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JP2014062100A - 抗体処方 - Google Patents

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ウラ・トーベ・ラシュマー
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Abstract

【課題】抗CD20(ヒトBリンパ球限定分化抗原)抗体で、標準処方(30mMクエン酸塩、100mM NaCl、pH6.5など)に比べてより安定であるせん断および温度安定性抗体処方の提供。
【解決手段】治療上有効な量の抗CD20抗体を含む抗CD20抗体処方であって、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した抗CD20抗体処方。
【選択図】なし

Description

本発明は、せん断および温度安定性抗体処方に関する。
タンパク質は、従来の有機および無機薬剤より大きく複雑であり(すなわち、複雑な三次元構造に加えて多数の官能基を有し)、かかるタンパク質の処方は、特有の問題をもたらす。生物学的に活性な状態を維持するタンパク質について、処方は、少なくともタンパク質のアミノ酸のコア配列の完全な立体配座の統一性を保持すると同時に、分解からタンパク質の多数の官能基を保護しなければならない。タンパク質の分解経路は、化学的不安定性(すなわち、新規化学物質をもたらす開裂の結合形成によりタンパク質の修飾が関与する任意の処理)または物理的不安定性(すなわち、タンパク質の高次構造の変化)が関与しうる。化学的不安定性は、アミド分解、ラセミ化、加水分解、酸化、β脱離またはジスルフィド交換をもたらしうる。物理的不安定性は、例えば、変性、凝集、沈殿または中着をもたらしうる。3つの最も一般的なタンパク質分解経路は、タンパク質凝集、アミド分解および酸化である。Clelandら.Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 10(4):307−377(1993)。
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原またはBp35とも呼ばれる)は、プレBおよび成熟Bリンパ球にある約35kDの分子量を有する疎水性膜貫通型タンパク質である(Valentineら.(1989) J.Biol.Chem.264(19):11282−11287;およびEinfieldら.(1988) EMBO J.7(3):711−717)。CD20は、末梢血液またはリンパ器官からの90%以上のB細胞の表面上で見出され、初期プレB細胞産生中に発現され、形質細胞分化まで残存している。CD20は、正常B細胞ならびに悪性B細胞の両方に存在している。特に、CD20は、90%以上のB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)上に発現されている(Andersonら.(1984) Blood 63(6):1424−1433)が、造血幹細胞、プレB細胞、正常形質細胞、または他の正常組織では見出されていない(Tedderら.(1985) J.Immunol.135(2):973−979)。
CD20タンパク質の85個のアミノ酸カルボキシル末端領域は、細胞質内に位置している。該領域の長さは、他のB細胞特異的表面構造のもの、例えば、それぞれ、3、3、28、15、および16個のアミノ酸の比較的短い細胞質内領域を有する、IgM、IgD、およびIgG重鎖またはクラスII組織適合性抗原のα鎖またはβ鎖と対比する(Komaromyら.(1983) NAR 11:6775−6785)。最終61個のカルボキシル末端アミノ酸のうち、21個は酸性残基であり、一方、2個のみは塩基性であるため、該領域が強い正味の負電荷を有することを示す。GenBank受入番号はNP.sub.−−690605である。
CD20が、B細胞の活性化および分化プロセスにおける初期段階(複数でも可)の調節に関与してもよく(Tedderら.(1986) Eur.J.Immunol.16:881−887)、カルシウムイオンチャネルとして機能しうる(Tedderら.(1990) J.Cell.Biochem.14D:195)と考えられている。
B細胞の増殖および/または分化を促進するCD20の実際の機能については不明確にもかかわらず、それは、癌および自己免疫疾患に関与するB細胞を制御または殺すための抗体介在療法の重要な標的を提供する。特に、腫瘍細胞、例えば、NHLにおけるCD20の発現は、それをCD20陽性腫瘍細胞に対する特異的標的治療剤の抗体介在療法の重要な標的とする。
WO2004/035607において2F2抗体として記載の、HuMax−CD20(商標)(オファツムマブ)は、B細胞の細胞膜中のCD20分子を標的とした完全ヒトIgG1、κ高親和性抗体である。HuMax−CD20(商標)は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および関節リウマチ(RA)の治療のために臨床開発している。Teelingら,Blood,104,pp 1793(2004);およびTeelingら,J.Immunology,177,pp 362−371(2007)も参照。
治療的使用に適当である抗体を含むせん断および温度安定性医薬処方を処方する必要がある。1の実施態様において、抗体はモノクローナル抗体でありうる。別の実施態様において、抗体は、限定されるものではないが、オファツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、オクレリズマブ(2H7.v16)、11B8または7D8(WO2004/035607に開示)、WO2005/103081に開示の抗CD20抗体、例えば、C6、WO2003/68821に開示の抗CD抗体、例えば、IMMU−106(Immunomedicsから)、WO2004/103404に開示の抗CD20抗体、例えば、AME−133(Applied Molecular Evolution/Lillyから)、およびUS2003/0118592に開示の抗CD20抗体、例えば、TRU−015(Trubion Pharmaceuticals Incから)を含む、抗CD20抗体でありうる。
国際公開第2004/035607号パンフレット 国際公開第2005/103081号パンフレット 国際公開第2003/68821号パンフレット 国際公開第2004/103404号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0118592号明細書
Clelandら.Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 10(4):307−377(1993) Valentineら.(1989) J.Biol.Chem.264(19):11282−11287 Einfieldら.(1988) EMBO J.7(3):711−717 Andersonら.(1984) Blood 63(6):1424−1433 Tedderら.(1985) J.Immunol.135(2):973−979 Komaromyら.(1983) NAR 11:6775−6785 Tedderら.(1986) Eur.J.Immunol.16:881−887 Tedderら.(1990) J.Cell.Biochem.14D:195 Teelingら,Blood,104,pp 1793(2004) Teelingら,J.Immunology,177,pp 362−371(2007)
本発明は、せん断および温度安定性水性抗体処方に関する。
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様によって範囲を限定されるものではない。実際には、本明細書に記載の発明に加えて発明の種々の修正は、前記の説明から当業者に明らかになるであろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることを意図とする。
1の実施態様は全長モノクローナル抗CD20抗体処方に適しているが、他の種類の抗体、例えば、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体の断片の処方にも用いられうる。
1の実施態様において、本発明は、治療上有効な量の抗CD抗体を含む抗CD20抗体処方に関し、ここで、該処方は、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した。
別の実施態様において、本発明は、20〜300mg/mLの濃度範囲の抗CD20抗体を含む抗CD20抗体処方に関し、ここで、該処方は、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整した。別の実施態様において、抗体は、抗CD20抗体断片、例えば、モノクローナル抗体断片である。好ましい抗CD20抗体はオファツムマブである。
1の実施態様において、本発明は、治療上有効な量のオファツムマブを含むオファツムマブ処方に関し、ここで、該処方は、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した。
1の実施態様において、本発明は、20〜300mg/mLの濃度範囲のオファツムマブを含むオファツムマブ処方に関し、ここで、該処方は、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整した。
さらに別の実施態様において、本発明は、少なくとも2年間安定である抗CD20抗体処方に関する。別の実施態様において、本発明は、少なくとも55℃までの温度にて安定である抗CD20抗体処方に関する。別の実施態様において、本発明は、約5℃の温度にて少なくとも2年間安定である抗CD20抗体処方に関する。別の実施態様において、本発明は、約25℃の温度にて少なくとも3ヵ月間安定である抗CD20抗体処方に関する。別の実施態様において、本発明は、約40℃の温度にて少なくとも1ヵ月間安定である抗CD20抗体処方である。別の実施態様において、本発明は、約55℃の温度にて少なくとも1日間安定である抗CD20抗体処方に関する。別の実施態様において、本発明は、振盪させながら約5〜55℃の温度範囲にて少なくとも1日間安定である抗CD0抗体処方である。別の実施態様において、本発明は、振盪させながら約5〜25℃、5〜35℃、5〜45℃、10〜25℃、10〜35℃、10〜45℃、10〜55℃、20〜35℃、20〜45℃、または20〜55℃の温度範囲にて少なくとも1日間安定である抗CD20抗体処方に関する。
別の実施態様において、本発明は、抗体が約20〜300mg/mL、50〜300mg/mL、100〜300mg/mL、150〜300mg/mL、200〜300mg/mL、または250〜300mg/mLの量で存在する抗CD20抗体処方に関する。
別の実施態様において、本発明は、酢酸ナトリウムが約50mM、40mM、45mM、55mM、または60mMの量で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、酢酸ナトリウムは、10〜100mM、20〜100mM、30〜100mM、40〜100mM、50〜100mM、60〜100mM、70〜100mM、25〜80mM、または30〜70mMの量で存在していてもよい。
さらに別の実施態様において、本発明は、約pH5.5に調整するために酢酸が(約100mM酢酸)で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、pHは、pH5.0、5.5、6.0、6.5または7.0に調整されてもよい。本発明のさらに他の実施態様において、NaOHまたはHClは、pHを5.0、5.5、6.0、6.5または7.0に調整するために用いられる。
さらに別の実施態様において、本発明は、塩化ナトリウムが約51mM、45mM、46mM、47mM、48mM、49mM、50mM、52mM、53mM、54mM、55mMの量で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、塩化ナトリウムは、25〜100mM、35〜90mM、45〜80mM、25〜70mM、または45〜70mMの量で存在していてもよい。
別の実施態様において、本発明は、アルギニン遊離塩基が約1%、0.7%、1.3%、または2.0%の量で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、アルギニン遊離塩基は、0.5〜5.0%、0.5〜2.0%、0.5〜2.5%、0.5〜3.0%、0.5〜3.5%、0.5〜4.0%、または0.5〜4.5%であってもよい。
別の実施態様において、本発明は、EDTAが約0.05mM、0.03mM、0.04mM、または0.06mMの量で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、EDTAは、0.02mM〜0.2mM、0.02mM〜0.1mM、0.02mM〜0.15mM、0.04mM〜0.1mM、0.03mM〜0.15mM、または0.03mM〜0.2mMの量で存在していてもよい。
別の実施態様において、本発明は、ポリソルベート80が約0.02%、0.015%、または0.025%の量で存在する抗CD20抗体処方に関する。他の実施態様において、ポリソルベート80は、0.01〜0.1%、0.01〜0.15%、0.02〜0.2%、0.02〜0.15%、0.01〜0.25%、または0.01〜0.05%の量で存在していてもよい。
別の実施態様において、本発明は、治療上有効な量の抗CD20抗体を含む本発明の抗CD20抗体処方を哺乳動物に投与することによってCD20を発現する細胞が関与する疾患を治療する方法に関し、ここで、該処方は、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した。治療(例えば、改善)または予防されうる「CD20を発現する細胞が関与する疾患」の例として、限定されるものではないが、腫瘍形成疾患および免疫疾患、例えば、自己免疫疾患が挙げられる。治療および/または予防されうる腫瘍形成疾患の例として、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫および成熟B細胞腫瘍、例えば、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞プロリンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度FLを含む、濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、節性および脾性)、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および未分化大細胞リンパ腫(ALCL)を含む、B細胞リンパ腫、例えば、NHLが挙げられる。治療および/または予防されうるCD20を発現するB細胞が関与する免疫疾患の例として、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、湿疹、喘息、アテローム性動脈硬化、白血球接着不全症、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年型糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体性腎炎、IgA腎症、IgM多発ニューロパシー、免疫介在性血小板減少症、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、重症筋無力症、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ヴェグナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性伝染性単核球症、HIV、およびヘルペスウイルス関連疾患が挙げられる。さらなる例は、重度の急性呼吸窮迫症候群および脈絡網膜炎である。さらにさらなる例は、B細胞とウイルス、例えば、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)との感染が原因である疾患および障害である。さらにさらなる例はCOPDである。
さらに別の実施態様において、本発明は、治療上有効な量の抗CD20抗体を含む本発明の抗CD20抗体処方を哺乳動物に投与することによってCD20を発現する細胞が関与する疾患を治療する方法に関し、ここで、該処方は、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整して、該安定性抗体処方は、哺乳動物に経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、経膣投与、経直腸投与、舌投与、舌下投与、口腔内投与、経皮投与、静脈内投与、または皮下投与される。
さらに別の実施態様において、本発明は、20〜300mg/mLの濃度範囲の抗CD20抗体を含む本発明の抗CD20抗体処方を哺乳動物に投与することによってCD20を発現する細胞が関与する疾患を治療する方法に関し、ここで、該処方は、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整した。好ましい抗CD20抗体はオファツムマブである。
前述の概要説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示および説明のためのものであり、特許請求の範囲の発明をさらに説明することを意図とするものであることが理解されるべきである。
添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれており、本明細書の一部となり、本明細書の一部を構成し、本発明のいくつかの実施態様、および本発明の原理を説明するのに有用な説明と一緒に説明するものである。
図1は、二通りの20mg/mL(30mMクエン酸塩、100mM NaCl、pH6.5)の抗CD20抗体の標準処方(RefMat)を示す。 図2は、二通りの20mg/mL(50mM酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム(51mM)、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80、HClでpHを5.5に調整)の抗CD20抗体の本発明(PlatForm)処方の1の実施態様を示す。 図3は、DSCによる本発明(PlatForm)の処方実施態様および標準処方バッファー(RefMat)における抗CD20抗体の熱安定性の比較を図示する。熱力学的に、見掛けTmの変化が処方間で0.5℃未満であるので、2種の処方はそのDSCプロファイルに見られるように類似している。
本発明の1の実施態様は、せん断および温度安定性抗体処方に関する。
別の実施態様において、本発明は、高温および55℃での振盪の同時応力条件下の処方で見られる予想外の安定性を提供する。
本発明のさらなる実施態様は、標準処方(例えば、30mMクエン酸塩、100mM NaCl、pH6.5)に比べてより安定な処方である。本発明の処方は、応力条件に曝された場合に沈殿の減少(透明な状態)を示したが、標準処方は凝集していた。そのDSC(示差走査熱量計)プロファイルに見られるように、熱力学的に2種の処方は類似しているので、この結果は予測不可能であった。
本発明の記載において、特定の用語は、以下に定義するように用いられる。
「タンパク質処方」または「抗体処方」なる語は、活性成分の生物活性が明らかに有効となるようなかかる形態であって、処方が投与されるであろう対象に対し毒性がある付加的な成分を含有しない製剤をいう。
「医薬上許容される」賦形剤(ビヒクル、添加剤)は、用いられる活性成分の有効量を与えるために対象哺乳動物に適当に投与されうるものである。例えば、賦形剤の濃度はまた、注射の適合性に関連する。
「安定な」処方は、その中のタンパク質が、本質的には、保存するとその物理的および/または化学的安定性ならびに/あるいは生物活性を保持するものである。タンパク質の安定性を測定する種々の分析法は、当該分野にて利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs (1991) and Jones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)に掲載されている。安定性は、選択された温度にて選択された時間測定されうる。好ましくは、処方は、常温または40℃にて少なくとも1ヶ月間安定ならびに/あるいは2〜8℃にて少なくとも1〜2年間安定である。さらに、処方は生成物の凍結(例えば、−70℃まで)および解凍の後で安定でありうることが望ましい。
色および/または透明度の外観試験によって観察される、あるいはUV光散乱(可視化凝集物を測定する)またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定されるような凝集、沈殿および/または変性の変化をほとんどまたは全く示さない場合、タンパク質は、生物医薬処方において「その物理的安定性を保持する」。SECは、必ずしも可視化凝集物の前駆体ではない可溶性凝集物を測定する。
所定の時間での化学的安定性が、タンパク質が下記のその生物活性を保持すると考えられるようなものである場合、タンパク質は、生物医薬処方において「その化学的安定性を保持する」。化学的に分解された種は、生物学的に活性でかつ化学的に不安定でありうる。化学的安定性は、タンパク質の化学的に変化した形態を検出および定量化することによって評価されうる。化学変化は、SEC、例えば、SDS−PAGEおよび/またはマトリックス関連レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を用いて評価されうるサイズ修正(例えば、クリッピング)が関与しうる。他の種類の化学変化には、例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより評価されうる荷電変化(例えば、変性の結果として生じるもの)が含まれる。
所定の時間での抗体の生物活性の変化が、抗原結合アッセイにおいて決定される医薬処方を調製した時点で示される生物活性の約10%以内(アッセイの誤差内)である場合、抗体は、医薬処方において「その生物活性を保持する」。抗体の他の「生物活性」アッセイは、以下に詳述されている。
「等張な」なる語は、目的処方が本質的にヒト血液と同じ浸透圧を有することを意味する。1の実施態様において、本発明の等張な処方は、一般に、250〜350mOsmの範囲の浸透圧を有するであろう。他の実施態様において、本発明の等張な処方は、約350〜450mOsmの浸透圧を有するであろう。さらに別の実施態様において、本発明の等張な処方は、450mOsmを超える浸透圧を有するであろう。等張性は、例えば、蒸気圧型または氷結型浸透圧計を用いて測定されうる。
本明細書に用いられる、「バッファー」とは、その酸−塩基共役成分の作用によってpHの変化に耐える緩衝化溶液をいう。1の実施態様において、本発明のバッファーは、約4.5〜約6.0の範囲のpH;別の実施態様において、約4.8〜約5.8;さらなる実施態様において、約5.5のpHを有する。該範囲でpHを調整するであろうバッファーの例として、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(例えば、コハク酸ナトリウム)、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩および他の有機酸バッファーが挙げられる。凍結融解に安定な処方が望ましい場合、バッファーは、好ましくはリン酸塩ではない。
医薬の意味において、本発明を鑑みると、抗体の「治療上有効な量」は、治療において抗体が有効である障害の予防または治療に有効な量をいう。「障害」は、抗体での治療から恩恵を受けるであろう任意の病態である。これには、哺乳動物が問題となっている障害に罹患しやすくなる病状を含む慢性および急性障害または疾患が含まれる。好ましい実施態様において、「障害」はCD20を発現する細胞が関与する疾患である。
「保存剤」は、本質的に細菌作用を低下させるために処方に含まれうる化合物であり、そのため、例えば、多用途処方の製造を促進する。潜在的な保存剤の例として、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンズアルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが挙げられる。他の種類の保存剤として、芳香族アルコール類似、例えば、フェノール、ブチルアルコールおよびベンジルアルコール、アルキルパラベン類、例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾールが挙げられる。本明細書において最も好ましい保存剤はベンジルアルコールである。
「抗体」なる語は、最も広い意味で用いられ、特に、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限りは抗体断片を包含する。
「抗体断片」は、全長抗体の一部、一般的には、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;ダイアボディ(diabodies);線状抗体;一本鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重抗体が挙げられる。
本明細書に用いられる「モノクローナル抗体」なる語は、実質的に同種の抗体、すなわち、少量で存在しうる可能性のある天然由来の変種を除けば同一である群を含む個々の抗体の群から得られた抗体をいう。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一抗原部位に対して作製される。さらに、典型的に異なるデターミナント(エピトープ)に対して作製される異なる抗体を含む通常(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一決定基に対して作製される。「モノクローナル」なる修飾句は、抗体の実質的に同種の群から得られるような抗体の特徴を示し、特定の方法によって抗体の必要な群と解釈されるものではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)に初めて記載されたハイブリドーマ法によって作製されうるか、または組み換えDNA法によって作製されうる(例えば、米国特許番号第4,816,567号を参照)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-626 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載の技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されうる。
「ヒト化」形態のヒト以外(例えば、マウス)抗体は、ヒト以外の免疫グロブリンから生じる最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体はほとんど、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたはヒト以外の霊長類などのヒト以外の種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応するヒト以外の残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体でまたはドナー抗体で見出されない残基を含んでいてもよい。抗体をさらに精製するためにこれらの修飾が行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てのまたは実質的に全ての超可変領域がヒト以外の免疫グロブリンのものに相当し、全てのまたは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである、実質的に全ての少なくとも1個、典型的には2個の可変領域を含むであろう。ヒト化抗体はまた、所望により、少なくとも一部の免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照。
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVL領域を含み、ここで、該領域は、単一ポリペプチド鎖に存在する。一般には、Fvポリペプチドは、sFvが抗体結合の所望の構造を形成できるようにするVHおよびVL領域間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. Springer-Verlag, N.Y., pp. 269-315 (1994)を参照。
「ダイアボディ」なる語は、断片が同一ポリペプチド鎖(VHおよびVL)中に軽鎖可変領域(VL)に結合した重鎖可変領域(VH)を含む、2個の抗原結合部位を有する小型抗体断片をいう。あまりにも短すぎて同一鎖上の2個の領域間で組み合わせることができないリンカーを用いることによって、領域は、別の鎖の相補的な領域と組み合わせられ、2個の抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)にさらに詳しく記載されている。
本願に用いられる「線状抗体」なる表現は、Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)に記載の抗体をいう。つまり、これらの抗体は、一組の抗原結合領域を形成する一組の直列Fdセグメント(VH−−CH−−VH1−−CH1)を含む。線状抗体は、二重特異性または単一特異性でありうる。
処方される抗体は、好ましくは本質的に純粋であり、望ましくは本質的に同種である(すなわち、夾雑タンパク質などを含まない)。「本質的に純粋な」抗体は、組成物の総重量に対し、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の抗体を含む組成物を意味する。「本質的に同種の」抗体は、組成物の総重量に対し、少なくとも99重量%の抗体を含む組成物を意味する。
「治療」は、治療的処置および予防的処置または予防対策の両方をいう。治療を必要とするものには、すでに障害を伴うものならびに障害を予防すべきものが含まれる。
治療対象の「哺乳動物」は、限定されるものではないが、ヒト、家畜および農用動物、ならびに動物園の、スポーツ用、またはペット用動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、およびウシを含む、哺乳動物に分類される任意の動物をいう。
「応力条件」は、タンパク質に化学的および物理的に不適であり、許容されないタンパク質安定性(例えば、熱、せん断、化学的応力)を与えうる環境をいう。
サイズ排除クロマトグラフィーは、粒子がそのサイズまたは流体力学的容量に基づき分離されるクロマトグラフ法である。
動的光散乱は、タンパク質散乱の時間依存性を測定する方法である。従来、該時間依存性は、分子の流体力学半径を得るために処理される。
「DSC」は、示差走査熱量測定をいう:DSC収集パラメータは、限定されるものではないが、1mg/mlタンパク質、70℃/時間の走査速度を有する5〜80℃のスキャンおよび15分の待ち時間(prewait)でありうる。バッファー−バッファースキャンは最初に得られ、生データから差し引かれうる。データは、バッファーを補正し、タンパク質濃度を正常化し、次いで、プロットされうる。凝集は基準値補正を妨げることができる。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図とするものではなく、本発明のさらなる理解を提供するものである。
本発明は、本発明を説明することを意図とする以下の実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることを意図とするものではない。本明細書の開示を考慮しても、本発明の多くの修正および変更は可能であり、そのため、本発明の範囲内にある。以下の実施例は、標準的方法を用いて行われ、かかる標準的方法は、特に詳細に記載されている場合を除き、当業者に周知かつありふれたものである。
実施例1.1:プラットフォーム処方バッファーの調製
本発明の1の実施態様において、4リットルの酢酸バッファーを調製した。この実施態様において、最終バッファーは、50mM酢酸ナトリウム、0.05mM EDTA、51mM NaCl、1.0%アルギニン、0.02%ポリソルベート80、pH5.5から成っていた。酢酸ナトリウム三水和物、エデト酸二ナトリウム(EDTA)、ポリソルベート80およびL−アルギニン遊離塩基を3.5Lの脱イオン水に溶解することによってバッファーを調製した。pHを3N HClを用いて5.5に調製したらすぐに、容量を4.0Lまで引き上げ、バッファーを0.45μmフィルターユニットを用いて濾過した。次いで、使用するまでバッファーを2〜8℃にて保存しうる。本願に記載の「%」なる語句は、「容量%」を示す。
実施例2.1:プラットフォーム処方バッファー中のオファツムマブの調製
本発明の1の実施態様において、オファツムマブを、プラットフォーム処方(50mM酢酸ナトリウム、51mM NaCl、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80、および1.0%アルギニン(遊離塩基))に透析濾過し(diafiltrated)、安定にするために濃縮した。オファツムマブを、3種の膜を伴うラボスケールタンジェンシャルフローシステム(lab-scale tangential flow system)を用いてプラットフォーム処方に透析濾過した。プラットフォームバッファーに透析濾過した後、オファツムマブを179mg/mLの最大濃度に濃縮した。全てのプロセルを終えるのに操作時間は約3日かかり、収率は96.1%であった。約20−179mg/mLの濃度範囲を研究できるように、179mg/mLの一部をプラットフォーム処方バッファーで希釈した。
実施例3.1:外観(GA)直接比較のための標準およびプラットフォーム処方中のオファツムマブの調製
12週間以上の外観の直接比較および振盪実験のために、抗CD20抗体(オファツムマブ)を20mg/mLの濃度で標準処方およびプラットフォーム(本発明の1の実施態様)処方中に調製した。
標準およびプラットフォーム処方の抗CD20抗体を、低タンパク質結合0.2μm膜フィルターを用いて濾過した。濾過後、きれいなドラフト中で無菌操作を用いて各処方を5ccバイアル中に3mL充填し、栓をし、圧着した。各処方の2つのバイアルを、温度調節して振盪機上に置いた。バイアルを、55℃の温度にて325rpmで振盪した。加熱振盪している間、42時間にわたって一定時間ごとに、実施例3.2に記載するように、外観を観察した。図1および2は、それぞれ、加熱振盪の18.5時間後の、標準およびプラットフォーム処方を示す。振盪研究の全体の外観結果は、プラットフォームより急速に55℃の温度にて振盪させる場合に、標準処方が時間とともに粒子を生成するであろうことを示した。
実施例3.2:GA、18.5時間の振盪研究−外観オファツムマブ、20および100mg/mL
抗CD20モノクローナル抗体の振盪研究サンプルの外観(GA)を以下の表に示す。色、透明度および可視粒子状物質を記載するIgG抗体溶液に用いられうる一般法を用いてGAを達成した。
Figure 2014062100
実施例4:示差走査熱量測定(DSC)による標準およびプラットフォームバッファー中のオファツムマブ溶液の熱安定性の測定
DSCによる試験を適正に終了するために、バッファー単独およびタンパク質とのスキャンを得た。標準およびプラットフォーム処方中のタンパク質を、実施例4.1に示すように1mg/mLに希釈した。各スキャン前に15分平衡化して70℃/時間の走査速度で5〜80℃スキャンするようにDSCを設定してデータを得た。DSCサンプル細胞の容量は、約0.5mLであった。バッファーおよびタンパク質のスキャンを得た後、次いで、バッファースキャンをタンパク質スキャンから差し引くことができた。サンプル中のタンパク質濃度を、各スキャン中の濃度を補正するために得た(実施例4.2を参照)。Tunの値、℃、変性の開始、Tm、℃、(転移最大値での) 変性温度およびT1/2、℃、半分の高さでのピーク幅(転移の三次構造および共同性の変化を示す)を、各処方のオファツムマブについて得た(実施例4.3を参照)。実際のDSCスキャンは図3にて見ることができる。DSCの結果に基づき、標準処方中またはプラットフォーム処方中のいずれかのオファツムマブは、類似のDSCプロファイルを有しているため、類似の熱安定性を有することが期待されるであろう。
実施例4.1:オファツムマブpH研究の生物物理学的特性評価のためのサンプル調製:
Figure 2014062100
実施例4.2:A280測定
Figure 2014062100
実施例4.3:DSC結果
Figure 2014062100
より詳細な実施態様において、本発明の抗CD20抗体処方は、発がん性障害、例えば、B細胞リンパ腫、例えば、NHLを含むCD20を発現する腫瘍細胞の存在によって特徴づけられる障害を伴う対象を治療するために用いられうる。治療および/または予防されうる発がん性疾患の例として、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫および成熟B細胞腫瘍例えば、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞プロリンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度FLを含む、濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、節性および脾性)、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および未分化大細胞リンパ腫(ALCL)を含む、B細胞リンパ腫、例えば、NHLが挙げられる。
非ホジキンリンパ腫のさらなる例は、リンパ腫様肉芽腫症、 原発性滲出液リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、 縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、重鎖病(γ、μ、およびα病を含む)、免疫抑制剤での療法によって誘発されるリンパ腫、例えば、シクロスポリン誘発性リンパ腫、およびメトトレキサート誘発性リンパ腫である。
さらなる実施態様において、本発明の抗CD20抗体処方は、ホジキンリンパ腫を治療するために用いられうる。
本発明の抗CD20抗体処方によって治療および/または予防されうるCD20を発現する細胞が関与する免疫障害(疾患)の例として、自己免疫疾患、例えば、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、湿疹、喘息、アテローム性動脈硬化、白血球接着不全症、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年型糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体性腎炎、IGA腎症、IGM多発ニューロパシー、免疫介在性血小板減少症、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、重症筋無力症、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ヴェグナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性伝染性単核球症、HIV、およびヘルペスウイルス関連疾患が挙げられる。さらなる例は、急性呼吸窮迫症候群および脈絡網膜炎である。さらに、他の疾患および障害には、B細胞とウイルス、例えば、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)との感染によって引き起こされるかまたは媒介されるものが含まれる。
自己抗体および/または過剰なBリンパ球活性が顕著であって、本発明の抗CD20抗体処方によって治療および/または予防されうる炎症、免疫および/または自己免疫疾患のさらなる例として、以下:
血管炎および他の血管障害、例えば、顕微鏡的多発性血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、および他のANCA関連血管炎、結節性多発動脈炎、本態性クリオグロブリン血症性血管炎(essential cryoglobulinaemic vasculitis)、皮膚白血球破砕性血管炎、川崎病、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、原発性または単離性脳血管炎、結節性紅斑、閉塞性血栓血管炎、血栓性血小板減少性紫斑病(溶血性尿毒症症候群を含む)、および皮膚白血球破砕性血管炎を含む、続発性血管炎(例えば、B型肝炎、C型肝炎、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、B細胞腫瘍、関節リウマチ、シェーグレン症候群、または全身性エリテマトーデスに続発する)が挙げられる;さらなる例は、結節性紅斑、アレルギー性血管炎、脂肪織炎、ウェーバー・クリスチャン病、高グロブリン血症性紫斑病、およびバージャー病;皮膚障害、例えば、接触性皮膚炎、線状IgA皮膚症、白斑、壊疽性膿皮症、後天性表皮水疱症、尋常性天疱瘡(瘢痕性類天疱瘡および水疱性類天疱瘡を含む)、円形脱毛症(全身性脱毛症および完全脱毛症を含む)、疱疹状皮膚炎、多形性紅斑、および慢性自己免疫性じんましん(血管神経性浮腫およびじんましん様血管炎を含む);免疫介在性血球減少症、例えば、自己免疫性好中球減少症、および赤芽球癆;結合組織疾患、例えば、CNSループス、円板状紅斑性狼瘡、CREST症候群、混合型結合組織疾患、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、続発性アミロイドーシス、I型およびII型クリオグロブリン血症、線維筋痛、リン脂質抗体症候群、続発性血友病、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシス、スティフマン症候群、およびリウマチ熱である;さらなる例は、好酸球性筋膜炎;関節炎、例えば、強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、成人スティル病、およびSAPHO症候群である;さらなる例は、仙腸骨炎、反応性関節炎、スティル病、および痛風;血液疾患、例えば、無形成性貧血、原発性溶血性貧血(寒冷凝集素症候群を含む)、CLLまたは全身性エリテマトーデスに続発する溶血性貧血;POEMS症候群、悪性貧血、およびヴァルデンストレーム高グロブリン血症性紫斑病である;さらなる例は、無顆粒球症、自己免疫性好中球減少症、フランクリン病、セリグマン(Seligmann)病、μ鎖病、胸腺腫およびリンパ腫に続発する腫瘍随伴症候群、およびVIII因子インヒビター形成;内分泌障害、例えば、多腺性内分泌障害、およびアジソン病である;さらなる例は、自己免疫性低血糖症、自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性インスリン症候群、ド・ケルヴァン甲状腺炎、およびインスリン受容体抗体介在性インスリン抵抗性;肝−消化器疾患、例えば、セリアック病、ウィップル病、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、および原発性硬化性胆管炎である;さらなる例は、自己免疫性胃炎;腎症、例えば、急速進行性糸球体腎炎、連鎖球菌感染後腎炎、グッドパスチャー症候群、膜性糸球体腎炎、およびクリオグロブリン血症腎炎である;さらなる例は、微小変化型疾患;神経障害、例えば、自己免疫性腎症、多発単神経炎、ランバート・イートン(Lambert−Eaton)筋無力症候群、シデナム舞踏病、脊髄癆、およびギラン・バレー症候群である;さらなる例は、ミエロパシー/熱帯性痙性不全対麻痺、重症筋無力症、急性炎症性脱髄性多発神経障害、および慢性炎症性脱髄性多発神経障害;心疾患および肺疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、線維化性肺胞炎、閉塞性細気管支炎、アレルギー性アスペルギルス症、嚢胞性線維症、レフラー症候群、心筋炎、および心膜炎である;さらなる例は、過敏性肺炎、および肺癌に続発する腫瘍随伴症候群;アレルギー疾患、例えば、気管支喘息および高IgE症候群である;さらなる例は、一過性黒内障;眼科疾患、例えば、特発性脈絡網膜炎;感染症、例えば、パルボウイルスB型感染(ハンズ・アンド・ソックス(hands−and−socks)症候群を含む);および婦人科−産科疾患、例えば、反復流産、習慣性流産、および子宮内発育遅延である;さらなる例は、婦人科腫瘍に続発する腫瘍随伴症候群;男性生殖疾患、例えば、精巣悪性腫瘍に続発する腫瘍随伴症候群;ならびに、移植による疾患、例えば、同種移植および異種移植拒絶反応、および移植片対宿主疾患である。
1の実施態様において、CD20を発現する細胞が関する疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、若年型糖尿病、多発性硬化症、免疫介在性血小板減少症、例えば、特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血を含む)、重症筋無力症、全身性硬化症、または尋常性天疱瘡から選択される炎症性、免疫および/または自己免疫疾患である。
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様によって範囲が限定されるものではない。実際に、本明細書に記載のものに加えて本発明の種々の修正は、当業者には外国語明細書から明らかになるであろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることを意図とする。

Claims (25)

  1. 治療上有効な量の抗CD20抗体を含む抗CD20抗体処方であって、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した抗CD20抗体処方。
  2. 抗CD20抗体が、モノクローナル抗CD20抗体断片および全長抗CD20抗体からなる群より選択される、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  3. 抗CD20抗体がモノクローナル抗体である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  4. 処方が、約5℃の温度にて少なくとも2年間安定である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  5. 処方が、約25℃の温度にて少なくとも3ヶ月間安定である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  6. 処方が、約40℃の温度にて少なくとも1ヶ月間安定である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  7. 処方が、約55℃の温度にて少なくとも1日間安定である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  8. 処方が、振盪させながら約5〜55℃の温度範囲にて少なくとも1日間安定である、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  9. 抗CD20抗体が約20〜300mg/mLの量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  10. 酢酸ナトリウムが約50mMの量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  11. 抗CD20抗体処方が約pH5.5である、請求項1記載のCD20抗体処方。
  12. 塩化ナトリウムが約51mMの量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  13. アルギニン遊離塩基が約1%の量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  14. EDTAが約0.05mMの量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  15. ポリソルベート80が約0.02%の量で存在する、請求項1記載の抗CD20抗体処方。
  16. 20〜300mg/mLの濃度範囲の抗CD20抗体を含む抗CD20抗体処方であって、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整した抗CD20抗体処方。
  17. 20〜300mg/mLの濃度範囲のオファツムマブを含むオファツムマブ抗体処方であって、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整したオファツムマブ抗体処方。
  18. 哺乳動物におけるCD20を発現する細胞が関与する疾患の治療方法であって、治療上有効な量の抗CD20抗体を含む抗CD20抗体処方であって、10〜100mM酢酸ナトリウム、25〜100mM塩化ナトリウム、0.5〜5%アルギニン遊離塩基、0.02〜0.2mM EDTA、0.01〜0.2%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.0〜7.0に調整した抗CD20抗体処方を投与することを含む、方法。
  19. 哺乳動物におけるCD20を発現する細胞が関与する疾患の治療方法であって、20〜300mg/mLの濃度範囲のオファツムマブを含むオファツムマブ抗体処方であって、50mM酢酸ナトリウム、51mM塩化ナトリウム、1%アルギニン遊離塩基、0.05mM EDTA、0.02%ポリソルベート80をさらに含み、pH5.5に調整したオファツムマブ抗体処方を投与することを含む、方法。
  20. 処方が、静脈または皮下経路によって哺乳動物に投与される、請求項18または19記載の方法。
  21. CD20を発現する細胞が関与する疾患が、腫瘍形成疾患および免疫疾患からなる群より選択される、請求項18または19記載の方法。
  22. 腫瘍形成疾患が、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫および成熟B細胞腫瘍、例えば、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞プロリンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度FLを含む、濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、節性および脾性)、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および未分化大細胞リンパ腫(ALCL)からなる群より選択されるB細胞リンパ腫である、請求項21記載の方法。
  23. 免疫疾患が、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、湿疹、喘息、アテローム性動脈硬化、白血球接着不全症、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年型糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体性腎炎、IgA腎症、IgM多発ニューロパシー、免疫介在性血小板減少症、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、重症筋無力症、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ヴェグナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性伝染性単核球症、HIV、およびヘルペスウイルス関連疾患からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
  24. 抗CD20抗体が、リツキシマブ、トシツモマブ、オクレリズマブ、7D8、11B8、C6、IMMU−106、AME−133、およびTRU−015からなる群より選択される、請求項1または16記載の抗CD20抗体処方。
  25. CD20を発現する細胞が関与する疾患がCOPDである、請求項18または19記載の方法。
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