<第1の実施の形態>
図1〜19を参照して、本発明によるカメラ用アクセサリ、アクセサリ側マウント、カメラボディおよびボディ側マウントの第1の実施の形態を説明する。図1は、本発明が適用されるレンズ交換式タイプのカメラボディ1と、カメラボディ1に着脱可能に装着される撮影レンズ2を模式的に示した斜視図である。カメラボディ1にはレリーズボタン4と、撮像素子5と、カメラボディ1の各部を制御する制御回路6とが設けられている。3は、撮影レンズ2からの被写体像を撮像素子5に導くための撮影光路である。
カメラボディ1の正面には、撮影レンズ2をはじめとして、たとえば焦点距離を変更するコンバータレンズなどのカメラ用アクセサリを装着するための、バヨネット構造のボディ側マウント100が設けられている。撮影レンズ2の後部には、ボディ側マウント100に撮影レンズ2を着脱可能に装着するためのアクセサリ側マウント200が設けられている。なお、図1では、ボディ側マウント100およびアクセサリ側マウント200の詳細な形状の記載を省略している。また、本実施の形態では、撮影レンズ2が取り付けられるカメラボディ1の正面側(被写体側)を前方とし、撮像素子5が設けられるカメラボディ1の背面側を後方とする。また、カメラボディ1の上下左右方向を図1に記載したように規定する。図1では、カメラボディ1の上下方向が鉛直方向と一致している。図1に示すようにカメラボディ1を正立させたときのカメラボディ1の姿勢を正姿勢、または、横位置と呼ぶ。また、横位置にあるカメラボディ1を正面から見て時計方向または反時計方向に90度回転させた時のカメラボディ1の姿勢を縦位置と呼ぶ。
−−−ボディ側マウント100−−−
図2は、カメラボディ1の斜め右前から見たボディ側マウント100の構造を模式的に示した斜視図である。ボディ側マウント100は、カメラボディ1の円形の開口(撮影光路)の周縁に沿って離間して配設された3つの爪(ボディ側爪)が開口の円周の外側から内側に向かって突設されているバヨネット構造を呈する。3つのボディ側爪のうち、最も上側にあるボディ側爪をボディ側第1爪110と呼び、ボディ側第1爪110から図示反時計方向に向かって、順に、ボディ側第2爪120、ボディ側第3爪130と呼ぶ。
隣接する2つのボディ側爪の間の空間であって、後述するように、撮影レンズ2の着脱時にアクセサリ側マウント200の爪(アクセサリ側爪)が通過する空間をボディ側溝と呼ぶ。ボディ側第3爪130とボディ側第1爪110との間のボディ側溝をボディ側第1溝151と呼び、ボディ側第1溝151から図示反時計方向に向かって、順に、ボディ側第2溝152、ボディ側第3溝153と呼ぶ。
ボディ側第1爪110の前面を前面113と呼び、ボディ側第2溝152に面した図示反時計方向側の側端を第1側端111と呼び、ボディ側第1溝151に面した図示時計方向側の側端を第2側端112と呼ぶ。同様に、ボディ側第2爪120の前面を前面123と呼び、ボディ側第3溝153に面した側端を第1側端121と呼び、ボディ側第2溝152に面した側端を第2側端122と呼ぶ。ボディ側第3爪130の前面を前面133と呼び、ボディ側第1溝151に面した側端を第1側端131と呼び、ボディ側第3溝153に面した側端を第2側端132と呼ぶ。なお、第1側端111,121,131は、後述する装着方向に面しており、第2側端112,122,132は、後述する装着方向とは反対の方向(取り外し方向)に面している。
なお、図2では図示されていないが、ボディ側第1爪110の後面を後面と呼び、符号として114を付す。同様に、ボディ側第2爪120の後面およびボディ側第3爪130の後面をそれぞれ後面と呼び、符号として124および134を付す。
101は、ボディ側マウント基準面である。ボディ側マウント基準面101は、前方に向かって形成されたドーナツ状の平面であり、装着が完了した撮影レンズ2の後述するアクセサリ側マウント200のアクセサリ側マウント基準面201と当接して、撮影レンズ2の前後方向の位置を規定する基準となる面である。102は、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面であり、後述するアクセサリ側マウント200の嵌合部202と嵌合して、撮影レンズ2の光軸をカメラボディ1の光軸(撮影光路3の中心軸)と一致させるための基準となる面である。161は、装着が完了した撮影レンズ2がカメラボディ1(ボディ側マウント100)に対して回動しないように固定しておくための不図示のピンが出没するためのピン孔である。
−−−アクセサリ側マウント200−−−
図3は、撮影レンズ2の斜め左後から見たアクセサリ側マウント200の構造を模式的に示した斜視図である。なお、図3に示したアクセサリ側マウント200は、撮影レンズ2のカメラボディ1に対する装着が完了した状態(装着完了状態)、すなわち、撮影が可能な状態を示している。したがって、図3に示したアクセサリ側マウント200の上下左右方向の向きは、カメラボディ1の上下左右方向と一致する。以下の説明では、特にことわりがない場合には、アクセサリ側マウント200の上下左右方向の向きは、装着完了状態における向きである。
アクセサリ側マウント200は、内周側に光路を有する円筒部270と、内周側の開口280とを備えている。アクセサリ側マウント200は、円筒部270の後部で円筒部270の外周面270A(図3斜線部)に対して円周方向に沿って離間して配設された3つの爪(アクセサリ側爪)が円筒部270の半径方向に内側から外側に向かって突設されているバヨネット構造を呈する。3つのアクセサリ側爪のうち、最も上側にあるアクセサリ側爪をアクセサリ側第1爪210と呼び、アクセサリ側第1爪210から図示時計方向に向かって、順に、アクセサリ側第2爪220、アクセサリ側第3爪230と呼ぶ。なお、アクセサリ側マウント200の内周側の形状については、後に詳述する。
隣接する2つのアクセサリ側爪の間の空間であって、後述するように、撮影レンズ2の挿抜時にボディ側爪が通過する空間をアクセサリ側溝と呼ぶ。アクセサリ側第1爪210とアクセサリ側第2爪220との間のアクセサリ側溝をアクセサリ側第1溝251と呼び、アクセサリ側第1溝251から図示時計方向に向かって、順に、アクセサリ側第2溝252、アクセサリ側第3溝253と呼ぶ。
アクセサリ側第1爪210の後面を後面213と呼び、アクセサリ側第1溝251に面した側端を第1側端211と呼び、アクセサリ側第3溝253に面した側端を第2側端212と呼ぶ。同様に、アクセサリ側第2爪220の後面を後面223と呼び、アクセサリ側第2溝252に面した側端を第1側端221と呼び、アクセサリ側第1溝251に面した側端を第2側端222と呼ぶ。アクセサリ側第3爪230の後面を後面233と呼び、アクセサリ側第3溝253に面した側端を第1側端231と呼び、アクセサリ側第2溝252に面した側端を第2側端232と呼ぶ。なお、第1側端211,221,231は、後述する装着方向に面しており、第2側端212,222,232は、後述する装着方向とは反対の方向(取り外し方向)に面している。
なお、図3では図示されていないが、アクセサリ側第1爪210の前面を前面と呼び、符号として214を付す。同様に、アクセサリ側第2爪220の前面およびアクセサリ側第3爪230の前面をそれぞれ前面と呼び、符号として224および234を付す。
円筒部270のうち、アクセサリ側第1爪210とアクセサリ側第2爪220との間であって、アクセサリ側第1溝251に面した部位を第1円筒壁部271と呼ぶ。円筒部270のうち、アクセサリ側第1爪210とアクセサリ側第3爪230との間であって、アクセサリ側第3溝253に面した部位を第3円筒壁部273と呼ぶ。なお、本実施の形態では、円筒部270のうち、アクセサリ側第2爪220とアクセサリ側第2爪220との間であって、アクセサリ側第2溝252に面した部位が存在しないが、この部位を仮想第2円筒壁部272と呼ぶ。また、以下の説明では、円筒部270の外周面270A(図3の斜線部)を単に周面と呼ぶこともある。
201は、アクセサリ側マウント基準面である。アクセサリ側マウント基準面201は、後方に向かって形成されたドーナツ状の平面であり、装着が完了した状態ではボディ側マウント基準面101と当接する。202は、嵌合部であり、ボディ側マウント100の内周面102に嵌合して撮影レンズ2の光軸をカメラボディ1の光軸(撮影光路3の中心軸)と一致させるための基準となる円筒形状の部位である。261は、ピン孔であり、装着が完了した撮影レンズ2がカメラボディ1(ボディ側マウント100)に対して回動しないように固定しておくために、ボディ側マウント100のピン孔161から出没する不図示のピンが挿入される。
図3,4に示すように、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220の前方には、撮影レンズ2を着脱する際に、カメラボディ1(ボディ側マウント100)に対する撮影レンズ2(アクセサリ側マウント200)の回動範囲を規制するための規制部材262が設けられている。規制部材262による回動範囲の規制については後に詳述する。規制部材262は、たとえば、アクセサリ側マウント200の半径方向外側からねじ込まれた頭付きのピンである。
−−−ボディ側爪およびボディ側溝の位置について−−−
図5は、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの、ボディ側マウント100のボディ側爪およびボディ側溝の位置について示す図である。ボディ側爪の配設位置を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの3時の方向を基準とした反時計方向の角度で表すと次のようになる。ボディ側第1爪110は、76度から130度の範囲に存在する。ボディ側第2爪120は、177.5度から226度の範囲に存在する。ボディ側第3爪130は、304.5度から15度(375度)の範囲に存在する。
各ボディ側爪110〜130の大きさをボディ側マウント100の円形の開口の周縁に沿った角度範囲で表すと、ボディ側第1爪110は54度であり、ボディ側第2爪120は48.5度であり、ボディ側第3爪130は70.5度である。同様に、各ボディ側溝151〜153の大きさをカメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲で表すと、ボディ側第1溝151は61度であり、ボディ側第2溝152は47.5度であり、ボディ側第3溝153は78.5度である。
図5において、7は、カメラボディ1に設けられる指標の位置を示すマークである。この指標は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着する際の目印となるものであり、その位置をボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの3時の方向を基準とした反時計方向の角度で表すと90度となる。
−−−アクセサリ側爪およびアクセサリ側溝の位置について−−−
図6は、アクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの、アクセサリ側マウント200のアクセサリ側爪およびアクセサリ側溝の位置について示す図である。撮影レンズ2の上述した装着完了状態におけるアクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの9時の方向を基準とした時計方向の角度でアクセサリ側爪の配設位置を表すと次のようになる。アクセサリ側第1爪210は、56.5度から115度の範囲に存在する。アクセサリ側第2爪220は、172.5度から214.5度の範囲に存在する。アクセサリ側第3爪230は、267.5度から343.5度の範囲に存在する。
各アクセサリ側爪210〜230のアクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さを、アクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲で表すと、アクセサリ側第1爪210は58.5度であり、アクセサリ側第2爪220は42度であり、アクセサリ側第3爪230は76度である。同様に、各アクセサリ側溝251〜253の大きさをアクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲で表すと、アクセサリ側第1溝251は57.5度であり、アクセサリ側第2溝252は53度であり、アクセサリ側第3溝253は73度である。
図6において、8は、撮影レンズ2に設けられる指標の位置を示すマークである。この指標は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着する際の目印となるものであり、その位置を撮影レンズ2の上述した装着完了状態におけるアクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの9時の方向を基準とした時計方向の角度で表すと130.5度となる。この角度は、90度に後述する装着角度40.5度を足した角度に相当する。
上述したように、規制部材262は、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220の前方に設けられている。すなわち、規制部材262は、アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短い(アクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲が最も狭い)アクセサリ側第2爪220の近傍に設けられている。
−−−撮影レンズ2のカメラボディ1への装着−−−
このように構成された撮影レンズ2のカメラボディ1への装着は、次のようにして行う。なお、カメラボディ1の撮影光路3の中心を前後方向に延在する軸と、撮影レンズ2の光軸とを一致させた状態における、カメラボディ1に対する撮影レンズ2の回転位置を、以下、単に挿抜位相と呼ぶ。カメラボディ1の撮影光路3の中心を前後方向に延在する軸と、撮影レンズ2の光軸とを一致させ、撮影レンズ2に設けられた指標の回転位置とカメラボディ1に設けられた指標の回転位置をと合わせると、図7に示すようにボディ側爪110〜130がアクセサリ側爪210〜230と干渉することなく、アクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とが当接するまでアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入できる。このときの挿抜位相を正規の挿抜位相と呼ぶ。なお、図7は、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との干渉の有無(重なり状態)を示す図であり、アクセサリ側爪を扇形状の図形にて模式的に図示している。
正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入すると、アクセサリ側第1爪210はボディ側第1溝151の前から後へ通過し、アクセサリ側第2爪220はボディ側第2溝152の前から後へ通過し、アクセサリ側第3爪230はボディ側第3溝153の前から後へ通過する。同様に、正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入すると、ボディ側第1爪110はアクセサリ側第1溝251(図7において符号を付さず)の後から前へ通過し、ボディ側第2爪120はアクセサリ側第2溝252(図7において符号を付さず)の後から前へ通過し、ボディ側第3爪130はアクセサリ側第3溝253(図7において符号を付さず)の後から前へ通過する。
正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入した後、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を反時計方向に回動させると、アクセサリ側第1爪210がボディ側第1爪110の後側に入り込み、アクセサリ側第2爪220がボディ側第2爪120の後側に入り込み、アクセサリ側第3爪230がボディ側第3爪130の後側に入り込む。このように、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を反時計方向に回動させると、図8に示すように、正規の挿抜位相から40.5度回動させたところで、規制部材262がボディ側第2爪120の第2側端122と当接して、反時計方向への回動が規制される。このように、正規の挿抜位相から撮影レンズ2を反時計方向に40.5度回動させたところで、アクセサリ側マウント200がボディ側マウント100に結合され(アクセサリ側爪とボディ側爪との結合が完了し)、撮影レンズ2の装着が完了する。正規の挿抜位相から撮影レンズ2の装着が完了する位相までの撮影レンズ2の回動角度(40.5度)を装着角度と呼ぶ。また、上述した反時計方向への回動方向を装着方向とも呼ぶ。
撮影レンズ2の装着が完了すると、アクセサリ側マウント200のピン孔261の位置がボディ側マウント100のピン孔161の位置と重なる。そして、ボディ側マウント100のピン孔161から出没する不図示のピンがピン孔261に挿入される。
−−−装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合−−−
装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合には、次のようにする。まず、カメラボディ1に設けられた不図示のボタンを押圧するなどして、上述したピンをピン孔261から抜く。この状態のまま、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を正規の挿抜位相まで時計方向に回動させると、アクセサリ側爪とボディ側爪との結合が解除される。撮影レンズ2を正規の挿抜位相まで回動させると、規制部材262がボディ側第1爪120の第1側端111と当接して、時計方向への回動が規制される。すなわち、図7に示した状態に戻る。正規の挿抜位置では、上述したように、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230とが干渉しないので、撮影レンズ2をカメラボディ1の前方に外すことができる。なお、上述した時計方向への回動方向を取り外し方向とも呼ぶ。
−−−アクセサリ側爪とボディ側爪との結合状態について−−−
図9は、半径方向外側から見たボディ側第1爪110を円周に沿って展開した状態を模式的に示した図である。ボディ側第1爪110の第2側端112近傍には、撮影レンズ2の装着時に、アクセサリ側第1爪210がボディ側第1爪110後側にスムーズに回り込むことができるようにするために、後面114側がテーパ上に形成されたテーパ面117が設けられている。ボディ側第1爪110の第2側端112近傍には、テーパ面117に続いて、ボディ側マウント100の前後方向に対して垂直な面である当接部115が設けられている。後面114には、当接部115に隣接してバネ116が設けられている。
バネ116は、ボディ側第1爪110の後側に入り込んだアクセサリ側第1爪210の前面214(図9において不図示)に当接してこれを後方に押圧することで、アクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とを当接させておくための弾性部材である。当接部115は、たとえば、装着が完了した撮影レンズ2に対して外力が加わり、バネ116の付勢力に抗して撮影レンズ2がカメラボディ1に対して傾こうとした際に、アクセサリ側第1爪210の前面214と当接して、アクセサリ側第1爪210の前方への移動を規制する部位である。なお、バネ116の付勢力によってアクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とが当接(密着)している場合には、当接部115は、アクセサリ側第1爪210の前面214と僅かに離間している。
ボディ側第2爪120およびボディ側第3爪130も同様の構造である。すなわち、ボディ側第2爪120の第2側端122近傍には、後面124側がテーパ上に形成されたテーパ面127が設けられている。ボディ側第2爪120の第2側端122近傍には、テーパ面127に続いて、ボディ側マウント100の前後方向に対して垂直な面である当接部125が設けられている。後面124には、当接部125に隣接してバネ126が設けられている。ボディ側第3爪130の第2側端132近傍には、後面134側がテーパ上に形成されたテーパ面137が設けられている。ボディ側第3爪130の第2側端132近傍には、テーパ面137に続いて、ボディ側マウント100の前後方向に対して垂直な面である当接部135が設けられている。後面134には、当接部135に隣接してバネ136が設けられている。
なお、図8において、符号116aで示すマークは、バネ116がアクセサリ側第1爪210の前面214を押圧する位置が円周方向に沿ったどの位相にあるのかを示すものである。同様に、符号126aで示すマークは、バネ126がアクセサリ側第2爪220の前面224を押圧する位置が円周方向に沿ったどの位相にあるのかを示すものであり、符号136aで示すマークは、バネ136がアクセサリ側第3爪230の前面234を押圧する位置が円周方向に沿ったどの位相にあるのかを示すものである。
当接部115は、たとえば図7,8に示すように、ボディ側マウント100の略真上に設けられている。当接部125は、ボディ側第1爪110の第2側端112と当接部115との離間距離と同じ距離だけボディ側第2爪120の第2側端122と離間した位置に設けられている。当接部135は、ボディ側第1爪110の第2側端112と当接部115との離間距離と同じ距離だけボディ側第3爪130の第2側端132と離間した位置に設けられている。
図10は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着および取り外す際の、アクセサリ側第2爪220とボディ側第2爪120との係合状態の変化を時系列的に示す図であり、半径方向外側から見たボディ側第2爪120を円周に沿って展開した状態を模式的に示した図である。図10(a)は、正規の挿抜位相で挿入されたアクセサリ側マウント200のアクセサリ側第2爪220が、ボディ側第2溝152を通過する様子を示す図である。図10(b)は、アクセサリ側第2爪220が、ボディ側第2溝152を通過し、アクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とが当接した状態におけるアクセサリ側第2爪220とボディ側第2爪120との様子を示す図である。
その後、撮影レンズ2が装着方向に回動されると、図10(c)に示すように、アクセサリ側第2爪220がボディ側第2爪120の後側に入り込み、図10(d)に示すように、アクセサリ側第2爪220がバネ126の後方に移動し、バネ126によってアクセサリ側第2爪220が後方に付勢される。撮影レンズ2が正規の挿抜位置から装着角度分だけ装着方向に回動されると、図10(e)に示すように、規制部材262が、ボディ側第2爪120の第2側端122に当接するので、撮影レンズ2の装着方向への回動が規制される。
撮影レンズ2をカメラボディ1から取り外すために、図10(e)に示す状態から撮影レンズ2が取り外し方向に回動されると、装着角度分だけ回動された時点で、図10(f)に示すように、規制部材262が、ボディ側第1爪110の第1側端111に当接するので、撮影レンズ2の取り外し方向への回動が規制される。
−−−撮影レンズ2の挿入時の接触部位について−−−
たとえば撮影レンズ2などのアクセサリをカメラボディ1に装着しようとする場合、図39に示すように、ユーザが右利きであれば、左手でカメラボディ1を持ち、右手で持った撮影レンズ2をカメラボディ1に装着しようとすることが多い。このとき、カメラボディ1側の光軸と撮影レンズ2側の光軸とが一致した状態を維持したままアクセサリ側マウント200がボディ側マウント100に挿入されることは希である。多くの場合には、カメラボディ1側の光軸と撮影レンズ2側の光軸とがねじれの位置にある状態でアクセサリ側マウント200がボディ側マウント100に挿入されることとなる。
その場合、図40に示すように、左手で持ったカメラボディ1のボディ側マウント100におけるユーザから見たときの手前の斜め下側と、右手で持った撮影レンズ2のアクセサリ側マウント200におけるユーザから見たときの手前の斜め下側とが最初に接触し易い。すなわち、左手でカメラボディ1を持ち、右手で持った撮影レンズ2をカメラボディ1に装着しようとすると、図41に示すように、仮に仮想第2円筒壁部272が存在していた場合には、ボディ側マウント100のボディ側第2爪120と、仮想第2円筒壁部272とが最初に接触し易い。
このように、仮に仮想第2円筒壁部272が存在していたとすれば、ボディ側マウント100のボディ側第2爪120と、仮想第2円筒壁部272とが接触することで、これらの接触部位が擦れて摩耗粉が生じたり、接触部位の破損による小片が生じたりするおそれがある。このようにして生じた摩耗粉や小片がカメラボディ1や撮影レンズ2の内部に侵入すると撮像によって得られる画像の品質を低下させてしまう。また、ボディ側第2爪120が変形するおそれがある。そして、ボディ側第2爪120の変形によって、カメラボディ1と撮影レンズ2との間でがたつきが生じたり、装着時に抵抗が生じたり、ボディ側第2爪120が摺動するアクセサリ側マウント200の部位の摩耗が急速に進んだりするおそれがある。
そこで、本実施の形態では、図3や図42に示すように、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200から除去した。このように、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200から除去することによって、撮影レンズ2の装着時にボディ側第2爪120と接触しなくなるため、上述したような不具合の発生を防止できる。
なお、撮影レンズ2の装着時にボディ側第2爪120と接触しなくなるのであれば、または、接触し難くなるのであれば、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200からすべて除去しなくてもよい。たとえば、図43や図44に示すように、嵌合部202の後端面からの後方への突出距離を短くして、後端面がアクセサリ側第2爪220の後面223やアクセサリ側第3爪230の後面233よりも前方に位置するように形成された第2円筒壁部272Aを設けてもよい。このように、第2円筒壁部272Aを設けた場合であっても、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200からすべて除去した場合と同様の作用効果を奏する。
また、たとえば、図45に示すように、第1円筒壁部271や第3円筒壁部273と同様に第2円筒壁部272Bを設けるとともに、第2円筒壁部272Bの外周面の一部を切り欠いた形状としてもよい。この切り欠き部分を切り欠き部274と呼ぶ。このように切り欠き部274を設けた場合についても、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200からすべて除去した場合と同様の作用効果を奏する。
なお、仮想第2円筒壁部272に相当する部位の全部または一部を除去することとして説明しているが、第1円筒壁部271や第3円筒壁部273についても、その全部または一部を除去することとしてもよい。すなわち、円筒部270のうち、カメラボディ側マウント100に面する円筒の端面の一部が欠かれていればよい。
−−−撮影レンズ2の挿入後の回転装着時の摩耗防止について−−−
上述したように、正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入した後、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を反時計方向に回動させると、各アクセサリ側爪が各ボディ側爪の後側に入り込む。このとき、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202とが嵌合しており、撮影レンズ2の光軸とカメラボディ1の光軸(撮影光路3の中心軸)とが一致している。すなわち、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202との嵌合部分で、撮影レンズ2のカメラボディ1に対する上下左右方向への移動が規制される。そのため、撮影レンズ2の光軸とカメラボディ1の光軸とを一致させるために、撮影光路3の中心軸に面した各ボディ側爪の端面を、当該端面が向かい合うアクセサリ側マウント200の円筒部270の外周面(すなわち各アクセサリ側爪の前方における円筒部270の外周面)と当接させる必要はない。
そこで、本実施の形態では、図46に示すように、撮影光路3の中心軸に面した各ボディ側爪の端面が向かい合うアクセサリ側マウント200の円筒部270の外周面の一部を切り欠いた形状としている。この切り欠き部分を切り欠き部275と呼ぶ。なお、図46では、アクセサリ側第3爪230の前方における円筒部270の外周面に切り欠き部275を設けた例を示している。このように、切り欠き部275を設けることで、当該切り欠き部275に面するボディ側爪との接触を確実に防止できる。これにより、撮影レンズ2の挿入後の回転装着時において、円筒部270の外周面とボディ側爪との接触による摩耗粉の発生や、接触による破損によって小片が生じることを防止できる。
なお、図46では、アクセサリ側第3爪230の前方における円筒部270の外周面に切り欠き部275を設けているが、3箇所存在する各アクセサリ側爪の前方における円筒部270の外周面のうち、少なくとも1箇所に、切り欠き部275を設ければよい。すなわち、円筒部270の外周面の一部が欠かれていればよい。このように、本実施の形態では、円筒部270は、円周方向に沿った一部が欠かれている。
−−−アクセサリ側マウント200の内周側の形状について−−−
図3や図43などに示したアクセサリ側マウント200の開口280の形状は、円形である。しかし、被写体光束に影響を与えなければ、開口280の形状は円形以外の形状であってもよい。たとえば、図47に示すように、開口280の内面に沿った仮想的な円から半径方向の内側に向かって突出する突出部281が設けられていてもよい。また、この突出部281は、たとえば、図47の2点鎖線で示したように、さらに突出部281Aを備えるなど、突出部281を複数箇所に設けてもよい。
なお、開口280の内周面に沿った突出部281の配設位置は任意である。また、複数の突出部281を設けた場合、開口280の中心に対して対称に設けてもよく、非対称に設けてもよい。このように突出部281を設けることで、アクセサリ側マウント200の強度(剛性)を向上でき、アクセサリ側マウント200の変形が抑えられるため、例えばアクセサリ側マウント200に取り付けられたレンズ部材の光軸のずれを抑えることができ、その結果、撮像によって得られる画像の画質が向上する。
また、図48に示すように、開口280の形状が多角形であってもよい。なお、図48では、開口280の形状が多角形の一例として正八角形である場合を示している。このように開口280の形状が円形でない場合、多角形の仮想内接円282よりも内側を被写体光束が通過するように開口280を構成すればよい。この場合には、仮想内接円282を内周面とする円形の開口を設ける場合に比べて、開口280の内周面と仮想内接円282とで囲まれた斜線部分283の分だけ、アクセサリ側マウント200を軽量化できる。なお、開口280の形状は正多角形に限らず、一般的な多角形であってもよく、角の数も8に限らず、3以上の任意の整数であってもよい。
−−−正規の挿抜位相以外の位相で撮影レンズ2を挿入しようとした場合−−−
本実施の形態のボディ側マウント100およびアクセサリ側マウント200では、正規の挿抜位相以外の位相で撮影レンズ2を挿入しようとした場合、ボディ側爪110〜130の少なくとも2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の少なくとも2つの爪とが合計2箇所以上で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止(阻止)される。
図7から明らかに想像できるように、正規の挿抜位相から、撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回動させた状態で撮影レンズ2を装着しようとしても、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第2爪120の前面123と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。この場合、ボディ側爪110〜130の3つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の3つの爪とが当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される。たとえば、図8において、アクセサリ側爪210〜230がボディ側爪110〜130の前方に位置していると仮定した場合が、その一例である。
上述した状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動させた状態で撮影レンズ2を装着しようとした場合、図11に示すように、アクセサリ側第2爪220がボディ側第3溝153の前方へ移動するため、アクセサリ側第2爪220がボディ側爪110〜130とは当接しなくなる。しかし、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。この場合、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止されることになる。図11においてハッチングを施した、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪との当接箇所は、合計で2箇所である。
図11に示す状態では、あと僅かに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接することになる。すなわち、あと僅かに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が3箇所となる。また、反対に、図11に示す状態から撮影レンズ2を図示時計方向に回動させると、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接する部分の面積、および、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第3爪130の前面133とが当接する部分の面積が増加することとなる。
したがって、図11に示す状態は、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接して、当接箇所が当該2箇所のみとなる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる場合を示している。図11に示した挿抜位相における、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113との当接部分を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの角度範囲で表すと11度である。
なお、後述するように、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態は他にも存在する。しかし、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態で、2箇所の当接箇所のうち、当接面積が少ない方の当接箇所について、その当接面積が最も少なくなるのは、図11に示す状態と、次に述べる、図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回動した状態(不図示)の2つである。
図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回動した状態では、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接しなくなる代わりに、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接する。なお、もう1箇所の当接箇所は、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する箇所である。アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123との当接部分を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの角度範囲で表すと、図11に示す状態と同様に11度である。
すなわち、この場合も、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。この状態では、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第3爪130の前面133とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる。
すなわち、図11に示したアクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113との当接部分の面積が、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態では最も面積が少ない。同様に、図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回動した状態におけるアクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123との当接部分の面積が、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態では最も面積が少ない。図11に示した挿抜位相、および図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回動した状態における挿抜位相を特定の挿抜位相と呼ぶ。
上述したように、図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113およびボディ側第2爪120の前面123と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、上述したように図11に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回動した時点で、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接しなくなるので、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、図12に示す状態となる。
図12から明らかに想像できるように、図12に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回動すると、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第3爪130の前面133と当接するようになる。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。この状態からさらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第1爪110の前面113とも当接するようになる。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で4箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接しなくなり、次いで、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接しなくなる。すなわち、図13に示すように、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。
図13に示す状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接する部分の面積、および、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接する部分の面積が減少する。したがって、図13に示す状態は、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も多くなる場合を示している。
図14は、図13に示す状態からさらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動した状態であり、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる場合を示している。
図14に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回動すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第3爪130の前面133と当接するようになる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。この状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第2爪120の前面123と当接するようになる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で4箇所となる。この状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、図15に示すように、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接しなくなる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。
図15に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回動すると、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第1爪110の前面113と当接するようになるが、略同時に、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第1爪110の前面113と当接しなくなる。そして、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回動すると、図7に示す正規の挿抜位相に戻り、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230とが当接(干渉)しなくなる。
−−−アクセサリ側第3爪230について−−−
ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がアクセサリ側第3爪230に存在する場合、図11〜14に示すように、アクセサリ側第3爪230におけるボディ側爪110〜130との当接箇所は、必ず、第1側端231側(すなわち第1側端231の近傍の後面233)ではなく、第2側端232側(すなわち第2側端232の近傍の後面233)に存在する。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がアクセサリ側第3爪230に存在する場合、誤挿入阻止の機能をアクセサリ側第3爪230のうち、第2側端232の近傍に持たせている。そして、アクセサリ側第3爪230の第2側端232の近傍は、図8に示すように、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際にボディ側第3爪130とは重ならず、ボディ側第3溝153に位置するように構成されている。すなわち、アクセサリ側第3爪230の第2側端232の近傍は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際に、撮影レンズ2のカメラボディ1への固定には直接的には寄与していない。
また、上述したように、アクセサリ側第3爪230のうち、第1側端231の近傍では、前面234がボディ側第3爪130のバネ136に押圧され、過大な外力が作用した場合には、前面234が当接部135と当接する。すなわち、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際に撮影レンズ2をカメラボディ1に固定しようとする力がアクセサリ側第3爪230のうち、主に第1側端231の近傍に作用する。
このように、アクセサリ側第3爪230の延在方向に沿った第1側端231の近傍と第2側端232の近傍とで、その機能を分担するように構成している。
−−−ボディ側第1爪110について−−−
ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がボディ側第1爪110に存在する場合、図11,13,14に示すように、ボディ側第1爪110におけるアクセサリ側爪210〜230との当接箇所は、必ず、第2側端112側(すなわち第2側端112の近傍の前面113)ではなく、第1側端111側(すなわち第1側端111の近傍の前面113)に存在する。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がボディ側第1爪110に存在する場合、誤挿入阻止の機能をボディ側第1爪110のうち、第1側端111の近傍に持たせている。
そして、ボディ側第1爪110の第2側端112の近傍には、当接部115に隣接してバネ116が設けられている。すなわち、ボディ側第1爪110の第2側端112の近傍は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際に、撮影レンズ2をカメラボディ1への固定する機能を有する。
このように、ボディ側第1爪110の延在方向に沿った第1側端111の近傍と第2側端112の近傍とで、その機能を分担するように構成している。
このように構成されるカメラボディ1と撮影レンズ2では、次のような作用効果を奏する。
(1) 撮影レンズ2の装着時にボディ側マウント100と接触しやすい部位をアクセサリ側マウント200から除去するように構成した。これにより、接触に起因する摩耗粉の発生や、破損による小片の発生を防止できる。したがって、生じた摩耗粉や小片のカメラボディ1や撮影レンズ2の内部への侵入を防止して、撮像によって得られる画像の品質低下を防止できる。
(2) たとえば、図3や図42に示すように、仮想第2円筒壁部272に相当する部位をアクセサリ側マウント200から除去するように構成した。これにより、撮影レンズ2の装着時にボディ側第2爪120と接触しなくなるため、ボディ側マウント100に対してアクセサリ側マウント200が多少傾いていても、挿入が可能となり、撮影レンズ2の装着が容易となる。
(3) たとえば、図43や図44に示すように、後端面がアクセサリ側第2爪220の後面223やアクセサリ側第3爪230の後面233よりも前方に位置するように形成された第2円筒壁部272Aを設けるように構成した。これにより、撮影レンズ2の装着時にボディ側第2爪120と接触しなくなるため、ボディ側マウント100に対してアクセサリ側マウント200が多少傾いていても、挿入が可能となり、撮影レンズ2の装着が容易となる。さらに、第2円筒壁部272Aが設けられることにより、アクセサリ側マウント200の剛性の低下を抑制でき、アクセサリ側マウント200の耐久性を向上できる。
(4) たとえば、図45に示すように、第1円筒壁部271や第3円筒壁部273と同様に第2円筒壁部272Bを設けるとともに、第2円筒壁部272Bの外周面の一部を切り欠いた形状とするように構成した。これにより、ボディ側マウント100と第2円筒壁部272Bとが接触した場合には、第2円筒壁部272Bの2点で接触し易くなるため、力が分散され易くなり、摩耗粉の発生を抑制できる。さらに、第2円筒壁部272Bが設けられることにより、アクセサリ側マウント200の剛性の低下を抑制でき、アクセサリ側マウント200の耐久性を向上できる。また、簡単な切削加工によって切り欠き部274を設けられるので、加工コストを抑制できる。
(5) たとえば、図46に示すように、各ボディ側爪の端面が向かい合うアクセサリ側マウント200の円筒部270の外周面に切り欠き部275を設けるように構成した。これにより、撮影レンズ2の挿入後の回転装着時において、円筒部270の外周面とボディ側爪との接触による摩耗粉の発生や、接触による破損によって小片が生じることを防止できる。したがって、生じた摩耗粉や小片のカメラボディ1や撮影レンズ2の内部への侵入を防止して、撮像によって得られる画像の品質低下を防止できる。
(6) たとえば、図47に示すように、開口280の内面に沿った仮想的な円から半径方向の内側に向かって突出する突出部281を設けるように構成した。これにより、アクセサリ側マウント200の強度(剛性)を向上でき、アクセサリ側マウント200の変形が抑えられるため、例えばアクセサリ側マウント200に取り付けられたレンズ部材の光軸のずれを抑えることができ、その結果、撮像によって得られる画像の画質が向上する。
(7) たとえば、図48に示すように、開口280の形状が多角形となるように構成した。これにより、仮想内接円282を内周面とする円形の開口を設ける場合に比べて、開口280の内周面と仮想内接円282とで囲まれた斜線部分283の分だけ、アクセサリ側マウント200を軽量化できる。したがって、撮影レンズ2などのカメラ用アクセサリを軽量化できるので、カメラボディ1および撮影レンズ2を手でもって撮影する際のユーザの手の負担を軽減して手ぶれを抑制できる。
(8) アクセサリ側爪210〜230の3つの爪の同じ大きさとして、等間隔に配設し、ボディ側爪110〜130の3つの爪を同じ大きさとして、等間隔に配設してしまうと、正規の挿抜位相以外の位相でも、撮影レンズ2がカメラボディ1に対して装着可能となってしまう。そのため、アクセサリ側爪210〜230の3つの爪の大きさを変えるとともに、配設間隔を変更し、ボディ側爪110〜130の3つの爪の大きさを変えるとともに、配設間隔を変更している。また、正規の挿抜位相以外の位相で撮影レンズ2を挿入しようとした場合、ボディ側爪110〜130の少なくとも2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の少なくとも2つの爪とが合計2箇所以上で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止されるように構成している。たとえば、カメラ用アクセサリのマウントの爪とカメラボディのマウントの爪同士の当接箇所が1箇所だけとなる場合では、アクセサリ側の当接しない他の2つの爪がカメラボディ側の爪同士の間に入り込んでしまうおそれがある。しかし、本実施の形態では、上述したように、正規の挿抜位相以外では、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計2箇所以上となるので、カメラ用アクセサリの誤装着を確実に防止できる。
(9) 規制部材262が、ボディ側第2爪120の第2側端122およびボディ側第1爪110の第1側端111に当接して、撮影レンズ2の装着方向および取り外し方向への回動範囲を規制するように構成した。これにより、単純な形状の一部材によって撮影レンズ2の回動方向および取り外し方向への回動範囲を規制できるので、ボディ側マウント100およびアクセサリ側マウント200の製造コストを抑制できる。
(10) アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短いアクセサリ側第2爪220の側端近傍に規制部材262を設けた。アクセサリ側第2爪220は、正規の挿抜位相ではボディ側第2溝152を通ることになるが、ボディ側第2溝152のカメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲が47.5度である。また、装着角度は40.5度である。ボディ側第2溝152が延在する角度範囲(47.5度)内で、規制部材262がボディ側第2爪120の第2側端122とボディ側第1爪110の第1側端111との間で移動可能な範囲が装着角度に相当するともいえる。したがって、アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短いアクセサリ側第2爪220の側端近傍に規制部材262を設けることで、ボディ側マウント100およびアクセサリ側マウント200からなるマウントシステムの装着角度が規定されることとなる。また、装着角度が下記のように規定されるため、この装着角度に合わせてボディ側第2溝152およびアクセサリ側第2爪220の大きさを定めたともいえる。このように構成することで、合理的な構造が実現でき、無駄な部分を排して、軽量化に貢献できる。
なお、装着角度は、少ないほど装着が容易となり、カメラボディ1側および撮影レンズ2側の不図示の電気接点同士の擦れ量を低減でき、撮影レンズ2の交換によって生じる電気接点の摩耗を減少させることができる。しかし、装着角度があまりに少ないと爪同士の係合が不用意に外れるおそれがあり、撮影レンズ2が脱落しやすくなるおそれがある。一方、バネ116,126,136、当接部115,125,135、およびテーパ面117,127,137を設けるためにはボディ側マウント100の円周方向の長さがある程度必要となる。また、テーパ面117,127,137を越えてバネ116,126,136および当接部115,125,135に対してアクセサリ側爪210〜230が充分に掛かるようにするためには、ある程度の装着角度を要する。本実施の形態では、これらを踏まえて40.5度という装着角度とされている。
(11) 撮影レンズ2の重量の影響によって、撮影レンズ2は前方(被写体側)が下垂しやすいが、通常の使用状態においては、バネ116,126,136の付勢力によって、アクセサリ側マウント基準面201がボディ側マウント基準面101に当接した状態が保たれる。しかし、たとえばカメラボディ1を三脚に固定した撮影状態で、撮影レンズ2に重力と同方向に外力が加えられ、バネの付勢力よりも大きい状態となると、たとえばカメラボディ1が正姿勢のときには、最も上側にあるボディ側第1爪110のバネ116がさらに撓んでアクセサリ側第1爪210の前面214がボディ側第1爪110の当接部115と当接することとなる。
この状態を図16に示す。なお、図16では、説明の便宜上、各部の隙間等を誇張している。この状態では、下側がアクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とが点PDで接触し、上側が上述したようにアクセサリ側第1爪210の前面214とボディ側第1爪110の当接部115とが点PUで接触し、この2点で撮影レンズ2の重量と外力を支えることとなる。したがってこの2点PD,PU間の鉛直方向(重力が作用する方向)の距離LSをできるかぎり長くすることによって、2点PD,PUに加わる力を小さくすることができる。
このような状態は、意図しない外力が作用しなければ、通常の撮影状態では生じない。しかし、撮影レンズ2が一般的に筒状の形状をしていて触れやすいこと、また種々の使用状況を想定すると、ある頻度で起こることが十分考えられるため、この状況も考慮する必要がある。
カメラボディ1の各姿勢における、接触点PD,PUおよび距離LSを図17〜図19に示す。なお、図17では、カメラボディ1の姿勢は正姿勢(横位置)であり、このときの距離LSをLS1とし、接触点PD,PUをそれぞれPD1,PU1とする。図18では、カメラボディ1の姿勢はカメラボディ1の左側を上方に向けた縦位置であり、このときの距離LSをLS2とし、接触点PD,PUをそれぞれPD2,PU2とする。図19では、カメラボディ1の姿勢はカメラボディ1の右側を上方に向けた縦位置であり、このときの距離LSをLS3とし、接触点PD,PUをそれぞれPD3,PU3とする。図17に示す横位置における距離LS1、および、図18に示す縦位置におけるLS2は、ともにボディ側マウント100の径と略同等である。しかし、図19に示す縦位置における距離LS3は、距離LS1,LS2よりも短い。
そのため、PU3に加わる力は、撮影レンズ2に作用する外力が同じであれば、PU1およびPU2よりも大きくなる。
そこで、本実施の形態では、ボディ側第3爪130の円周方向の長さを、ボディ側第1爪110、およびボディ側第2爪120よりも長くしている。これにより、ボディ側第3爪130の強度がボディ側第1爪110、およびボディ側第2爪120よりも高くなる。また、撮影レンズ2の装着が完了した状態で当接部135(すなわちPU3)と接触することとなる、アクセサリ側マウント200のアクセサリ側第3爪230の円周方向の長さを、アクセサリ側第1爪210、およびアクセサリ側第2爪220よりも長くしている。したがって、ボディ側第3爪130およびアクセサリ側第3爪230では十分な強度が確保されているので、カメラボディ1の姿勢が図19に示す縦位置の状態となっても、最も負担が掛かるボディ側第3爪130およびアクセサリ側第3爪230に不具合が生じることがない。
このように本実施の形態によれば、正規の挿抜位相以外の位相での誤挿入を確実に禁止する効果と、正規の挿抜位相で挿入されて撮影レンズ2が装着された状態でのアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100の強度を確保する効果とを併せて持たせることができる。
(12) 上述したように、アクセサリ側第3爪230の延在方向に沿った第1側端231の近傍と第2側端232の近傍とで、その機能を分担するように構成している。これにより、アクセサリ側第3爪230の耐久性が向上する。特に、アクセサリ側第3爪230は、カメラボディ1の右側を上方に向けた縦位置における、上述したPU3が作用する爪であり、最も負担が掛かる爪である。この、最も負担が掛かるアクセサリ側第3爪230の耐久性が向上することで、アクセサリ側マウント200自体の耐久性および信頼性が向上する。
(13) 上述したように、ボディ側第1爪110の延在方向に沿った第1側端111の近傍と第2側端112の近傍とで、その機能を分担するように構成している。これにより、ボディ側第1爪110の耐久性が向上する。特に、ボディ側第1爪110は、頻繁に用いられるカメラボディ1の横位置において、撮影レンズ2の重量が掛かるために他のバネ126,136よりも恒常的に負担が掛かるバネ116や、上述したPU1が作用する爪であり、最も頻繁に負担が掛かる爪である。この、最も頻繁に負担が掛かるボディ側第1爪110の耐久性が向上することで、ボディ側マウント100自体の耐久性および信頼性が向上する。
(14) 本実施の形態では、当接部115がボディ側マウント100の略真上に設けられるように構成したので、上述したLS1を長くすることができるので、接触点PU1に加わる力を小さくすることができるので、ボディ側第1爪110の耐久性が向上する。撮影レンズ2の前方の下垂を効果的に抑制できる。また、ボディ側第1爪110がボディ側マウント100の真上にかかるように設けられているので、当接部115の強度を十分に確保でき、ボディ側第1爪110の耐久性が向上する。したがって、ボディ側マウント100自体の耐久性および信頼性が向上する。
(15) ボディ側爪110〜130の後面とアクセサリ側爪210〜230の前面とは、図16に示すように、下の部分同士が最も当たり難い。そのため、この部分で、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230とを当接させる必要性が低い。そこで、本実施の形態では、たとえば図5に示すように、最も大きなボディ側第3溝153がボディ側マウント100の下側に位置するようにしている。したがって、ボディ側爪110〜130を合理的に配設できる。
(16) アクセサリ側爪210〜230は、図6に図示するような配設位置に配設されているが、これは、次のような理由からである。横位置としたカメラボディ1に撮影レンズ2を装着したときに真上に位置することとなるアクセサリ側第1爪210は、その強度が高いことが望ましく、円周方向の延在長さが長い方がよい。しかし、上述したように、最も大きなボディ側第3溝153がボディ側マウント100の下側に位置するように構成されていることなどから、正規の挿抜位相で挿入する際にボディ側第3溝153を通過するアクセサリ側第3爪230の円周方向に延在する長さを最も長くしている。そこで、アクセサリ側第1爪210は、2番目に円周方向に延在する長さが長くなるように構成されている。そして、上述したような制約が少ないアクセサリ側第2爪220は、円周方向に延在する長さが最も短くなるように構成されている。このように、アクセサリ側爪210〜230を設けることで、アクセサリ側爪210〜230を合理的に配設できる。
<第2の実施の形態>
図23〜36を参照して、本発明によるカメラ用アクセサリ、アクセサリ側マウント、カメラボディおよびボディ側マウントの第2の実施の形態を説明する。図23は、第2の実施の形態のレンズ交換式タイプのカメラボディ1と、カメラボディ1に着脱可能に装着される撮影レンズ2を模式的に示した斜視図である。カメラボディ1にはレリーズボタン4と、撮像素子5と、カメラボディ1の各部を制御する制御回路6とが設けられている。3は、撮影レンズ2からの被写体像を撮像素子5に導くための撮影光路である。9は、装着が完了した撮影レンズ2がカメラボディ1に対して回動(回転)しないように固定しておくためのレンズ着脱ロックピンである。
−−−ボディ側マウント100−−−
図24(a)はカメラボディ1の斜め右前から見たボディ側マウント100の構造を模式的に示した斜視図であり、図24(b)はレンズ着脱ロックピン9の近傍のボディ側マウント100の断面図である。ボディ側マウント100は、カメラボディ1の円形の開口(撮影光路)の周縁に沿って離間して配設された3つの爪(ボディ側爪)が開口の円周の外側から内側に向かって突設されているバヨネット構造を呈する。3つのボディ側爪のうち、最も上側にあるボディ側爪をボディ側第1爪110と呼び、ボディ側第1爪110から図示反時計方向に向かって、順に、ボディ側第2爪120、ボディ側第3爪130と呼ぶ。
101は、ボディ側マウント基準面である。ボディ側マウント基準面101は、前方に向かって形成されたドーナツ状の平面であり、装着が完了した撮影レンズ2の後述するアクセサリ側マウント200のアクセサリ側マウント基準面201と当接して、撮影レンズ2の前後方向の位置を規定する基準となる面である。102は、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面であり、後述するアクセサリ側マウント200の嵌合部202と嵌合して、撮影レンズ2の光軸をカメラボディ1の光軸(撮影光路3の中心軸)と一致させるための基準となる面である。161は、レンズ着脱ロックピン9が出没するためのピン孔である。なお、図24(b)に示すように、レンズ着脱ロックピン9は、不図示のバネの付勢力によってボディ側マウント基準面101に突出している。ユーザが不図示のレンズ着脱ボタンを押圧すると、レンズ着脱ロックピン9は、不図示のバネの付勢力に抗してボディ側マウント基準面101よりも後方に退避する。
−−−アクセサリ側マウント200−−−
図25は、撮影レンズ2の斜め左後から見たアクセサリ側マウント200の構造を模式的に示した斜視図である。なお、図25に示したアクセサリ側マウント200は、撮影レンズ2のカメラボディ1に対する装着が完了した状態(装着完了状態)、すなわち、撮影が可能な状態を示している。したがって、図25に示したアクセサリ側マウント200の上下左右方向の向きは、カメラボディ1の上下左右方向と一致する。以下の説明では、特にことわりがない場合には、アクセサリ側マウント200の上下左右方向の向きは、装着完了状態における向きである。
アクセサリ側マウント200は、円周方向に沿って離間して配設された3つの爪(アクセサリ側爪)が円周の内側から外側に向かって突設されているバヨネット構造を呈する。3つのアクセサリ側爪のうち、最も上側にあるアクセサリ側爪をアクセサリ側第1爪210と呼び、アクセサリ側第1爪210から図示時計方向に向かって、順に、アクセサリ側第2爪220、アクセサリ側第3爪230と呼ぶ。
隣接する2つのアクセサリ側爪の間の空間であって、後述するように、撮影レンズ2の挿抜時にボディ側爪が通過する空間をアクセサリ側溝と呼ぶ。アクセサリ側第1爪210とアクセサリ側第2爪220との間のアクセサリ側溝をアクセサリ側第1溝251と呼び、アクセサリ側第1溝251から図示時計方向に向かって、順に、アクセサリ側第2溝252、アクセサリ側第3溝253と呼ぶ。
アクセサリ側第1爪210の後面を後面213と呼び、アクセサリ側第1溝251に面した側端を第1側端211と呼び、アクセサリ側第3溝253に面した側端を第2側端212と呼ぶ。同様に、アクセサリ側第2爪220の後面を後面223と呼び、アクセサリ側第2溝252に面した側端を第1側端221と呼び、アクセサリ側第1溝251に面した側端を第2側端222と呼ぶ。アクセサリ側第3爪230の後面を後面233と呼び、アクセサリ側第3溝253に面した側端を第1側端231と呼び、アクセサリ側第2溝252に面した側端を第2側端232と呼ぶ。なお、第1側端211,221,231は、後述する装着方向に面しており、第2側端212,222,232は、後述する装着方向とは反対の方向(取り外し方向)に面している。
なお、図25では図示されていないが、アクセサリ側第1爪210の前面を前面と呼び、符号として214を付す。同様に、アクセサリ側第2爪220の前面およびアクセサリ側第3爪230の前面をそれぞれ前面と呼び、符号として224および234を付す。
201は、アクセサリ側マウント基準面である。アクセサリ側マウント基準面201は、後方に向かって形成されたドーナツ状の平面であり、装着が完了した状態ではボディ側マウント基準面101と当接する。202は、嵌合部であり、ボディ側マウント100の内周面102に嵌合して撮影レンズ2の光軸をカメラボディ1の光軸(撮影光路3の中心軸)と一致させるための基準となる円筒形状の部位である。261は、ピン孔であり、装着が完了した撮影レンズ2がカメラボディ1(ボディ側マウント100)に対して回転しないように固定しておくために、ボディ側マウント100のピン孔161から出没するレンズ着脱ロックピン9が挿入される。
図25および図26(a),(b)に示すように、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220の前方には、撮影レンズ2を着脱する際に、カメラボディ1(ボディ側マウント100)に対する撮影レンズ2(アクセサリ側マウント200)の回転範囲を規制するための規制部材262が設けられている。規制部材262による回転範囲の規制については後に詳述する。規制部材262は、たとえば、アクセサリ側マウント200の半径方向外側からねじ込まれた頭付きのピンである。なお、図26(a)は、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220を後方から見た図であり、図26(b)は、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220を左側から見た図である。
−−−ボディ側爪およびボディ側溝の位置について−−−
図27は、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの、ボディ側マウント100のボディ側爪およびボディ側溝の位置について示す図である。ボディ側爪の配設位置を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの3時の方向を基準とした反時計方向の角度で表すと次のようになる。ボディ側第1爪110は、76度から130度の範囲に存在する。ボディ側第2爪120は、177.5度から226度の範囲に存在する。ボディ側第3爪130は、304.5度から15度(375度)の範囲に存在する。
各ボディ側爪110〜130の大きさをボディ側マウント100の円形の開口の周縁に沿った角度範囲で表すと、ボディ側第1爪110は54度であり、ボディ側第2爪120は48.5度であり、ボディ側第3爪130は70.5度である。同様に、各ボディ側溝151〜153の大きさをカメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲で表すと、ボディ側第1溝151は61度であり、ボディ側第2溝152は47.5度であり、ボディ側第3溝153は78.5度である。つまり、カメラボディ側マウント100において、最も小さい溝は、ボディ側第2溝152(47.5度)である。
図27において、7は、カメラボディ1に設けられる指標の位置を示すマークである。この指標は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着する際の目印となるものであり、その位置をボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの3時の方向を基準とした反時計方向の角度で表すと90度となる。
−−−アクセサリ側爪およびアクセサリ側溝の位置について−−−
図28は、アクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの、アクセサリ側マウント200のアクセサリ側爪およびアクセサリ側溝の位置について示す図である。撮影レンズ2の上述した装着完了状態におけるアクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの9時の方向を基準とした時計方向の角度でアクセサリ側爪の配設位置を表すと次のようになる。アクセサリ側第1爪210は、56.5度から115度の範囲に存在する。アクセサリ側第2爪220は、172.5度から214.5度の範囲に存在する。アクセサリ側第3爪230は、272度から343.5度の範囲に存在する。
各アクセサリ側爪210〜230のアクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さを、アクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲で表すと、アクセサリ側第1爪210は58.5度であり、アクセサリ側第2爪220は42度であり、アクセサリ側第3爪230は71.5度である。換言すれば、これらアクセサリ側第1〜第3の爪において、各爪の、円周方向に延在する長さを円弧としてみたときの、各爪の角度(存在範囲を示す角度)は、アクセサリ側第1爪210が58.5度であり、アクセサリ側第2爪220が42度であり、アクセサリ側第3爪230が71.5度である。つまり、アクセサリ側の爪において、最も小さい爪は、アクセサリ側第2爪220(42度)である。
同様に、各アクセサリ側溝251〜253の大きさをアクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲で表すと、アクセサリ側第1溝251は57.5度であり、アクセサリ側第2溝252は57.5度であり、アクセサリ側第3溝253は73度である。
図28において、8は、撮影レンズ2に設けられる指標の位置を示すマークである。この指標は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着する際の目印となるものであり、その位置を撮影レンズ2の上述した装着完了状態におけるアクセサリ側マウント200を撮影レンズ2の後方から見たときの9時の方向を基準とした時計方向の角度で表すと130.5度となる。この角度は、90度に後述する装着角度40.5度を足した角度に相当する。
上述したように、規制部材262は、第2側端222近傍のアクセサリ側第2爪220の前方に設けられている。すなわち、規制部材262は、アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短い(アクセサリ側マウント200の円周方向に沿った角度範囲が最も狭い)アクセサリ側第2爪220の近傍に設けられている。
−−−撮影レンズ2のカメラボディ1への装着−−−
このように構成された撮影レンズ2のカメラボディ1への装着は、次のようにして行う。なお、カメラボディ1の撮影光路3の中心を前後方向に延在する軸と、撮影レンズ2の光軸とを一致させた状態における、カメラボディ1に対する撮影レンズ2の回転位置を、以下、単に挿抜位相と呼ぶ。カメラボディ1の撮影光路3の中心を前後方向に延在する軸と、撮影レンズ2の光軸とを一致させ、撮影レンズ2に設けられた指標の回転位置とカメラボディ1に設けられた指標の回転位置をと合わせると、図29に示すようにボディ側爪110〜130がアクセサリ側爪210〜230と干渉することなく、アクセサリ側マウント基準面201とボディ側マウント基準面101とが当接するまでアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入できる。このときの挿抜位相を正規の挿抜位相と呼ぶ。なお、図29は、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との干渉の有無(重なり状態)を示す図であり、アクセサリ側爪を扇形状の図形にて模式的に図示している。
正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入すると、アクセサリ側第1爪210はボディ側第1溝151の前から後へ通過し、アクセサリ側第2爪220はボディ側第2溝152の前から後へ通過し、アクセサリ側第3爪230はボディ側第3溝153の前から後へ通過する。同様に、正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入すると、ボディ側第1爪110はアクセサリ側第1溝251(図29において符号を付さず)の後から前へ通過し、ボディ側第2爪120はアクセサリ側第2溝252(図29において符号を付さず)の後から前へ通過し、ボディ側第3爪130はアクセサリ側第3溝253(図29において符号を付さず)の後から前へ通過する。
正規の挿抜位相でアクセサリ側マウント200をボディ側マウント100に挿入した後、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を反時計方向に回転させると、アクセサリ側第1爪210がボディ側第1爪110の後側に入り込み、アクセサリ側第2爪220がボディ側第2爪120の後側に入り込み、アクセサリ側第3爪230がボディ側第3爪130の後側に入り込む。このように、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を反時計方向に回転させると、図30に示すように、正規の挿抜位相から40.5度回転させたところで、ボディ側マウント100のピン孔161から突出するレンズ着脱ロックピン9がアクセサリ側マウント200のピン孔261に挿入されて、反時計方向への回転が規制される。なお、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧してレンズ着脱ロックピン9をボディ側マウント基準面101の後方に退避させながら撮影レンズ2を反時計方向に回転させた場合には、規制部材262がボディ側第2爪120の第2側端122と当接して、反時計方向への回転が規制される。
このように、正規の挿抜位相から撮影レンズ2を反時計方向に40.5度回転させたところで、アクセサリ側マウント200がボディ側マウント100に結合され(アクセサリ側爪とボディ側爪との結合が完了し)、撮影レンズ2の装着が完了する。正規の挿抜位相から撮影レンズ2の装着が完了する位相までの撮影レンズ2の回転角度(40.5度)を装着角度と呼ぶ。また、上述した反時計方向への回転方向を装着方向とも呼ぶ。
撮影レンズ2の装着が完了すると、アクセサリ側マウント200のピン孔261の位置がボディ側マウント100のピン孔161の位置と重なる。そして、ボディ側マウント100のピン孔161から出没するレンズ着脱ロックピン9がピン孔261に挿入される。
−−−装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合−−−
装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合には、次のようにする。まず、カメラボディ1に設けられた不図示のレンズ着脱ボタンを押圧して、レンズ着脱ロックピン9をピン孔261から抜く。この状態のまま、カメラボディ1の正面から見て撮影レンズ2を正規の挿抜位相まで時計方向に回転させると、アクセサリ側爪とボディ側爪との結合が解除される。撮影レンズ2を正規の挿抜位相まで回転させると、規制部材262とボディ側第1爪120の第1側端111との間には所定のクリアランス分の隙間が存在する。すなわち、図29に示した状態に戻る。正規の挿抜位置では、上述したように、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230とが干渉しないので、撮影レンズ2をカメラボディ1の前方に外すことができる。なお、撮影レンズ2を正規の挿抜位相まで回転させ、さらに時計方向に回転させると、規制部材262がボディ側第1爪120の第1側端111と当接して、時計方向への回転が規制される。上述した時計方向への回転方向を取り外し方向とも呼ぶ。
上述したように、規制部材262は、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧したまま撮影レンズ2をカメラボディ1へ装着しようとするとボディ側第2爪120の第2側端122と当接して、撮影レンズ2の装着方向への回転を規制する。また、規制部材262は、装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合、ボディ側第1爪120の第1側端111と当接して、取り外し方向への回転を規制する。ここで、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧したまま撮影レンズ2をカメラボディ1へ装着する際に、ボディ側第2爪120の第2側端122と当接する規制部材262の端面を装着側端面と呼ぶ。また、装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す際に、ボディ側第1爪120の第1側端111と当接する規制部材262の端面を取り外し側端面と呼ぶ。すなわち、規制部材262の装着側端面は、図29に示すように正規の挿抜位相でボディ側マウント100に挿入されたアクセサリ側マウント200において、ボディ側第2爪120の第2側端122から装着角度分および所定のクリアランス分の角度だけ図29における図示時計方向に離間している。また、規制部材262の取り外し側端面は、図29に示すように正規の挿抜位相でボディ側マウント100に挿入されたアクセサリ側マウント200において、ボディ側第1爪120の第1側端111から所定のクリアランス分の角度だけ図29における図示反時計方向に離間している。
−−−正規の挿抜位相以外の位相で撮影レンズ2を挿入しようとした場合−−−
本実施の形態のボディ側マウント100およびアクセサリ側マウント200では、正規の挿抜位相以外の位相で撮影レンズ2を挿入しようとした場合、ボディ側爪110〜130の少なくとも2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の少なくとも2つの爪とが合計2箇所以上で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止(阻止)される。
図29から明らかに想像できるように、正規の挿抜位相から、撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回転させた状態で撮影レンズ2を装着しようとしても、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第2爪120の前面123と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。この場合、ボディ側爪110〜130の3つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の3つの爪とが当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が阻害(禁止)される。たとえば、図30において、アクセサリ側爪210〜230がボディ側爪110〜130の前方に位置していると仮定した場合が、その一例である。
上述した状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転させた状態で撮影レンズ2を装着しようとした場合、図31に示すように、アクセサリ側第2爪220がボディ側第3溝153の前方へ移動するため、アクセサリ側第2爪220がボディ側爪110〜130とは当接しなくなる。しかし、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。この場合、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止されることになる。図31においてハッチングを施した、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪との当接箇所は、合計で2箇所である。
図31に示す状態では、あと僅かに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接することになる。すなわち、あと僅かに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が3箇所となる。また、反対に、図31に示す状態から撮影レンズ2を図示時計方向に回転させると、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接する部分の面積、および、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第3爪130の前面133とが当接する部分の面積が増加することとなる。
したがって、図31に示す状態は、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接して、当接箇所が当該2箇所のみとなる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる場合を示している。図31に示した挿抜位相における、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113との当接部分を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの角度範囲で表すと11度である。
なお、後述するように、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態は他にも存在する。しかし、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態で、2箇所の当接箇所のうち、当接面積が少ない方の当接箇所について、その当接面積が最も少なくなるのは、図31に示す状態と、次に述べる、図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回転した状態(不図示)の2つである。
図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回転した状態では、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接しなくなる代わりに、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接する。なお、もう1箇所の当接箇所は、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する箇所である。アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123との当接部分を、ボディ側マウント100をカメラボディ1の正面から見たときの角度範囲で表すと、図31に示す状態と同様に11度である。
すなわち、この場合も、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。この状態では、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第3爪130の前面133とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる。
すなわち、図31に示したアクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113との当接部分の面積が、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態では最も面積が少ない。同様に、図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回転した状態におけるアクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第2爪120の前面123との当接部分の面積が、ボディ側爪110〜130の2つの爪と、アクセサリ側爪210〜230の2つの爪とが合計2箇所で当接することで、アクセサリ側マウント200のボディ側マウント100への挿入が禁止される状態では最も面積が少ない。図31に示した挿抜位相、および図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回転した状態における挿抜位相を特定の挿抜位相と呼ぶ。
上述したように、図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第1爪110の前面113およびボディ側第2爪120の前面123と当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接する。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、上述したように図31に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に11度回転した時点で、アクセサリ側第1爪210の後面213とボディ側第1爪110の前面113とが当接しなくなるので、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、図32に示す状態となる。
図32から明らかに想像できるように、図32に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回転すると、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第3爪130の前面133と当接するようになる。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。この状態からさらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第1爪110の前面113とも当接するようになる。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で4箇所となる。
さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第3爪130の前面133と当接しなくなり、次いで、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第2爪120の前面123と当接しなくなる。すなわち、図33に示すように、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。
図33に示す状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接する部分の面積、および、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接する部分の面積が減少する。したがって、図33に示す状態は、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も多くなる場合を示している。
図34は、図33に示す状態からさらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転した状態であり、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接し、アクセサリ側第3爪230の後面233とボディ側第1爪110の前面113とが当接して当接箇所が2箇所となる場合において、当接する部分の面積が最も少なくなる場合を示している。
図34に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回転すると、アクセサリ側第1爪210の後面213がボディ側第3爪130の前面133と当接するようになる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。この状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第2爪120の前面123と当接するようになる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で4箇所となる。
この状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、アクセサリ側第2爪220の後面223とボディ側第3爪130の前面133とが当接しなくなる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。この状態から、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、図35に示すように、アクセサリ側第3爪230の後面233がボディ側第1爪110の前面113と当接しなくなる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる。
図35に示す状態から撮影レンズ2が図示反時計方向に僅かに回転すると、アクセサリ側第2爪220の後面223がボディ側第1爪110の前面113と当接するようになる。このとき、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で3箇所となる。そして、さらに撮影レンズ2が図示反時計方向に回転すると、図29に示す正規の挿抜位相に戻り、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230とが当接(干渉)しなくなる。
−−−規制部材262をアクセサリ側第2爪220に設けた理由について−−−
本実施形態において、規制部材262をアクセサリ側第2爪220に設けたのは、以下のような作用が見込めるためである。
(1) アクセサリ側第2爪220は、アクセサリ側の3つの爪(符号210、220、230)のうちで、アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短い。これは即ち、アクセサリ側第2爪220の円弧長が上記3つの爪の中で最も短いということである。このため正規の挿抜位相でレンズを装着する際には、このアクセサリ側第2爪220の円弧長の分だけ交換レンズ2を回転操作すれば、交換レンズ2がカメラボディ1に装着されることになる。交換レンズ2をカメラボディ1から取り外し操作するときも同様に、アクセサリ側第2爪220の円弧長の分だけ交換レンズ2を(装着操作のときとは反対方向に)回転操作すれば、交換レンズ2をカメラボディ1から取り外すことができる。即ち、アクセサリ側第2爪220に規制部材を設けることによって、装着時および取り外し時の使用者によるアクセサリの回転操作量を少なくすることができる。このため、アクセサリ(交換レンズ2)の装着・取り外しの際に、使用者に要求される回転操作の負担を低減することができる。またアクセサリ(交換レンズ2)の装着・取り外しに要する時間を短くすることもできる。
(2) 本実施形態によれば、アクセサリを装着する際の回転操作規制と、アクセサリを取り外す際の回転操作規制とを、それぞれ個別に設けずに、1つの規制部材262で兼用しているので、部品点数の削減およびマウント構成の簡略化を図ることができる。
(3) 規制部材262を第2爪220に設けることによって、アクセサリ(交換レンズ2)の装着時・取り外し時のアクセサリ(交換レンズ2)の回転操作を規制するための他方の構成、即ち規制部材262と物理的に接触してそれ以上の回転を規制する側(受け手側)となるボディ側爪の端部として、使用中に比較的に傷つきにくい位置に存在する「端部(ボディ爪の端部)」を使用できる、という利点がある。
これについて、以下で説明する。規制部材262が設けられているアクセサリ側第2爪220は、撮影レンズ2の装着時(正規の挿抜位相の場合)には、カメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲が最も狭いボディ側第2溝152を通過する。ボディ側第2溝152のカメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲は、47.5度である。このためこの角度範囲(47.5度)よりも大きな角度範囲を持つアクセサリ側第1爪210(角度範囲58.5度)、およびアクセサリ側第3爪230(角度範囲71.5度)が通過できない。したがって、正規の挿抜位相以外の位相では、ボディ側第2溝152にアクセサリ側第1爪210、およびアクセサリ側第3爪230が入り込む虞が少ないので、ボディ側第2溝152の角度範囲を規定するボディ側第1爪110の第1側端111およびボディ側第2爪120の第2側端122が傷つきにくい。
ところで、もし仮に、ボディ側第1爪110の第1側端111およびボディ側第2爪120の第2側端122が傷つき易かった場合には、次のような不都合が生じることになる。
上述したように、ボディ側第1爪110の第1側端111は、装着されている撮影レンズ2をカメラボディ1から外す場合に規制部材262と当接して、撮影レンズ2が必要以上に取り外し方向への回転することを防止している。そのため、ボディ側第1爪110の第1側端111が傷ついて欠けるなどすると、撮影レンズ2が必要以上に取り外し方向へ回転してしまう。この場合、アクセサリ側第1爪210の第2側端212がボディ側第3爪130の後側に入り込んでしまったり、アクセサリ側第3爪230の第2側端232がボディ側第2爪120の後側に入り込んでしまったりして、撮影レンズ2をカメラボディ1から外せなくなってしまう。
上述したように、ボディ側第2爪120の第2側端122は、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧したまま撮影レンズ2をカメラボディ1へ装着する際に規制部材262と当接して、撮影レンズ2が必要以上に装着方向への回転することを防止している。仮に、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧したまま撮影レンズ2をカメラボディ1へ装着して、規制部材262がボディ側第2爪120の第2側端122と当接するまで撮影レンズ2を装着方向へ回転させると、レンズ着脱ロックピン9の位置と、アクセサリ側マウント200のピン孔261の位置が僅かにずれてしまう。
しかし、レンズ着脱ロックピン9の先端が丸みを帯びているため、ピン孔261の位置のずれが僅かであれば、ユーザがレンズ着脱ボタンを放せば、不図示のバネの付勢力によってレンズ着脱ロックピン9がピン孔261に入り込む際に、必要以上に装着方向へ回転したアクセサリ側マウント200を正しい位相に戻す。または、ユーザがレンズ着脱ボタンを放し、撮影レンズ2を僅かに戻すことによってレンズ着脱ロックピン9がピン孔261に入り込んで、アクセサリ側マウント200が正しい位相にセットされる。
ところが、ボディ側第2爪120の第2側端122が傷ついて欠けるなどすると、不図示のレンズ着脱ボタンを押圧したまま撮影レンズ2をカメラボディ1へ装着した際に、レンズ着脱ロックピン9の位置と、アクセサリ側マウント200のピン孔261の位置が大きくずれてしまう。このような場合には、ユーザがレンズ着脱ボタンを放しても、レンズ着脱ロックピン9がピン孔261に入り込まないため、必要以上に装着方向へ回転したアクセサリ側マウント200が正しい位相に戻らない。これにより、撮影レンズ2とカメラボディ1との間で信号等を送受信するための不図示の電気接点がずれてしまうため、撮影ができないなどの不都合が生じる。
しかし、本実施の形態では、上述したように、ボディ側第1爪110の第1側端111およびボディ側第2爪120の第2側端122が傷つきにくいので、上述したような不都合が生じ難く、信頼性の高いカメラシステムを提供できる。
−−−規制部材262とピン孔261との位置関係について−−−
図8に示すように、装着完了状態では、規制部材262の位置は、図8において不図示の嵌合部202(撮影レンズ2の光軸)を挟んでピン孔261の位置(すなわちピン孔161の位置)の略反対側である。すなわち、規制部材262とピン孔261(ピン孔161)とは、撮影レンズ2の光軸に沿って見たときに当該光軸に関して略軸対称となるように配設されている。
たとえば、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202との間の隙間が大きくなった場合、図36に示すように、アクセサリ側マウント200(すなわち撮影レンズ2)は、ボディ側マウント100(すなわちカメラボディ1)に対してレンズ着脱ロックピン9(ピン孔261)を中心として矢印Aで示す方向に揺動可能となる。なお、説明の便宜上、図16では、アクセサリ側マウント200の揺動を誇張している。
このレンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動によって最も位置の変化が大きくなるのがレンズ着脱ロックピン9から最も離れた位置である。したがって、本実施の形態では、嵌合部202(撮影レンズ2の光軸)を挟んでピン孔261の略反対側に位置する規制部材262の近傍で、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動による位置の変化が最も大きくなる。また、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動による位置の変化の方向は、図36の矢印Bで示すようにレンズ着脱ロックピン9を中心とする円の接線方向である。
すなわち、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動による位置の変化の方向は、規制部材262の近傍では、規制部材262とボディ側第2爪120の第2側端122との当接/離間する方向と略等しい。また、上述したように、規制部材262の装着側端面は、撮影レンズ2の装着が完了した状態では、ボディ側第2爪120の第2側端122から所定のクリアランス分だけ離間しているに過ぎない。したがって、本実施の形態では、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202との間の隙間が大きくなった場合であっても、規制部材262とボディ側第2爪120の第2側端122とによって、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動による撮影レンズ2の位置の変化を効果的に抑制できる。
なお、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動を効果的に抑制できるのであれば、装着完了状態における規制部材262の位相が上述した位相とは異なる位相であってもよい。たとえば、図37に示すようなモデルを参照して説明する。図37に示したモデルでは、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202との半径の差を△Rと仮定する。また、図37に示したモデルでは、内周面102(嵌合部202)の中心、すなわち光軸を中心として、装着完了状態における規制部材262の図示9時の方向を基準とした時計方向の角度をθで表す。ここで、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102、および、アクセサリ側マウント200の嵌合部202の仮想的な半径をR(=D/2)で表し、△RをRの千分の一の大きさと仮定する。また、内周面102の中心からレンズ着脱ロックピン9の中心までの距離をR+Lとし、LをRの0.14倍(すなわちL/R=0.14)であると仮定する。
各部のディメンジョンを上述のように仮定し、内周面102の中心と嵌合部202の中心とが一致した状態から上述した半径の差△Rによって許容される分だけ嵌合部202がレンズ着脱ロックピン9を中心として上方へ揺動した際に、規制部材262が半径Rの円周上を接線方向に移動する距離を、「ずれ量」と呼ぶ。この「ずれ量」を無次元化して表すために半径Rで除した値を、「ずれ量比」と呼ぶ。この「ずれ量比」とθとの関係は、図38に示したグラフの曲線のようになる。半径Rは定数であるため、「ずれ量比」の値が大きくなるほど、レンズ着脱ロックピン9を中心とした嵌合部202の揺動量に対する「ずれ量」が大きくなる。したがって、「ずれ量比」の値が大きくなるほどレンズ着脱ロックピン9を中心とした嵌合部202の揺動を規制部材262とボディ側第2爪120の第2側端122との当接によって効果的に抑制できる。図38に示したグラフから分かるように、θの値が大きくなるにつれて「ずれ量比」の値が小さくなり、θの値が30度を超えると「ずれ量比」の減少が目立ち始める。そのため、各部のディメンジョンを上述のように仮定した場合には、θの値が30度以下となるように装着完了状態における規制部材262の位相を設定することが望ましい。
−−−アクセサリ側第3爪230について−−−
上述したように、アクセサリ側第3爪230のうち、第1側端231の近傍では、前面234がボディ側第3爪130のバネ136に押圧され、過大な外力が作用した場合には、前面234が当接部135と当接する。すなわち、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際に撮影レンズ2をカメラボディ1に固定しようとする力がアクセサリ側第3爪230のうち、主に第1側端231の近傍に作用する。
−−−ボディ側第1爪110について−−−
ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がボディ側第1爪110に存在する場合、図31,33,34に示すように、ボディ側第1爪110におけるアクセサリ側爪210〜230との当接箇所は、必ず、第2側端112側(すなわち第2側端112の近傍の前面113)ではなく、第1側端111側(すなわち第1側端111の近傍の前面113)に存在する。すなわち、ボディ側爪110〜130とアクセサリ側爪210〜230との当接箇所が合計で2箇所となる場合であって、そのうちの1箇所がボディ側第1爪110に存在する場合、誤挿入阻止の機能をボディ側第1爪110のうち、第1側端111の近傍に持たせている。
そして、ボディ側第1爪110の第2側端112の近傍には、当接部115に隣接してバネ116が設けられている。すなわち、ボディ側第1爪110の第2側端112の近傍は、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着した際に、撮影レンズ2をカメラボディ1への固定する機能を有する。
このように、ボディ側第1爪110の延在方向に沿った第1側端111の近傍と第2側端112の近傍とで、その機能を分担するように構成している。
このように構成される第2の実施形態のカメラボディ1と撮影レンズ2では、第1の実施の形態の作用効果に加えて次のような作用効果を奏する。
(1) 規制部材262とピン孔261(ピン孔161)とが、撮影レンズ2の光軸に沿って見たときに当該光軸に関して略軸対称となるように配設されるように構成した。これにより、ボディ側マウント100の円筒形状の内周面102と、アクセサリ側マウント200の嵌合部202との間の隙間が大きくなった場合であっても、規制部材262とボディ側第2爪120の第2側端122とによって、レンズ着脱ロックピン9を中心とする揺動による撮影レンズ2の位置の変化を効果的に抑制できる。
(2) 本実施形態では、アクセサリ側マウント200の円周方向に延在する長さが最も短い(円弧長が最も短い)アクセサリ側第2爪220に、規制部材262を設けた。この構成によれば、アクセサリの装着時および取り外し時における、使用者によるアクセサリの回転操作量を少なくすることができる。このため、アクセサリの装着・取り外しの際に、使用者に要求される回転操作の負担を低減することができる。またアクセサリの装着・取り外しに要する時間を短くすることもできる。
(3) 本実施形態によれば、アクセサリを装着する際の回転操作規制と、アクセサリを取り外す際の回転操作規制とを、1つの規制部材262で兼用した。このため部品点数の削減およびマウント構成の簡略化を図ることができる。
(4) 本実施形態では、規制部材262を第2爪220に設けることによって、アクセサリの装着時・取り外し時の、アクセサリの回転操作を規制するための他方の構成、即ち規制部材262と物理的に接触してそれ以上の回転を規制する側(受け手側)となるボディ側爪の端部として、比較的傷つきにくい位置に存在する「端部(ボディ爪の端部)」を使用するシステムにできる。これにより、回転規制を実現する構造を、比較的に耐久性のある構造にすることができ、結果としてバヨネット構造のマウントの耐久性を向上できる。
換言すると、ボディ側第2溝152のカメラボディ1の円形の開口の周縁に沿った角度範囲を他のボディ側溝151,153よりも狭くなるように構成したことで、正規の挿抜位相以外の位相では、ボディ側第2溝152にアクセサリ側第1爪210、およびアクセサリ側第3爪230が入り込むことがなくなり、上述したようにバヨネット構造のマウントの耐久性を向上できる。
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、アクセサリ側爪210〜230は、撮影レンズ2の本体に対して固定され、撮影レンズ2の着脱時には、カメラボディ1に対して撮影レンズ2自体を装着方向または取り外し方向に回転させるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、アクセサリ側爪210〜230が撮影レンズ2の本体に対して回転可能に構成し、正規の挿抜位相で撮影レンズ2を装着した後、アクセサリ側爪210〜230だけを装着方向に回転させることで、撮影レンズ2をカメラボディ1に装着できるように構成してもよい。
図20は、アクセサリ側爪210〜230が撮影レンズ2の本体に対して回転可能に構成した撮影レンズ20の一例の外観を示す図である。撮影レンズ20は、鏡筒21と、鏡筒21に対して回転可能に設けられ、アクセサリ側爪210〜230を有するバヨネット筒22と、バヨネット筒22を鏡筒21に対して回転させるための操作リング23とを備えている。なお、図20および、以下に説明する各図において、上述した説明と同様の部材には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図21は、鏡筒21の外観を示す図であり、図22は、撮影レンズ20の構造を模式的に示す図である。図21に示すように、鏡筒21の後部には、操作リング23が嵌合する嵌合溝21aが設けられている。嵌合溝21aの底部には、操作リング23とバヨネット筒22とを接続するピン24が移動可能となるように長孔21bが設けられている。そして、図22(a),(d)の断面図に示すように、操作リング23が鏡筒21の嵌合溝21aの嵌合しており、操作リング23とバヨネット筒22とがピン24で連結されている。25はレンズである。このように構成される撮影レンズ20では、鏡筒21に対して操作リング23を回転させると、鏡筒21に対して、バヨネット筒22、すなわちアクセサリ側爪210〜230が操作リング23とともに回転する。このように構成される撮影レンズ20を用いることで、正規の挿抜位相で撮影レンズ20を装着した後、操作リング23を操作してバヨネット筒22だけを装着方向に回転させることで、鏡筒21を回転させなくても撮影レンズ20をカメラボディ1に装着できる。なお、図22(d)は、図22(a)のC−C矢視断面図である。
(2) 上述の説明では、カメラ用アクセサリの一例として、撮影レンズ2,20について説明したが、本発明はこれに限定されず、たとえば、焦点距離を変更するコンバータレンズや、撮影レンズのマウント面から撮像面までの距離を変更するアダプタなど、ボディ側マウント100と結合可能なアクセサリ側マウント200を有する各種のカメラ用アクセサリであってもよい。
(3) 上述の説明では、規制部材262がアクセサリ側マウント200に取り付けられた頭付きのピンであるが、他の部材を取り付けるのではなく、たとえば、第2側端222の近傍を規制部材262のような形状に形成するようにしてもよい。すなわち、たとえば、アクセサリ側マウント200を樹脂の射出成形品とした場合には、第2側端222の近傍を規制部材262のような形状となるように射出成形してもよい。また、たとえば、規制部材262が、上述した装着側端面を有する第1のピンと、当該第1のピンとは異なるピンであって、上述した取り外し側端面を有する第2のピンとの、2つのピンから構成されていてもよい。また、第1および第2のピンのように他の部材を取り付けるのではなく、たとえば、第2側端222の近傍を第1および第2のピンのような形状に形成するようにしてもよい。
(4) 上述の説明における、ボディ側マウント100が撮影レンズ2に設けられ、アクセサリ側マウント200がカメラボディ1に設けられていてもよい。
(5)上記の各実施形態では、カメラボディ1と交換レンズ2から構成されるカメラシステムについて説明した。しかしながら本発明はカメラシステムに限られるものではない。交換レンズ2を着脱可能なマウントを備えた機器であれば、カメラに限らず適用可能である。このような機器として、たとえばプロジェクターなどの電子機器が考えられる。プロジェクターの投影レンズ部分を、着脱可能な交換式の投影レンズとして構成することで、上記実施形態と同様なシステムを得ることができる。
(6) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、カメラボディ側マウントを備えるカメラボディに対して着脱可能なアクセサリであって、且つ、内周側に光路を有する円筒部を備え、円筒部の外周面に外周面の円周方向に沿って互いに離間して外周面から径方向の外側に向けて突出して配設された第1〜第3の爪を有するバヨネット構造のアクセサリ側マウントを備えるカメラ用アクセサリにおいて、アクセサリ側マウントをカメラボディ側マウントに対して正規の挿抜位相で挿入した際に、第1〜第3の爪のいずれもがカメラボディ側マウントに設けられている3つのカメラボディ側爪に阻害されることなく、カメラボディ側マウントへの挿入が許可されるように、第1〜第3の爪はアクセサリ側マウントに配設されており、第1〜第3の爪は、円周方向に延在する長さがそれぞれ異なり、第1の爪は、円周方向に延在する長さが第1〜第3の爪の中で最も長く、第3の爪は、円周方向に延在する長さが第1〜第3の爪の中で最も短く、アクセサリ側マウントは、第3の爪の近傍に設けられた規制部材と、カメラボディに設けられたロックピンが挿入されることでカメラ用アクセサリのカメラボディに対する回転を規制するためのロックピン孔と、を備え、規制部材は、円筒部の中心を挟んで、ロックピン孔の略反対側の位置に設けられており、円筒部は、円周方向に沿った一部が欠かれていることを特徴とする各種構造のカメラ用アクセサリを含むものである。