JP2014214152A - 非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の課題は、簡便な方法によって、煩雑な操作をすることなく、副生成物の発生を可能な限り低減させつつ高い収率で非対称ジアルキルアミン化合物(目的物)を得る工業的に好適な非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法を提供することである。
【解決手段】 本発明の課題は、アリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルアルキル化剤を加えて反応させて、非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程
を含むことを特徴とする、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の課題は、アリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルアルキル化剤を加えて反応させて、非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程
を含むことを特徴とする、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法に関する。非対称ジアルキルアミン化合物は、例えば、医薬品の合成中間体としてのアミノアセトアミド誘導体や有機色素原料、エポキシ樹脂硬化遅延剤原料、オレフィン重合用触媒原料、成膜材料の配位子等として有用な化合物である(例えば、特許文献1〜4参照)。
従来、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法としては、例えば、
(1)N−エチルベンジリデンアミン誘導体と硫酸ジメチルとを40〜50℃で反応させてエチルメチルアミンを収率81.7%で製造する方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)酸化銅−酸化亜鉛の存在下、t−ブチルアミンとエタノールとを250℃にて気相で反応させて、t−ブチルエチルアミンを収率77%で製造する方法(例えば、特許文献5参照)
が知られている。
(1)N−エチルベンジリデンアミン誘導体と硫酸ジメチルとを40〜50℃で反応させてエチルメチルアミンを収率81.7%で製造する方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)酸化銅−酸化亜鉛の存在下、t−ブチルアミンとエタノールとを250℃にて気相で反応させて、t−ブチルエチルアミンを収率77%で製造する方法(例えば、特許文献5参照)
が知られている。
しかしながら、前記の(1)の方法では、残存する硫酸ジメチルや硫酸メチル・ナトリウム塩などが、更に目的物のアミンをメチル化させてしまい、副生成物として3級アミンが生じるという問題があるものの、それらを生成させないことや除去することについて、何ら着目されていなかった。
一方、(2)の方法では、反応条件が極めて厳しく、特殊な触媒を使用しなければならないなどの問題があった。そのため、上記の方法は、工業的な製造方法として望ましいといえるものではなかった。
更に、特許文献4の方法では、有効な非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法が記載されてあるものの、より純度の高い(不純物の低減された)非対称ジアルキルアミン化合物の提案が求められていた。
一方、(2)の方法では、反応条件が極めて厳しく、特殊な触媒を使用しなければならないなどの問題があった。そのため、上記の方法は、工業的な製造方法として望ましいといえるものではなかった。
更に、特許文献4の方法では、有効な非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法が記載されてあるものの、より純度の高い(不純物の低減された)非対称ジアルキルアミン化合物の提案が求められていた。
本発明の発明者らは、本発明の反応において副生するモノアルキル硫酸塩(アルキル化剤に起因する副生成物)を、早い段階で反応液内から取り除くことが、より純度の高い(不純物の低減された)非対称ジアルキルアミン化合物であることを認識し、これを課題として検討を行った。
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、煩雑な操作をすることなく、副生成物の発生を可能な限り低減させつつ高い収率で非対称ジアルキルアミン化合物(目的物)を得る工業的に好適な非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法を提供することである。
本発明の課題は、(A)一般式(1)
(式中、Arはアリール基である。R1、R2及びR3は水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。なお、R1、R2及びR3は互いに結合して環を形成していても良い。但し、R1、R2及びR3のうち2つ以上が同時に水素原子となることはない。)
で示されるアリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルアルキル化剤を加えて反応させて、一般式(2)
で示されるアリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルアルキル化剤を加えて反応させて、一般式(2)
(式中、Rは炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、R1、R2及びR3は前記と同義である。)
で示される非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程
を含むことを特徴とする、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法によって解決される。
で示される非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程
を含むことを特徴とする、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法によって解決される。
本発明により、煩雑な操作をすることなく、高い収率で非対称ジアルキルアミン化合物を得る、工業的に好適な非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法を提供することが出来る。
本発明の反応は、以下の2つの工程を含んで構成される。
(A)一般式(1)
(式中、Ar、R1、R2及びR3は前記と同義である。)
で示されるアリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは0.90〜1.20モルのアルキル化剤を加えて反応させ、一般式(2)
で示されるアリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは0.90〜1.20モルのアルキル化剤を加えて反応させ、一般式(2)
(式中、Rは炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、R1、R2及びR3は前記と同義である。)
で示される非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;及び
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程。
で示される非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;及び
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程。
(A)非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程(以下、工程Aと称することもある)
本発明の工程Aにおいて使用するアリールメチリデンアミン化合物は、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Arはアリール基であり、具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基などの炭素原子数6〜14のアリール基を示すが、好ましくはフェニル基、トリル基である。
本発明の工程Aにおいて使用するアリールメチリデンアミン化合物は、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Arはアリール基であり、具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基などの炭素原子数6〜14のアリール基を示すが、好ましくはフェニル基、トリル基である。
R1、R2及びR3は水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示すが、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基である。なお、これらの基は各種異性体を含み、R1、R2及びR3は互いに結合して環を形成していても良い。但し、R1、R2及びR3のうち2つ以上が同時に水素原子となることはない。
前記R1、R2及びR3によって構成される基は、2級又は3級の基となっているのが好ましく、具体的には、R1、R2及びR3が全てメチル基であってt−ブチル基を形成している場合や、R1が水素原子、R2及びR3がメチル基であってイソプロピル基を形成しているのが望ましい。このとき、R1、R2及びR3によって構成される基は、後述のRと同じにはならない。
本発明の工程Aにおいて使用する有機溶媒としては、脂肪族炭化水素(脂環式炭化水素も含む)、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びハロゲン化芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることが好ましく、具体的には、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素が挙げられる。
前記有機溶媒の使用量は、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは0.10〜0.80モル、更に好ましくは0.20〜0.50モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応液の固化を防ぐことができる。
本発明の工程Aにおいて使用するアルキル化剤としては、具体的には、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルなどの硫酸ジアルキル;ヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキル;ジアゾメタンなどのジアゾアルカン;炭酸ジメチル、シュウ酸ジメチルなどのアルキルエステルが挙げられるが、好ましくは硫酸ジアルキルが使用される。なお、このアルキル化剤のアルキル基が、一般式(2)におけるRとなる。
前記アルキル化剤の使用量は、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは0.90〜1.20モルであるが、更に好ましくは0.95〜1.05モルである。この範囲とすることで、高い反応速度を維持しながら、反応後における反応液からの未反応アルキル化剤やアルキル化後の副生成物の処理を容易にすることができる。
本発明の工程Aは、アリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルのアルキル化剤を加えて同温度(75〜110℃)で反応させるなどの方法によって行われる。なお、その際の反応圧力は特に制限されない。
工程Aで得られた反応液は、非対称ジアルキルアミンを含むものであるが特に処理を施すことなく、そのまま次の工程に使用できる。
なお、本発明の工程Aにおいて使用するアリールメチリデンアミン化合物は、一般式(3)
で示されるモノアルキルアミンと一般式(4)
(B)非対称ジアルキルアミン化合物を含む有機層を分離する工程(以下、工程Bと称することもある)
本発明の工程Bは、工程Aで得られた反応液から、反応液中に存在する非対称ジアルキルアミン化合物を、副反応や逐次反応により損なうことなく、かつ副生成物を同伴させずに非対称ジアルキルアミン化合物を含む有機層を分離する工程である。その方法は、下記式で示されるフローに従って行われる。
本発明の工程Bは、工程Aで得られた反応液から、反応液中に存在する非対称ジアルキルアミン化合物を、副反応や逐次反応により損なうことなく、かつ副生成物を同伴させずに非対称ジアルキルアミン化合物を含む有機層を分離する工程である。その方法は、下記式で示されるフローに従って行われる。
以下、順に各段階における操作を説明する。
本発明の工程Bでは、まず反応液に水を加えて混合した後に、水層を分離する。その際に使用する水の量は、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは1〜20モル、更に好ましくは2〜10モルである。この範囲の水の量とすることで、工程Aで得られた反応液中のアルキル化剤に起因する副生成物(例えば、アルキル化剤が硫酸ジメチルの場合には、硫酸メチルの塩)の分解がすみやかに進行する上に、有機層との分離操作が容易となる。なお、水層には目的物に関与しない塩が含まれていても良い。
次いで、目的物である非対称ジアルキルアミン化合物を含む水層を分離するが、分離操作は通常の方法、例えば、分液漏斗などを用いて分離することができる。得られた水層は、必要に応じて、疎水性溶媒で洗浄しても良い。当該疎水性溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素が使用される。
次いで、分離して得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合するが、芳香族炭化水素としては、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、メシチレン、スチレン、アニソールなどが挙げられる。塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液などが挙げられる。なお、これらの芳香族炭化水素は、単独又は二種以上を混合していても良く、塩基性水溶液もまた単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
その際に使用する塩基性水溶液の塩基の使用量は、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して、好ましくは1.00〜5.00モル、更に好ましくは1.85〜2.20モルである。この範囲の塩基の量とすることで、アルキル化剤に起因する副生成物(例えば、アルキル化剤が硫酸ジメチルの場合には、硫酸メチルの塩)の分解がすみやかに進行する上に、目的物の非対称ジアルキルアミン化合物の水層への移動・損失を防ぐことができる。更に、副反応や逐次反応の原因となるアルキル化剤の残渣を含む水層との分離操作が容易となることで、当該反応による非対称ジアルキルアミン化合物の損失を防ぐことがきる。
また、塩基性水溶液の濃度は、好ましくは15〜48質量%、更に好ましくは25〜40質量%である。この範囲の濃度とすることで、アルキル化剤に起因する副生成物(例えば、アルキル化剤が硫酸ジメチルの場合には、硫酸メチルの塩)を水層に除去することができる上に、目的物の非対称ジアルキルアミン化合物の水層への損失を防ぐことができる。更に、副反応や逐次反応の原因となるアルキル化剤の残渣を含む水層との分離操作が容易となることで、当該反応による非対称ジアルキルアミン化合物の損失を防ぐことがきる。
次いで、目的物である非対称ジアルキルアミン化合物を含む有機層を分離するが、分離操作は通常の方法、例えば、分液漏斗などを用いて分離することができる。
(C)非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程(以下、工程Cと称することもある)
本発明の工程Cは、工程Bで得られた有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程である。
本発明の工程Cは、工程Bで得られた有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程である。
前記分子篩としては、好ましくは1〜10Å(オングストローム)の有効気孔サイズを有する分子篩、更に好ましくは天然ゼオライト及び合成ゼオライトから選択される群より選択される少なくとも1種の分子篩であり、具体的には、例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブスが使用される。
本工程では、有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して、非対称ジアルキルアミン化合物を取得することができる。
蒸留方法は、目的物の融点や沸点などにより適宜選択することができるが、例えば、常圧下、減圧下、又は加圧下にて蒸留することにより、3級アミンや水などの副生成物を低減することができる。蒸留条件は特に制限されないが、副反応や逐次反応を起こす化合物(例えば、アルキル化剤やその残渣)が混入している場合には、例えば、蒸留温度を25〜90℃にするなど、よりマイルドな条件にて短時間で行うことが望ましい。
以上の工程Cによって非対称ジアルキルアミンを得ることができるが、これはトリアルキルアミンの含有比率が0.1%未満、原料の分解物であるモノアルキルアミンの含有比率が1.0%未満、かつアルキル化剤の副生成物であるアルキルアルコールの含有比率が0.1%未満、水の含有量が300質量ppm未満である、トリ(非対称ジアルキルアミド)アルミニウム製造用の非対称ジアルキルアミン原料組成物である。
トリ(非対称ジアルキルアミド)アルミニウムとしては、例えば、一般式(5)
(式中、R1、R2及びR3は水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。なお、R1、R2及びR3は互いに結合して環を形成していても良い。但し、R1、R2及びR3のうち2つ以上が同時に水素原子となることはない。)
で示される化合物が挙げられる。
で示される化合物が挙げられる。
前記の一般式(5)において、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基を示し、R1、R2及びR3は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す(なお、R、R1、R2及びR3は互いに結合して環を形成していても良い。但し、R1、R2及びR3のうち2つ以上が同時に水素原子となる場合を除く。)。なお、3つのジアルキルアミド配位子の一部又は全部がそれぞれ異なっていても良い。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1(N−ベンジリデン−t−ブチルアミンの合成)
実施例1(t−ブチル(メチル)アミンの合成)
(工程A)
アルゴン雰囲気にて、攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で得られたN−ベンジリデン−t−ブチルアミン63.96g(0.397mol)及びキシレン14.78g(0.139mol)を加えた。次いで、混合液を85〜90℃に保ちながら、硫酸ジメチル50.79g(0.403mol)をゆるやかに滴下した。滴下後、混合液を攪拌しながら85〜90℃にて4時間反応させた。
(工程B)
反応終了後、反応液を85〜90℃に保ちながら水34.75g(1.928mol)をゆるやかに滴下し、室温にて反応液を分液して水層を得た。得られた層をキシレンで洗浄した。次いで、攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlのフラスコに、先に得られた水層とキシレン87.30g(0.822mol)を加え、液温を10〜15℃に保ちながら、36質量%水酸化ナトリウム水溶液88.22g(0.794mol)をゆるやかに滴下した後、反応液を分液した。
(工程C)
分液した有機層にモレキュラーシーブス42.46gを加え、48時間浸漬した。その後ろ過を行い、得られた濾液を常圧下で蒸留(68〜71℃)し、t−ブチル(メチル)アミン26.64gを得た(単離収率;77%)。
なお、得られたt−ブチル(メチル)アミンの組成は、目的物であるt−ブチル(メチル)アミン、t−ブチル(ジメチル)アミン(副生成物)、t−ブチルアミン(原料の分解物)、メタノール(副生成物)の含有比率は、99.3:0:0.23:0、水含有量は58質量ppmであり、副生成物や残存原料、使用溶媒、水分の混入量が極めて少なかった。
アルゴン雰囲気にて、攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で得られたN−ベンジリデン−t−ブチルアミン63.96g(0.397mol)及びキシレン14.78g(0.139mol)を加えた。次いで、混合液を85〜90℃に保ちながら、硫酸ジメチル50.79g(0.403mol)をゆるやかに滴下した。滴下後、混合液を攪拌しながら85〜90℃にて4時間反応させた。
(工程B)
反応終了後、反応液を85〜90℃に保ちながら水34.75g(1.928mol)をゆるやかに滴下し、室温にて反応液を分液して水層を得た。得られた層をキシレンで洗浄した。次いで、攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlのフラスコに、先に得られた水層とキシレン87.30g(0.822mol)を加え、液温を10〜15℃に保ちながら、36質量%水酸化ナトリウム水溶液88.22g(0.794mol)をゆるやかに滴下した後、反応液を分液した。
(工程C)
分液した有機層にモレキュラーシーブス42.46gを加え、48時間浸漬した。その後ろ過を行い、得られた濾液を常圧下で蒸留(68〜71℃)し、t−ブチル(メチル)アミン26.64gを得た(単離収率;77%)。
なお、得られたt−ブチル(メチル)アミンの組成は、目的物であるt−ブチル(メチル)アミン、t−ブチル(ジメチル)アミン(副生成物)、t−ブチルアミン(原料の分解物)、メタノール(副生成物)の含有比率は、99.3:0:0.23:0、水含有量は58質量ppmであり、副生成物や残存原料、使用溶媒、水分の混入量が極めて少なかった。
比較例1〜2
実施例1において、工程Bでのキシレン添加の有無及び工程Cでのモレキュラーシーブス処理の有無を変更したこと以外は、実施例1と同様に反応及び後処理を行った。その処理条件(工程B及びC)を表1に、工程C操作後の目的物中の組成比を表2に示した。
実施例1において、工程Bでのキシレン添加の有無及び工程Cでのモレキュラーシーブス処理の有無を変更したこと以外は、実施例1と同様に反応及び後処理を行った。その処理条件(工程B及びC)を表1に、工程C操作後の目的物中の組成比を表2に示した。
(保存安定性試験)
実施例1及び比較例2において、工程Bで得られた有機層(工程Cを行う前)を室温で放置し、前記有機層中のt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性を観察した。実施例1で得られたt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性試験の結果を表3、比較例2で得られたt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性試験の結果を表4に示した。
実施例1及び比較例2において、工程Bで得られた有機層(工程Cを行う前)を室温で放置し、前記有機層中のt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性を観察した。実施例1で得られたt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性試験の結果を表3、比較例2で得られたt−ブチル(メチル)アミンの保存安定性試験の結果を表4に示した。
以上の結果より、本発明の方法(実施例1)では、工程Bで得られた有機層中のt−ブチル(メチル)アミンが分解などしないため(保存安定性に優れるため)、工程Cを即時行う必要がないことが分かる。
実施例2(トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積1Lのフラスコに、15.66%ブチルリチウム/へキサン溶液526.0g(1.29mol)を加えて冷却した。ここに実施例1で得られたt−ブチル(メチル)アミン119.2g(1.37mol)を内温が5〜10℃になるようにゆるやかに滴下した。続けて、シクロペンチルメチルエーテル60mlを加えて、室温で30分攪拌した後、濃縮をした。ここにシクロペンチルメチルエーテル180mlを加え、次いで、シクロペンチルメチルエーテル240mlに溶解した無水塩化アルミニウム55.76g(0.418mol)を水冷下でゆるやかに滴下して室温で30分反応させた。
反応終了後、得られた反応液を96〜97℃で2時間加熱した。これを冷却し、加圧濾過を5分行った。濾過残物をヘキサンで洗浄して、全ての濾液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(110℃、89Pa)して、白色固体のトリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウム109.5g得た(単離収率;91.7%)。
なお、トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積1Lのフラスコに、15.66%ブチルリチウム/へキサン溶液526.0g(1.29mol)を加えて冷却した。ここに実施例1で得られたt−ブチル(メチル)アミン119.2g(1.37mol)を内温が5〜10℃になるようにゆるやかに滴下した。続けて、シクロペンチルメチルエーテル60mlを加えて、室温で30分攪拌した後、濃縮をした。ここにシクロペンチルメチルエーテル180mlを加え、次いで、シクロペンチルメチルエーテル240mlに溶解した無水塩化アルミニウム55.76g(0.418mol)を水冷下でゆるやかに滴下して室温で30分反応させた。
反応終了後、得られた反応液を96〜97℃で2時間加熱した。これを冷却し、加圧濾過を5分行った。濾過残物をヘキサンで洗浄して、全ての濾液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(110℃、89Pa)して、白色固体のトリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウム109.5g得た(単離収率;91.7%)。
なお、トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
1H−NMR(C6H6,δ(ppm));1.22(27H,s)、2.58(9H,s)
融点;45〜50℃
自然発火性(温度22℃、湿度50%の空気中);自然発火なし
蒸気圧(80℃);1.1torr
融点;45〜50℃
自然発火性(温度22℃、湿度50%の空気中);自然発火なし
蒸気圧(80℃);1.1torr
比較例3(トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積2Lのフラスコに、15.00%ブチルリチウム/へキサン溶液697.3g(1.63mol)を加えて冷却した。ここにメチル−t−ブチルアミン144.6g(1.66mol)を内温が−18〜−15℃になるようにゆるやかに滴下した。続けて、室温で30分攪拌した後、濃縮をした。ここにジエチルエーテル500mlを加え、次いで、ジエチルエーテル500mlに溶解した無水塩化アルミニウム69.77g(0.52mol)を水冷下でゆるやかに滴下して室温で30分反応させた。反応終了後に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留(110℃、53Pa)して、白色固体のトリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウム32.8g得た(単離収率;22.0%)。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積2Lのフラスコに、15.00%ブチルリチウム/へキサン溶液697.3g(1.63mol)を加えて冷却した。ここにメチル−t−ブチルアミン144.6g(1.66mol)を内温が−18〜−15℃になるようにゆるやかに滴下した。続けて、室温で30分攪拌した後、濃縮をした。ここにジエチルエーテル500mlを加え、次いで、ジエチルエーテル500mlに溶解した無水塩化アルミニウム69.77g(0.52mol)を水冷下でゆるやかに滴下して室温で30分反応させた。反応終了後に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留(110℃、53Pa)して、白色固体のトリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウム32.8g得た(単離収率;22.0%)。
比較例4(トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムの合成)
実施例2において、比較例2で製造したt−ブチル(メチル)アミンを用いたこと以外、実施例2と同様に反応を行った。
その結果、単離収率は比較例3と同様に低いものであった。
実施例2において、比較例2で製造したt−ブチル(メチル)アミンを用いたこと以外、実施例2と同様に反応を行った。
その結果、単離収率は比較例3と同様に低いものであった。
その結果、t−ブチル(ジメチル)アミンやt−ブチルアミンが配位した目的としないアルミニウム化合物が多く得られた。よって、副生成物の発生を可能な限り低減させつつ高純度の非対称ジアルキルアミン化合物(目的物)を用いれば、高収率で(トリス(メチル−t−ブチルアミド)アルミニウムを合成することが可能であり、有用性を確認した。
以上より、本発明の非対称ジアルキルアミン化合物は、トリ(非対称ジアルキルアミド)アルミニウムの製造に適していると考えられる。
本発明は、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法に関する。非対称ジアルキルアミン化合物は、例えば、医薬品の合成中間体としてのアミノアセトアミド誘導体や有機色素原料、エポキシ樹脂硬化遅延剤原料、オレフィン重合用触媒原料、成膜材料の配位子等として有用な化合物である。
Claims (9)
- (A)一般式(1)
で示されるアリールメチリデンアミン化合物と有機溶媒とを混合した後、混合液を75〜110℃に維持しながら、アリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.90〜1.20モルアルキル化剤を加えて反応させて、一般式(2)
で示される非対称ジアルキルアミン化合物を含む反応液を製造する工程;
(B)前記反応液に水を加えて混合した後に有機層を分離し、次いで、得られた水層と、芳香族炭化水素と、塩基性水溶液とを混合した後に有機層を分離する工程;及び
(C)当該有機層を分子篩と接触させた後に濾過・蒸留して非対称ジアルキルアミン化合物を取得する工程
を含むことを特徴とする、非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。 - 有機溶媒の使用量がアリールメチリデンアミン化合物1モルに対して0.10〜0.80モルである請求項1記載の非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。
- 有機溶媒が脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びハロゲン化芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒である請求項1〜2のいずれか1項に記載の非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。
- アルキル化剤がジアルキル硫酸である請求項1〜2のいずれか1項に記載の非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。
- 塩基性水溶液の塩基の使用量がアリールメチリデンアミン化合物1モルに対して1.85〜2.20モルである請求項1記載の非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。
- 塩基性水溶液がアルカリ金属水酸化物である請求項1又は6項のいずれか1項に記載の非対称ジアルキルアミン化合物の製造方法。
- トリアルキルアミンの含有比率が0.1%未満、原料の分解物であるモノアルキルアミンの含有比率が1.0%未満、アルキル化剤の副生成物であるアルキルアルコールの含有比率が0.1%未満、水の含有量が300質量ppm未満である、トリ(非対称ジアルキルアミド)アルミニウム製造用の非対称ジアルキルアミン原料組成物。
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