以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図16は、本実施の形態に係る紙幣処理機およびこの紙幣処理機に設けられた紙幣搬送機構組合せ体や出金リジェクト部等を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、図2乃至図7は、図1に示す紙幣収納ユニットにおける出金搬送部に設けられた紙幣搬送機構組合せ体の構成の詳細を示す構成図である。また、図8および図9は、図1に示す紙幣収納ユニットにおける出金リジェクト部の構成の詳細を示す構成図であり、図10は、図1に示す紙幣収納ユニットにおける筐体の前面の一部を紙幣投入部および入金リジェクト部とともに示す斜視図である。また、図11A、図11B、図12は、図1に示す紙幣収納ユニットの表裏反転部の構成を示す図である。また、図13乃至図16は、図1に示す紙幣収納ユニットにおける中間ユニットの後端部に設けられた札落下防止板やスライド板等の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機は、図1(a)に示すような紙幣収納ユニット100と、図1(b)に示すような紙幣帯封ユニット200とから構成されている。具体的には、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200はそれぞれ略直方体形状のものとなっており、これらの紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200が左右に並ぶよう配置されることにより紙幣処理機が構成されている。紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素について以下に説明する。
図1(a)に示すように、紙幣収納ユニット100は略直方体形状の筐体102を有しており、この紙幣収納ユニット100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(a)に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図1(a)に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、この出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体に設けられた扉を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣帯封ユニット200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。
図1(a)に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である搬送部150にも設けられている。
図1(b)に示すように、紙幣帯封ユニット200は略直方体形状の筐体202を有しており、この紙幣帯封ユニット200の筐体202内には、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣の束を帯封するための帯封部212とがそれぞれ設けられている。アーム部210は例えば上下一対のアーム(上アームおよび下アーム)から構成されており、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を上下一対のアームで上下方向から挟むことによってこの整理一時保留部160から紙幣の束を取り出すようになっている。アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束は帯封部212により帯封されるようになっている。具体的には、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣の束が帯封紙により帯封されるようになっている。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送されるようになっている。帯封紙幣投出部218は紙幣帯封ユニット200の筐体202の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(b)に示すように、帯封紙幣投出部218には帯封紙幣収納出金部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、この帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金部220に送られた帯封紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により筐体202の外部に投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっている。また、各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、これらのカセット駆動部232により、各帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金部220に戻されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金部220に戻された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、この帯封紙幣投出部218から筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣搬送部216から帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣はリフト部224により図1(b)における上下方向に搬送可能となっている。ここで、リフト部224の下部にも回収用の開口が設けられており、リフト部224により下部に搬送された帯封紙幣はこの開口から筐体202の外部に投出可能となっている。
次に、図1に示す紙幣収納ユニット100の出金搬送部150に設けられた紙幣搬送機構組合せ体300の構成の詳細について図2乃至図7を用いて説明する。図1に示すように、出金識別部148と、バラ紙幣投出部152や出金リジェクト部154、整理一時保留部160との間には出金搬送部150が配設されているが、この出金搬送部150は、図2乃至図7に示すような紙幣搬送機構組合せ体300から構成されている。より詳細には、紙幣搬送機構組合せ体300は、第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304、第3の紙幣搬送機構306、第4の紙幣搬送機構308、第5の紙幣搬送機構310、第6の紙幣搬送機構312、第7の紙幣搬送機構314、第8の紙幣搬送機構316および第9の紙幣搬送機構318から構成されている。これらの第1〜第9の紙幣搬送機構302〜318は、それぞれ、無端状の循環ベルトからなる搬送ベルトおよびこの搬送ベルトが張架された搬送プーリや駆動プーリ等から構成されている。また、図2等に示すように、第1の紙幣搬送機構302と第2の紙幣搬送機構304との間には第1の出金搬送路150aが設けられており、また、第4の紙幣搬送機構308と第5の紙幣搬送機構310の間には第2の出金搬送路150bが設けられており、また、第6の紙幣搬送機構312と第7の紙幣搬送機構314の間には第3の出金搬送路150cが設けられており、また、第8の紙幣搬送機構316と第9の紙幣搬送機構318の間には第4の出金搬送路150dが設けられている。そして、出金識別部148により識別が行われた紙幣は、これらの第1〜第4の出金搬送路150a〜150dを通ってバラ紙幣投出部152や出金リジェクト部154、整理一時保留部160等に送られるようになっている。
紙幣搬送機構組合せ体300の各紙幣搬送機構302〜318についてより詳細に説明すると、第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304および第4の紙幣搬送機構308はそれぞれ、軸部材320により他の紙幣搬送機構から独立して回転自在に枢支されている。また、第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306は互いに対して固定されており、軸部材320を中心として第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306は一体的に回転するようになっている。また、出金リジェクト部154にはロック部材(ロックレバー)322が設けられているとともに、第2の紙幣搬送機構304にはこのロック部材322によりロックされる被ロック部材324が設けられている。また、図7に示すように、第6の紙幣搬送機構312は図示しない軸部材により第7の紙幣搬送機構314に対して回転自在となるよう枢支されており、また、第8の紙幣搬送機構316は図示しない軸部材により第9の紙幣搬送機構318に対して回転自在となるよう枢支されている。
本実施の形態では、第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306は、出金リジェクト部154の開閉扉としても機能するようになっており、これらの第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306を開くことにより、操作者は出金リジェクト部154の内部にアクセスしてこの出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すことができるようになっている。また、本実施の形態では、出金搬送部150の各出金搬送路150a〜150dにおいて紙幣の詰まり(ジャム)等のトラブルが発生したときに、これらの各出金搬送路150a〜150dに容易にアクセスすることができるようになっている。このことについて図2乃至図7を用いてより詳細に説明する。図2は、本実施の形態の紙幣収納ユニット100において紙幣の通常の出金処理が行われるときの各紙幣搬送機構302〜318の状態を示す図であるが、出金搬送部150の第1の出金搬送路150aにおいて紙幣の詰まり(ジャム)等のトラブルが発生したときには、操作者は紙幣収納ユニット100の動作を停止させた後、筐体102の上部扉(図示せず)を開き、さらに図3に示すように軸部材320を中心として第1の紙幣搬送機構302を回転させることにより第1の出金搬送路150aを露出させる。このことにより、操作者は第1の出金搬送路150aから詰まり現象を起こしている紙幣を取り出すことができるようになる。
また、出金リジェクト部154の内部にアクセスしてこの出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出す場合には、操作者は、筐体102の上部扉を開いた後、出金リジェクト部154に設けられたロック部材322による、第2の紙幣搬送機構304に設けられた被ロック部材324のロック状態を解除する。このようなロック状態の解除は、例えば特定の権限を有する者のみが所有する鍵によって行われるようになっている。そして、ロック部材322による被ロック部材324のロック状態を解除した後、図4に示すように軸部材320を中心として第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304、第3の紙幣搬送機構306およびバラ紙幣投出部152を一体的に回転させることにより出金リジェクト部154の内部を露出させる。このことにより、操作者は出金リジェクト部154の内部にアクセスしてこの出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。ここで、上述したように、ロック部材322による被ロック部材324のロック状態の解除は例えば特定の権限を有する者のみが所有する鍵によって行われるようになっているため、この出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣の安全性を確保することができる。なお、ロック部材322は電磁ロックにより被ロック部材324をロックするようになっていてもよく、この場合には、上位装置からの指示によりロック部材322による被ロック部材324のロック状態の解除を自動的に行うことができるようになる。
なお、本実施の形態では、ロック部材322による被ロック部材324のロック状態を解除せずに、図5に示すように軸部材320を中心として第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304、第3の紙幣搬送機構306、バラ紙幣投出部152および出金リジェクト部154を一体的に回転させることもできるようになっている。そして、図5に示すような状態から、第5の紙幣搬送機構310に対して軸部材320を中心として第4の紙幣搬送機構308を回転させることにより、図6に示すように、第2の出金搬送路150bが露出するようになる。出金搬送部150の第2の出金搬送路150bにおいて紙幣の詰まり(ジャム)等のトラブルが発生したときには、このようにして第2の出金搬送路150bを露出させることにより、操作者は第2の出金搬送路150bから詰まり現象を起こしている紙幣を取り出すことができるようになる。
また、図6に示すような状態から、第7の紙幣搬送機構314に対して図示しない軸部材を中心として第6の紙幣搬送機構312を回転させるとともに、第9の紙幣搬送機構318に対して図示しない軸部材を中心として第8の紙幣搬送機構316を回転させることにより、図7に示すように、第3の出金搬送路150cおよび第4の出金搬送路150dがそれぞれ露出するようになる。出金搬送部150の第3の出金搬送路150cや第4の出金搬送路150dにおいて紙幣の詰まり(ジャム)等のトラブルが発生したときには、このようにして第3の出金搬送路150cや第4の出金搬送路150dを露出させることにより、操作者は第3の出金搬送路150cや第4の出金搬送路150dから詰まり現象を起こしている紙幣を取り出すことができるようになる。また、図6に示すような状態から、第2の紙幣搬送機構304や第3の紙幣搬送機構306に対して軸部材320を中心として第1の紙幣搬送機構302を更に時計回りの方向に回転させることにより、図7に示すように第1の出金搬送路150aが露出するようになる。
このように、本実施の形態では、複数の紙幣搬送機構302〜318からなる紙幣搬送機構組合せ体300が出金搬送部150に設けられていることにより、第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306を、出金リジェクト部154の開閉扉として機能させることができるとともに、出金搬送部150の各出金搬送路150a〜150dにおいて紙幣の詰まり(ジャム)等のトラブルが発生したときに、これらの各出金搬送路150a〜150dに容易にアクセスすることができるようになる。すなわち、従来の紙幣処理機では、出金リジェクト部154には専用の開閉扉が設けられており、この開閉扉は電磁ロックまたは鍵により開動作が行われるようになっていたが、出金リジェクト部154に専用の開閉扉を設けるとコストが高くなってしまうとともにレイアウトに制約が生じるという問題があった。これに対し、本実施の形態では、第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304および第3の紙幣搬送機構306を、出金リジェクト部154の開閉扉として機能させることにより、出金リジェクト部154専用の開閉扉を設ける必要がなくなり、コストを低減することができ、また、レイアウトに制約が生じることがない。また、各紙幣搬送機構302、304、308、312、316が他の紙幣搬送機構に対して回転自在に枢支されているため、これらの紙幣搬送機構302〜318の一部を開いて各出金搬送路150a〜150dを容易に露出させることができる。
なお、本実施の形態の紙幣搬送機構組合せ体300では、図5乃至図7に示すように、軸部材320を中心として第1の紙幣搬送機構302、第2の紙幣搬送機構304、第3の紙幣搬送機構306、バラ紙幣投出部152および出金リジェクト部154が一体的に回転しているときに、出金リジェクト部154に設けられたロック部材322による被ロック部材324のロック状態を誤って解除しても、出金リジェクト部154が軸部材320を中心として反時計回りの方向に回転しないようになっている。このような構造となっていることにより、第2の出金搬送路150bから詰まり現象を起こしている紙幣を取り出す際に、出金リジェクト部154が誤って落下してしまいこの出金リジェクト部154と第4の紙幣搬送機構308との間に手が挟まれてしまうことを防止することができる。
次に、出金リジェクト部154の構成の詳細について図8および図9を用いて以下に説明する。ここで、図8は、出金リジェクト部154にリジェクト紙幣が集積されていないときの状態を示す図であり、図9は、出金リジェクト部154にリジェクト紙幣が集積されたときの状態を示す図である。なお、図9において出金リジェクト部154に集積されているリジェクト紙幣を参照符号Pで示している。
図8および図9に示すように、出金リジェクト部154は、リジェクト紙幣が集積される集積ステージ154aと、集積ステージ154aに対向するよう配置され、この集積ステージ154aとの間に紙幣収納空間を形成し、集積ステージ154aに向かって押圧されるよう設けられた対向部材154bと、を有している。また、出金リジェクト部154には、集積ステージ154aに向かって対向部材154bを押圧するための押圧部として、例えばバネ等からなる弾性部材154dが設けられており、この弾性部材154dは、圧縮状態からの反発力により集積ステージ154aに向かって対向部材154bを押圧するようになっている。
また、図8および図9に示すように、出金リジェクト部154において、集積ステージ154aには搬送ベルト154cが設けられている。この搬送ベルト154cは、図8等における時計回りの方向に連続的に移動するような無端状の循環ベルトからなり、当該搬送ベルト154cは、紙幣との間に働く摩擦力により、この紙幣を出金搬送部150から集積ステージ154aと対向部材154bとの間にある紙幣収納空間に送るようになっている。
また、図8および図9に示すように、出金リジェクト部154における紙幣の入口部分には、図8等において反時計回りの方向に回転する、例えばゴム等の弾性部材を含む羽根が複数設けられた札叩き用羽根車154eが設けられている。出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる紙幣の後端部がこの札叩き用羽根車154eの羽根によって叩かれることにより、集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に集積される紙幣が整列されるようになっている。より詳細には、札叩き用羽根車154eは、出金搬送部150から出金リジェクト部154に新たに紙幣を送る際に、集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に既に集積されている紙幣の上端部を集積ステージ154aから遠ざかるよう押しのけることにより、この新たな紙幣の通路を確保するようになっている。
このような出金リジェクト部154によれば、集積ステージ154aに対向するよう対向部材154bを配置し、集積ステージ154aと対向部材154bとの間に紙幣収納空間を形成し、対向部材154bは集積ステージ154aに向かって押圧されるようにし、しかも紙幣との間に働く摩擦力によりこの紙幣を強制的に紙幣収納空間に引き込むような搬送ベルト154cを集積ステージ154aに設けている。このように、対向部材154bによって紙幣収納空間に収納される紙幣に力を加えることによりこの紙幣がフリーの状態とならないようにし、しかも出金リジェクト部154に既に集積されている紙幣と集積ステージ154aとの間の狭い空間に紙幣を搬送ベルト154cによって強制的に引き込むことにより、より多くの紙幣を集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に収納することができるようになる。なお、図8、9において、第1の出金搬送路150aを通って紙幣を出金リジェクト部154に送る際は、分岐部材170は二点鎖線で示す位置に切り替えられ、一方、紙幣をバラ紙幣投出部152へ送る場合は、分岐部材170は実線で示す位置となる。
次に、紙幣投入部110や入金リジェクト部120の近傍における紙幣収納ユニット100の筐体102の前面の構成について図10を用いて説明する。図10は、図1に示す紙幣収納ユニット100における筐体102の前面の一部を紙幣投入部110および入金リジェクト部120とともに示す斜視図である。
図10に示すように、紙幣収納ユニット100の筐体102の前面において、紙幣投入部110の近傍には入金口ランプ104が設けられているとともに入金リジェクト部120の近傍には入金リジェクト口ランプ106が設けられている。これらの入金口ランプ104や入金リジェクト口ランプ106は例えばLEDランプ等から構成されている。入金口ランプ104は、紙幣収納ユニット100において紙幣の入金処理を行う際に紙幣の入金を促すために点滅する。また、入金リジェクト口ランプ106は、紙幣収納ユニット100において紙幣の入金処理を行う際に入金搬送部114から入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が送られ、この入金リジェクト部120においてリジェクト紙幣が集積されているときに点灯するようになっている。このように、入金リジェクト部120の近傍に入金リジェクト口ランプ106が設けられていることにより、操作者が入金リジェクト部120からリジェクト紙幣を取り忘れることを防止することができるようになる。
また、入金リジェクト口ランプ106は、紙幣投入部110に紙幣が残留しているとともに入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が集積されている場合には点灯するのに対し、紙幣投入部110に紙幣が残留していないときに入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が集積されている場合には点滅するようになっている。紙幣投入部110に紙幣が残留しているとともに入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が集積されている場合には、紙幣収納ユニット100において紙幣の入金処理が行われている最中であり、操作者は入金リジェクト口ランプ106が点灯していることを視認することによって入金リジェクト部120からリジェクト紙幣をいつでも取り出して紙幣投入部110に再投入することが可能となる。一方、紙幣投入部110に紙幣が残留していないときに入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が集積されている場合には、紙幣収納ユニット100において紙幣の入金処理が終了し、リジェクト紙幣の取り忘れが発生している可能性が高いため、入金リジェクト口ランプ106を点滅させることにより、入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が残留していることをより明確に操作者に伝えるようになっている。
このように、紙幣収納ユニット100の筐体102の前面において、紙幣投入部110の近傍に入金口ランプ104を設置するとともに入金リジェクト部120の近傍に入金リジェクト口ランプ106を設置することにより、入金リジェクト部120からのリジェクト紙幣の取り忘れを防止することができる。また、紙幣投入部110に紙幣が残留していないときに入金リジェクト部120にリジェクト紙幣が集積されている場合には入金リジェクト口ランプ106を点滅させることにより、紙幣収納ユニット100における入金処理の終了後の入金リジェクト部120からのリジェクト紙幣の取り忘れをより一層防止することができる。
次に、紙幣収納ユニット100に設けられた表裏反転部118の構成の詳細について図11A、図11Bおよび図12を用いて説明する。ここで、図11Aは、図1に示す紙幣収納ユニット100の表裏反転部118における紙幣の搬送路の構成を示す図であり、図11Bは、図11Aに示す表裏反転部118における第2の搬送路118rの構成の詳細を示す図である。また、図12は、図11Bに示す表裏反転部118における札叩き用羽根車118b、搬送プーリ118c、搬送ベルト118d、駆動軸118e等を側方から見たときの構成を示す構成図である。
前述したように、表裏反転部118は、入金識別部116により識別された紙幣の表裏を整えるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。表裏反転部118の構成についてより詳細に説明すると、図11Aに示すように、表裏反転部118には第1の搬送路118qおよび第2の搬送路118rが並列に設けられており、入金識別部116により表面(おもてめん)が上側となっていると検出された紙幣は第1の搬送路118qに送られ、また、入金識別部116により裏面が上側となっていると検出された紙幣は第2の搬送路118rに送られるようになっている。ここで、第2の搬送路118rに送られた紙幣は、この第2の搬送路118rにおいてその表裏が反転されるようになっている。また、図11Aに示すように、第1の搬送路118qおよび第2の搬送路118rは再び合流し、これらの第1の搬送路118qおよび第2の搬送路118rの各々から第3の搬送路118sに紙幣が送られるようになっている。
第2の搬送路118rにおいて紙幣の表裏を反転させる原理について図11Bおよび図12を用いて説明する。図11Bに示すように、第2の搬送路118rには紙幣の表裏を反転させる表裏反転空間118aが設けられている。より詳細には、入金識別部116により裏面が上側となっていると検出された紙幣は、無端状の循環ベルトである搬送ベルト118fにより表裏反転空間118aに送られ、この表裏反転空間118aに送られた紙幣は無端状の循環ベルトである搬送ベルト118hによりこの表裏反転空間118aから排出されて図11Aに示す第3の搬送路118sに送られるようになっている。ここで、搬送ベルト118fが張架された複数の搬送プーリのうちある一つの搬送プーリに駆動軸118eが取り付けられており、この駆動軸118eが図示しない駆動モータにより駆動されることによって搬送ベルト118fが図11Bにおける矢印方向に循環移動するようになっている。また、搬送ベルト118fおよび搬送ベルト118hにそれぞれ当接するように、無端状の循環ベルトである搬送ベルト118dが設けられており、この搬送ベルト118dは搬送ベルト118fおよび搬送ベルト118hとそれぞれ連れ回るようになっている。また、図11Bおよび図12に示すように、搬送ベルト118dは搬送プーリ118cに張架されるようになっている。このように、表裏反転空間118aは搬送ベルト118fおよび搬送ベルト118hにより上下から挟まれるとともに、この表裏反転空間118aにおける紙幣が出入りする側(図11Bでは左側)には搬送ベルト118dが位置するようになっている。
また、搬送プーリ118cの近傍には、図11Bにおいて時計回りの方向に回転する、例えばゴム等の弾性部材を含む羽根が複数設けられた札叩き用羽根車118bが設けられている。札叩き用羽根車118bは図11Bにおける時計回りの方向に連続的に回転するようになっており、搬送ベルト118fにより表裏反転空間118aに送られる紙幣の後端部がこの札叩き用羽根車118bの羽根によって叩き落とされることによって、表裏反転空間118aに送られた紙幣の後端部の位置が調整されるようになっている。また、この札叩き用羽根車118bは搬送プーリ118cから独立して回転するようになっている。より詳細には、札叩き用羽根車118bには駆動軸118jが連結されており、この駆動軸118jには駆動プーリ118kが取り付けられている。そして、駆動プーリ118kが図示しない駆動モータにより駆動されることによって札叩き用羽根車118bが回転するようになっている。一方、搬送プーリ118cは、駆動軸118jとの間にベアリング118iが介在されており、当該駆動軸118jに対してフリーとなっている。
本実施の形態では、前述したように、搬送ベルト118fにより表裏反転空間118aに送られる紙幣の後端部がこの札叩き用羽根車118bの羽根によって叩き落とされることにより、表裏反転空間118aに送られた紙幣の後端部の位置が調整されるようになっている。ここで、表裏反転空間118aに送られた紙幣の後端部の軌跡は決まったルートとなっているため、札叩き用羽根車118bの回転速度により表裏反転空間118aにおける紙幣の滞留時間が決まるようになっている。
一方、紙幣収納ユニット100において入金搬送部114(図1参照)により搬送される紙幣について、表裏反転部118の前後で紙幣の搬送間隔を変えないようすることが望まれている。表裏反転部118の前後で紙幣の搬送間隔を変えないようするためには、紙幣が第1の搬送路118qに沿って搬送される場合と、紙幣が第2の搬送路118rに沿って搬送される場合とで、紙幣の搬送時間が異ならないようにする必要がある。ここで、紙幣の表裏を反転させない場合、すなわち、紙幣が第1の搬送路118qに沿って搬送される場合では、紙幣の搬送時間を調整することができないため、紙幣の表裏を反転させる場合、すなわち、紙幣が第2の搬送路118rに沿って搬送される場合において紙幣の搬送時間を調整する必要がある。
従来の紙幣処理機に設けられるような表裏反転部では、札叩き用羽根車118bは、搬送ベルト118dが張架される搬送プーリ118cに固定されており、札叩き用羽根車118bおよび搬送プーリ118cは一体的に回転するようになっていた。このような表裏反転部では、札叩き用羽根車118bの回転速度は搬送ベルト118dの搬送速度により決められるようになっており、表裏反転空間118aにおける札叩き用羽根車118bの羽根による紙幣の後端部の叩き落としに時間がかかるため、紙幣が第1の搬送路118qに沿って搬送される場合に比べて紙幣の搬送時間に遅れが生じてしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態の表裏反転部118では、札叩き用羽根車118bは図示しない駆動モータにより搬送プーリ118cから独立して回転するようになっているため、搬送ベルト118dの搬送速度と関係なく札叩き用羽根車118bの回転速度を調整することができる。このため、搬送ベルト118dの搬送速度に比べて札叩き用羽根車118bの回転速度を大きくすることにより、表裏反転空間118aにおける札叩き用羽根車118bの羽根による紙幣の後端部の叩き落としの時間を短縮することができ、このことにより、紙幣が第1の搬送路118qに沿って搬送される場合と、紙幣が第2の搬送路118rに沿って搬送される場合とで紙幣の搬送時間を一致させることができる。
また、図1に示すように、本実施の形態の紙幣収納ユニット100では、一括一時保留部130および4つの金種別一時保留部132により一つの中間ユニット400が構成されており、この中間ユニット400は紙幣収納ユニット100の筐体102から図1における左方向(筐体の前方)に引き出し可能となっている。なお、この中間ユニット400は紙幣収納ユニット100の筐体102から完全に取り外すことはできず、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132が外部に露出すると中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102からこれ以上引き出すことができないようになっている。また、図1に示すように、中間ユニット400の上方には、紙幣投入部110、入金識別部116、表裏反転部118、入金リジェクト部120等から構成される上部ユニット460が設けられているとともに、この中間ユニット400の奥方(図1における右方)には、出金識別部148、出金搬送部150等から構成される出金搬送ユニット450が設けられている。図14乃至図16に示すように、中間ユニット400の底面には複数の開口420が一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に対応して設けられており、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留された紙幣は、これらの開口420を通って一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られるようになっている。
また、中間ユニット400の上面には、当該中間ユニット400の幅方向に沿って延びるゴム等の弾性部材からなるスクレーパ(図示せず)が設けられている。このようなスクレーパにより、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出す際に、入金搬送部114における上部ユニット460と中間ユニット400との間の箇所(図13(d)における搬送路の端部462の箇所)や中間ユニット400の上面に残留した紙幣を取り除くようになっている。しかしながら、従来では、中間ユニット400の上面にスクレーパを設けても、紙幣を完全に取り除くことができず、残留した紙幣が中間ユニット400の下方にある一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142に誤って落下して収納されてしまい、違算が生じてしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態では、中間ユニット400の後端部(図1における右端部)に札落下防止板402やスライド板406を設けることにより、このような問題の発生を防止している。このような札落下防止板402やスライド板406等の構成について図13乃至図16を用いて説明する。ここで、図13は、中間ユニット400の後端部に設けられた札落下防止板402やスライド板406等の構成の概略を簡潔に示す構成図であり、図14および図15は、図13に示す中間ユニット400やこの中間ユニット400の後端部に設けられた札落下防止板402やスライド板406等の構成を示す斜視図である。なお、図14は、中間ユニット400が紙幣収納ユニット100の筐体102内に完全に収容されているときの状態を示す図であり、図15は、中間ユニット400が紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出されたときの状態を示す図である。また、図16は、図14に示す中間ユニット400やこの中間ユニット400の後端部に設けられた札落下防止板402やスライド板406等を裏側(外側)から見たときの斜視図である。なお、図14乃至図16においては、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132の図示は省略している。
図13乃至図16に示すように、中間ユニット400の後端部(図1における右端部)には札落下防止板402が配設されている。また、この札落下防止板402の下端部には軸404が設けられており、札落下防止板402は軸404を中心として揺動するようになっている。より詳細には、札落下防止板402は、図13(a)や図14、図16に示すような軸404から鉛直方向上方に延びる位置と、図13(d)や図15に示すような軸404を中心として鉛直方向上方から約20°外側(図1や図13における右方)に傾いた位置との間で揺動するようになっている。また、札落下防止板402には、この札落下防止板402に対して摺動(スライド)するようスライド板406が設けられている。より詳細には、スライド板406は、図13(a)や図14、図16に示すような下部位置と、図13(d)や図15に示すようなその上端部が札落下防止板402の上端部よりも上方に突出する上部位置との間で摺動するようになっている。
具体的に説明すると、図16に示すように、札落下防止板402の上端部とスライド板406との間には引っ張りバネ408が設けられており、この引っ張りバネ408によりスライド板406に対して上方向に常に力が加えられるようになっている。また、中間ユニット400が紙幣収納ユニット100の筐体102内に完全に収容されているときには、スライド板406が中間ユニット400の上方にある上部ユニット460の底面に衝突しないように、図示しないストッパによりスライド板406は引っ張りバネ408による引っ張り力に抗して札落下防止板402の下部に固定されるようになっている。また、図16に示すように、札落下防止板402には循環ベルトからなるタイミングベルト410が設けられており、このタイミングベルト410の所定箇所にはスライド板406が接続されている。また、このタイミングベルト410の上端部が張架されるタイミングプーリ412にはピニオン414が取り付けられており、このピニオン414は円弧状ラック416に噛み合うようになっている。そして、中間ユニット400が紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出されると、スライド板406を下部位置に固定するストッパが外れ、このスライド板406が札落下防止板402に対して上昇するとともに、タイミングベルト410が循環移動してタイミングプーリ412が回転し、ピニオン414が円弧状ラック408上を転動する。このことにより、札落下防止板402は軸404を中心として外側に傾斜するようになる。
次に、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出すときの動作について説明する。中間ユニット400が紙幣収納ユニット100の筐体102内に完全に収容されているときには、図13(a)に示すように、札落下防止板402は軸404から鉛直方向上方に延びる位置にあり、また、スライド板406は下部位置に位置するようになっている。この場合、図14に示すように、札落下防止板402やスライド板406は中間ユニット400の後壁を構成するようになっている。ここで、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132から紙幣を取り出すために中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から図1における左方向に引き出し始めると、図13(b)に示すように中間ユニット400は出金搬送ユニット450から離間する。そして、図13(b)に示す状態から中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から更に引き出すと、スライド板406を下部位置に固定するストッパが外れ、図13(c)に示すようにこのスライド板406が札落下防止板402に対して上方向に摺動し始める。また、このような動作に合わせて、札落下防止板402は軸404を中心として図13(b)に示す状態から外側に傾斜し始める。
そして、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132が外部に露出し、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102からこれ以上引き出すことができないような状態になると、図13(d)に示すように札落下防止板402は軸404を中心として鉛直方向上方から約20°外側に傾いた状態となり、また、スライド板406の上端部が札落下防止板402の上端部よりも上方に突出するようになる。この際に、図13(d)に示すように、札落下防止板402やスライド板406は、中間ユニット400の上方にある上部ユニット460における入金搬送部114の搬送路の端部462の真下に位置するようになる。このことにより、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出す際に、入金搬送部114における上部ユニット460と中間ユニット400との間の箇所(図13(d)における搬送路の端部462の箇所)や中間ユニット400の上面に紙幣が残留していた場合でも、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102から引き出したときにこの紙幣は札落下防止板402やスライド板406によって受けられるようになるため、紙幣収納ユニット100の筐体102内における中間ユニット400の収容スペースの下方にある一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142に紙幣が誤って落下して収納されてしまうことを防止することができる。
図15に示すように、スライド板406の上端縁は櫛歯形状となっており、また、上部ユニット460の下面における入金搬送部114の搬送路の端部462の近傍にはこの櫛歯形状に噛み合うような突出部(図示せず)が設けられている。このようなスライド板406および突出部の形状により、図13(d)に示すような、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102からこれ以上引き出すことができないような状態となったときに、上部ユニット460の下面とスライド板406との間の隙間を通って紙幣収納ユニット100の筐体102の外部から紙幣を挿入することができないようになる。このため、紙幣収納ユニット100の筐体102内における中間ユニット400の収容スペースの下方にある一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142に紙幣が誤って落下して収納されてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態では、図13(d)に示すような、中間ユニット400を紙幣収納ユニット100の筐体102からこれ以上引き出すことができないような状態となったときに、図15に示すように、中間ユニット400の後端部が札落下防止板402およびスライド板406により完全に覆われるようになるため、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体102内における中間ユニット400の収容スペースにアクセスすることができないようになっている。このことにより、第三者が中間ユニット400の収容スペースの下方にある一括紙幣収納庫140や金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出すことが防止され、紙幣収納ユニット100の防盗性を向上させることができる。
以上のように本実施の形態の出金リジェクト部154によれば、集積ステージ154aに対向するよう対向部材154bを配置し、集積ステージ154aと対向部材154bとの間に紙幣収納空間を形成し、対向部材154bは集積ステージ154aに向かって押圧されるようにし、しかも紙幣との間に働く摩擦力によりこの紙幣を強制的に紙幣収納空間に引き込むような搬送ベルト154cを集積ステージ154aに設けている。このように、対向部材154bによって紙幣収納空間に収納される紙幣に力を加えることによりこの紙幣がフリーの状態とならないようにし、しかも出金リジェクト部154に既に集積されている紙幣と集積ステージ154aとの間の狭い空間に紙幣を搬送ベルト154cによって強制的に引き込むことにより、より多くの紙幣を集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に収納することができるようになる。
また、本実施の形態の出金リジェクト部154においては、前述したように、弾性部材を含む羽根が複数設けられた札叩き用羽根車154dが設けられており、この札叩き用羽根車154dの羽根によって紙幣が叩かれることにより紙幣収納空間において紙幣が整列されるようになっている。
また、本実施の形態の出金リジェクト部154においては、集積ステージ154aに向かって対向部材154bを押圧するための押圧部が設けられている。具体的には、押圧部としてバネ等の弾性部材154dが設けられており、押圧部は、弾性部材154dにおける圧縮状態からの反発力により集積ステージ154aに向かって対向部材154bを押圧するようになっている。なお、押圧部としては、図8等に示すようなバネ等の弾性部材154dに限定されることはない。集積ステージ154aに向かって対向部材154bを押圧するための押圧部として、弾性部材154d以外の様々な機構を用いることができる。
なお、本実施の形態による出金リジェクト部154は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、紙幣との間に働く摩擦力によりこの紙幣を強制的に集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に引き込むような搬送部は、図8等に示すような搬送ベルト154cに限定されることはない。紙幣を強制的に集積ステージ154aと対向部材154bとの間の紙幣収納空間に引き込むような搬送部として、搬送ベルト154c以外の様々な機構を用いることができる。
また、対向部材154bが集積ステージ154aに向かって押圧されるような態様について、押圧部を設置する方法以外の方法を用いてもよい。例えば、図8および図9に示すように紙幣が鉛直方向に延びるよう集積されるようにする代わりに、集積ステージを水平方向に延びるよう設置し、紙幣が水平方向に延びるようこの集積ステージ上に複数の紙幣が積層状態で集積されるようにしてもよい。この場合、集積ステージの上方に対向部材が設置され、集積ステージと対向部材との間に紙幣収納空間が形成されるようになるが、対向部材はこの対向部材に載せられた錘の重量により集積ステージに向かって押圧されるようになっていてもよい。更に他の態様としては、紙幣が水平方向に延びるようこの集積ステージ上に複数の紙幣が積層状態で集積されるようにした場合において、対向部材は当該対向部材の自重により集積ステージに向かって押圧されるようにしてもよい。
また、本発明の紙葉類集積装置に集積される紙葉類は、必ずしも紙幣に限定されることはなく、紙幣以外のもの、例えば小切手や商品券等の様々な種類の紙葉類が集積されるようになっていてもよい。