JP2014069519A - 加飾シート、及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも基材層1及び離型層2を有する支持体10の当該離型層2上に転写層11を有する加飾シートにおいて、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いて離型層2を形成することにより、離型層2の表面に合成樹脂粒子による凹凸を賦形でき、質感のある豊かな低艶感が表出された意匠性を備えさせ得る共に、優れた成形性をも具備させ得る。
【選択図】図1
Description
項1. 少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の前記離型層上に、転写層を有する加飾シートであって、
前記離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする、加飾シート。
項2. 前記電離放射線硬化性樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートである、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記合成樹脂粒子が、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、及びウレタンビーズよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の加飾シート。
項4. 前記離型層において、電離放射線硬化性樹脂100質量部当たり合成樹脂粒子が1〜70質量部含まれる、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記合成樹脂粒子の平均粒子径が0.5〜25μmである、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記離型層の厚さが0.01〜5μmである、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記転写層に保護層及び装飾層が含まれ、当該保護層が前記離型層と接面した状態で積層されている、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記保護層と装飾層の間にプライマー層が設けられている、項7に記載の加飾シート。
項9. 少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の前記離型層上に、転写層及び射出樹脂層を順に有しており、
前記離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする、支持体付き加飾樹脂成形品。
項10. 項9に記載の支持体付き加飾樹脂成形品から、支持体を除去することにより得られる、加飾樹脂成形品。
本発明の加飾シートは、少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の当該離型層上に、転写層を有する加飾シートであって、離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする。以下、本発明の加飾シートについて、詳述する。なお、本明細書において、特に言及しない限り、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、他の類似する表記も同様の意である。
本発明の加飾シートは、少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の離型層上に、転写層を有する積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、基材層及び離型層は支持体を構成し、当該支持体は転写層の支持部材としての役割を果たす。即ち、本発明の加飾シートを射出樹脂と一体成形した後に、支持体(基材層及び離型層)を引き剥がすことにより、転写層が樹脂成形品の表面に転写された状態になり、樹脂成形品が加飾される。
[支持体]
本発明の加飾シートは、支持体として、基材層と離型層を含む。支持体は、転写層の支持部材としての役割を果たし、本発明の加飾シートと射出樹脂を一体成形した後に、離型層と転写層の界面が引き剥がされて剥離除去される。
基材層は、離型層と転写層を支持でき、成形性や耐熱性等を備えていることを限度として、その素材については特に制限されないが、好ましくは樹脂が挙げられる。
離型層は、基材層上に設けられ、転写層と接面した状態で存在する。本発明の加飾シートにおいて、離型層は、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成される。このように、離型層の形成において、電離放射線硬化性樹脂と共に、添加剤として合成樹脂粒子を選択して配合することにより、合成樹脂粒子の形状に応じた凹凸を転写層に賦形でき、当該離型層の凹凸によって転写層に豊かな低艶感を表出させるための凹凸が形成される。更に、離型層として、合成樹脂粒子と電離放射線硬化性樹脂の組み合わせを採用することによって、加飾樹脂成形品の製造時に格段に優れた成形性を備えさせることができる。
離型層に使用される合成樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。合成樹脂粒子の種類については、特に制限されないが、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ等が挙げられる。これらの合成樹脂粒子の中でも、加飾樹脂成形品の製造時の成形性をより一層向上させて、表出させる低艶感をより一層向上させるという観点から、好ましくはアクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズ、更に好ましくはアクリルビーズ、特に好ましくは架橋型アクリルビーズが挙げられる。また、離型層中で合成樹脂粒子の分散性が良好であるため、本発明の加飾シートに転写層に色ムラの無い均一表面性状を備えさせ得るが、離型層に使用される合成樹脂粒子としてアクリルビーズを選択することによって、転写層の表面性状をより一層良好にすることもできる。これらの合成樹脂粒子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
離型層の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用されるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、通常2個以上、好ましくは2〜6個が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂として使用されるアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、且つ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上有しているものであればよい。このアクリルシリコーン(メタ)アクリレートの好適な例としては、例えば、特開2007−070544号公報に開示されるような側鎖にシロキサン結合を有するアクリル樹脂の構造が挙げられる。また、当該アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、通常2個以上、好ましくは3〜8個が挙げられる。
また、離型層の形成に使用される樹脂組成物には、離型層に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
離型層の硬化後の厚さについては、特に制限されないが、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.01〜4μm、更に好ましくは0.01〜3.5μmが挙げられる。このような範囲の厚さを充足することによって、合成樹脂粒子による凹凸を一層有効に賦形させることができ、更には複雑な3次元形状に対して高い追従性を有する優れた成形性を備えさせることができる。
離型層の形成は、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を調製し、これを基材層上に塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、当該樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
転写層は、支持体上に設けられ、意匠性を付与する役割を果たす層である。本発明の加飾シートと射出樹脂を一体成形した後に支持体を剥離除去すると、転写層は、加飾樹脂成形品の表面層を形成し、加飾樹脂成形品に低艶感のある意匠性が付与される。
保護層は、転写層を構成する層として、支持体と接面する層として必要に応じて設けられる。即ち、保護層は、離型層と装飾層の間に必要に応じて設けられる層である。装飾層の保護、耐汚染性や耐擦傷性等の向上、支持体の剥離性の向上等の観点から、本発明の加飾シートでは保護層を設けておくことが好ましい。
保護層の形成に使用される熱可塑性樹脂の種類については、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂;ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;塩化ビニル樹脂;ウレタン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂;エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂;ポリイミド;ポリ乳酸;ポリビニルアセタール樹脂;液晶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
保護層に使用される硬化性樹脂としては、その硬化反応のタイプについて、特に制限されず、熱硬化性樹脂、常温硬化型樹脂、電離放射線硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、2液反応硬化性樹脂等のいずれであってもよい。これらの硬化性樹脂の中でも、成形性及び表面物性を一層向上させるという観点から、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
保護層には、保護層に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
保護層の厚さについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚さを満たすと、離型層の凹凸形状に追従する形で、豊かな低艶感を表出させるための凹凸を効果的に保護層に形成させることができる。なお、ここで、保護層の厚さは、硬化樹脂を用いる場合には硬化後の保護層の厚さを意味する。
保護層の形成は、使用する樹脂の種類に応じた方法を採用すればよい。
プライマー層は、転写層を構成する層として、保護層を設ける場合に保護層と装飾層との間に必要に応じて設けられる層である。即ち、プライマー層は、保護層と装飾層の密着性を向上させるという観点から、本発明の加飾シートでは保護層を設けておくことが好ましい。
装飾層は、転写層を構成する層として、意匠性を付与するために設けられる層である。
接着層は、転写層を構成する層として、支持体とは反対側の表面層として必要に応じて設けられる。即ち、接着層は、本発明の加飾シートにおいて、支持体とは反対側の最表面を形成する層として必要に応じて設けられる。射出樹脂との一体成形を行う際に射出樹脂と加飾シートの密着性を高めるという観点からは、接着層を設けておくことが好ましい。
本発明の加飾シートは、例えば、下記の第1及び2工程を経て製造することができる。
基材層上に、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布し、硬化させることにより、基材層上に離型層が積層された積層体を得る第1工程、及び
前記第1工程で得られた積層体の離型層上に転写層を形成する第2工程。
本発明の支持体付き加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに射出樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の支持体付き加飾樹脂成形品は、少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の当該離型層上に、転写層及び射出樹脂層を順に有しており、当該離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする。図2に、本発明の支持体付き加飾樹脂成形品の好適な一態様について、その断面構造を示す。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、及び
前記工程で得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程。
本発明の加飾樹脂成形品は、前記支持体付き加飾樹脂成形品から支持体を剥離除去することにより得られるものである。前記支持体付き加飾樹脂成形品から支持体を剥離除去すると、離型層と転写層の界面が引き剥がされ、基材層と離型層が一体となって除去される。図3に、本発明の加飾樹脂成形品の好適な一態様について、その断面構造を示す。
実施例1〜3、5及び比較例1〜2
基材層として、方面に易接着剤層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフィルムの易接着剤層の面に、表1に示す組成の離型層形成用の樹脂組成物を硬化後の厚さが3μmとなるようにバーコーダーにより塗工し、離型層形成用塗布膜を形成した。この塗膜上から加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、離型層形成用塗布膜を硬化させることにより、基材上に離型層を形成した。次いで、離型層の上に、表1に示す組成の保護層形成用の樹脂組成物を硬化後の厚さが10μmとなるようにバーコーダーにより塗工し、保護層形成用塗布膜を形成した。この塗膜上から加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、保護層形成用塗布膜を硬化させて保護層を形成した。この保護層の上に、ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとをNCO当量とOH当量とが同量になるように含む;アクリル系ポリマーポリオールの未硬化時のガラス転移温度Tgは100℃)を含むプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビア印刷により塗工し、プライマー層(厚み1.5μm)を形成した。更に、プライマー層上に、アクリル系樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂をバインダー樹脂(アクリル樹脂50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂50質量%)として含む装飾層形成用黒色系インキ組成物を用いて、ヘアライン柄の装飾層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。更に、装飾層上に、アクリル系樹脂(軟化温度:125℃)を含む接着層形成用の樹脂組成物を用いて、接着層(厚さ4μm)をグラビア印刷により形成することにより、基材層/離型層/保護層/プライマー層/装飾層/接着層が順に積層された加飾シートを製造した。
保護層形成用の樹脂脂組成物として表1に示す熱可塑性樹脂を用いて厚さが10μmとなるようにグラビア印刷によって塗工し、乾燥させて保護層を形成したこと、プライマー層を形成したなったこと以外は、上記実施例1と同様の条件で加飾シートを製造した。
上記実施例及び比較例で得られた各加飾シートを金型に入れて、赤外線ヒーターで350℃7秒間加熱し、真空成形で金型内の形状に沿うように予備成形して型締した(最大延伸倍率100%)。その後、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該加飾シートと射出樹脂とを一体化成形し、支持体付き加飾樹脂成形品を得た。次いで、当該支持体付き加飾樹脂成形品から支持体(基材層及び離型層)を剥離除去することにより、加飾樹脂成形品を得た。
各実施例及び比較例で得られた加飾シートについて、以下の示す方法で、三次元成形性、低艶効果、表面状態を評価した。
加飾樹脂成形品の製造の際の予備成形後の加飾シートを冷却後、型から離型し、以下の判定基準に従って、三次元成形性を評価した。
(三次元成形性の判定基準)
◎:表面保護層に割れや白化が全く認められず、良好に型の形状に追従できた。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが実用上問題なし。
△:最大延伸部のみ、表面保護層に塗膜割れや白化が見られたが、その他の部分では良好であった。
×:型の形状に追従できずに表面保護層に著しい塗膜割れや白化が見られた。
加飾シート成形後の成形品表面について、JIS K 7105に準拠してグロスメーターを用いて、60°グロス値を測定した。
<表面性状>
各加飾シートの表面を手触りにて感触を確認し、以下の判定基準に従って、表面性状を評価した。
(表面性状の判定基準)
◎:絵柄層を形成するインキのムラが認められず、意匠性が極めて良好である。
○:絵柄層を形成するインキのムラが若干認められるが、全体として意匠性は良好である。
△:絵柄層を形成するインキのムラが認められ、意匠性が悪い。
×:絵柄層を形成するインキに顕著なムラが認められ、意匠性が著しく悪い。
結果を表1に示す。この結果から、基材層の片面に、少なくとも離型層及び転写層を順に有する加飾シートにおいて、離型層を電離放射線硬化性樹脂で形成し、且つ合成樹脂粒子を配合することによって、質感のある豊かな低艶感を実現すると共に、優れた三次元成形性を備え得ることが明らかとなった(実施例1〜4)。とりわけ、合成樹脂粒子としてアクリルビーズを使用した場合には、三次元成形性が格段に向上し、表面性状も極めて良好になることが確認された。これに対して、電離放射線硬化性樹脂にシリカを配合して離型層を形成した場合には、三次元成形性が不十分であり、商業的生産において実用化できるものではなかった(比較例1)。また、電離放射線硬化性樹脂に粒子を配合せずに離型層を形成した場合には、低艶効果が不十分であった(比較例2)。
表1中、離型層形成用の樹脂組成物において使用した樹脂成分の種類の略記は、以下の通りである。
(EB1)
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量;10,000) :94質量部
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量;6,000):6質量部
ポリオレフィンワックス :6質量部
(EB2)
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量;10,000):100質量部
ポリオレフィンワックス :6質量部
表1中、離型層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物中の含有粒子の略記については、以下の通りである。
アクリル:架橋型アクリル製のビーズ
シリコーン:架橋型シリコーン粒子
ウレタン:ウレタン樹脂製のビーズ(比重1.1〜1.2g/cm3、ガラス転移点-20〜-30℃)
シリカ:シリカ粒子(表面処理なし)
(EB3)
3官能ペンタエリスリトールアクリレート(重量平均分子量;300):40質量部
アクリルポリマー(重量平均分子量120,000) :60質量部
(アクリル樹脂)
アクリルポリマー
2 離型層
3 保護層
4 プライマー層
5 装飾層
6 接着層
7 射出樹脂層
10 支持体
11 転写層
Claims (10)
- 少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の前記離型層上に、転写層を有する加飾シートであって、
前記離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする、加飾シート。 - 前記電離放射線硬化性樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記合成樹脂粒子が、アクリルビーズ、シリーコンビーズ、及びウレタンビーズよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
- 前記離型層において、電離放射線硬化性樹脂100質量部当たり合成樹脂粒子が1〜70質量部含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記合成樹脂粒子の平均粒子径が0.5〜25μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記離型層の厚さが0.01〜5μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記転写層に保護層及び装飾層が含まれ、当該保護層が前記離型層と接面した状態で積層されている、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記保護層と装飾層の間にプライマー層が設けられている、請求項7に記載の加飾シート。
- 少なくとも基材層及び離型層を有する支持体の前記離型層上に、転写層及び射出樹脂層を順に有しており、
前記離型層が、合成樹脂粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されていることを特徴とする、支持体付き加飾樹脂成形品。 - 請求項9に記載の支持体付き加飾樹脂成形品から、支持体を除去することにより得られる、加飾樹脂成形品。
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