JP2014129260A - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】調達の容易な原料を使用し、熱分解を伴う1回の反応で、工業的に有用なHFO−1234yfを、十分に制御された状態かつ効率よく製造する経済的に有利な方法を提供する。
【解決手段】R22を含む第1原料組成物と、R40および/またはR50を含む第2原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfを製造する方法であって、(a)第1の反応器内に第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして第1の混合物を得る工程と、(b)第2の反応器内に第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして第2の混合物を得る工程と、(c)第3の反応器内に第1の混合物と第2の混合物とを供給して接触させる工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】R22を含む第1原料組成物と、R40および/またはR50を含む第2原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfを製造する方法であって、(a)第1の反応器内に第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして第1の混合物を得る工程と、(b)第2の反応器内に第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして第2の混合物を得る工程と、(c)第3の反応器内に第1の混合物と第2の混合物とを供給して接触させる工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法に係り、特に、クロロジフルオロメタンと、クロロメタンおよび/またはメタンとから、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
このようなHFO−1234yfの製造方法としては、例えば、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液で脱フッ化水素させて得られる1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)を合成原料とし、水素により還元して製造する方法が知られている。
しかし、このような方法では、多段階の反応を経るため設備コストが高くなる、中間生成物や最終生成物における蒸留・精製が難しい、などの問題があった。そのような問題を解決するため、クロロカーボン類を含む原料から、熱分解を伴う1回の反応でHFO−1234yfを製造する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、クロロメタン(R40)とクロロジフルオロメタン(R22)とを組み合わせて、水蒸気の共存下に845±5℃に加熱し、脱塩化水素・縮合させて、1,1−ジフルオロエチレン(VdF)を主生成物として生成させる方法が記載されており、その際に、副生物としてHFO−1234yfのようなフッ素含有オレフィン類が生成したことが提示されている。
また、特許文献2には、R40と、テトラフルオロエチレン(TFE)またはR22の混合物を、反応器内で電気ヒータのような通常の加熱手段により700〜950℃の温度に加熱・分解して、HFO−1234yfを得る方法が提示されている。
また、特許文献2には、R40と、テトラフルオロエチレン(TFE)またはR22の混合物を、反応器内で電気ヒータのような通常の加熱手段により700〜950℃の温度に加熱・分解して、HFO−1234yfを得る方法が提示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された上記の方法においては、VdFを目的物質として反応条件等を設定しているためVdFは高収率で得られるものの、HFO−1234yfについては効率よく製造できていない。
また、特許文献2に示された方法では滞留時間の増加に伴い、副生成物である高沸物の生成・原料のカーボン化が起こり、反応器が閉塞するおそれがあり、また副生する酸分の影響から、特殊な耐腐食装置(プラチナでライニングされた反応管等)が必要であり、工業的な製造を考えた場合、全く現実的でない。
本発明は、上記観点からなされたものであり、調達の容易な原料を使用し、熱分解を伴う反応で、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に制御された状態かつ効率よく製造する経済的に有利な方法を提供することを目的とする。
本発明は、クロロジフルオロメタン(R22)を含む第1の原料組成物と、クロロメタン(R40)および/またはメタン(R50)を含む第2の原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を製造する方法であって、
(a)第1の反応器内に前記第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、前記第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして、第1の混合物を得る工程と、
(b)第2の反応器内に前記第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして、第2の混合物を得る工程と、
(c)第3の反応器内に、前記(a)工程で得られた第1の混合物と、前記(b)工程で得られた第2の混合物とを供給して接触させる工程と
を有することを特徴とするHFO−1234yfの製造方法を提供する。
(a)第1の反応器内に前記第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、前記第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして、第1の混合物を得る工程と、
(b)第2の反応器内に前記第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして、第2の混合物を得る工程と、
(c)第3の反応器内に、前記(a)工程で得られた第1の混合物と、前記(b)工程で得られた第2の混合物とを供給して接触させる工程と
を有することを特徴とするHFO−1234yfの製造方法を提供する。
本発明において、「第1の混合物」とは、(a)工程で第1の原料組成物の反応により得られ、第1の反応器内に存在する全成分の混合物をいい、具体的には、第1の原料組成物の反応により生成した化学種(後述する中間活性種1、2を含む。)と、未反応の原料成分、および第1の熱媒体の混合物をいう。また、「第2の混合物」とは、(b)工程で第2の原料組成物の反応により得られ、第2の反応器内に存在する全成分の混合物をいい、具体的には、第2の原料組成物の反応により生成した化学種(後述する中間活性種3を含む。)と、未反応の原料成分、および第2の熱媒体の混合物をいう。第1の混合物および第2の混合物については、以下でさらに詳しく説明する。
本発明の製造方法によれば、調達が容易なR22と、R40および/またはR50を原料として、これらの原料を、フッ素原子を含む化合物と、フッ素原子を含まない化合物の2つのグループに分け、それぞれのグループ毎に最適な温度条件下で所望の中間活性種を発生させた後、これらの中間活性種を反応系から取り出すことなく接触させて反応させることにより、工業的に有用なHFO−1234yfを十分に制御された状態で効率よく製造することができる。したがって、従来公知のHFO−1234yfを製造する方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを大幅に低減することができる。
また、本発明の製造方法によれば、熱媒体の存在下に反応を行わせることで高沸物の生成を大きく抑制することができ、製造(反応)条件の制御が容易であり、よって定量的なHFO−1234yfの製造が可能となり経済的なメリットが大きい。具体的には、R22と、R40および/またはR50を原料とする熱分解を伴う合成反応において、反応生成物中に占めるHFO−1234yfの割合を、反応生成物においてその含有割合が高くなりがちなVdFとの相対関係において、一定値以上とできる点で経済的に有利である。またさらに、副生物のリサイクルも可能であり、経済的な効果が大きい。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、R22を含む第1の原料組成物と、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfを製造する方法を提供する。そして、この製造方法は、以下に詳述するように、
(a)第1の反応器内に前記第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、前記第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして、第1の混合物を得る工程と、
(b)第2の反応器内に前記第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして、第2の混合物を得る工程と、
(c)第3の反応器内に、前記(a)工程で得られた第1の混合物と、前記(b)工程で得られた第2の混合物とを供給して接触させる工程とを有する。
本発明は、R22を含む第1の原料組成物と、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfを製造する方法を提供する。そして、この製造方法は、以下に詳述するように、
(a)第1の反応器内に前記第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、前記第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして、第1の混合物を得る工程と、
(b)第2の反応器内に前記第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして、第2の混合物を得る工程と、
(c)第3の反応器内に、前記(a)工程で得られた第1の混合物と、前記(b)工程で得られた第2の混合物とを供給して接触させる工程とを有する。
以下に、下記式(1)を参照しながら、本発明の製造方法が対象とする、R22と、R40および/またはR50を原料として、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfを合成する反応系を説明する。
式(1)中、枠(A)で囲まれた部分は、R22の熱分解等により生成する化学種が示される。すなわち、加熱によりR22からは、R22の脱塩化水素した、ジフルオロカルベン(中間活性種1)が生成し、該中間活性種1のホモカップリングによりTFEが生成する。また、TFEからフッ素の転移が起こることにより、トリフルオロメチルフルオロカルベン(中間活性種2)が生成すると想定される。
一方、式(1)中、枠(B)で囲まれた部分には、R40および/またはR50の熱分解反応により生成する化学種が示される。R40およびR50は、加熱によりそれぞれ塩素および水素がラジカル的に切断された、メチルラジカル(中間活性種3)を生成すると考えられる。
そして、R22から得られるジフルオロカルベン(中間活性種1)およびトリフルオロメチルフルオロカルベン(中間活性種2)と、R40および/またはR50から得られるメチルラジカル(中間活性種3)がそれぞれ結合して中間活性種4および中間活性種5を生成し、得られた各中間活性種が脱水素ラジカル反応して、HFO−1234yfおよびVdFが生成すると考えられる。上記式(1)においては、経路AはHFO−1234yfを生成する反応経路を、経路BはVdFを生成する反応経路をそれぞれ示す。
ここで、HFO−1234yfを生成する経路Aと、VdFを生成する経路Bは競合しており、経路Aを優先的に進行させることで上記式(1)に示される反応系においてHFO−1234yfを効率よく製造することが可能となる。
通常、このような熱分解反応は、原料すなわち、R22と、R40および/またはR50が一つの反応器に同時に供給されて、上に説明した各反応がほぼ同時進行で行われる。したがって、式(1)に示す反応系の中で、経路Bに比して経路Aを優先的に行わせるために反応条件を変更する方法には限界がある。特に温度条件に関しては、個々の反応をそれぞれに最適な温度に設定することができない。
そこで、本発明の製造方法においては、上記式(1)における枠(A)内の反応を(a)工程により第1の熱媒体を利用して第1の反応器内で行い、同様に枠(B)内の反応を(b)工程により第2の熱媒体を利用して第2の反応器内で行い、さらに、(c)工程において、(a)工程で第1の反応器内に得られた全成分(第1の熱媒体を含む。)を、第1の混合物として第3の反応器内に供給するとともに、(b)工程で第2の反応器内に得られた全成分(第2の熱媒体を含む。)を、第2の混合物として第3の反応器内に供給して、第3の反応器内で式(1)全体を示す枠(C)内での反応を行わせることとした。そして、(a)工程および(b)工程における温度条件をそれぞれの工程における最適な温度、すなわち上に示す温度範囲とすることで、(c)工程において、経路AによるHFO−1234yfの生成を、経路BによるVdFの生成に優先させて行うことを可能としたものである。
本発明においては、このような方法により、最終的に得られる反応生成物におけるHFO−1234yfの割合をVdFとの相対的な割合として高くできるようにした。以下、反応生成物におけるHFO−1234yfとVdFの含有割合をモル比で、HFO−1234yfのモル量/VdFのモル量として、「HFO−1234yf/VdF」と示す。後述のように、上記式(1)で示す反応系においては、得られた副生物を反応系に戻してリサイクルすれば、原料成分の利用効率が上がり、結果としてHFO−1234yfの製造効率を上げることができる。しかし、本発明者らはVdFを反応系に戻してもHFO−1234yfの生産性向上にはほとんど繋がらないことを確認した。よって、HFO−1234yf/VdFを指標として用いて、この値が高くなる製造方法が、HFO−1234yfの製造方法として経済的に優位性があるとした。
本発明の製造方法は、連続式の製造方法であっても、バッチ式の製造方法であってもよい。連続式の製造方法においては、(a)工程におけるR22を含む第1の原料組成物の第1の反応器への供給と、第1の熱媒体の第1の反応器への供給は、第1の原料組成物の温度を上記第1の温度の範囲内にできる条件で、それぞれ同時にかつ連続的に行われる。そして、このような(a)工程と、(a)工程において第1の反応器内で得られた第1の混合物の第3の反応器への供給も、連続的に行われる。また(b)工程において、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物の第2の反応器への供給と、第2の熱媒体の第2の反応器への供給は、第2の原料組成物の温度を上記第2の温度の範囲内にできる条件で、それぞれ同時にかつ連続的に行われ、このような(b)工程と、(b)工程において第2の反応器内で得られた第2の混合物の第3の反応器への供給も、連続的に行われる。
バッチ式の製造方法において、(a)工程における第1の原料組成物の供給と第1の熱媒体の供給とは、どちらが先であっても、あるいは同時であってもよい。すなわち、第1の原料組成物と第1の熱媒体のいずれか一方の供給の際に、他方が第1の反応器内に供給されていない場合でも、先に供給された第1の原料組成物または第1の熱媒体が第1の反応器内に滞留中に、後から供給される成分が供給され、第1の原料組成物と第1の熱媒体とが第1の反応器内で接触して、第1の原料組成物の温度が上記第1の温度の範囲内になればよい。また、同様に、(b)工程における第2の原料組成物の供給と第2の熱媒体の供給とは、第2の原料組成物と第2の熱媒体とが第2の反応器内で接触して、第2の原料組成物の温度が上記第2の温度の範囲内になれば、どちらが先であってもあるいは同時であってもよい。
さらに、バッチ式の製造方法では、(c)工程において、上記(a)工程で得られた第1の混合物の第3の反応器への供給と、上記(b)工程で得られた第2の混合物の第3の反応器への供給とは、どちらが先であっても、あるいは同時であってもよい。すなわち、第1の混合物と第2の混合物のいずれか一方の供給の際に、他方が第3の反応器内に供給されていない場合でも、先に供給された第1の混合物または第2の混合物が第3の反応器内に滞留中に、後から供給される混合物が供給され、第1の混合物と第2の混合物とが第3の反応器内に所定の時間滞留すればよい。
本発明の製造方法は、製造効率の点で連続式の方法であることが好ましい。以下、本発明の方法を連続式の製造に適用する実施形態について説明するが、これに限定されない。
<(a)工程>
本発明の(a)工程においては、R22を含む第1の原料組成物を、第1の反応器に供給するとともに、第1の熱媒体をこの第1の反応器に供給する。そして、第1の反応器内で第1の熱媒体を上記第1の原料組成物と接触させて、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にする。この(a)工程において、上記(1)式の枠(A)に囲まれた反応が、第1の反応器内でその他の反応とは分離して行われる。以下、枠(A)に囲まれた反応を、必要に応じて(a)工程の反応という。なお、第1の温度は、500〜850℃の範囲が好ましく、500〜800℃の範囲がさらに好ましく、400〜750℃の範囲が特に好ましい。
本発明の(a)工程においては、R22を含む第1の原料組成物を、第1の反応器に供給するとともに、第1の熱媒体をこの第1の反応器に供給する。そして、第1の反応器内で第1の熱媒体を上記第1の原料組成物と接触させて、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にする。この(a)工程において、上記(1)式の枠(A)に囲まれた反応が、第1の反応器内でその他の反応とは分離して行われる。以下、枠(A)に囲まれた反応を、必要に応じて(a)工程の反応という。なお、第1の温度は、500〜850℃の範囲が好ましく、500〜800℃の範囲がさらに好ましく、400〜750℃の範囲が特に好ましい。
R22を含む第1の原料組成物は、第1の反応器内で第1の熱媒体と接触して上記範囲の第1の温度に加熱・保持される。そして、熱分解、脱塩化水素反応およびフッ素転移により生成されるジフルオロカルベン(中間活性種1)、TFE、トリフルオロメチルフルオロカルベン(中間活性種2)および未反応原料のR22等を含む第1の反応生成物を生成すると考えられる。なお、この第1の反応生成物と第1の熱媒体との混合物が、(a)工程で得られる第1の混合物となる。
(a)工程により得られる第1の混合物においては、ジフルオロカルベン(中間活性種1)に比べてトリフルオロメチルフルオロカルベン(中間活性種2)の存在割合が高いことが好ましい。それにより、次の(c)工程において上記(1)式中の経路Aの反応が経路Bの反応に優先して進行して、HFO−1234yf/VdFの値を高める、すなわちHFO−1234yfの製造効率を高めることができる。第1の混合物において、トリフルオロメチルフルオロカルベン(中間活性種2)の存在割合を高めるための具体的な方法、条件等については、以下に説明する。
(第1の原料組成物)
(a)工程に用いる第1の原料組成物はR22を含有する。(a)工程の反応を反応工程数から勘案すると、第1の原料組成物としてR22よりも、優先してTFEを用いることが考えられる。本発明においては、調達のし易さすなわち経済性を優先して第1の原料組成物には、R22を用いている。ただし、経済的に許容される範囲であれば第1の原料組成物はTFEを含有してもよい。
(a)工程に用いる第1の原料組成物はR22を含有する。(a)工程の反応を反応工程数から勘案すると、第1の原料組成物としてR22よりも、優先してTFEを用いることが考えられる。本発明においては、調達のし易さすなわち経済性を優先して第1の原料組成物には、R22を用いている。ただし、経済的に許容される範囲であれば第1の原料組成物はTFEを含有してもよい。
さらに、第1の原料組成物は、R22以外に、第1の反応器内で第1の熱媒体との接触により分解してジフルオロカルベンやトリフルオロメチルフルオロカルベンを発生し得る化合物、例えば、ヘキサフルオロプロペン(以下、HFPという。)、トリフルオロエチレン、オクタフルオロシクロブタン(以下、RC318という。)、ヘキサフルオロプロペンオキサイド等を含有することができる。
第1の原料組成物に含有される、このような熱分解してジフルオロカルベンを発生しうる含フッ素化合物からも、(a)工程の反応においてTFEを経由してトリフルオロメチルフルオロカルベンが生成される。また、上記含フッ素化合物には、熱分解により直接トリフルオロメチルフルオロカルベンを生成するものもあり、(a)工程で該熱分解反応が生起すれば、トリフルオロメチルフルオロカルベンが生成される。そして、得られたトリフルオロメチルフルオロカルベンが、後述する(c)工程で、(b)工程で生成されたメチルラジカルと反応し、最終的にHFO−1234yfが生成される。
第1の原料組成物に、このような反応器内で熱分解してジフルオロカルベンやトリフルオロメチルフルオロカルベンを発生しうる含フッ素化合物(以下、カルベン源となる含フッ素化合物という。)を用いる場合には、このような含フッ素化合物を新たに用意してもよいが、本発明の製造方法で熱分解反応により副生される含フッ素化合物、例えば、HFP、RC318、トリフルオロエチレン等から選ばれる1種または2種以上を用いることが、リサイクルの観点から好ましい。これらの中でも、RC318が特に好ましい。さらに、第1の混合物が含有するTEEを未反応のR22とともに、(c)工程終了後に回収して第1の原料組成物に用いることが可能であり、リサイクルの観点から特に好ましい。
ここで、第1の原料組成物として、R22に加えて上記のようにリサイクルされるTFEやその他のカルベン源となる含フッ素化合物を用いた場合には、第1の原料組成物におけるR22とそれ以外の含フッ素化合物の含有割合については、特に制限されない。(a)工程の反応で得られる第1の混合物におけるジフルオロカルベンとトリフルオロメチルフルオロカルベンの含有割合は、用いる含フッ素化合物の種類によらず、主として(a)工程が実行される第1の温度により制御されると考えられる。
なお、R22を含む第1の原料組成物および第1の熱媒体を、第1の反応器内を連続的に流通させて反応を行わせる本実施形態において、原料各成分および熱媒体の供給量は、単位時間当たりの供給量を示すものとする。(b)工程および(c)工程における各成分、熱媒体等の供給量についても同様である。
第1の反応器に供給する第1の原料組成物の温度は、反応性がある程度高いがカーボン化はしにくい温度とするという観点から、0〜600℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、第1の原料組成物は、第1の反応器に導入する前に、常温(25℃)以上500℃以下に予熱(プレヒート)することが好ましく、100〜500℃に予熱(プレヒート)することがより好ましい。
ただし、第1の反応器に供給する上記各成分の温度はそれぞれ、上記第1の温度以下に設定される。
ただし、第1の反応器に供給する上記各成分の温度はそれぞれ、上記第1の温度以下に設定される。
R22とさらに必要に応じて用いられるその他のカルベン源となる含フッ素化合物やTFEの第1の反応器への供給は、別々であってもよいし、2種以上の成分を混合してから供給してもよい。2種以上の成分を混合してから供給する場合には、予熱の効率の観点から、混合したものを所定の温度に予熱した後、供給することが好ましい。その場合の予熱温度についても上記と同様の温度とすることができる。
(第1の熱媒体)
(a)工程においては、第1の反応器内で上記第1の原料組成物と接触して、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして上記第1の反応生成物とするように、第1の熱媒体が第1の反応器に供給される。
第1の反応器に供給される第1の熱媒体の温度は、第1の反応器内で上記第1の原料組成物と接触してから第3の反応器に供給されるまでの間、得られる第1の反応生成物と第1の熱媒体との混合物、すなわち第1の混合物を第1の温度に保持できる温度である。したがって、第1の反応器に供給される第1の熱媒体の温度は、必ずしも上記第1の温度と同じである必要はなく、第1の原料組成物の温度等に合わせて適宜調整される。
(a)工程においては、第1の反応器内で上記第1の原料組成物と接触して、第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして上記第1の反応生成物とするように、第1の熱媒体が第1の反応器に供給される。
第1の反応器に供給される第1の熱媒体の温度は、第1の反応器内で上記第1の原料組成物と接触してから第3の反応器に供給されるまでの間、得られる第1の反応生成物と第1の熱媒体との混合物、すなわち第1の混合物を第1の温度に保持できる温度である。したがって、第1の反応器に供給される第1の熱媒体の温度は、必ずしも上記第1の温度と同じである必要はなく、第1の原料組成物の温度等に合わせて適宜調整される。
第1の熱媒体は、第1の反応器内の温度で熱分解が生じないことはもとより、(c)工程で接触する(b)工程で得られる混合物の温度、具体的には後述の第2の温度、または、(c)工程における反応が第1の温度および第2の温度より高い温度で行われる場合には、該温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には200〜1300℃の温度で熱分解しない媒体であるのが好ましい。第1の熱媒体としては、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体が挙げられ、水蒸気を50体積%以上含み、残部が窒素および/または二酸化炭素である気体の使用が好ましい。上記(a)工程の反応において生成するHClを塩酸にして除くために、第1の熱媒体における水蒸気の含有割合は50体積%以上が好ましく、実質的に水蒸気のみ(100体積%)からなる気体の使用が特に好ましい。
第1の反応器への第1の熱媒体の供給量は、この熱媒体と第1の原料組成物の供給量の合計に対して20〜98体積%の割合が好ましく、50〜95体積%がより好ましい。第1の熱媒体および第1の原料組成物の供給量の合計に対する第1の熱媒体の供給量の割合を20体積%以上とすることで、高沸物の生成や原料のカーボン化を抑制しながら上記(a)工程の反応を進行させることができる。すなわち、R22からジフルオロカルベンおよびTFEを経て、トリフルオロメチルフルオロカルベンを生成する反応を、効率よくかつ安定して実行できる。また、(a)工程の反応において、ジフルオロカルベンとTFEの間の結合・分解反応、TFEとトリフルオロメチルフルオロカルベンのフッ素転移は相互に生起する可逆反応であり、平衡状態が安定化していることが好ましい。第1の熱媒体を20体積%以上とすることで、(a)工程の反応後の該平衡状態も安定に維持される。そして、これにより後述の(c)工程における反応を十分に制御された状態で行うことができ、HFO−1234yfを効率よく製造できる。また、上記割合が98体積%を超えると、生産性が著しく低下するため、工業的に現実的でない。
このように第1の反応器に供給される第1の熱媒体と、R22を含む第1の原料組成物とが接触してから、(c)工程で、(a)工程で得られた第1の混合物が第3の反応器に供給されるまでの時間(以下、第1の滞留時間という。)は、0.01〜10秒間とするのが好ましく、0.1〜3.0秒間とするのがより好ましい。第1の滞留時間を0.01〜10秒間とすることで、上記(a)工程の反応を十分に進行させることができる。なお、この第1の滞留時間は、第1の原料組成物の第1の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
(第1の反応器)
第1の反応器としては、以下の第1の反応器内の温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第1の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
第1の反応器としては、以下の第1の反応器内の温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第1の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
(a)工程における第1の反応器内の温度は、この反応器内で上記第1の原料組成物が0〜850℃の範囲の第1の温度とされ、得られる第1の混合物が該第1の温度に保持される温度(以下、第1の器内温度)とする。このような第1の器内温度は、上記第1の温度でもある。すなわち、第1の反応器内の温度を0〜850℃の範囲の第1の器内温度とすることで、第1の原料組成物が0〜850℃の範囲の第1の温度となって、上記第1の反応生成物を得ることができる。
第1の反応器内の温度は、第1の反応器に供給される上記第1の熱媒体の温度および圧力を調整することで制御することができる。このような第1の反応器内の温度が、上記第1の器内温度となるように、電気ヒータ等により第1の反応器内を補助的に加熱することもできる。なお、上記第1の器内温度は、500〜850℃の範囲が好ましく、500〜800℃の範囲がさらに好ましく、400〜750℃の範囲が特に好ましい。
第1の反応器内の温度を上記第1の器内温度とすることで、上記(a)工程の反応において、R22からジフルオロカルベンを経て生成されるTFEを十分に高い収率で製造できる。さらに、得られる第1の混合物におけるジフルオロカルベンとTFEとトリフルオロメチルフルオロカルベンの3者の平衡状態において、トリフルオロメチルフルオロカルベンの存在割合を高く維持することが可能となる。このようにして上記(a)工程の反応において得られる第1の混合物におけるトリフルオロメチルフルオロカルベンの存在割合を高くできれば、次いで行われる(c)工程において、VdFに比べてHFO−1234yfが効率的に製造できる。
第1の反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。
<(b)工程>
本発明の(b)工程においては、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物を、第2の反応器に供給するとともに、第2の熱媒体をこの第2の反応器に供給する。そして、第2の反応器内で第2の熱媒体を上記第2の原料組成物と接触させて、第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にする。この(b)工程において、上記(1)式内の枠(B)に囲まれた反応が、第2の反応器内で分離して行われる。以下、枠(B)に囲まれた反応を、必要に応じて(b)工程の反応という。
第2の温度は、700〜900℃の範囲が好ましく、760〜900℃の範囲がさらに好ましい。なお、この第2の温度は、上記(a)工程での第1の原料組成物の温度である第1の温度より高いことが好ましい。
本発明の(b)工程においては、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物を、第2の反応器に供給するとともに、第2の熱媒体をこの第2の反応器に供給する。そして、第2の反応器内で第2の熱媒体を上記第2の原料組成物と接触させて、第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にする。この(b)工程において、上記(1)式内の枠(B)に囲まれた反応が、第2の反応器内で分離して行われる。以下、枠(B)に囲まれた反応を、必要に応じて(b)工程の反応という。
第2の温度は、700〜900℃の範囲が好ましく、760〜900℃の範囲がさらに好ましい。なお、この第2の温度は、上記(a)工程での第1の原料組成物の温度である第1の温度より高いことが好ましい。
R40および/またはR50を含む第2の原料組成物は、第2の反応器内で第2の熱媒体との接触により、600〜900℃の範囲の第2の温度に加熱・保持される。そして、R40および/またはR50の熱分解、脱塩素反応または脱水素反応により生成されるメチルラジカル(中間活性種3)、および未反応原料であるR40および/またはR50を含む第2の反応生成物を生成すると考えられる。なお、この第2の反応生成物と第2の熱媒体との混合物が、(b)工程で得られる第2の混合物となる。
(第2の原料組成物)
(b)工程に用いる第2の原料組成物は、R40とR50の少なくとも一方を含み、R40の単独使用、R50の単独使用、もしくはR40とR50との混合物の使用の各態様を有する。
(b)工程に用いる第2の原料組成物は、R40とR50の少なくとも一方を含み、R40の単独使用、R50の単独使用、もしくはR40とR50との混合物の使用の各態様を有する。
また、(b)工程におけるR40および/またはR50の第2の反応器への供給量と、上記(a)工程におけるR22の第1の反応器への供給量とのモル比(以下、(R40+R50)/R22と示す。)は、0.01〜5の範囲が好ましい。0.1〜3の範囲がより好ましく、0.1〜1.5の範囲が特に好ましい。(R40+R50)/R22を0.01〜5とすることで、R40および/またはR50の転化率を上げ、HFO−1234yfを効率よく製造することができる。
第2の反応器に供給するR40および/またはR50の温度は、反応性の観点から0〜1200℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、R40および/またはR50を第2の反応器に導入する前に、常温(25℃)以上1200℃以下に予熱(プレヒート)するのが好ましく、100〜800℃に予熱するのがより好ましい。ただし、第2の反応器に供給する上記各成分の温度はそれぞれ、上記第2の温度以下に設定される。また、R40とR50をともに使用する場合、これらの第2の反応器への供給は、別々であってもよいし混合してから供給してもよい。
(第2の熱媒体)
(b)工程においては、第2の反応器内で上記第2の原料組成物と接触して、第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして上記第2の反応生成物とするように、第2の熱媒体が第2の反応器に供給される。
第2の反応器に供給される第2の熱媒体の温度は、第2の反応器内で第2の原料組成物と接触してから第3の反応器に供給されるまでの間、得られる第2の反応生成物と第2の熱媒体との混合物、すなわち第2の混合物を第2の温度に保持できる温度である。したがって、第2の反応器に供給される第2の熱媒体の温度は、必ずしも上記第2の温度と同じである必要はなく、第2の原料組成物の温度等に合わせて適宜調整される。
(b)工程においては、第2の反応器内で上記第2の原料組成物と接触して、第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして上記第2の反応生成物とするように、第2の熱媒体が第2の反応器に供給される。
第2の反応器に供給される第2の熱媒体の温度は、第2の反応器内で第2の原料組成物と接触してから第3の反応器に供給されるまでの間、得られる第2の反応生成物と第2の熱媒体との混合物、すなわち第2の混合物を第2の温度に保持できる温度である。したがって、第2の反応器に供給される第2の熱媒体の温度は、必ずしも上記第2の温度と同じである必要はなく、第2の原料組成物の温度等に合わせて適宜調整される。
第2の熱媒体は、上記第2の温度で熱分解が生じないことはもとより、(c)工程で接触する、(a)工程で得られる第1の混合物の温度、具体的には上記した第1の温度、または、(c)工程において反応が行われる温度が第1の温度および第2の温度より高い温度である場合には、該温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には200〜1300℃の温度で熱分解しない媒体であるのが好ましい。第2の熱媒体としては、上記第1の熱媒体と同様な気体が挙げられる。実質的に水蒸気のみ(100体積%)からなる気体の使用が特に好ましい。また、第1の熱媒体と第2の熱媒体とは、供給温度のみが異なる同種の気体であることが好ましい。
第2の反応器への第2の熱媒体の供給量は、この熱媒体と第2の原料組成物の供給量の合計に対して20〜98体積%の割合が好ましく、50〜95体積%がより好ましい。第2の熱媒体および第2の原料組成物の供給量の合計に対する第2の熱媒体の供給量の割合を、20体積%以上とすることで、高沸物の生成や原料のカーボン化を抑制しながら上記(b)工程の反応を進行させてメチルラジカルを安定して生成することができる。そして、これにより後述の(c)工程における反応を十分に制御された状態で行うことができ、HFO−1234yfを効率よく製造できる。また、上記割合が98体積%を超えると、生産性が著しく低下するため、工業的に現実的でない。
このように第2の反応器に供給される第2の熱媒体と、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物とが接触してから、(c)工程で、(b)工程で得られた第2の混合物が第3の反応器に供給されるまでの時間(以下、第2の滞留時間という。)は、0.001〜10秒間とするのが好ましく、0.05〜3.0秒間とするのがより好ましい。第2の滞留時間を0.001〜10秒間とすることで、メチルラジカルの生成反応を十分に進行させることができる。なお、第2の滞留時間は、第2の原料組成物の第2の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
(第2の反応器)
第2の反応器としては、以下の第2の反応器内の温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第2の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
第2の反応器としては、以下の第2の反応器内の温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第2の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
(b)工程における第2の反応器内の温度は、この反応器内で上記第2の原料組成物が600〜900℃の範囲の第2の温度とされ、得られる第2の混合物が該第2の温度に保持される温度(以下、第2の器内温度)とする。このような第2の器内温度は、上記第2の温度でもある。すなわち、第2の反応器内の温度を600〜900℃の範囲の第2の器内温度とすることで、第2の原料組成物が600〜900℃の範囲の第2の温度となって、上記第2の反応生成物を得ることができる。
第2の反応器内の温度は、第2の反応器に供給される上記第2の熱媒体の温度および圧力を調整することで制御することができる。このような第2の反応器内の温度が、上記第2の器内温度となるように、電気ヒータ等により第2の反応器内を補助的に加熱することもできる。なお、上記第2の器内温度は、700〜900℃の範囲が好ましく、760〜900℃の範囲がさらに好ましい。
第2の反応器内の温度を上記第2の器内温度とすることで、上記式(1)で示される反応系のうちの(b)工程の反応において、脱塩素反応または脱水素反応の反応率を高め、メチルラジカルを十分に高い収率で得ることができる。
第2の反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。
<(c)工程>
本発明の(c)工程においては、前記(a)工程で得られた前記第1の混合物と、前記(b)工程で得られた前記第2の混合物とを、第3の反応器に供給し、第3の反応器内で接触させて第3の温度にする。この(c)工程により、上記式(1)全体を示す枠(C)内の反応が行われる。すなわち、この(c)工程により、枠(A)内のジフルオロカルベンおよびトリフルオロメチルフルオロカルベンと、枠(B)内のメチルラジカルとが、それぞれ経路Bおよび経路Aで示されるように反応して、VdFおよびHFO−1234yfが生成する。
本発明の(c)工程においては、前記(a)工程で得られた前記第1の混合物と、前記(b)工程で得られた前記第2の混合物とを、第3の反応器に供給し、第3の反応器内で接触させて第3の温度にする。この(c)工程により、上記式(1)全体を示す枠(C)内の反応が行われる。すなわち、この(c)工程により、枠(A)内のジフルオロカルベンおよびトリフルオロメチルフルオロカルベンと、枠(B)内のメチルラジカルとが、それぞれ経路Bおよび経路Aで示されるように反応して、VdFおよびHFO−1234yfが生成する。
ここで、(a)工程で得られた第1の混合物は、式(1)における枠(A)内の化合物と中間活性種、すなわち、R22、TFE、ジフルオロカルベン、トリフルオロメチルフルオロカルベン、および第1の熱媒体を含み、上記のとおりトリフルオロメチルフルオロカルベンの存在割合が高い状態で平衡となるように第1の温度に調整された混合物である。なお、第1の原料組成物が、TFE以外のカルベン源となる含フッ素化合物を含む場合には、第1の混合物は、上記に加えて該含フッ素化合物自体やその熱分解生成物を含有するが、上記同様に第1の温度の範囲内でトリフルオロメチルフルオロカルベンの存在割合が高い状態で平衡となるように調整されている。
また、(b)工程で得られた第2の混合物は、式(1)における枠(B)内の化合物と中間活性種、すなわち、R40および/またはR50、メチルラジカル、および第2の熱媒体を含み、メチルラジカルが多く生成する条件の第2の温度に調整された混合物である。
また、(b)工程で得られた第2の混合物は、式(1)における枠(B)内の化合物と中間活性種、すなわち、R40および/またはR50、メチルラジカル、および第2の熱媒体を含み、メチルラジカルが多く生成する条件の第2の温度に調整された混合物である。
本発明の製造方法においては、このようにして、それぞれに最適の温度条件に調整された混合物同士を、(c)工程において第3の反応器内で接触させることで、上記枠(C)内の経路Bによる反応に比して経路Aによる反応を優先的に生起させ、HFO−1234yfを効率よく生成させる。なお、(a)工程で得られた第1の混合物と、(b)工程で得られた第2の混合物とは、それぞれの反応器内に存在するもの全てがそのまま第3の反応器に供給される。
(c)工程における第3の温度は、加温しない限りは、第3の反応器に供給される第1の温度に保持された第1の混合物と、第2の温度に保持された第2の混合物との供給量の割合により制御される。ここで、第3の反応器に供給される第1の混合物と第2の混合物の供給量の割合は、上記(R40+R50)/R22として好ましい範囲が規定されているため、第3の温度を制御するための自由度は小さい。第3の反応器を制御するためには、例えば、第3の反応器に第3の熱媒体を供給する方法をとってもよく、電気ヒータ等で加温する方法をとってもよい。
なお、第3の温度は、反応性の観点から、600〜1200℃とすることが好ましく、600〜900℃の範囲がさらに好ましい。第3の温度を600〜1200℃とすることで、上記枠(C)内の経路Bによる反応に比して経路Aによる反応を優先的に生起させることができ、それにより、HFO−1234yf/VdFの値を高める、すなわちHFO−1234yfの製造効率を高めることができる。
(c)工程で、第1の混合物と第2の混合物が接触してから第3の反応器外から導出されるまでの時間、すなわち供給された第1の混合物と第2の混合物とが、第3の反応器内で接触してから、この反応器内に留まり、上記第3の温度に保持されている時間(以下、第3の滞留時間という。)は、0.01〜10秒間とするのが好ましく、0.2〜3.0秒間とするのがより好ましい。第3の滞留時間を0.01〜10秒間とすることで、経路Bによる反応に比して経路Aによる反応を優先的に生起させることができ、それによりHFO−1234yfを効率よく生成できる。
なお、上記第3の滞留時間は、第1の混合物および第2の混合物の第3の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
なお、上記第3の滞留時間は、第1の混合物および第2の混合物の第3の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
(第3の反応器)
第3の反応器としては、上記第3の温度および以下の圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第3の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
第3の反応器としては、上記第3の温度および以下の圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば、円筒状の縦型反応器が挙げられる。第3の反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
第3の反応器内の温度を制御する方法は上記のとおりである。第3の反応器内の温度を制御する方法としては、電気ヒータ等により加熱する方法が好ましい。
第3の反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。
第3の反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。
<反応装置>
本発明において、HFO−1234yfの製造に使用される反応装置の一例を、図1に示す。
この反応装置20は、いずれも電気ヒータ等の加熱手段を備えた第1の反応器1と第2の反応器2および第3の反応器3を備える。なお、これらの反応器における加熱手段の設置は必須ではない。
本発明において、HFO−1234yfの製造に使用される反応装置の一例を、図1に示す。
この反応装置20は、いずれも電気ヒータ等の加熱手段を備えた第1の反応器1と第2の反応器2および第3の反応器3を備える。なお、これらの反応器における加熱手段の設置は必須ではない。
第1の反応器1には、R22を含む第1の原料組成物の供給ライン4と第1の熱媒体としての水蒸気の供給ライン5が接続されており、第2の反応器2には、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物の供給ライン6と第2の熱媒体としての水蒸気の供給ライン7が接続されている。第1の原料組成物の供給ライン4および第2の原料組成物の供給ライン6には、それぞれ電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)4a、6aが設置されており、供給される各原料組成物が所定の温度に予熱されてから第1の反応器1および第2の反応器2に供給される。また、第1の水蒸気の供給ライン5および第2の水蒸気の供給ライン7には、それぞれ過熱水蒸気発生器5a、7aが設置されており、過熱水蒸気と混合されることで、第1の水蒸気および第2の水蒸気の温度および圧力がそれぞれ所定の値に調整された後、供給される。なお、過熱水蒸気発生器5a、7aは、電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)でもよい。また、第1の原料組成物の供給ライン4および第2の原料組成物の供給ライン6における予熱器(プレヒータ)4a、6aの設置は、必須ではない。
第1の原料組成物がR22以外にカルベン源となる含フッ素化合物を含む場合、図1に示すように、第1の反応器1に接続される第1の原料組成物の供給ライン4を1本とし、R22と上記カルベン源となる含フッ素化合物の混合物が予熱器4aを経て第1の反応器1に供給されるようにしてもよいが、R22の供給ラインと上記カルベン源となる含フッ素化合物の供給ラインとを別々に設け、それぞれの供給ラインが別々に設置された予熱器を経て、第1の反応器1に接続されるようにしてもよい。
また、第2の原料組成物がR40とR50の両方の原料成分を含有する場合、図1に示すように、第2の原料組成物の供給ライン6を1本とし、R40とR50の混合物が予熱器6aを経て第2の反応器2に供給されるようにしてもよいが、R40の供給ラインとR50の供給ラインとを別々に設け、それぞれの供給ラインが別々に設置された予熱器を経て、第2の反応器2に接続されるようにしてもよい。
第1の反応器1の出口には、第1の反応器1内で生成したTFE、ジフルオロカルベン、トリフルオロメチルフルオロカルベン等、および未反応の第1の原料組成物を含む第1の反応生成物と第1の熱媒体からなる第1の混合物の供給ライン8が接続されている。また、第2の反応器2の出口には、第2の反応器2内で生成したメチルラジカルおよび未反応の第2の原料組成物を含む第2の反応生成物と第2の熱媒体からなる第2の混合物の供給ライン9が接続されている。第1の混合物の供給ライン8の他端部、および第2の混合物の供給ライン9の他端部は、いずれも第3の反応器3に接続されている。
第3の反応器3の出口には、熱交換器のような冷却手段10が設置された出口ライン11が接続されている。出口ライン11には、さらに、蒸気および酸性液回収槽12、アルカリ洗浄装置13および脱水塔14が順に設置されている。そして、脱水塔14により脱水された後、出口ガスの各成分がガスクロマトグラフィ(GC)のような分析装置により分析・定量されるようになっている。
<出口ガス成分>
本発明の製造方法においては、HFO−1234yfを上記出口ガスの成分として得ることができる。出口ガスに含有されるHFO−1234yfおよび未反応原料成分(R22を含む第1の原料組成物、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物)以外の化合物としては、第1の反応生成物に含まれるTFEの他に、エチレン、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、RC318、VdF、3,3,3−トリフルオロプロペン(CF3CH=CH2:HFO−1243zf)等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、HFO−1234yfを上記出口ガスの成分として得ることができる。出口ガスに含有されるHFO−1234yfおよび未反応原料成分(R22を含む第1の原料組成物、R40および/またはR50を含む第2の原料組成物)以外の化合物としては、第1の反応生成物に含まれるTFEの他に、エチレン、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、RC318、VdF、3,3,3−トリフルオロプロペン(CF3CH=CH2:HFO−1243zf)等が挙げられる。
これら出口ガスに含有される成分のうちで、メチレン基(=CH2)またはメチル基(−CH3)を有するエチレン等は、原料成分のR40やR50等の第2の原料組成物に由来する化合物であり、フルオロ基(−F)を有するTFE、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、RC318、HFO−1243zf等、さらにはHFO−1234yfおよびVdFは、いずれも原料成分のうちのR22等の第1の原料組成物に由来する化合物である。なお、HFO−1234yfおよびVdFは、上記式(1)に示すとおり、第1の原料組成物に由来する化合物であるとともに、第2の原料組成物に由来する化合物である。また、上記HFO−1243zfも同様に両原料組成物に由来する化合物である。
出口ガスに含まれるHFO−1234yf以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。そして、分離されたR22、TFE、R40やR50は、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。また、HFP、トリフルオロエチレン、およびRC318も、カルベン源となる含フッ素化合物であり、第1の原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。特にRC318はカルベン源となる含フッ素化合物として好適である。VdFについては上記反応条件においては殆どカルベン源として機能しないため、分離回収されることが好ましい。
また、分離回収して得られるVdF、HFP、CTFE等は、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、FEP(TFE−HFP共重合体)、VdF−HFP共重合体、PCTFE(CTFE重合体)、ECTFE(エチレン−CTFE共重合体)等のフッ素樹脂の原料として使用することもできる。
本発明の製造方法においては、調達が容易なR22、およびR40とR50の少なくとも一方を原料とし、各原料成分を2つのグループに分けそれぞれのグループ毎に最適な温度条件の下で分解等の反応をさせて、それぞれ中間活性種を発生させた後、これらの中間活性種を反応系から取り出すことなく反応させることにより、地球温暖化係数(GWP)が4と小さい、新冷媒として有用なHFO−1234yfを効率よく製造することができる。したがって、本発明の製造方法は、例えば、HCFC−225caを原料としてCFO−1214yaを経由してHFO−1234yfを製造する、多段階反応が必要な方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを低減することができるばかりでなく、製造に必要なエネルギーを圧倒的に低減することができる。
また、本発明の製造方法では、(a)工程および(b)工程において、原料成分の2つのグループをグループ毎に最適な温度条件の下で加熱・分解する際に、熱媒体を用いているので、製造(反応)条件の制御、特に温度条件の制御が容易であり、高沸物の生成や原料のカーボン化による反応器の閉塞等のリスクがほとんどない。これにより、(c)工程には、安定した平衡状態で原料成分と中間活性種を含む反応生成物が熱媒体とともに供給され、上記式(1)において経路Aの反応が経路Bの反応に優先して生起し、HFO−1234yf/VdFが高められ、安定して定量的なHFO−1234yfの製造が可能となる。またさらに、副生物として得られるTFEやカルベン源となる含フッ素化合物をリサイクルして原料成分として使用することも可能であり、特に経済的な効果が大きい。
特に、R22とR40を原料とする熱分解を伴う合成反応において、反応生成物中に占めるHFO−1234yfの割合を、反応生成物においてその含有割合が高くなりがちなVdFとの相対関係において高くすることができる点で経済的に有利である。
またさらに、本発明の製造方法は、R22とR40および/またはR50を一括して反応器に供給し、この反応器内で熱媒体と所定の時間接触させてHFO−1234yfを製造する方法に比べて、HFO−1234yfの生成量をVdFの生成量との比較において増大して、HFO−1234yf/VdFを高めることができるという利点がある。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例1〜例4は実施例であり、例5は比較例である。
[例1]
図1に示す反応装置を用い、R22からなる第1の原料ガスとR40からなる第2の原料ガスから、以下に示すようにして粗HFO−1234yfを得た。
図1に示す反応装置を用い、R22からなる第1の原料ガスとR40からなる第2の原料ガスから、以下に示すようにして粗HFO−1234yfを得た。
(a)工程
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、第1の原料ガスとしてのR22を300℃にプレヒートした。
プレヒートされたR22と、炉内温度750℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、体積比が、水蒸気/R22=90/10(ガス全体(R22+水蒸気)の供給量に対する水蒸気の供給量の体積比は、90/(10+90)=0.9(90%)である。)となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温750℃に管理された第1の反応器(以下、反応器Aと示す。)に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、第1の原料ガスとしてのR22を300℃にプレヒートした。
プレヒートされたR22と、炉内温度750℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、体積比が、水蒸気/R22=90/10(ガス全体(R22+水蒸気)の供給量に対する水蒸気の供給量の体積比は、90/(10+90)=0.9(90%)である。)となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温750℃に管理された第1の反応器(以下、反応器Aと示す。)に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
反応器A内のガス(水蒸気およびR22)の滞留時間が0.25秒間となるように、水蒸気およびR22の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Aの出口ガス(R22、ジフルオロカルベン、TFE、トリフルオロメチルフルオロカルベンおよび水蒸気等からなる第1の混合物、以下、「第1の混合物」という。)を内温850℃に管理された第3の反応器(以下、反応器Cと示す。)に導入した。第1の混合物の温度(第1の温度)は750℃であった。
(b)工程
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、第2の原料ガスとしてのR40を300℃に加熱(プレヒート)した。プレヒートされたR40と、炉内温度800℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、水蒸気/R40=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温800℃に管理された第2の反応器(以下、反応器Bと示す。)に供給した。反応器B内のガス(水蒸気およびR40)の滞留時間が1.65秒間となるように、R40および水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Bの出口ガス(R40、メチルラジカルおよび水蒸気等からなる第2の混合物、以下、「第2の混合物」という。)を内温850℃に管理された反応器Cに導入した。第2の混合物の温度(第2の温度)は800℃であった。
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、第2の原料ガスとしてのR40を300℃に加熱(プレヒート)した。プレヒートされたR40と、炉内温度800℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、水蒸気/R40=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温800℃に管理された第2の反応器(以下、反応器Bと示す。)に供給した。反応器B内のガス(水蒸気およびR40)の滞留時間が1.65秒間となるように、R40および水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Bの出口ガス(R40、メチルラジカルおよび水蒸気等からなる第2の混合物、以下、「第2の混合物」という。)を内温850℃に管理された反応器Cに導入した。第2の混合物の温度(第2の温度)は800℃であった。
(c)工程
反応器Cにおいて、上記反応器Aから供給された第1の混合物と上記反応器Bから供給された第2の混合物を接触させた。
ここで、反応器Bに供給したR40と反応器Aに供給したR22のモル比は、R40/R22=83.3/16.7=5.0であった。
なお、反応器Cに供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量、すなわち反応器AへのR22の供給量と、反応器BへのR40の供給量との合計に対する、反応器Aおよび反応器Bへの水蒸気の供給量の合計の体積比は、水蒸気/(R40+R22)=90/10となる。すなわち、R40とR22と水蒸気との体積比は、R40/R22/水蒸気=8.3/1.7/90となる。
反応器Cにおいて、上記反応器Aから供給された第1の混合物と上記反応器Bから供給された第2の混合物を接触させた。
ここで、反応器Bに供給したR40と反応器Aに供給したR22のモル比は、R40/R22=83.3/16.7=5.0であった。
なお、反応器Cに供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量、すなわち反応器AへのR22の供給量と、反応器BへのR40の供給量との合計に対する、反応器Aおよび反応器Bへの水蒸気の供給量の合計の体積比は、水蒸気/(R40+R22)=90/10となる。すなわち、R40とR22と水蒸気との体積比は、R40/R22/水蒸気=8.3/1.7/90となる。
こうして、反応器C内の混合ガスの滞留時間が1.0秒間となるように、反応器Aおよび反応器Bに供給する原料ガスと水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Cの出口より出口ガスを取り出した。反応器内温度の実測値(第3の温度)は850℃であり、反応器C内圧力(ゲージ圧)の実測値は0.042MPaであった。
なお、反応器Cの出口より取り出された出口ガスには、反応により生成または副生したガスの他に、未反応の原料ガスも含まれるが、以下の記載では出口ガスを生成ガスということもある。
次いで、反応器Cの出口より取り出した出口ガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液の回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算した。これらの結果を、反応の条件とともに表1に示す。
なお、R40、R22のプレヒート温度は、プレヒート用の各電気炉における設定温度であり、水蒸気温度は、水蒸気加熱用の電気炉における設定温度である。また、水蒸気圧力は設定圧力である。
なお、R40、R22のプレヒート温度は、プレヒート用の各電気炉における設定温度であり、水蒸気温度は、水蒸気加熱用の電気炉における設定温度である。また、水蒸気圧力は設定圧力である。
また、ガスクロマトグラフィでの分析で得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40および/またはR50の転化率(反応率)、R22の転化率(反応率)、R22由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとVdFとのモル比(HFO−1234yf/VdF)をそれぞれ求めた。これらの結果を表1の下欄に示す。
なお、上記値は、それぞれ以下のことを意味するものである。
(R40および/またはR50転化率(反応率))
出口ガス中のR40および/またはR50由来成分のうちで、R40および/またはR50の占める割合(R40および/またはR50収率)がX%であるとき、(100−X)%をR40および/またはR50の転化率(反応率)という。反応したR40および/またはR50の割合(モル%)を意味する。
(R40および/またはR50転化率(反応率))
出口ガス中のR40および/またはR50由来成分のうちで、R40および/またはR50の占める割合(R40および/またはR50収率)がX%であるとき、(100−X)%をR40および/またはR50の転化率(反応率)という。反応したR40および/またはR50の割合(モル%)を意味する。
(R22転化率(反応率))
出口ガス中のR22由来成分のうちで、R22の占める割合(R22収率)がX%であるとき、(100−X)%をR22の転化率(反応率)という。反応したR22の割合(モル%)を意味する。
(R22由来の各成分の収率)
出口ガス中のR22由来成分のうちのR22以外の各化合物の占める割合(モル%)。
(R22由来の各成分の選択率)
反応したR22のうちで、R22以外の各成分に転化したのは各々何%かをいう。各成分の選択率は、「R22由来の各成分の収率」/「R22の転化率(反応率)」で求められる。
出口ガス中のR22由来成分のうちで、R22の占める割合(R22収率)がX%であるとき、(100−X)%をR22の転化率(反応率)という。反応したR22の割合(モル%)を意味する。
(R22由来の各成分の収率)
出口ガス中のR22由来成分のうちのR22以外の各化合物の占める割合(モル%)。
(R22由来の各成分の選択率)
反応したR22のうちで、R22以外の各成分に転化したのは各々何%かをいう。各成分の選択率は、「R22由来の各成分の収率」/「R22の転化率(反応率)」で求められる。
(HFO−1234yf/VdF)
出口ガス中のVdFに対するHFO−1234yfの割合(モル比)である。
「出口ガス中のHFO−1234yfのモル%」/「出口ガス中のVdFのモル%」で求められる。出口ガス中にHFO−1234yfがVdFに対してどのくらいの割合(モル比)で存在しているかを表す。
出口ガス中のVdFに対するHFO−1234yfの割合(モル比)である。
「出口ガス中のHFO−1234yfのモル%」/「出口ガス中のVdFのモル%」で求められる。出口ガス中にHFO−1234yfがVdFに対してどのくらいの割合(モル比)で存在しているかを表す。
[例2]
(a)工程
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、第1の原料ガスとしてのR22を300℃にプレヒートした。
プレヒートされたR22と、炉内温度500℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、体積比が、水蒸気/R22=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温500℃に管理された反応器Aに供給した。
(a)工程
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、第1の原料ガスとしてのR22を300℃にプレヒートした。
プレヒートされたR22と、炉内温度500℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、体積比が、水蒸気/R22=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温500℃に管理された反応器Aに供給した。
反応器A内のガス(水蒸気およびR22)の滞留時間が0.25秒間となるように、水蒸気およびR22の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Aの出口ガス(R22、ジフルオロカルベン、TFE、トリフルオロメチルフルオロカルベンおよび水蒸気等からなる第1の混合物)を内温800℃に管理された反応器Cに導入した。第1の混合物の温度(第1の温度)は500℃であった。
(b)工程
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、第2の原料ガスとしてのR40を300℃に加熱(プレヒート)した。プレヒートされたR40と、炉内温度800℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、水蒸気/R40=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温(第2の温度)800℃に管理された反応器Bに供給した。反応器B内のガス(水蒸気およびR40)の滞留時間が1.65秒間となるように、R40および水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Bの出口ガス(R40、メチルラジカルおよび水蒸気等からなる第2の混合物)を内温800℃に管理された反応器Cに導入した。第2の混合物の温度(第2の温度)は800℃であった。
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、第2の原料ガスとしてのR40を300℃に加熱(プレヒート)した。プレヒートされたR40と、炉内温度800℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、水蒸気/R40=90/10となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温(第2の温度)800℃に管理された反応器Bに供給した。反応器B内のガス(水蒸気およびR40)の滞留時間が1.65秒間となるように、R40および水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Bの出口ガス(R40、メチルラジカルおよび水蒸気等からなる第2の混合物)を内温800℃に管理された反応器Cに導入した。第2の混合物の温度(第2の温度)は800℃であった。
(c)工程
反応器Cにおいて、上記反応器Aから供給された第1の混合物と上記反応器Bから供給された第2の混合物を接触させた。
ここで、反応器Bに供給したR40と反応器Aに供給したR22のモル比は、R40/R22=33/67=0.5であった。
なお、反応器Cに供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量、すなわち反応器AへのR22の供給量と、反応器BへのR40の供給量との合計に対する、反応器Aおよび反応器Bへの水蒸気の供給量の合計の体積比は、水蒸気/(R40+R22)=90/10となる。すなわち、R40とR22と水蒸気との体積比は、R40/R22/水蒸気=3.3/6.7/90となる。
反応器Cにおいて、上記反応器Aから供給された第1の混合物と上記反応器Bから供給された第2の混合物を接触させた。
ここで、反応器Bに供給したR40と反応器Aに供給したR22のモル比は、R40/R22=33/67=0.5であった。
なお、反応器Cに供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量、すなわち反応器AへのR22の供給量と、反応器BへのR40の供給量との合計に対する、反応器Aおよび反応器Bへの水蒸気の供給量の合計の体積比は、水蒸気/(R40+R22)=90/10となる。すなわち、R40とR22と水蒸気との体積比は、R40/R22/水蒸気=3.3/6.7/90となる。
こうして、反応器C内の混合ガスの滞留時間が1.0秒間となるように、反応器Aおよび反応器Bに供給する原料ガスと水蒸気の流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、反応器Cの出口より出口ガスを取り出した。反応器内温度の実測値(第3の温度)は800℃であり、反応器C内圧力(ゲージ圧)の実測値は0.042MPaであった。
次いで、反応器の出口より取り出した出口ガスを、例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
次いで、反応器の出口より取り出した出口ガスを、例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
[例3]
反応器C内の内温を750℃に制御して反応器内温度の実測値(第3の温度)を750℃とした以外は、例2と同様の条件で反応を実施し、例1と同様に処理した後、反応器Cの出口より取り出した出口ガスを、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
反応器C内の内温を750℃に制御して反応器内温度の実測値(第3の温度)を750℃とした以外は、例2と同様の条件で反応を実施し、例1と同様に処理した後、反応器Cの出口より取り出した出口ガスを、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
[例4]
R40の代わりにR50を使用した以外は、例3と同様な条件で反応を行わせた。次いで、反応器Cの出口より取り出した出口ガスを、例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を表1の下欄に示す。
R40の代わりにR50を使用した以外は、例3と同様な条件で反応を行わせた。次いで、反応器Cの出口より取り出した出口ガスを、例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を表1の下欄に示す。
[例5]
図2に示す反応装置を用い、R22とR40とからなる原料組成物(原料ガス)から、以下に示すようにして粗HFO−1234yfを得た。
図2に示す反応装置を用い、R22とR40とからなる原料組成物(原料ガス)から、以下に示すようにして粗HFO−1234yfを得た。
ここで、図2に示す反応装置30は、電気ヒータ等の加熱手段を備えた一括反応器21を有する。一括反応器21には、R40の供給ライン22、R22の供給ライン23、および熱媒体としての水蒸気の供給ライン24が接続されている。
R40の供給ライン22、R22の供給ライン23には、それぞれ電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)22a、23aが設置されており、供給される各原料成分が所定の温度に予熱されてから一括反応器21に供給される。また、水蒸気の供給ライン24には、電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)24aが設置されており、温度および圧力が調整された水蒸気が供給される。それぞれの予熱器22a、23a、過熱水蒸気発生器24aを経た後の供給ライン22、23、24を連結することで、全ての成分が混合されたものが、原料・水蒸気混合供給ライン25から一括反応器21に供給される。
そして、一括反応器21の出口には、熱交換器のような冷却手段10が設置された出口ライン11が接続されている。出口ライン11には、さらに、蒸気および酸性液回収槽12、アルカリ洗浄装置13および脱水塔14が順に設置されている。そして、脱水塔14により脱水された後、出口ガスの各成分がガスクロマトグラフィ(GC)のような分析装置により分析・定量されるようになっている。
R40用予熱器22aである炉内温度500℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、R40を500℃に加熱(プレヒート)した。また、R22用予熱器23aである炉内温度500℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、R22を500℃にプレヒートした。
プレヒートされたこれらの原料ガス成分(R40、R22)と、水蒸気用予熱器24aである炉内温度850℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、原料成分の供給量のモル比が、R40/R22=83.3/16.7=5.0となり、かつ水蒸気と原料組成物全体との供給量の体積比が、水蒸気/(R40+R22)=90/10(すなわち、R40/R22/水蒸気=8.3/1.7/90)となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.042MPaで内温850℃に管理された一括反応器21に供給した。
こうして、一括反応器21内の混合ガスの滞留時間が1.0秒間となるように、原料ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、生成ガスを反応器の出口より取り出した。一括反応器21内温度の実測値は850℃であり、反応器内圧力(ゲージ圧)の実測値は0.042MPaであった。
次いで、一括反応器21の出口より取り出した出口ガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液の回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算し、得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40および/またはR50の転化率(反応率)、R22の転化率(反応率)、R22由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとVdFとのモル比(HFO−1234yf/VdF)をそれぞれ例1と同様にして求めた。結果を反応の条件とともに表1に示す。
表1からわかるように、例1〜4では、R22とR40、またはR22とR50を原料とし、各原料成分を、フッ素原子を含む化合物であるR22と、フッ素原子を含まない化合物であるR40またはR50との2つのグループに分け、それぞれのグループ毎に最適な温度条件下で所望の中間活性種を発生させた後、これらの中間活性種を反応系から取り出すことなく接触させて反応させることにより、はじめから一括混合した例5に比べて、HFO−1234yfを効率よく製造することができた。
本発明の製造方法によれば、調達が容易なR22と、R40および/またはR50を原料として、これらの原料をフッ素原子を含む化合物と、フッ素原子を含まない化合物の2つのグループに分け、それぞれのグループ毎に最適な温度条件下で所望の中間活性種を発生させた後、これらの中間活性種を反応系から取り出すことなく接触させて反応させることにより、工業的に有用なHFO−1234yfを十分に制御された状態で効率よく製造することができる。したがって、従来公知のHFO−1234yfを製造する方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを大幅に低減することができる。
また、本発明の製造方法によれば、熱媒体の存在下に反応を行わせることで高沸物の生成を大きく抑制することができ、製造(反応)条件の制御が容易であり、よって定量的なHFO−1234yfの製造が可能となり経済的なメリットが大きい。具体的には、R22と、R40および/またはR50を原料とする熱分解を伴う合成反応において、反応生成物中に占めるHFO−1234yfの割合を、反応生成物においてその含有割合が高くなりがちなVdFとの相対関係において、一定値以上とできる点で経済的に有利である。またさらに、副生物のリサイクルも可能であり、経済的な効果が大きい
1…第1の反応器(反応器A)、2…第2の反応器(反応器B)、3…第3の反応器(反応器C)、4…第1の原料組成物の供給ライン、5…第1の水蒸気の供給ライン、6…第2の原料組成物の供給ライン、7…第2の水蒸気の供給ライン、4a,6a…予熱器(プレヒータ)、5a,7a…過熱水蒸気発生器、8…第1の混合物の供給ライン、9…第2の混合物の供給ライン、10…冷却手段、11…出口ライン、12…蒸気および酸性液回収槽、13…アルカリ洗浄装置、14…脱水塔、20…反応装置。
Claims (18)
- クロロジフルオロメタンを含む第1の原料組成物と、クロロメタンおよび/またはメタンを含む第2の原料組成物を用いて、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、
(a)第1の反応器内に前記第1の原料組成物と第1の熱媒体とを供給して接触させ、前記第1の原料組成物を0〜850℃の範囲の第1の温度にして、第1の混合物を得る工程と、
(b)第2の反応器内に前記第2の原料組成物と第2の熱媒体とを供給して接触させ、前記第2の原料組成物を600〜900℃の範囲の第2の温度にして、第2の混合物を得る工程と、
(c)第3の反応器内に、前記(a)工程で得られた第1の混合物と、前記(b)工程で得られた第2の混合物とを供給して接触させる工程と
を有することを特徴とする2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。 - 前記第1の温度は400〜750℃である、請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記第2の温度は760〜900℃である請求項1または2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(b)工程における前記クロロメタンおよび/または前記メタンの前記第2の反応器への供給量の合計は、前記(a)工程における前記クロロジフルオロメタンの前記第1の反応器への供給量の1モルに対して0.01〜5モルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記第1の反応器に供給する前記クロロジフルオロメタンの温度は0〜600℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記第2の反応器に供給する前記クロロメタンおよび/またはメタンの温度は0〜1200℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(c)工程において、前記第1の混合物と前記第2の混合物とを接触させて、これらを600〜1200℃の範囲の第3の温度にする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記第1の熱媒体および前記第2の熱媒体は、いずれも200〜1300℃で熱分解しない媒体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記第1の熱媒体および前記第2の熱媒体は、いずれも水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(a)工程において、前記第1の熱媒体の前記第1の反応器への供給量は、該熱媒体と前記第1の原料組成物の供給量の合計に対して、20〜98体積%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(b)工程において、前記第2の熱媒体の前記第2の反応器への供給量は、該熱媒体と前記第2の原料組成物の供給量の合計に対して、20〜98体積%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(a)工程で前記第1の原料組成物と前記第1の熱媒体が接触してから、前記(c)工程で前記第3の反応器に前記第1の混合物が供給されるまでの時間は、0.01〜10秒間である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(b)工程で前記第2の原料組成物と前記第2の熱媒体が接触してから、前記(c)工程で前記第3の反応器に前記第2の混合物が供給されるまでの時間は、0.001〜10秒間である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(a)工程において、前記第1の反応器内の圧力はゲージ圧で0〜2MPaである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(b)工程において、前記第2の反応器内の圧力はゲージ圧で0〜2MPaである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(c)工程において、前記第3の反応器内の圧力はゲージ圧で0〜2MPaである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(a)工程において、前記クロロジフルオロメタンとともに、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、およびオクタフルオロシクロブタンから選ばれる1種以上の含フッ素化合物を前記第1の反応器に供給する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
- 前記(c)工程で前記第1の混合物と前記第2の混合物が接触してから、前記第3の反応器内に留まる時間は、0.01〜10秒間である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
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