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JP2014056143A - トナー、該トナーの製造方法、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

トナー、該トナーの製造方法、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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JP2014056143A
JP2014056143A JP2012201512A JP2012201512A JP2014056143A JP 2014056143 A JP2014056143 A JP 2014056143A JP 2012201512 A JP2012201512 A JP 2012201512A JP 2012201512 A JP2012201512 A JP 2012201512A JP 2014056143 A JP2014056143 A JP 2014056143A
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Katsunobu Kurose
克宣 黒瀬
Ryuta Inoue
竜太 井上
Junji Yamamoto
淳史 山本
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Abstract

【課題】本発明は、優れた低温定着性及び耐熱保存性を両立し、部材汚染が少なく、製造の安定性が高いトナーを提供することを目的とする。
【解決手段】第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコアとし、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であること特徴とするトナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを用いる画像形成技術に適応したトナーとその製造方法、及び該トナーを用いたプロセスカートリッジに関する。
電子写真プロセスにおいて近年、装置の消費するエネルギーを低減することが求められているが、電子写真プロセスでは多くのエネルギーをこの定着プロセスでの加熱で消費するため、定着に必要な温度を下げることが望まれている。
この定着温度を下げる手段の一つとして、トナーを構成する結着樹脂の分子量やガラス転移温度を下げたり、トナー中に結晶性物質を添加し、定着時に結着樹脂と相溶することでトナーの溶融粘度を低下させてより低温で定着させる方法が提案されている。
しかしながら、実機プロセス内での温度負荷や耐熱保管性を維持しつつ、上記手段を講じるとトナーで定着温度の低下効果をはっきさせすぎると、樹脂のTg及び結晶性物質と結着樹脂の相溶状態によりトナーが保管中にブロッキングしたり、現像、転写プロセスでの割れや変形、各種の部材汚染などが発生して印字画像品位を著しく損ねることがある。
例えば、特許文献1(特許第4075949号公報)には、トナーの定着性能と耐熱保管の両立を目的として、ルテニウム染色したトナー断面に、分散されたWAXの表面に結晶性ポリエステル樹脂が接触する構造体が存在し、該構造体、離型剤単独、結晶性ポリエステル樹脂単独の断面積比を規定したトナーが開示されている。
しかしながら、特許文献1記載のトナーでは、結着樹脂と結晶性樹脂が製造過程において結晶性樹脂の一部は結着樹脂に相溶してしまうため、保存安定性が低下したり、現像、転写などのプロセスにおいて変形したり、各種部材に固着しやすくなったりしてしまう、という問題がある。
また、特許文献2(特開2012−53196号公報)には、フィルミングがなく、耐熱保管性と定着特性に優れたトナーの提供を目的として、結晶性材料(WAXや結晶性樹脂)をグラフト化したグラフト変性ポリマーと、非晶質ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、離型剤とを含有するトナーにおいて、これらのSP値の関係を規定することにより、結晶性材料の分散性を向上、安定化したトナーが開示されている。
しかしながら、結晶性材料の分散性は向上するが相溶性も高まり、結晶性材料の一部は結着樹脂に相溶してしまうため、保存安定性が低下したり、現像、転写などのプロセスにおいて変形したり、各種部材に固着しやすくなったりしてしまう、という問題がある。
更に特許文献3(特開2011−232738号公報)には、低温定着性と耐ストレス性を両立する結晶性物質を有するトナーを提供することを目的として、メインバインダーに相溶しうる結晶性物質がメインバインダーとは異なる樹脂によってカプセル化された状態でメインバインダー中に存在するトナーが示されている。
結着樹脂に相溶する結晶性ポリエステルをカプセル化するという観点では本発明と似ているが、メインバインダー、結晶性物質、離型剤のSP値については記載がなく、離型剤と結着樹脂の関係については何ら記載がない。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた低温定着性及び耐熱保存性を両立し、部材汚染が少なく、製造の安定性が高いトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題について鋭意検討を行った結果、離型剤を特定の分散状態にすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明のトナーは、
第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコアとし、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であることを特徴とするトナー
である。
本発明によると、優れた低温定着性及び耐熱保存性を両立し、部材汚染が少なく、製造の安定性が高いトナーを提供することができる。
本発明のトナーの構造を示した模式図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
本発明のトナーは、第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有し、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコアとし、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態である。
即ち、本発明に係るトナーは図1に示すように、離型剤Aが、前記第1の非晶性樹脂R中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂Bをコア、前記第2の非晶性樹脂Tをシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態である。
本発明のトナーがこのような構造をとることは、TEMでのトナー断面画像をルテニウム染色等によるコントラストで判別することができる。また、例えばアナシスインスツルメンツ社製 nano−TA2 局所熱分析システムのnano−TMA(熱機械分析)を用いて判定することができる。これはプローブを目的の試料表面上に停止させて温度を上昇させることで試料の軟化によるプローブの傾き変化を捉えて温度−変位曲線のグラフから局所熱解析を行う装置を用い、固有の軟化変位温度により判定するものである。
上記TEMによるトナー断面画像を染色して判別する方法、または上記TEMによるトナー断面画像を染色して判別する方法に加えて、Nano−TA2による観察を行うことが好ましい。
本発明においては、TEMによるトナー断面画像を染色して判別する方法により判断した。
離型剤が第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ離型剤の表面の少なくとも一部が、結晶性樹脂をコア、第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態とすることにより、離型剤の第1の非晶性樹脂との親和性を確保しつつ、第1の非晶性樹脂と結晶性樹脂がトナー中で相溶するところが殆どない状態を形成することができ、第1の非晶性樹脂のTg降下を抑制(耐熱保管など)し、結晶性樹脂の融点以上で第2の非晶性樹脂から離型剤と結晶性樹脂への境界領域に効果的に融点降下や低粘性化を促進させることができる。
また、離型剤の表面の少なくとも一部が、結晶性樹脂をコア、第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態とすることにより、トナーへの物理的ストレスや保管、輸送及び経時変化などによる熱負荷に対して第1の非晶性樹脂や離型剤と結晶性樹脂との界面近傍の状態が変化しにくいことでトナーの長期的な特性の安定化が図れる。
また、離型剤と第1の非晶性樹脂のSP値が相対的に離れているため、コアシェル粒子が介在することにより離型剤がトナー中に取り込まれた状態を作り易く、離型剤が離脱しにくい。離型剤とコアシェル粒子の被覆を1粒子と捉えると、コアシェル粒子が表面に存在することにより、第1の非晶質樹脂中に均一に分散、導入しやすくなる。
また、本発明のトナーを得るには、前記第1の非晶性樹脂をR、第2の非晶性樹脂をT、結晶性樹脂をB、離型剤をAとし、R、T、B、及びAのそれぞれのSP値をRsp、Tsp、Bsp及びAspと表したとき、SP値が
Rsp>Tsp>Asp
という関係を満たすことが好ましい。
SP値としては、更に以下の関係を満たすことが好ましい。
1.0≦Rsp−Tsp≦4.0 好ましくは1.0≦Rsp−Tsp≦3.0、
|Rsp−Bsp|≦3 好ましくは、|Rsp−Bsp|≦2
|Bsp−Tsp|≦3 好ましくは、|Bsp−Tsp|≦2
0.1≦Tsp−Asp≦3.0 好ましくは0.1≦Tsp−Asp≦2.0
また、RspとBspに関しては、SP値にあまり差が無い方がより好ましい。
第1の非晶性樹脂と結晶性樹脂は、シェルで障壁を持たせているので、SP値に差がないことにより、両者が接触、相溶し始める温度での第1の非晶性樹脂への粘性低下等の効果がより高くなる。
SP値としては高いほうが水層側に配向し易い、又は馴染み易い傾向があるため、上記中で最も水側に構成される組成として第1の樹脂Rsp、その内側に分散し存在する為のSP値の順になる。
上記ではSP値が離れすぎると各界面での接着性に難点があり、また近すぎると材料構成が異なっていても相溶しすぎる場合がある。
水のSP値を23とした場合、
好ましい範囲としては、RspとBspはSP値が8〜15
好ましい範囲としては、Bspは8〜14
好ましい範囲としては、Tspは7〜13
好ましい範囲としては、Aspは7〜13
である。
第2の非晶性樹脂(T)と結晶性樹脂(B)のSP値が近すぎるとカプセル化粒子作製時に相溶しやすい部分が増加することで、その周りに存在する離型剤や第1の非晶性樹脂と、内包されている結晶性樹脂との層分離が困難になる。
第2の非晶性樹脂(T)と結晶性樹脂(B)のSP値の差が大きすぎるとコアシェル粒子作製時に均一にシェル化することが困難になるだけでなく、離型剤やコアシェル粒子が凝集や遊離しやすくなりトナー内部に分散不良を起こしやすくなることで部材汚染等を誘発しやすくなる。
またSP値の調整方法は特に限定はないが、材料種、酸価、分子量等で調整でき、例えば同一組成系では分子量大きくすることで酸価も下がりSP値が低くなるため、分子量を制御することによりSP値を調整することができる。
トナーの低温定着性を実現させる観点から、第1の非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂であり、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
第1の非晶性樹脂として非結晶性のポリエステル樹脂を用いる場合、結晶性ポリエステル樹脂はその構造が非晶性樹脂に近いため、非晶性樹脂が溶融したときに相溶しやすく、また熱がかかる前は高分子であるために機械的強度が高いために保存安定性に優れる。
尚、本発明において結晶性樹脂とは、例えばDSC測定において融点で吸熱量が極大値を示す(明確なピークを示す)樹脂を指す。一方、非結晶性樹脂はガラス転移に基づく緩やかなカーブが観測される。
結晶性樹脂及び離型剤の融点はDSC測定による融点ピークから算出することができる。
<融点測定方法>
例えば示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱した際のピーク頂点の温度を融点とする。
[第1の非結晶性樹脂(R)]
第1の非結晶性樹脂(R)としては、樹脂の種類としては特に限定はないが、電子写真における静電潜像現像用トナーとして用いる場合には、ポリエステル骨格を有する樹脂を用いることにより良好な定着性が得られるので好ましい。ポリエステル骨格を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂や、ポリエステルと他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーがあるが、ポリエステル樹脂を用いたほうが得られる着色樹脂粒子の均一性が高く好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、設計の自由度の観点からポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
ポリエステル樹脂のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると静電潜像現像用トナーとしては低温定着性が悪化する。
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上がよい。40℃未満では得られる着色樹脂粒子が真夏などの高温環境下に置かれたときに変形する、あるいは着色樹脂粒子同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなる可能性がある。また、ガラス転移温度は80℃以下、好ましくは70℃以下がよい。80℃を超えるような場合、着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる場合定着性が悪化する。
<ポリオール>
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、等の4,4′−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
<ポリカルボン酸>
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′−ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜
1/1.5、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.3である。__
ポリエステル樹脂は、有機溶媒に少なくとも一部は溶解するようなものを用いるが、その酸価は2〜24mgKOH/gであるのが好ましい。酸価が24mgKOH/gを超える場合、水相への移行が起こりやすくなり、その結果製造の過程で物質収支にロスが発生してしまう、あるいは油滴の分散安定性が悪化してしまうなどの問題が発生しやすくなる。一方、酸価が2mgKOH/g未満になると、樹脂の極性が低くなるため、ある程度極性を有する着色剤を油滴内で均一に分散することが難しくなる。
本発明のトナーにおける第1の非晶性樹脂の含有量は、25〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
第1の非晶性樹脂の含有量は、少なくともコアシェル粒子の含有量よりも多いことが好ましい。
[結晶性樹脂(B)]
本発明のトナーには、低温定着性を向上させるために結晶性樹脂(B)が含有される。結晶性の樹脂は結晶性であれば特に限定はしないが、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等が挙げられる。結晶性樹脂(B)としては、第1の非晶性樹脂がポリエステル樹脂である場合、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステルはポリオールとポリカルボン酸の重縮合物として得られるが、ポリオールとしては脂肪族ジオールが好ましく具体的にはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,10−デカンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられ、その中でも1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールや1,8−オクタンジオールが好ましく、さらに好ましくは1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,9−ノナンジオールである。ポリカルボン酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、1,10−ドデカン二酸などの炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸が好ましいが、結晶化度を高くするためには脂肪族カルボン酸がより
好ましい。
ポリウレア樹脂としては、ジアミン成分とジイソシアネート成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられるが、必要に応じて3価以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いても良い。
前記アミン成分としては、脂肪族アミン類、芳香族アミン類が挙げられ、中でも炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が挙げられる。また、必要により、3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど);炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕;これらの炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体(ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど);脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{炭素数4〜15の脂環式ジアミン〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、炭素数4〜15の複素環式ジアミン〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕};炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、等が挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど〕;炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン〔2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;核置換電子吸引基(Cl、Br、I、Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部または全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕〔4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
3価以上のアミン類としては、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
また、結晶性樹脂としては、好ましくは融点が50〜105℃、より好ましくは55〜80℃の範囲にある結晶性樹脂を含有することが好ましい。融点が50℃以上であることによりトナーが真夏などの高温環境下に置かれたときやさらに荷重がかかるような場合にトナーが変形しやすくなることでトナー粒子同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなるということがない。また105℃以下であることにより定着性が良好となる。更に80℃以下であることにより定着下限温度が下がるため、定着性がより良好になる。
更に、結晶性樹脂は重量平均分子量が10000〜40000の結晶性樹脂を含有することが好ましい。重量平均分子量が10000以上である結晶性樹脂を含有することにより耐熱保存性が良好となり、重量平均分子朗が40000以下であると低温定着性が良好となる。
結晶性樹脂(B)の含有量はトナー中0.5質量%以上20%質量以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10%質量%以下であり更に好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
結晶性樹脂(B)の含有量が少ないと離型剤への被覆率が悪くなり、溶融した時の融点降下を促進する効果が得られにくくなる。
[第2の非晶性樹脂(T)]
前記第2の非晶性樹脂(T)としては、前記第1の非結晶性樹脂(R)とSP値が異なる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の非結晶性樹脂(R)を変性させた樹脂などであってもよいが、結晶性樹脂(B)と相溶しにくい骨格を有する樹脂が好ましく、結晶性樹脂(B)として結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合、結晶性ポリエステル樹脂と相溶しにくい骨格を有する樹脂が好ましく、ビニル樹脂が、入手や合成が容易である点で好ましい。
前記ビニル樹脂を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性二重結合を有するモノマーを重合させて得る方法などが挙げられる。このとき、公知の重合開始剤を使用してもよい。
前記重合性二重結合を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、αメチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレン若しくはその金属塩、4−スチレンスルホン酸若しくはその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、アリルベンゼン、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールメタクリレート等、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、桂皮酸等)、スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩などが挙げられる。
前記コアシェル粒子に内包される結晶性樹脂(B)と第2の非晶性樹脂(T)との質量比(B)/(T)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜2.5が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。前記質量比が、0.1未満であると、低温定着性が悪くなることがあり、2.5を超えると、耐熱保管性やフィルミングなどの汚染性が悪くなることがある。
一方、前記質量比が、前記より好ましい範囲であると、耐熱保存性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性に優れる点で好ましい。
前記第2の非晶性樹脂(T)を分析する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガスクロマトクラフ質量分析計(GC−MS)や核磁気共鳴装置(NMR)を用いてトナー中の第2の非晶性樹脂(T)を分析する方法、有機溶媒を用いてトナー中の他の材料を溶解して除去し、前記非晶性樹脂(T)を分離した後に、該樹脂(T)を分析する方法などが挙げられる。
具体的には、以下に示す方法で分析した13C−NMRスペクトル及びGC−MS測定より、樹脂組成及び組成比を算出することができる。
前記13C−NMRの測定は、試料50mgをキャップ式ガラス試験管に入れ、高周波加熱装置(QUICKER1010、DIC社製)で1分間加熱し、この分解物を重クロロホルム(CDCl3)30.5mLと緩和試薬トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロム(III)(Cr(acac)3)を添加し、核磁気共鳴装置JNM−LA300(日本電子株式会社製)を用いて測定することができる。
前記GC−MS測定は、質量分析計(JMS−K9、本電子株式会社製)使用し、カラムは、INERT CAP 5MS/Sil(30m×0.25mm、I.D.0.25μm)(GL Sciene社製)を使用し、昇温速度は、40℃(3分間)、次いで、10℃/分間、次いで300℃(5分間)の条件で、熱分解GC−MS測定を行うことができる。
<離型剤>
離型剤としては、ワックスやシリコーンオイルなどの、定着プロセスで加熱されたときに十分に粘度が低く、かつトナーのほかの物質とも定着部材表面に相溶あるいは膨潤しにくい物質が使用され、トナーそのものの保存安定性を考えると、通常保管時にトナー中で固体として存在するワックスを用いるのか好ましい。
ワックスとしては、炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどがあり、炭化水素ワックスとしては、長鎖炭化水素ワックスが好ましく、長鎖炭化水素ワックスとしては、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);石油系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックスなど);のほか、フィッシャートロプシュワックスも挙げられる。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
この中で、特に離型性がよい炭化水素ワックスが好ましい。さらに、長鎖炭化水素ワックスを離型剤として用いる場合、カルボニル基含有ワックスを併用してもよい。
離型剤はトナー中に2〜25質量%、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは4〜15質量%含まれているのが良い。2質量%未満であると、定着離型性向上効果が発揮できず、また25質量%を超えるとトナーの機械強度が低下する。
前記離型剤(A)の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃未満が好ましく、50℃〜77℃がより好ましい。前記離型剤(A)の融点が、80℃以上であると、耐ホットオフセット性が悪くなることがあり、50℃未満であると、耐熱保存安定性が悪くなることがある。
前記離型剤(A)の融点は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置(例えば、DSC−6220R:セイコーインスツル社)により測定することができる。
コアシェル粒子の離型剤への被覆率としては50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上。更に好ましくは80%以上である。
離型剤の分散粒径としては、トナー平均粒径の1/4以下が好ましい。
離型剤分散粒径>コアシェル粒子径であり、コアシェル粒子径は離型剤分散粒径に対して1/5以下が好ましく、より好ましくは1/7以下である。
コアシェル粒子は粒径が小さすぎる、コアシェル粒子のトナーへの添加量が多すぎるとトナー作製時の油相粘度が高くなりすぎて乳化不良を引きおこす場合がある。
コアシェル粒子の粒径が大きいとトナー内部への分散や取り込みが出来ない粒子が存在し、トナーの遊離微粉又はトナーの均一な乳化を阻害する場合がある。
コアシェル粒子のトナーへの添加量が少ないと溶融時の粘性低下効果が殆どなくなる。
離型剤は好ましくはトナー表面近傍(200とか300nm以下)に殆ど存在しないことであるが、離型剤へのコアシェル粒子の被覆率が高ければ離型剤などの結晶性物質による部材汚染等は抑制されるため、特に離型剤がトナー表面に選択的に配向するのでなければ特に問題はない
第1の非晶性樹脂(R)のガラス転移温度(Tg)に対して第2の非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)が同等若しくはそれ以上であることが好ましい。
第2の非晶性樹脂のTgが第1の非晶質樹脂のTgよりも5℃以上低い場合は特に、本来第1の非晶質樹脂に由来するトナーの耐熱特性よりも悪化することがある。トナー全体として第2非晶性樹脂の割合はかなり少ないが相溶などにより可塑化や融点降下を引き起こす材料の界面近傍に存在している為トナーとしての耐熱特性などに影響を及ぼすことがある。
特に限定はないが、結着樹脂として線形、非線形樹脂からなり、どちらか片方がグラフト変性されたものであってもよく、さらにエステル伸長工法との組み合わせてもよい。
<トナー及びトナー構成成分の各種特性の算出方法及び分析方法>
<<SP値>>
前記SP値(溶解性パラメータ/Solubility Parameter)について説明する。前記SP値とは、溶解性パラメータと言われるもので、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものである。
前記SP値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Densit y)の平方根で表される。
なお、前記CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
本発明における前記SP値の計算は、Fedors法により下記式(I)を用いて行うことができる。
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2・・式(I)
前記式(I)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとしたとき、各々下式(II)、式(III)で表される。
E=ΣΔei ・・・式(II)
V=ΣΔvi ・・・式(III)
SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いた。
本計算方法、各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviの諸データは、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)に記載のデータを用いる。
また、−CF3基等示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照する。
なお、参考までに、式(I)で示されるSP値を(J/cm31/2に換算する場合には2.046を、SI単位(J/m31/2に換算する場合には、2,046を乗ずればよい。
例えば、前記第1の非晶性樹脂、前記第2の非晶性樹脂、前記結晶性樹脂、前記離型剤、それぞれを合成・混合した場合、これらのSP値は、上記のようにして、容易に算出できる。
通常、重合途中でモノマーを追加し樹脂骨格を変化させた樹脂などでは、仕込み組成比からのSP値の算出は困難となる。
また、トナーに含まれる成分についても、一般にその組成が不明であることが多くSP値の算出は困難である。
ところが、前記Fedors法によるSP値の算出は、樹脂などを構成するモノマーの種類と比率とを特定すれば算出が可能となる。
例えば、前記第1の非晶性樹脂、第2の非晶性樹脂と前記結晶性樹脂或いは前記離型剤などを混合したものについて、GPCにより分離を行い、その分離した各成分について後述の分析手法を採ることで、前記SP値の算出が可能となる。
すなわち、THF(テトラヒドロフラン)を移動相としたGPC測定において、溶出液についてフラクションコレクターなどにより分取を行い、溶出曲線の全面積分のうちの所望の分子量部分に相当するフラクションをまとめる。
このまとめた溶出液をエバポレーターなどにより濃縮・乾燥した後、固形分を重クロロホルム又は重THFなどの重溶媒に溶解させ、1H−NMR測定を行い、各元素の積分比率から、溶出成分における樹脂の構成モノマー比率を算出することができる。
また、他の手法としては、溶出液を濃縮後、水酸化ナトリウムなどにより加水分解を行い、分解生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより定性定量分析することでも構成モノマー比率を算出することができる。
前記Fedors法によるSP値の算出は、樹脂を構成するモノマーの種類と比率とを特定すれば算出が可能となるが、本発明におけるSP値は、上記分析によりモノマー種が特定された場合、比率が高いものから順に各々の組成比を加算していき、その総和が全体の90モル%に達した時点でのモノマー構成から算出したものである(すなわち、残余のモノマーについてはSP値の算出に加算しないこととした)。
まず、1gを100mLのTHF中に投入し、25℃の条件下、30分間攪拌しながら可溶分が溶解した溶解液を得る。
これを目開き0.2μmのメンブランフィルターにてろ過し、トナー中のTHF可溶分を得る。
次いで、これをTHFに溶解してGPC測定用の試料とし、前述の各樹脂の分子量測定に用いるGPCに注入する。
一方、GPCの溶出液排出口にフラクションコレクターを配置して、所定のカウントごとに溶出液を分取しておき、溶出曲線の溶出開始(曲線の立ち上がり)から面積率で5%毎に溶出液を得る。
次いで、各溶出分について、1mLの重クロロホルムに30mgのサンプルを溶解させ、基準物質として0.05体積%のテトラメチルシラン(TMS)を添加する。
溶液を5mm径のNMR測定用ガラス管に充填し、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製JNM−AL400)を用い、23℃〜25℃の温度下、128回の積算を行い、スペクトルを得る。
トナーに含まれる前記第1及び第2の非晶性樹脂、前記結晶性樹脂、前記離型剤のモノマー組成、及び構成比率は得られたスペクトルのピーク積分比率から求めることができる。
例えば、以下のようにピークの帰属を行い、それぞれの積分比から構成モノマーの成分比率を求める。
ピークの帰属は、例えば、8.25ppm付近:トリメリット酸のベンゼン環由来(水素1個分)8.07ppm〜8.10ppm付近:テレフタル酸のベンゼン環由来(水素4個分)7.1ppm〜7.25ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)6.8ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)及びフマル酸の二重結合由来(水素2個分)5.2ppm〜5.4ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチン由来(水素1個分)3.7ppm〜4.7ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素2個分)及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素4個分)1.6ppm付近:ビスフェノールAのメチル基由来(水素6個分)とすることができる。
これらの結果から、前記式(I)により前記非晶性樹脂、前記結晶性樹脂、前記離型剤のSP値を算出することができる。
上記のようにトナーから前記第1の非晶性樹脂、第2の非晶性樹脂、結晶性樹脂、離型剤のSP値を算出することができる。また同様に第1の非晶性樹脂、第2の非晶性樹脂、結晶性樹脂、離型剤の材料単体からもSP値を算出することができる。トナーから算出したSP値と、材料単体でのSP値とはほぼ同じ値が得られるが、本発明においてSP値は材料単体で測定した値を用いる。
<着色剤>
本発明のトナーは、着色剤を含有することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−マスターバッチ−
前記着色剤は、樹脂(結着樹脂)と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
前記マスターバッチにおいて、前記着色剤と共に混練されるマスターバッチ用の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。また、前記非結晶性樹脂(R)と同様のものや、後述する変性樹脂なども用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合及び/又は混練する方法などが挙げられる。このとき、前記着色剤と前記マスターバッチ用の樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いてもよい。
また、所謂フラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを前記マスターバッチ用の樹脂及び有機溶剤と共に混合及び/又は混練し、前記着色剤を前記マスターバッチ用の樹脂側に移行させ、水分及び有機溶剤成分を除去する方法も、前記着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。
前記混合及び/又は混練する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3本ロールミル等の高せん断分散装置を用いる方法が好ましい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー中に、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。前記着色剤の含有量が、1質量%未満であると、印刷した際の文字や画像の濃度が低下し、画質が低下することがあり、30質量%を超えると、樹脂成分が相対的に低下するため、トナーが紙に定着し難くなることがある。
<その他の成分>
前記トナーにおける前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、分散安定剤、磁性体、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などが挙げられる。また、後述する変性樹脂やアミン化合物を含んでいてもよい。
また、前記その他の成分の含有量としても、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものが全て使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
前記帯電制御剤の具体例としては、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の含有量としては、本発明の効果を妨げず、定着性などへの阻害が起こらない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー中に、0.5質量%〜5質量%が好ましく、0.8質量%〜3質量%がより好ましい。
−分散安定剤−
前記分散安定剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機分散剤、保護コロイドなどが挙げられる。
前記無機分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
前記保護コロイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のビニルアルコール;前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物とのエステル類あるいはこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−磁性体−
前記磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又は他の金属酸化物を含む酸化鉄、;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金;又はこれらの混合物などが用いられる。
前記磁性体としては、例えば、Fe34、γ−Fe23、ZnFe24、Y3Fe512、CdFe24、Gd3Fe512、CuFe24、PbFe12O、NiFe24、NdFe2O、BaFe1219、MgFe24、MnFe24、LaFeO3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が特に好ましい。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤として、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子におけるシリカ、酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、該ポリマー微粒子の体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜8μmが好ましく、4μm〜6.5μmがより好ましい。
また、前記トナーの個数平均粒径(Dn)としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.6μm〜8μmが好ましく、3.2μm〜5.2μmがより好ましい。前記体積平均粒径(Dv)と前記個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.25以下が好ましく、1.00〜1.15がより好ましい。前記Dv/Dnが前記より好ましい範囲であると、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存安定性の全ての性能に優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れる点て有利である。更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる点で有利である。
また、本発明のトナーにおいて、フロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度の値は、0.97以上が好ましい。前記フロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度が、0.97以上である場合に、ライン画像における転写抜けが少ない良好な画像が得られる。更に好ましくは、その平均円形度が0.98以上である。これは、トナー表面が充分に滑らかな為、像支持体との接点が減少し、静電荷保持体から転写材へのトナーの虫喰い転写不良が減少するためと考えられる。
本発明において前記平均円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2100、株式会社SYSMEX製)を用いて測定することができる。装置及び測定の概略は、特開平8−136439号公報に記載されている。測定は、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%塩化ナトリウム水溶液を調製した後、0.45μmのフィルターを通した液50mL〜100mLに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1mL〜5mL加え、試料を1mg〜10mg加える。これを、超音波分散器で1分間の分散処理を行い、粒子濃度を5,000個/μL〜15,000個/μLに調整した分散液を用いて測定を行う。
前記粒子濃度の測定は、CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出を行う。CCDの画素の精度から、円相当径で0.6μm以上を有効とし粒子個数を得る。平均円形度Xは、下記式により得られるものである。
平均円形度X=Σ(L0/L)/n
ただし、「L0」は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を表し、「L」は、粒子の投影像の周囲長を表し、「n」は、全粒子数を表す。
本発明のトナーにおける平均円形度は、トナー形状の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合に1.0を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、コールターカウンター法により、粒度分布測定装置(例えば、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、コールターマルチサイザーIII(いずれもコールター社製)など)を用いて測定することができる。
具体的には、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1mL〜5mL加える。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%塩化ナトリウム水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加える。前記測定試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行い、前記粒度分布測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積及び個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
本発明のトナーの製造方法は、第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有し、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコア、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であるトナーの製造方法であって、前記第2の非晶性樹脂が少なくともビニルポリマーを有し、該結晶性樹脂と第2の非晶性樹脂とで形成されるコアシェル粒子化工程と、
前記コアシェル粒子を前記第1の非結晶性樹脂中に分散させる分散工程と、を含む。
油相中で第1の非晶性樹脂が溶解している場合、ここに結晶性樹脂を添加すると相溶現象などにより最終的なトナー時での結晶化の度合い(再結晶化や相溶状態)を製造工程中でコントロールする必要がある。例えば、トナー母体粒子を作製した後にアニーリングによって結晶性樹脂の結晶化、相溶界面などの再結晶化を促進することができるが、低温で長時間の均一な熱付与が必要(例えば50℃、10hなど)となる。低温というのは、結晶性樹脂の融点ピーク未満の領域で、トナーのTg未満と合わせて高すぎない領域で設定する。トナー全体への影響を少なくし、より均一な結晶化のためにゆっくりと時間をかけて行う方が好ましい。しかし、生産性と相反することになる。
本発明においては、結晶性樹脂をシェル化し、先に結晶状態等を調整した粒子で油相中に導入することができるため、トナー製造工程中で単に分散粒子に近い状態で導入でき、特に結晶状態が変わらないようすることができる。
トナー製造工程として、溶媒を用いて作製する工程であり、50℃以下より好ましくは40℃以下で油相調製、油滴分散液調製、脱溶まで行う事がより好ましい。
油滴分散液調製工程中では離型剤とコアシェル粒子が共に分散体として存在することが好ましく、油相分散した際に粘度を調整することが好ましい。粘度が上がりすぎるとトナー粒子を形成する為の油滴が上手く形成されなくなる若しくは所望の粒度を調整しにくくなる。
コアシェル粒子の樹脂は油滴分散液調製工程中で溶解し、シェルを破綻させなければ適度に膨潤してもよい。
トナー自体のシェル化の有無は特に拘らない。
<コアシェル粒子化工程>
本発明のトナーを得る方法としては、結晶性ポリエステル樹脂などの結晶性樹脂を第2の非晶性樹脂によってカプセル化し、カプセル化された結晶性樹脂をコア、第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子を製造するコアシェル粒子化工程を有するのが良い。
結晶性樹脂をカプセル化する方法としては、(1)あらかじめ結晶性樹脂の微粒子を作製し、微粒子の周囲を第2の非晶性樹脂で被膜する方法、(2)溶媒中に結晶性樹脂と第2の非晶性樹脂を溶解したものの微粒子を作製した後、溶媒を除去し結晶性樹脂と第2の非晶性樹脂とを相分離をさせながらカプセル構造を形成する方法、(3)第2の非晶性樹脂を溶解した溶液中に結晶性樹脂を微粒子として分散させた分散液の微粒子を作製した後、溶媒を除去して結晶性樹脂を内包した微粒子を作製する方法、(4)第2の非晶性樹脂のモノマー中に結晶性樹脂を溶解・もしくは微粒子として分散させたモノマー溶液の微粒子を得た後、モノマーを重合させて樹脂とすることで第2の非晶性樹脂によってカプセル化された結晶性樹脂を得る方法、などが挙げられるが、最後に挙げた(4)の方法が均一なカプセル粒子を得られやすいため好ましい。
前記(4)に記載の方法において、前記第2の非晶性樹脂のモノマー溶液中に、前記離型剤(A)を微粒子として分散させた微粒子を得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記モノマー溶液を水系媒体で調製し、該水系媒体中に前記離型剤(A)分散させる方法が、後に前記第2の非晶性樹脂(T)の原料となるモノマーを重合させやすい点で好ましい。前記第2の非晶性樹脂(T)の原料となるモノマーの重合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合法、ミニエマルション重合法などが挙げられる。
<分散工程>
前記分散工程は、前記コアシェル粒子を前記第1の非結晶性樹脂(R)中に分散させる工程である。
この分散工程により、前記コアシェル粒子(BT)をトナー中に導入することができる。
前記分散工程を行う方法としては、例えば、下記(1)〜(3)に記載の方法などが挙げられる。
(1)前記コアシェル粒子(BT)を溶解又は分散させた油相を調製し、該油相を水相に分散させて、前記コアシェル粒子を含む油滴を含む油滴分散液を調製する方法。
(2)前記コアシェル粒子(BT)を分散させた水相を調製し、該水相に油相を分散させて油滴を調製する際に、該油滴の内部に前記コアシェル粒子(BT)を取りこませる方法。
(3)水相中に油相を分散させて油滴を含む油滴分散液を調製し、該油滴分散液に前記コアシェル粒子(BT)を添加し、前記油滴の内部に前記コアシェル粒子(BT)を取りこませる方法。
これらの中でも、前記(1)に記載の方法が、油滴中に前記コアシェル粒子(BT)を確実に取り込ませることができる点で好ましい。したがって、前記分散工程は、有機溶媒中に少なくとも前記第1の非晶性樹脂とコアシェル粒子と離型剤とを溶解あるいは分散させた油相を作製する油相調製工程と、水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する水相調製工程と、前記水相中に前記油相を分散させ、油相からなる粒子が分散した分散液を作製する油滴分散液調製工程とを含むことが好ましい。また、前記油滴分散液調製工程後に、油相中の溶剤を脱溶剤する脱溶剤工程と、トナー粒子を洗浄する洗浄工程と、乾燥して水分を除去する乾燥工程とを含むことがより好ましい。
−油相調製工程−
前記油相調製工程は少なくとも前記第1の非晶性樹脂とコアシェル粒子(BT)と離型剤とを有機溶剤中に溶解又は分散させた油相を調製する工程である。前記油相は、必要に応じて、着色剤、更に変性樹脂、アミン化合物、前記帯電制御剤などを含有していてもよい。
前記油相調製工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、攪拌をしながら、有機溶剤中に前記コアシェル粒子(BT)や着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させる方法などが挙げられる。
このとき、着色剤として顔料を用いる場合や、帯電制御剤等の有機溶剤に溶解しにくいようなものを添加する場合は、有機溶剤への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。前記着色剤(顔料)の粒子を小さくする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記着色剤として前記マスターバッチを用いる方法などが挙げられ、前記帯電制御剤にも、前記マスターバッチと同様の方法を適用することができる。
また、前記着色剤等の粒子を小さくする別の方法としては、有機溶剤中で、必要に応じて分散助剤を添加し、該着色剤などを湿式で分散し、ウエットマスターを得る方法;有機溶剤の沸点未満で溶融するようなものを分散する場合、有機溶剤中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い一旦溶解させた後、攪拌若しくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法;などが挙げられる。
これらの方法を用いて分散された着色剤は、有機溶剤中に前記離型剤(A)を内包するカプセルとともに溶解あるいは分散された後、更に分散を行ってもよい。分散に際しては、公知のビーズミルやディスクミル等の分散機を用いることができる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、沸点が100℃未満の揮発性の有機溶剤が、後述する脱溶剤処理が容易になる点で好ましい。
このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤中に溶解あるいは分散させる樹脂が、ポリエステル骨格を有する樹脂である場合、前記有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の溶剤、若しくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶剤が、溶解性が高い点で好ましい。
これらの中でも、前記有機溶剤としては、脱溶剤処理が容易になる点で、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
−−変性樹脂−−
前記油相は、得られるトナーの力学的強度を高めたり、静電潜像現像用トナーとして用いる場合においては力学的強度に加え定着時における耐ホットオフセットを防止したりする目的で、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂(「プレポリマー」とも称する。)を含有していてもよい。
前記変性樹脂のイソシアネート基は、後述する油滴分散液調製工程において、水相中に油相を分散させた粒子(油滴)を得る過程で、加水分解をして一部がアミノ基となる。この生成したアミノ基は、未反応のイソシアネート基と反応していき、伸長反応が進行していく。
変性樹脂の含有量は、第1の非晶性樹脂に対して30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
前記変性樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)イソシアネートを含有するモノマーとともに重合反応をしてイソシアネート基を有する樹脂を得る方法、(2)末端に活性水素を有する樹脂を重合して得た後、ポリイソシアネートと反応させることでポリマー末端にイソシアネート基を導入する方法などが挙げられる。これらの中でも、末端にイソシアネート基を導入するという制御性から、後者の(2)に記載の方法が好ましく採用されうる。
前記末端に活性水素を有する樹脂における該活性水素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が好ましい。
前記変性樹脂の骨格としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子の均一性を考慮すると有機溶剤に溶解する前記第1の非結晶性樹脂(R)と同じものを用いるのが好ましく、ポリエステル骨格を有するものが特に好ましい。
前記末端に活性水素を有する樹脂における該活性水素がアルコール性水酸基であり、前記変性樹脂の骨格がポリエステル骨格である場合、該アルコール性水酸基をポリエステル骨格の末端に有する変性樹脂を製造する方法としては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合において、ポリオールの官能基数をポリカルボン酸の官能基数よりも多めにして重縮合反応を行う方法などが挙げられる。
−−アミン化合物−−
前記油相は、前記変性樹脂の伸長反応を確実に反応させる、若しくは架橋点を導入する目的で、アミン化合物を併用することが好ましい。
前記アミン化合物(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜前記B5のいずれかのアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ジアミン(B1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミン等の脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜前記B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記B1〜前記B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらのアミン化合物(B)の中でも、前記ジアミン(B1)及び該ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物が好ましい。
前記アミン化合物(B)の比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アミン化合物(B)中のアミノ基[NHx]の数が、前記末端にイソシアネート基を有する変性樹脂中のイソシアネート基[NCO]の数の、4倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましく、1.5倍以下が更に好ましく、1.2倍以下が特に好ましい。前記アミン化合物(B)の比率([NHx]/[NCO])が、4倍を超えると、過剰のアミノ基がイソシアネートをブロックしてしまい変性樹脂の伸長反応が起きないため、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−水相調製工程−
水相調製工程は、水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する工程である。
(水系媒体)
用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。樹脂微粒子100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。
(無機分散剤および有機樹脂微粒子)
上記水系媒体中に、前記の結着樹脂、着色剤および離型剤等の溶解物または分散物を分散させる際、無機分散剤または有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させておくことにより、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えはビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
(分散の方法)
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
−−界面活性剤――
また、上記水相に、必要に応じて、界面活性剤等を用いることもできる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
(保護コロイド)
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
−−分散安定剤−−
前記水相は、後述する油滴分散液調製工程において、油滴の分散性を向上させる目的で、無機分散剤や保護コロイド等の前記分散安定剤を含有していてもよい。前記水相が分散安定剤を含有していると、得られるトナーの粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
−油滴分散液調製工程−
前記油滴分散液調製工程は、前記水相中に前記油相を分散させ、油相からなる油滴が分散した油滴分散液を調製する工程である。
前記油滴分散液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等を利用した公知の装置を使用して調製する方法などが挙げられる。これらの中でも、所望の粒径を有する油滴が調製できる点で、高速せん断式が好ましい。
前記油滴分散液中の油滴の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜20μmが好ましく、2μm〜10μmがより好ましい。
前記油滴分散液調製を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜40℃が好ましく、10℃〜30℃がより好ましい。前記温度が、40℃を超えると、分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなることがあり、0℃未満であると、分散液の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下することがある。
また、結晶性樹脂の融点より−20℃以下であれば製造時において結晶構造の変化や非晶質樹脂(ここでは樹脂(T))との境界部分の状態変化が抑制される為、元の粒子状体のままトナー中に分散、導入が可能であるため好ましい。
−脱溶剤工程−
前記脱溶剤工程は、前記油滴分散液から前記有機溶剤を脱溶剤して前記水系媒体及びトナー粒子を含む分散スラリーを調製する工程である。なお、本発明において、分散スラリーとは、水系媒体中にトナー粒子が分散された流動性のある状態をいう。
前記脱溶剤工程において脱溶剤を行う方法としては、例えば、下記(1)〜(3)に記載の方法などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で実施してもよく、2種以上を併用して実施してもよい。
(1)前記油滴分散液全体を攪拌しながら徐々に昇温し、該油滴分散液中(油滴中)の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法。
(2)前記油滴分散液全体を攪拌しながら該油滴分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、前記油滴分散液中(油滴中)の有機溶剤を完全に除去する方法。
(3)前記油滴分散液全体を攪拌しながら減圧し、前記油滴分散液中(油滴中)の有機溶剤を蒸発除去する方法。
これらの中でも、前記脱溶剤工程は、(1)に記載の方法が好ましい。
なお、前記脱溶剤工程が、前記(2)前記油滴分散液全体を攪拌しながら該油滴分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、該油滴分散液中(油滴中)の有機溶剤を完全に除去する方法である場合、前記乾燥雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、油滴分散液中の有機溶剤の最高沸点以上の温度に加熱された各種気流などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記脱溶剤工程は、装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、スプレードライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルンなどが挙げられる。これらの装置を用いると、短時間の処理で十分に目的とする品質のトナーを得ることができる。
<洗浄工程>
前記洗浄工程は、前記トナー粒子を洗浄する工程である。前記脱溶剤工程により得られた分散スラリーには、トナー粒子以外に、界面活性剤や分散安定剤等の副材料が含まれていることがあるため、該分散スラリーからトナー粒子のみを取り出すために洗浄を行うことが好ましい。
前記洗浄工程において洗浄を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などが挙げられる。
いずれの方法によってもトナー粒子からなるケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶剤に分散させて分散スラリーにし、前記洗浄工程を繰り返し実施してもよい。
前記洗浄工程が、減圧濾過法やフィルタープレス法によって行われる場合、水系溶剤を前記トナー粒子からなるケーキ体に貫通させてトナー粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採用してもよい。
前記洗浄工程に用いる前記水系溶剤としては、通常、水、あるいは水にメタノール、エタノール等のアルコールを混合した混合溶剤などが用いられる。これらの中でも、コストや排水処理などによる環境負荷の点で、水が好ましい。
なお、前記水相中に分散安定剤を添加した場合であって、該分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法が好ましい。また、酵素により分解する方法を用いてもよい。
前記分散安定剤を使用した場合は、該分散安定剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去する方が、トナーの帯電面から好ましい。
<乾燥工程>
前記乾燥工程は、前記洗浄工程後の前記トナー粒子から前記水系媒体を除去して乾燥させる工程である。これにより、前記水系媒体を多く抱き込んだ前記洗浄工程後のトナー粒子からトナー粒子のみを得ることができる。
前記乾燥工程は、トナー粒子の水分量が最終的に、トナー粒子に対して1質量%未満になるまで行うことが好ましい。
前記乾燥工程においてトナーを乾燥する方法としては、前記洗浄工程後の前記トナー粒子から前記水系媒体を除去することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機等の乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熟成工程、解砕工程などが挙げられる。
−熟成工程−
前記熟成工程は、前記分散工程の油滴分散液調製工程後、前記脱溶剤工程前に行う工程であり、前記油相中に末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を含有している場合、該イソシアネート基の伸長反応及び/又は架橋反応を進行させる工程である。
前記熟成工程を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜40℃が好ましく、15℃〜30℃がより好ましい。
前記熟成工程を行う時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
前記と同じく結晶性樹脂の融点より−20℃以下であれば製造時において長い時間の保持であっても結晶構造の変化や非晶質樹脂(ここでは樹脂Tとの境界部分の状態変化が抑制される為、元の粒子状体のままトナー中に分散、導入が可能であるため好ましい。
−解砕工程−
前記解砕工程は、前記乾燥工程後に行う工程であり、前記トナー粒子が軟凝集している際に、該軟凝集したトナー粒子をほぐす工程である。
前記解砕工程において軟凝集したトナー粒子を解砕する方法としては、例えば、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサー等の装置を用いる方法などが挙げられる。
本発明に係るプロセスカートリッジは、感光体と少なくとも感光体上の潜像を現像剤で現像する装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、現像剤中に前記本発明のトナーを含む。
かかるプロセスカートリッジは、例えば、図2に示すように、潜像担持体(101)を内蔵し、帯電装置(102)、現像装置(104)、クリーニング部(107)を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図2中、(103)は露光装置からの露光、(105)は記録紙をそれぞれ示す。前記潜像担持体(101)としては、任意の潜像担持体を用いることができる。前記帯電装置(102)には、任意の帯電部材が用いられる。
図2に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、潜像担持体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電装置(102)による帯電、露光手段(図示せず)による露光(103)により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写ローラ(108)により、記録紙(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の潜像担持体表面は、クリーニング部(107)によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されないものである。
なお実施例中の部数は質量部を表すものである。
[ポリエステル1の合成]
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物128部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物650部、テレフタル酸208部、イソフタル酸23部、アジピン酸24部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で7時間反応させた。
次に、10〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[ポリエステル1]を合成した。
得られた[ポリエステル1]は、SP値が12.8、重量平均分子量が6400、ガラス転移温度が62℃、酸価が21mgKOH/gであった。
[ポリエステル2の合成]
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物128部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物650部、テレフタル酸208部、イソフタル酸23部、アジピン酸24部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。
次に、10〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で3時間反応させて、[ポリエステル2]を合成した。
得られた[ポリエステル2]は、SP値が11.6、重量平均分子量が6800、ガラス転移温度が65℃、酸価が16mgKOH/gであった。
[結晶性ポリエステル樹脂1の合成]
アジピン酸146部、1,10−デカンジオール175部、ジブチル錫オキシド0.14部を窒素雰囲気下で、180℃で5時間攪拌を行った。その後減圧にしながら攪拌し、GPCにより分子量を確認しながら数平均分子量Mnが6500になる時間を選定し反応を止めた。結果として重量平均分子量Mw=16200、数平均分子量Mn=6400の[結晶性ポリエステル樹脂1]を得た。また、[結晶性ポリエステル樹脂1]の融点を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は67℃、SP値は11.5であった。
[結晶性ポリエステル樹脂2の合成]
結晶性ポリエステル樹脂1の合成と同様にして、数平均分子量Mnが5800になるように攪拌時間を選定し、反応を止めた。結果、重量平均分子量Mw=14700、数平均分子量Mn=5900の[結晶性ポリエステル樹脂2]を得た。また、[結晶性ポリエステル樹脂2]の融点を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は61℃、SP値は12.3であった。
[結晶性ポリエステル樹脂3の合成]
結晶性ポリエステル樹脂1の合成と同様にして、数平均分子量Mnが7100になるように攪拌時間を選定し、反応を止めた。結果、重量平均分子量Mw=17900、数平均分子量Mn=7100の[結晶性ポリエステル樹脂3]を得た。また、[結晶性ポリエステル樹脂2]の融点を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は75℃、SP値は10.9であった。
[結晶性ポリエステル樹脂4の合成]
フマル酸232部、1,6−ヘキサンジオール238部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で5時間攪拌した。その後減圧にしながら攪拌し、GPCにより分子量を確認しながら数平均分子量Mnが6800になる時間を選定し反応を止めた。結果として重量平均分子量Mw=18900、数平均分子量Mn=6800の[結晶性ポリエステル樹脂4]を得た。また、[結晶性ポリエステル樹脂4]の融点を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は102℃、SP値は11.8であった。
[結晶性ポリエステル樹脂5の合成]
結晶性ポリエステル樹脂4の合成と同様にして、数平均分子量Mnが5500になるように攪拌時間を選定し、反応を止めた。結果、重量平均分子量Mw=14600、数平均分子量Mn=5400の[結晶性ポリエステル樹脂5]を得た。また、[結晶性ポリエステル樹脂5]の融点を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は76℃、SP値は14.1であった。
[コアシェル粒子分散液1の製造]
イオン交換水281部に、ドデシル硫酸ナトリウム0.4部を入れて70℃に加熱して溶解させ水系媒体を得た。
別途、スチレンモノマー30部、メタクリル酸メチル30部、ブチルアクリレート5部、メタクリル酸2部、[結晶性ポリエステル樹脂1]33部を窒素雰囲気下80℃に加熱しながら攪拌し、均一なモノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液を水系媒体中に投入し、80℃に保ったまま窒素雰囲気下超音波ホモジナイザーVCX750を用い、90〜110Wで10分間超音波照射を行い、モノマー溶液を水系媒体中に分散させた。
途中、超音波照射により液温が上昇するが、ウォーターバスなどにより、75〜85℃になるように調整した。
得られた分散液を、冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に移し、攪拌しながら80℃に保持し、過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水19部に溶解させたものを加え、180分間重合反応を行った。
その後、冷却して体積平均粒子径106nmの白色の[コアシェル粒子分散液1]を得た。
得られたコアシェル粒子分散液中の微粒子を包埋樹脂によって包埋したものをミクロトームで切断して薄片を作製し、走査型透過電子顕微鏡で観察したところ、微粒子はカプセル構造を有していることが確認できた。
また前記SP値の測定方法から其々シェル部の(第2の)非晶性樹脂分が9.8、コア部の結晶性ポリエステル樹脂分が11.5であった。なお結晶性樹脂単体でのSP値と比較しても同等の数値が得られている。
前記コアシェル粒子の第2の非晶性樹脂分の単体でのSP値を測定するために、下記の方法で第2の非晶性樹脂を合成し、SP値を測定した。
(第2の非晶性樹脂の合成1)
イオン交換水281部に、ドデシル硫酸ナトリウム0.4部を入れて70℃に加熱して溶解させ水系媒体を得た。
別途、第2の非晶性樹脂1としての、スチレンモノマー30部、メタクリル酸メチル30部、ブチルアクリレート5部、及びメタクリル酸2部を窒素雰囲気下で80℃に加熱しながら攪拌し、均一なモノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液を前記水系媒体中に投入し、80℃に保ったまま窒素雰囲気下で超音波ホモジナイザー(VCX750、東京理化機械株式会社)を用い、90W〜110Wで10分間超音波照射を行い、モノマー溶液を水系媒体中に分散させた。超音波照射の途中で、超音波照射により液温が上昇するが、ウォーターバスにより、75℃〜85℃になるように調整した。
得られた分散液を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に移し、攪拌しながら80℃に保持し、過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水19部に溶解させたものを加え、モノマー溶液中の各成分の重合反応を180分間行った。その後、冷却して、白色の[第2の樹脂分散液−1]を得た。
得られた[第2の樹脂分散液−1]中の微粒子のSP値は9.8であった。
[コアシェル粒子分散液2〜5の製造]
結晶性樹脂を変更した以外はコアシェル粒子分散液1と同様にしてコアシェル粒子分散液2〜5を作製した。
コアシェル粒子分散液2:
結晶性ポリエステル樹脂2を用いた以外は同様にして98nmの白色の[コアシェル粒子分散液2]を得た。
コアシェル粒子分散液3:
結晶性ポリエステル樹脂3を用いた以外は同様にして105nmの白色の[コアシェル粒子分散液3]を得た。
コアシェル粒子分散液4:
結晶性ポリエステル樹脂4を用いた以外は同様にして118nmの白色の[コアシェル粒子分散液4]を得た。
コアシェル粒子分散液5:
結晶性ポリエステル樹脂5を用いた以外は同様にして109nmの白色の[コアシェル粒子分散液5]を得た。
得られたコアシェル粒子分散液中の微粒子を包埋樹脂によって包埋したものをミクロトームで切断して薄片を作製し、走査型透過電子顕微鏡で観察したところ、コアシェル粒子分散液2〜4はカプセル構造を有していることが確認できたが、コアシェル粒子分散液5はコアシェル構造が均一に出来ていなかった。
[コアシェル粒子分散液6の製造]
イオン交換水281部に、ドデシル硫酸ナトリウム0.4部を入れて70℃に加熱して溶解させ水系媒体を得た。
別途、スチレンモノマー60部、ブチルアクリレート5部、及びメタクリル酸35部、[結晶性ポリエステル樹脂1]33部を窒素雰囲気下で80℃に加熱しながら攪拌し、均一なモノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液を前記水系媒体中に投入し、80℃に保ったまま窒素雰囲気下で超音波ホモジナイザー(VCX750、東京理化機械株式会社)を用い、90〜110Wで10分間超音波照射を行い、モノマー溶液を水系媒体中に分散させた。
途中、超音波照射により液温が上昇するが、ウォーターバスなどにより、75〜85℃になるように調整した。
得られた分散液を、冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に移し、攪拌しながら80℃に保持し、過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水19部に溶解させたものを加え、150分間重合反応を行った。
その後、冷却して体積平均粒子径115nmの白色の[コアシェル粒子分散液6]を得た。
得られたコアシェル粒子分散液中の微粒子を包埋樹脂によって包埋したものをミクロトームで切断して薄片を作製し、走査型透過電子顕微鏡で観察したところ、微粒子はカプセル構造を有していることが確認できた。
また前記SP値の測定方法から其々シェル部の(第2の)非晶性樹脂分が12.1、コア部の結晶性ポリエステル樹脂分が11.5であった。なお結晶性樹脂単体でのSP値と比較しても同等の数値が得られている。
前記コアシェル粒子の第2の非晶性樹脂分の単体でのSP値を測定するために、下記の方法で第2の非晶性樹脂を合成し、SP値を測定した。
(第2の非晶性樹脂の合成2)
イオン交換水281部に、ドデシル硫酸ナトリウム0.4部を入れて70℃に加熱して溶解させ水系媒体を得た。
別途、第2の非晶性樹脂2としての、スチレンモノマー60部、ブチルアクリレート5部、及びメタクリル酸35部を窒素雰囲気下で80℃に加熱しながら攪拌し、均一なモノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液を前記水系媒体中に投入し、80℃に保ったまま窒素雰囲気下で超音波ホモジナイザー(VCX750、東京理化機械株式会社)を用い、90W〜110Wで10分間超音波照射を行い、モノマー溶液を水系媒体中に分散させた。超音波照射の途中で、超音波照射により液温が上昇するが、ウォーターバスにより、75℃〜85℃になるように調整した。
得られた分散液を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に移し、攪拌しながら80℃に保持し、過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水19部に溶解させたものを加え、モノマー溶液中の各成分の重合反応を150分間行った。その後、冷却して、白色の[第2の樹脂分散液−1]を得た。得られた[第2の樹脂分散液−2]中の微粒子のSP値は12.1であった。
<実施例1>
[マスターバッチ(MB)の作製]
水1,200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5〕540部、及び「非晶質ポリエステル樹脂1」1,200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
[プレポリマーの合成]
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。
[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
[油相調製工程]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]545部、[日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8]181部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。
次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを70体積%充填、3パスの条件で、顔料、WAXの分散を行った。
次いで、[ポリエステル1]の66%酢酸エチル溶液655部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。
[顔料・WAX分散液1]976部、イソホロンジアミン2.6部をTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[コアシェル粒子分散液1]596部を加えて8,000rpmにて1分間混合し、ついで[プレポリマー1]88部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合して[油相1]を得た。
[水相調製工程]
<水相作成工程>
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液95部、酢酸エチル98部を混合撹拌したところpH6.2となった。これに、10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH9.5に調整し、[水相1]を得た。
[油滴分散液調製工程]
得られた[油相1]に[水相1]1100部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数8,000〜15,000rpmで調整して2分間混合したのち、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整しながら10分間攪拌し、粒子となる油相の液滴が水相に分散された[粒子スラリー1]を得た。
[脱溶工程]
撹拌機および温度計をセットした容器に、[粒子スラリー1]を投入し、攪拌を行いながら30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
[洗浄・乾燥工程]
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて32℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体1](体積平均粒径(Dv)は6.4μmを得た。
ついで、この[トナー母体1]100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水性の酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明の[トナー1]を得た。
<実施例2>
[コアシェル粒子分散液1]を[コアシェル粒子分散液2]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー2]を得た。
<実施例3>
[コアシェル粒子分散液1]を[コアシェル粒子分散液3]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー3]を得た。
<実施例4>
[WAX]を[東亜化成社製、WA−05、カルナウバワックス、融点86℃、SP値9.3]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー4]を得た。
<実施例5>
[コアシェル粒子分散液1]596部を976部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー5]を得た。
<実施例6>
[コアシェル粒子分散液1]を[コアシェル粒子分散液4]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー6]を得た。
<比較例1>
「ポリエステル樹脂1」を「ポリエステル樹脂2」に、[コアシェル粒子分散液1]の粒子分を[結晶性ポリエステル樹脂1]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー7]を得た。
<比較例2>
「ポリエステル樹脂1」を「ポリエステル樹脂2」に、[コアシェル粒子分散液1]を[コアシェル粒子分散液6]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー8]を得た。
<比較例3>
「ポリエステル樹脂1」を「ポリエステル樹脂2」に、[コアシェル粒子分散液1]を[コアシェル粒子分散液5]に変更したこと以外は実施例1と同様にして、[トナー9]を得た。
<現像液の作製>
−キャリアの作製−
トルエン100部に、シリコーン樹脂オルガノストレートシリコーン100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。
流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
−現像剤の作製−
ボールミルを用いて、前記トナー15部と前記キャリア95部とを混合し、現像剤を作製した。
得られたトナー及び現像剤について、以下の耐熱保存性、定着性の評価を行った。
1.耐熱保存性(1)
トナー試料20gを20mlのガラス瓶に入れ、50℃の恒温槽にて24時間静置した後、このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)にて針入度の測定を行った。
なお、本発明における針入度とは貫入量の深さをmmで示した値を指し、この値が大きいトナー程、熱に対する保存性が優れている。
この値が10mm未満の場合は、使用上問題が発生する可能性が高い。
針入度に基づく熱保存性の判定基準は次の通りである。
◎:20mm以上
○:15mm以上20mm未満
△:10mm以上15mm未満
×:10mm未満
2.耐熱保存性(2)
トナー試料20gを20mlのガラス瓶に入れ、40℃、90%RHの恒温槽にて120時間静置した後、このトナーを24℃、50%RH環境下で冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)にて針入度の測定を行った。
この値が大きいトナー程、熱に対する保存性が優れている。
この値が10mm未満の場合は、使用上問題が発生する可能性が高い。
針入度に基づく熱保存性の判定基準は次の通りである。
◎:20mm以上
○:15mm以上20mm未満
△:10mm以上15mm未満
×:10mm未満
3.定着性(定着下限温度)(1)
改造したIPSiO SP C220にトナーを入れ、リコー製タイプ6200Y目紙上に、付着量が8g/m2になるように設定して40mm角の未定着ベタ画像を印字したものを19枚用意した。
次に、改造した定着ユニットを用い、システムスピードを500mm/secに設定し、用意した未定着のベタ画像を通紙して画像を定着させた。
定着温度を120℃から5℃刻みで200℃まで試験を行い、定着画像について、上島製作所製描画試験器AD−401を使用し、定着画像(B)の着色部分にサファイヤ針125μR、針回転直径8mm、荷重1gの条件で当接した状態で走行させ、サファイヤ針尖端部の走行面を目視により観察し、引っかき傷が白い点として明らかに認められる温度をNGとした。
NGとならない最低温度を定着下限温度とした。
○:定着下限温度が130℃以下
△:定着下限温度が135〜145℃
×:定着下限温度が150℃以上
4.部材汚染(フィルミング)
画像形成装置MF2800(株式会社リコー製)を用いて、10,000枚画像を形成させた後の感光体を目視で検査し、トナー成分、主に離型剤の感光体への固着が生じていないかを下記評価基準により評価した。
◎:感光体へのトナー成分の固着が確認されない
○:感光体へのトナー成分の固着が確認できるが、実用上、問題になるレベルではない
△:感光体へのトナー成分の固着が確認でき、実用上問題の出るレベルである
×:感光体へのトナー成分の固着が確認でき、実用上大きく問題のあるレベルである
実施例1〜6のトナーは、TEM観察により、離型剤が、第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコアとし、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であることが確認できた。また、耐熱保存性、定着性に優れ、部材汚染も観察されなかった。
比較例1のトナーは結晶性樹脂がコアシェル構造を取っていない為、特に非晶質樹脂と相溶する部分が多く、Tgを降下させてしまったことで耐熱保管性に悪影響が大きく作用した。またWAXとのSP値が離れておりトナー中の分散としても表面近傍に存在する確立が増える為、結晶性樹脂やWAX起因での部材汚染が引き起こされた。
比較例2のトナーは結晶性樹脂がコアシェル構造を取っているが、トナー表面近傍に単独で存在しているものが存在し、離型剤への被覆率が小さかった。また、総じて離型剤もトナー内部の表面側に多く存在しているため定着下限には効果があったが部材汚染が悪化していた。これは、第2の非晶質樹脂のSP値が第1の非晶質樹脂より大きかった為、トナー表層側に引っ張られて(配向しやすい状態)たためと考えられる。
比較例3についてはコアシェル粒子を作成している段階でコア部の結晶性樹脂のSP値が高すぎた為、まだらなシェル化になってしまった。これによりこのコアシェル粒子をトナーの乳化工程に添加すると第1の非晶質樹脂などと相溶する部分が出てきてしまうことで耐熱保管性に悪影響がでた。さらにコアの結晶性樹脂部のSP値が高いためトナー表面側により引っ張られて配向していきやすい傾向も見られた。
特許第4075949号公報 特開2012−53196号公報 特開2011−232738号公報

Claims (8)

  1. 第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコアとし、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であることを特徴とするトナー。
  2. 前記第1の非晶性樹脂をR、第2の非晶性樹脂をT、離型剤をAとし、R、T、及びAのそれぞれのSP値をRsp、Tsp、及びAspと表したとき、SP値が
    Rsp>Tsp>Asp
    という関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記第1の非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂であり、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記離型剤が少なくとも炭化水素ワックスを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記結晶性樹脂が80℃以下の融点であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
  6. 第1の非晶性樹脂と、該第1の非晶性樹脂よりSP値が低い第2の非晶性樹脂と、結晶性樹脂と、離型剤と、を含有し、前記離型剤は、前記第1の非晶性樹脂中に分散され、かつ該離型剤の表面の少なくとも一部が、前記結晶性樹脂をコア、前記第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子により被覆された状態であるトナーの製造方法であって、前記第2の非晶性樹脂が少なくともビニルポリマーを有し、該結晶性樹脂をコアとし、第2の非晶性樹脂をシェルとするコアシェル粒子を作製する工程と、
    前記コアシェル粒子を前記第1の非結晶性樹脂中に分散させる分散工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 前記分散工程が、有機溶媒中に少なくとも前記第1の非晶性樹脂とコアシェル粒子と離型剤とを溶解あるいは分散させた油相を作製する油相調製工程と、水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する水相調製工程と、前記水相中に前記油相を分散させ、油相からなる粒子が分散した分散液を作製する油滴分散液調製工程とを含み、更に前記溶媒を除去する脱溶剤工程と、トナー粒子を洗浄する洗浄工程と、乾燥して水分を除去する乾燥工程とを少なくとも含むことを特徴とする請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 感光体と少なくとも感光体上の潜像を現像剤で現像する装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、現像剤中に請求項1〜5のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015059949A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 株式会社リコー トナー、該トナーの製造方法、前記トナーを用いた現像剤及びプロセスカートリッジ
JP2017068013A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー
US9915883B2 (en) 2016-02-19 2018-03-13 Konica Minolta, Inc. Toner
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