JP2014115581A - スクリーン構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】明るく、且つコントラストが向上された映像を表示できるとともに、いずれの側からも反対側の視認性に優れるスクリーンを備えた、スクリーン構造体を提供する。
【解決手段】投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンと、該スクリーンの姿勢を保持する支持手段と、を備えたスクリーン構造体であって、スクリーンは、透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並列された、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を備え、光透過部および光散乱部は、鉛直方向に対して5°以下の方向に延在している、スクリーン構造体とする。
【選択図】図2
【解決手段】投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンと、該スクリーンの姿勢を保持する支持手段と、を備えたスクリーン構造体であって、スクリーンは、透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並列された、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を備え、光透過部および光散乱部は、鉛直方向に対して5°以下の方向に延在している、スクリーン構造体とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、映写機から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンを備えたスクリーン構造体に関する。
通常、映写機から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンは、反射型、透過型を問わず映写機から投射された映像光を表示することを目的としており、観察者からみてスクリーンの反対側(背面側)を観察することができない。透過型のスクリーンでは背面から投射された映像光を観察者側(正面側)に透過することにより映像を表示するので背面側からの光を透過することは可能である。しかしながらこのような透過型のスクリーンでは、映像光の視野角を広げること等を目的として表面に凹凸が設けられたり、透過する光を拡散する光拡散層が設けられたりしており、光の透過は可能であるが背面側の様子を観察することはできない。
特許文献1には、このような透過型のスクリーンに対して複数の孔を開ける等して透視性を有する部分を形成し、スクリーンの背景を視認することができる技術が開示されている。
また、特許文献2には、光を透過可能な単位プリズム形状と、複数の単位プリズム形状の間に配置される光吸収部と、裏面側に設けられて映像光を反射するとともに裏面からの光を透過可能な反射透過層と、が具備された半透過型反射スクリーンが開示されている。これによれば、単位プリズム形状を透過した映像光を反射透過層で反射させて観察者側に提供することによりスクリーンとして機能するとともに、プリズム形状を通して背面側の様子を観察することができるとされている。
しかしながら、特許文献1に開示されている構成のスクリーンでは、外光も映像光と同様に拡散してしまうためコントラストが低下する問題があった。これに対して特許文献2に開示されているような構成のスクリーンでは、光吸収部が具備されているので外光を吸収することができ、コントラストを向上させることができる。しかしながら、本来は観察者側に提供されるべき光も光吸収部が吸収してしまい、表示させるべき映像や背面側の様子を観察する際の明るさが不足するという問題があった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、明るく、且つコントラストが向上された映像を表示できるとともに、いずれの側からも反対側の視認性に優れるスクリーンを備えた、スクリーン構造体を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンと、該スクリーンの姿勢を保持する支持手段と、を備えたスクリーン構造体であって、スクリーンは、透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並列された、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を備え、光透過部および光散乱部は、鉛直方向に対して5°以下の方向に延在している、スクリーン構造体である。
ここに「光透過部および光散乱部は、鉛直方向に対して5°以下の方向に延在している」とは、スクリーンを正面から見て、光透過部および光散乱部が鉛直方向に対して時計周りもしくは反時計回りの方向に5°以下の角度で傾いて延在していることを意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーン構造体において、光散乱部が白色又は銀色の顔料を含有して散乱反射により光を散乱する。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーン構造体において、光散乱部が透明な樹脂と、該透明な樹脂とは屈折率が異なる粒子状の光散乱剤と、を含み、光散乱部中を光が透過することにより光を散乱する。
本発明によれば、明るく、且つコントラストが向上された映像を表示できるとともに、いずれの側からも反対側の視認性に優れるスクリーンを備えた、スクリーン構造となる。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。また、以下に示す各図では、分かりやすさのため形状を誇張して記載することがあり、見やすさのため繰り返しとなる符号は省略することがある。
図1は一つの実施形態にかかるスクリーン構造体1の構成を概略的に示した上面図である。本実施形態のスクリーン構造体1は、観察者側から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーン100と、該スクリーン100の姿勢を保持する支持手段と、を備えている。
スクリーン100の姿勢を保持する支持手段は特に限定されない。当該支持手段の具体例としては、以下のような手段を挙げることができる。
・スクリーン100を一定の姿勢で保持可能であるとともに床等に載置もしくは固定可能な台を含む手段
・床や天井に固定された棒および該棒にスクリーン100を一定の姿勢で保持する固定部材を含む手段
・建物の壁や柱および該壁や柱にスクリーン100を一定の姿勢で保持する固定部材を含む手段
また、後述するように、スクリーン100に備えられたパネル111および接着層113を当該支持手段の少なくとも一部とすることもできる。
・スクリーン100を一定の姿勢で保持可能であるとともに床等に載置もしくは固定可能な台を含む手段
・床や天井に固定された棒および該棒にスクリーン100を一定の姿勢で保持する固定部材を含む手段
・建物の壁や柱および該壁や柱にスクリーン100を一定の姿勢で保持する固定部材を含む手段
また、後述するように、スクリーン100に備えられたパネル111および接着層113を当該支持手段の少なくとも一部とすることもできる。
スクリーン100は観察者側から投射された映像光を反射させて表示するスクリーンである。従って、図1からわかるようにAで表した観察者の側である正面に映写機10が設置され、これとは反対側(背面側物体Bが存在する側)が背面側となる。
後に詳述するように、スクリーン100は左側または右側から投射された映像光を表示できるように構成されている。したがって、スクリーン100に映像光を投射する映写機10は、スクリーン100の使用時の正面視において、スクリーン100の中心より左側または右側に設置される(図示した実施形態では左側)。なお、映写機10としては、公知のプロジェクタを特に限定することなく用いることができる。
スクリーン100は、映写機10から投射された映像光が後述する光散乱部116に照射されることによって、映像を表示できる。映写機10から投射された映像光が後述する光散乱部116に効率良く照射されるようにする観点から、後に詳述する見込み角θ2を考慮して光散乱層114の設計及び/又は映写機10の設置位置の調整を行うことが好ましい。
以下、スクリーン100について詳細に説明する。図2は、スクリーン100の水平方向断面図であり、スクリーン100の層構成を模式的に表した図である。図2では、図2の紙面左が背面側、紙面右が正面側(観察者側)、紙面手前が天、紙面奥が地となる。
図2に示したように、スクリーン100は、背面側からパネル111、該パネル111に貼合された積層体112を備えている。そして積層体112は、背面側から接着層113、光散乱層114、基材層117、接着層118、ハードコート層119を備えている。
パネル111は、ガラスや樹脂でできた透光性を有する板状の部材である。従って、パネル111を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂パネルを用いることができる。これにより、スクリーン100は固定型のスクリーンとして安定した設置が可能となる。また、ショーウィンドウのガラスケースや建物の開口部等に設けられた窓ガラスの一部をパネル111とすることもできる。なお、ガラスケースや窓ガラスのように建物などに固定された部材の一部をパネル111とする場合、該パネル111および接着層113によってスクリーン100を略鉛直にして姿勢を保持することができる。したがって、この場合は、パネル111および接着層113を上記支持手段の少なくとも一部とすることができる。
接着層113は、パネル111に積層体112を接着するための層である。接着層113を構成する材料としては、パネル111に積層体112を接着できるものであれば特に限定されない。すなわち、接着層113を構成する材料としては、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。接着層113を構成する材料の具体例としては、アクリル系の粘着剤を挙げることができる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、スクリーン100の性質上、接着層113を構成する材料は透光性および耐候性に優れることが好ましい。
接着層113の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層113の厚さを10μm以上とすることによって、パネル111と積層体112との密着性を向上させやすくなる。また、接着層113の厚さを100μm以下とすることによって、接着層113の厚さを均一にしやすくなる。
光散乱層114は光透過部115及び光散乱部116を有し、図2に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する。すなわち、図2に表れる断面を有して光透過部115及び光散乱部116がスクリーン面に沿った一方向(本実施形態では鉛直方向)に延びるように形成されるとともに、スクリーン面に沿った該一方向とは異なる方向(本実施形態では水平方向)に複数並列されている。そして光散乱部116は光透過部115の間に配置されている。図3には光散乱層114の一部を拡大した図を示した。
光透過部115は後述するように光を散乱させることなく透過する部位であり、光散乱部116は後述するように光を散乱させる部位である。光透過部115及び光散乱部116は鉛直方向に対して5°以下の方向に延びるように形成されている。なお、「光透過部115及び光散乱部116は鉛直方向に対して5°以下の方向に延びるように形成されている。」とは、スクリーン100を正面から見て、光透過部115及び光散乱部116が鉛直方向に対して時計周りもしくは反時計回りの方向に5°以下の角度で傾いて延在していることを意味する。後に詳述するように、光散乱部116がこのように鉛直方向に近い角度で延在することによって、正面視においてスクリーン100の左側または右側に設置した映写機10から投射された映像光をスクリーン面に表示できる。また、光透過部115が鉛直方向に近い角度で延在することによって、斜め上方からスクリーン100に入射する外光を透過させてスクリーン100に表示される映像のコントラストを向上させることができる。光透過部115及び光散乱部116が延在する方向は、鉛直方向に対して0.5°以上5°以下であることが好ましく、1°以上2°以下であることがより好ましい。光透過部115及び光吸収部116が延びる方向を上記のように鉛直方向に対して所定の角度で傾斜させることによって、光透過部116及び光散乱部117により形成される縞状と、映写機からスクリーン100に投射される映像光が有する画素や、スクリーン100の背面側にある建物の壁や柱の端部等との干渉によってモアレ縞が生じることを抑制できる。
光透過部115は光を透過する部位であり、光を散乱させることなく透過させることができるように形成されていることが好ましい。なお、「光を散乱させることなく透過させる」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成することを意味し、当該部位を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
また、光透過部115は、基材層117側の面とその反対側面(接着層113側の面)とが平行、且つ平滑に形成されている。これによって、スクリーン100は、後述するように正面側および背面側のいずれの側からも反対側の視認性に優れたスクリーンとなる。
光透過部115を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
光散乱部116は、隣り合う2つの光透過部115間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部115はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部115間には、台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における当該凹部は、接着層113側(背面側)に長い下底、基材層117側(正面側)に短い上底を有する台形状の断面を有した溝であり、ここに光散乱部116を構成する材料が充填されることにより光散乱部116が形成されている。従って、光散乱部116は光透過部115間の凹部に沿った台形断面を具備している。
光散乱部116は、ここに照射された光を散乱させる部位である。光散乱部116は、例えば、ここに照射された光を散乱反射することができるように構成することができる。この場合、光散乱部116を構成の材料の例としては、白色顔料や銀色顔料等の光を散乱反射させる光散乱剤を透明なバインダー樹脂(硬化性樹脂)に分散させた組成物が挙げられる。上記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。また、上記銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。このような組成物で光散乱部116を構成することによって、光散乱部116に照射された光を効率よく光を散乱反射させることができる。なお、上記透明なバインダー樹脂(硬化性樹脂)としては、光透過部115を構成する材料と同様のものを用いることができる。
また、光散乱部116は、上記透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な光散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。当該透明な光散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、上記透明な光散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、光散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
上述した光散乱剤は、光散乱部116内に均一に分散される形態であってもよいが、所定の濃度分布を有していてもよい。例えば厚さ方向(図3の左右方向)で段階的に光散乱剤の含有濃度を変更する例を挙げることができる。これにより例えば外光の散乱を抑えてコントラストを向上させることが可能である。このように光散乱剤の濃度分布があるように光散乱部を形成する方法は特に限定されることはないが、例えば光散乱剤の濃度が異なる材料を何回かに分けて光透過部115間の凹部に充填する方法が挙げられる。
なお、光散乱部116に用いる上記バインダー樹脂の屈折率は光透過部115を構成する材料の屈折率と同じであることが好ましい。これにより光透過部115と光散乱部116との界面における屈折、及びこれによる波長分散を防止することができ、スクリーン100の表面に虹状のムラ(模様)が発生することを抑制できる。ただし、後述するように光透過部と光散乱部との界面で外光を意図的に全反射させたい場合は、光散乱部に用いる上記バインダー樹脂の屈折率を、光透過部を構成する材料の屈折率より大きくする。
光散乱部116の台形断面のうち脚部を構成する斜辺の、スクリーン面法線に対する角度θR、θL(図3参照)は、0°以上30°以下であることが好ましい。スクリーン面法線に対する角度θR、θLが0°以上(本実施形態でθ1が負であるとは、図2、図3に表れる断面において、光散乱部116の基材層117側の底の幅より接着層113側の底の幅が短い形状となることを意味する。)になるように光散乱部116を形成すれば、後述するようにして光透過部115を成形する際に用いる金型の作製が容易になる。また、後述するようにして金型を用いて光散乱部116を成形する際に、該金型から光散乱部116を離型しやすくなる。一方、θR、θLを30°以下とすることによって、2つの光透過部115間に形成される凹部の開口幅に対する該凹部の深さのアスペクト比を大きくしやすくなり、光散乱層114による後述する所望の効果を得やすくなる。
ただし、光透過部及び光散乱部の形状は図2、図3に例示した形態に限定されない。光透過部は基材層側(正面側、観察者側)の面とその反対側(背面側)の面とが平行に形成されていることが好ましい。従って、図2、図3に表れる断面に相当する断面において、光透過部及び光散乱部は長方形(θR、θL=0°のとき)であってもよく、上記光散乱部の台形の脚部に相当する部分が曲線状(当該曲線の接線が各部において上記θR、θLと同様に0°以上30°以下であることが好ましい。)や折れ線状(折れ線を構成する各線が上記θR、θLと同様に0°以上30°以下であることが好ましい。)であってもよい。
また、θRとθLとが等しくなくてもよい。例えば、図4に例示したように、θRまたはθLの一方(図4に例示した形態ではθR)をθRまたはθLの他方より小さく、もしくは0°(図4に例示した形態ではθRが0°)としてもよい。図4は、光散乱層の他の実施形態例である光散乱層114aの一部について、水平断面を概略的に示した図である。光散乱層114aは光透過部115a及び光散乱部116aを備えている。光透過部115a、光散乱部116aは、それぞれ断面形状以外は光透過部115、光散乱部116と同じである。光散乱層114aでは、光透過部115aと光散乱部116aとの界面のうち映像光L101が投射される側の界面のスクリーン面法線に対する角度θLはある程度大きくその反対側の界面のスクリーン面法線に対する角度θRは0°となっている。このように、光透過部と光散乱部との界面のうち映像光が照射される側の界面のスクリーン面法線に対する角度をある程度大きくすることによって、該界面に対する映像光の入射角が小さくなり、映像光が光散乱部に侵入しやすくなって拡散されやすくなる。また、光透過部と光散乱部との界面のうち映像光が投射される側とは反対側の界面のスクリーン面法線に対する角度を小さくすることによって、映像光とは反対側からスクリーンに照射された外光の当該界面において全反射されやすくなる。その結果、後述するようにスクリーンに表示される映像のコントラストを向上させやすくなる。
また、光散乱部116と光透過部115との界面において光を散乱反射させ易くするという観点から、光散乱部116と光透過部115との界面のうち観察者側の部位を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
光散乱部116が並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱部116のピッチを10μm以上とすることによって、光散乱部116が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層114の作製が容易になる。一方、光散乱部116のピッチを200μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光散乱部116を成形する際に、該金型から光散乱部116を離型しやすくなる。また、回折現象によって光散乱層114を透過する光の波長が分散して虹状のムラを生じることを抑制する観点からは、光散乱部116のピッチは100μm以上であることが好ましく、ランダムであることがより好ましい。
また、光散乱部116の台形断面のうち、接着層113側(背面側)の幅は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。当該幅を5μm以上とすることによって、光散乱部116が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層114の作製が容易になる。一方、当該幅を150μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光散乱部116を成形する際に、該金型から光散乱部116を離型しやすくなる。
また、複数の光散乱部116の関係のうち、図3に示した見込み角θ2は、映写機10からの映像光の投射角θ0に対して、次の式(1)の関係を有していることが好ましい。
ここで、nは光透過部115の屈折率を表している。式(1)を満たすように光散乱層114を設計する、及び/又は映写機10の設置位置を調整することにより、映写機10からの映像光が光散乱部116に達する割合が多くなり、より明るい映像を観察者に提供することができる。
ここで、「見込み角θ2」とは、図3に表れているように、隣接する2つの光散乱部116のうちの一方(映写機10から遠い側)の光散乱部116の背面側角部と、他方(映写機10近い側)の光散乱部116の正面側角部とを結ぶ線であり、1つの光透過部115の台形断面における対角線を構成する線が、スクリーン100のスクリーン面の法線となす角である。
また、「映像光の投射角θ0」とは、映写機から投射される映像光のうちその光軸(輝度が最も高い部分に沿った軸線)が、スクリーン100のスクリーン面の法線となす角である(図2のθ0参照。ここでは映像光L101の投射角をθ0としている。)。
映像光の投射角θ0は空気中(屈折率=1)、見込み角θ2は光透過部115中をそれぞれ対象としているので、スネルの法則から、
1・sinθ0=n・sinθ2
の関係に基づいて、式(2)を算出し、これを臨界的な境界として式(1)を得ることができる。
ここで、「見込み角θ2」とは、図3に表れているように、隣接する2つの光散乱部116のうちの一方(映写機10から遠い側)の光散乱部116の背面側角部と、他方(映写機10近い側)の光散乱部116の正面側角部とを結ぶ線であり、1つの光透過部115の台形断面における対角線を構成する線が、スクリーン100のスクリーン面の法線となす角である。
また、「映像光の投射角θ0」とは、映写機から投射される映像光のうちその光軸(輝度が最も高い部分に沿った軸線)が、スクリーン100のスクリーン面の法線となす角である(図2のθ0参照。ここでは映像光L101の投射角をθ0としている。)。
映像光の投射角θ0は空気中(屈折率=1)、見込み角θ2は光透過部115中をそれぞれ対象としているので、スネルの法則から、
1・sinθ0=n・sinθ2
の関係に基づいて、式(2)を算出し、これを臨界的な境界として式(1)を得ることができる。
光散乱層114の厚さ(図2の紙面左右方向の大きさ)は特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱層114の厚さを10μm以上とすることによって、光散乱部116の形成が容易になる。一方、光散乱層114の厚さを200μm以下とすることによって、光透過部115を成形する際に用いる金型の製造が容易になる。また、後述するようにして金型を用いて光透過部115を成形する際に、該金型から光透過部115を離型しやすくなる。
図2に戻り、基材層117について説明する。基材層117は、光散乱層114を形成するための基材となる層である。従って基材層117は、透光性を有するとともに光散乱層114の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層117を構成する材料の具体例としては、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層117の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層117の厚さを25μm以上とすることによって、積層体112の製造過程において基材層117に皺が生じ難くなる。また、基材層117の厚さを300μm以下とすることによって、積層体112の製造過程において基材層117を含むシートの巻き取りが容易になる。
ここで基材層117の屈折率は光散乱層114の光透過部115の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
接着層118は、ハードコート層119を基材層117の面のうち光散乱層114とは反対側の面に貼り付けるための層である。接着層118を構成する材料としては、上記の目的を達し得るものであって透光性を有するものであれば、特に限定されない。接着層118を構成する材料の例としては、公知の粘着剤、接着剤、紫外線硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。より具体的には、アクリル系の粘着剤を挙げることができる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。
接着層118の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層118の厚さを10μm以上とすることによって、ハードコート層119と光散乱層114との密着性を向上させやすくなる。また、接着層118の厚さを100μm以下とすることによって、接着層118の厚さを均一にしやすくなる。
ハードコート層119は、スクリーン100の表面保護を目的として、スクリーン100のうちパネル111とは反対側の最表面に設けられる層である。ハードコート層119は透明な樹脂層として形成することができる。また、擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、ハードコート層119は硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
ハードコート層119を構成する材料の具体例としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を挙げられ、これらをハードコート層119に要求される性能に応じて適宜採用すればよい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層119には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらに、ハードコート層119にはその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上等の機能を追加してもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
以上説明した構成を具備するスクリーン100は例えば次のように製造することができる。
スクリーン100は、パネル111に積層体112を貼合することによって製造できる。また、積層体112は、例えば次のように作製できる。
積層体112のうち、光散乱層114は金型ロールを用いる方法により形成する。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光散乱層114の光透過部115の形状に対応した複数の溝が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層117となる基材を挿入する。このとき当該基材の一方の面には接着層118が予め形成されていることが好ましい。その際には、接着層118の基材とは反対側の面が他のものにくっついてしまわないように、接着層118の表面のうち基材と反対側の表面には離型フィルムを貼り付ける。そして、基材のうち接着層118が配置されていない側の面と金型ロールとの間に光透過部115を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された溝内に光透過部115を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部115を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン化合物(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部115の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部115を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部115を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層117上に形成された光透過部115を離型する。
次に、隣り合う光透過部115間に形成された凹部に光散乱部116を構成する組成物(電離放射線硬化性樹脂やその他公知の硬化性樹脂に、上記した光散乱剤を所定の濃度で分散させた組成物)を充填して硬化させることによって、光散乱部116を形成することができる。図5にその過程の一場面を表した。初めに光散乱部116を構成する組成物120を光透過部115間の凹部115aに過剰に供給する。次いで、ブレード121により光透過部115の上面をスキージして組成物120のうち過剰分を掻きとって除去するとともに、凹部115a内に組成物120を充填する。このようにして充填された組成物120に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させる。これにより光散乱部116が形成される。
上記のようにして、基材層117上に光散乱層114を形成できる。
上記のようにして、基材層117上に光散乱層114を形成できる。
次に、接着層118にハードコート層119を積層する。なお、接着層118が紫外線硬化樹脂、光硬化性樹脂等からなる場合には、積層後に紫外線又は光を照射して硬化させればよい。
また、光散乱層114のうち基材層117とは反対側には接着層113を積層する。
また、光散乱層114のうち基材層117とは反対側には接着層113を積層する。
以上のように作製した積層体112を接着層113によりパネル111に貼合することでスクリーン100を製造することができる。
スクリーン100には上記した各層のいずれかに、他の機能を付加させるための構成を備えてもよい。これには例えば、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、又は近赤外線吸収剤を添加し、紫外線吸収機能、熱線吸収機能、又は近赤外線吸収機能を備えさせることが挙げられる。
近赤外線吸収機能は、近赤外線吸収剤(近赤外線吸収色素)を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。近赤外線吸収色素としては、800nm以上1100nm以下の波長領域の光を吸収するものを用いることが好ましい。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。一方で、近赤外線吸収色素は可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが好ましい。
紫外線吸収機能は、以下に例示する紫外線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
熱線吸収機能は、以下に例示する熱線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。熱線吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)又はスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物等の金属酸化物超微粒子などが挙げられる。
次に、スクリーン100を図1のようにして設置したときの作用について説明する。図2に模式的な光路例を示した。なお当該光路例は概念的に示したものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。以下同様である。
映写機10(図1参照)から投射された映像光L101は、ハードコート層119、及び接着層118を透過して光散乱層114の光散乱部116に到達する。光散乱部116に到達した映像光L101は、光散乱部116によって散乱反射される。そして、散乱反射された光の一部が映写機10側、すなわち観察者側に向きが変えられる。そしてスクリーン100から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン100によれば、光散乱部116で映像光を散乱反射させて観察者側に出射することができるので、明るい映像を提供することができる。すなわち、映写機10からの映像光を効率よく観察者側に反射させて出射することが可能である。
従来のスクリーンでは通常、スクリーンの斜め上または斜め下に映写機を設置する必要があった。一方、スクリーン100の光散乱層114は、鉛直方向に近い角度で延在した光散乱部116を有しているため、図2に示したようにスクリーン100の左斜め前または右斜め前から照射された映像光を効率よく正面に出射することができる。従って、スクリーン100を備えたスクリーン構造体1によれば、映写機10をスクリーン100の横に設置できるため、汎用性が広がる。
また、スクリーン100によれば、光散乱層114の光透過部115が鉛直方向に近い角度で延在しているため、観察者側の斜め上や斜め下からスクリーン100に入射する外光(太陽光や蛍光灯の光など)の少なくとも一部は光散乱部116に到達することなく光透過部115を透過してスクリーン100の背面側に出射する。スクリーンに照射される外光としては、天井に設置された電灯からの光や太陽光等が多く、これらの光は斜め上方から直接スクリーンに照射されたり、床等で反射して斜め下方からスクリーンに照射されたりする。スクリーン100によれば、このような観察者側から照射された外光の少なくとも一部が上記のように光散乱部116に到達することなく光透過部115を透過してスクリーン100の背面側に出射する。このような外光が映像光と同様に光散乱部116において散乱されれば映像のコントラストが低下しやすくなるが、スクリーン100によれば上記のように外光が光散乱部116に到達することなく光透過部115を透過して背面側に出射するので、映像のコントラストを向上させることができる。
従って、スクリーン100によれば、映像光を効率良く観察者側に提供するとともに外光は背面側に透過させ映像光に影響を与えないようにすることが可能となる。これによりコントラストが向上する。このようなコントラスト向上の効果は、外光が強い昼間の屋外などにおいて特に顕著となる。
また、光散乱部116a及び光透過部115aを構成する材料に屈折率差がある場合、図4に例示した光散乱部116aのように、映像光L101が投射される側とは反対側の光散乱部116aと光透過部115aとの界面のスクリーン面法線方向に対する角度を小さくすると、映像光L101が投射される側とは反対側からスクリーン(光散乱層114a)に入射した外光L103の少なくとも一部を、光散乱部116aと光透過部115aとの界面で全反射させてスクリーンの背面側へと偏向させることができる。その結果、スクリーンの正面側に反射される外光を減らし、スクリーンに映し出される映像のコントラストを向上させることができる。このようにして光散乱部116aと光透過部115aで全反射される外光の角度は、光散乱部116aと光透過部115aとの界面の角度や光散乱部116a及び光透過部115aを構成する材料の屈折率差による。
一方、スクリーン100の背面側からスクリーン100を通過して観察者に達する光はL102による。すなわち、背面側からのスクリーン面の法線方向に近い角度でスクリーン100に入射した光L102は、光散乱部116に達することなくスクリーン100を透過して観察者に観察される。従って、基材層117の面(パネル111の面)に対して平行な面である光透過部115の基材層117側の面及びその反対側の面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、スクリーン100の正面側から明確に明るくスクリーン100の背面側を観察することができる。
なお、正面側からのスクリーン面の法線方向に近い角度でスクリーン100に入射した光の少なくとも一部は、上記光L102の逆の経路で光散乱部116に達することなくスクリーン100を透過して背面側に出射される。従って、スクリーン100の背面側から明確に明るくスクリーン100の正面側を観察することもできる。
図6は他の実施形態にかかるスクリーン構造体2の構成を概略的に示した上面図である。本実施形態のスクリーン構造体2は、背面側から投射された映像光を透過させて視認可能に表示するスクリーン200と、該スクリーン200の姿勢を保持する支持手段(不図示)と、を備えている。
スクリーン200の姿勢を保持する支持手段は、上述したスクリーン構造体1に備えられる支持手段と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
スクリーン200は背面側から投射された映像光を正面に出射させて表示するスクリーンである。従って、図6からわかるようにAで表した観察者の側が正面となり、これとは反対側(背面側物体Bが存在する側)である背面側に映写機20が設置される。
上述したスクリーン100と同様に、スクリーン200に映像光を投射する映写機20は、スクリーン200の使用時の正面視において、スクリーン200の中心より左側または右側に設置される。当該映写機20は、公知のプロジェクタである。
以下、スクリーン200について詳細に説明する。図7は、スクリーン200の水平方向断面図であり、スクリーン200の層構成を模式的に表した図である。図7では、図7の紙面左が背面側、紙面右が正面側(観察者側)、紙面手前が天、紙面奥が地となる。
図7に示したように、スクリーン200は、背面側からパネル111、該パネル111に貼合された積層体212を備えている。そして積層体212は、背面側から接着層113、光散乱層214、基材層117、接着層118、ハードコート層119を備えている。
従って、スクリーン200は上記説明したスクリーン100の光散乱層114の代わりに光散乱層214を適用した点で異なる。さらに詳しくは、スクリーン100の光散乱層114の光散乱部116に代えて光散乱部216を適用した点が異なる。従ってここでは光散乱部216について説明する。
従って、スクリーン200は上記説明したスクリーン100の光散乱層114の代わりに光散乱層214を適用した点で異なる。さらに詳しくは、スクリーン100の光散乱層114の光散乱部116に代えて光散乱部216を適用した点が異なる。従ってここでは光散乱部216について説明する。
光散乱部216は構成材料と該構成材料による効果が上記した光透過部115と異なるが、形状等については光透過部115と同様である。
光散乱部216は、ここに照射された光を透過させつつ散乱させることができるように構成されている。そのため、光散乱部216には光を透過しつつ散乱させるための材料が充填されている。そのための材料は特に限定されることはないが、材料の例としては、透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な光散乱剤とを混合させた材料が好ましい。透明なバインダー樹脂としては光透過部115を構成する材料と同様のものを用いることができる。
一方、上記透明な光散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、光散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、光散乱剤は中空粒子にすることも可能である。これにより効率よく光を透過散乱することができる。
上述した透明な光散乱剤は、光散乱部216内に均一に分散される形態であってもよいが、所定の濃度分布を有していてもよい。例えば厚さ方向(図7の左右方向)で段階的に光散乱剤の含有濃度を変更する例を挙げることができる。これにより例えば外光の散乱を抑えてコントラストを向上させることが可能である。このように光散乱剤の濃度分布があるように光散乱部を形成する方法は特に限定されることはないが、例えば光散乱剤の濃度が異なる材料を何回かに分けて光透過部115間の凹部に充填する方法が挙げられる。
なお、光散乱部216に用いる上記バインダー樹脂の屈折率と光透過部115を構成する材料の屈折率との関係は、上述した光散乱部116に用いるバインダー樹脂の屈折率と光透過部115を構成する材料の屈折率との関係と同様である。
また、スクリーン200の製造方法についても、光散乱部216に充填すべき材料を上記のものに変更するのみでスクリーン100と同様の方法を適用することが可能である。
次に、スクリーン200を図6のようにして設置したときの作用について説明する。図7に模式的な光路例を示した。
映写機20(図6参照)から投射された映像光L201は、パネル111、及び接着層113を透過して光散乱層214の光散乱部216に到達する。光散乱部216に到達した映像光L201は透過散乱される。そして、散乱された光は、スクリーン200から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン200によれば、光を意図的に吸収する部位を設けずとも、光散乱部216で映像光を透過散乱されて観察者に出射することができるので、明るい映像を提供することができる。すなわち、映写機20からの映像光を効率よく観察者側に出射することが可能である。
従来のスクリーンでは通常、スクリーンの斜め上または斜め下に映写機を設置する必要があった。一方、スクリーン200の光散乱層214は、鉛直方向に近い角度で延在した光散乱部216を有しているため、図6に示したようにスクリーン100の左斜め後ろまたは右斜め後ろから照射された映像光を効率よく正面に出射することができる。従って、スクリーン200を備えたスクリーン構造体2によれば、映写機20をスクリーン200の横に設置できるため、汎用性が広がる。
また、スクリーン200によれば、スクリーン200と同様に光透過部115が鉛直方向に近い角度で延在しているため、観察者側の斜め上や斜め下からスクリーン200に入射する外光(太陽光や蛍光灯の光など)の少なくとも一部は光散乱部216に到達することなく光透過部115を透過してスクリーン200の背面側に出射する。したがって、スクリーン200によればスクリーン100と同様に映像のコントラストを向上させることができる。
従って、スクリーン200によれば、映像光を効果的に観察者側に提供するとともに外光は背面側に透過させ映像光に影響を与えないようにすることが可能となる。これによりコントラストが向上する。このようなコントラスト向上の効果は、外光が強い昼間の屋外などにおいて特に顕著となる。
一方、スクリーン200の背面側からスクリーン200を通過して観察者に達する光はL202による。すなわち、背面側からのスクリーン面の法線方向に近い角度でスクリーン200に入射した光L202は、光散乱部216に達することなくスクリーン200を透過して観察者に観察される。従って、基材層117の面(パネル111の面)に対して平行な面である光透過部115の基材層117側の面及びその反対側の面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、スクリーン200の正面側から明確に明るくスクリーン200の背面側を観察することができる。
なお、正面側からのスクリーン面の法線方向に近い角度でスクリーン200に入射した光の少なくとも一部は、上記光L202の逆の経路で光散乱部216に達することなくスクリーン200を透過して背面側に出射される。従って、スクリーン200の背面側から明確に明るくスクリーン200の正面側を観察することもできる。
これまでに説明したスクリーン構造体1、2は、例えばこれまでにオフィス等で用いられていたスクリーンの代わりにする等、従来のスクリーン用途に用いることができる。これに加えその他にも、ガラス張りで店内を視認できる店舗のショーウィンドウにスクリーン構造体1、2を適用し、スクリーン100、200に効果的な映像を投射すれば、映像と店内とをいずれも視認することができ、ディスプレイ効果を向上させることができる。
1 スクリーン構造体
10 映写機
100 スクリーン(反射スクリーン)
111 パネル
112 積層体
113 接着層
114 光散乱層
115 光透過部
116 光散乱部
117 基材層
118 接着層
119 ハードコート層
2 スクリーン構造体
20 映写機
200 スクリーン(透過スクリーン)
212 積層体
214 光散乱層
216 光散乱部
10 映写機
100 スクリーン(反射スクリーン)
111 パネル
112 積層体
113 接着層
114 光散乱層
115 光透過部
116 光散乱部
117 基材層
118 接着層
119 ハードコート層
2 スクリーン構造体
20 映写機
200 スクリーン(透過スクリーン)
212 積層体
214 光散乱層
216 光散乱部
Claims (3)
- 投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンと、該スクリーンの姿勢を保持する支持手段と、を備えたスクリーン構造体であって、
前記スクリーンは、透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、
前記光散乱層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並列された、光を透過する光透過部と、
隣り合う前記光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を備え、
前記光透過部および前記光散乱部は、鉛直方向に対して5°以下の方向に延在している、
スクリーン構造体。 - 前記光散乱部が白色又は銀色の顔料を含有して散乱反射により光を散乱する、請求項1に記載のスクリーン構造体。
- 前記光散乱部が透明な樹脂と、該透明な樹脂とは屈折率が異なる粒子状の光散乱剤と、を含み、前記光散乱部中を光が透過することにより光を散乱する請求項1に記載のスクリーン構造体。
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