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JP2014023488A - 二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム - Google Patents

二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム Download PDF

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Abstract

【課題】単位面積当たりの収穫量を飛躍的に増大させて安価かつ安定して市場に供給することができるばかりでなく、化学薬品系、微生物処理系、物理濾過系の浄化システムの持つ生態系汚染物質の拡散という公害を防止することができる二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムを提供する。
【解決手段】二枚貝等の底棲生物の育成床となる複数の皿状容器2を鉛直方向に階層し、階層育成床2を鉛直方向に貫通する中央空洞4及びこの空洞と通ずる各育成床間に水平方向の間隙Dを画成した養殖装置1を富栄養化汚濁水域中に浸漬し、底棲生物を生きた活動状態にせしめ、その濾過食性状によって当該汚濁水中の粒状有機物を除去して水質及び底質を浄化する
【選択図】図1

Description

本発明は、二枚貝類の養殖システムに関し、とくに、アサリやハマグリ、シジミのように潮流にさらされる環境で生息している二枚貝類を養殖し、なお且つその濾過性状を利用して河川や湖沼における富栄養化水域の水質及び底質を浄化するシステムに関するものである。
アサリ、ハマグリ、シジミ等に代表される二枚貝類は、わが国の代表的な大衆魚介類であり、庶民が安価に取れる水産タンパク源である。しかし今日、海域の水質汚染、沿岸の護岸工事等による砂浜と干潟の減少等により、資源量及び漁獲量は激減している。現在、二枚貝類の資源量及び漁獲量を確保するため、各地で養殖が行われているが、その養殖方法の多くは、稚貝を海浜に人為的に撒いて自然環境の中で育成させるものである。しかし、このような従来の養殖方法は、海域の環境変化に影響され、生産コストも決して安価ではなく、かつ安定した量を市場に供給できない。
従来の貝類養殖装置として提案されている技術を大きく分類すると、海中養殖と陸上養殖とに分けられる。海中での養殖装置は稚貝を付着させる板等を網で囲んで海中に下ろして育成させるため、自然な生息状態に比較的近い環境を整え易いというメリットがある(特許文献1及び特許文献2参照。)。しかし、二枚貝類は売価が安いということもあり、生産コストが課題となって養殖魚介類としては低位に留まっている。とくに、陸上養殖に至ってはコスト面が課題となってほとんど実施されていないのが現状である。
例えば、特許文献3には、陸上におけるアワビの養殖施設が記載されている。このアワビの養殖施設は、アワビの飼育水槽を多段に設置し、この飼育水槽に海水を供給する給水管とオーバーフロー管を備え、さらに飼育水槽に給気管及び給餌場が付設されている。そして、ポンプで給水管に海水を流入させると共に、オーバーフロー管を下げることによって海水を下段の水槽へ流し、海水の流動を促進させる。また、給気管にはブロアーで空気を吸入し、圧縮空気を泡状に噴出させる。これにより溶存酸素の補給を行うようになっている。
一方、二枚貝類の環境に及ぼす作用をみると、二枚貝の摂餌方法は、海水中に浮遊懸濁している微細な植物プランクトンやそれらの破片であるデトライタスをエラによって濾過し、その濾過能力をみると、殻長3cm程度のアサリで一日当たり海水約3リットルを濾過しており、富栄養化物質を除去する海域浄化に貢献している。
つまり、アサリ貝、シジミ貝に代表される二枚貝類は、濾過食と呼ばれ、呼吸のためにエラを通過する水中に含まれる粒状有機物(植物プランクトンやデトライタス「生物砕片」)をエラの間隙で濾過補足した後に口に運んで摂食する濾過食者(フィルターフィーダー)である。
そして、水中に含まれる粒状有機物や粒状鉱物質(シルト、粘土)は、水中を透過する太陽光を阻害して濁度を増加する濁水の主要因物質である。したがって、懸濁物質が浮遊する汚水中にアサリ貝、シジミ貝等の二枚貝を配置すれば、粒状浮遊懸濁物質を濾過摂食するために、水中の粒状浮遊懸濁物質は減少して、水は光の透過性が増して清浄性が向上する。加えて二枚貝は飼料を得られるために生育することになる。
この二枚貝類による水の浄化能力は、近年は広く知られるようになっており、その濾過食性状を利用した水質浄化技術が種々提案されている。例えば、赤潮の原因となるプランクトンの生棲する海洋又は湖沼中に高速水噴流を噴出して、この水噴流に生じるキャビテーションの作用でプランクトンを分解する水質浄化装置が提案されている(特許文献4参照。)。また、勳炭や竹炭等のバイオマス材に植物プランクトンを吸着させて赤潮の解消を図るもの(特許文献5参照。)。水中のプランクトンを摂食する二枚貝やフジツボ等の顎脚類等の底生動物または好気性微生物を利用して水域の浄化を図る装置が提案されている(特許文献6参照。)。同様に貝の摂食を利用したものとして、例えば、特許文献7には、廃タイヤ等の環状体の周囲に発泡浮力体を一体として浮遊体を形成し、この浮遊体の中央開口部に籠状メッシュ材を浮遊体下部に垂下するように取り付け、その内部にシジミ貝を収容して富栄養化の進んだ汽水域や淡水域に配置し、シジミ貝の濾過食性により水質浄化も図ることができる水産資源飼育システムが、さらに、特許文献8には、特許文献7に記載されたシステムに、流水発生手段と浮遊体の中央部開口部に円筒管を配して貫通穴を付加した提案されている。閉鎖性湖水に養殖棚浮上したシジミの養殖法が提案されている(特許文献9参照。)。
特許第3913669号公報 特許第3979746号公報 特許第3493357号公報 特許第3667541号公報 特開2006−43671号公報 特許第3493357号公報 特開2008−263787号公報 特開2009−273440号公報 特開2010−259421号公報
このように、濁水中に二枚貝を配置することで、水の浄化は進むことになるが、これらアサリ貝、シジミ貝等の二枚貝は、自然状態では底質砂中に潜砂して、水管により水底直上の水しか浄化しないことになる。加えてこれら二枚貝より排出される糞や偽糞と呼ばれる有機物の凝集体は、水底中に排出されて、底質有機物汚染を増大させる可能性も同時に持っている。
本発明もまた、上記従来技術の課題に鑑み、単位面積当たりの収穫量を飛躍的に増大させて安価かつ安定して市場に供給することができるばかりでなく、化学薬品系、微生物処理系、物理濾過系の浄化システムの持つ生態系汚染物質の拡散という公害を防止することができる二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、二枚貝等の底棲生物の育成床となる複数の皿状容器を鉛直方向に階層し、当該階層育成床を鉛直方向に貫通する中央空洞及びこの空洞と通ずる各育成床間に水平方向の間隙を画成した養殖装置を富栄養化汚濁水域中に浸漬し、前記底棲生物を生きた活動状態にせしめ、その濾過食性状によって当該汚濁水中の粒状有機物を除去して水質及び底質を浄化することを特徴とする。
請求項2に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、皿状容器を分割可能に構成したことを特徴とする。
請求項3に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、装置内外へ水を流動するべく、気泡発生器若しくは水流発生器を備えたことを特徴とする。
請求項4に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、給排水管及び弁を備え、当該水域の水位及び給排水量を調整可能にしたことを特徴とする。
請求項5に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、中央部空洞上端に流出方向変更フィンを設けたことを特徴とする。
請求項6に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、階層育成床を網体で包囲したことを特徴とする。
請求項7に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムは、階層育成床の下部に不浸透シートをスカート様に垂らして取り付け、不浸透シートにより形成された筒状水域内に上昇流が発生し、下層域の水が表層に対流するようにしたことを特徴とする。
従来の海浜を利用した養殖方法が、いわば「平屋建ての住宅」であるのに対し、本装置は「高層の集合住宅」といえ、生産効率を飛躍的に高めるものである。さらに、生産効率を高めるため、階層した育成床を鉛直方向に貫通する中心空洞及びこの空洞と通ずる各育成床間に水平方向の間隙を設け、装置内の水の流動を促進させる。さらに、本装置内外へ水がより流動するよう、気泡発生器若しくは水流発生器を設置する。さらに、人為的に育成環境を制御するため、給水管及び弁を水域中に納め、水域の水位及び給排水量を調整する。これにより、水槽や配置された水域内の汚濁物や餌量の調整を可能とし、より生産効率を高めることができる。
本装置を汚濁水域水面下に設置する場合、水中及び水底上に設置可能であり、水中に鉛直方向及び平面方向の3次元的に多数個の二枚貝を配置できる。つまり、育成床の重層設置が可能となっている。加えて、水底上に設置した場合、二枚貝から排出される糞や偽糞を水底に落下、堆積させずに中央部導水管を通してブロアーにより供給される空気泡の上昇力を利用して水底への有機物の堆積、蓄積の防止にも寄与する。つまり、本装置に二枚貝等の底棲生物を多数収容して生きた活動状態にせしめて育成することで、汚濁水域の水質のみならず底質の浄化機能も発揮する。
本発明に係る養殖装置の一実施例を示すスケルトン斜視図である。 本発明に係る養殖装置の他の実施例を示すスケルトン斜視図である。 本発明に係る養殖装置の他の実施例を示すスケルトン斜視図である。 育成皿(育成床)を示す斜視図である。 本発明に係る閉水状態を示す養殖装置の縦断面図である。 多段式育成皿の一実施例を示す斜視図である。 外部水槽を使用しない育成装置単独での水の流動を示す縦断面図である。 給水管上部から給水した場合の水の流動を示す断面図である。 多段式育装置に流水方向変更フィンを取り付けた状態を示す斜視図である。 流水方向変更フィン取り付けた養殖装置単独での水の流動を示す縦断面図である。 (a)は複数の養殖装置を水底に直接設置した状態を示す縦断面図、(b)は複数の養殖装置をヘドロ層上の架台に設置した状態を示す断面図である。 多段式育装置に網体を捲巻した状態を示す斜視図である。 本発明装置を設置した浮遊式養殖生簀の模式図である。 本発明に係る二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムの浮遊式養殖プラントの模式図である。 浮遊式養殖プラントにスカートを取り付けた状態を示す模式図である。 育成床における二枚貝類の生息状態を一例を示す要部断面図である。
本発明に係る養殖装置1の基本構造は、図1及び図2に示すように、円形の育成皿2を多段に複数枚積層して、積層された育成皿2の中央部は水槽3内で底部から上部まで円管状の中央空洞4が形成される構造となっている。
ここで、育成皿2は、円周方向に扇状に分割された4つの貝収容部2aを組み合わせて構成されており、貝収容部2aの底面にはパンチングメタルあるいはメッシュフィルター等の網体2bが張設されている。そして、育成皿2を鉛直方向に積層することで、育成皿2の弧状凹所2cが階層して中心軸線上に円管状の中央空洞4が画成されるようになっている。このように育成皿2を分割して構成することで観察や収穫を容易に行うことができる。
二枚貝Sが潜砂した状態の育成皿2の断面を図16に示す。二枚貝Sの本体は潜砂した砂6中にあるが、呼吸のため溶存酸素の取り込みと餌である海中の懸濁態有機物の取り込みは、入水管Sa及び出水管Sbを砂6上に露出して砂面直上の海水Wから吸水、濾過摂食する。したがって、これら二枚貝Sが生息するための重要な条件は、砂面直上の育成環境をいかに良好にするかということである。例えば、アサリは砂面直上数センチ程度の幅の海水しか吸水することができない。それより上層にどれだけ良い海水があろうが、餌があろうが関係ない。
図2に示す装置は、この円管状の中心空洞4内に円筒管5を差し入れ係合させた構造となっている。円筒管5の表面任意箇所には、育成皿2の接触面の弧凹所2cの係合ディンプル2dに雌雄嵌合する突起5aが形成されている。
図3に示す養殖装置1は中央空洞4を錐形板2eの積層によって区画形成する構成となっている。このように、中心空洞4の形状は上述のような円管形に限定されるものではなく、例えば矩形管形でも楕円管形でも構わない。また、各実施例装置の底部は空間ができるように上げ底構造となっているが、使用状況によっては底面を基端としても構わない。
本実施例に係る育成皿2は、図1に示すように扇状に分割されているが、円形の一体構造としてもよく、使用時、作製時の状況に応じて適宜変更が可能であり、その機能が発揮できる構造体であれば、その形状は限定されない。また、上述したように、貝収容部2aの底部は、穴開きパンチング構造、あるいはメッシュフィルター構造となっており、育成に使用される海水、淡水が通過できる構造となっているが、使用状況によっては底板を水が浸透しない構造としても構わない。
本発明装置の最大の特徴は、育成皿2を多段に階層したときに積層体の中心軸上に煙突様の中心空洞4が画成されることにあり、育成皿2の外周縁は、重ね合わせたときに隙間Dができる構造とされている点にある。尚、本実施例では、育成皿2の外形を円形で説明しているが、その機能、作用が維持されるなら、楕円でも矩形でもよい。
また、本実施例では、アサリ、ハマグリ等の底棲二枚貝を養殖する場合について説明しているが、育成する底棲生物はこれらに限定されず、牡蠣、シジミ貝等の淡水で成長する貝類についても適用できる。また、エビ等の甲殻類やナマコ類やゴカイ等の底棲生物についても適用できる。
各段の育成皿2には、図4に示すように、対象貝類Sに適した多孔質培土として知られるボラ土等の育成培地6を皿の上部まで敷き詰め、そこにアサリ、ハマグリ等の育成対象貝類Sを載置する。アサリ、ハマグリは装置稼動後に自ら潜土して生きたまま安定生息状態となる。
本発明に係る養殖装置1は、育成皿2を水槽3内に多段に組上げた後に注水する。つまり、本養殖装置1は砂浜海岸を階層した構造となり、装置の設置面積に対する養殖培地6の面積を飛躍的に引き上げている。尚、養殖装置1内で貝類を育成するためには、海水を流動させる必要があり、海水を流動させるためには、下記に詳述する方法が採用されるが、利用状況に合わせて選択、またこれらを合成した手法を用いても構わない。
ここで、微小気泡による曝気、すなわちエアレーションによる上昇流と水槽3の下部からの給水による水槽内の水流の動きを説明する。図5に示すように、水槽3内にある海水W及び給水された海水Wは、気泡の上昇力と給水された水圧で中心部空洞4内を上昇するが、その際に各段の育成皿2の中心開口部から流動する海水Wの連行作用によって、各育成皿2の段間の間隙Dに存在する海水Wが空洞4に吸い込まれていく。空洞4に吸い込まれた海水Wは、空洞4内を他の間隙Dから吸水された海水Wと共に水槽3の上部まで到達した後に当然排出されるが、その他の海水Wは育成皿2と水槽3の壁面間の間隙Dから各階層の間隙Dに戻り循環流を形成する。また、育成皿2に敷き詰めた砂等の養殖培地6の空隙を浸透濾過して下段の間隙Dに流動する。これにより、酸素を十分含んだ水流を効率的に供給でき、呼吸がし易く潮通しのよい生息環境を提供することができる。
次に、上述した二枚貝の多段式育成装置を、水質及び底質の浄化装置或いは浄化プラントを兼用した育成装置として使用する場合について説明する。つまり、本発明装置を汚濁水域に設置することで、従来の化学薬品系、微生物処理系、物理濾過系の浄化システムの欠点である生態系汚染物質の拡散や維持コストの高額性を排除し、自然やそこで遊ぶ子供達に最も優しい環境保全型の浄化プラントを提供することができる。また、例えば、河川改修による生息環境の変化や食用として持ち込まれたタイワンシジミの繁殖等により本邦固有の在来種であるマシジミが激減しているという問題があり、このマシジミ再生等にも貢献できる。
以下、本発明に係る養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システムについて説明するが、便宜上、実施例1と同様の構成要素には同一の参照符号を付して説明する。
本システムで使用する装置1は、図6及び図7に示すように、円柱を輪切りにした形状の育成皿2を複数床積層したものであり、その中央部に設置水域の底部から上部水面付近まで空洞4が形成され、その空洞4内に上下方向に配されたエアホース8と、その下端に接続されたエアストーン(曝気装置)7とを備えた構造となっている。ここで、育成皿2の空洞4部分にはエアストーン7のエアレーションよる各育成皿2への通気路としての凹所2dが形成されている。すなわち、実施例1に示す育成装置1から水槽3を省いた構成が大凡の形態とされている。
[水質、底質浄化の併用効果を促進する原理の説明]
尚、本育成装置1は、各段育成皿2内に砂等の培地を収容することなく、二枚貝のみを収容するだけでも十分に育成可能であり、その場合、極めて高密度で育成することができる。しかしながら、水質及び底質の浄化を考慮すると、例えば、ボラ土、軽石、サンゴ砂、木炭等の多孔質な性状を備えた培地、或いは荒砂等に空隙を生じる素材を混入することで、有機物分解を促進させる好気性バクテリアの着生及び生育を促進することができる。そして、育成装置1を富栄養化汚濁水域中に浸漬し、二枚貝等の底棲生物を生きた活動状態にせしめ、その濾過食性状によって汚濁水中の粒状有機物を除去して水質及び底質の浄化を図るものである。
また、中央部空洞4内下部よりブロアー、コンプレッサー等で作られた圧縮空気をエアストーン7等の散気管により発泡させて曝気することにより、空洞内に上昇水流を発生させ、各段育成皿2間の間隙D内に流動させながら水中に酸素を溶存増加することができるようにされている。これにより富栄養化水質で起こる低酸素、貧酸素状態の水域でも稼動維持を可能とした。したがって、赤潮発生海域のような高濃度有機物による貧酸素水域にあっては、赤潮除去装置として機能する。
また、溶存酸素が豊富な良好な水質環境であれば、強制的な散気や曝気を要せず、図8に示すように、中央部空洞4上部に円筒管5等を接続し、そこからから富栄養化水を給水流入させても同様の効果が得られる。さらに、流動性がある水域であれば、育成皿2間の間隙D内の流動が自然の状態で得られるので、中央部空洞構造は不要となり同様の機能を果たす。
図9に示すように、中央部空洞4上部に流水方向変更フィン9を付帯することで、育成皿2の最上部の中央部空洞からの吐出水の流出方向を任意に変更することができる。そして、この多段式育成装置1を群集して設置した場合には、育成装置1上部水域の流状環境を人為的に制御することができる。
本発明システムは下記のように使用できる。
(1)河川、湖沼、浅瀬海域等の深度の浅い水域における利用
図11に示すように、河川や湖沼或いは浅瀬海域等の深度の浅い水域で水底を利用して設置ができる場所では、多段式育成装置1をその水深に応じて積層して設置する。尚、水底部Bに沈殿した有機物等を含有する泥HB(以下、単にヘドロという)の層が厚い場合は、水底部Bに装置を直接置くと大量のヘドロを巻き上げてしまうため、ヘドロの上層境界面付近に架台10等を介して上底式に設置する。また、設置水域が、水の流動が少ない止水或いは停滞水域での水の流動が少ない場合は、流水方向変更フィン9を操作して、富栄養化水を十分に曝気しながら対流するように水流方向を調節する。尚、エアーブロー或いはコンプレッサーを稼動させる電力は、商用電源の使用は勿論であるが、太陽光発電等の自然エネルギーを利用した自家発電により供給するものであればさらによい。
(2)浄化施設等の富栄養化水を陸上に揚水或いは引き込んで利用する場合
基本的には、上記(1)の水底設置方法と同じである。浄化施設の場合は、富栄養化水を揚水或いは引き込み水により貯水槽や水路状貯水槽の水面付近まで積層した複数の多段式育成装置を、平面的にも水槽を満たすように分布配置する。これにより、浄化効果を格段に向上することができる。このように浄化槽を構成した場合、収容した二枚貝の摂餌量が不足しないように給水量を調整する。
(3)ダム湖、貯水池、入り江等の深度の深い水域での利用(浮体利用)
ダム湖、貯水池、入り江等の比較的水深があり、底置き設置が困難な水域では、水中に浮べて設置する。水中設置法としては、後述する二つの方法が考えられるが、いずれの場合も波浪による育成装置1の揺動や振動を考慮しておく必要がある。
そこで、波浪による育成装置1の揺動や振動によって育成皿2内の二枚貝Sや培地6が間隙Dから抜け落ちることを防止する脱落防止ネット11を図12に示す。育成装置1の周囲に捲巻して使用する。つまり、育成皿2間の間隙Dから二枚貝Sやボラ土等の培地6が抜け落ちない程度の網目構造を備えたシート状物であればよく、その材質や装着方法に特段の工夫は要さない。尚、この脱落防止ネット11を張設する方法は、底置き方法においても波浪による育成装置1の転倒や段のズレにも有効である。また、魚類や甲殻類等の二枚貝Sの捕食生物の侵入を防止する効果もある。
次に水中に設置する二つの方法について説明する。
[懸吊(垂下)設置方法]
図13に示すように、多段式育成装置1の積層構造をロープ或いは金具等で連結したものを設置水域の表層から垂下して設置するものである。岸壁や橋梁の欄干等から吊り下げたり、筏13の辺縁を利用して吊り下げて設置する。とくに、筏13を使用した養殖魚生簀において、赤潮から生簀内の養殖魚を守る場合に有用である。ここで、表層の赤潮濃度が非常に高濃度で完全な防御が困難な場合は、装置1の育成皿2の積層数を増加したり、装置中央部空洞4の下部に連結管を付帯して下層部の赤潮濃度が低い層から海水を取水して表層に散布して赤潮濃度を希釈しながら浄化すると赤潮の除去作用を高めることができる。
[浮体籠を利用した設置方法]
図14に示すように、浮体12を備えた籠体14内に複数の育成装置1を搭載して一体的型の富栄養化水の浄化プラントとする。陸上の商用電源から遠く離間して給電が困難な場合は、太陽光発電システムを付設する。また、ダム湖等の富栄養化水が下層域に存在する場合は、図15に示すように、浮体施設の下部に不浸透シート15をスカート様に垂らして取り付けることにより、不浸透シートにより囲まれ形成された筒状水域内に上昇流が発生し、下層域の水が表層に対流する。この作用により、下層域の赤潮或いは富栄養化高濁水を育成装置1群に通過させて浄化することができる。
1 養殖装置
2 育成皿(育成床)
2a 貝収容部
2b 網体(パンチングメタル又はメッシュフィルター)
2c 弧状凹所
2d 係合ディンプル
2e 錐形板
3 水槽
4 中央空洞
5 円筒管
5a 弧状凹所との係合突起
6 養殖培地(砂層)
7 散気ブロアー(エアストーン)
8 エアホース
9 流水方向変更フィン
10 架台
11 脱落防止ネット(フィルター)
12 浮体
13 筏
14 籠体
15 不織布スカート
S 二枚貝(棲底生物)
Sa 入水管
Sb 出水管
育成皿間の間隙

Claims (7)

  1. 二枚貝等の底棲生物の育成床となる複数の皿状容器を鉛直方向に階層し、当該階層育成床を鉛直方向に貫通する中央空洞及びこの空洞と通ずる各育成床間に水平方向の間隙を画成した養殖装置を富栄養化汚濁水域中に浸漬し、前記底棲生物を生きた活動状態にせしめ、その濾過食性状によって当該汚濁水中の粒状有機物を除去して水質及び底質を浄化することを特徴とする二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  2. 皿状容器を分割可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  3. 装置内外へ水を流動するべく、気泡発生器若しくは水流発生器を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  4. 給排水管及び弁を備え、当該水域の水位及び給排水量を調整可能にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  5. 中央部空洞上端に流出方向変更フィンを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  6. 階層育成床を網体で包囲したことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
  7. 階層育成床の下部に不浸透シートをスカート様に垂らして取り付け、不浸透シートにより形成された筒状水域内に上昇流が発生し、下層域の水が表層に対流するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム。
JP2012167466A 2012-07-27 2012-07-27 二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム Active JP5954629B2 (ja)

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