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JP2014043157A - 自動車の後部遮音構造 - Google Patents

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JP2014043157A JP2012186183A JP2012186183A JP2014043157A JP 2014043157 A JP2014043157 A JP 2014043157A JP 2012186183 A JP2012186183 A JP 2012186183A JP 2012186183 A JP2012186183 A JP 2012186183A JP 2014043157 A JP2014043157 A JP 2014043157A
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Abstract

【課題】遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、車外騒音の侵入を抑制することができる自動車の後部遮音構造を提供することを目的とする。
【解決手段】リトラクタ23の前後面に近接する位置より車両前後において、リアピラートリム9のシートバックよりも上方の一般面92に対し車幅方向外側に凹む形状で、リアピラー8のインナパネル8Bの車内側面に沿って延設されるリトラクタ前側凹部、後側凹部93、94が設けられ、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94と、前記車内側面との間に、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94に沿ってシール材34、35が延設されることで、リトラクタ23と、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94と、シール材34、35とにより、前記車内側面とリアピラートリム9の間に形成された空間内に、該空間への騒音侵入を抑制する遮蔽部50を形成した。
【選択図】図7

Description

この発明は、遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、車外騒音の侵入を抑制することができる自動車の後部遮音構造自動車に関する。
通常の自動車には、後部にリアホイールハウスの他、空調の換気やドア開閉時の車室気圧変動防止のための排気口(エキストラクタ)が設けられている。また、リアホイールハウスまたは車体下部に設けられた排気口とピラーの車両前方には、シートが設けられると共に、前記ピラーには、これを覆うピラートリムが設けられている。
また、従来、上述したピラーとピラートリムの間には、ピラーの凹凸に対し車室内面を滑らかにしたり、スピーカやハーネス、エアバッグやシートベルト装置等の補機を配置したりするために、空間を設けているものがある。しかしながら、このような自動車においては、リアホイールハウスや排気口から車外騒音(路面とタイヤ間に発生するロードノイズや水跳ね音等)がピラーとピラートリムとの間の空間を伝播し、ピラートリムを透過することで、前記シートに着座した乗員の耳の近くに前記車外騒音が侵入するという問題があった。
そこで、従来、前記空間への騒音伝播を防止すべく、車両後部のフェンダ等の車体の空間に板状の遮蔽板を設けたものが提案されている(下記特許文献1参照)。しかしながら、下記特許文献1では、車外騒音が伝播される前記空間全体を遮音するための専用の大きな遮蔽板が必要となることから、コストの増大を招くという問題があった。
また、従来、前記空間内にシートベルト装置を配置した場合、シートベルト装置の配置空間やトリムに形成したシートベルトの引出口が車外騒音の侵入経路になることが知られており、下記特許文献2では、シートベルト装置(リトラクタ)やベルト配索通路を、ピラートリムやリアパーシェルシェルフトリムにより、荷室やエキストラクタに連通する排気通路と遮蔽した構成が開示されている。
下記特許文献2の場合、排気通路とシートベルト装置の配設スペースとをトリムやリアパーシェルシェルフで遮蔽することから、別途遮蔽部を必要とはしないものの、排気口から前記空間にされる騒音を遮断しておらず、前記乗員の耳の近くでピラートリムを透過してくる車外騒音の侵入を防ぐことができなかった。また、ピラートリムがシートベルト装置の車外側を覆うため、蓋部材が別途必要になると共に、シートベルト装置の配置スペースが車内側にずれることから、結果的に車室空間を圧迫するという問題があった。
そこで、ピラートリムやシートベルト装置(リトラクタ)を取り付けるための車体側ブラケットを板状に形成し、この板状の車体側ブラケットによって、シートベルト装置の配置空間、つまりは車外騒音の侵入経路を遮蔽することが考えられる。しかしながら、この場合、シートベルト装置(リトラクタ)を上方から広範囲に覆う必要があるため、車体側ブラケットが大きくなってしまい、下記特許文献1の場合と同様、コストの増大を招くと共に、車体重量の増大も招いてしまう。
特表2006−502916号公報 実開昭54−19417号公報
この発明は、遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、車外騒音の侵入を抑制することができる自動車の後部遮音構造を提供することを目的とする。
この発明の自動車の後部遮音構造は、車室に設けられたシートの側方近傍の車体側部に、前記シートのシートバックよりも上方に延びるピラーが設けられると共に、前記車体側部の前記シートバックの車両後方且つ該シートバック上縁よりも下方の部位に、リアホイールハウスまたは排気口が設けられ、前記ピラーを、該ピラーの車内側面との間に所定の空間を形成するように覆うピラートリムが設けられ、前記シートバック上縁の車両後方近傍の車体側部にリトラクタが配設され、該リトラクタから前記シートバックの車両前方へシートベルトが引出されるように構成された自動車の後部遮音構造であって、前記ピラートリムは、前記シートバック上縁に対しその近傍ないし下方の高さ位置において、前記リトラクタの車内側の面に近接するリトラクタ側方部と、前記リトラクタの前面に近接する位置より車両前方において、前記ピラートリムの前記シートバックよりも上方の一般面に対し車幅方向外側に凹む形状で、前記車体側部の車内側面に沿って延設されるリトラクタ前側凹部と、前記リトラクタの後面に近接する位置より車両後方において、前記ピラートリムの前記シートバックよりも上方の一般面に対し車幅方向外側に凹む形状で、前記車内側面に沿って延設されるリトラクタ後側凹部と、が設けられ、前記リトラクタ前側凹部、後側凹部と、前記車体側部の車内側面との間に、前記リトラクタ前側凹部、後側凹部に沿ってシール材が延設されることで、前記リトラクタと、前記リトラクタ前側凹部と後側凹部と、シール材とにより、前記車体側部の車内側面と前記ピラートリムの間に形成された空間内に、該空間への騒音侵入を抑制する遮蔽部を形成したものである。
この構成によれば、従来、レイアウトスペースが車外騒音の伝播経路の形成要因とされていたリトラクタを逆に利用して、遮蔽部を、ピラートリムとの協働により車幅方向にコンパクトに形成することができる。従って、専用の遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、車体側部の車内側面とピラートリムとの間に形成された空間内に車外騒音が侵入することを抑制できる。
この発明の一実施態様においては、前記リトラクタ前側凹部と後側凹部の少なくとも一方は、正面断面視で車幅方向内側に開口し、車幅方向に延びる上壁部と下壁部と車幅方向外側の外側壁部とを有するコ字状に形成され、該外側壁部は、前記シール材の当接面または取付面を形成するものである。
この構成によれば、遮蔽部における遮音性と耐久性を向上させることができる。
具体的には、リトラクタ前側凹部、後側凹部の断面形状をコ字状とすることで、遮蔽部は、車外騒音が伝播される上下方向において二重の壁部(上壁部、下壁部)を有することになる。このため、車外騒音を二重に遮蔽することができ、その結果、遮音性を向上させることができる。また、外側壁部が上下の上壁部、下壁部で補強される構造となるため、シール材の支持剛性の向上やシール材との接触面積の拡大を図ることができる。このため、長期間に亘って遮音性を維持することができる。
この発明の一実施態様においては、前記車体側部の前記リトラクタよりも車両前方または車両後方の部位に、該リトラクタを前記車体側部に取り付けるための取付ブラケットが、前記リトラクタと車両前後方向に隣接して設けられ、前記取付ブラケットは、車幅方向および車両前後方向に延びる平面部を有すると共に、該平面部の車幅方向内側に、前記リトラクタ前側凹部または後側凹部の一方に沿って延びて、前記シール材が当接するシール当接面部が設けられたものである。
この構成によれば、リトラクタをピラーに取り付けるための取付ブラケットを、リトラクタの上下や左右ではなく車両前後方向にずらして設けることで、リトラクタを車幅方向においてコンパクトに配置できると共に、取付ブラケットを遮蔽部の一部として機能させることができる。このため、シール材やリトラクタ前側凹部、後側凹部の縮小化を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、前記ピラートリムの下部に、前記シートバックの上縁よりも下方且つ車両後方の車体側部を覆うサイドトリムが隣接して設けられ、該サイドトリムは、その上縁が車幅方向外側に延びたサイドトリム上壁部が設けられ、該サイドトリム上壁部と、前記リトラクタ前側凹部または後側凹部において車幅方向に延びる壁部とが、正面断面視で、少なくとも一部の車幅方向位置が重なるように配設されているものである。
この構成によれば、サイドトリムの上壁部と、リトラクタ前側凹部または後側凹部の壁部とにより、車外騒音が伝播される上下方向において迷路構造や多重遮蔽構造を形成することができる。このため、車外騒音を多重に遮蔽することができ、その結果、遮音性を向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、前記リトラクタ前側凹部の車両後方に、車室内外を連通するベルト引出口を設けると共に、該ベルト引出口から、前記シートベルトの面を略水平に車両前方へ引出す態様において、その上面に沿って車両前方に延びるベルト引出通路を形成するものである。
この構成によれば、シートベルト自体を遮蔽部の一部として機能させることができる。また、遮蔽部から一部の車外騒音がベルト引出口に漏れたとしても、車外騒音は、シートベルトに衝突しながら伝播されることによって、ベルト引出通路を伝播する間に減衰されることになる。このため、上記構成によれば、シートベルト自体を、ベルト引出通路を伝播する間に前記車外騒音を吸収する吸音手段として機能させることもできる。
この発明の一実施態様においては、前記シートバックの車両後方且つ前記遮蔽部よりも下方の車体側部に、吸音手段が設けられたものである。
この構成によれば、車外騒音は、遮蔽部によってその下方に閉じ込められた状態で、吸音手段に確実に吸収されることになる。このため、ピラートリムの遮音性を強化しなくても(ピラートリムとして高価なものを用いなくても)、少ない吸音手段で車外騒音を効果的に吸収することができる。
この発明の一実施態様においては、前記シートバック車両後方に荷室が設けられると共に、前記シートバックの背面から車両後方に向って延びて前記荷室を覆うトノカバーまたはトノボードが、前記遮蔽部と略同等の高さに配設されるよう設定されたものである。
この構成によれば、荷室からの騒音の侵入をトノカバーまたはトノボードによって抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、前記シートバックの上縁より下方且つ車両後方の車体側部に車室と前記排気口に連通する排気通路が形成され、該排気通路に沿って前記吸音手段としての吸音材が配設されているものである。
この構成によれば、排気口から侵入した車外騒音を吸音手段に吸収させた上で遮蔽部の下方に閉じ込めることができる。このため、前記車外騒音の侵入をより確実に抑制することができる。
この発明によれば、従来、レイアウトスペースが車外騒音の伝播経路の形成要因とされていたリトラクタを逆に利用して、遮蔽部を、ピラートリムとの協働により車幅方向にコンパクトに形成することができる。従って、専用の遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、車体側部の車内側面とピラートリムとの間に形成された空間内に車外騒音が侵入することを抑制できる。
本発明の実施形態に係る後部遮音構造を備えた自動車の後部を車内側から見た側面図。 サイドトリムの構造を示す断面図。 サイドトリムを取り外した状態で自動車の後部を車内側から見た側面図。 リアシートおよびその周辺を示す斜視図。 図4のA−A線矢視断面相当の図。 自動車の後部遮音構造を車外側から見た斜視図。 図6のB−B線矢視断面相当の図。 図7のC−C線矢視断面図。 図7のD−D線矢視断面図。 図7のE−E線矢視断面図。 図7のF−F線矢視断面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る後部遮音構造を備えた自動車の後部を車内側から見た側面図である。図1に示す車両には、車体の床面を形成するフロアパネル1を設けている。このフロアパネル1は、シートパン1Aと、このシートパン1Aに前低後高状に連設されたスラント形状のキックアップ部1Bと、このキックアップ部1Bの上端から車両後方に向けて延びる荷室フロア1Cと、荷室フロア1Cの車幅方向中央部に一体または一体的に段下げ形成されたスペアタイヤパン1Dと、を備えている。
上述のフロアパネル1の後端には、所定量上方に向けて立上がるリアエンドパネル2を接合固定し、このリアエンドパネル2のリア側には、車幅方向に延びるリアエンドメンバ3を接合固定して、このリアエンドメンバ3と上述のリアエンドパネル2との間には車幅方向に延びるリアエンド閉断面を形成している。
上述のフロアパネル1におけるキックアップ部1Bの上部には、車幅方向に延びるリアクロスメンバ4を接合固定して、このリアクロスメンバ4とフロアパネル1との間に、車幅方向に延びる閉断面を形成し、下部車体剛性の向上を図るように構成している。
同様に、上述のフロアパネル1におけるキックアップ部1Bの下部にも、リアクロスメンバ4と上下方向に対向するように、車幅方向に延びるリアクロスメンバロア5を接合固定して、このリアクロスメンバロア5とフロアパネル1との間にも、車幅方向に延びる閉断面を形成し、下部車体剛性の向上を図るように構成している。
そして、車室6には、上述のフロアパネル1におけるシートパン1Aの上部にリアシート7が配設されている。このリアシート7は、後席乗員の着座面を形成するシートクッション7Cと、後席乗員の背もたれ面を形成するシートバック7Bと、後席乗員の頭部を保持するヘッドレスト7Hと、を有している。
また、リアシート7の側方近傍の車体側部には、シートバック7Bよりも上方に延びるリアピラー8が設けられると共に、該リアピラー8の車内側の面との間に所定の空間を形成するようにリアピラー8を覆うリアピラートリム9が設けられている。
また、シートバック7Bの車両後方には、荷室10が設けられると共に、リアピラートリム9の下部には、シートバック7Bの上縁よりも下方且つ車両後方の車体側部を覆って荷室10の側壁を構成するサイドトリム11が隣接して設けられている。
図2は、サイドトリムの構造を示す断面図である。サイドトリム11は、図2に示すように、ポリプロピレン等の樹脂パネルで構成された芯材111と、該芯材111の表面、裏面に取り付けられたフェルト、植毛層、スポンジ、多孔質材等により構成される吸音部112とにより構成されている。なお、車内(荷室10)側では、芯材111が傷付くことを防止するために、吸音部112をフェルトや植毛層で構成するのがより好ましい。
また、サイドトリム11は、図1に示すように、シートバック7Bの車両後方且つ該シートバック7Bの上縁よりも下方の部位に、半円状をなして荷室10側に膨出する膨出部11aと、排気スリット11bとが設けられると共に、膨出部11aの車両後方には、ジャッキ等の車載備品を格納すべく荷室10の車外側に形成された格納部にアクセスするための格納部リッド11cが設けられている。
また、サイドトリム11の上端部には、シートバック7Bの背面から車両後方に向かって延びて荷室10を覆うトノボード12が設けられている。なお、本実施形態では、板状のトノボード12を設けることとしたが、シート状のトノカバーを設けてもよい。
図3は、サイドトリムを取り外した状態で自動車の後部を車内側から見た側面図である。シートバック7Bの車両後方且つ該シートバック7Bの上縁よりも下方の部位には、半円状をなして荷室10側に膨出するリアホイールハウス13を設けており、上述したサイドトリム11には、このリアホイールハウス13と対応する位置に膨出部11aを形成している。また、リアホイールハウス13は、該リアホイールハウス13とその上方に亘って設けられたホイールハウス補強部材としてのホイールハウスガセット14を備えている。
また、リアホイールハウス13の車両後方には、空調の換気やドア開閉時の車室気圧変動防止のための排気口としてエキストラクタ15が設けられている。
そして、シートバック7Bの車外側、且つサイドトリム11の車両前方には、ホイールハウス前側トリム16が配設され、該ホイールハウス前側トリム16、サイドトリム11の車外側には、シートバック7B、リアホイールハウス13、エキストラクタ15に対応して吸音材17、18、19が設けられている。この吸音材17〜19は、例えば、気泡が繋がった連泡スポンジや不織布、メッシュ等で構成されている。
図4は、リアシートおよびその周辺を示す斜視図であり、図5は、図4のA−A線矢視断面相当の図である。また、図6は、自動車の後部遮音構造を車外側から見た斜視図であり、図7は、図6のB−B線矢視断面相当の図である。また、図8〜図11は、それぞれ図7のC−C線矢視断面図、D−D線矢視断面図、E−E線矢視断面図、F−F線矢視断面図である。
本実施形態では、リアシート7に対応して、図1、図3〜図9に示すように、シートベルト装置20が設けられており、このシートベルト装置20は、主に、シートベルト21と、このシートベルト21の中間部を案内するショルダアンカ22(図4参照)と、シートバック7Bの上縁の車両後方近傍の車体側部に設けられたリトラクタ23と、を備え、シートベルト装置20は、リトラクタ23からシートバック7Bの車両前方へシートベルト21が引き出されるように構成されている。
また、図5に示すように、リアシート7が配設される車室6および荷室10を上方から覆うルーフパネル30を設け、このルーフパネル30の後端部には、上述したリアピラー8の車外側部分を構成するアウタパネル8Aが接合固定されている。
また、ルーフパネル30の車幅方向両側には、図4、図5に示すように、車両前後方向に延びるルーフサイドレール31が設けられると共に、該ルーフサイドレール31の車両後方には、図5に示すように、車幅方向に延びるヘッダ閉断面を形成するリアヘッダ32が設けられ、このリアヘッダ32の閉断面により、上部における後部車体剛性の向上を図っている。そして、ルーフサイドレール31のアウタパネル31Aの後端部とリアヘッダ32のアウタパネル32Aの上面部とが接合固定されると共に、ルーフサイドレール31のインナパネル31Bの後端部が、アウタパネル32A、インナパネル32Bの前端部の間に挟まれるようにしてリアヘッダ32の前端部に接合固定されている。
また、リアピラー8の車内側部分を構成するインナパネル8Bが、リアヘッダ32のアウタパネル32A、インナパネル32Bの後端部の間に挟まれるようにしてリアヘッダ32の後端部に接合固定されている。なお、図7、図8に示す部材8Cは、リアピラー8においてアウタパネル8Aとインナパネル8Bとの間に設けられたレインフォースメントである。
ところで、リアピラー8の車内側を覆うリアピラートリム9は、図4〜図11に示すように、シートバック7の上縁に対しその近傍ないし下方の高さ位置において、リトラクタ23の車内側の面に近接するリトラクタ側方部91と、リトラクタ23の前面に近接する位置より車両前方において、シートバック7Bよりも上方の一般面92(図4、図7参照)に対し車幅方向外側に凹む形状をなし、車体側部(リアピラー8)の車内側面(インナパネル8Bの車内側面)に沿って延設されるリトラクタ前側凹部93と、リトラクタ23の後面に近接する位置より車両後方において、一般面92に対し車幅方向外側に凹む形状をなし、インナパネル8Bの車内側面に沿って延設されるリトラクタ後側凹部94とが設けられている。
そして、上述したリトラクタ前側凹部93の後方には、サイドトリム11において、図4、図5、図7に示すように、車室内外を連通するベルト引出口11dが形成されており、リトラクタ前側凹部93は、図1、図3、図5、図7に示すようにシートベルト21の面を略水平に車両前方に引き出す態様において、その上面に沿って車両前方に延びるベルト引出通路33を形成している。
また、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94とインナパネル8Bの車内側面との間には、図6〜図8、図10、図11に示すように、それぞれ、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94に沿ってシール材34、35が延設されている。このシール材34、35は、例えば、気泡が個々に独立した単泡スポンジで構成されており、このような気泡が互いに連通しない構造を有することによって、シール材34、35は高い遮音性を有している。
また、リアピラー8の車内側面とリアピラートリム9との間に形成された空間内には、車載用補機として、図6に示すようなスピーカ36が設けられ、上述したリトラクタ後側凹部94には、図7に示すように、スピーカ36に接続されるハーネス37を配索する配索スペースを形成すべく車内側に膨出した配索凹部95が形成されている。ハーネス37は、配索凹部95とシール材35とにより形成された配索スペースを通って上下方向に配索されている。
また、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94は、その一部が、図8〜図11に示すように、正面断面視で車幅方向内側に開口すると共に、車幅方向に延びる上壁部93a、94aと、下壁部93b、94bと、車幅方向外側の外側壁部93c、94cとを有するコ字状に形成されている。
一方、上述したシール材34、35は、その車幅方向内側面に接着面を有しており、この接着面が外側壁部93c、94cに面接触することで、図8、図10に示すように、対応するシール材34、35がそれぞれ外側壁部93c、94cに接着されている。このように、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94では、外側壁部93c、94cにシール材34、35が接着されることで、外側壁部93c、94cがシール材34、35の取付面を形成している。
ところで、リトラクタ23は、図7に示すように、その前部に平面視で略L字状をなす前側締結片23aを有している。そして、この前側締結片23aは、その車幅方向内側がリアピラートリム9に沿って車両前後方向に延びており、図3、図6、図7、図9に示すように、ボルト、ナット等の締結部材38によってリアピラートリム9のリトラクタ前側凹部93に締結されている。リトラクタ23は、この前側締結片23aの締結により、前部がリアピラートリム9に取り付けられている。
また、リトラクタ23は、図7に示すように、車両後方に向かって延びる後側締結片23bを有すると共に、リトラクタ23よりも車両後方には、取付ブラケット39がリトラクタ23と車両前後方向に隣接して設けられ、この取付ブラケット39がインナパネル8Bの車内側面に取り付けられている。そして、リトラクタ23の後側締結片23bは、図6、図7、図10に示すように、ボルト、ナット等の締結部材40によって取付ブラケット39の上壁部39aに締結されている。リトラクタ23は、この後側締結片23bの締結により、後部が取付ブラケット39を介して車体側部(インナパネル8B)に取り付けられている。
また、取付ブラケット39は、略矩形状をなす上壁部39aと、車幅方向および車両前後方向に延びる4つの縦平面部39bとを有している。そして、縦平面部39bのうち、車幅方向内側の位置するものは、図10に示すように、リトラクタ後側凹部94に沿って延びており、シール材35に密着するように当接している。
本実施形態では、図6〜図8、図10、図11に示すように、上述したリトラクタ23と、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94と、シール材34、35とにより、インナパネル8Bの車内側面とリアピラートリム9との間に形成された空間内には、該空間を途中で上下に分断する遮蔽部50が形成されている。そして、リアホイールハウス13やエキストラクタ15から車外騒音が伝播された場合には、図6に二点鎖線の太矢印で示すように、前記車外騒音が前記空間に侵入することを遮蔽部50によって抑制することが可能になっている。
また、上述したトノボード12は、図6に示すように、遮蔽部50と略同等の高さに配設される一方、上述した吸音材17〜19は、いずれも遮蔽部50よりも下方のインナパネル8Bに設けられ、それぞれホイールハウス前側トリム16、サイドトリム11の膨出部11a、格納部リッド11cの車外側側面と対応する位置に配置されている。
また、上述したリアホイールハウス13は、図8〜図11に示すように、車外側のアウタパネル13Aと、車内側のインナパネル13Bとにより構成されている。そして、シートバック7Bの上縁より下方且つ後方には、図9〜図11に示すように、リアピラー8、リアホイールハウス13の各インナパネル8B、13Bと、サイドトリム11との間に空間が形成され、この空間により、排気スリット11bを介して車室7に連通すると共に、エキストラクタ15に連通する排気通路60が形成されている。上述した吸音材17〜19のうち、吸音材19は、エキストラクタ15の前縁を塞ぐように排気通路60に沿って配設されており、該排気通路60で最も幅が狭い部位を塞ぐように配置されている。
また、サイドトリム11は、図8〜図11に示すように、その上縁が車幅方向外側に延びたサイドトリム上壁部11eが設けられており、該サイドトリム上壁部11eと、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94において車幅方向に延びる上壁部93a、93a、下壁部93b、94bとが、正面断面視で、少なくとも一部の車幅方向位置が重なるように配設されている。
本実施形態では、リトラクタ23の車両前後にリトラクタ前側凹部、後側凹部93、94を設けると共に、該リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94とインナパネル8Bの車内側面との間に、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94に沿ってシール材34、35を設けて遮蔽部50を形成することにより、従来、レイアウトスペースが車外騒音の伝播経路の形成要因とされていたリトラクタ23を逆に利用して、遮蔽部50を、リアピラートリム9との協働により車幅方向にコンパクトに形成することができる。従って、専用の遮蔽板を追加したり、車室空間を圧迫したりすることなく、インナパネル8Bの車内側面とリアピラートリム9との間に形成された空間内に車外騒音が侵入することを抑制できる。
また、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94を正面断面視でコ字状に形成すると共に、その外側壁部をシール材34、35の当接面とすることで、遮蔽部50における遮音性と耐久性を向上させることができる。
具体的には、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94の断面形状をコ字状とすることで、遮蔽部50は、車外騒音が伝播される上下方向において二重の壁部(上壁部93a、94a、下壁部93b、94b)を有することになる。このため、前記車外騒音を二重に遮蔽することができ、その結果、遮音性を向上させることができる。また、外側壁部93c、94cが上下の上壁部93a、94a、下壁部93b、94bで補強される構造となるため、シール材34、35の支持剛性の向上やシール材34、35との接触面積の拡大を図ることができる。このため、長期間に亘って遮音性を維持することができる。
また、リトラクタ23をリアピラー8に取り付けるための取付ブラケット39を、リトラクタ23の上下や左右ではなく車両前後方向にずらして設けることで、リトラクタ23を車幅方向においてコンパクトに配置できると共に、取付ブラケット39を遮蔽部50の一部として機能させることができる。このため、シール材34、35やリトラクタ前側凹部、後側凹部93、94の縮小化を図ることができる。
また、サイドトリム11の上壁部11eと、リトラクタ前側凹部、後側凹部93、94の上壁部93a、94a、下壁部93b、94bとを、正面断面視で少なくとも一部の車幅方向位置が重なるように配設することで、上壁部11eと、上壁部93a、94a、下壁部93b、94bとにより、車外騒音が伝播される上下方向において迷路構造や多重遮蔽構造を形成することができる。このため、前記車外騒音を多重に遮蔽することができ、その結果、遮音性を向上させることができる。
なお、この場合、サイドトリム11の上壁部11eを、さらにリトラクタ前側凹部、後側凹部93、94の上壁部93a、94aと接するように配設してもよい。これにより、該上壁部93a、94aと下壁部93b、94bと外側壁部93c、94cとにより形成されるコ字状断面部位と、サイドトリム11との間の隙間を車内側から見え難くすることができるため、意匠性の面でより好ましい構成となる。
また、リトラクタ前側凹部93の車両後方にベルト引出口11dを設けると共に、該ベルト引出口11dから、シートベルト21の面を略水平に車両前方へ引出す態様において、その上面に沿って車両前方に延びるベルト引出通路33を形成することで、シートベルト21自体を遮蔽部50の一部として機能させることができる。また、遮蔽部50から一部の車外騒音がベルト引出口11dに漏れたとしても、前記車外騒音は、シートベルト21に衝突しながら伝播されることによって、ベルト引出通路33を伝播する間に減衰されることになる。このため、本実施形態では、シートベルト21自体を、ベルト引出通路33を伝播する間に前記車外騒音を吸収する吸音手段として機能させることもできる。
また、シートバック7Bの後方且つ遮蔽部50よりも下方のリアピラー8に吸音材18、19や吸音部112を設けたことにより、車外騒音は、遮蔽部50によってその下方に閉じ込められた状態で、吸音材18、19や吸音部112に確実に吸収されることになる。このため、リアピラートリム9の遮音性を強化しなくても(リアピラートリム9として高価なものを用いなくても)、少ない吸音材18、19で車外騒音を効果的に吸収することができる。
また、シートバック7Bの背面から車両後方に向かって延びて荷室6を覆うトノボード12を、遮蔽部50と略同等の高さに配設することで、荷室6からの騒音の侵入をトノボード12によって抑制することができる。
また、特に、吸音材18、19を配設したり、サイドトリム11の車内側に吸音部112を配設したりした場合には、トノボード12によってその下方に閉じ込めた前記騒音を吸音材18、19や吸音部112で効果的に吸収することができる。
また、シートバック7Bの上縁より下方且つ後方のリアピラー8に、車室6とエキストラクタ15に連通する排気通路60を形成すると共に、該排気通路60に沿って吸音材18、19を配設したことで、エキストラクタ15から侵入した車外騒音を吸音材18、19に吸収させた上で遮蔽部50の下方に閉じ込めることができる。このため、前記車外騒音の侵入をより確実に抑制することができる。
また、特に、シートバック7Bの背面から車両後方に向かって延びて荷室6を覆うトノボード12を遮蔽部50と略同等の高さに配設した場合には、排気通路60の車室側開口部である排気スリット11bから侵入した車外騒音を、トノボード12によって荷室6内に閉じ込めつつ、吸音材18、19に伝播させることができる。このため、前記車外騒音を吸音材18、19でより効果的に吸収することができる。
なお、上述した実施形態では、リトラクタ23よりも車両後方に取付ブラケット39を設けることとしたが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、取付ブラケットをリトラクタよりも車両前方に設けてもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、シートは、リアシート7に対応し、
以下同様に、
ピラーは、リアピラー8に対応し、
排気口は、エキストラクタ15に対応し、
ピラートリムは、リアピラートリム9に対応し、
平面部は、縦平面部39bに対応し、
吸音手段は、吸音材17、18、19、吸音部112に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
7…リアシート
7B…シートバック
8…リアピラー
9…リアピラートリム
10…荷室
11…サイドトリム
11d…ベルト引出口
11e…上壁部
12…トノボード
13…リアホイールハウス
15…エキストラクタ
17、18、19…吸音材
21…シートベルト
23…リトラクタ
33…ベルト引出通路
34、35…シール材
39…取付ブラケット
39b…縦平面部
50…遮蔽部
60…排気通路
91…リトラクタ側方部
92…一般面
93…前側リトラクタ凹部
93a…上壁部
93b…下壁部
93c…外側壁部
94…後側リトラクタ凹部
94a…上壁部
94b…下壁部
94c…外側壁部
112…吸音部

Claims (8)

  1. 車室に設けられたシートの側方近傍の車体側部に、前記シートのシートバックよりも上方に延びるピラーが設けられると共に、
    前記車体側部の前記シートバックの車両後方且つ該シートバック上縁よりも下方の部位に、リアホイールハウスまたは排気口が設けられ、
    前記ピラーを、該ピラーの車内側面との間に所定の空間を形成するように覆うピラートリムが設けられ、
    前記シートバック上縁の車両後方近傍の車体側部にリトラクタが配設され、
    該リトラクタから前記シートバックの車両前方へシートベルトが引出されるように構成された自動車の後部遮音構造であって、
    前記ピラートリムは、前記シートバック上縁に対しその近傍ないし下方の高さ位置において、前記リトラクタの車内側の面に近接するリトラクタ側方部と、
    前記リトラクタの前面に近接する位置より車両前方において、前記ピラートリムの前記シートバックよりも上方の一般面に対し車幅方向外側に凹む形状で、前記車体側部の車内側面に沿って延設されるリトラクタ前側凹部と、
    前記リトラクタの後面に近接する位置より車両後方において、前記ピラートリムの前記シートバックよりも上方の一般面に対し車幅方向外側に凹む形状で、前記車内側面に沿って延設されるリトラクタ後側凹部と、が設けられ、
    前記リトラクタ前側凹部、後側凹部と、前記車体側部の車内側面との間に、前記リトラクタ前側凹部、後側凹部に沿ってシール材が延設されることで、
    前記リトラクタと、前記リトラクタ前側凹部と後側凹部と、シール材とにより、前記車体側部の車内側面と前記ピラートリムの間に形成された空間内に、該空間への騒音侵入を抑制する遮蔽部を形成した
    自動車の後部遮音構造。
  2. 前記リトラクタ前側凹部と後側凹部の少なくとも一方は、正面断面視で車幅方向内側に開口し、
    車幅方向に延びる上壁部と下壁部と車幅方向外側の外側壁部とを有するコ字状に形成され、
    該外側壁部は、前記シール材の当接面または取付面を形成する
    請求項1記載の自動車の後部遮音構造。
  3. 前記車体側部の前記リトラクタよりも車両前方または車両後方の部位に、該リトラクタを前記車体側部に取り付けるための取付ブラケットが、前記リトラクタと車両前後方向に隣接して設けられ、
    前記取付ブラケットは、車幅方向および車両前後方向に延びる平面部を有すると共に、
    該平面部の車幅方向内側に、前記リトラクタ前側凹部または後側凹部の一方に沿って延びて、前記シール材が当接するシール当接面部が設けられた
    請求項1または2記載の自動車の後部遮音構造。
  4. 前記ピラートリムの下部に、前記シートバックの上縁よりも下方且つ車両後方の車体側部を覆うサイドトリムが隣接して設けられ、
    該サイドトリムは、その上縁が車幅方向外側に延びたサイドトリム上壁部が設けられ、
    該サイドトリム上壁部と、前記リトラクタ前側凹部または後側凹部において車幅方向に延びる壁部とが、正面断面視で、少なくとも一部の車幅方向位置が重なるように配設されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車の後部遮音構造。
  5. 前記リトラクタ前側凹部の車両後方に、車室内外を連通するベルト引出口を設けると共に、
    該ベルト引出口から、前記シートベルトの面を略水平に車両前方へ引出す態様において、その上面に沿って車両前方に延びるベルト引出通路を形成する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車の後部遮音構造。
  6. 前記シートバックの車両後方且つ前記遮蔽部よりも下方の車体側部に、吸音手段が設けられた
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動車の後部遮音構造。
  7. 前記シートバック車両後方に荷室が設けられると共に、
    前記シートバックの背面から車両後方に向って延びて前記荷室を覆うトノカバーまたはトノボードが、前記遮蔽部と略同等の高さに配設されるよう設定された
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動車の後部遮音構造。
  8. 前記シートバックの上縁より下方且つ車両後方の車体側部に車室と前記排気口に連通する排気通路が形成され、
    該排気通路に沿って前記吸音手段としての吸音材が配設されている
    請求項6記載の自動車の後部遮音構造。
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