JP2014030506A - 医用画像処理装置、x線撮影装置及び医用画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】心臓のように呼吸と心拍の双方が影響する部位であっても、より良好な画質でDSA画像データを生成することが可能な医用画像処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、画像取得手段と差分画像生成手段を備える。画像取得手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
【選択図】 図5
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、画像取得手段と差分画像生成手段を備える。画像取得手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
【選択図】 図5
Description
本発明の実施形態は、医用画像処理装置、X線撮影装置及び医用画像処理プログラムに関する。
X線撮影装置における撮像法の1つとしてDSA (Digital Subtraction Angiography)が知られている。DSAは、被検体への造影剤注入前後におけるX線画像データの差分画像データを診断用に収集する技術である。すなわち、造影剤の注入前においてX線画像データが差分画像データを生成するためのマスク(mask)画像データとして収集される。一方、造影剤を投与することによってX線造影(contrast)画像データが収集される。そして、X線造影画像データとマスク画像データとの間における差分処理によってDSA画像データが診断用に生成される。
このようなDSA画像データを生成すれば、血管の観察に不要な陰影が除去された画像データを取得することができる。すなわち、造影剤によって染影された血管が選択的に描出された診断画像データを得ることができる。このため、血管の診断に有用な画像を表示させることができる。
しかしながら心臓のように呼吸や心拍が影響する部位におけるDSA画像データを収集する場合には、呼吸及び心拍の影響によって差分処理の対象となるマスク画像データとX線造影画像データとの間に動きが生じる恐れがある。そこで、呼吸信号や心電(ECG: electro cardiogram)信号に同期させた同期撮影によってX線画像データを収集し、適切な心位相及び呼吸位相のマスク画像データ及びX線造影画像データを用いてDSA画像データを生成する技術が考案されている。
しかしながら、心臓のように呼吸及び心拍が影響する部位では、呼吸の周期と心拍の周期が異なることから、呼吸同期やECG同期等の撮影技術を用いても診断に有効なDSA画像データを生成することができないという問題がある。
そこで、本発明は、心臓のように呼吸と心拍の双方が影響する部位であっても、より良好な画質でDSA画像データを生成することが可能な医用画像処理装置、X線撮影装置及び医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る医用画像処理装置は、画像取得手段と差分画像生成手段を備える。画像取得手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係るX線撮影装置は、画像収集手段と差分画像生成手段を備える。画像収集手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間において、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理プログラムは、コンピュータを画像取得手段及び差分画像生成手段として機能させる。画像取得手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係るX線撮影装置は、画像収集手段と差分画像生成手段を備える。画像収集手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間において、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
また、本発明の実施形態に係る医用画像処理プログラムは、コンピュータを画像取得手段及び差分画像生成手段として機能させる。画像取得手段は、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する。差分画像生成手段は、前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する。
本発明の実施形態に係る医用画像処理装置、X線撮影装置及び医用画像処理プログラムについて添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る医用画像処理装置及びX線撮影装置の構成図である。
X線撮影装置1は、撮影系2、制御系3、データ処理系4、入力装置5及び表示装置6を備えている。撮影系2は、X線照射部7、X線検出器8、駆動機構9及び寝台10を有する。制御系3は、高電圧発生装置3A、撮影位置制御装置3B及びシステム制御部3Cを有する。
X線照射部7は、X線管を備え、寝台10にセットされた被検体Oを挟んでX線検出器8と対向配置される。X線照射部7及びX線検出器8は、駆動機構9の駆動によって相対位置を維持しながら被検体Oに対する角度及び相対位置を変えることができる。具体的には、回転機能を備えたC型アームの両端にX線照射部7及びX線検出器8が固定される。そして、X線照射部7は、X線管により被検体Oに向けて所定の角度からX線を照射し、被検体Oを透過したX線をX線検出器8で検出できるように構成される。
また、寝台10の天板の傾斜及び位置を駆動機構9によって調整することができる。従って、X線照射部7及びX線検出器8の被検体Oに対する角度を調整するのみならず、天板の角度を調整することによっても、被検体Oに対するX線の照射方向を変えることができる。
寝台10にセットされた被検体Oには、呼吸センサ11及び心電計12が取り付けられる。更に、寝台10にセットされた被検体Oの近傍には、被検体Oに造影剤を注入するための造影剤注入装置13が設けられる。
制御系3の高電圧発生装置3Aは、X線照射部7のX線管に高電圧を印加することによって、所望のエネルギを有するX線を被検体Oに向けて照射させる装置である。撮影位置制御装置3Bは、駆動機構9に制御信号を出力して制御する装置である。すなわち、X線照射部7及びX線検出器8の回転角度及び位置並びに寝台10の天板の傾斜及び位置は、撮影位置制御装置3Bから駆動機構9に出力される制御信号によって制御される。
システム制御部3Cは、高電圧発生装置3A、撮影位置制御装置3B及びデータ処理系4を含むX線撮影装置1の各構成要素を制御するシステムである。特に、システム制御部3Cは、造影剤注入装置13から造影剤の注入中であるか否かを示す造影剤情報を取得できるように構成されている。
データ処理系4は、A/D(analog to digital)変換器14及びコンピュータ15を有する。コンピュータ15は、医用画像処理プログラムを実行することにより医用画像処理装置15として機能する。すなわち、X線撮影装置1には、医用画像処理装置15が内蔵される。
但し、同様な機能を有する独立した医用画像処理装置を、ネットワークを介してX線撮影装置1に接続するようにしても良い。また、X線撮影装置1に内蔵される医用画像処理装置15又はX線撮影装置1とネットワークを介して接続される医用画像処理装置を構成するために回路を用いてもよい。
図2は、図1に示す医用画像処理装置15の詳細機能を示す機能ブロック図である。
医用画像処理装置15は、画像生成部16、画像取得部17、画像データ記憶部18、造影判定部19、心拍数判定部20、呼吸情報取得部21、マスク画像記憶部22、マスク画像決定部23、差分画像作成部24、位置ずれ検出画像記憶部25、位置ずれ検出画像決定部26、位置ずれ検出部27及び表示処理部28を有する。
画像生成部16は、X線検出器8からA/D変換器14を通じてデジタル化されたX線検出データを取り込んで、データ処理を行うことによりX線画像データを生成する機能を有する。尚、造影剤の投与を伴ってX線検出データが収集された場合には、X線造影画像データが生成され、造影剤の投与を伴わずにX線検出データが収集された場合には、X線非造影画像データが生成されることとなる。
画像取得部17は、画像生成部16において生成されたX線画像データを取得する機能を有する。特に、X線撮影装置1にネットワークを介して接続された独立した医用画像処理装置においては、画像生成部16を省略することもできる。この場合には、X線撮影装置1に備えられる画像生成部16からネットワークを介してX線画像データを取得する機能が画像取得部17に備えられる。
画像データ記憶部18は、画像取得部17により取得されたX線画像データを記憶する記憶装置である。撮影時には、リアルタイムにX線画像データが順次ライブ画像データとして画像データ記憶部18に蓄積される。
造影判定部19は、造影剤の注入中であるか否かを示す造影剤情報をシステム制御部3Cから取得することによって、造影剤の注入中であるか否かを判定する機能を有する。
心拍数判定部20は、心電計12から心拍数を取得し、予め決定された特定の心拍数で心臓が拍動している期間であるか否かを判定する機能を有する。特定の心拍数で心臓が拍動している期間とは、頻脈状態の期間である。頻脈状態は、数値で表せば心拍数が100 bpm (beats per minute)以上である場合と定義することができる。
図3は、図1に示す心電計12により取得されるECG信号の一例を示す図である。
図3において縦軸はECG信号の振幅を示し、横軸は時間を示す。図3に示すように、ECG信号は、Q波、R波及びS波の各ピークが繰返し現れる信号である。ECG信号の心拍数は、通常は60bmp程度であるが、ペーシング用カテーテルを用いて心臓に頻度の高い刺激を与えると、心臓が頻脈状態となる。図3に示す例では、心拍数が180bmp程度となっている。
頻脈状態にある心臓は小刻みに拍動する。従って、頻脈状態にある心臓では、心拍の動きによる1心拍中における位置変化が頻脈状態にない心臓に比べて極端に少なくなる。この結果、頻脈状態にある心臓では、心拍による位置の変化を無視することができるようになる。
尚、ラピッドペーシング(Rapid Pacing)を行うと、必ず同じ位置で心臓が細動することが経験的に知られている。また、連続する期間が30秒程度の期間であれば、ラピッドペーシングを断続的に繰返しも患者に悪影響がないことが知られている。
心拍数は、心電計12においてECG信号のQ波、R波又はS波のピークから次のピークまでの時間間隔を測定することによって算出することができる。但し、別の方法として、心拍数を求める代わりに、頻脈状態の期間のみを検出するようにしてもよい。例えば、ペーシング用カテーテルを用いて人工的に頻脈状態を発生させる場合には、心拍数判定部20がペーシング用カテーテルの電極信号を取得して心臓が頻脈状態であるか否かを判定することができる。
呼吸情報取得部21は、呼吸センサ11から呼吸信号を取得し、呼吸位相及び呼吸周期の少なくとも一方を含む呼吸情報を求める機能を有する。呼吸情報は、差分画像データの生成のための差分処理の対象となるX線画像データを特定及び選択するために用いられる。従って、X線画像データの選択精度を向上させる観点からは、各時刻における呼吸位相を取得することが望ましい。但し、少なくとも呼吸周期を求めることにより、安静吸気位及び安静呼気位の一方又は双方のみを取得するようにしてもよい。
図4は、図1に示す呼吸センサ11により取得される呼吸信号の一例を示す図である。
図4において縦軸は呼吸信号の振幅を示し、横軸は時間を示す。図4に示すように、呼吸信号は、安静吸気位と安静呼気位とをECG信号の周期とは異なる周期で繰り返す信号である。
呼吸位相等の呼吸情報は、図4に示されるような呼吸信号に基づいて得ることができる。特に、大動脈弁の置換術(TAVR: Trans-catheter Aortic Valve Replacement又はTAVI: Trans-catheter Aortic Valve Implantation)等の手技を行う場合には、必ず全身麻酔によって呼吸が安定するようにコントロールされる。従って、呼吸信号を周期的な信号として取得することが可能である。
但し、他の公知の方法によって呼吸情報を取得することもできる。例えば、人工呼吸器からの信号に対する信号処理によって呼吸情報を取得する方法やX線画像データに対する画像処理によって呼吸情報を取得する方法が知られている。これらの方法を用いる場合には、呼吸情報取得部21が人工呼吸器や画像データ記憶部18等の構成要素から呼吸情報の取得に必要な情報を取得して呼吸情報を求めるように構成される。
マスク画像記憶部22は、造影判定部19における判定結果、心拍数判定部20における判定結果及び呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、特定の心拍数で心臓が拍動している頻脈期間の少なくとも呼吸1周期分のX線画像データを画像データ記憶部18から取得し、少なくとも呼吸1周期分に対応する複数フレームのマスク画像データとして記憶する機能を有する。
尚、実際にはマスク画像データの保存先も画像データ記憶部18とし、画像データ記憶部18に保存されたX線画像データにマスク画像データであることを示す識別情報をマスク画像記憶部22が付加するようにしてもよい。
マスク画像データは、差分画像データの生成のための差分処理に用いるためのX線画像データである。差分画像データの例としては、ロードマップ画像データ及びDSA画像データが代表的である。
ロードマップ画像データは、予め血管に造影剤を注入した状態でマスク画像データを収集し、造影剤を注入せずに非造影で収集されたライブ画像データとマスク画像データとの差分処理を含む画像処理によってライブ画像データ上に血管を描出させた画像データである。一方、DSA画像データは、造影剤の注入前において収集されたマスク画像データと造影剤を投与して収集されたX線造影画像データとの間における差分処理によって生成される。
従って、ロードマップ画像データが診断画像データとして生成される対象である場合には、ロードマップ画像データの生成に用いられる可能性のある造影中の少なくとも呼吸1周期分のX線画像データがマスク画像データとして記憶される。一方、DSA画像データが診断画像データとして生成される対象である場合には、DSA画像データの生成に用いられる可能性のある非造影中の少なくとも呼吸1周期分のX線画像データがマスク画像データとして記憶される。X線画像データが造影中に収集されたか非造影で収集されたかという判定は、造影判定部19における判定結果に基づいて行うことができる。
マスク画像決定部23は、造影判定部19における判定結果、心拍数判定部20における判定結果及び呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に差分画像データの生成用のライブ画像データとして収集されたX線画像データの呼吸位相に対応するマスク画像データをマスク画像記憶部22から取得し、ロードマップ画像データやDSA画像データ等の差分画像データを生成するための差分処理用のマスク画像データとして決定する機能を有する。
差分画像作成部24は、ライブ画像データとして収集されたX線画像データを画像データ記憶部18から取得する一方、マスク画像決定部23からライブ画像データの呼吸位相に対応するマスク画像データを取得し、ライブ画像データとマスク画像データとの差分処理によってロードマップ画像データやDSA画像データ等の差分画像データを生成する機能を有する。すなわち、差分画像作成部24は、拍動による位置の変化が無視できる心臓の頻脈状態において収集され、かつ呼吸位相が同等とみなせるライブ画像データとマスク画像データとの差分処理によって差分画像データを生成するように構成される。
尚、ライブ画像データは、呼吸1周期分に限らず、呼吸2周期分以上の任意周期分の複数フレームのX線画像データとして収集することができる。従って、差分画像データについても呼吸任意周期に対応する複数フレームのX線画像データとして生成することができる。
差分画像作成部24において作成された差分画像データは表示処理部28を通じて表示装置6に表示させることができる。また、必要に応じて差分画像データを画像データ記憶部18に保存することもできる。
位置ずれ検出画像記憶部25は、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて指示情報が与えられた場合に、心拍数判定部20における判定結果及び呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、特定の心拍数で心臓が拍動している頻脈状態に相当する期間の少なくとも呼吸1周期分のX線画像データを画像データ記憶部18から取得し、位置ずれ検出用の基準となるX線画像データとして記憶する機能を有する。位置ずれ検出用の基準画像データをX線造影画像データ及びX線非造影画像データのいずれかとする場合には、基準画像データの記憶に際して造影判定部19における判定結果を参照することができる。
位置ずれ検出画像決定部26は、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて指示情報が与えられた場合に、心拍数判定部20における判定結果及び呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集されたX線画像データの呼吸位相に対応する基準画像データを位置ずれ検出画像記憶部25から取得し、位置ずれ検出処理に用いる基準画像データとして決定する機能を有する。
位置ずれ検出部27は、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて指示情報が与えられた場合に、画像データ記憶部18から取得したデバイスの位置ずれの検出対象となるX線画像データ及び位置ずれ検出画像決定部26において決定された位置ずれ検出用の基準画像データの双方からデバイスの位置又は位置に応じた指標を検出する機能と、検出したデバイスの位置又は位置に応じた指標をX線画像データと基準画像データとの間で比較することによってデバイスの位置ずれを検出する機能を有する。
位置ずれ検出対象のX線画像データと位置ずれ検出用の基準画像データとの間におけるデバイスの位置ずれは、例えば、デバイス位置間のシフト量に対する閾値処理によってデバイス位置のシフト量が一定の距離以上となった場合として検出することができる。デバイスの位置の検出には、エッジ抽出処理等のデバイスの輪郭を抽出するための画像処理の他、デバイスに取り付けられたマーカを検出し、マーカの位置をデバイスの位置とする処理を用いることができる。
但し、デバイスの位置を検出する代わりに、位置ずれ検出対象のX線画像データと基準画像データとの間におけるデバイスの位置ずれ量を示す指標を求めることによってデバイスの位置ずれを検出することもできる。例えば、差分画像データ等の基準画像データにおいてデバイスが占める領域と考えられる輝度が一定値以下の領域における信号量又はサイズを基準値として定義することができる。そして、デバイスの位置ずれの検出対象となるX線画像データからデバイスが占める領域と考えられる輝度が一定値以下の領域における信号量又はサイズを比較値として求め、比較値が基準値から一定の閾値以上乖離している場合には、デバイスの位置ずれが生じたと判定することができる。つまり、輝度が一定値以下の領域における信号量又はサイズの変化量をデバイスの位置ずれ量を示す指標とすることができる。
尚、血管が占める領域と考えられる輝度が一定値より大きい領域における信号量又はサイズの変化量をデバイスの位置ずれ量を示す指標とすることも可能である。但し、造影剤の染まり具合に依存して、輝度が一定値より大きい領域における信号量又はサイズが変化する恐れがある。従って、デバイスが占める領域における信号量又はサイズの変化に基づいてデバイスの位置ずれを検出する方が望ましい。
この場合、デバイスの挿入前には、デバイスが占める領域における信号量又はサイズが理想的にはゼロとなる。このため、閾値処理によってデバイスの挿入前における基準画像データをデバイスの位置ずれ検出処理から除外するエラー処理を実行することもできる。或いは、デバイスが占める領域における信号量又はサイズの変化量が閾値を超えた場合には、デバイスの位置ずれとして検出しないようにするエラー処理を実行することもできる。
尚、デバイスの位置ずれの検出のための閾値処理は、デバイスの位置又は位置に応じた指標間の差に限らず比に対して行うようにしてもよい。
また、位置ずれの検出対象となるデバイスの例としてはTAVRにおいて大動脈弁の位置への留置対象となる人工弁、バルーン或いはカテーテルが挙げられる。
そして、位置ずれ検出部27は、ライブ画像データと位置ずれ検出用の基準画像データとの間においてデバイスの位置ずれが検出され場合には、警告情報を表示装置6又はその他の出力装置に出力させるように構成される。警告情報としては、メッセージ等の画像情報の他、音声情報や警告灯の点灯又は点滅が挙げられる。
表示処理部28は、差分画像作成部24において生成された差分画像データや画像データ記憶部18に保存されたX線画像データ等の所望のX線画像データに対して表示のための必要な画像処理を施して表示装置6に出力する機能を有する。表示用の画像処理としては、階調処理や空間フィルタ処理等の表示処理が挙げられる。また、表示対象となるX線画像データについては、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて表示処理部28に指示することができる。
尚、差分画像データの生成用に収集されるライブ画像データ及びマスク画像データは、特定の心拍数で心臓が拍動している頻脈状態の期間にのみ収集できれば十分である。従って、特定の心拍数で心臓が拍動している頻脈状態の期間にのみ被検体OにX線が照射されるように撮影系2を制御することが被検体Oの被曝低減に繋がる。そこで、制御系3は、心拍数判定部20から特定の心拍数で心臓が拍動しているか否かの判定結果を取得し、特定の心拍数で心臓が拍動している期間にのみ被検体OにX線が照射されるように撮影系2を制御できるように構成される。
以上のような構成を有する医用画像処理装置15では、少なくとも画像取得部17、心拍数判定部20、呼吸情報取得部21及びマスク画像決定部23が、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、かつ呼吸位相が互いに対応する被検体Oの第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する画像取得手段として機能する。また、少なくとも差分画像作成部24が第1のX線画像データ及び第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する差分画像生成手段として機能する。
従って、医用画像処理装置15をコンピュータで構成する場合には、コンピュータを、画像取得手段及び差分画像生成手段として機能させる医用画像処理プログラムがコンピュータにインストールされる。
更に、画像取得手段が撮影系2及び制御系3と協働することにより、X線撮影装置1には、特定の心拍数で心臓が拍動している期間において、呼吸位相が互いに対応する被検体Oの第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する画像収集手段としての機能が備えられる。
また、少なくとも位置ずれ検出画像決定部26及び位置ずれ検出部27によって、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する複数フレームのX線画像データから複数フレームのX線画像データ間におけるデバイスの位置ずれが検出された場合に警告情報を出力装置に出力させる位置ずれ検出手段としての機能が医用画像処理装置15及びX線撮影装置1に備えられる。
尚、画像取得手段を、呼吸1周期分の複数フレームの第1のX線画像データを取得する一方、呼吸2周期分以上の複数フレームの第2のX線画像データを取得するように構成し、差分画像生成手段を、呼吸1周期分の複数フレームの第1のX線画像データを繰返し差分処理に用いるように構成することができる。
また、画像取得手段を、X線造影画像データ及びX線非造影画像データを第1のX線画像データ及び第2のX線画像データとして取得するように構成し、差分画像生成手段を、差分画像データとしてロードマップ画像データ又はDSA画像データを生成するように構成することができる。
更に、X線撮影装置1の画像収集手段を、特定の心拍数で心臓が拍動している期間にのみ被検体OにX線を照射するように構成することができる。
但し、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1に上述した機能と同様な機能が備えられれば、他の構成要素によって医用画像処理装置15及びX線撮影装置1を構成することができる。
次に医用画像処理装置15及びX線撮影装置1の動作および作用について説明する。
まず、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1によりロードマップ画像を生成して表示させる場合を例に説明する。
図5は、図1に示す医用画像処理装置15及びX線撮影装置1によりロードマップ画像データを生成する際の流れを示すタイムチャートである。
図5に示すように、ロードマップ画像データを収集する場合には、予め造影剤を注入してマスク画像データを収集した後に、非造影でライブ画像データが収集される。
具体的には、時刻t0から時刻t1までの間の所定の期間にペーシング用カテーテルを用いて人工的に心臓の心拍数が特定の心拍数となる頻脈状態が作り出される。更に、心臓の心拍数が特定の心拍数となる頻脈状態の期間内において造影剤が注入される。そして、造影剤の注入期間内において少なくとも呼吸1周期分のX線造影画像データがマスク画像データとして収集される。
次に、時刻t1から時刻t2までの間の所定の期間にペーシング用カテーテルを用いて人工的に心臓の心拍数が特定の心拍数となる頻脈状態が作り出される。更に、心臓の心拍数が特定の心拍数となる頻脈状態の期間内において非造影でライブ画像データが順次収集される。
ライブ画像データが収集されると、呼吸位相が同じとみなせるマスク画像データがフレーム毎に選択される。すなわち、マスク画像データの呼吸同期処理が実行される。そして、呼吸位相が対応するマスク画像データからライブ画像データを減算する差分処理がフレーム毎に順次実行される。すなわち、呼吸位相の同期を伴う差分処理が実行される。これにより各呼吸位相に対応する複数フレームのロードマップ画像データが順次生成される。
そして、同様なライブ画像データの収集、呼吸位相が対応するマスク画像データの選択及び差分処理によるロードマップ画像データの生成は、複数の呼吸周期に亘って実行することができる。これにより、複数の呼吸周期に亘るロードマップ画像データの生成及び表示が可能となる。
図6は、図5に示すマスク画像データの収集及び保存のための判定処理を含む流れの一例を示すフローチャートである。
まずステップS1において、寝台10の天板に被検体Oがセットされ、被検体OのX線撮影が実行される。具体的には、制御系3の撮影位置制御装置3Bから撮像条件に応じた制御信号が出力され、駆動機構9が駆動する。これにより、X線照射部7及びX線検出器8が所定の位置に位置決めされる。一方、制御系3の高電圧発生装置3AからX線照射部7のX線管に高電圧が印加される。これにより、X線管から被検体Oの撮像部位にX線が曝射される。そして、被検体Oを透過したX線がX線検出器8で検出される。
次にX線検出器8からX線検出信号がA/D変換器14を介して医用画像処理装置15に出力される。これにより、画像生成部16において、デジタル化されたX線検出データが取得される。そして、画像生成部16は、X線検出データに対する公知のデータ処理を行うことによってX線画像データを生成する。
画像生成部16において生成されたX線画像データは、画像取得部17に与えられる。そして、画像取得部17は取得したX線画像データを画像データ記憶部18に書き込んで保存する。
次に、ステップS2において、造影判定部19は、造影剤の注入中であるか否かを示す造影剤情報をシステム制御部3Cから取得することによって、造影剤の注入中であるか否かを判定する。この判定は、X線画像データが収集される度にフレームごとに順次実行される。
ロードマップ画像データ用のマスク画像データを撮影する場合には、事前に心臓のラピッドペーシングが掛けられた状態で造影剤注入装置13から被検体Oに造影剤が注入される。このため、収集されたX線画像データがマスク画像データであれば、造影判定部19によりX線画像データが造影中に収集されたと判定される。
この場合には、ステップS3において、心拍数判定部20が、X線画像データが頻脈状態に相当する特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集されたか否かを心電計12から取得した心拍数に基づいて判定する。X線画像データがマスク画像データであれば、心臓のラピッドペーシング中に収集されているため、特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集されたと判定される。
この場合には、ステップS4において、マスク画像記憶部22が呼吸1周期分のX線画像データの取得が完了しているか否かを判定する。そして、呼吸1周期分のX線画像データの取得が完了していないと判定された場合には、ステップS5において、マスク画像記憶部22が造影中かつ特定の心拍数の時に収集されたX線画像データをマスク画像データとして保存する。
一方、収集されたX線画像データがマスク画像データでなければ、造影中及び特定の心拍数の期間に収集されたと判定されない。このため、ステップS6において、非マスク画像データとして画像データ記憶部18に保存される。また、呼吸1周期分のX線画像データの取得が完了している場合においても、ステップS6において、非マスク画像データとして画像データ記憶部18に保存される。
マスク画像データ又は非マスク画像データとして保存されたX線画像データを表示させる場合には、ステップS7において、表示処理部28がX線画像データを取得して表示のために必要な階調処理や空間フィルタ処理等の画像処理を施す。そして、ステップS8において、表示処理部28は画像処理後のX線画像データを表示装置6に出力する。これにより表示装置6には、マスク画像データ又は非マスク画像データとして保存されたX線画像データが表示される。
このような判定処理をX線画像データのフレーム毎に順次実行すると、結果としてマスク画像記憶部22には、造影中かつ特定の心拍数の期間に収集された呼吸1周期分のX線画像データがマスク画像データとして保存される。
図7は、図5に示すロードマップ画像データの収集及び表示のためのデータ処理を含む流れの一例を示すフローチャートである。尚、図6に示すフローチャートのステップと同様なステップには同符号を付して説明を省略する。
ロードマップ画像データの収集時には、心臓のラピッドペーシング中に非造影でライブ画像データが収集される。具体的には、ステップS1においてX線撮影が実行される。この結果、X線画像データが画像データ記憶部18に保存される。
次に、ステップS3において、心拍数判定部20は、X線画像データが特定の心拍数の期間に収集されたか否かを判定する。X線画像データがロードマップ画像データ用であれば、心臓のラピッドペーシング中に収集されるため、X線画像データが特定の心拍数の期間に収集されたと判定される。
そして、ステップS10において、収集されたX線画像データが差分処理用のX線画像データとして画像データ記憶部18に保存される。
次に、ステップS11において、マスク画像決定部23は、心拍数判定部20から取得した判定結果及び造影判定部19における判定結果に基づいて、収集されたX線画像データが特定の心拍数の期間に非造影で収集された差分処理用のライブ画像データであると判定する。続いて、マスク画像決定部23は、呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、収集された差分処理用のライブ画像データの呼吸位相を認識する。
このため、マスク画像決定部23は、差分処理用のライブ画像データの呼吸位相に対応するマスク画像データをマスク画像記憶部22から取得する。そして、取得したマスク画像データを差分処理用のマスク画像データとして決定する。
ステップS12において、差分画像作成部24は、ライブ画像データとマスク画像決定部23において選択されたマスク画像データとの差分処理を実行する。この結果、ロードマップ画像データが生成される。
一方、ライブ画像データが特定の心拍数の期間に収集されなかったと判定された場合には、差分処理用ではないライブ画像データとして画像データ記憶部18に保存される。
ロードマップ画像データ又は差分処理用ではないライブ画像データを表示させる場合には、ステップS7において、表示処理部28により必要な画像処理が実行される。そして、ステップS8において、画像処理後のロードマップ画像データ又は差分処理用ではないライブ画像データが表示装置6に表示される。
このような判定処理を含むデータ処理をライブ画像データのフレーム毎に順次実行すると、ロードマップ画像を順次表示装置6に表示させることができる。
次に、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1によりDSA画像を生成して表示させる場合について説明する。
図8は、図1に示す医用画像処理装置15及びX線撮影装置1によりDSA画像データを生成する際の流れを示すタイムチャートである。
図8に示すように、DSA画像データを収集する場合には、予め非造影でマスク画像データを収集した後に、造影剤を注入してライブ画像データが収集される。このため、ロードマップ画像データを生成及び表示させる場合と同様な流れでDSA画像データを生成及び表示させることができる。
すなわち、特定の心拍数の期間において呼吸1周期分のマスク画像データを非造影で予め収集した後、特定の心拍数の期間かつ造影中において任意の呼吸周期分のライブ画像データを収集することができる。そして、呼吸同期を伴うマスク画像データとライブ画像データとの差分処理によってDSA画像データを順次生成及び表示させることができる。
医用画像処理装置15及びX線撮影装置1では、このようなロードマップ画像やDSA画像等の差分画像の表示に加え、デバイスの位置ずれを検出することができる。位置ずれの検出は、差分画像の生成及び表示と並行して行うことができる。
具体例として、TAVRでは、ロードマップ画像等のX線画像を参照しながら人工弁の位置決めを行った後、人工弁を拡張するまでの間に時間を設ける場合がある。この場合、ラピッドペーシングやX線の照射が中断される場合もある。このような人工弁の位置決め時と拡張時との間において人工弁の位置が移動すると、手技の障害となる。そこで、人工弁等のデバイスの位置ずれ検出用のX線画像データを収集し、位置ずれ検出用のX線画像データを用いたデバイスの位置ずれ検出を行うことが可能である。
図9は、図1に示す医用画像処理装置15及びX線撮影装置1においてデバイスの位置ずれ検出を行う場合における流れを示すタイムチャートである。
図9に示すように、人工弁の位置決め後等の時刻t1から時刻t1'までの所定の期間にラピッドペーシングを行い、特定の心拍数の期間を設けることができる。更に、特定の心拍数の期間において、少なくとも呼吸1周期分のライブ画像データを位置ずれ検出用の基準画像データとして収集することができる。位置ずれ検出用の基準画像データは、位置ずれの検出対象となるX線画像データの種類に応じてX線造影画像データ又はX線非造影画像データとすることができる。
例えば、ロードマップ画像データを収集する場合には、X線非造影画像データを位置ずれ検出用の基準画像データとして収集することができる。一方、DSA画像データを収集する場合には、X線造影画像データを位置ずれ検出用の基準画像データとして収集することができる。
位置ずれ検出用の基準画像データの収集が完了すると、デバイスの確認用に引続きラピッドペーシングを掛けてライブ画像データを収集することができる。具体的には、時刻t1'から時刻t2までの所定の期間にラピッドペーシングを行い、特定の心拍数の期間を設けることができる。更に、特定の心拍数の期間において、呼吸任意周期分のライブ画像データをデバイスの位置ずれの検出対象の画像データとして収集することができる。
次に、デバイスの位置ずれの検出対象となるX線画像データと呼吸位相が対応する基準画像データが選択される。すなわち、基準画像データの呼吸同期処理が実行される。そして、デバイスの位置ずれの検出対象となるX線画像データと基準画像データの双方から拡張前における人工弁等のデバイスの位置又は位置に応じた指標が任意の方法で検出される。デバイスの位置に応じた指標としては、デバイス領域のサイズや信号量等が挙げられる。
次に、検出されたデバイスの位置又は位置に応じた指標が、デバイスの位置ずれの検出対象となるX線画像データと基準画像データとの間において比較される。そして、デバイス位置間における距離又は指標間の差が閾値以上又は閾値を超えると判定される場合には、デバイスに位置ずれが生じたと認識される。そして、デバイスの位置ずれが検出された場合には、警告情報が出力される。
図10は、図9に示す位置ずれ検出用の基準画像データの収集のための判定処理を含む流れの一例を示すフローチャートである。尚、図7に示すフローチャートのステップと同様なステップには同符号を付して説明を省略する。
図10は、ロードマップ画像データの生成用に特定の心拍数の期間に収集される呼吸1周期分のライブ画像データをデバイスの位置ずれ検出用の基準画像データとして保存する場合の例を示している。従って、ステップS3において特定の心拍数の期間であるか否かが判定される。
そして、特定の心拍数の期間であると判定された場合には、ステップS20において位置ずれ検出画像記憶部25がデバイスの位置ずれ検出を実行するか否かを判定する。この判定は、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて位置ずれ検出の実行指示が位置ずれ検出画像記憶部25に与えられたか否かに基づいて行うことができる。
そして、位置ずれ検出を実行すると判定された場合には、ステップS21において位置ずれ検出画像記憶部25が、収集されたライブ画像データを画像データ記憶部18から取得し、デバイスの位置ずれ検出用の基準画像データとして保存する。
尚、ライブ画像データの収集が呼吸1周期の期間よりも長く実行される場合には、図6に示すマスク画像データの保存の場合と同様に、図6のステップS4に示すような呼吸1周期分の基準画像データが保存されたか否かを判定するステップを設けることができる。
このような判定処理を、撮影されたライブ画像データのフレーム毎に行うと、特定の心拍数の期間に収集された呼吸1周期分のライブ画像データをデバイスの位置ずれ検出用の基準画像データとして位置ずれ検出画像記憶部25に保存することができる。尚、実際には、画像データ記憶部18に保存されたライブ画像データに、デバイスの位置ずれ検出用の基準画像データであることを示す識別情報を付加するようにしてもよい。
また、基準画像データとして保存されたか否かを問わず、特定の心拍数の期間に収集されたライブ画像データを差分処理用の画像データとして順次ロードマップ画像データを生成することができる。
図11は、図9に示すデバイスの位置ずれ検出処理の流れを示すフローチャートである。尚、図10に示すフローチャートのステップと同様なステップには同符号を付して説明を省略する。
図11は、図10に示すフローで保存された基準画像データを用いてデバイスの位置ずれ検出を行う場合の例を示している。位置ずれ検出を行う場合においても、ステップS3において特定の心拍数の期間であるか否かが判定される。
そして、特定の心拍数の期間であると判定された場合には、ステップS20において位置ずれ検出画像決定部26がデバイスの位置ずれ検出を実行するか否かを判定する。この判定は、入力装置5から又は入力装置5からシステム制御部3Cを通じて位置ずれ検出の実行指示が位置ずれ検出画像決定部26に与えられたか否かに基づいて行うことができる。
そして、位置ずれ検出を実行すると判定された場合には、ステップS30において位置ずれ検出画像決定部26が呼吸情報取得部21において求められた呼吸情報に基づいて、ステップS1のX線撮影において収集されたライブ画像データの呼吸位相を認識する。次に、位置ずれ検出画像決定部26は、位置ずれ検出画像記憶部25からライブ画像データの呼吸位相に対応する基準画像データを取得し、デバイスの位置ずれ検出処理に用いる基準画像データとして決定する。
次にステップS31において、位置ずれ検出部27は、画像データ記憶部18から取得したデバイスの位置ずれの検出対象となるライブ画像データ及び位置ずれ検出画像決定部26において決定された位置ずれ検出用の基準画像データの双方からデバイスの位置又は位置に応じた指標を検出する。続いて、位置ずれ検出部27は、検出したデバイスの位置又は位置に応じた指標をライブ画像データと基準画像データとの間で比較する。
次にステップS32において、位置ずれ検出部27は、デバイスの位置又は位置に応じた指標の差又は比に対する閾値処理によってデバイスの位置ずれ量が一定の値以上であるか否かを判定する。
そして、デバイスの位置ずれ量が一定値以上であると判定された場合には、ステップS33において位置ずれ検出部27はデバイスの位置ずれが検出されたことを示すメッセージ、音声、光情報等の任意の警告情報を表示装置6又はその他の出力装置に出力させる。これにより、位置決め後かつ拡張前における人工弁等の移動が望ましくないデバイスが万一移動した場合であっても、容易にデバイスの移動を知ることができる。
また、特定の心拍数の期間に収集されたライブ画像データを差分処理用の画像データとし、順次ロードマップ画像データを生成及び表示させることができる。
つまり以上のような医用画像処理装置15及びX線撮影装置1は、特定の心拍数の期間に収集された画像データのみの呼吸同期を伴う差分処理によって差分画像データを生成するようにしたものである。
このため、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1によれば、心臓のように互いに異なる周期で呼吸と心拍とがともに影響する部位であっても、良好な画質で差分画像を生成することができる。
すなわち、心臓の動きの影響によるマスク画像データのライブ画像データに対する位置ずれは、撮影中にラピッドペーシングを実行して心臓を頻脈状態とすることによって抑制することができる。特に、より高い心拍数の期間において画像データを収集することが位置ずれの低減に繋がる。一方、呼吸の影響による血管等のマスク画像データのライブ画像データに対する位置ずれは、呼吸同期によって抑制することができる。
換言すれば、差分処理に先立って心位相を合わせるECG同期を行わないため、心拍と呼吸の周期の相異に起因する画像データ間の位置ずれを回避することができる。そして、より位置ずれの少ない画像データ間の差分処理によって差分画像を生成することができる。このため、TAVRにおける人工弁の位置決め作業等の手技を有効に支援することができる。
また、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1では、特定の心拍数の期間においてのみX線画像を収集すれば十分であるため、特定の心拍数の期間にのみX線を照射することにとって患者および術者の被曝を低減することができる。更に、造影剤の注入量も低減させることが可能となる。
更に、医用画像処理装置15及びX線撮影装置1では、デバイスの位置ずれを検出することができる。このため、位置決め後かつ拡張前の人工弁等の移動が望ましくないデバイスが一定の期間留置される場合であっても、デバイスの移動を容易に検出することができる。そして、被検体Oの心拍や呼吸等の動きによる臓器や器官の位置ずれのみならずデバイスの位置ずれによる手技への悪影響も抑制することができる。
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
1 X線撮影装置
2 撮影系
3 制御系
3A 高電圧発生装置
3B 撮影位置制御装置
3C システム制御部
4 データ処理系
5 入力装置
6 表示装置
7 X線照射部
8 X線検出器
9 駆動機構
10 寝台
11 呼吸センサ
12 心電計
13 造影剤注入装置
14 A/D変換器
15 医用画像処理装置(コンピュータ)
16 画像生成部
17 画像取得部
18 画像データ記憶部
19 造影判定部
20 心拍数判定部
21 呼吸情報取得部
22 マスク画像記憶部
23 マスク画像決定部
24 差分画像作成部
25 位置ずれ検出画像記憶部
26 位置ずれ検出画像決定部
27 位置ずれ検出部
28 表示処理部
O 被検体
2 撮影系
3 制御系
3A 高電圧発生装置
3B 撮影位置制御装置
3C システム制御部
4 データ処理系
5 入力装置
6 表示装置
7 X線照射部
8 X線検出器
9 駆動機構
10 寝台
11 呼吸センサ
12 心電計
13 造影剤注入装置
14 A/D変換器
15 医用画像処理装置(コンピュータ)
16 画像生成部
17 画像取得部
18 画像データ記憶部
19 造影判定部
20 心拍数判定部
21 呼吸情報取得部
22 マスク画像記憶部
23 マスク画像決定部
24 差分画像作成部
25 位置ずれ検出画像記憶部
26 位置ずれ検出画像決定部
27 位置ずれ検出部
28 表示処理部
O 被検体
Claims (7)
- 特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する画像取得手段と、
前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する差分画像生成手段と、
を備える医用画像処理装置。 - 前記画像取得手段は、呼吸1周期分の複数フレームの第1のX線画像データを取得する一方、呼吸2周期分以上の複数フレームの第2のX線画像データを取得するように構成され、
前記差分画像生成手段は、前記呼吸1周期分の複数フレームの第1のX線画像データを繰返し前記差分処理に用いるように構成される請求項1記載の医用画像処理装置。 - 前記特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する複数フレームのX線画像データから前記複数フレームのX線画像データ間におけるデバイスの位置ずれが検出された場合に警告情報を出力装置に出力させる位置ずれ検出手段を更に備える請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
- 前記画像取得手段は、X線造影画像データ及びX線非造影画像データを前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データとして取得するように構成され、
前記差分画像生成手段は、前記差分画像データとしてロードマップ画像データ又はDSA画像データを生成するように構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。 - 特定の心拍数で心臓が拍動している期間において、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する画像収集手段と、
前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する差分画像生成手段と、
を備えるX線撮影装置。 - 前記画像収集手段は、前記特定の心拍数で心臓が拍動している期間にのみ前記被検体にX線を照射するように構成される請求項5記載のX線撮影装置。
- コンピュータを、
特定の心拍数で心臓が拍動している期間に収集され、呼吸位相が互いに対応する被検体の第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを取得する画像取得手段、及び
前記第1のX線画像データ及び前記第2のX線画像データの差分処理によって差分画像データを生成する差分画像生成手段、
として機能させる医用画像処理プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012171594A JP2014030506A (ja) | 2012-08-02 | 2012-08-02 | 医用画像処理装置、x線撮影装置及び医用画像処理プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2014030506A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2012
- 2012-08-02 JP JP2012171594A patent/JP2014030506A/ja active Pending
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