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JP2014017175A - リード導体、及び電力貯蔵デバイス - Google Patents

リード導体、及び電力貯蔵デバイス Download PDF

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Misato Kusakari
美里 草刈
Taichiro Nishikawa
太一郎 西川
Kosuke Tanaka
浩介 田中
Satoshi Okano
聡 岡野
Akinobu Chiba
昭伸 千葉
Hiroshi Kamiya
博志 上谷
Hiroyasu Sugiyama
博康 杉山
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】長期に亘り、電解液に対する耐性に優れる電力貯蔵デバイス用のリード導体、このリード導体を具える電力貯蔵デバイスを提供する。
【解決手段】正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器51とを具える電力貯蔵デバイス(例えば、非水電解質電池50)に用いられるリード導体61であり、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である。拡散抵抗値は、以下のように求める。リード導体61の一部を所定の樹脂で覆ったものを試験片とする。電力貯蔵デバイスに用いられる電解液に、上記試験片における樹脂の形成箇所と対極とを接触させる。この電解液を60℃に保持した状態を1週間維持する。1週間経過後、試験片の交流インピーダンスを測定する。測定した交流インピーダンスに基づいてリード導体の抵抗値を求め、この抵抗値を拡散抵抗値とする。リード導体61は、拡散抵抗値が高く、長期に亘り、樹脂との密着性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質電池などの電力貯蔵デバイスに用いられるリード導体、及び電力貯蔵デバイスに関する。特に、長期に亘り、電解液に対する耐性に優れるリード導体に関するものである。
リチウムイオン二次電池といった非水電解質電池は、外部装置との電気的接続箇所として、銅やアルミニウムなどの金属板から形成されたリード導体を具える。
例えば、非水電解質電池では、電池要素(正極、負極、電解液が含浸されたセパレータ)を収納する袋状の容器の内部から外部に亘ってリード導体が配置されている(特許文献1参照)。代表的には、容器は、金属層の両面を内側樹脂層と外側樹脂層とで挟んだ多層フィルムから構成され、リード導体は、樹脂付きリード部材の形態で利用される。樹脂付きリード部材は、リード導体における容器との固定箇所に、リード導体と容器との間に介在される介在樹脂層が接合されたものである。この介在樹脂層の構成樹脂と容器の内側樹脂層とが熱融着などによって接合されて、容器が封止されている。
従来の非水電解質電池では、長期に亘って充放電を繰り返すうちに、リード導体と介在樹脂層とが剥がれることがある。特に、電解液中に塩素又はフッ素含有リチウム塩を含む場合、60℃以上の高温環境では、リード導体と介在樹脂層との界面で剥離が生じ易く、剥離によって生じた隙間を通して、外部からの水分や酸素などが電池内部に侵入して、電池性能を低下させることが知られている。
そこで、従来、リード導体と介在樹脂層との剥離を防止するために、リード導体に機械的な加工を施したり、金属板との密着性に優れる樹脂を利用したりすることが提案されている。特許文献1では、リード導体の表裏面に複数の溝を設けることを提案している。
特許第4677708号公報
しかし、上述のような樹脂の剥離防止のための対処を行っていても、充放電サイクル数が多くなったり、使用時間が長くなったりすると、容器の封止性などの特性が低下することがある。この理由の一つとして、従来は、使用初期の密着性に着目していたことが考えられる。
ここで、非水電解質電池などにおいてリード導体と樹脂とが両者の境界で剥離すると、リード導体は、電解液に直接接触し得る、又は電解液に直接接触する面積が大きくなる。リード導体と電解液とが直接接触した状態が長く続くと、リード導体は、次第に電解液に溶出し得る。なお、リード導体と、電解液が浸透した樹脂とが接触している状態では、リード導体と電解液とが直接接触している状態と比較して、リード導体が溶出し難いと考えられる。
従って、非水電解質電池などの電力貯蔵デバイスに利用されるリード導体に対して、使用初期だけでなく、長期の使用に亘り、必要十分な密着性を保持できるようにするために、電解液に対する耐性に優れることが望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、長期に亘り、電解液に対する耐性に優れるリード導体を提供することにある。また、本発明の目的の一つは、長期に亘り、リード導体と樹脂との密着性に優れた電力貯蔵デバイスを提供することにある。
リード導体と樹脂とが境界剥離したことによってリード導体が経時的に電解液に溶出した状態とは、リード導体と樹脂との組物の電気抵抗が小さくなった状態、といえる。
そこで、本発明者らは、種々の形態の樹脂付きリード部材を試験片とし、非水電解質電池などに利用される電解液を用いた電気化学測定セルを作製し、電解液に長時間浸漬した後の試験片の抵抗値を求めた。かつ、試験片を構成するリード導体と樹脂との密着性を後述のピール強度試験によって評価した。ピール強度が大きいほど、リード導体と樹脂とを剥がすために必要な力が大きい、つまり密着性に優れており、リード導体は、電解液に対する耐性に優れるといえる。そして、ピール強度が大きい試験片は、抵抗値が高い傾向がある、との知見を得た。そこで、本発明は、電力貯蔵デバイスに利用されるリード導体の特性(特に、電解液に対する耐性≒樹脂との密着性)を評価する指標として、上述の電気化学測定セルを利用して求めた抵抗値を用いることを提案する。
本発明のリード導体は、正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器とを具える電力貯蔵デバイスに用いられるリード導体であり、以下の拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である。
上記拡散抵抗値は、以下のように求める。リード導体の一部を所定の樹脂で覆ったものを試験片とし、上記電力貯蔵デバイスに用いられる電解液に、上記試験片における上記樹脂の形成箇所と対極とを接触させて、この電解液を60℃に保持した状態を1週間維持する。1週間経過後、上記試験片の交流インピーダンスを測定し、測定した交流インピーダンスに基づいて上記リード導体の抵抗値を求め、この抵抗値を拡散抵抗値とする。
本発明のリード導体は、樹脂を介して、高温の電解液に長時間接触した状態(代表的には高温の電解液中に長期間浸漬された状態)でも、拡散抵抗値が高く、電解液に対する耐性に優れる。従って、本発明のリード導体を具える電力貯蔵デバイスは、長期に亘り、リード導体と樹脂とが十分に密着しており、リード導体と樹脂との密着性に優れる。
本発明の一形態として、上記リード導体における上記容器との固定領域は、表面粗さがRaで0.1μm以上0.5μm以下である形態が挙げられる。
上記固定領域は、通常、樹脂が接合される。上記形態は、上述の拡散抵抗値が高いことに加えて、上記固定領域が特定の表面粗さを有することで樹脂との密着性に優れ、電解液に対する耐性に優れる。
本発明の一形態として、上記リード導体における上記容器との固定領域に介在樹脂層が接合されており、上記介在樹脂層の厚さが20μm以上300μm以下である形態が挙げられる。この形態では、上記拡散抵抗値の測定にあたり、上記試験片に接合する上記樹脂は、上記固定領域に設けられた上記介在樹脂層とする。
介在樹脂層は、リード導体と容器との間に介在されて絶縁体として機能するものである。上記形態はいわば樹脂付きリード部材の形態である。上記形態は、介在樹脂層の厚さが特定の範囲であることで、介在樹脂層が破損し難く、かつ、介在樹脂層が比較的薄いことで、樹脂付きリード部材や電力貯蔵デバイスの薄型化に寄与する。
本発明の一形態として、リード導体の固定領域に介在樹脂層を具える場合、上記介在樹脂層が異種の材質からなる多層構造である形態が挙げられる。
上記形態は、種々の材質の樹脂によって構成された介在樹脂層を具えることができるため、リード導体と介在樹脂層との密着性や、電力貯蔵デバイスに具える容器と介在樹脂層との密着性を高められる。
本発明の一形態として、上記リード導体の表面に、化成処理、ベーマイト処理、アルマイト処理、及びエッチングから選択される1種が施された形態が挙げられる。
上記形態では、上述の特定の表面処理が施されていることで、拡散抵抗値がより高く、電解液に対する耐性により優れる。
本発明の一形態として、上記リード導体の表面に、エッチング、又はアルマイト処理であって封孔処理を伴わない処理が施された形態が挙げられる。
上記形態は、上述の特定の表面処理が施されているため、拡散抵抗値がより高く、電解液に対する耐性により優れる。また、上記形態は、上述の特定の大きさの表面粗さRaを満たす傾向にある。
本発明の一形態として、上記リード導体がアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、及びニッケルめっき銅から選択される1種から構成された形態が挙げられる。
上記形態は、非水電解質電池や電気二重層キャパシタのリード導体に好適に利用できる。
本発明のリード導体は、電力貯蔵デバイスの構成部材に好適に利用できる。本発明の電力貯蔵デバイスは、正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器と、上記容器の内部から外部に亘って配置されて、上記正極及び上記負極の各々と外部装置を電気的に接続するリード導体とを具える。上記リード導体は、樹脂を介して上記容器に接合されている。そして、本発明の電力貯蔵デバイスは、少なくとも一方の上記リード導体が本発明のリード導体である。
長期に亘り電解液に対する耐性に優れる本発明のリード導体を正極及び負極の少なくとも一方の極に具える、好ましくは正極及び負極の双方の極に具えることで、本発明の電力貯蔵デバイスは、長期に亘りリード導体と樹脂とが密着している。そのため、本発明の電力貯蔵デバイスは、外部からの水分や酸素などが電池内部に侵入し難くなり、電池性能が低下し難い。
本発明のリード導体は、長期に亘り、電解液に対する耐性に優れる。本発明の電力貯蔵デバイスは、長期に亘り、リード導体と樹脂との密着性に優れる。
本発明の電力貯蔵デバイスの一例である非水電解質電池の概略を示す斜視図である。 図1に示す非水電解質電池の(II)-(II)断面図である。 (A)は、拡散抵抗値の測定に用いる電気化学測定セルの一例を示す概略構成図、(B)は、拡散抵抗値の算出に用いる等価回路図、(C)は拡散抵抗値の測定に用いる電気化学測定セルの別の例を示す概略構成図である。 ピール強度試験の手順を説明する説明図であり、(A)は、試験片の概略図、(B)は、試験片を電解液に浸漬した状態、(C-1)は、ピール強度測定前の試験片の概略図、(C-2)はピール強度を測定する状態を示す。 拡散抵抗値とピール強度との関係を表わすグラフである。 表面粗さとピール強度との関係を表わすグラフである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[リード導体]
本発明のリード導体は、電力貯蔵デバイスの容器内に収納された電極と、外部装置とを電気的に接続する導電部材である。代表的には、長方形状の金属板で構成される。
リード導体の材質は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼及びニッケルめっき銅から選択される1種が挙げられる。特に、非水電解質電池や電気二重層キャパシタの正極用リード導体とする場合、材質は、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス鋼などが挙げられる。非水電解質電池の負極用リード導体とする場合、材質は、銅や銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルめっき銅、ステンレス鋼などが挙げられる。電気二重層キャパシタの負極用リード導体とする場合、材質は、アルミニウムなどが挙げられる。
リード導体を構成する金属板は、例えば、3mm以上150mm以下×10mm以上100mm以下程度の長方形状であって、厚さ0.05mm以上1.0mm以下程度が挙げられる。このような金属板は、代表的には、鋳造→熱間圧延→冷間圧延(→適宜、熱処理、めっき)という工程で製造できる。公知のリード導体の製造方法を利用することができる。
リード導体における電力貯蔵デバイスの容器に固定される領域:固定領域には、樹脂が接合される。固定領域に接合される樹脂は、リード導体と容器(特に金属層)との間の絶縁体として機能する。この樹脂は、例えば、容器自体を構成する樹脂(例えば、上述の内側樹脂層)が挙げられる。又は、この樹脂は、容器に接合された介在樹脂層が挙げられる。リード導体が樹脂付きリード部材である形態では、この樹脂は、リード導体自体に接合された介在樹脂層が挙げられる。リード導体における固定領域や、上述したリード導体における樹脂の形成箇所に後述の表面処理が施されていると、表面処理が施されていない場合に比較して、拡散抵抗値が高くなり易い。好ましくは、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上を満たすものが得られ易い。そこで、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上を満たすリード導体とは、上記固定領域に表面処理が施されたものが挙げられる。表面処理は、例えば、化成処理、ベーマイト処理、アルマイト処理、エッチング、ブラスト処理、ブラシ研磨などが挙げられる。特に、化成処理、ベーマイト処理、アルマイト処理、エッチングは、処理条件にもよるが、拡散抵抗値が更に高いリード導体になり易い。とりわけ、化成処理及びエッチングは、拡散抵抗値が高いリード導体になり易い。リード導体の表裏面における固定領域に少なくとも、表面処理が施されていることが好ましい。表面処理は、リード導体における樹脂の形成箇所のみに施されていてもよいし、リード導体の表裏面全体に施されていてもよいし(この場合、上記表裏面を繋ぐ端面・側面には表面処理が施されていない)、リード導体の表面全体(表裏面、及び表裏面を繋ぐ端面・側面)に施されていてもよい。
拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上を満たすリード導体であって、上述の容器との固定領域の表面粗さがRaで0.1μm以上0.5μm以下であると、ピール強度が高いリード導体になり易く好ましい。この表面粗さRaは、平均値とする。本発明者らは、同一の表面処理方法を用いた場合でも処理条件によって、ピール強度が異なるとの知見を得た。例えば、表面処理としてエッチングを行った場合、平均ピット深さが0.5μm以上となるようにエッチング時間を調整すると、拡散抵抗値が大きいものが得られた。また、ベーマイト処理では、処理時間を1分以上とすると、拡散抵抗値が大きいものが得られた。そして、拡散抵抗値が大きい試料を調べたところ、表面粗さが上述の特定の範囲を満たしていた。従って、表面処理としてエッチングやベーマイト処理が施されたリード導体では、表面粗さRaが上述の範囲を満たす場合、拡散抵抗値が高いものといえる。拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2未満であり、かつ表面粗さRaが0.1μm未満である場合、及び拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2未満であり、かつ表面粗さRaが0.5μm超である場合のいずれも、拡散抵抗値が小さく、ピール強度が低い。
拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上を満たすリード導体であって、その表面に、封孔処理を伴わないアルマイト処理が施されたものは、上述の表面粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下を満たす上に、ピール強度が高い。本発明者らは、表面処理としてアルマイト処理を行った場合、一般に耐食性に優れるといわれる封孔処理を行わない方が、拡散抵抗値が高い、つまりリード導体が溶出し難い、という驚くべき知見を得た。このような結果が得られた理由として、封孔処理を行わない場合、アルマイト層の表面は、直径が100Å〜150Å程度という非常に微細な縦穴が多数存在することで、表面粗さRaでは表わされないような非常に微細な凹凸も生じており、この非常に微細な凹凸によるアンカー効果が生じたため、と考えられる。従って、表面処理として、アルマイト処理であって、封孔処理を行っていない場合、拡散抵抗値が高いものといえる。
(介在樹脂層)
リード導体における容器との固定領域に、絶縁体となる介在樹脂層を具えた形態、つまり、樹脂付きリード部材とすることができる。この介在樹脂層の材質は、代表的には、熱可塑性ポリオレフィンが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリプロピレン(例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン)、アイオノマーなどのイオン性高分子、マレイン酸変性ポリオレフィン(例えば、マレイン酸変性低密度ポリエチレン)、又はこれらの混合物が挙げられる。上記アイオノマーは、エチレンとメタクリル酸などの共重合体をNa、Mg、K、Ca、Zrなどの金属イオン、又は金属錯体、又はアンモニウム塩などのカチオンなどで架橋させたものが挙げられる。
介在樹脂層は、単層構造、異なる材質や形態(架橋の有無など)のものを多層に積層した多層構造のいずれでもよい。樹脂付きリード部材に具える介在樹脂層では、接着層と表面層との二層構造が代表的である。接着層は、上述の熱可塑性ポリオレフィン、表面層は、上述の熱可塑性ポリオレフィンを架橋したもの(例えば、接着層の構成樹脂と同じ樹脂であって架橋したもの)が挙げられる。
介在樹脂層の厚さは、適宜選択することができる。特に、介在樹脂層の厚さが20μm以上であると、薄過ぎて破損するといった不具合が生じ難い。介在樹脂層の厚さが厚いほど、破損し難く、リード導体に介在樹脂層が十分に存在できる。しかし、介在樹脂層が厚過ぎると、樹脂付きリード部材の厚肉化、ひいては電力貯蔵デバイスの大型化や厚肉化を招く。従って、介在樹脂層の厚さは、300μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましい。なお、ここでの介在樹脂層の厚さとは、多層構造の場合には合計厚さとする。また、リード導体の表裏面に介在樹脂層を具える場合、介在樹脂層の厚さとは、リード導体の一面にのみ設けられた介在樹脂層の厚さとする。
(拡散抵抗値)
そして、本発明のリード導体は、拡散抵抗値が高く、5×105Ω・cm-2以上を満たすことを最大の特徴とする。拡散抵抗値とは、図3(A)に示すように、リード導体11の一部を樹脂12で覆ったもの、つまり樹脂12を具えるリード導体11を試験片10とし、試験片10と、電力貯蔵デバイスに用いられる電解液110と、対極120とを用いて構築した電気化学測定セル100によって求める抵抗値である。より具体的には、試験片10における樹脂12の形成箇所を電解液110に接触させて(図3(A)では電解液110に浸漬して)、60℃で1週間保持した後、測定装置130によってリード導体11の交流インピーダンスを測定し、測定データに基づいてリード導体11の拡散抵抗値を算出する。このように拡散抵抗値は、実際の使用環境を模擬した電気化学測定セル100を利用して求めるため、本発明のリード導体は、長期の使用に亘って電解液に対する耐性に優れることを拡散抵抗値によって定量的に示している、といえる。つまり、この拡散抵抗値は、リード導体が電解液に対する耐性に優れること(≒リード導体と樹脂とが密着性に優れる)ことを定量的に示す評価指標として利用できる。
拡散抵抗値が高いほど、ピール強度が高い傾向にあることから、拡散抵抗値が8×105Ω・cm-2以上、更に1.0×10×105(=1.0×106)Ω・cm-2以上が好ましい。拡散抵抗値を高めるためには、例えば、上述の特定の表面処理を行ったり、特定の処理条件で表面処理を施すことが挙げられる。
なお、本発明のリード導体が介在樹脂層を具える樹脂付きリード部材である形態では、拡散抵抗値の測定に用いる試験片は、樹脂付きリード部材をそのまま利用できる。この場合、図3(C)に示すように、リード導体11の表面に具える樹脂12(介在樹脂層)に電解液110が接触するように、電解液110を貯留する容器として、例えば、底に開口部を具えるものを利用することが挙げられる。容器の開口部と樹脂12との間には、電解液110の漏れを防止するためにシール部材を配置することが好ましい。そして、リード導体11と、容器内の電解液110中に挿入した対極120とに測定装置130を接続して、電気化学測定セルを構築する。本発明のリード導体が介在樹脂層を有しない形態では、このリード導体に所定の樹脂(将来接合され得る介在樹脂層)を接合して、試験片とするとよい。
[電力貯蔵デバイス]
本発明の電力貯蔵デバイスは、正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器と、正極と外部装置とを電気的に接続する導電部材及び負極と外部装置とを電気的に接続する導電部材として、2つのリード導体:正極用リード導体、負極用リード導体とを具える。本発明の電力貯蔵デバイスは、2つのリード導体のうち、1つ又は2つが上述の本発明のリード導体(樹脂付きリード部材の場合もある)である。各リード導体は、上記容器の内部から外部に亘って配置されて、一端側に正極又は負極が接続され、他端側に外部装置が接続され、中間部に容器との固定領域を具える。リード導体の固定領域と容器との間には、リード導体に接合された介在樹脂層、又は容器の内周縁に接合された介在樹脂層、又は容器の内側面自体を構成する樹脂(上述の内側樹脂層)のいずれかの樹脂が介在する。本発明の電力貯蔵デバイスのより具体的な形態は、非水電解液を用いる非水電解質電池や電気二重層キャパシタ、電解液の主溶媒を水とする水系電解質電池が挙げられる。非水電解質電池や電気二重層キャパシタ、水系電解質電池の基本的な構成は、公知のものを利用することができる。
例えば、図1,図2に示す非水電解質電池50は、正極54と、負極55と、電解液(ここでは非水電解液)が含浸されたセパレータ53と、これらの電池要素を収納する袋状の容器51と、容器51に固定された二つの樹脂付きリード部材60とを具える。
樹脂付きリード部材60は、本発明のリード導体61と、リード導体61の表裏面に接合された介在樹脂層62とを具える。介在樹脂層62は、リード導体61に接する接着層620と、容器51の内面に接する表面層622とを具える二重構造である。介在樹脂層62の材質は、上述した熱可塑性ポリオレフィンが挙げられる。
正極54及び負極55は、代表的には、活物質を含む粉末成形体などから構成される活物質層であり、集電体56,57上にそれぞれ形成される。活物質は、リチウムイオン二次電池の場合、正極:コバルト酸リチウム(LiCo02)などのリチウム金属酸化物、負極:カーボンなどが挙げられる。集電体56,57は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼などの金属からなる箔が代表的である。正極54を具える集電体56と一方のリード導体61、負極55を具える集電体57と他方のリード導体61とは、それぞれリード線59によって接続される形態が代表的である。リード線59を介さず、リード導体61と集電体56(集電体57)とが超音波接合などで直接圧接された形態もある。なお、電気二重層キャパシタでは、正極及び負極のそれぞれに固体活性炭を用いる。
非水電解液は、代表的には有機溶媒(溶媒)に電解質が溶解したものが挙げられる。例えば、リチウムイオン二次電池では、有機溶媒(溶媒)にリチウム塩(電解質)が溶解した電解液が挙げられる。リチウム塩は、例えば、LiBF4、LiPF6、LiAsF6などのフッ化リチウム化合物が挙げられる。有機溶媒は、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート(DMC)やエチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネートとの混合溶媒、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
正極54と負極55との間には、セパレータ53が配置されている。セパレータ53は、電解液の保持、両極の活物質の接触に伴う短絡防止、などの機能を有する。セパレータ53は、ポリオレフィンから構成される多孔質フィルムなどが挙げられる。
容器51は、内側から順に内側樹脂層512、金属層510、外側樹脂層514を具える多層フィルムから構成されたものが代表的である。金属層510は、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。内側樹脂層512,外側樹脂層514はいずれも、上述の熱可塑性ポリオレフィンからなる多層構造が代表的である。例えば、外側樹脂層514において、金属層510側の層(内層)の材質はナイロンやマレイン酸変性ポリオレフィン(例えばマレイン酸変性低密度ポリエチレン)、容器51の外表面を構成する外層の材質はポリエチレンテレフタレートが挙げられる。内側樹脂層512において、金属層510側の層(内層)の材質はポリプロピレンを架橋したもの、リード導体61側の層(外層)、つまり介在樹脂層62の表面層622に接合される層の材質はポリプロピレンが挙げられる。容器51は、図1に示すように多層フィルムの周縁部分を熱融着することで密閉されて袋状に形成される。また、容器51の内側樹脂層512と、樹脂付きリード部材60の介在樹脂層62(特に表面層622)とを熱融着することで、樹脂付きリード部材60を容器51に固定すると共に、容器51におけるリード導体61の固定箇所を密閉する。
[試験例]
種々の組成のリード導体を用意して、種々の表面処理を施し、更に樹脂を接合したリード導体を作製し、拡散抵抗値を求めた。また、この樹脂を接合したリード導体を電解液に浸漬した後(浸漬時間は拡散抵抗値を求めたときと同じ)、ピール強度試験を行った。そして、拡散抵抗値の大小関係とピール強度の大小関係との相関を調べた。
(拡散抵抗値測定試験)
ここでは、リード導体に利用する金属板として、表1に示す組成の金属板(いずれも15mm×45mm×厚さ0.4mm)を用意し、表1に示す表面処理を施した。ここでは、表面処理を施す試料は、金属板の表裏面の全面に表面処理を施し、金属板の端面・側面には表面処理を施していない。表1のアルミニウムは、Alを99質量%以上含有する純アルミニウム、銅は、Cuを99質量%以上含有する純銅、ニッケルは、Niを99質量%以上含有する純ニッケルである。
表面処理方法において粗面化I,IIは、市販のアルカリ系エッチング液を用いたエッチング処理とし、平均ピット深さが表1に示す値(1μm,0.5μm)となるように、エッチング時間を調整した。
表面処理方法において化成処理I〜IIIは、アイオノマーを形成可能な市販の化成処理液を用いた処理とし、化成膜の平均厚さが表1に示す値(10nm,30nm,300nm)となるように化成処理液の浸漬時間を調整した。表面処理方法において化成処理IVは、市販の処理液を用いたクロメート処理とした。
表面処理方法においてベーマイト処理I〜IIIは、95℃の純水を用いた処理とし、表1に示すように処理時間を異ならせた(15分間、5秒間、1分間)。
表面処理方法においてアルマイト処理I,IIは、硫酸水溶液を用いた陽極酸化処理とし、アルマイト層の平均厚さが0.5μmとなるように処理時間を調整した。そして、アルマイト処理Iでは、陽極酸化後に封孔処理を行わず、アルマイト処理IIでは、陽極酸化後に封孔処理を行った。
表面処理方法において鏡面研磨は、表1に示す大きさの砥粒(#800,#1200,#2400)を用いて、3段階の研磨を行った後、バフ研磨を行った。
表面処理方法においてブラスト処理は、市販の空気式ブラスト装置を用いて、表1に示す条件(ショット材:#120のアルミナ粒子、圧力:0.3MPa)で行った。
表面処理方法においてNiめっきは、市販のニッケルめっき液(光沢用)を用いて電気めっきを行い、平均めっき厚さが2μmとなるようにめっき条件を調整した。試料No.31は、Niめっき後に上述の化成処理IIを行った。試料No.35は、Niめっき後に表1に示す条件の熱処理(140℃×4日間)を施し、金属板が熱劣化した状態を模擬した。
試料No.9,No.51は、表面処理を施していない試料である。
上述の表面処理を施した各試料の金属板、及び表面処理を施していない試料No.9,No.51の金属板にそれぞれについて、算術平均粗さRa(JIS B 0601、2001年)を市販の粗さ測定機によって測定した。評価長さは0.003mm(3μm)とし、n=9の平均値を表2に示す。
上述の表面処理を施した各試料の金属板、及び表面処理を施していない試料No.9,No.51の金属板にそれぞれについて、表裏面に樹脂を接合した。ここでは、いずれの試料についても、酸変性ポリプロピレンからなる接着層(厚さ25μm:試料No.2,No.5,No.34,No.51、又は厚さ50μm:上記以外の試料)と、酸変性ポリプロピレンを架橋した表面層とを具える二重構造の樹脂フィルム(25mm×45mm)を用いた。金属板の一面に接合した1枚の樹脂フィルムの厚さ(接着層と表面層との合計厚さ)が表1の値となるように、表面層の厚さを調整して樹脂フィルムを作製した。各試料の金属板の表裏面においてリード線を接続する一縁側の領域(ここでは15mm×長さ10mm)を除いて、2枚の樹脂フィルムで金属板を挟み、熱プレスによって樹脂フィルムを金属板に接合した。接合条件は、加熱温度:260℃、圧力:0.2MPa、加熱時間:10秒とした。この工程によって、金属板の一部(一端側の領域)が樹脂から露出するように、金属板からなるリード導体に樹脂が接合された樹脂付きリード部材が得られた。得られた樹脂付きリード部材を、拡散抵抗を測定するための試料片とする。
電解液として、リチウムイオン二次電池の電解液に利用されているものを用意した。ここでは、電解質がLiPF6(電解質のモル濃度:1mol/L)、溶媒がEC:DMC:DEC=1:1:1(V/V%)の混合有機溶媒であるもの(キシダ化学株式会社製電解液)を用意した。V/V%は、体積比を意味する。対極として、Alを99.999質量%含む純アルミニウムからなる線材(直径0.5mm×長さ50mm)を用意した。対極は、電解液に対する耐性を十分に有し、かつ電位安定性に優れるものを適宜利用できる。純アルミニウムは、耐電解液性と電位安定性との双方に優れて利用し易い。いずれの試料についても、電解液及び対極は同じものを用いた。
そして、図3(A)に示すように電解液110を有底筒状の容器に充填し、作製した試験片10と、用意した対極120とを電解液110に浸漬する。試験片10及び対極120にそれぞれリード線を接続し、両リード線を更に交流インピーダンスの測定装置130に接続する。この工程により、電気化学測定セル100が構築される。なお、各試験片は、樹脂12のみが電解液に接触し、リード導体11においてリード線が接続された箇所が電解液110に接触しないように電解液110内に配置した。恒温槽(図示せず)を利用して電解液の温度を60℃に維持し、この浸漬状態を1週間(1W)保持した。
1週間(168時間)後、各試料片の交流インピーダンスを電解液110中で測定し、更に測定した交流インピーダンスを用いて、拡散抵抗値を算出した。その結果を表1,表2に示す。ここでは、図3(B)に示す等価回路を用いたシミュレーションによる解析を利用して拡散抵抗値を求めた。等価回路は、図3(B)に示すように拡散抵抗値(ワールブルグインピーダンス)をWとするとき、拡散抵抗値Wに直列な電荷移動抵抗Rpと、拡散抵抗値Wと電荷移動抵抗Rpとに並列する静電容量Cと、この並列回路に直列する電解液抵抗Rsとによって表わされる。
交流インピーダンスの測定条件は、振幅:25mV、測定周波数範囲:100kHz〜100mHzとした。測定周波数(=交流インピーダンスの測定点)は、周波数の変化量が10倍になるごとに10点とし、対数スケールで周波数を変えて、交流インピーダンスの測定を実施する。この例では、交流インピーダンスの測定点数は、100kHz〜10kHzで10点、全体で60点である。各測定周波数における交流インピーダンスの各データを、上述の等価回路(図3(B))を用いたシミュレーションによって再現して、等価回路の各パラメータを見積もる。このシミュレーションの結果を利用して、拡散抵抗値を算出する。なお、交流インピーダンスの測定装置は、VersaSTAT4-400+VersaSTAT LC(プリンストンアプライドリサーチ社)を利用し、交流インピーダンスの測定ソフトウェアはVersaStudio(プリンストンアプライドリサーチ社)、解析ソフトウェアは、Zview(Scribner Associates Inc.)を用いて、上記測定装置によって自動的に測定、及び解析を行った。
(ピール強度試験)
この試験では、拡散抵抗値測定試験で用いた金属板、及び樹脂フィルムに対して、樹脂フィルムの大きさのみを異ならせたものを試験片に利用した。具体的には、樹脂フィルムは、10mm×60mm×厚さ:表1に示す値とした。そして、この試験に用いる試験片20は、図4(A)に示すように、金属板11Mの一部が露出するように2枚の樹脂フィルム12a,12bで金属板11Mを挟み、金属板11Mの他部の表裏面に樹脂フィルム12a,12bを接合した。接合条件は、上述の拡散抵抗値測定試験と同様とした。図4(A)に示すように金属板11Mに、樹脂フィルム12a,12bから露出された領域を設けることで、樹脂同士の密着強度ではなく、金属板11Mと樹脂12との接合強度を適切に評価することができる。この試験片20の全体を上述の拡散抵抗値測定試験と同じ電解液110に浸漬する(図4(B))。但し、この試験では、電解液の保持温度及び浸漬時間を上述の拡散抵抗値測定試験とは異ならせた。具体的には、保持温度は、80℃とし、浸漬時間は、1週間(1W)、4週間(4W)、8週間(8W)とした。
所定の浸漬時間経過後、電解液110から試験片20を取り出し、図4(C-1)に示すように一方の樹脂フィルム12a及び金属板11Mを切断し、金属板11Mを二つの金属片11a,11bに分割する。一方の金属片11aが十分に長くなるように分割する。分割された両金属片11a,11bは、他方の樹脂フィルム12bに接合されたままである。他方の樹脂フィルム12bを図4(C-2)に示すように一方の金属片11aから他方の金属片11bが離れるように折り返す。そして、一方の長い金属片11a及び切断された残りの樹脂フィルム片12Lと、他方の短い金属片11bとを市販の引張試験装置(図示せず)に把持して、図4(C-2)の矢印に示すように両金属片11a,11bが離れる方向に引っ張る。引っ張る力が大きくなるにつれて、他方の樹脂フィルム12bは、一方の長い金属片11aから剥がされる。ここでは、他方の樹脂フィルム12bが一方の長い金属片11aから完全に剥がされるまでの最大の引張力をピール強度(N)とし、n=3の平均値を表1,表2に示す。
Figure 2014017175
Figure 2014017175
また、拡散抵抗値とピール強度(1週間保持したもの)との関係を表わすグラフを図5に示す。一部の試料(試料No.1,No.2,No.10,No.11)について表面粗さRaとピール強度(1週間保持したもの)との関係を表わすグラフを図6に示す。
表1,表2に示すように、同じ材質の樹脂を用いていても、表面処理方法を異ならせたり、同じ表面処理方法であっても処理条件を異ならせたりすることで、ピール強度が異なることが分かる。そして、表1,図5のグラフに示すように、ピール強度が高い試料は、拡散抵抗値が高いことが分かる。また、同じ材質の金属板を具える試料同士を比較した場合、ピール強度が高い試料の方が、拡散抵抗値が高いことが分かる。例えば、金属板の材質がアルミニウムや銅であり、かつ拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である試料は、ピール強度が5N以上を満たす。より具体的には、例えば、拡散抵抗値が3.0×105Ω・cm-2である試料No.35は、ピール強度が4.3Nである。一方、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である試料No.2は、ピール強度が6.1Nである。このことから、拡散抵抗値が、3.0×105Ω・cm-2超、好ましくは5.0×105Ω・cm-2以上を満たす試料は、ピール強度が5N以上を満たすと期待される。ピール強度が5N以上であれば、電力貯蔵デバイスの製造時や電力貯蔵デバイスの実際の使用時にリード導体と樹脂とが剥離することを防止でき、長期に亘り、リード導体と樹脂とが強固に密着できると期待される。
上述の結果から、ピール強度の大小関係と拡散抵抗値の大小関係とは相関しているといえる。また、金属板の材質がアルミニウムや銅であり、かつ拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である試料や金属板の材質がニッケルであり、拡散抵抗値がより高い試料は、電解液に1週間浸漬した後のピール強度が高いだけでなく、更に長期間浸漬した場合にも、若干の低下が見られるものの、高いピール強度を維持できることが分かる(ここでは5N以上)。高いピール強度を有する試料が高い拡散抵抗値を有することができた理由は、金属板と樹脂とが密着性に優れており、両者の界面で樹脂が剥離した領域が少ない、つまり金属板の表裏面において電解液が直接接触する領域が少ないことから、電解液に溶出する金属量が少なかったため、と考えられる。
また、表2に示すように同じ表面処理方法であっても、処理条件が異なることで表面粗さRaが異なることが分かる。特に、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上であり、かつ、表面粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下である試料は、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2未満であり、かつ、表面粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下である試料No.12に比較して、ピール強度が高いことが分かる。例えば、鏡面研磨を行うことで表面粗さRaが非常に小さい試料No.10と、ブラスト処理を行うことで表面粗さRaが非常に大きい試料No.11と、粗面化処理I,IIを行った試料No.1,No.2とを比較すると、図6に示すように、表面粗さRaが小さ過ぎても、大き過ぎても、ピール強度が小さくなる場合があることが分かる。従って、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上を満たし、かつ表面粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下を満たすように表面処理を行うことで、ピール強度が高いリード導体が得られ易いといえる。
拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上である各試料は、上述のように長期に亘り、樹脂が剥離し難いため、リード導体が溶出し難く、電解液に対する耐性に優れる傾向にある。このことから、拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上であるリード導体や樹脂付きリード部材を非水電解質電池や電気二重層キャパシタなどに利用した場合、長期に亘り、リード導体と樹脂との密着性に優れると期待される。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することができる。例えば、リード導体の材質、表面処理方法、表面処理条件、介在樹脂層の材質・厚さ、電解液の組成などを適宜変更することができる。
本発明のリード導体は、非水電解質電池や電気二重層キャパシタなどの電力貯蔵デバイスの構成部材に好適に利用することができる。本発明の電力貯蔵デバイスは、電力貯蔵に利用することができる。
10,20 試験片 11 リード導体 11M 金属板 11a,11b 金属片 12 樹脂
12a,12b 樹脂フィルム 12L 樹脂フィルム片
100 電気化学測定セル 110 電解液 120 対極 130 測定装置
50 非水電解質電池
51 容器 510 金属層 512 内側樹脂層 514 外側樹脂層
53 セパレータ 54 正極 55 負極 56,57 集電体 59 リード線
60 樹脂付きリード部材 61 リード導体
62 介在樹脂層 620 接着層 622 表面層

Claims (8)

  1. 正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器とを具える電力貯蔵デバイスに用いられるリード導体であって、
    以下の拡散抵抗値が5×105Ω・cm-2以上であるリード導体。
    前記拡散抵抗値は、以下のように求める。リード導体の一部を所定の樹脂で覆ったものを試験片とし、前記電力貯蔵デバイスに用いられる電解液に、前記試験片における前記樹脂の形成箇所と対極とを接触させて、この電解液を60℃に保持した状態を1週間維持する。1週間経過後、前記試験片の交流インピーダンスを測定し、測定した交流インピーダンスに基づいて前記リード導体の抵抗値を求め、この抵抗値を拡散抵抗値とする。
  2. 前記リード導体における前記容器との固定領域は、表面粗さがRaで0.1μm以上0.5μm以下である請求項1に記載のリード導体。
  3. 前記リード導体における前記容器との固定領域に介在樹脂層が接合されており、
    前記介在樹脂層の厚さが20μm以上300μm以下である請求項1又は2に記載のリード導体。
    前記拡散抵抗値の測定にあたり、前記試験片に設ける前記樹脂は、前記固定領域に接合された前記介在樹脂層とする。
  4. 前記介在樹脂層は、異種の材質からなる多層構造である請求項3に記載のリード導体。
  5. 前記リード導体の表面には、化成処理、ベーマイト処理、アルマイト処理、及びエッチングから選択される1種が施されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のリード導体。
  6. 前記リード導体の表面には、エッチング、又はアルマイト処理であって封孔処理を伴わない処理が施されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のリード導体。
  7. 前記リード導体は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、及びニッケルめっき銅から選択される1種から構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のリード導体。
  8. 正極と、負極と、電解液と、これらを収納する容器と、前記容器の内部から外部に亘って配置されて、前記正極及び前記負極の各々と外部装置とを電気的に接続するリード導体とを具える電力貯蔵デバイスであって、
    前記リード導体は、樹脂を介して前記容器に接合されており、
    少なくとも一方の前記リード導体は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリード導体である電力貯蔵デバイス。
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