ボトミエミッション型、トップエミッション型及び両面発光型の有機EL素子においても、透明電極をカソードとする構成にも適用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[透明電極の作製]
試料101〜126の各透明電極を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。下記表1に、試料101〜126の各透明電極の構成を示す。
[試料101の透明電極の作製]
以下のようにして、透明な無アルカリガラス製の透明基材上に、8nmの厚さで銀からなる導電層を形成した。
まず、透明な無アルカリガラス製の透明基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。これにより、透明基材と、この透明基材上に形成された導電層とからなる試料101の透明電極を得た。
[試料102の透明電極の作製]
以下のようにして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明基材上に、8nmの厚さで銀からなる導電層を形成した。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。これにより、透明基材と、この透明基材上に形成された導電層とからなる試料102の透明電極を得た。
[試料103の透明電極の作製]
以下のようにして、ポリエチレンナフタレート(PEN)製の透明基材上に、8nmの厚さで銀からなる導電層を形成した。
まず、ポリエチレンナフタレート(PEN)製の透明基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。これにより、透明基材と、この透明基材上に形成された導電層とからなる試料103の透明電極を得た。
[試料104の透明電極の作製]
以下のようにして、透明な無アルカリガラス製の透明基材上に、酸化チタン(TiO)からなる高屈折率層を30nmの厚さで形成し、この上部に銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。
まず、透明な無アルカリガラス製の透明基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダに固定し、酸化チタン(TiO)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、市販の真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化チタン(TiO)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基材上に厚さ30nmのTiOからなる高屈折率層を設けた。
次に、高屈折率層まで形成した透明基材を真空のまま真空蒸着装置の真空槽に移し、当該真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる導電層を形成した。これにより、透明基材と、高屈折率層と、この高屈折率層上に形成された導電層とからなる試料104の透明電極を得た。
[試料105の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化ニオブ(Nb)で構成した以外は、上記試料104と同様の手順で試料105の透明電極を得た。
[試料106の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化インジウムスズ(ITO)で構成した以外は、上記試料104と同様の手順で試料106の透明電極を得た。
[試料107の透明電極の作製]
高屈折率層を、インジウム亜鉛酸化物(IZO)で構成した以外は、上記試料104と同様の手順で試料107の透明電極を得た。
[試料108の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化亜鉛(ZnO)で構成した以外は、上記試料104と同様の手順で試料108の透明電極を得た。
[試料109の透明電極の作製]
以下のようにして、透明な無アルカリガラス製の透明基材の表面にプラズマ処理をした後、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。
まず、透明な無アルカリガラス製の透明基材を、市販の真空蒸着装置に接続するプラズマ処理用チャンバ内の基板ホルダに固定した。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。
次に、プラズマ処理用チャンバにおいて、処理気体(Ar,O)酸素圧力1Pa、電力50W(電極面積 約450cm)で60秒間、プラズマ処理を行った。そして、基板を大気に曝露することなく、プラズマ処理用チャンバから、真空蒸着装置の真空槽に移送した。
次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。上記プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔は、1分間とした。
これにより、表面がプラズマ処理された透明基材と、この透明基材の表面に形成された導電層とからなる試料109の透明電極を得た。
[試料110の透明電極の作製]
透明基材をポリエチレンテレフタレート(PET)で構成した以外は、上記試料109と同様の手順で試料110の透明電極を得た。
[試料111の透明電極の作製]
透明基材をポリエチレンナフタレート(PEN)で構成した以外は、上記試料109と同様の手順で試料111の透明電極を得た。
[試料112の透明電極の作製]
以下のようにして、透明な無アルカリガラス製の透明基材上に、酸化チタン(TiO)からなる高屈折率層を30nmの厚さで形成し、この高屈折率層の表面にプラズマ処理をした後、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。
まず、透明な無アルカリガラス製の透明基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダに固定し、酸化チタン(TiO)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、市販の真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化チタン(TiO)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基材上に厚さ30nmのTiOからなる高屈折率層を設けた。
次に、高屈折率層まで形成した透明基材を、市販の真空蒸着装置に接続するプラズマ処理用チャンバ内の基板ホルダに固定した。プラズマ処理用チャンバにおいて、酸素圧力1Pa、電力50W(電極面積 約450cm)で60秒間、プラズマ処理を行った。そして、基板を大気に曝露することなく、プラズマ処理用チャンバから、真空蒸着装置の真空槽に移送した。
次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。上記プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔は、1分間とした。
これにより、透明基材と、表面がプラズマ処理された高屈折率層と、この高屈折率層の表面に形成された導電層とからなる試料112の透明電極を得た。
[試料113の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化ニオブ(Nb)で構成した以外は、上記試料112と同様の手順で試料113の透明電極を得た。
[試料114の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化インジウムスズ(ITO)で構成した以外は、上記試料112と同様の手順で試料114の透明電極を得た。
[試料115の透明電極の作製]
高屈折率層を、インジウム亜鉛酸化物(IZO)で構成した以外は、上記試料112と同様の手順で試料115の透明電極を得た。
[試料116の透明電極の作製]
高屈折率層を酸化亜鉛(ZnO)で構成した以外は、上記試料112と同様の手順で試料116の透明電極を得た。
[試料117の透明電極の作製]
導電層を銀パラジウム(AgPd)で構成した以外は、上記試料113と同様の手順で試料117の透明電極を得た。
[試料118の透明電極の作製]
導電層をAgAuで構成した以外は、上記試料113と同様の手順で試料118の透明電極を得た。
[試料119の透明電極の作製]
導電層を銀銅(AgCu)で構成した以外は、上記試料113と同様の手順で試料119の透明電極を得た。
[試料120の透明電極の作製]
プラズマ処理において、処理気体を酸素(O)のみとした以外は、上記試料113と同様の手順で試料120の透明電極を得た。
[試料121の透明電極の作製]
プラズマ処理において、処理気体をアルゴン(Ar)のみとした以外は、上記試料113と同様の手順で試料121の透明電極を得た。
[試料122の透明電極の作製]
プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔を、3分間とした以外は、上記試料113と同様の手順で試料122の透明電極を得た。
[試料123の透明電極の作製]
プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔を、5分間とした以外は、上記試料113と同様の手順で試料123の透明電極を得た。
[試料124の透明電極の作製]
プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔を、7分間とした以外は、上記試料113と同様の手順で試料124の透明電極を得た。
[試料125の透明電極の作製]
プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔を、10分間とした以外は、上記試料113と同様の手順で試料125の透明電極を得た。
[試料126の透明電極の作製]
以下のようにして、透明な無アルカリガラス製の透明基材上に、酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率層を30nmの厚さで形成し、この高屈折率層の表面にプラズマ処理をした後、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成し、さらに、導電層上に酸化ニオブ(Nb)をからなる高屈折率層を30nmの厚さで形成した。
まず、透明な無アルカリガラス製の透明基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダに固定し、酸化ニオブ(Nb)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、市販の真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化ニオブ(Nb)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基材上に厚さ30nmのNbからなる高屈折率層を設けた。
次に、高屈折率層まで形成した透明基材を、市販の真空蒸着装置に接続するプラズマ処理用チャンバ内の基板ホルダに固定した。プラズマ処理用チャンバにおいて、酸素圧力1Pa、電力50W(電極面積 約450cm)で60秒間、プラズマ処理を行った。そして、基板を大気に曝露することなく、プラズマ処理用チャンバから、真空蒸着装置の真空槽に移送した。
次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。上記プラズマ処理終了から導電層の形成開始までの間隔は、1分間とした。
次に、導電層まで形成した透明基材を、真空のまま再度電子ビーム蒸着装置の真空槽に移し、当該真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化ニオブ(Nb)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基材上に厚さ30nmのNbからなる高屈折率層を設けた。
これにより、透明基材と、表面がプラズマ処理された高屈折率層と、この高屈折率層の表面に形成された導電層と、導電層上に形成された高屈折率層とからなる試料126の透明電極を得た。
[実施例1の各試料の評価]
上記で作製した試料101〜126の各透明電極について、光透過率、及び、面抵抗値を測定した。
光透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、試料と同じ透明基材をベースラインとして行った。
面抵抗値の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。
上記試料101〜126の透明電極の構成、及び、各評価結果を表1に示す。
Figure 2014229555
表1に示すように、透明基材や高屈折率層の導電層を形成する透明部材の表面をプラズマ処理した後、大気暴露せずに導電層を形成した試料109〜126は、光透過率が高く、面抵抗においても良好な結果が得られた。
これに対し、プラズマ処理を行わずに導電層を形成した試料101〜108では、試料109〜126よりも、光透過率で低い結果が得られ、面抵抗では測定できなかった。
従って、プラズマ処理を行うことにより、薄く均一な厚さの導電層が得られる。
特に、導電層のプラズモン吸収を大幅に減少させ、光透過性に優れる透明電極を形成することができる。
この結果十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を作製することができる。
試料101〜108では、プラズマ処理を行っていないため、導電層を構成するAgの凝集が起き、この導電層による光の吸収が大きい。また、Agの凝集により導電層の連続性が低下し、抵抗値が測定できない。
透明基材の表面をプラズマ処理して導電層を形成した試料109〜111と、高屈折率の表面をプラズマ処理して導電層を形成した試料112〜126とでは、面抵抗において、ほぼ同等の結果がえられた。この結果から、導電層を形成する透明部材としては、PET等の樹脂基材、ガラス等の無機透明基材、及び、金属酸化物等の高屈折率層のいずれを適用することができる。また、導電層を形成する前に、プラズマ処理を行うことが可能な透明部材であれば、いずれにも適用することができる。
また、試料109〜111と試料112〜116とでは、高屈折率層を有する試料112〜116の方が、光透過率に優れている。また、高屈折率層をそれぞれ異なる材料で形成した試料112〜116においても、同様の結果が得られた。さらに、導電層を高屈折率層で挟んだ構成の試料126においても、同様の結果が得られた。
導電層をAgで形成した試料113と、導電層をそれぞれ異なる材料で形成した試料117〜119とでは、同様の結果が得られた。この結果から、導電層として銀、銀を主成分とする合金を用いることができる。
プラズマ処理の処理気体としてOとArとの混合気体を用いた試料113と、処理気体をOのみ、Arのみとした試料120、試料121とにおいても、光透過率、面抵抗共に同様の結果が得られた。
プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間を1分とした試料113に対し、プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間をそれぞれ3分、5分、7分、10分とした試料122〜125では、導電層の形成開始まで1〜5分の試料113、試料122、試料123では同等の結果が得られているものの、導電層の形成開始まで7分以上の試料124、試料125では時間が経過する毎に、光透過率、面抵抗共に低下している。
この結果から、プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間は5分以内とすることが好ましい。
[ボトムエミッション型の有機EL素子の作製]
実施例1で作製した透明電極の試料101〜125を、アノードとして発光機能層の下部に設けたボトムエミッション型の有機電界発光素子(有機EL素子)の試料201〜225を作製した。図5を参照し、作製手順を説明する。尚、下記表2には、試料201〜225の有機EL素子に用いた透明電極の構成を示している。各有機EL素子の試料201〜225には、試料番号の下2ケタが一致する実施例1の各試料101〜125の透明電極を用いた。
[試料201〜225の有機EL素子の作製手順]
(透明電極の形成)
先ず、試料201〜225の作製において、透明な無アルカリガラス製又はポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明基材32の上部に、導電層33、又は、導電層33と高屈折率層(図示省略)とからなる透明電極31を形成した。各透明電極31の形成は、実施例1の試料101〜125と同様の手順で行った。
(正孔輸送・注入層の形成)
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送・注入層34を、透明電極31上に形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、厚さ20nmとした。
Figure 2014229555
(発光層の形成)
次に、先に構造式を示したホスト材料H4の入った加熱ボートと、先に構造式を示した燐光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4と燐光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層35を、正孔輸送・注入層34上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:燐光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また厚さ30nmとした。
(正孔阻止層の形成)
次に、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層36を、発光層35上に形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、厚さ10nmとした。
Figure 2014229555
(電子輸送・注入層の形成)
その後、電子輸送材料として先に構造式を示した化合物10の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、化合物10とフッ化カリウムとよりなる電子注入層と電子輸送層とを兼ねた電子輸送・注入層37を、正孔阻止層36上に形成した。この際、蒸着速度が化合物10:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また厚さ30nmとした。
(対向電極:カソードの形成)
以上の後には、発光機能層が形成された透明基材32を、真空蒸着装置の第2真空槽内に移送し、第2真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、第2真空槽内に取り付けられたアルミニウムの入った抵抗加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.3nm/秒で厚さ100nmのアルミニウムからなる対向電極38を形成した。この対向電極38は、カソードとして用いられる。以上により透明基材32上に、ボトムエミッション型の有機EL素子を形成した。
(素子の封止)
その後、有機EL素子を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材で覆い、有機EL素子を囲む状態で、透明封止材と透明基材32との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。透明封止材と透明基材32との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(透明封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機EL素子を封止した。
尚、有機EL素子の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの透明基材32における中央の4.5cm×4.5cmを発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。また、アノードである透明電極31の導電層と、カソードである対向電極38とは、正孔輸送・注入層34から電子輸送・注入層37によって絶縁された状態で、透明基材32の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、透明基材32上に有機EL素子を設け、これを透明封止材と接着剤とで封止した試料201〜225の有機EL素子の各発光パネルを得た。これらの各発光パネルにおいては、発光層35で発生した各色の発光光が、透明基材32側から取り出される。
[実施例2の各試料の評価]
試料201〜225で作製した有機EL素子について、駆動電圧(V)、及び、色度差(Δxy)を測定した。この結果を下記表2に合わせて示す。
[駆動電圧の測定方法]
駆動電圧の測定においては、各試料201〜225の有機EL素子の透明電極31側(すなわち透明基材32側)での正面輝度が1000cd/mとなるときの電圧を駆動電圧として測定した。なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。得られた駆動電圧の数値が小さいほど、好ましい結果であることを表わす。
[色変化の測定方法]
色変化の測定においては、各試料201〜225の有機EL素子に2.5mA/cmの電流を加え、角度の異なる位置からCIE1931表色系における色度を測定した。この際、透明電極31側の発光面に対する法線方向となる0°の位置と、垂直水平(上下左右)方向にそれぞれ45°の各位置とで色度を測定した。角度の異なる位置において測定した色度の差を、色変化(Δxy)として下記表2に示した。色変化は、色度の視野角特性を表し、数値が小さいほど好ましい結果となる。
試料201〜225の構成、並びに、駆動電圧(V)、及び、色度差(Δxy)の測定結果を下記表2に示す。
Figure 2014229555
[実施例2の評価結果]
試料201〜208では、作製した有機EL素子の発光が得られなかった。これは、プラズマ処理を行っていない透明電極の導電層の形成不良による。
透明部材にプラズマ処理を行った後に導電層を形成した透明電極を用いた試料209〜225は、駆動電圧、色変化において良好な結果が得られた。
高屈折率層を有する試料212〜216は、試料209〜211に比べると駆動電圧が低い結果が得られた。これは、透明電極の面抵抗に依存する結果である。
また、プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間を、それぞれ変更した試料213、試料222〜225では、プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間が5分を超えると、駆動電圧、色変化共に悪化している。特に、7分以上での駆動電圧、色変化共に悪化が顕著になる。
この結果から、有機EL素子においても、透明電極において、プラズマ処理から導電層の形成開始までの時間を5分以内とすることが好ましい。
以上の結果から、透明部材の表面にプラズマ処理をした後、導電層を形成した透明電極を用いた有機EL素子は、低い駆動電圧での高輝度発光と安定した面発光が可能であることが確認された。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20,25,31 透明電極、11,32 透明基材、12,33 導電層、13 高屈折率層、14 発光機能層、14a 正孔注入層、14b 正孔輸送層、14c,35 発光層、14d 電子輸送層、14e 電子注入層、15,38 対向電極、16 第1高屈折率層、17 第2高屈折率層、30 有機EL素子、34 正孔輸送・注入層、36 正孔阻止層、37 電子輸送・注入層

Claims (11)

  1. 透明部材と、
    前記透明部材上に設けられた導電層と、を備え、
    前記透明部材は、プラズマ処理されたプラズマ処理面を有し、
    前記導電層は、前記透明部材の前記プラズマ処理面上に形成され、
    前記導電層が、前記プラズマ処理をした後、前記透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく 形成されている
    透明電極。
  2. 前記導電層が、前記プラズマ処理の終了から5分以内に 形成開始される請求項1に記載の透明電極。
  3. 前記導電層が、銀(Ag)又は銀(Ag)を主成分とする合金から構成される請求項1に記載の透明電極。
  4. 前記導電層が、4nm以上15nm以下に形成されている請求項3に記載の透明電極。
  5. 前記透明部材が透明基材である請求項1に記載の透明電極。
  6. 前記透明部材が高屈折率層である請求項1に記載の透明電極。
  7. 前記高屈折率層が、二酸化チタン、酸化ニオブ、ITO、IZO、及び、ZnOから選ばれる少なくとも1種以上を含む請求項6に記載の透明電極。
  8. 前記請求項1から7のいずれかに記載の透明電極を備える電子デバイス。
  9. 有機発光層を備える請求項8に記載の電子デバイス。
  10. 透明部材の表面にプラズマ処理を行う工程と、
    前記プラズマ処理を行った後、前記透明部材のプラズマ処理面を大気中に暴露することなく、前記プラズマ処理面上に導電層を形成する工程と、を有する
    透明電極の製造方法。
  11. 前記プラズマ処理の終了から5分以内に前記導電層の形成が開始される請求項10に記載の透明電極の製造方法。
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