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JP2014185404A - 光透過性シート及び発光装置 - Google Patents

光透過性シート及び発光装置 Download PDF

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JP2014185404A
JP2014185404A JP2013060198A JP2013060198A JP2014185404A JP 2014185404 A JP2014185404 A JP 2014185404A JP 2013060198 A JP2013060198 A JP 2013060198A JP 2013060198 A JP2013060198 A JP 2013060198A JP 2014185404 A JP2014185404 A JP 2014185404A
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Michinori Fujisawa
道憲 藤澤
Fumihiro Yamaguchi
史洋 山口
Kohei Aoyama
康平 青山
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Abstract

【課題】皮革に似たしなやかな風合いを備えた、光透過部と遮光部とを含む光透過性シート及びそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる繊維を絡合させてなる不織布の該繊維の一部分を厚み方向に熱融着させることによりフィルム化させた光透過部と、光透過部の周囲に該繊維をフィルム化させていない遮光部とを備える光透過性シートを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種家電製品や自動車のインジケーター等の表示パネルや、スニーカー、衣料、各種雑貨製品の表面意匠性素材として用いられる、光透過性のシート及び、それを用いた発光装置に関する。
従来、文字や模様等のパターン化された輪郭を有する透光部と透光部の周囲の遮光部とを有するシートであって、その裏面からバックライトを照射することにより、透光部の文字や模様を表示する光透過性シートが知られている。
例えば、下記特許文献1は、基体シート上に透光部と遮光部とに区分けされたパターン層が形成され、パターン層はインキを塗布することにより形成されたバックライティング可能な加飾用フィルムを開示する。また下記特許文献2は、布巾の表面にパターン化された印刷層を形成することにより、透光部と遮光部とを設けた内照式看板を開示する。このように透光部と遮光部とを有する光透過性シートとして、インキを塗布して遮光部を形成する方法は広く知られていた。
また、下記特許文献3は、切り抜き部を有する合成皮革の一面上に、少なくとも、接着層、透光性のあるプラスチックフィルム、透光性のある着色層が積層されてなる、皮革触感を有する照光性部品用加飾シートを開示する。特許文献3に開示された技術によれば、合成皮革の一部分を切り抜くことによりシートに透光性を賦与し、合成皮革の切り抜かれていない部分により皮革触感を有する遮光部を形成することができる。
特開2000−343899号公報 特開2011−133585号公報 特開2003−71956号公報
特許文献3に開示されたような光透過性シートの場合、合成皮革を切り抜くことにより透光部を形成しているが、このような光透過性シートは切り抜く作業に手間が掛かるという問題があった。また、このような透光部を切り抜かれた合成皮革自身は透光性のあるプラスチックフィルムに積層される遮光部としての機能のみを奏し、基材としてプラスチックフィルムが要求されるためにしなやかな皮革様の風合いを維持させることが難しかった。
本発明は、皮革に似たしなやかな風合いを備えた、光透過部と遮光部とを含む光透過性シート及びそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
本発明の光透過性シートは、熱可塑性樹脂からなる繊維を絡合させてなる不織布の該繊維の一部分を厚み方向に熱融着させることによりフィルム化させた領域である光透過部と、光透過部の周囲の該繊維をフィルム化させていない領域である遮光部とを備える。不織布中の繊維をフィルム化させた部分は、繊維界面や空隙が少ないために導光性のある光透過部を形成する。一方、不織布中のフィルム化させていない部分は、光を乱反射させるために光を遮蔽する。このような光透過性シートは、光透過部の周囲の遮光部が不織布構造を維持しているために、不織布のしなやかさを保持した光透過性シートである。
また、C光源を使用光源とし、シングルビーム法で測定された前記光透過部の全光線透過率が5%以上であり、遮光部の全光線透過率が1%以下である場合には、光透過部の発光を明確に視認させることができる点から好ましい。
また、光透過部の全光線透過率が遮光部の全光線透過率の10倍以上である場合には、光透過部の発光をより明確に視認させることができる点から好ましい。
また、遮光部を形成する繊維の絡合体の見かけ密度が0.45g/cm3以上であり、遮光部の厚みが光透過部の厚みの1.5倍以上である場合には、充分な光透過性を有する光透過部を形成させることができる。
また、遮光部の表面の繊維が立毛または起毛されている場合には、表面にスエード調やヌバック調のような皮革様の外観を付与できる点から好ましい。
また、遮光部の表面に皮革銀面調の樹脂層が形成されている場合には、表面に銀面調の皮革様の外観を付与できる点から好ましい。
また、上面視したときの遮光部の占める面積割合が50%以上である場合には、不織布のしなやかな風合いを充分に維持できる点から好ましい。
また、繊維が染色されている場合には、意匠性に富んだ着色された光透過性シートが得られる点から好ましい。
また、繊維は単繊維繊度0.9dtex以下で、ガラス転移温度が130℃以下である熱可塑性樹脂の極細繊維を含む場合には、繊維同士を熱融着させてフィルム化させやすい点から好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートを含む熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、本発明の発光装置は、上述したような何れかの光透過性シートと、光透過性シートの一面から照光するバックライトとを備える発光装置である。このような発光装置によれば、文字や模様等の輪郭を有する光透過部及び遮光部を有する光透過性シートの光透過部のみに光を透過させることにより、光透過部のみを選択的に発光させることができる。
本発明によれば、しなやかな風合いを備えた光透過性シート及び表面にしなやかな風合いを有する発光装置を得ることができる。
図1(a)は本実施形態の光透過性シート10の上面模式図、図1(b)は図1(a)のI−I'断面の断面模式図である。 図2は、光透過性シートを製造するためのエンボス工程を説明するための説明図である。 図3は、光透過性シート10を備えた発光装置20の斜視模式図である。 図4は、実施例1で製造された光透過性シートの表面の透光部の走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影像である。 図5は、実施例1で製造された光透過性シートの透光部の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影像である。 図6は、実施例1で製造された光透過性シートの遮光部の断面のSEMの撮影像である。 図7は、比較例1で製造された光透過性シートのエンボス部の断面のSEMの撮影像である。
図1は本実施形態の光透過性シート10の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)は(a)のI−I'断面における断面模式図である。図1中、1は熱可塑性樹脂からなる繊維を絡合させてなる不織布であり、2は不織布1を形成する繊維の一部分を熱融着させてフィルム化させて形成された光透過部であり、3は不織布を形成する繊維が絡合されたままの領域である遮光部であり、4は不織布1の表面を立毛させて形成された立毛繊維である。
光透過性シート10は、不織布1を形成する繊維の一部分を厚み方向に熱融着させてフィルム化させ、繊維の輪郭の大部分を消失させて形成された導光路となる光透過部2を有する。このような光透過部2により、光透過性シート10の一面から他の面に光を通過させることができる。一方、不織布を形成する繊維がそのまま維持された部分は、繊維界面や空隙界面により光を乱反射させて光を遮る遮光部3になる。
不織布を主体とする基材は皮革様の風合いをもつ人工皮革を製造するための基材として従来から用いられている。不織布の表面に立毛処理又は起毛処理を施すことにより、スエード調やヌバック調の皮革の風合い及び外観を付与することができ、また、不織布の表面に皮革の銀面調の樹脂層を形成することにより皮革の銀付調の風合い及び外観を付与することができる。本実施形態の光透過性シート10においては、例えば、図1に示すように、不織布を形成する繊維が絡合された状態がそのまま維持された遮光部3の表面に立毛処理を施して立毛繊維4を形成させることにより、スエード調やヌバック調の皮革の風合い及び外観を付与することができる。また、後述するように、不織布の表面に立毛処理又は起毛処理を施す代わりに、遮光部の表面に銀面調の樹脂層を形成することにより皮革の銀付調の風合い及び外観を付与してもよい。
本実施形態の光透過性シートは、不織布、好ましくは極細繊維の不織布を製造する工程と、不織布の一部分を熱プレスして繊維を軟化または溶融させてフィルム化することにより光透過性を有する光透過部を形成する工程により、製造される。以下、本実施形態の光透過性シートをその具体的な製造方法の一例に沿って詳しく説明する。
本実施形態の光透過性シートの製造方法においては、はじめに不織布を製造する。不織布としては、熱プレスにより、厚み方向の繊維を融着させることによりフィルム化するような繊維を含む不織布が好ましく、具体的には、熱可塑性樹脂の極細繊維の絡合体を含む不織布が好ましい。
また、極細繊維の絡合体を含む不織布としては、複数本の極細繊維が集束してなる繊維束状の極細繊維の絡合体であることが、繊維構造が緻密であるために不織布を熱プレスすることにより繊維同士を熱融着させてフィルム化させやすい点からとくに好ましい。
極細繊維の絡合体である不織布の製造は、例えば、(1)溶融紡糸により海島型複合繊維からなる繊維ウェブを製造するウェブ製造工程と、(2)得られた繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程と、(3)ウェブ絡合シートを湿熱収縮させる湿熱収縮処理工程と、必要に応じて形態安定性を維持させるために行われる、(4)バインダとしてポリウレタン等の高分子弾性体を含浸付与させる高分子弾性体含浸付与工程と、(5)ウェブ絡合シート中の海島型複合繊維を極細単繊維化する極細繊維形成工程とを備える。
(1)ウェブ製造工程
本工程においては、はじめに、溶融紡糸により海島型複合繊維からなるウェブを製造する。なお、海島型複合繊維は、後の適当な段階で海成分を抽出または分解させて除去することにより、島成分からなる繊維束状の極細繊維を形成させる繊維である。
ウェブは、例えば、いわゆるスパンボンド法を用いて、海島型複合繊維を溶融紡糸法を用いて紡糸し、これを切断せずにネット上に捕集して長繊維のウェブを形成する方法や、任意の繊維長(例えば18〜110mm)にカットしてステープル化した短繊維を捕集して短繊維のウェブを形成する方法等が挙げられる。これらの中では、長繊維のウェブが繊維を緻密にすることができ、また、繊維断面が少ないために、繊維同士を熱融着させてフィルム化させやすい点から好ましい。
ここで、長繊維とは、所定の長さで切断処理された短繊維ではないことを意味する。長繊維の長さとしては、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、極細単繊維の繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。極細単繊維の長さが短すぎる場合には、繊維の高密度化が困難になる傾向がある。上限は、特に限定されないが、例えば、スパンボンド法により製造された不織布に由来する繊維絡合体を含有する場合には、連続的に紡糸された数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。また、これらの繊維は単独ではなく数種の繊維が混合したものでもよい。本実施形態においては、代表例として長繊維のウェブを製造する場合について詳しく説明する。
海島型複合繊維の島成分を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,芳香族ポリアミド,ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;オレフィン樹脂等の繊維形成能を有する合成樹脂から形成された透明または半透明の繊維が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
極細繊維を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、繊維をフィルム化できる限り特に限定されないが、例えば、130℃以下、さらには120℃以下であることが不織布を熱プレスしてフィルム化させる工程で繊維表面を軟化または溶融させてフィルム化させやすい点から好ましい。Tgが130℃以下の熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、変性ポリエチレンテレフタレートを含む熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、Tgは、例えば、動的粘弾性測定装置(例えば、レオロジ社製FTレオスペクトラDDVIV)を用いて、幅5mm、長さ30mmの試験片を間隔20mmのチャック間に固定して、測定領域30〜250℃、昇温速度3℃/min、歪み5μm/20mm、測定周波数10Hzの条件で動的粘弾性挙動を測定することにより得られる。
変性ポリエチレンテレフタレートとしては、イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の非対称型芳香族カルボン酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合成分として所定割合で含有する変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。さらに具体的には、モノマー成分としてイソフタル酸単位を2〜12モル%含有する変性ポリエチレンテレフタレートがとくに好ましい。
一方、海成分を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンエチレン共重合体スチレンアクリル共重合体、などが挙げられる。中でも、湿熱処理や熱水処理で収縮し易い点からポリビニルアルコール系樹脂、特にエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
海島型複合繊維の紡糸および長繊維のウェブの形成には、好ましくはスパンボンド法が用いられる。具体的には、多数のノズル孔が、所定のパターンで配置された複合紡糸用口金を用いて、海島型複合繊維を個々のノズル孔からコンベヤベルト状の移動式のネット上に連続的に吐出させ、高速気流を用いて冷却しながら堆積させる。このような方法により長繊維のウェブが形成される。ネット上に形成された長繊維のウェブには形態安定性を付与するためにフィルム化しない程度に押さえる融着処理を施すことが好ましい。融着処理の具体例としては、例えば、熱プレス処理が挙げられる。熱プレス処理としては、例えば、カレンダーロールを使用し、所定の圧力と温度をかけて処理する方法を採用することができる。熱プレス処理する温度は、海島型複合繊維の海成分を構成する成分の融点より10℃以上低いことが、繊維をフィルム化させずに繊維の形態を保ったまま適度に繊維表面同士を融着させることができる点から好ましい。
熱プレス後の長繊維のウェブの目付けとしては、20〜60g/m2の範囲であることが好ましい。20〜60g/m2の範囲にあることで、次の積重工程において良好な形態保持性を維持させることができる。
(2)ウェブ絡合工程
次に、得られたウェブを4〜100枚程度重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成する。ウェブ絡合シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いてウェブに絡合処理を行うことにより形成される。以下に、ニードルパンチによる絡合処理について詳しく説明する。
はじめに、ウェブに針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。その後、ニードルパンチにより三次元的に繊維を絡合させる絡合処理を行う。ニードルパンチ処理を行うことにより、繊維密度が高く、繊維の抜けを起こしにくいウェブ絡合シートが得られる。ウェブ絡合シートの目付は、目的とする厚みに応じて適宜選択されるが、具体的には、例えば、500〜2000g/m2の範囲であることが取扱い性に優れる点から好ましい。
(3)熱収縮処理工程
次に、ウェブ絡合シートを熱収縮させることにより、ウェブ絡合シートの繊維密度および絡合度合を高める。熱収縮処理の具体例としては、例えば、ウェブ絡合シートを水蒸気に連続的に接触させる方法や、不織布に水を付与した後、加熱エアーや赤外線などの電磁波により不織布に付与した水を加熱する方法等が挙げられる。また、熱収縮処理により緻密化された不織布をさらに緻密化するとともに、不織布の形態を固定化したり、表面を平滑化したりすること等を目的として、必要に応じて、さらに熱プレス処理を行うことによりさらに、繊維密度を高めてもよい。
熱収縮処理工程におけるウェブ絡合シートの目付の変化としては、収縮処理前の目付に比べて、1.1倍(質量比)以上、さらには、1.3倍以上で、2倍以下、さらには1.6倍以下であることが好ましい。
(4)高分子弾性体含浸付与工程
ウェブ絡合シートの形態安定性を高める目的で、ウェブ絡合シートの極細繊維化処理を行う前または後に、収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体を含浸付与することが好ましい。
高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン系弾性体,アクリル系弾性体,ポリアミドエラストマー等のポリアミド系弾性体,ポリエステルエラストマー等のポリエステル系弾性体,ポリスチレン系弾性体,ポリオレフィン系弾性体等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン系弾性体が、柔軟性と充実感に優れる点からとくに好ましい。
ポリウレタン系弾性体の含有割合は、形成される不織布との合計量に対して、5〜40質量%、さらには、8〜35質量%、とくには10〜20%の範囲で含有させることが好ましい。ポリウレタン系弾性体の含有割合が5質量%未満の場合には形状安定性を充分に付与することができず、40質量%を超える場合には柔軟な風合いが低下するとともに、フィルム化しにくくなる傾向がある。
高分子弾性体としては発泡タイプの高分子弾性体や非発泡タイプの弾性体があるが、本実施形態の光透過性シートの製造方法においては、非発泡ポリウレタンのような非発泡タイプの高分子弾性体が繊維を融着処理してフィルム化させる際に、フィルム中に残留するボイドを低減できる点から好ましい。
ウェブ絡合シートに非発泡タイプのポリウレタンを含浸付与する方法としては、ポリウレタンの水系エマルジョンで満たされた浴中にウェブ絡合シートを浸した後、プレスロール等で所定の含浸状態になるように絞るという処理を1回又は複数回行うディップニップ法が好ましく用いられる。また、その他の方法として、バーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、コンマコーティング法、スプレーコーティング法等を用いてもよい。
ポリウレタンの水系エマルジョンとしては、ポリエチレングリコール等の高分子ポリオール、芳香環を有しない脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートのような無黄変型ジイソシアネートやその他の有機ジイソシアネート、及び、必要に応じて活性水素原子を2個有する低分子化合物であるヒドラジン,ピペラジン,ヘキサメチレンジアミン,イソホロンジアミンおよびその誘導体、エチレントリアミン等のようないわゆる鎖伸長剤を所望の割合で含有する成分を、乳化重合法、溶融重合法、塊状重合法、溶液重合法などにより重合して得られる公知の熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
そして、ポリウレタンの水系エマルジョンをウェブ絡合シートに含浸し、ポリウレタンを乾燥凝固させる乾式法または湿式法等により凝固させることにより、ポリウレタンをウェブ絡合シートに含浸付与させて固定させることができる。なお、凝固させたポリウレタンを架橋させるために、凝固及び乾燥後に加熱処理してキュア処理を行うことも好ましい。
(5)極細繊維形成工程
ウェブ絡合シート中の海島型複合繊維は、海成分を水や溶剤等で抽出または分解除去することにより繊維束状の極細繊維に変換される。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂等の水溶性樹脂を海成分に用いた海島型複合繊維の場合においては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより海成分が除去される。
本工程においては、海島型複合繊維から海成分を溶解除去して極細繊維を形成する際に、極細繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度がさらに緻密になり、高い繊維密度の不織布が得られる。
極細繊維は、0.01〜0.9dtex、さらには0.05〜0.5dtex、とくには0.07〜0.1dtexの単繊維繊度を有することが好ましい。極細繊維の繊度が高すぎる場合には、フィルム化しにくくなる傾向がある。また極細繊維は、例えば、5〜200本、さらには10〜50本、とくには10〜30本の極細繊維が繊維束を形成して存在していることが好ましい。このように極細繊維が繊維束を形成して存在することにより、高い繊維密度の不織布が得られる。
以上のような工程により不織布が得られる。このようにして得られた不織布は、乾燥後、厚さ方向に垂直な方向に複数枚にスライスしたり、研削することにより、厚さ調節や表面状態を調整されて仕上げられる。また、不織布の表層をサンドペーパーなどを用いてバフィング処理して起毛処理または立毛処理することにより、スエード調やヌバック調の不織布が得られる。また、揉み柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されてもよい。
また、不織布は必要に応じて染色される。染色は、分散染料、反応染料、酸性染料、金属錯塩染料、硫化染料、硫化建染染料などを主体とした染料を繊維の種類に応じて適宜選択し、パッダー、ジッガー、サーキュラー、ウィンスなど繊維の染色に通常用いられる公知の染色機を使用して行われる。例えば、極細繊維がポリエステル系極細繊維の場合には、分散染料を用いて高温高圧染色により染色することが好ましい
このようにして形成される繊維束状の極細繊維の絡合体を含む不織布の目付は、特に限定されないが、例えば、100〜1800g/m2、さらには200〜900g/m2であることが好ましい。また、不織布の見かけ密度も特に限定されないが、例えば、0.45g/cm3以上、さらには0.45〜0.70g/cm3であることが、緻密な不織布が形成されることにより、密度斑が低くなり、フィルム化しやすい点から好ましい。見かけ密度が低すぎる場合には繊維の密な部分と疎な部分とが存在することにより均質にフィルム化しにくくなり、高すぎる場合には、柔軟な風合いが低下する傾向がある。
また、不織布の厚みも特に限定されないが、例えば、0.3〜3mm、さらには0.5〜2mm、とくには0.5〜1mmであることが好ましい。
次に、このようにして形成された不織布中の繊維の一部分を熱プレスして熱融着させてフィルム化させる工程について説明する。
図2は、不織布1をエンボスロール6で部分的に熱プレス加工するときの様子を説明する説明図である。エンボスロール6はドット状に形成された複数の突起6aを有し、一定のクリアランスを維持してバックロール7と対向配置されている。そして、エンボスロール6及びバックロール7は不織布1を形成している繊維を充分に軟化または溶融させてエンボスで圧着させた部分をフィルム化させるような温度に加熱されて温度コントロールされている。エンボスロール6及びバックロール7は矢印方向に回転し、不織布1はこのようなエンボスロール6とバックロール7との間のクリアランスに挟持されて白抜矢印方向に連続的に搬送される。このような工程において、不織布1の突起6aで熱プレスされた部分がフィルム化され、光透過部2が形成される。なお、このとき、バインダとして高分子弾性体を含有する場合には高分子弾性体も繊維と一体化されてフィルム化される。そして突起6aで熱プレスされなかった部分が遮光部3になる。
従来から不織布を部分的に圧着したり、表面に模様を付与したりする目的でエンボス加工する方法は知られていたが、このような方法により形成された圧着部は繊維が表面のみで圧着されていたり、繊維表面の輪郭を明確に残した状態で、繊維表面を部分的に抑えて接着させるものであった。一方、本実施形態の光透過性シートの製造においては、不織布の圧着した部分を厚み方向に光を透過させる程度にフィルム化させるように繊維を融着させる。なお、本実施形態における繊維のフィルム化とは、走査型電子顕微鏡で断面を観察したときに、繊維同士が表面で融着して繊維の輪郭が不明確になっている状態を意味する。
さらに具体的には、フィルム化して形成された光透過部を、C光源を使用光源とし、シングルビーム法で測定した全光線透過率が5%以上、さらには7%以上、とくには10%以上であることが好ましい。このような場合には、繊維がフィルム化していると言える。またフィルム化して形成された光透過部の光透過性が、不織布のフィルム化していない遮光部の全光線透過率に対して、全光線透過率が10倍以上、さらには30倍以上の全光線透過率を有する状態であることが好ましい。
また、光透過部は空隙が少ない方が光の拡散が少なくなり、光透過率が向上する点から好ましい。光透過部の空隙率としては15%以下、さらには10%以下であることが好ましい。なお、全光線透過率の空隙率の下限は0%が好ましいが、不織布を熱プレスしてフィルム化させる場合には、通常、多少の空隙が不可避的に残留することがある。なお、空隙率は、光透過部のプレスされた側から厚み方向の90%の領域の空隙の面積割合をSEM画像から求めることができる。
不織布としては、全光線透過率が1%以下である光透過性の低いまたは光透過性のない緻密な不織布を用いることが好ましい。このような不織布によれば、光透過部の周囲に繊維をフィルム化させていない遮光性のある遮光部を残すことができる。従って、文字や模様のような輪郭を有する光透過部または遮光部を形成することにより、意匠性を有する光透過性シートを容易に形成することができる。
不織布を形成する繊維を厚み方向に熱融着させてフィルム化させる条件は、不織布を形成する繊維の種類や繊度、厚み等に応じて適宜選択して設定される。その一例としては、例えば、130℃以下のTgを有する変性ポリエチレンテレフタレートからなる繊度0.01〜0.09dtexの極細繊維の絡合体であり、見掛け密度0.45〜0.7g/cm3の不織布を用いた場合、エンボスロールの表面温度をTgよりも40〜100℃程度高い温度に設定し、エンボスロール速度1.0〜5.0m/分、圧力0.5〜3.0MPaで通過させた場合、空隙率が15%以下で光透過率5%以上の光透過部を容易に形成することができる。
また、エンボスロールを用いる場合には、エンボスロールの突起の高低差(彫深さ)が2.0mm以上、さらには3.0mm以上、とくには5.0mm以上であることが光透過部を形成する部分のみに充分な圧力を掛けやすい点から好ましい。
光透過性シート中の光透過部と遮光部との比率は特に限定されないが、上面視したときに遮光部の占める面積割合が50%以上、さらには70%以上である場合には、不織布のしなやかな風合いを充分に維持することができる点から好ましい。
本実施形態ではエンボスロールを用いて不織布に光透過部を形成させる方法について詳しく説明したが、光透過部を形成させる方法はこのような方法に限られず、例えば、エンボス金型で熱プレスすることにより形成してもよい。また、厚み方向において、プレスされた側に対する反対側の面は、場合によっては熱が充分に伝わらずにフィルム化しない場合もある。このような場合には、フィルム化していない部分を研削やスライスすること等により取り除くことにより、光透過率が向上することもある。
また、上述した光透過性シート10は遮光部4の表面を起毛したスエード調又はヌバック調のような起毛調の表面を有するものであるが、このような表面の代わりに、遮光部の表面に銀面層を形成することにより銀面調の表面を有する光透過性シートを製造することもできる。
銀面層を形成する方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に光透過性シートの光透過部以外の部分を覆うようにパターン化して銀面層を形成するための着色した樹脂成分を含む塗液を塗布した後、乾燥または湿式凝固させることによりパターン化された銀面層皮膜を形成する。そして、このような銀面層皮膜を光透過部が形成された不織布の光透過部以外の部分を覆うように接着層を介して貼り合わせた後、剥離シートを剥離する乾式造面による方法が挙げられる。また、別の方法として、銀面層を形成するための樹脂成分を含む塗液を不織布の光透過部以外の部分を覆うように表面に直接、ロールコーターやスプレーコーターにより塗布した後、乾燥または湿式凝固させることにより形成するような湿式造面による方法等も挙げられる。
銀面層を形成するための樹脂成分は特に限定されない。その具体例としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等の各種ポリウレタン系樹脂や、アクリル系樹脂、ポリウレタンアクリル複合樹脂、ポリ塩化ビニル、合成ゴム等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン系樹脂が接着性や、耐磨耗性や耐屈曲性等の機械物性が優れる点から好ましい。
銀面層の厚みは特に限定されないが、10〜500μm、さらには20〜150μm、とくには40〜120μmであることが好ましい。
このようにして得られた光透過性シートは、各種家電製品や自動車のインジケーター等の表示パネルのバックライトの表面に配設して選択的に光を透過させるシートとして、または、スニーカー、衣料、各種雑貨製品の太陽光を通過させたりする表面意匠性素材として好ましく用いられる。
図3に光透過性シート10を備えた発光装置20の一例を示す。発光装置20には、面発光するバックライト装置11の表面を覆うように光透過性シート10が配置されている。そして、バックライト装置11からの発光は光透過性シート10の遮蔽部3により遮蔽され、ドット状に形成された各光透過部2から透過されて矢印で示すように発光させている。光透過性シート10の遮蔽部3の表面の繊維は立毛されているために、このような発光装置20は皮革のスエード調やヌバック調の風合いを有する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが110℃である、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸単位の含有量6.0モル%)を、それぞれ個別に溶融させた。そして、海成分中に均一な断面積の島成分が25個分布した断面を形成しうるような、多数のノズル孔が並列状に配置された複数紡糸用口金に、それぞれの溶融樹脂を供給した。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。そして、口金温度260℃に設定されたノズル孔より溶融繊維を吐出させた。
そして、ノズル孔から吐出された溶融繊維を平均紡糸速度が3700m/分となるように気流の圧力を調節したエアジェット・ノズル型の吸引装置で吸引することにより延伸し、平均繊度が2.1dtexの海島型複合長繊維を紡糸した。紡糸された海島型複合長繊維は、可動型のネット上に、ネットの裏面から吸引しながら連続的に堆積された。堆積量はネットの移動速度を調節することにより調節された。そして、表面の毛羽立ちを抑えるために、ネット上に堆積された海島型複合長繊維を42℃の金属ロールで軽く押さえた。そして、海島型複合長繊維をネットから剥離し、表面温度75℃の格子柄の金属ロールとバックロールとの間を通過させることにより熱プレスした。このようにして、表面の繊維が格子状に仮融着された目付34g/m2の長繊維ウェブが得られた。
次に、得られた長繊維ウェブの表面に、帯電防止剤を混合した油剤をスプレー付与した後、クロスラッパー装置を用いて長繊維ウェブを10枚重ねて総目付が340g/m2の重ね合せウェブを作成し、更に、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、重ね合せウェブをニードルパンチングすることにより三次元絡合処理した。具体的には、針先端から第1バーブまでの距離が3.2mmの6バーブ針を用い、針深度8.3mmで積層体の両面から交互に3300パンチ/cm2のパンチ数でニードルパンチした。このニードルパンチ処理による面積収縮率は68%であり、ニードルパンチ後の絡合ウェブの目付は415g/m2であった。
得られた絡合ウェブは、以下のようにして湿熱収縮処理されることにより、緻密化された。具体的には、18℃の水を絡合ウェブに対して10質量%均一にスプレーし、温度70℃、相対湿度95%の雰囲気中で3分間張力が掛からない状態で放置して熱処理することにより湿熱収縮させて見かけの繊維密度を向上させた。この湿熱収縮処理による面積収縮率は45%であり、緻密化された絡合ウェブの目付は750g/m2であり、見かけ密度は0.52g/cm3であった。そして、絡合ウェブをさらに緻密化するために乾熱ロールプレスすることにより、見かけ密度0.60g/cm3に調整した。
次に、緻密化された絡合ウェブに非発泡タイプのポリウレタンエマルジョンを以下のようにして含浸させた。ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンを主体とする水系ポリウレタンエマルジョン(固形分濃度30%)を緻密化された絡合ウェブに含浸させた。そして、150℃の乾燥炉で水分を乾燥し、さらに非発泡タイプのポリウレタンを架橋させた。このようにして、ポリウレタン/絡合ウェブの質量比が18/82のポリウレタン絡合ウェブ複合体を形成した。
次に、ポリウレタン絡合ウェブ複合体を95℃の熱水中に20分間浸漬することにより海島型複合長繊維に含まれる海成分を抽出除去し、120℃の乾燥炉で乾燥することにより、厚さ約1.0mmの基材の中間体シートが得られた。そして得られたシートを厚み方向に2分割し、0.45mmに研削して不織布を含有する基材を得た。そして、表面側を400番手のサンドペーパーで起毛処理を行って、スエード調に仕上げた。そして、得られたスエード調の基材を青色の分散染料を用い130℃で、1時間液流染色し、還元、中和処理を行った。染色時の繊維の脱落やほつれは良好で、発色も良好であった。
得られた基材に含有される不織布の見かけ密度は0.53g/cm3であり、不織布/ポリウレタンの質量比は78/22であった。また、不織布を形成する極細繊維の繊度は0.08dtexであった。
次に、得られた基材に、彫深さ3.0mmで半径3.0mmの複数のドットが30%の面積割合で均一に分散されたエンボスロールを用いてエンボス加工した。エンボス加工の条件は、エンボスロールの表面温度185℃、0.98MPa(10kgf/cm2)の圧力、エンボスロール速度1.5m/分で行った。このようにして光透過性シートを得た。
得られた光透過性シートの表面の透光部の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影像を図4に、また、その断面のSEMの撮影像を図5に示す。また、図6に光透過性シートの遮光部の断面のSEMの撮影像を示す。図4及び図5に示すように、透光部においては繊維同士が融着して繊維の輪郭が不明確になっており、不織布の繊維構造が失われている。一方、図6に示すように遮光部の断面には、不織布の繊維構造が維持されている。
そして、光透過性シートのエンボス部分及び非エンボス部分の全光線透過率、空隙率を以下のように評価した。
(全光線透過率)
直径2.5mmの小孔を開けたステンレス製の遮光板と光透過性シートを貼り合せ、スガ試験機(株)製のヘーズメーター(機器モデル名:「HV−1」)にセットし、使用光源としてC光源を用い、シングルビーム法にて小孔1個当たりの局所的な全光線透過率(%)を測定した。
(空隙率)
上述したような、得られたシートの厚み方向の断面のSEM写真を用いて空隙率を算出した。具体的には、シートのプレスされた側から厚み方向の90%の領域の空隙の面積割合を写真の全領域に対する空隙部分の重量からその面積割合(空隙率)を算出した。なお、測定は、互いに直交する2方向から切断した断面の各方向から万遍なく5枚ずつ選択した計10枚のサンプルの結果の平均値をとった。
結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが110℃である、イソフタル酸変性したポリエチレンテレフタレートを用いる代わりに、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが100℃であるイソフタル酸変性したポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実施例1と同様にして光透過性シートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、エンボス加工の条件をエンボスロールの表面温度185℃、1.47MPa(15kgf/cm2)の圧力、エンボスロール速度2.0m/分に変更した以外は実施例1と同様にして光透過性シートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、エンボス加工の条件をエンボスロールの表面温度185℃、0.29MPaの圧力、エンボスロール速度1.5m/分に変更した以外は実施例1と同様にしてシートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。なお、シートの表面のエンボス部の断面のSEMの撮影像を図7に示す。図7に示すように、得られたシートのエンボス部はフィルム化されていなかった。
[比較例2]
実施例1において、非発泡型のポリウレタンを含浸させる代わりに、発泡型のポリウレタンを形成するためのポリウレタンのDMF溶液(固形分20%)を含浸させ、湿式凝固させることにより、発泡ポリウレタン/絡合ウェブの質量比が18/82のポリウレタン絡合ウェブ複合体を形成した。上記変更以外は実施例1と同様にしてシートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが110℃である、イソフタル酸変性したポリエチレンテレフタレートを用いる代わりに、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが47℃であるポリアミド6を用い、分散染料で染色する代わりに含金染料で染色した以外は実施例1と同様にしてシートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸単位の含有量6.0モル%)に代えて、イソフタル酸変性をしていないポリエチレンテレフタレートを島成分の熱可塑性樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、シートを得た。そして、同様にして評価した。結果を表1に示す。
本発明に係る実施例1〜3で得られた光透過性シートは透光部がいずれも5%以上の全光線透過率を有していた。また、皮革様のしなやかな風合いを維持していた。また、図5で示したように、透光部は繊維構造が不明確になる程度に融着されていた。一方、不織布の繊維構造を維持させたまま形態安定性を付与するような条件でエンボス加工した比較例1で得られたシートは、エンボス部に透光性がなかった。また、発泡型のポリウレタンを含浸させた不織布を用いてエンボス加工した比較例2の場合もエンボス部に透光性がなかった。また、ポリアミド6から形成された不織布を用い、エンボス加工した比較例3の場合もエンボス部に透光性がなかった。さらに、イソフタル酸変性をしていないポリエチレンテレフタレートから形成された不織布を用い、エンボス加工した比較例4の場合には、繊維同士の融着が不充分になりエンボス部がフィルム化されず、透光性がなかった。
本発明で得られる光透過性シートは、各種家電製品や自動車のインジケーター等の表示パネルのバックライトの表面に配設して選択的に光を透過させる発光装置に好ましく用いられる。また、スニーカー、衣料、各種雑貨製品の発光装置を備えず、太陽光を選択的に通過させるような表面意匠性素材としても好ましく用いられる。
1 不織布
2 光透過部
3 遮光部
4 立毛繊維
6 エンボスロール
6a 突起
7 バックロール
10 光透過性シート
11 バックライト装置
20 発光装置

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂からなる繊維の絡合体である不織布の該繊維の一部分を厚み方向に熱融着させることによりフィルム化させた領域である光透過部と、前記光透過部の周囲の該繊維をフィルム化させていない領域である遮光部とを備えることを特徴とする光透過性シート。
  2. C光源を使用光源とし、シングルビーム法で測定された前記光透過部の全光線透過率が5%以上であり、前記遮光部の全光線透過率が1%以下である請求項1に記載の光透過性シート。
  3. 前記光透過部の全光線透過率が前記遮光部の全光線透過率の10倍以上である請求項1または2に記載の光透過性シート。
  4. 前記遮光部を形成する繊維の絡合体の見かけ密度が0.45g/cm3以上であり、前記遮光部の厚みが前記光透過部の厚みの1.5倍以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の光透過性シート。
  5. 前記遮光部の表面は該繊維が立毛又は起毛されている請求項1〜4の何れか1項に記載の光透過性シート。
  6. 前記遮光部の表面に皮革銀面調の樹脂層が形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の光透過性シート。
  7. 上面視したときに遮光部の占める面積割合が50%以上である請求項1〜6の何れか1項に記載の光透過性シート。
  8. 前記繊維が染色されている請求項1〜7の何れか1項に記載の光透過性シート。
  9. 前記繊維は単繊維繊度0.9dtex以下で、ガラス転移温度が130℃以下である熱可塑性樹脂の極細繊維を含む請求項1〜8の何れか1項に記載の光透過性シート。
  10. 前記熱可塑性樹脂がイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートを含む請求項9に記載の光透過性シート。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の光透過性シートと、該光透過性シートの一面から照光するバックライトとを備えることを特徴とする発光装置。
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