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JP2014105981A - 含水固形物乾燥方法及び装置 - Google Patents

含水固形物乾燥方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】含水固形物乾燥装置のエネルギー効率を向上させる。
【解決手段】水及び熱媒の顕熱を回収し、供給された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱部10と、水蒸気の潜熱を回収し、予熱部10にて予熱された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発部20と、蒸発部20にて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を水蒸気と固形物に分離する固気分離機61と、固気分離機61にて分離された固形物の顕熱を熱媒ガスにより回収し、固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収部40とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、含水固形物を乾燥する含水固形物乾燥方法及び装置に関する。
従来、汚泥、褐炭、バイオマス等の含水固形物を乾燥する乾燥装置が提供されている。図1は、含水固形物を乾燥させる従来の乾燥装置の一例を示す図である。
この乾燥装置は、原料として供給された含水固形物131を搬送するフィーダー112を備え、含水固形物131を乾燥物にして提供するものである。このフィーダー112には、軸116によって回転駆動されるスクリューフィーダーを利用することができる。
フィーダー112で搬送される含水固形物131は、フィーダー112床面に設けられたトラフ加熱器111により加熱されるとともに、図示しない撹拌機構によって撹拌乾燥される。また、筐体110内には熱風供給口113から熱交換器123で加熱された熱風が供給され、また、低圧飽和蒸気136が供給されている。
含水固形物131はフィーダー112で搬送されるとともに乾燥され、乾燥物132とされて提供される。筐体110内の雰囲気は排気ブロワ121・循環ブロワ122によって制御され、加熱に用いられた蒸気136は凝縮水137等となってドレンから排出される。
このような従来の乾燥装置においては、他のプロセスで発生した蒸気を使用したり、あるいはヒーターで加熱したりしていた。また、乾燥装置において発生した蒸気は、そのまま含水固形物の予熱に利用され、余った熱は捨てられていた。
乾燥装置において熱を回収して再利用する観点から、特許文献1に示したような乾燥装置が提案されている。この乾燥装置においては、含水固体燃料の掃気ガスと含水固体燃料から蒸発した蒸気を含む混合ガス流体を圧縮機で圧縮して乾燥容器の伝熱管に供給し、この混合ガス流体の潜熱と顕熱を回収して含水固体燃料の乾燥に利用していた。この乾燥装置は、含水固体燃料と掃気ガスに供給した熱量を部分的に回収して利用するものであり、熱量の回収と再生には改善の余地が残っていた。
特開2010−276250号公報
従来の含水固形物の乾燥装置においては、含水固形物に供給した熱量からの回収には限界があり、エネルギー効率には制限があった。このため、含水固形物の乾燥装置に供給した熱量を効率よく回収することにより、エネルギー効率を向上させることが求められている。
この出願に係る発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、含水固形物を乾燥するものであって、含水固形物の乾燥に供給した熱量を効率よく回収できるような含水固形物乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、この出願に係る含水固形物乾燥方法は、水及び熱媒の顕熱を回収し、供給された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱ステップと、水蒸気の潜熱を回収し、前記予熱ステップにて予熱された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発ステップと、前記蒸発ステップにて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を水蒸気と固形物に分離する固気分離ステップと、前記固気分離ステップにて分離された前記固形物の顕熱を熱媒により回収し、前記固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収ステップと、前記固気分離ステップから供給された水蒸気を断熱圧縮して昇温させる水蒸気圧縮ステップと、前記熱回収ステップにて熱を回収した熱媒を過熱する熱媒過熱ステップとを有し、前記水蒸気圧縮ステップにて昇温された水蒸気は、前記蒸発ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収され、前記熱媒過熱ステップにて過熱された熱媒は、前記予熱ステップで熱が回収されるものである。
水蒸気及び熱媒の顕熱を回収し、前記蒸発ステップにて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物をさらに過熱する過熱ステップをさらに有し、前記固気分離ステップには前記過熱ステップにて過熱された含水固形物が供給され、前記水蒸気圧縮ステップにて昇温された水蒸気は、前記過熱ステップ、前記蒸発ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収され、前記熱媒過熱ステップにて過熱された熱媒は、前記過熱ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収されることが好ましい。
前記熱媒は気体であり、前記熱媒過熱ステップは前記熱媒を断熱圧縮して昇温させる熱媒圧縮ステップを有することが好ましい。前記水蒸気圧縮ステップ及び前記熱媒圧縮ステップは圧縮比が異なることが好ましい。
上述の課題を解決するために、この出願に係る含水固形物乾燥装置は、水及び熱媒の顕熱を回収し、供給された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱手段と、水蒸気の潜熱を回収し、前記予熱手段にて予熱された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発手段と、前記蒸発手段にて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を水蒸気と固形物に分離する固気分離手段と、前記固気分離手段にて分離された前記固形物の顕熱を熱媒により回収し、前記固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収手段と、前記固気分離手段から供給された水蒸気を断熱圧縮して昇温させる水蒸気圧縮手段と、前記熱回収手段にて熱を回収した熱媒を過熱する熱媒過熱手段とを有し、前記水蒸気圧縮手段にて昇温された水蒸気は、前記蒸発手段及び前記予熱手段の順序で熱が回収され、前記熱媒過熱手段にて過熱された熱媒は、前記予熱手段で熱が回収されるものである。
前記予熱手段は、水の顕熱を回収する第1の熱交換手段と、熱媒の顕熱を回収する第2の熱交換手段とを有し、前記含水固形物の一部を前記第1の熱交換手段にて予熱し、前記含水固形物の残りを前記第2の熱交換手段にて予熱することが好ましい。
この出願に係る発明によると、含水固形物の乾燥させる際に供給する熱量を回収して再生することにより、エネルギー効率を向上させ、消費するエネルギーを低減することができる。
従来の乾燥装置の一例を示す図である。 本実施の形態の乾燥プロセスを示す図である。 乾燥プロセスにおける熱回収を説明する図である。 水と固形物のT−Q線図である。 他の実施の形態の乾燥プロセスを示す図である。 乾燥装置の第1の実施例を示す図である。 乾燥装置の第2の実施例を示す図である。 乾燥装置の第3の実施例を示す図である。
以下、この発明に係る含水固形物乾燥方法及び装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(乾燥プロセス)
本実施の形態の乾燥プロセスは、含水固形物を乾燥物にするものであって、その過程において含水固形物に供給した潜熱と顕熱をともに回収して再生することにより、エネルギー効率を高めるものである。この乾燥プロセスで処理する含水固形物には、汚泥、褐炭、バイオマスが含まれるが、これらに限定されない。
なお、以下の乾燥プロセスと乾燥装置の説明においては、各プロセス、構成要素等に関連して温度を例示するが、これらの温度は一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。
図2は、含水固形物を乾燥する乾燥プロセスを示す図である。乾燥プロセスは、供給された含水固形物に含まれる水を蒸発させるために予熱する予熱部10を有している。この予熱部10は、供給された水と熱媒から顕熱を回収し、回収した熱量を用いて含水固形物を加熱している。
この予熱部10は、室温で供給された含水固形物の一部を水によって予熱する第1の熱交換器11を有している。第1の熱交換器11には、シャフトに形成されたスクリュー状の羽根を回転させて含水固形物をシャフト軸方向に搬送するとともに、中空のシャフト管中を軸方向に流れる水、水蒸気等から羽根を介して含水固形物に熱を伝導するスクリューフィーダーを採用するが、これに限定されない。なお、他の熱交換器においても同様である。
また、予熱部10は、含水固形物の残りを熱媒ガスによって予熱する第2の熱交換器12を有している。本実施の形態においては熱媒ガスとして空気を採用するが、これに限定されない。熱媒ガスに代えて熱媒液体を採用することもできる。
乾燥プロセスは、予熱部10によって予熱された含水固形物が供給され、この含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発部20を有している。この蒸発部20は、供給された水蒸気から潜熱を回収し、回収した熱量を用いて含水固形物を加熱している。この蒸発部20は、含水固形物を水蒸気によって加熱する第3の熱交換器21を有している。
過熱プロセスは、蒸発部20にて含んだ水が水蒸気にされた含水固形物が供給され、この含水固形物を過熱する過熱部30を有している。この過熱部30は、供給された水蒸気と熱媒ガスから顕熱を回収し、回収した熱量を用いて含水固形物を過熱している。この過熱部30は、含水固形物の一部を水蒸気により過熱する第4の熱交換器31と、含水固形物の残りを媒体ガスにより過熱する第5の熱交換器32とを有している。
乾燥プロセスは、過熱部30にて過熱された含水固形物が供給され、この含水固形物の含む固形物を水蒸気から分離する固気分離機61を有している。本実施の形態ではこの固気分離機61にはサイクロン機構を採用するが、これに限定されない。
乾燥プロセスは、固気分離機61にて分離された固形物が供給され、この固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収部40を有している。この熱回収部40は、固形物の顕熱を回収し、回収した熱量を用いて室温で供給された熱媒ガスを加熱している。この熱回収部40は、固形物を熱媒ガスによって冷却する第6の熱交換器41を有している。
乾燥プロセスは、熱回収部40から熱媒ガスが供給され、この媒体ガスを過熱する熱媒過熱部50を有している。熱媒過熱部50は、熱媒ガスを断熱圧縮して昇温させる第1の圧縮機51を有している。熱媒過熱部50から供給された熱媒ガスは、過熱部30の第5の熱交換器32、予熱部10の第2の熱交換器12の順序で熱源として供給され熱が回収される。
乾燥プロセスは、固気分離機61から水蒸気が供給され、この水蒸気を断熱圧縮して昇温させる第2の圧縮機62を有している。第2の圧縮機62から供給された熱媒ガスは、過熱部30の第4の熱交換器31、蒸発部20の第3の熱交換器21、予熱部10の第1の熱交換器11の順序で熱源として供給され熱が回収される。
図3は、乾燥プロセスにおける熱回収の原理を説明する図である。図3(A)のブロック図は乾燥プロセスを熱交換器101、主プロセス103、圧縮機106を有するシステムに簡略化して説明するものである。なお、この図3では簡単のために顕熱のみを示すが、実際には含水固形物に含まれる水に由来する潜熱を考慮する必要がある。
ここで、本実施の形態の乾燥プロセスの構成において、予熱部10、蒸発部20、過熱部30、熱回収部40が熱交換器101に対応している。また、固気分離機61等が主プロセス103に対応し、熱媒過熱部50、第2の圧縮機62が圧縮機106に対応している。
このようなシステムにおいて、図3(A)のT−Q線図に示すように、乾燥プロセスに供給された対象物は、熱交換器101にて経路1に沿って吸熱して昇温され、主プロセス103を経て圧縮機106にて経路2に沿って断熱圧縮により昇温され、再び熱交換器101にて経路3に沿って放熱して降温される。
このシステムにおいては、経路2の断熱圧縮によって、T−Q線図上で対象物が吸熱する経路1と対象物が放熱する経路3の間に一定の温度差が確保されている。したがって、熱交換器101において熱を移動させることにより、経路1に沿って対象物が吸熱した熱量は、経路3に沿った放熱によってすべて回収することができる。
なお、図3(A)のブロック図に示した膨張機107は、図2に示した乾燥プロセスの構成において予熱部10における熱媒ガスの排出路に設置することができる。このような膨張機107は、予熱部10から排出された熱媒ガスを断熱膨張させて仕事させることにより、断熱圧縮に費やしたエネルギーの一部を回収することができる。
図3(B)は参考例として従来の熱回収を説明する図である。従来の熱回収は、熱交換器101、加熱器102、主プロセス103、冷却器104を有するシステムにおいて、T−Q線図上で対象物が吸熱する経路1と放熱する経路3の間に一定の温度差を確保できるのは一部の領域に限られていた。このため、熱交換器101においては、経路3に沿った放熱によって回収することができる熱量は、経路1に沿って対象物が吸熱した熱量の一部のみに限られ、エネルギー効率には限界があった。
図4は、水と固形物のT−Q線図を示す図である。図4(A)に示す水のT−Q線図は、蒸発に相当する平坦な領域を有する点において図4(B)に示す固形物のT−Q線図と相違している。これら水と固形物を対象物としたT−Q線図は、図3(A)における対象物が吸熱する経路1と放熱する経路3に対応させることができる。
図4(A)に示すように、対象物が水の場合は、水が蒸発を続ける間、供給された熱量は潜熱として寄与し、熱量の増加に関わらず対象物の温度は一定に保たれる。一方、予熱と過熱においては、供給された熱量は顕熱として寄与し、熱量の増加に応じて対象物の温度は上昇する。図4(B)に示すように、対象物が固形物の場合は、対象物に供給された熱量は顕熱として寄与し、熱量の増加に応じて対象物の温度は上昇する。
図2に示した乾燥プロセスにおいては、図3(A)に示した乾燥プロセスの自己熱再生の基本的なシステムに基づいて、図4(A)に示した水のT−Q線図の予熱、蒸発及び過熱の各領域に対応するように、予熱部10、蒸発部20及び過熱部30が設けられている。また、含水固形物の含む固形物は断熱圧縮により昇温させることが難しいので、固形物の熱を回収するために熱媒ガスが導入され、熱回収部40が設けられている。
このような乾燥プロセスに供給された30℃の含水固形物は、予熱部10において、含んでいる水を蒸発させるために予熱される。この予熱部10において含水固形物に供給された熱は、含水固形物の含む水と固形物の両方を対象物として顕熱として寄与し、その温度を上昇させる。なお、含水固形物の含む水について、この予熱部10は図4(A)の水のT−Q線図における予熱の領域に対応している。
予熱部10においては、含水固形物の一部が第1の熱交換器11に供給され、残りが第2の熱交換器12に供給される。第1の熱交換器11と第2の熱交換器12に供給される含水固形物の割合は、第1の熱交換器11に供給される水蒸気と第2の熱交換器12に供給される熱媒ガスがそれぞれ提供できる熱量等に依存する。
第1の熱交換器11において、供給された30℃の含水固形物は110℃の水蒸気を熱源として吸熱し、100℃まで昇温され、水蒸気は放熱して40℃まで降温され凝縮水になる。第2の熱交換器12においては、同じく供給された30℃の含水固形物は110℃の熱媒ガスを熱源として吸熱して100℃まで昇温され、媒体ガスは放熱して40℃まで降温される。
予熱部10にて100℃まで昇温された含水固形物は蒸発部20に供給される。この蒸発部20の第3の熱交換器21において、含水固形物は110℃の水蒸気を熱源として潜熱に相当する熱量を吸熱し、含水固形物の含む水は蒸発して水蒸気にされる。水蒸気はこの潜熱に相当する熱量を放熱する。
この蒸発部20では、水の蒸発により潜熱が吸収され、含水固形物に含まれる水が蒸発を続ける間、含水固形物の温度は100℃に保たれる。含水固形物の含む水について、この予熱部10は、図4(A)の水のT−Q線図における蒸発の領域に対応している。
蒸発部20にて含んだ水が水蒸気にされた含水固形物は、過熱部30においてさらに過熱される。この過熱部30において含水固形物に供給された熱は、含水固形物の含む水と固形物の両方を対象物として顕熱として寄与し、その温度を上昇させる。なお、含水固形物の含む水について、この予熱部10は図3(A)の水のT−Q線図における過熱の領域に対応している。
過熱部30においては、含水固形物の一部が第4の熱交換器31に供給され、残りが第5の熱交換器32に供給される。第4の熱交換器31と第5の熱交換器32に供給される含水固形物の割合は、第4の熱交換器31に供給される水蒸気と第2の熱交換器32に供給される熱媒ガスがそれぞれ供給できる熱量等に依存する。
第4の熱交換器31において、供給された100℃の含水固形物は120℃の水蒸気を熱源として吸熱し、110℃まで昇温され、水蒸気は110℃まで降温される。第5の熱交換器においては、同じく供給された100℃の含水固形物は120℃の熱媒ガスを熱源として吸熱し、110℃まで昇温され、熱媒ガスは110℃まで降温される。
過熱部30にて110℃に昇温された含水固形物は、固気分離機61にて固形物と水蒸気に分離される。そして、固形物は熱回収部40に供給され、水蒸気は第2の圧縮機62に供給される。この固気分離機61において、供給された110℃の含水固形物は、温度が保たれたまま110℃の固形物と110℃の水蒸気に分離される。
固気分離機61から供給された110℃の固形物は、熱回収部40の第6の熱交換機41にて冷却される。この熱回収部40は、固形物を対象物としてその顕熱を回収している。
第6の熱交換器41において、供給された110℃の固形物は30℃の熱媒ガスを熱源として放熱し、40℃まで降温され、熱媒ガスは100℃まで昇温される。第6の熱交換器41にて冷却された固形物は、乾燥物として提供される。
熱回収部40にて100℃まで昇温された熱媒ガスは熱媒過熱部50に供給され、第1の圧縮機51にて断熱圧縮される。第1の圧縮機51には100℃の熱媒ガスが供給され、この熱媒ガスは断熱的な圧縮により120℃まで昇温される。この第1の圧縮機51は、図3(A)の断熱圧縮の経路2に相当するものである。なお、媒体ガスに代えて媒体液体を採用する場合には断熱圧縮は困難であるので、媒体液体を昇温させるために例えばヒーターを採用することができる。
熱媒過熱部50にて120℃まで加熱された熱媒ガスは、過熱部30の第5の熱交換器32にて放熱して110℃まで降温し、続いて予熱部10の第2の熱交換器12にて放熱して40℃に降温して排出される。
固気分離機61から供給された110℃の水蒸気は、第2の圧縮機62にて断熱圧縮により120℃まで昇温される。この第2の圧縮機62は、図3(A)の断熱圧縮の経路2に相当するものである。第2の圧縮機62にて120℃まで過熱された水蒸気は、過熱部30の第4の熱交換器31にて放熱して110℃まで降温され、続いて蒸発部20の第3の熱交換器21にて110℃の温度を維持しつつ放熱し、さらに予熱部10の第1の熱交換器11にて放熱して40℃まで降温され、凝縮水として排出される。
この乾燥プロセスにおいて、第1の熱交換器11、第3の熱交換器21及び第4の熱交換器31にて水又は水蒸気を熱源として含水固形物に供給された熱量は、含水固形物から熱源となる水蒸気に全量回収されている。回収された熱量は、これら第1の熱交換器11、第3の熱交換器21及び第4の熱交換器31において、水蒸気を熱源として含水固形物に供給され再利用されている。このような水についての自己熱再生のサイクルは、固気分離機61にて含水固形物から水蒸気を分離し、この水蒸気を断熱圧縮により昇温させ還流することにより実現されている。
また、第2の熱交換器12、第5の熱交換器32及び第6の熱交換器41にて熱媒ガスを熱源として含水固形物に供給された熱量は、含水固形物から熱媒ガスに全量回収されている。回収された熱量は、第2の熱交換器12、第5の熱交換器32及び第6の熱交換器41に熱源の熱媒ガスから供給され再利用されている。このような固形物についての自己熱再生のサイクルは、固気分離機61にて含水固形物から媒体ガスを分離し、この媒体ガスを断熱圧縮により昇温させて還流することによって実現されている。
このように、この乾燥プロセスは、含水固形物に供給した熱量をすべて回収して再生するような自己熱再生サイクルを形成するものである。したがって、この乾燥プロセスは、含水固形物を加熱するために熱量の供給を続ける必要がなく、高いエネルギー効率を達成することができる。
また、この乾燥プロセスは、熱源となる水蒸気を第2の圧縮機62にて断熱圧縮し、同じく熱源となる熱媒ガスを第1の圧縮機51にて断熱圧縮している。水蒸気と熱媒ガスでは必要な温度まで昇温させるために必要な断熱圧縮の圧縮比が異なるので、このように水蒸気と熱媒ガスについて個別の圧縮機を設けることにより、水蒸気と熱媒ガスのそれぞれについて適正な圧縮比にて断熱圧縮することができる。したがって、水蒸気と熱媒ガスのそれぞれについて適正な断熱圧縮を行うことにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
この乾燥プロセスにおいては、図4(A)の水のT−Q線図に対応するように、予熱部10と過熱部30において水の顕熱について、蒸発部20においては水の潜熱について含水固形物に対して熱の供給と回収を行っている。このように、この乾燥プロセスにおいては、含水化合物の含む水に対して、T−Q線図における予熱、蒸発及び過熱の各領域に対応して熱の供給と回収を行うことにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
(他の実施の形態)
図5は、他の実施の形態の乾燥プロセスを示す図である。この他の実施の形態の乾燥プロセスは、図2に示した乾燥プロセスの構成において過熱部30を設けないものである。他の構成は同様であるので、対応関係を明らかにするため対応する構成要素は図2と同一の符号で示す。
この乾燥プロセスにおいて、固気分離機61には蒸発部20にて含んだ水が蒸発して水蒸気にされた100℃の含水固形物が供給される。固気分離機61で分離されて熱回収部40に供給された100℃の固形物は30℃の熱媒ガスに対して放熱し、40℃まで降温され、熱媒ガスは90℃まで昇温される。熱媒ガスは熱媒過熱部50に供給され、110℃に昇温されて予熱部10に供給される。
固気分離機61で分離されて第2の圧縮機62に供給された100℃の水蒸気は、110℃まで昇温され、蒸発部20に供給される。他の構成については、図2に示した乾燥プロセスと同様であるので説明を省略する。
この乾燥プロセスは、過熱部30を設ける必要がないので、装置の構造が簡易になり、装置の小型化が可能になる。また、過熱部30で含水物を過熱する必要がないので、過熱に耐えることができない固形物に対しても適用することができる。
(第1の実施例)
図6は、乾燥プロセスを実現する乾燥装置の第1の実施例を示す図である。この乾燥装置は、供給された含水固形物を予熱する第1のスクリューフィーダー71、第1のスクリューフィーダー71で予熱された含水固形物に含まれる水を蒸発させる第2のスクリューフィーダー72、第2のスクリューフィーダー72から供給された含水固形物から熱を回収する第3のスクリューフィーダー73を有している。
また、この乾燥装置は、第2のスクリューフィーダー72から供給された水蒸気を断熱圧縮により昇温して第2のスクリューフィーダー72、第1のスクリューフィーダー71の順序で供給する第1の圧縮機74、第3のスクリューフィーダー73の冷却に用いられた空気を断熱圧縮により昇温して第1のスクリューフィーダー71に供給する第2の圧縮機75を有している。
この乾燥装置において、第1のスクリューフィーダー71、第2のスクリューフィーダー72、第3のスクリューフィーダー73は、それぞれ図2に示した予熱部10、蒸発部20、熱回収部40に対応している。
第1のスクリューフィーダー71において、供給された110℃の空気はシャフト管中を流され、110℃の水蒸気はこの第1のスクリューフィーダー71の胴体を周回する水管を流されている。この第1のスクリューフィーダー71に供給された30℃の含水固形物は、110℃の空気と同じく110℃の水蒸気を熱源として吸熱し、100℃まで昇温され、空気は放熱して40℃まで降温され、水蒸気も同じく40℃まで降温され凝縮水とされる。
第1のスクリューフィーダー71にて100℃まで昇温された含水固形物は第2のスクリューフィーダー72に供給され、含水固形物は110℃の水蒸気を熱源として吸熱し、含水固形物の含む水は蒸発して水蒸気にされる。
第2のスクリューフィーダー72から供給された100℃の含水固形物は、第3のスクリューフィーダー73において、30℃の空気を熱源として、放熱して40℃まで降温され、乾燥物として提供される。
一方、第2のスクリューフィーダー72から供給された100℃の水蒸気は、第1の圧縮機74にて断熱圧縮により110℃まで昇温される。この水蒸気は、第2のスクリューフィーダー72にて110℃の温度を維持しつつ放熱し、第1のスクリューフィーダー71にて放熱して40℃まで降温され凝縮水とされる。
第3のスクリューフィーダー73において、30℃の空気は吸熱して90℃まで昇温され、第2の圧縮機75にて断熱圧縮により110℃まで昇温され、第1のスクリューフィーダー71にて放熱して40℃まで降温される。
この第1の実施の形態の乾燥装置は、水蒸気を断熱圧縮する第1の圧縮機74と空気を断熱圧縮する第2の圧縮機75を別個に備えている。したがって、この乾燥装置は、水蒸気と空気について、それぞれ必要な温度に昇温させるために適正な圧縮比で断熱圧縮することができ、エネルギー効率の向上を図ることができる。
(第2の実施例)
図7は、乾燥プロセスを実現する乾燥装置の第2の実施例を示す図である。この乾燥装置は、供給された含水固形物を予熱するとともに含水固形物に含まれる水分を蒸発させる第1のスクリューフィーダー81、第1のスクリューフィーダー81から供給された含水固形物から熱を回収する第2のスクリューフィーダー82を有している。ここで、第1のスクリューフィーダー81は、含水固形物を予熱する前段81aと含水固形物の含む水を蒸発させる後段81bを有している。
また、この乾燥装置は、第1のスクリューフィーダー81から供給された水蒸気を断熱圧縮により昇温させて元の第1のスクリューフィーダー81に供給する第1の圧縮機84、第2のスクリューフィーダー82にて冷却に用いられた空気を断熱圧縮により昇温させて第1のスクリューフィーダー81に供給する第2の圧縮機85を有している。
第1のスクリューフィーダー81において、供給された110℃の水蒸気はシャフト管中を流され、110℃の空気はこの第1のスクリューフィーダー81の胴体を周回する管を流されている。これら水蒸気と空気は、この第1のスクリューフィーダー81の後段81bから前段81aの順序で流されている。
この第1のスクリューフィーダー81の前段81aにおいて、供給された30℃の含水固形物は、110℃の水蒸気と同じく110℃の空気を熱源として吸熱し、100℃まで昇温され、空気は放熱して40℃に降温され、水蒸気も同じく40℃まで降温され凝縮水とされる。
第1のスクリューフィーダー81の前段81aにて100℃まで昇温された含水固形物は第1のスクリューフィーダー81の後段81bに供給され、含水固形物は空気と110℃の水蒸気を熱源として吸熱し、含水固形物の含む水は蒸発して水蒸気にされる。
第1のスクリューフィーダー81から供給された100℃の含水固形物は、第2のスクリューフィーダー82において、30℃の空気を熱源として放熱し、40℃まで降温され、乾燥物として提供される。
一方、第1のスクリューフィーダー81から供給された100℃の水蒸気は、第1の圧縮機84による断熱圧縮により110℃まで昇温される。この水蒸気は、第1のスクリューフィーダー81の後段81bにて110℃の温度を維持しつつ放熱し、さらに、第1のスクリューフィーダー81の前段81aにて放熱し、40℃まで降温されて凝縮水にされる。
第2のスクリューフィーダー82において、30℃の空気は吸熱し、90℃まで昇温され、第2の圧縮機85にて断熱圧縮により110℃まで昇温され、第1のスクリューフィーダー81の後段81bにて110℃の温度を維持しつつ放熱し、さらに、第1のスクリューフィーダー81の前段81aにて放熱し、40℃まで降温される。
この第2の実施の形態の乾燥装置は、含水固形物の予熱と含水固形物の含む水の蒸発を第1のスクリューフィーダー81の前段81aと後段81bで連続して実行している。したがって、含水固形物の予熱の工程から含水固形物の含む水の蒸発の工程に含水固形物を同じ軸上で連続して移動させることにより供給することができ、含水固形物の搬送を容易にすることができる。また、予熱部と蒸発部を別個に設ける必要がなくなるので、構成が簡易化され、設備のコストも低減される。
(第3の実施例)
図8は、乾燥プロセスを実現する乾燥装置の第3の実施例を示す図である。この乾燥装置は、供給された含水固形物の含水固形物を予熱する第1のスクリューフィーダー91、第1のスクリューフィーダー91にて予熱された含水固形物に含まれる水を蒸発させる第2のスクリューフィーダー92、第2のスクリューフィーダー92から供給された含水固形物から熱を回収する第3のスクリューフィーダー93を有している。
また、この乾燥装置は、第2のスクリューフィーダー92から供給された水蒸気と第3のスクリューフィーダー93の冷却に用いられた空気を併せた混合熱媒を断熱圧縮により昇温させ、第2のスクリューフィーダー92、第1のスクリューフィーダー91の順序で供給する圧縮機95を有している。
第1のスクリューフィーダー91において、供給された30℃の含水固形物は110℃の混合熱媒を熱源として吸熱し、100℃まで昇温され、混合熱媒は放熱して40℃まで降温され、混合熱媒に含まれる水蒸気は凝縮水とされる。
第1のスクリューフィーダー91にて100℃まで昇温された含水固形物は第2のスクリューフィーダー92に供給され、含水固形物は110℃の混合熱媒を熱源として吸熱し、含水固形物の含む水は蒸発して水蒸気にされる。
第2のスクリューフィーダー92から供給された100℃の含水固形物は第3のスクリューフィーダー93に供給され、30℃の空気を熱源として40℃まで降温され、乾燥物として提供され、空気は90℃まで昇温される。
一方、第2のスクリューフィーダー92から供給された100℃の水蒸気は、第3のスクリューフィーダー93にて吸熱した90℃の空気と混合されて混合熱媒とされ、圧縮機95にて断熱圧縮により110℃まで昇温される。この混合熱媒は、第2のスクリューフィーダー92にて110℃の温度を維持しつつ放熱し、さらに、第1のスクリューフィーダー91にて放熱し、40℃まで降温され、混合触媒に含まれる水蒸気は凝縮水にされる。
この第3の実施形態の乾燥装置は、水蒸気と空気の混合熱媒を単一の圧縮機95により断熱圧縮している。このため、水蒸気と空気について個別に流路を設ける必要がなく、また単一の圧縮機にて足りるので、構成が簡易化され、設備のコストも低減される。
この出願に係る発明は、汚泥の乾燥、褐炭の乾燥、バイオマスの乾燥に利用することができる。
10 予熱部
20 蒸発部
30 過熱部
40 熱回収部
50 熱媒過熱部
51 第1の圧縮機
61 固気分離機
62 第2の圧縮機

Claims (6)

  1. 水及び熱媒の顕熱を回収し、供給された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱ステップと、
    水蒸気の潜熱を回収し、前記予熱ステップにて予熱された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発ステップと、
    前記蒸発ステップにて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を水蒸気と固形物に分離する固気分離ステップと、
    前記固気分離ステップにて分離された前記固形物の顕熱を熱媒により回収し、前記固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収ステップと、
    前記固気分離ステップから供給された水蒸気を断熱圧縮して昇温させる水蒸気圧縮ステップと、
    前記熱回収ステップにて熱を回収した熱媒を過熱する熱媒過熱ステップとを有し、
    前記水蒸気圧縮ステップにて昇温された水蒸気は、前記蒸発ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収され、前記熱媒過熱ステップにて過熱された熱媒は、前記予熱ステップで熱が回収される含水固形物乾燥方法。
  2. 水蒸気及び熱媒の顕熱を回収し、前記蒸発ステップにて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物をさらに過熱する過熱ステップをさらに有し、前記固気分離ステップには前記過熱ステップにて過熱された含水固形物が供給され、前記水蒸気圧縮ステップにて昇温された水蒸気は、前記過熱ステップ、前記蒸発ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収され、前記熱媒過熱ステップにて過熱された熱媒は、前記過熱ステップ及び前記予熱ステップの順序で熱が回収される請求項1記載の含水固形物乾燥方法。
  3. 前記熱媒は気体であり、前記熱媒過熱ステップは前記熱媒を断熱圧縮して昇温させる熱媒圧縮ステップを有する請求項1又は2に記載の含水固形物乾燥方法。
  4. 前記水蒸気圧縮ステップ及び前記熱媒圧縮ステップは圧縮比が異なる請求項3に記載の含水固形物乾燥方法。
  5. 水及び熱媒の顕熱を回収し、供給された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱手段と、
    水蒸気の潜熱を回収し、前記予熱手段にて予熱された含水固形物を前記回収した熱で加熱し、前記含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気にする蒸発手段と、
    前記蒸発手段にて含まれる水が水蒸気にされた含水固形物を水蒸気と固形物に分離する固気分離手段と、
    前記固気分離手段にて分離された前記固形物の顕熱を熱媒により回収し、前記固形物を冷却して乾燥物として提供する熱回収手段と、
    前記固気分離手段から供給された水蒸気を断熱圧縮して昇温させる水蒸気圧縮手段と、
    前記熱回収手段にて熱を回収した熱媒を過熱する熱媒過熱手段とを有し、
    前記水蒸気圧縮手段にて昇温された水蒸気は、前記蒸発手段及び前記予熱手段の順序で熱が回収され、前記熱媒過熱手段にて過熱された熱媒は、前記予熱手段で熱が回収される含水固形物乾燥装置。
  6. 前記予熱手段は、水の顕熱を回収する第1の熱交換手段と、熱媒の顕熱を回収する第2の熱交換手段とを有し、前記含水固形物の一部を前記第1の熱交換手段にて予熱し、前記含水固形物の残りを前記第2の熱交換手段にて予熱する請求項5に記載の含水固形物乾燥装置。
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