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JP2014102565A - 無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ探索プログラム - Google Patents

無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ探索プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】リスト情報(IDリスト)が無い場合でも、使用期限切れ等の条件に該当する物品を、短時間で探すことが可能な無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】物品の識別情報と状態情報を格納可能な記憶部を有する無線タグと通信する無線タグ通信装置であって、探索対象となる状態情報を読取るための探索条件設定部と、無線タグを指定しないで読取る第1の読取機能と、無線タグを指定し、送信出力を設定して繰返し読取る第2の読取機能により、設定された探索条件で無線タグと通信を行う無線タグ通信部と、第1の読取機能により読取った情報と探索条件を比較判定する比較判定部と、比較判定の結果に従って、第1の読取機能による読取動作から第2の読取機能による読取動作に切換えるように無線タグ通信部を制御する通信制御部と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、対象物を探す作業の効率化を図った無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ探索プログラムに関する。
従来、店舗、倉庫或いはオフィス等で、商品や機器等の物品に無線タグを貼付し、無線タグ通信装置を用いて無線タグの記憶部の情報を非接触で読取り、物品の存在を検出するシステムがある。短時間で複数の無線タグの情報を取得できるため、各種作業の効率化等の点で注目されており、無線タグ通信装置の通信範囲が広いほど、多くの無線タグの情報を取得することができる。
一例として、物品に無線タグを貼付し、無線タグの記憶部に、無線タグを特定するID番号(識別情報)や、物品の製造年月等の状態情報を格納しておき、無線タグ通信装置で無線タグの状態情報を読取って、物品が使用期限内(又は賞味期限内)か否かを検出する利用シーンがある。
特許文献1には、複数の無線タグの中から特定のID情報を有する無線タグを検出し、物品の認識作業を行う無線タグ通信装置が開示されている。
ところで、従来の無線タグ通信装置では、無線タグの識別情報と状態情報をサーバ等に格納し、使用期限を経過した無線タグの識別情報を抽出してリスト情報(IDリスト)を作成し、リスト情報を事前に入手している場合には、無線タグ通信装置に探索IDを設定することで探索作業を行うことができる。しかしながら、事前にリスト情報(IDリスト)を入手できない場合がある。
例えば、無線タグが備えられた物品が出荷され、中間納入先を経由してさらに物品が最終納入先に渡るようなケースがあり、中間納入先で無線タグの識別情報を用いた個品管理を行っていない場合がある。したがって、中間納入先にて使用期限切れの物品を探して取除く作業を行う場合には、先ず、無線タグ通信装置を用いて、中間納入先に存在する無線タグを読みながら中間納入先の中を一回りして、存在する全ての無線タグの識別情報と状態情報を読取り、次いで、読取った情報から使用期限切れの無線タグを抽出してリスト情報(IDリスト)を生成する必要がある。さらに、無線タグ通信装置に探索用のIDを設定し、使用期限切れの無線タグ及び物品を探して取除くことになる。即ち、リスト情報(IDリスト)を生成するために中間納入先の中を一回りした後、使用期限切れの物品を探して取除くために、中間納入先の中を再度一回りしなければならない。
特開2011−237941号公報
発明が解決しようとする課題は、リスト情報(IDリスト)が無い場合でも、使用期限切れ等の条件に該当する物品を、短時間で探すことが可能な無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ探索プログラムを提供することにある。
実施形態に係る無線タグ通信装置は、複数の物品に備えられ、前記物品の識別情報と状態情報を格納可能な記憶部を有する無線タグと通信する無線タグ通信装置であって、前記無線タグの記憶部から探索対象となる状態情報を読取るための探索条件を設定する探索条件設定部と、前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能と、前記無線タグを指定するとともに、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により、前記設定された探索条件で前記無線タグと通信を行う無線タグ通信部と、前記第1の読取機能により前記無線タグから読取った情報と前記探索条件を比較判定する比較判定部と、前記比較判定の結果に従って前記無線タグ通信部を制御し、前記第1の読取機能により前記探索条件に合致する状態情報を前記無線タグから読取ったとき、前記第2の読取機能による読取動作に切換えるように制御する通信制御部と、を備える。
一実施形態に係る無線タグ通信装置を用いた物品探索の説明図。 一実施形態に係る無線タグ通信装置の外観図。 一実施形態に係る無線タグ通信装置の要部の構成を示すブロック図。 一実施形態における無線タグ通信部と通信制御部の具体的な構成を示すブロック図。 一実施形態における制御部の処理手順を示すフローチャート。 図5Aに続く制御部の処理手順を示すフローチャート。 一実施形態における探索条件の設定入力画面の一例を示す説明図。 一実施形態における第1の読取機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。 一実施形態における第2の読取機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。 第2の実施形態における制御部の処理手順を示すフローチャート。 図9Aに続く制御部の処理手順を示すフローチャート。 第2の実施形態における操作情報の設定入力画面の一例を示す説明図。 第2の実施形態における指定書込機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。 第3の実施形態における指定読取機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。 第4の実施形態に係る無線タグ通信システムの構成を示すブロック図。
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線タグ通信装置を用いた物品探索の説明図である。物品10は商品或いは機器であり、少なくとも対象エリア(Area)に複数の物品(10、10…)が存在している。それぞれの物品10には、無線タグ11が備えられており、無線タグ11の記憶部12には、無線タグを特定する識別情報(タグID)13と物品の状態情報14が格納されている。状態情報14は、例えば、物品10の賞味期限や使用期限、製造日等の情報であり、物品10の現在の状態を判断する上での基準の情報である。
以下の説明では、物体10は商品であり、状態情報14として賞味期限の年月日が格納されているものとする。また、対象エリア(Area)に出入りする物品10には、無線タグ11が貼付されているが、対象エリア(Area)の中に存在する無線タグの識別情報13及び状態情報14のリスト情報が手元に無い状態で、オペレータが対象エリア(Area)の中から賞味期限切れの物品を探して取除く作業を行うシーンを例にとって説明する。
図2(a)は、無線タグ通信装置20の外観図である。無線タグ通信装置20は、本体21とアンテナ22を有し、本体21とアンテナ22は、ケーブル23で接続されており、携帯可能になっている。本体21は、ディスプレイ等の通知部24と、キーボード等の入力部25を備えている。
アンテナ22は、板状のアンテナ筐体26にグリップ27を取り付けている。オペレータは、グリップ27を握ってアンテナ22のアンテナ面28を任意の方向に向けて無線タグの読取りを行う。尚、図2では、本体21とアンテナ22は分離して示しているが、一体化した構造であってもよい。
図2(b)に示すように、アンテナ22は、アンテナ筐体26の内部に板状の誘電体221を固定し、この誘電体221のアンテナ面28側に放射器222を設け、その反対の背面側にグランド223を設けた平面パッチアンテナである。そして、アンテナ面28の中心から略垂直方向に最大の利得を持つ指向性を有している。
図3は、無線タグ通信装置20の構成を示すブロック図である。無線タグ通信装置20(以下、単に通信装置20と呼ぶ)は、通知部24、入力部25のほかに、無線タグ通信部30、電源部31、上位機器100との通信を行う通信部32及び制御部33を備えている。上位機器100は、例えばサーバでなる。
通知部24はディスプレイとブザーを含み、入力部25はキーボードである。尚、入力部25は、通知部24のディスプレイ上に構成したタッチパネルでもよい。無線タグ通信部30は、アンテナ22を備え、無線により無線タグ11と通信して、無線タグ11の記憶部12に記憶された識別情報(タグID)13、状態情報14等を受信して読み取る。無線タグ通信部30の詳細は後述する。
電源部31は、バッテリと、バッテリを充電及び放電する制御回路からなる。通信部32は、通信回線を介して接続される上位機器100と通信を行う。通信回線は有線、無線を問わない。上位機器100は、無線タグ11の識別情報に対応した物品情報が格納されており、通信装置20は、上位機器100と通信部32を介して通信できる。
制御部33は、コンピュータを構成するもので、CPU(Central Processing Unit)34を有し、入力部25、通知部24、無線タグ通信部30、電源部31及び通信部32を制御して通信装置20の全体を制御する。また制御部33は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)からなる記憶部35を有する。記憶部35のROM350には、制御部33が使用するプログラムや設定データ等が予め格納されている。RAMには、制御部33の作用により可変的なデータが一時的に書き込まれる。
またRAMには、タグ読取情報351、探索条件情報352、操作情報353等が格納される。タグ読取情報351は、無線タグ通信部30が受信した無線タグ11の識別情報を含む。探索条件情報352は、無線タグ11の記憶部12から探索対象となる状態情報を読取るための探索条件に関する情報である。また操作情報353は、探索により無線タグ11を特定した後で、無線タグ11の記憶部12の指定領域に探索履歴の情報を書込んだり、書込んだ探索履歴の情報を読取るための指示を行う情報である。探索履歴の情報については後述する。
探索条件情報352と操作情報353は、それぞれ入力部25の探索条件設定部251と操作情報設定部252によって設定される。また、探索条件情報352と操作情報353は、通信部32を介して上位機器100から入手して設定してもよい。
また、制御部33は、通信制御部36を備える。通信制御部36は、無線タグ通信部30に送信出力や送信データ等を設定して制御するとともに、受信データを受信制御する。通信制御部36については無線タグ通信部30と併せて後述する。
さらに制御部33は、比較判定部37を有し、比較判定部37は、タグ読取情報351と探索条件情報352を比較し、比較結果を通信制御部36に送る。比較判定部37については、後述する。
図3に示すように、無線タグ11の記憶部12には、識別情報(タグID)と、賞味期限、製造日等の状態情報が予め定められた領域に格納されており、かつ賞味期限確認日、製造日確認日等の探索履歴の情報を格納するための領域が確保されている。
図4は、無線タグ通信部30と通信制御部36の具体的な構成を示すブロック図である。無線タグ通信部30は、無線タグ11にデータを送信する送信部41と、無線タグ11からデータを受信する受信部42と、サーキュレータ等の方向性結合器43と、ローパスフィルタ44と、アンテナ22を備え、方向性結合器43に、送信部41、受信部42及びローパスフィルタ44を接続し、方向性結合器43を、ローパルフィルタ44を介してアンテナ22に接続している。
送信部41は、符号化部45、PLL(Phase Locked Loop)部46、振幅変調部47、バンドパスフィルタ48及び電力増幅器49を有している。符号化部45は、通信制御部36の送信制御部72から出力される送信信号を符号化する。PLL部46は、振幅変調部47にローカルキャリア信号を供給する。振幅変調部47は、PLL部46からのローカルキャリア信号を、符号化部45にて符号化した送信信号で振幅変調する。
バンドパスフィルタ48は振幅変調部47で振幅変調された送信信号から不要な成分を除去する。電力増幅器49は、通信制御部36の送信出力設定部71からの送信出力設定信号に応じた増幅率で送信信号を増幅する。送信信号を増幅することにより送信出力が可変され、電力増幅器49で増幅された送信信号は、方向性結合器43に供給される。
方向性結合器43は、送信部41からの送信信号を、ローパスフィルタ44を介してアンテナ22に供給する。アンテナ22に供給された送信信号は、アンテナ22から電波として放射される。アンテナ22から放射された電波を受信して無線タグ11は起動する。起動した無線タグ11は、無変調信号に対してバックスキャッタ変調を行うことにより無線タグ11の記憶部12に格納された情報を通信装置20に無線送信する。無線タグ11からの無線信号は、アンテナ22で受信される。
アンテナ22で受信した受信信号は、ローパスフィルタ44を介して方向性結合器43に供給される。方向性結合器43は、アンテナ22の受信信号、即ち、無線タグ11からの信号を受信部42に供給する。受信部42は、I信号生成部50、Q信号生成部51、I信号処理部52、Q信号処理部53及び受信信号レベル検出部54を備えている。
I信号生成部50は、ミキサ55と、ローパスフィルタ56と、2値化回路57とからなる。Q信号生成部51は、ミキサ58と、ローパスフィルタ59と、2値化回路60と、90度位相シフト器61とからなる。
I信号処理部52は、I信号同期クロック生成部62、I信号プリアンブル検出部63、I信号復号部64及びI信号エラー検出部65からなる。Q信号処理部53は、Q信号同期クロック生成部66、Q信号プリアンブル検出部67、Q信号復号部68及びQ信号エラー検出部69からなる。
受信部42は、方向性結合器43からの受信信号を、第1のミキサ55と第2のミキサ58にそれぞれ入力する。また、受信部42は、PLL部46からのローカルキャリア信号を、第1のミキサ55と90度位相シフト器61とに入力する。90度位相シフト器61は、ローカルキャリア信号の位相を90度シフトして、第2のミキサ58に供給する。
第1のミキサ55は、受信信号とローカルキャリア信号とを混合して、ローカルキャリア信号と同相成分のI信号を生成する。I信号は、ローパスフィルタ56を介して2値化回路57に供給される。ローパスフィルタ56は、I信号から不要な高周波成分を除去して、符号化されたデータ成分を取り出す。2値化回路57は、ローパスフィルタ56を通過した信号を2値化する。
第2のミキサ58は、受信信号と90度位相がシフトされたローカルキャリア信号とを混合して、ローカルキャリア信号と直交成分のQ信号を生成する。Q信号は、ローパスフィルタ59を介して2値化回路60に供給される。ローパスフィルタ59は、Q信号から不要な高周波成分を除去して、符号化されたデータ成分を取り出す。2値化回路60は、ローパスフィルタ59を通過した信号を2値化する。
2値化回路57で2値化したI信号は、I信号処理部52の各部62〜65にそれぞれ供給される。また、2値化回路60で2値化したQ信号は、Q信号処理部53の各部66〜66にそれぞれ供給される。I信号処理部52とQ信号処理部53は、その動作が共通であるため、以下ではI信号処理部52について説明し、Q信号処理部53の説明は省略する。
同期クロック生成部62は、2値化回路57からの2値化信号と同期したクロック信号を常時生成し、生成したクロック信号を、通信制御部36の受信制御部70、プリアンブル検出部63、復号部64及びエラー検出部65に供給する。
プリアンブル検出部63は、同期クロック生成部62からのクロック信号を基に、I信号の先頭に付されているプリアンブルを検出する。プリアンブルが検出されると、プリアンブル検出部63は、通信制御部36の受信制御部70に検出信号を出力する。プリアンブル検出信号を受信すると、受信制御部70は、復号部64に復号開始の指令信号を供給する。復号部64は、同期クロック生成部62からのクロック信号に同期して、2値化回路57からの2値化信号をサンプリングする。そして、受信制御部70から復号開始の指令を受けると、そのサンプリングした2値化信号を復号する。復号されたデータは、受信制御部70に供給される。
受信制御部70は、復号されたデータをエラー検出部65に供給する。エラー検出部65は、復号されたデータのチェックコードからエラー有無を検出する。そして、検出結果を示すデータを受信制御部70に供給する。受信制御部70は、I信号或いはQ信号の少なくとも一方で誤りが無い場合、正しくデータを受信したと判定する。正しく受信した受信データは、記憶部35にタグ読取情報351として格納される。
受信信号レベル検出部54は、ローパスフィルタ56を通過したI信号の振幅と、ローパスフィルタ59を通過したQ信号の振幅とをそれぞれ検出する。そして、大きい方の振幅の値を、受信信号レベルとして通信制御部36に通知する。或いは、I信号とQ信号をベクトル合成した(1)式の値を受信信号レベルとして通知してもよい。
Figure 2014102565
通信制御部36は、受信制御部70のほかに、送信出力設定部71、送信制御部72、機能設定部73及び受信状態検出部74を有している。受信状態検出部74は、所定時間の間の受信成功率を算出する。或いは、所定時間に受信信号レベル検出部54から通知された受信信号レベルの平均値或いは最大値を用いて受信状態を検出してもよい。受信成功率は(2)式で求められる。
受信成功率=正しくデータを受信した回数/(正しくデータを受信した回数+エラーを検出した回数) …(2)
以下、ISO18000-6Cのプロトコルを使用した場合を例にとって説明する。通信装置20は、ISO18000-6Cのプロトコルを使用した、第1の読取機能(通常読取機能)、及び第2の読取機能(指定繰返し読取機能)の2つの読取機能を持つ。通信制御部36には機能設定部73を備え、機能設定部73は、第1の読取機能、及び第2の読取機能のうち1つを設定する。通信制御部36の送信制御部72、送信出力設定部71、受信状態検出部74は、機能設定部73で設定された機能に従い、対応した動作を行うように構成されている。
第1の読取機能は、無線タグを指定しないで読取を行う機能であり、アンテナ22から放射された電波を受けて起動し、通信可能な状態にある無線タグ11と通信を行い、無線タグ11の記憶部12に格納された識別情報13及び状態情報14を読取る。
第2の読取機能は、ISO18000-6 type CのSelectコマンドにより応答するタグを指定して、無線タグ11の記憶部12に格納された識別情報13と状態情報14の読取りを繰返す機能である。また第2の読取機能は、受信状態検出部74で検出した受信状態によって送信出力設定部71で送信出力設定信号を設定して送信出力を制御し、指定した無線タグ11の存在範囲を絞込む機能であり、オペレータが指定した無線タグ11を特定するのを補助する。第2の読取機能は、さらに通信制御部36の受信状態検出部74で検出した受信状態を通知部24で通知する。
以下、探索作業での、第1の読取機能及び第2の読取機能の2つの読取機能について説明する。
図5A、図5Bは、オペレータが通信装置20を用いて、対象エリア(Area)の中から賞味期限切れの物品を探して取除く作業を行う場合の、制御部33の処理手順を示すフローチャートである。この手順は、記憶部35のROM350に格納された無線タグ探索プログラムによって制御される。
オペレータが、図1の対象エリア(Area)において通信装置20を携帯し、例えば、入力部25の作業開始キーを操作すると、探索プログラムが起動する。制御部33は、先ず、図5Aの動作(Act)A1で探索条件を設定する。動作A1では、探索条件設定部251により、ディスプレイ(通知部)24に図6に示す画面を表示し、オペレータに入力を促す。
図6は、探索条件の設定入力画面の一例を示す説明図である。図6では、「1.賞味期限」(〇年○月○日以前)、「2.賞味期限」(〇年○月○日以降)、「3.製造日」(〇年○月○日以前)、「4.製造日」(〇年○月○日以降)の項目を選択可能であって、それぞれの年月日を入力可能となっている。オペレータは、入力部25のキーを操作して該当する入力枠に年月日を入力する。
図6では、賞味期限が2010年2月2日以前のものを探索条件とする場合の入力例を示しており、オペレータによって入力部25の決定キーが入力されると、制御部33は、入力された情報を記憶部35に探索条件情報352として格納する。図6において、「5その他」が入力された場合には、さらに詳しい条件を設定できる画面に遷移する。
なお、制御部33は、予め各探索条件の項目(賞味期限或いは製造日)に対応する無線タグ11の記憶部12の指定領域(格納場所)が分かっている。例えば、探索条件として賞味期限が設定されると、制御部33は、無線タグ11の記憶部12の賞味期限情報の指定領域(格納場所)が分かる。
次に、制御部33は、通信制御部36の機能設定部73で第1の読取機能を設定する(図5Aの動作A2)。動作A2では、第1の読取機能の場合の予め定められた送信出力に対応した送信出力設定信号が送信出力設定部71から出力される。また、送信制御部72から第1の読取機能の場合の送信信号が出力され、かつ送信制御部72は送信タイミング等を設定する。このとき、探索条件情報352をもとに探索条件が設定され、設定された探索条件で無線タグ11の識別情報13と状態情報14が読取られることになる。状態情報14は、例えば賞味期限の情報である。
次いで、第1の読取機能により通常読取りを開始する(動作A3)。送信出力設定部71から送信出力設定信号を出力すると、無変調キャリア信号がアンテナ22から電波として放射され、送信制御部72から送信信号を出力すると、無線タグ11に対する送信が行われる。制御部33は、入力部25から第1の読取機能終了のキー入力があるか否かを判断し(動作A4)、第1の読取機能終了のキー入力を検出するまで通常読取りを続ける。第1の読取機能終了のキー入力があると処理を終了する。
図7は、通信装置20と無線タグ11(ここでは、4つの無線タグTG1〜TG4)との間の無線通信プロトコルの一例を示すタイミングチャートである。上述のように、ISO18000-6 type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“4”とした場合である。
図7において、記号[Q]、[R]、[A]、[ID]、[Qr]はいずれも通信データを示している。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。
先ず、通信装置20は、無変調のキャリア信号をアンテナ22から電波として送信する。各無線タグTG1〜TG4は、この電波を受けて起動する。次に通信装置20は、第1ラウンドの読取開始を指令するためのQueryコマンド[Q]を送信する。Queryコマンド[Q]には、1ラウンドあたりのスロット数を“4”とするパラメータ(Q値=2)が含まれている。各無線タグTG1〜TG4は、Queryコマンド[Q]を受信すると、乱数を生成する。そして、乱数により各無線タグTG1〜TG4は、1ラウンド中の4つのスロットのうち、どのスロットで応答するかを決定する。同じく乱数により、各無線タグは応答データ[R]を生成する。応答データ[R]は、乱数によって生成されるため、無線タグ毎に異なる値となる。また、同じ無線タグでも乱数を生成する毎に異なる値となる。
図7の例では、無線タグTG2は1番目のスロット0で応答データ[R]を送信する。無線タグTG2からの応答データ[R]を受信すると、通信装置20は、その応答データ[R]を正常に受信したことを指令するAcknowledge(Ack)コマンド[A]を送信する。このAckコマンド[A]には、無線タグTG2から受信した応答データ[R]が含まれる。
応答データ[R]を送信した無線タグTG2は、Ackコマンド[A]を待つ。そして、Ackコマンド[A]を受信すると、自身が送信した応答データ[R]が含まれているか否かを確認する。応答データ[R]が含まれている場合、無線タグTG2は、Ackコマンド[A]が自身宛であると認識し、自己のメモリで記憶しているID情報[ID]を送信する。通信装置20は、ID情報[ID]を受信したら誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、受信したID情報[ID]を記憶部35にタグ読取情報351として記憶する。
次いで、通信を継続するためにTG2にReqRNコマンド[Rr]を送信し、Reply情報[Re]を待つ。そして、[Re]を受信したら、同様に誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、探索条件情報352に設定された探索項目(本実施の形態では賞味期限)が格納された無線タグ11の記憶部12の先頭アドレス情報とデータ量情報を含むReadコマンド[Rd]を送信し、状態情報(本実施の形態では賞味期限を含む情報)[DT]を待つ。そして、状態情報[DT]を受信したら、誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、受信した状態情報を記憶部35にタグ読取情報351として格納する。
次に、通信装置20は、スロットの切換を指令するため、Query-repコマンド[Qr]を送信する。ただし、既に応答データ[R]を送信した無線タグTG2はQuery-repコマンド[Qr]を受信しても応答しない。図7の例では、無線タグTG1が2番目のスロット1で応答データ[R]を送信する。以降の2番目のスロット1での動作は、1番目のスロット0の動作と同じため説明を省略する。2番目のスロット1での通信が終了すると、通信装置20は、スロットの切換を指令するためのQuery-repコマンド[Qr]を送信する。ただし、既に応答データ[R]を送信した無線タグTG1、TG2は、Query-repコマンド[Qr]を受信しても応答しない。
図7の例では、無線タグTG3及びTG4は、3番目のスロット2でそれぞれ異なる応答データ[R]を送信する。応答データ[R]の送信開始時間は、Queryコマンド[Q]或いはQuery-repコマンド[Qr]を受信してから所定時間以内に規定されているため、同じスロットで2つ以上の無線タグが、それぞれ応答データ[R]を送信する場合には、応答データ[R]の送信の一部は必ず衝突するようになっている。このため、通信装置20は、無線タグTG3の応答データ[R]と無線タグTG4の応答データ[R]を受信できず、通信装置20は、応答データ[R]の受信タイムアウトを検出する。
次に、通信装置20は、スロットの切換を指令するための、Query-repコマンド[Qr]を送信し、4番目のスロット3を開始する。ただし、図7の例では、既に無線タグTG1〜TG4は、ラウンド1で応答データ[R]を送信しているため、4番目のスロット3では応答データ[R]の送信は無く、通信装置20は応答データ[R]の受信タイムアウトを検出する。
通信装置20は、ラウンド1の4つのスロットの終了を検出し、新しいラウンド2の1番目のスロット0の開始を指令するQueryコマンド[Q]を送信する。図7の例では、ID情報[ID]を送信した無線タグTG1とTG2はラウンド2以降も応答しない。ラウンド2の1番目のスロット0では、無線タグTG4が応答データ[R]を送信する。以降のラウンド2の1番目のスロット0の動作はラウンド1の1番目のスロット0動作と同じため、説明を省略する。
ラウンド2の1番目のスロット0での通信が終了すると、通信装置20は、スロットの切換を指令するQuery-repコマンド[Qr]を送信する。ラウンド2の2番目のスロット1では、無線タグTG3が応答データ[R]を送信する。通信装置20は、無線タグTG3からの応答データ[R]を受信すると、応答データ[R]を正常に受信したことを指令するAckコマンド[A]を送信する。図7では、例えば、無線タグTG3が、物陰にあり、通信装置20が送信したAckコマンド[A]の信号が減衰し、無線タグTG3がAckコマンド[A]受信時に受信エラーを検出した例を示している。
通信装置20は、Ackコマンド[A]を送信した後、無線タグTG3からのID情報[ID]の受信を待っているが、受信タイムアウトとなり、同様に次のスロットに切り換える。以降、上述と同様な動きをして、通信装置20は、通常読取機能により、対象エリア(Area)内の多数の無線タグと通信して、ID情報[ID]を受信する。
図5Aの説明に戻り、制御部33は、第1の読取機能でタグ識別情報13と状態情報14を読取ったかどうかを検出する(動作A5)。読取ったことを検出した場合には、読取ったタグ識別情報と状態情報を記憶部35にタグ読取情報351として格納する。また比較判定部37は、探索条件情報352とタグ読取情報351の状態情報(本実施の形態の場合は賞味期限)を比較する(動作A6)。
動作A7では、比較判定部37の比較結果を判断する。読取った無線タグの状態情報が探索条件に合致しないと判定した場合には、動作A4に戻り、制御部33はそのまま第1の読取機能による読取動作を続ける。動作A7で、比較判定部24が探索条件に合致すると判断した場合、制御部33は、第1の読取機能による読取動作を中断し、第2の読取機能による読取動作に切換え、図5Bのフローチャートに移行する。また、オペレータが入力部25を操作して、第2の読取機能に切換えるようにキー入力することもできる。
次に、図5Bに示すように、制御部33はディスプレイ24に第2の読取機能に切換える旨を表示し(動作A8)、制御部33は通信制御部36の機能設定部73で、第2の読取機能を設定する(動作A9)。動作A9では、第2の読取機能の場合の予め定められた送信出力の初期値に対応した送信出力設定信号が、出力設定部71から出力される。また送信制御部72からは、第2の読取機能の場合の送信信号が出力され、かつ送信制御部72は送信タイミング等を設定する。ここでは、説明を簡単にするために、送信出力の初期値は通信装置20で設定可能な送信出力の最大値とする。
次に制御部33は、第1の読取機能による読取動作で読取った状態情報[DT]と、探索条件情報352とを比較判定部37により比較した結果をもとに、探索条件に合致すると判定した無線タグ11を、第2の読取機能の対象として設定する。第1の読取機能によって該当する無線タグ11の識別情報を取得しているため、第2の読取機能では無線タグ11の識別情報を設定し(動作A10)、無線タグ11を特定する。ここでは、図7の無線タグTG4が探索条件に合致し、TG4の識別情報を設定して第2の読取機能による読取を行うものとして、以下説明する。
次に、制御部33は、第2の読取機能(指定繰返し読取機能)による読取動作を開始する(動作A11)。そして送信出力設定部71から、送信出力設定信号を出力すると、無変調キャリア信号がアンテナ22から電波として放射され、送信制御部72から送信信号を出力すると、無線タグ11に対する送信が行われる。
図8は、通信装置20と無線タグTG4との間の無線通信プロトコルの一例を示すタイミングチャートである。図7と同様にISO18000-6type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“1”とした場合である。
記号[S]、[Q]、[R]、[A]、[ID]は、いずれも通信データを示す。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また[S]を除く各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。
図8の丸印“○”は、各ラウンドで通信装置20のID情報[ID]の受信成功を意味している。記号“×”は受信失敗を意味している。先ず通信装置20は、上述の通り、無変調のキャリア信号をアンテナ22から電波として送信する。次に、通信装置20は、Selectコマンド[S]、次いでQueryコマンド[Q]を送信し、1番目のラウンドR1を開始する。Selectコマンド[S]は、指定繰返し読取機能の対象である無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4の識別情報を設定している。無線タグTG4以外の他の無線タグが、このSelectコマンド[S]及びQueryコマンド[Q]を受信した場合、他の無線タグは、自身の識別情報とは異なる識別情報が指定されていると判断して、応答信号[R]を送信しない。1番目のラウンドR1は、無線タグTG4に十分な電波が届いていない等の理由により、通信装置20は応答信号[R]を待機中に受信タイムアウトを検出した例である。
通信装置20は、ラウンドR1のSelectコマンド[S]の送信開始時から、時間t1経過時に、無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4の識別情報を設定したSelectコマンド[S]、次いでQueryコマンド[Q]を送信し、2番目のラウンドR2を開始する。2番目のラウンドR2は、通信装置20が無線タグTG4からID情報[ID]を正しく受信した場合を示す。以降、同様に通信装置20は、Selectコマンド[S]の送信開始時から時間t1経過時に、無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4の識別情報を設定したSelectコマンド[S]及びQueryコマンド[Q]を送信し、次のラウンドを開始する。ラウンドR5、R6、及びラウンドR8は、通信装置20がAckコマンド[A]を送信した後、通信装置20がID情報[ID]を待っている間に受信タイムアウトを検出し、ID情報[ID]の受信に失敗した例を示している。
また、制御部33は、各ラウンドでID情報[ID]を正しく受信したか否かを検出するとともに、例えば、前3ラウンドのID情報[ID]の受信可否結果を含めて通信成功率を算出する。図8の例では、ラウンドR4で算出した通信成功率SVは、ラウンドR1からラウンドR4までのID情報[ID]受信可否結果から75%となる。ラウンドR5で算出した通信成功率SVは、ラウンドR2からラウンR5までのID情報[ID]受信可否結果から75%である。
図5Bに戻り、制御部33は、動作A11で第2の読取機能による読取動作を開始したあと、各ラウンドで無線タグ11のID情報[ID]の読取可否を検出する(動作A12)。また通信状態を算出する(動作A13)。ここでは、通信状態として通信成功率SVを算出する。また、算出した通信成功率SVをディスプレイ24に表示してもよい。
次に、制御部33は、算出した通信成功率SVを閾値aとを比較する(動作A14)。通信成功率SVが閾値aより大きいときは、通信状態が良好と判定する。例えば、閾値a=70%とする。また制御部33は、通信成功率SVが閾値aより大きい場合には、通信状態が良好であることを示すために、例えば「アンテナを向けた方向に対象の無線タグがあるので、その方向に進んでください」という内容をディスプレイ24に表示する(動作A15)。
また、制御部33は、現在の通信装置20の送信出力と、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最小値とを比較する(動作A16)。通信装置20の送信出力を最小値に設定した場合に、第2の読取機能によって対象の無線タグを特定するときの読取範囲が最小になる。第2の読取機能での送信出力の初期値、最大値及び最小値は予めオペレータにより設定されている。
制御部33は、現在の送信出力が最小値よりも大きい場合には、送信出力を1ステップ下げ(動作A17)、読取範囲を狭める。現在の送信出力が最小値の場合には、「最小の読取範囲内に対象の無線タグが存在する」及び「第2の読取機能を終了して第1の読取機能に切換える」旨をディスプレイ24に表示する(動作A24)。
また制御部33は、動作A14において、通信成功率SVが閾値a以下の場合には、通信成功率SVを閾値bと比較する(動作A18)。閾値bは、通信成功率SVが閾値bより小さいときは通信状態が悪いと判定する。例えば、閾値b=30%とする。制御部33は、現在の通信装置20の送信出力と、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最大値とを比較する(動作A19)。現在の送信出力が最大値よりも小さい場合には、送信出力を1ステップ大きくする(動作A20)。
次に、制御部33は、入力部25の第2の読取機能終了のキー入力があるか否かを検出し(動作A21)、終了のキー入力を検出した場合には、「第2の読取機能終了の入力を検出したため、第1の読取機能に切換える」旨をディスプレイ24に表示し(動作A24)、図5Aの動作A2に戻る。終了キーの入力を検出しない場合には、第2の読取機能による読取動作を続ける。
制御部33は、ラウンド開始からt1時間が経過したことを検出する(動作A22)と、無線タグTG4の識別情報を設定したSelectコマンド[S]、次いでQueryコマンド[Q]を送信し、次のラウンドを開始し(動作A23)、動作A12に戻って繰返す。つまり、1回目の探索で賞味期限切れに該当する無線タグを見つけた場合は、その無線タグは対象外として、第2回目、第3回目の探索を行う。探索の回数はオペレータが決定する。
上述のように、オペレータは、予め探索IDリストの情報を入手していない状態でも、第1の読取機能による読取動作によって、存在する無線タグの識別情報と状態情報を入手し、比較判定部37によって探索条件に合致するかどうかを判定し、合致する場合には、第2の読取機能による読取動作によって、該当する無線タグ及び物品の存在範囲を、設定した送信出力最小値での読取範囲に簡単に絞り込み、無線タグ及び物品を特定することができる。従って、予めIDリストの情報を入手していない状態でも、対象エリア(Area)を一回りすれば、条件に該当する無線タグ及び物品を特定できる。
なお、図8では、通信成功率SVを用いて通信状態を判定する例を示したが、連続してID情報[ID]を受信したラウンド数、連続してID情報[ID]を受信できなかったラウンド数、或いは他の方法を用いてもよい。また、図8では、各ラウンドの時間をt1に固定した例を示したが、ID情報[ID]の読取可否により、各ラウンドの時間を変えてもよい。
また通信装置20の記憶部35に、第2の読取機能による読取動作によって探索した無線タグの識別情報を格納する領域を設け、制御部33は、一度、第2の読取機能によって探索した無線タグを再度探索しないようにする機能を設けてもよい。
さらに、図7において、1つのラウンドで複数の無線タグの識別情報と状態情報を読取り、比較判定部37によって複数の無線タグが探索条件に合致すると判定する場合もある。この場合には、図5Bにおいて、探索条件に合致すると判定された最初の無線タグの識別番号を設定して第2の読取機能による読取動作を行い、最初の無線タグについて第2の読取機能が終了したら、続けて、次の無線タグの識別番号を設定して第2の読取機能による読取動作を行う。そして、探索条件に合致すると判定された複数の無線タグに対して、第2の読取機能による読取動作が終了したら、第1の読取機能に切換るようにしてもよい。
尚、ROM350に格納されたプログラムを実行する部分を概略的に説明すると、図6の探索条件設定画面を用いて探索条件を設定したとき、その探索条件情報を受信して記憶処理する記憶部35は、図5Aの動作A1に示すように、探索条件処理機能を実行するものである。
また、無線タグ通信部30は、図5Aの動作A2〜A3及び図5Bの動作A9〜動作A20に示すように、第1の読取機能と第2の読取機能により、設定された探索条件で無線タグと通信を行う通信機能を実行するものである。
また、比較判定部37は、図5Aの動作A6、A7で示すように、第1の読取機能により無線タグから読取った情報と探索条件を比較判定する比較判定機能を実行するものである。
さらに通信制御部36は、図5Bの動作AA8〜A11に示すように、比較判定の結果に従って通信機能を切り換え、第1の読取機能により探索条件に合致する状態情報を無線タグから読取ったとき、第2の読取機能による読取動作に切換えるように制御する制御機能を実行するものである。
以上述べたように、第1の実施形態では、オペレータは、対象エリアを一回りすることで、賞味期限切れの物品を取り除く作業を行うことができる。よって、短時間で作業を行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の無線タグ通信装置について、図9A、図9B及び図10を用いて説明する。図9A、図9Bは、第2の実施の形態において、通信装置20による探索作業を行う場合の制御部33の処理手順を示すフローチャートである。第1の実施形態の図5A、図5Bの処理手順と共通する動作(Act)には同一符号を付している。
即ち、第2の実施の形態において、制御部33は、図9Aの探索条件の設定の動作A1の次に、操作情報の設定(動作A31)を行う。さらに制御部33は、図9Bの動作A21において第2の読取機能による読取動作が終了したら、動作A31で設定された操作情報を送信又は受信して、対象の無線タグに対して探索履歴の情報の書込み又は読取りを行う(動作A32)。
図9Aにおいて、動作A1で探索条件を設定したら、制御部33は、続いて動作A31で図10に示す画面を表示し、操作情報設定部252により入力された情報を、記憶部35に操作情報353として格納する。
図10は、操作情報の設定入力画面の一例を示す説明図である。図10では、「1.賞味期限確認日を保存」と、「2.製造日確認日を読取」の項目を選択可能であって、それぞれの年月日を入力可能となっている。オペレータは、入力部25のキーを操作して該当する入力枠に年月日を入力する。図10では、「1.賞味期限確認日を保存」の年月日が入力された場合の例を示す。また、「3.その他」が入力された場合には、さらに詳しい条件を設定できる画面に遷移する。さらに、「4設定情報なし」が入力された場合には、探索して無線タグが特定された後に、該当する無線タグ11の記憶部12の指定領域に情報を書込んだり、読取りを行わない。
また図9Bにおいて、制御部33は、現在の通信装置20の送信出力が、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最小値と同じ場合(動作A16)、或いは、入力部25から第2の読取機能終了のキー入力を検出した場合(動作A21)は、第2の読取機能による読取動作を終了し、操作情報353を送信する(動作A32)。操作情報353が書込みを指示する場合、それに従って、無線タグ11の記憶部12の予め決められた領域に、探索履歴の情報である賞味期限確認日を書込む動作を行う。
このとき、制御部33は、対象の無線タグ以外の無線タグに書き込んでしまうことを防止するために、図11Aに示す指定書込機能を用いて、賞味期限確認日を書込む。さらに、書込エラーの発生を防止するために、第2の読取機能での送信出力の最小値よりも大きな送信出力を設定して、賞味期限確認日を書込む。つまり、書込動作は無線タグ11の記憶部12の内容を書き換えるため、読取動作よりも大きな電力が必要であり、第2の読取機能での送信出力の最小値よりも大きな送信出力を設定して、無線タグ11に十分な電力を供給することにより、書込エラーの発生を抑える。
図11Aは、第2の実施形態における通信装置20と無線タグ11との間の無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。図7、図8と同様に、ISO18000-6 type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“1”とした場合である。
記号[S]、[Q]、[R]、[A]、[ID]、[Rr]、[Re]、[W]、[Rw]は、いずれも通信データを示している。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また、[S]を除く各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。
先ず、対象の無線タグの識別情報を設定したSelectコマンド[S]を送信する。以下、図7と同様に、通信を行い、誤りなくReply情報[Re]を受信したら、無線タグ11の記憶部12の賞味期限確認日を格納する先頭アドレス情報と、操作情報353の賞味期限確認日のデータ情報を含むWriteコマンド[W]を送信し、Write コマンドのReply情報[Rw]を待つ。そして、[Rw]を受信したら、誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、指定書込を行う。誤りを検出した場合には、指定書込機能による書込動作をリトライする。指定書込の終了後、第1の読取機能による読取動作に切換える旨を表示して(動作A24)、図9Aの動作A2に戻る。
オペレータは、予め探索IDリストの情報を入手していない状態でも、対象エリアを一周すれば、賞味期限切れの物品を特定するとともに、その物品に備えられた無線タグ11の記憶部12の予め決められた領域に賞味期限確認日を書込むことができ、短時間で作業を行うことができる。
尚、無線タグ11の記憶部12に書込む探索履歴の情報は、賞味期限確認日のほかに、製造日確認日等の情報を書き込むこともできる。無線タグ11へ賞味期限確認日や製造日確認日等を書込むことで、過去の探索履歴を把握することができる。また賞味期限や使用期限の切れた物品が見つかった場合は、「販売できません」又は「使用できません」といった情報を書き込むようにしてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の無線タグ通信装置について、図9A、図9B及び図11Bを用いて説明する。
第3の実施の形態は、図9Aの操作情報の設定(動作A31)において、図10の「2.製造日確認日を読取」が選択された場合の処理に関する。例えば、賞味期限が切れてしまった物品について、これまで製造日の確認(読取)がいつ行われたかを知るため、探索履歴に関する情報を取得するようなシーンが該当する。
図9Bにおいて、制御部33は、現在の通信装置20の送信出力が、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最小値と同じ場合(動作A16)、或いは、入力部25から第2の読取機能終了のキー入力を検出した場合(動作A21)に、第2の読取機能による読取動作を終了し、操作情報353を受信する。操作情報353が読取りを指示する場合、それに従って無線タグ11の記憶部12の予め決められた領域から、探索履歴の情報である製造日確認日を読取る(動作A32)。
このとき、制御部33は、対象の無線タグ以外の無線タグから読み取ることを防止するために、図11Bに示す指定読取機能を用いて製造日確認日を読取る。さらに、読取エラーの発生を防止するために、第2の読取機能での送信出力の最小値よりも小さな送信出力を設定して、製造日確認日を読取る。
即ち、上述したように第2の読取機能は、最終的に賞味期限切れの物品の存在範囲を絞り込むため、送信出力を最小値まで小さくしている。送信出力が小さいと、物品と通信装置20の位置関係により読取エラーが発生し易くなるが、第3の実施形態で製造日確認日を読取る場合には、対象の無線タグの識別情報が分かっている。したがって指定読取機能を用いることにより、送信出力を第2の読取機能の最小値よりも小さくしても読み取ることができ、対象外の無線タグを読み取ることを防止できる。また読取エラーの発生を防止することができる。
図11Bは、第3の実施形態の通信装置20と無線タグ11との間の無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。図7、図8、図11Aと同様に、ISO18000-6 type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“1”とした場合である。
記号[S]、[Q]、[R]、[A]、[ID]、 [Rr]、[Re]、[Rd]、[DT]は、いずれも通信データを示している。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また、[S]を除く各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。
先ず、対象の無線タグの識別情報を設定したSelectコマンド[S]を送信する。以下、図7と同様に通信を行い、誤りなくReply情報[Re]を受信したら、無線タグ11の記憶部12の製造日確認日の先頭アドレス情報と、製造日確認日のデータ情報を含むReadコマンド[Rd]を送信し、製造日確認日の情報を含む情報[DT]を待つ。そして、[DT]を受信したら、誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、指定読取機能を終了する。誤りを検出した場合には、指定読取機能による読取動作をリトライする。指定読取の終了後、第1の読取機能に切換える旨を表示し(動作A24)、図9Aの動作A2に戻り、第1の読取機能による読取動作を行う。
これにより、オペレータは、予め探索IDリストの情報を入手していない状態でも、対象エリアを一周すれば、賞味期限切れの物品を特定するとともに、その物品に備えられた無線タグ11の記憶部12の予め決められた領域から製造日確認日を読取る作業を短時間で行うことができる。尚、無線タグ11の記憶部12からの読取りは、製造日確認日のほかに賞味期限確認日等の探索履歴の情報を読取ることもできる。無線タグ11から製造日確認日や賞味期限確認日等の情報を読取ることで、過去の探索履歴を把握することができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施形態に係る無線タグ通信システムについて、図12を用いて説明する。
図12は、第4の実施形態に係る無線タグ通信システムのブロック図である。無線タグ通信システムは、無線タグ通信装置20と上位機器(サーバ)100とで構成し、図3と機能的に同じ部分には同一符号を付している。以下、無線タグ通信装置20は通信装置20と呼ぶ。
通信装置20は、通知部24、入力部25、無線タグ通信部30、電源部31、上位機器との通信部321及び制御部33を備えている。制御部33は、CPU34、記憶部35及び通信制御部36を含む。
通知部24は、ディスプレイとブザーで構成し、入力部25はキーボードや、通知部24のディスプレイ上に構成したタッチパネルで構成される。電源部31は、バッテリとバッテリの充電・放電の制御回路からなる。通信部321は、通信回線を介して接続される上位機器100との通信を司る。通信回線は有線、無線を問わない。
制御部33は、CPU34の制御のもとに、入力部25、通知部24、無線タグ通信部30、電源部31を制御する。通信制御部36は機能設定部を備え、第1の読取機能、及び第2の読取機能のうち1つを設定する。
上位機器100は、通信部322、比較判定部37、CPU75、記憶部76及び入力部77を備える。通信部322は、通信装置20との通信を行う。比較判定部37は、記憶部76のタグ読取情報761と探索条件情報762を比較判定する。CPU75は、上位機器100の全体の動作を制御する。
記憶部76には、通信装置20から送信されたタグ読取情報761(タグ読取り情報351に相当)と、入力部77の探索条件設定部771により設定された探索条件情報762と、操作情報設定部772により設定された操作情報763と、物品情報リスト764を格納している。
通信装置20の通信部321と上位機器100の通信部322は、互いに情報を通信し、通信装置20は、無線タグ11から読取った情報を上位機器100に送信したり、上位機器100からタグ読取情報と探索条件情報との比較判定結果を受信する。通信制御部36は、第1の読取機能、第2の読取機能の設定、及び受信した比較判定結果に応答して第1の読取機能と第2の読取機能の切り換えを行う。
探索条件設定部771と操作情報設定部772は、上位機器100に設けた入力部77により設定される方法もあるが、外部装置(図示せず)から入力された情報を受信して探索条件及び操作情報を設定するように構成することもできる。
また記憶部76の物品情報リスト764には、図1の対象エリア(Area)だけでなく、他の全てのエリアの物品情報が格納されている。ここでは、全てのエリアの賞味期限切れの物品を抽出することはできるが、図1の対象エリア(Area)にある賞味期限切れの物品を抽出することはできない場合を想定している。即ち、現在の物品の個品管理がされていない場合を想定している。
図12の無線タグ通信システムの動作及び処理手順は、図5A、図5B又は、図9A、図9Bで述べた通りであり、第4の実施の形態の無線タグ通信システムにおいても、オペレータは、予め探索IDリストの情報を入手していない状態でも、対象エリアを一回りすれば、賞味期限切れや使用期限切れの物品を取り除く作業を行うことができる。よって、短時間で作業を行うことができる。
以上述べた実施形態では、賞味期限切れの物品を探すこと、或いは賞味期限確認日の書込みと製造日確認日の読取りを例に挙げたが、無線タグ11の記憶部12に格納可能な情報であれば、これらに限定されるものではない。
また上位機器100として、サーバを例に説明したが、上位機器100は、サーバ以外にノート型のパソナルコンピュータ、スマートフォン(多機能携帯電話)、タブレット端末などで構成することもできる。
尚、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
11…無線タグ、
12…無線タグの記憶部、
20…無線タグ通信装置、
22…アンテナ、
24…ディスプレイ(通知部)、
25,77…入力部、
251,771…探索条件設定部、
252,772…操作情報設定部、
30…無線タグ通信部、
31…電源部、
32、321,322…通信部、
33…制御部、
34,75…CPU、
35,76…記憶部、
350…ROM
351,761…タグ読取情報、
352,762…探索条件情報、
353,763…操作情報、
354…物品情報リスト、
36…通信制御部、
37…比較判定部、
100…上位機器(サーバ等)。

Claims (6)

  1. 複数の物品に備えられ、前記物品の識別情報と状態情報を格納可能な記憶部を有する無線タグと通信する無線タグ通信装置であって、
    前記無線タグの記憶部から探索対象となる状態情報を読取るための探索条件を設定する探索条件設定部と、
    前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能と、前記無線タグを指定するとともに、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により、前記設定された探索条件で前記無線タグと通信を行う無線タグ通信部と、
    前記第1の読取機能により前記無線タグから読取った情報と前記探索条件を比較判定する比較判定部と、
    前記比較判定の結果に従って前記無線タグ通信部を制御し、前記第1の読取機能により前記探索条件に合致する状態情報を前記無線タグから読取ったとき、前記第2の読取機能による読取動作に切換えるように制御する通信制御部と、
    を備える無線タグ通信装置。
  2. さらに、前記無線タグの探索履歴の情報の書込み又は読出しを設定する操作情報設定部を設け、
    前記通信制御部は、前記操作情報設定部の設定に従って、前記第2の読取機能による読取動作終了後、前記無線タグの記憶部の指定領域に前記探索履歴の情報を書込み、書込んだ探索履歴の情報を読取り可能に制御する請求項1記載の無線タグ通信装置。
  3. 前記無線タグ通信部は、前記無線タグを指定して前記探索履歴の情報を読取る指定読取機能を備え、前記第2の読取機能による読取動作終了後、前記指定読取機能により、前記無線タグに書込んだ前記探索履歴の情報の読取動作を行う請求項2記載の無線タグ通信装置。
  4. 前記通信制御部は、前記無線タグ通信部の第2の読取機能による読取動作及び前記指定読取機能による読取動作の終了後に、前記第1の読取機能による読取動作に切換える請求項3記載の無線タグ通信装置。
  5. 複数の物品に備えられ、前記物品の識別情報と状態情報を格納可能な記憶部を有する無線タグと通信する無線タグ通信装置と、前記無線タグ通信装置と可能な機器から構成される無線タグ通信装置システムであって、
    前記無線タグ通信装置は、
    前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能と、前記無線タグを指定するとともに、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により、前記機器によって設定された探索条件で前記無線タグと通信を行う無線タグ通信部を備え、
    前記機器は、
    前記無線タグの記憶部から探索対象となる状態情報を読取るための前記探索条件を設定する探索条件設定部と、
    前記第1の読取機能により前記無線タグから読取った情報と前記探索条件を比較判定する比較判定部と、を備え、
    前記前記機器は、前記比較判定の結果に従って前記無線タグ通信部を制御し、前記第1の読取機能により前記探索条件に合致する状態情報を前記無線タグから読取ったとき、前記第2の読取機能による読取動作に切換えるように制御する無線タグ通信システム。
  6. 複数の物品に備えられ、前記物品の識別情報と状態情報を格納可能な記憶部を有する無線タグと通信し、前記無線タグ記憶された情報を探索して処理するプログラムであって、コンピュータに、
    前記無線タグの記憶部から探索対象となる状態情報を読取るための探索条件情報を受信する探索条件処理機能と、
    前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能と、前記無線タグを指定し、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により、前記探索条件で前記無線タグと通信を行う通信機能と、
    前記第1の読取機能により前記無線タグから読取った情報と前記探索条件情報を比較判定する比較判定機能と、
    前記比較判定の結果に従って前記通信機能を切り換え、前記第1の読取機能により前記探索条件に合致する状態情報を前記無線タグから読取ったとき、前記第2の読取機能による読取動作に切換えるように制御する制御機能と、
    を実現させるための無線タグ探索プログラム。
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