JP2014145306A - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents
内燃機関の点火制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014145306A JP2014145306A JP2013014472A JP2013014472A JP2014145306A JP 2014145306 A JP2014145306 A JP 2014145306A JP 2013014472 A JP2013014472 A JP 2013014472A JP 2013014472 A JP2013014472 A JP 2013014472A JP 2014145306 A JP2014145306 A JP 2014145306A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- crank angle
- flow velocity
- spark
- ignition
- spark plug
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 238000002485 combustion reaction Methods 0.000 title claims abstract description 63
- 238000001514 detection method Methods 0.000 claims abstract description 26
- 230000006835 compression Effects 0.000 claims description 21
- 238000007906 compression Methods 0.000 claims description 21
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 abstract description 5
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 20
- 238000000034 method Methods 0.000 description 12
- 239000000446 fuel Substances 0.000 description 6
- 238000010892 electric spark Methods 0.000 description 5
- 238000002347 injection Methods 0.000 description 5
- 239000007924 injection Substances 0.000 description 5
- 230000006870 function Effects 0.000 description 4
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 4
- 238000011144 upstream manufacturing Methods 0.000 description 4
- 239000003990 capacitor Substances 0.000 description 3
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 3
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 3
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 2
- 238000012937 correction Methods 0.000 description 2
- XEEYBQQBJWHFJM-UHFFFAOYSA-N Iron Chemical group [Fe] XEEYBQQBJWHFJM-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 230000015556 catabolic process Effects 0.000 description 1
- 238000012986 modification Methods 0.000 description 1
- 230000004048 modification Effects 0.000 description 1
- 238000011160 research Methods 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/40—Engine management systems
Landscapes
- Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
- Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
Abstract
【課題】この発明は、流速が反転する時期に点火されることを回避して、燃焼安定性の低下を抑制することのできる内燃機関の点火制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】吸気弁を閉じてから点火時期前までの間の第1クランク角において点火プラグにスパークを発生させ、点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角流速を算出する。第1クランク角から点火時期前までの間の第2クランク角において点火プラグにスパークを発生させ、点火プラグ近傍を流れる気体の第2クランク角流速を算出する。第1クランク角と第1クランク角流速との組、および、第2クランク角と第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とした場合に、各検出点を通る方程式を求める。方程式を用いて流速の絶対値が所定値未満となる低流速クランク角範囲を算出する。点火時期が低流速クランク角範囲にある場合に、最終的な点火時期を低流速クランク角範囲外に設定する。
【選択図】図7
【解決手段】吸気弁を閉じてから点火時期前までの間の第1クランク角において点火プラグにスパークを発生させ、点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角流速を算出する。第1クランク角から点火時期前までの間の第2クランク角において点火プラグにスパークを発生させ、点火プラグ近傍を流れる気体の第2クランク角流速を算出する。第1クランク角と第1クランク角流速との組、および、第2クランク角と第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とした場合に、各検出点を通る方程式を求める。方程式を用いて流速の絶対値が所定値未満となる低流速クランク角範囲を算出する。点火時期が低流速クランク角範囲にある場合に、最終的な点火時期を低流速クランク角範囲外に設定する。
【選択図】図7
Description
この発明は、内燃機関の点火制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されるように、気筒ごとに複数の点火プラグを備え、各気筒において中央点火プラグから順次、点火を行う内燃機関が知られている。この内燃機関の制御装置は、中央点火プラグに流れる2次電流又は中央点火プラグに印加される2次電圧を検出する機能と、検出された2次電流又は2次電圧に基づいて、気筒内におけるガス流動速度が速いか否かを判定する機能を有している。
自動車への低燃費ニーズに対応するため過給リーン燃焼が注目されている。過給リーン燃焼では、超希薄混合気に対する着火性向上が重要な課題である。一般的に着火性向上には、着火時期における点火プラグ近傍の流速増加が有効であり、燃焼室内にタンブル流を生じさせることが知られている。タンブル流によりスパークが流され空間的に着火可能領域を拡大させることで着火性の向上を図るものである。
この度、発明者らの鋭意研究により、圧縮行程後半においてタンブル流の流れ方向が点火プラグ近傍で反転する現象(ωタンブル)が発見された。気流の流れ方向が反転する過程で流速が0になるため、流速が低い時期が生じる。この時期に点火時期が重なると、燃焼安定性が悪化し失火する可能性もある。
特許文献1の技術では、点火時期に点火プラグに印加される2次電圧等により、点火プラグ近傍の流速を推定することは可能であるが、この推定は点火後に可能なものであり、点火前に点火プラグ近傍の流速が反転する時期を予測する事はできない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、流速が反転する時期に点火されることを回避して、燃焼安定性の低下を抑制することのできる内燃機関の点火制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の点火制御装置であって、
内燃機関の燃焼室に配設された点火プラグと、
点火時期を設定する点火時期設定手段と、
前記点火時期より前の複数のクランク角および前記点火時期において、前記点火プラグにスパークを発生させるスパーク発生手段と、
前記スパーク発生手段により、吸気弁を閉じてから前記点火時期より前までの間の第1クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角流速を算出する第1クランク角流速算出手段と、
前記スパーク発生手段により、前記第1クランク角から前記点火時期より前までの間の第2クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第2クランク角流速を算出する第2クランク角流速算出手段と、
前記第1クランク角と前記第1クランク角流速との組、および、前記第2クランク角と前記第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とした場合に、各検出点を通る方程式を求める方程式算出手段と、
前記方程式を用いて流速の絶対値が所定値未満となる低流速クランク角範囲を算出する低流速クランク角範囲算出手段と、
前記点火時期が前記低流速クランク角範囲にある場合に、前記点火時期設定手段により前記点火時期を前記低流速クランク角範囲外に再設定し、或いは、点火エネルギを増加させる点火設定手段と、を備えることを特徴とする。
内燃機関の燃焼室に配設された点火プラグと、
点火時期を設定する点火時期設定手段と、
前記点火時期より前の複数のクランク角および前記点火時期において、前記点火プラグにスパークを発生させるスパーク発生手段と、
前記スパーク発生手段により、吸気弁を閉じてから前記点火時期より前までの間の第1クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角流速を算出する第1クランク角流速算出手段と、
前記スパーク発生手段により、前記第1クランク角から前記点火時期より前までの間の第2クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第2クランク角流速を算出する第2クランク角流速算出手段と、
前記第1クランク角と前記第1クランク角流速との組、および、前記第2クランク角と前記第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とした場合に、各検出点を通る方程式を求める方程式算出手段と、
前記方程式を用いて流速の絶対値が所定値未満となる低流速クランク角範囲を算出する低流速クランク角範囲算出手段と、
前記点火時期が前記低流速クランク角範囲にある場合に、前記点火時期設定手段により前記点火時期を前記低流速クランク角範囲外に再設定し、或いは、点火エネルギを増加させる点火設定手段と、を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関は、吸気行程から圧縮行程にかけて前記燃焼室内にタンブル流が形成される構造を有し、
前記点火プラグは、前記燃焼室の天井面中央部に配設された中央点火プラグであること、を特徴とする。
前記内燃機関は、吸気行程から圧縮行程にかけて前記燃焼室内にタンブル流が形成される構造を有し、
前記点火プラグは、前記燃焼室の天井面中央部に配設された中央点火プラグであること、を特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記天井面中央部よりも排気側の前記燃焼室に配設された排気側点火プラグと、
前記点火時期より前のクランク角および前記点火時期において、前記排気側点火プラグにスパークを発生させる排気側スパーク発生手段と、
前記排気側スパーク発生手段により、前記第1クランク角において前記排気側点火プラグにスパークを発生させ、前記排気側点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記排気側点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角排気側流速を算出する第1クランク角排気側流速算出手段と、
前記第1クランク角流速と前記第1クランク角排気側流速との流速差を算出する流速差算出手段と、
前記流速差が所定値未満である場合に、前記第2クランク角流速算出手段の実行を禁止し、かつ、前記排気側スパーク発生手段による前記点火時期におけるスパークの発生を禁止する禁止手段と、を更に備えることを特徴とする。
前記天井面中央部よりも排気側の前記燃焼室に配設された排気側点火プラグと、
前記点火時期より前のクランク角および前記点火時期において、前記排気側点火プラグにスパークを発生させる排気側スパーク発生手段と、
前記排気側スパーク発生手段により、前記第1クランク角において前記排気側点火プラグにスパークを発生させ、前記排気側点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記排気側点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角排気側流速を算出する第1クランク角排気側流速算出手段と、
前記第1クランク角流速と前記第1クランク角排気側流速との流速差を算出する流速差算出手段と、
前記流速差が所定値未満である場合に、前記第2クランク角流速算出手段の実行を禁止し、かつ、前記排気側スパーク発生手段による前記点火時期におけるスパークの発生を禁止する禁止手段と、を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、圧縮行程後半においてタンブル流の流れ方向が点火プラグ近傍で反転する現象(ωタンブル)が生じた場合に、気流の流れ方向が反転することにより生じる低流速クランク角範囲を算出することができる。低流速クランク角範囲における点火時期を回避することで、燃焼安定性の低下を抑制することができる。
第2の発明によれば、中央点火プラグ近傍を流れるタンブル流の流れ方向が反転する場合であっても、流速が反転する時期に点火されることを回避して、燃焼安定性の低下を抑制することができる。
ωタンブルが発生している場合には、火炎伝播が吸気側に偏り易いところ、第3の発明によれば、流速差が所定値以上である場合には、ωタンブルが発生していると判断し、中央点火プラグと排気側点火プラグとの2点点火により、ωタンブルによる火炎伝播の吸気側への偏りを改善することができる。また、流速差が所定値未満である場合には、理想的なタンブル流であると判断し、中央点火プラグのみで点火することで好適な火炎伝播が得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るシステム構成を説明するための概念構成図である。図1に示すシステムは、内燃機関(以下、単にエンジンとも記載する。)10を備えている。内燃機関10は、火花点火式の4ストローク型レシプロエンジンである。また、内燃機関10は、所定の運転領域(例えば低負荷領域)において希薄燃焼(リーン燃焼)運転を実現可能なエンジンである。好ましくは、過給機付きを備え、過給リーン燃焼を実現可能なエンジンである。
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るシステム構成を説明するための概念構成図である。図1に示すシステムは、内燃機関(以下、単にエンジンとも記載する。)10を備えている。内燃機関10は、火花点火式の4ストローク型レシプロエンジンである。また、内燃機関10は、所定の運転領域(例えば低負荷領域)において希薄燃焼(リーン燃焼)運転を実現可能なエンジンである。好ましくは、過給機付きを備え、過給リーン燃焼を実現可能なエンジンである。
内燃機関10は複数の気筒を有している。図1にはそのうちの1つの気筒12の縦断面が示されている。気筒12はシリンダブロック13内に形成されている。気筒12には、その内部を往復運動するピストン14が取り付けられている。ピストン14の往復運動は、クランク軸の回転運動に変換される。クランク軸の近傍には、クランク軸の回転角(クランク角)を検出するためのクランク角センサ16が取り付けられている。
シリンダブロック13の上部には、シリンダヘッド18が組み付けられている。シリンダヘッド18の下面と気筒12の内壁面とピストン14の冠面で囲まれた空間により燃焼室20が形成されている。シリンダヘッド18には、燃焼室20内に直接燃料を噴射するための直噴インジェクタ21が取り付けられている。
また、シリンダヘッド18には、火花点火式の中央点火プラグ22が取り付けられている。中央点火プラグ22の電極部は、燃焼室20の天井壁中央部に突き出た状態で固定されている。
また、シリンダヘッド18には、燃焼室20に接続する吸気ポート24と、排気ポート26が形成されている。吸気ポート24の下流端には、吸気ポート24と燃焼室20との間を開閉する吸気バルブ28が取り付けられている。排気ポート26の上流端には、排気ポート26と燃焼室20との間を開閉する排気バルブ30が設けられている。
吸気ポート24の上流には吸気通路32が接続されている。吸気通路32には、電子制御式のスロットルバルブ(図示省略)が設けられている。スロットルバルブの上流には、過給機(図示省略)が設けられている。
(点火装置の構成)
図2は、内燃機関10の点火装置38の構成を示す模式図である。
内燃機関10の点火装置38は、中央点火プラグ22を含む。中央点火プラグ22は、点火コイル40により2次電圧が印加されて、中央点火プラグ22の電極部41に点火火花(電気火花)を生じさせる。
図2は、内燃機関10の点火装置38の構成を示す模式図である。
内燃機関10の点火装置38は、中央点火プラグ22を含む。中央点火プラグ22は、点火コイル40により2次電圧が印加されて、中央点火プラグ22の電極部41に点火火花(電気火花)を生じさせる。
中央点火プラグ22の電極部41は、燃焼室20の天井面中央部から燃焼室20内に突き出るように配設されている。電極部41は、点火コイル40の2次コイル40cに接続されている中心電極41aと、シリンダヘッド18に接地(アース)されている接地電極41cとを有している。点火コイル40の2次コイル40cにより印加された2次電圧が、絶縁破壊に要求される電圧に達すると、中心電極41aと接地電極41cとの間にある空隙、いわゆるプラグギャップに点火火花(電気火花)が生じる。
点火コイル40は、1次コイル40a、2次コイル40c、及び鉄芯41bを有している。1次コイル40aの一端は、コンデンサ42に接続されており、他端は、トランジスタ43のコレクタに接続されている。一方、2次コイル40cの一端は、中央点火プラグ22の電極部41の中心電極41aに接続されており、他端は、後述するECU50に接続されている。また、点火コイル40の2次コイル40cに発生する2次電圧(放電電圧)と、2次コイル40cから中央点火プラグ22の電極部41に流れる2次電流を計測する計測器が設けられており、その計測値はECU50に入力される。
また、点火装置38には、点火コイル40の1次コイル40aに1次電流を流すため、1次電流の電気エネルギを蓄えるコンデンサ42とコンデンサ42を充電するエネルギ発生装置44(電源を含む)と、点火コイル40の1次電流を断続するトランジスタ43が設けられている。エネルギ発生装置44とトランジスタ43は、ECU50により制御される。点火装置の構成は、例えば特開2009−13850号公報に開示されているように公知の内容であるため、詳細な説明は省略する。
また、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50は、例えばROM、RAM等を含む記憶回路を備えた演算処理装置により構成されている。ECU50の入力部には、上述したクランク角センサ16、点火装置38、計測器等の内燃機関10の運転状態を検出するための各種センサが接続されている。
ECU50の出力部には、上述した直噴インジェクタ21、中央点火プラグ22、点火装置38、スロットルバルブ等の内燃機関10の運転状態を制御するための各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、各種センサからの入力情報に基づいて所定のプログラムを実行し、各種アクチュエータを作動させることにより、内燃機関10の運転状態を制御する。
(タンブル流)
次に、図3乃至図6を参照して、上述したシステムに生じるタンブル流について説明する。本実施形態のシステムでは、吸気行程から圧縮行程にかけて前記燃焼室内にタンブル流が形成される各部構造を有している。タンブル流の回転方向は、図1では時計回りであり、吸気バルブ28から流入する気体が、中央点火プラグ22近傍、排気バルブ30側の筒内壁面、ピストン14の冠面、吸気バルブ28側の筒内壁面、中央点火プラグ22近傍の順に流れる方向である。
次に、図3乃至図6を参照して、上述したシステムに生じるタンブル流について説明する。本実施形態のシステムでは、吸気行程から圧縮行程にかけて前記燃焼室内にタンブル流が形成される各部構造を有している。タンブル流の回転方向は、図1では時計回りであり、吸気バルブ28から流入する気体が、中央点火プラグ22近傍、排気バルブ30側の筒内壁面、ピストン14の冠面、吸気バルブ28側の筒内壁面、中央点火プラグ22近傍の順に流れる方向である。
この度、発明者らの鋭意研究により、上述のように燃焼室20内にタンブル流が形成されるように設計された内燃機関10において、圧縮行程後半でタンブル流の流れ方向が中央点火プラグ22近傍で反転する現象(ωタンブル)が発見された。
図3は、圧縮上死点近傍における理想的なタンブル流(A)とωタンブル流(B)について比較説明するための図である。図3は、燃焼室20を吸気側から視た図である。
図3の(A)に示すように理想的なタンブル流(以下、通常タンブル流と記載する。)におけるタンブル中心軸は、ピストン面に水平な軸であり、圧縮上死点(以下、上死点をTDCとも記載する。)直前におけるせん断により乱れに変換されるまで気流方向は変わらない。これに対し、ωタンブル流では、(B)に示すようにタンブル中心軸が屈曲しており、中央断面のタンブル渦中心位置が(A)に比して高くなる。その結果、タンブル流が圧縮される過程で中央点火プラグ22近傍の気流方向が反転することとなる。タンブル流を形成するように各部構造が設計されても、必ずしも常に通常タンブル流が形成されるとは限らず、ωタンブル流が形成される場合がある。
図3の(A)に示すように理想的なタンブル流(以下、通常タンブル流と記載する。)におけるタンブル中心軸は、ピストン面に水平な軸であり、圧縮上死点(以下、上死点をTDCとも記載する。)直前におけるせん断により乱れに変換されるまで気流方向は変わらない。これに対し、ωタンブル流では、(B)に示すようにタンブル中心軸が屈曲しており、中央断面のタンブル渦中心位置が(A)に比して高くなる。その結果、タンブル流が圧縮される過程で中央点火プラグ22近傍の気流方向が反転することとなる。タンブル流を形成するように各部構造が設計されても、必ずしも常に通常タンブル流が形成されるとは限らず、ωタンブル流が形成される場合がある。
次に、図4乃至図6を参照して、ωタンブルが形成されることによる問題点について説明する。
図4は、中央点火プラグ22位置における圧縮TDC付近の流速特性を示す図である。
線60は、通常タンブル流の流速特性を示している。線61は、タンブル流の流れ方向がプラグ近傍で反転したωタンブル流の流速特性を示している。通常タンブル流では、圧縮TDC直前で、中央点火プラグ22位置の流速が0に収束しているのに対し(線60)、ωタンブル流では、通常タンブル流に比して早期に流速が0になり、その後流れ方向が反転している(線61)。図4の(A)に示すように、ωタンブル流が生じる場合でも、圧縮行程中盤までは中央点火プラグ22近傍を吸気側から排気側への流れが存在するが、圧縮行程終盤では、(B)に示すように中央点火プラグ22近傍を流れる流れ方向が反転し、ω状の流れを形成する。
線60は、通常タンブル流の流速特性を示している。線61は、タンブル流の流れ方向がプラグ近傍で反転したωタンブル流の流速特性を示している。通常タンブル流では、圧縮TDC直前で、中央点火プラグ22位置の流速が0に収束しているのに対し(線60)、ωタンブル流では、通常タンブル流に比して早期に流速が0になり、その後流れ方向が反転している(線61)。図4の(A)に示すように、ωタンブル流が生じる場合でも、圧縮行程中盤までは中央点火プラグ22近傍を吸気側から排気側への流れが存在するが、圧縮行程終盤では、(B)に示すように中央点火プラグ22近傍を流れる流れ方向が反転し、ω状の流れを形成する。
図5、図6はそれぞれ、通常タンブル流とωタンブル流について、図4の上死点前(BTDC)30°点火を実施した場合の電気火花の様子を示す図である。図4では、BTDC30°がリーン燃焼時のMBT(Minimum Advance for Best Torque)に相当している。図5に示す通常タンブル流では、点火時期直前において、スパークの伸張が大きく、方向も一定であるため着火が安定する。一方、図6に示すωタンブル流では、点火時期付近で流れが低下し流れ方向も反転する。スパークの伸張が小さく、方向も変化するため着火が不安定である。
そのため、常に通常タンブル流が形成されていることを想定して点火時期を設定するのでは、ωタンブル流が形成される場合に、点火時期が流れ方向が反転する時期に重なるケースに対応できず、燃焼安定性が悪化する問題が生じる。
[実施の形態1における特徴的制御]
(特徴的制御1)
そこで、本実施形態のシステムでは、点火時期に先立って、ωタンブル流が形成され流れ方向が反転する時期を含む流速が低い時期を予測し、この時期を回避した点火時期を設定することとした。
(特徴的制御1)
そこで、本実施形態のシステムでは、点火時期に先立って、ωタンブル流が形成され流れ方向が反転する時期を含む流速が低い時期を予測し、この時期を回避した点火時期を設定することとした。
より具体的な特徴的制御の概要について図7を参照して説明する。なお、本明細書において、点火時期とは、筒内の混合気を燃焼させるため、圧縮上死点近傍で中央点火プラグ22にスパークを発生させるクランク角であり、このスパークを点火用スパークと称する。また、中央点火プラグ22近傍を流れる気体の流速を検出するため、点火時期に先立って発生させるスパークを流速検出用スパークと称し、点火用スパークと区別する。
図7は、ωタンブル流により流れ方向が反転する時期を予測し、この時期を回避して点火時期を設定する特徴的制御について説明するための図である。
本実施形態の制御では、点火時期(点火用スパーク発生時期)に先立って、第1クランク角aと第2クランク角bの2つの検出点において流速検出用スパークを発生させる。その2次電圧(放電電圧)に基づいて各検出点における流速を検出し、これら2つの検出点を通る直線の式(1次関数)を求める。特にωタンブル流が生じる場合には、流速がクランク角に比例して下がっていく特徴があるため、その傾きから流速が0となるクランク角を予測することができる。そのため、求めた式より、流速が0となるクランク角及びその近傍の流速が低いクランク角範囲を算出することができる。点火時期(点火用スパーク発生時期)がこのクランク角範囲に設定されている場合には、このクランク角範囲を避けて点火時期を遅角側に再設定する。
本実施形態の制御では、点火時期(点火用スパーク発生時期)に先立って、第1クランク角aと第2クランク角bの2つの検出点において流速検出用スパークを発生させる。その2次電圧(放電電圧)に基づいて各検出点における流速を検出し、これら2つの検出点を通る直線の式(1次関数)を求める。特にωタンブル流が生じる場合には、流速がクランク角に比例して下がっていく特徴があるため、その傾きから流速が0となるクランク角を予測することができる。そのため、求めた式より、流速が0となるクランク角及びその近傍の流速が低いクランク角範囲を算出することができる。点火時期(点火用スパーク発生時期)がこのクランク角範囲に設定されている場合には、このクランク角範囲を避けて点火時期を遅角側に再設定する。
(特徴的制御2)
また、本実施形態のシステムでは、流速検出用スパークタイミング(第1クランク角a及び第2クランク角b)をエンジン回転数に応じて変更する。図8及び図9を参照して説明する。
また、本実施形態のシステムでは、流速検出用スパークタイミング(第1クランク角a及び第2クランク角b)をエンジン回転数に応じて変更する。図8及び図9を参照して説明する。
図8の(A)は、低回転の場合における圧縮TDC近傍の状態を示す模式図である。圧縮TDC近傍においてタンブル成分の上下流のせん断が発生し、乱れに変換される。図8の(B)は、高回転の場合における圧縮TDC近傍の状態を示す模式図状態を示す模式図である。高回転の場合には、エンジン回転数の増加によりタンブル流速が高まるため、低回転の場合(A)に比して、より圧縮上死点手前のクランク角で強いせん断が発生し、乱れへの変換タイミングが早まる。タンブル成分の乱れへの変換タイミングが早まることで、中央点火プラグ22近傍の流速減衰が早まり、最終的に流速が0となるクランク角が進角化する。
図9は、エンジン回転数に応じた流速検出用スパークタイミングの変化を示す図である。図8で説明したように、エンジン回転数の増加に比例して、中央点火プラグ22近傍の流速が0となるクランク角が進角化する。そこで、本実施形態のシステムでは、図9に示すように、エンジン回転数の増加に合わせて流速検出用スパークタイミングを進角化する。
(フローチャート)
図10は、上述の特徴的制御を実現するために、ECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。この制御ルーチンは気筒毎、サイクル毎に実行される。
図10は、上述の特徴的制御を実現するために、ECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。この制御ルーチンは気筒毎、サイクル毎に実行される。
ECU50には、運転条件(例えば、負荷率、エンジン回転数)に応じた点火時期(点火用スパーク発生時期)を定めた点火時期マップが記憶されている。点火時期として、例えば運転条件に応じたMBTが記憶されている。本明細書では、説明容易のため点火時期を点火時期マップから取得するものとしているが、フィードバック補正等の計算結果を加味した計算値であっても良い。
図10に示すルーチンでは、まず、ECU50は、運転条件に応じた点火時期を設定する(ステップS100)。また、ECU50は、エンジン回転数に基づいて流速検出用スパークを発生させるクランク角を設定する(ステップS100)。本発明では、流速検出用スパークを2回発生させるため、第1クランク角と第2クランク角を設定する。ECU50には、エンジン回転数と第1および第2クランク角との関係を定めた関係マップが記憶されている。ECU50は、エンジン回転数に応じた第1および第2クランク角をこのマップから取得する。なお、第1および第2クランク角は、吸気バルブ28が閉じてから点火時期より前までの間のクランク角であり、スパークを発生させても混合気に着火しないタイミングに設定される。上述した図9に示すように第1および第2クランク角はエンジン回転数が高いほど進角側に設定される。
次に、第1クランク角において、1回目の流速検出用スパークを発生させる(ステップS110)。ECU50は、流速検出用スパークを発生させる制御信号を点火装置38に出力し、中央点火プラグ22に印加される放電電圧(2次電圧)を検出する。ECU50は、この放電電圧に基づいてプラグ近傍を流れる気体の流速(第1クランク角流速)を算出する(ステップS120)。プラグギャップ間の気体の流速が高いほど、火花放電が伸ばされるため電気抵抗が増大し、より高い2次電圧(放電電圧)が必要となる。ECU50は、放電電圧と流速の関係を定めた関係マップを記憶しており、放電電圧に応じた流速をこの関係マップから取得する。なお、放電電圧は、運転条件(筒内圧、温度、空燃比等)の影響を受けるため、これらのパラメータを含めた詳細なマップを用いても良い。
次に、第2クランク角において、2回目の流速検出用スパークを発生させる(ステップS130)。ECU50は、流速検出用スパークを発生させる制御信号を点火装置38に出力し、中央点火プラグ22に印加される放電電圧(2次電圧)を検出する。ECU50は、この放電電圧に基づいてプラグ近傍を流れる気体の流速(第2クランク角流速)を算出する(ステップS140)。
第1クランク角と第1クランク角流速との組、および、第2クランク角と第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とし、各検出点を通る直線の式(一次関数)を求める(ステップS150)。ECU50は、直線の式を用いて、流速の絶対値が所定値未満となるクランク角範囲(低流速クランク角範囲)を算出する(ステップS160)。この低流速クランク角範囲は、流速が0になるクランク角を含む。
ECU50は、点火時期(点火用スパーク発生時期)が低流速クランク角範囲内にあるか否かを判定する(ステップS170)。点火時期が低流速クランク角範囲内にあると判定される場合には、ECU50は、点火時期を低流速クランク範囲外に変更する(ステップS180)。具体的には、ECU50は、最終的な点火時期を低流速クランク範囲よりも遅角側に再設定する。その後、ECU50は、最終的な点火時期に従って点火用スパークを発生させる制御信号を点火装置38に出力する(ステップS190)。
一方、ステップS170において、点火時期が低流速クランク角範囲内にないと判定される場合には、ECU50は、ステップS100において設定された点火時期に従って、点火用スパークを発生させる制御信号を点火装置38に出力する(ステップS190)。
以上説明したように、図10に示すルーチンによれば、燃焼室20内にタンブル流が形成される内燃機関において、中央点火プラグ22近傍で流れ方向が反転し、流速が0となるクランク角を含む低流速クランク角範囲を、点火時期よりも前に算出することができる。そのため、現サイクルにおいて、低流速クランク角範囲を避けて点火時期を設定することができ、燃焼性悪化を抑制することができる。その結果、リーン燃焼限界を高めることができ、リーン燃焼運転における燃費向上を図ることもできる。
(変形例)
ところで、上述した実施の形態1では、流量計速用スパークと点火用スパークの点火エネルギに違いを設けていないが、これに限定されるものではない。図16は、流速検知用スパークと点火用スパークの点火エネルギ制御概念図である。流速検知用スパークでは、コイルへのチャージ時間を短縮し、流速検知時における着火を回避すると共に、短いインターバルでの2回スパークを可能とする。一方、点火用スパークでは、流速検知用スパークよりもチャージ時間を増加させて確実な着火を実現する。このように流量計速用スパークの点火エネルギを点火用スパークの点火エネルギよりも低く設定することが好ましい。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
ところで、上述した実施の形態1では、流量計速用スパークと点火用スパークの点火エネルギに違いを設けていないが、これに限定されるものではない。図16は、流速検知用スパークと点火用スパークの点火エネルギ制御概念図である。流速検知用スパークでは、コイルへのチャージ時間を短縮し、流速検知時における着火を回避すると共に、短いインターバルでの2回スパークを可能とする。一方、点火用スパークでは、流速検知用スパークよりもチャージ時間を増加させて確実な着火を実現する。このように流量計速用スパークの点火エネルギを点火用スパークの点火エネルギよりも低く設定することが好ましい。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
また、上述した実施の形態1では、最終的な点火時期を低流速クランク角範囲外に再設定することとしているが、これに限定されるものではない。点火エネルギを通常時よりも増大させることとしてもよい。具体的には、上記ステップS180における点火時期の再設定に替えて、点火用スパークのチャージ時間を通常時(ステップS170の判定条件が成立しない場合)よりも増加させるステップを加えることとしてもよい。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
また、上述した実施の形態1のシステムにおいては、2つの検出点において流速を検出して方程式を求めることとしているが、これに限定されるものではない、例えば、3点以上の検出点において流速を検出し、これらの検出点を通る方程式(2次以上の関数)を求めることとしてもよい。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
本発明が適用されるエンジンは、上述の実施の形態のような筒内直噴エンジンには限定されない。ポート噴射式のエンジンにも本発明の適用は可能である。また、火花点火式のエンジンに限らず、圧縮自着火式のエンジンにも本発明を適用することができる。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
尚、上述した実施の形態1においては、中央点火プラグ22が前記第1又は第2の発明における「点火プラグ」に、点火装置38が前記第1の発明における「スパーク発生手段」に、それぞれ相当している。
また、ここでは、ECU50が、上記ステップS100の処理を実行することにより前記第1の発明における「点火時期設定手段」が、上記ステップS100およびS110の処理を実行することにより前記第1の発明における「第1クランク角流速算出手段」が、上記ステップS130およびS140の処理を実行することにより前記第1の発明における「第2クランク角流速算出手段」が、上記ステップS150の処理を実行することにより前記第1の発明における「方程式算出手段」が、上記ステップS160の処理を実行するおとにより前記第1の発明における「低流速クランク角範囲算出手段」が、上記ステップS180の処理を実行することにより前記第1の発目における「点火設定手段」が、それぞれ実現されている。
また、ここでは、ECU50が、上記ステップS100の処理を実行することにより前記第1の発明における「点火時期設定手段」が、上記ステップS100およびS110の処理を実行することにより前記第1の発明における「第1クランク角流速算出手段」が、上記ステップS130およびS140の処理を実行することにより前記第1の発明における「第2クランク角流速算出手段」が、上記ステップS150の処理を実行することにより前記第1の発明における「方程式算出手段」が、上記ステップS160の処理を実行するおとにより前記第1の発明における「低流速クランク角範囲算出手段」が、上記ステップS180の処理を実行することにより前記第1の発目における「点火設定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2のシステム構成]
次に、図11〜図15を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは図11に示す構成において、ECU50に後述する図15のルーチンを実行させることで実現することができる。
[実施の形態2のシステム構成]
次に、図11〜図15を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは図11に示す構成において、ECU50に後述する図15のルーチンを実行させることで実現することができる。
図11は、本発明の実施の形態2に係るシステム構成を説明するための概念構成図である。図11に示すシステム構成は、排気側点火プラグ70が追加されている点を除き図1と同様である。排気側点火プラグ70は、燃焼室20の天井面周辺部であって、天井面中央部に配置された中央点火プラグ22よりも排気側に寄った位置に取り付けられている。また、点火装置38は、図2に示す構成と同等の構成を排気側点火プラグ70に関して備える。点火装置38は、排気側点火プラグ70の電極部に点火火花(電気火花)を生じさせ、ECU50は、排気側点火プラグ70に流れる2次電流又は印加される2次電圧(放電電圧)を計測することができる。
[実施の形態2における特徴的制御]
図12は、中央点火プラグ22による1点点火の場合の火炎伝播について説明するための図である。上述したようにωタンブル流が生じる場合には、図12の(A)に示すように、点火時期において、中央点火プラグ22近傍に排気側(EX側)から吸気側(IN側)への流れが存在する。そのため、中央点火プラグ22による1点点火の場合には、(B)に示すように火炎伝播が吸気側に偏ることとなる。
図12は、中央点火プラグ22による1点点火の場合の火炎伝播について説明するための図である。上述したようにωタンブル流が生じる場合には、図12の(A)に示すように、点火時期において、中央点火プラグ22近傍に排気側(EX側)から吸気側(IN側)への流れが存在する。そのため、中央点火プラグ22による1点点火の場合には、(B)に示すように火炎伝播が吸気側に偏ることとなる。
図13は、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70とによる2点点火の場合の火炎伝播について説明するための図である。図13の(B)に示すように、ωタンブル流が生じる場合に、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70とで2点点火を実施することにより、火炎伝播の偏りを改善することができる。
そこで、実施の形態2のシステムでは、通常タンブル流が生じる場合には、中央点火プラグ22のみによる1点点火を実施し、ωタンブル流が生じる場合には、実施の形態1の点火制御に加えて、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70とによる2点点火を実施することとした。
より具体的な制御の概要について図14を参照して説明する。図14は、実施の形態2において通常タンブルかωタンブルかを判定して、1点点火又は2点点火を実行する制御概要を説明するための図である。
実施の形態2では、まず、点火時期に先立って、第1クランク角aにおいて、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70の両方で1回目の流速検知用スパーク発生させる。これらの2次電圧(放電電圧)に基づいて各プラグ近傍の流速を検出し、その流速差を算出する。
流速差が所定値未満の場合には、通常タンブル流が生じていると判断する。通常タンブルの場合には、図12で説明したような吸気側への火炎伝播の偏りは生じない。よって、通常タンブルの場合には、排気側点火プラグ70による点火用スパークを禁止し、中央点火プラグ22のみによる点火用スパークを発生させる。
一方、流速差が所定値以上である場合には、ωタンブル流が生じていると判断する。この場合、図12で説明したような吸気側への火炎伝播の偏りが生じる。よって、ωタンブルの場合には、実施の形態1の点火制御に加えて、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70の両方で点火用スパークを発生させる。
(フローチャート)
図15は、上述の動作を実現するために、ECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。この制御ルーチンは気筒毎、サイクル毎に実行される。
図15は、上述の動作を実現するために、ECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。この制御ルーチンは気筒毎、サイクル毎に実行される。
ECU50には、運転条件(例えば、負荷率、エンジン回転数)に応じた点火時期(点火用スパーク発生時期)を定めた点火時期マップが記憶されている。点火時期として、例えば運転条件に応じたMBTが記憶されている。本明細書では、説明容易のため点火時期を点火時期マップから取得するものとしているが、フィードバック補正等の計算結果を加味した計算値であっても良い。
図15に示すルーチンでは、まず、ECU50は、運転条件に応じた点火時期(点火用スパーク発生時期)を設定する(ステップS100)。また、エンジン回転数に基づいて流速検出用スパークを発生させるクランク角を設定する(ステップS100)。これらの処理は実施の形態1で説明した内容と同様であるため説明は省略する。
次に、第1クランク角において、1回目の流速検出用スパークを発生させる(ステップS210)。ECU50は、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70の両方で流量検出用スパークを発生させる制御信号を点火装置38に出力し、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70に印加される放電電圧(2次電圧)をそれぞれ検出する。ECU50は、これらの放電電圧に基づいて、中央点火プラグ22近傍を流れる気体の流速(第1クランク角流速)と、排気側点火プラグ70近傍を流れる気体の流速(第1クランク角排気側流速)を算出する(ステップS220)。例えば、ECU50は、実施の形態1のステップS120の処理と同様に、放電電圧と流速の関係を定めた関係マップを記憶しており、運転条件及び放電電圧に応じた流速をこのマップから取得する。
続いて、ECU50は、第1クランク角流速と第1クランク角排気側流速との流速差を算出する(ステップS230)。ECU50は、流速差が所定値未満であるか否を判定する(ステップS240)。所定値は適合により定めた値である。流速差が所定値未満である場合には、通常タンブル流であると判断し、ECU50は、排気側点火プラグ70による点火用スパークを禁止し、中央点火プラグ22のみで点火用スパークを実行する(ステップS250)。
一方、流速差が所定値以上である場合には、上述した実施の形態1のステップS130〜ステップS180と同様の処理を実行する。その後、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70の両方で点火用スパークを実行する(ステップS260)。
以上説明したように、図15に示すルーチンによれば、通常タンブル流とωタンブル流のいずれが発生しているかを判断し、通常タンブル流の場合は中央点火プラグ22による1点点火、ωタンブル流の場合は実施の形態1における点火制御に加えて、中央点火プラグ22と排気側点火プラグ70とによる2点点火を実施することができる。そのため、いずれの場合においても好適な火炎伝播が得られ、燃焼性悪化を抑制することができる。
尚、上述した実施の形態Xにおいては、排気側点火プラグ70が前記第3の発明における「排気側点火プラグ」に、点火装置38が前記第3の発明における「排気側スパーク発生手段」に、それぞれ相当している。
また、ここでは、ECU50が、上記ステップS210およびS220の処理を実行することにより前記第3の発明における「第1クランク角排気側流速算出手段」が、上記ステップS230の処理を実行することにより前記第3の発明における「流速差算出手段」が、上記ステップS240およびS250の処理を実行することにより前記第3の発明における「禁止手段」が、それぞれ実現されている。
また、ここでは、ECU50が、上記ステップS210およびS220の処理を実行することにより前記第3の発明における「第1クランク角排気側流速算出手段」が、上記ステップS230の処理を実行することにより前記第3の発明における「流速差算出手段」が、上記ステップS240およびS250の処理を実行することにより前記第3の発明における「禁止手段」が、それぞれ実現されている。
10 内燃機関
14 ピストン
16 クランク角センサ
20 燃焼室
21 直噴インジェクタ
22 中央点火プラグ
28 吸気バルブ
30 排気バルブ
38 点火装置
40 点火コイル
50 ECU
70 排気側点火プラグ
14 ピストン
16 クランク角センサ
20 燃焼室
21 直噴インジェクタ
22 中央点火プラグ
28 吸気バルブ
30 排気バルブ
38 点火装置
40 点火コイル
50 ECU
70 排気側点火プラグ
Claims (3)
- 内燃機関の燃焼室に配設された点火プラグと、
点火時期を設定する点火時期設定手段と、
前記点火時期より前の複数のクランク角および前記点火時期において、前記点火プラグにスパークを発生させるスパーク発生手段と、
前記スパーク発生手段により、吸気弁を閉じてから前記点火時期より前までの間の第1クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角流速を算出する第1クランク角流速算出手段と、
前記スパーク発生手段により、前記第1クランク角から前記点火時期より前までの間の第2クランク角において前記点火プラグにスパークを発生させ、前記点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記点火プラグ近傍を流れる気体の第2クランク角流速を算出する第2クランク角流速算出手段と、
前記第1クランク角と前記第1クランク角流速との組、および、前記第2クランク角と前記第2クランク角流速との組をそれぞれ検出点とした場合に、各検出点を通る方程式を求める方程式算出手段と、
前記方程式を用いて流速の絶対値が所定値未満となる低流速クランク角範囲を算出する低流速クランク角範囲算出手段と、
前記点火時期が前記低流速クランク角範囲にある場合に、前記点火時期設定手段により前記点火時期を前記低流速クランク角範囲外に再設定し、或いは、点火エネルギを増加させる点火設定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 前記内燃機関は、吸気行程から圧縮行程にかけて前記燃焼室内にタンブル流が形成される構造を有し、
前記点火プラグは、前記燃焼室の天井面中央部に配設された中央点火プラグであること、を特徴とする請求項1記載の内燃機関の点火制御装置。 - 前記天井面中央部よりも排気側の前記燃焼室に配設された排気側点火プラグと、
前記点火時期より前のクランク角および前記点火時期において、前記排気側点火プラグにスパークを発生させる排気側スパーク発生手段と、
前記排気側スパーク発生手段により、前記第1クランク角において前記排気側点火プラグにスパークを発生させ、前記排気側点火プラグに流れる2次電流または印加される2次電圧に基づいて前記排気側点火プラグ近傍を流れる気体の第1クランク角排気側流速を算出する第1クランク角排気側流速算出手段と、
前記第1クランク角流速と前記第1クランク角排気側流速との流速差を算出する流速差算出手段と、
前記流速差が所定値未満である場合に、前記第2クランク角流速算出手段の実行を禁止し、かつ、前記排気側スパーク発生手段による前記点火時期におけるスパークの発生を禁止する禁止手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の点火制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013014472A JP2014145306A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | 内燃機関の点火制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013014472A JP2014145306A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | 内燃機関の点火制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014145306A true JP2014145306A (ja) | 2014-08-14 |
Family
ID=51425742
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013014472A Pending JP2014145306A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | 内燃機関の点火制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014145306A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016151213A (ja) * | 2015-02-17 | 2016-08-22 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP2017106371A (ja) * | 2015-12-09 | 2017-06-15 | 株式会社Soken | 内燃機関の制御装置 |
DE102017111950A1 (de) | 2016-07-05 | 2018-01-11 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steuervorrichtung für eine verbrennungskraftmaschine |
JP2018021518A (ja) * | 2016-08-04 | 2018-02-08 | 株式会社デンソー | 内燃機関の点火装置 |
US10047680B2 (en) | 2015-05-15 | 2018-08-14 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Detecting actuation of air flow control valve of internal combustion engine and corresponding control thereof |
WO2020145105A1 (ja) * | 2019-01-09 | 2020-07-16 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 制御装置 |
US11326547B1 (en) | 2020-11-10 | 2022-05-10 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling engine, and engine system |
EP3995687A1 (en) | 2020-11-10 | 2022-05-11 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling a spark ignition engine, and spark ignition engine system |
JP7468305B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-04-16 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
JP7468306B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-04-16 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
JP7476764B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-05-01 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
-
2013
- 2013-01-29 JP JP2013014472A patent/JP2014145306A/ja active Pending
Cited By (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016151213A (ja) * | 2015-02-17 | 2016-08-22 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
US10047680B2 (en) | 2015-05-15 | 2018-08-14 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Detecting actuation of air flow control valve of internal combustion engine and corresponding control thereof |
JP2017106371A (ja) * | 2015-12-09 | 2017-06-15 | 株式会社Soken | 内燃機関の制御装置 |
DE102017111950A1 (de) | 2016-07-05 | 2018-01-11 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steuervorrichtung für eine verbrennungskraftmaschine |
US10119517B2 (en) | 2016-07-05 | 2018-11-06 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device for internal combustion engine |
DE102017111950B4 (de) | 2016-07-05 | 2019-09-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steuervorrichtung für eine verbrennungskraftmaschine |
JP2018021518A (ja) * | 2016-08-04 | 2018-02-08 | 株式会社デンソー | 内燃機関の点火装置 |
DE102017117618B4 (de) | 2016-08-04 | 2023-04-20 | Denso Corporation | Zündvorrichtung für Verbrennungsmaschinen |
CN113015848B (zh) * | 2019-01-09 | 2022-04-29 | 日立安斯泰莫株式会社 | 控制装置 |
US11371480B2 (en) | 2019-01-09 | 2022-06-28 | Hitachi Astemo, Ltd. | Control device |
JP2020112055A (ja) * | 2019-01-09 | 2020-07-27 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 制御装置 |
WO2020145105A1 (ja) * | 2019-01-09 | 2020-07-16 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 制御装置 |
CN113015848A (zh) * | 2019-01-09 | 2021-06-22 | 日立安斯泰莫株式会社 | 控制装置 |
JP7150620B2 (ja) | 2019-01-09 | 2022-10-11 | 日立Astemo株式会社 | 制御装置 |
EP3995683A1 (en) | 2020-11-10 | 2022-05-11 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling engine, and engine system |
EP3995687A1 (en) | 2020-11-10 | 2022-05-11 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling a spark ignition engine, and spark ignition engine system |
US11326547B1 (en) | 2020-11-10 | 2022-05-10 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling engine, and engine system |
US11859574B2 (en) | 2020-11-10 | 2024-01-02 | Mazda Motor Corporation | Method of controlling engine, and engine system |
JP7468305B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-04-16 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
JP7468306B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-04-16 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
JP7476764B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-05-01 | マツダ株式会社 | エンジンシステム |
JP7537234B2 (ja) | 2020-11-10 | 2024-08-21 | マツダ株式会社 | エンジンの制御方法及びエンジンシステム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2014145306A (ja) | 内燃機関の点火制御装置 | |
CN105556089B (zh) | 用于内燃机的控制器 | |
US10774777B2 (en) | Internal combustion engine with an electronically controlled tumble control valve | |
JP2017141693A (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
US9976534B2 (en) | Control device and control method for internal combustion engine | |
JP5885767B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
US9926838B2 (en) | Control system for spark-ignition internal combustion engine | |
WO2018143137A1 (ja) | 点火制御システム | |
US20160273475A1 (en) | Control system for spark-ignition internal combustion engine | |
JP6081248B2 (ja) | 内燃機関の点火制御装置 | |
JP2008095539A (ja) | 予混合圧縮着火内燃機関 | |
JP6375764B2 (ja) | 点火制御装置 | |
JP6476102B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP2018131948A (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
WO2017203798A1 (ja) | 内燃機関制御装置 | |
JP5998949B2 (ja) | 内燃機関の点火制御装置 | |
JP2014092093A (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JPWO2014057870A1 (ja) | エンジン制御システム | |
JP2016056684A (ja) | エンジン制御装置 | |
JP2022076828A (ja) | エンジンシステム | |
JP6485137B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP2022076802A (ja) | エンジンシステム | |
JP2022076804A (ja) | エンジンシステム | |
JP5400700B2 (ja) | 内燃機関の燃料噴射制御装置 | |
JP2020172862A (ja) | 内燃機関 |