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JP2013214562A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板、冷却器付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール - Google Patents

ヒートシンク付パワーモジュール用基板、冷却器付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウムからなる金属層と銅からなるヒートシンクとの間に介在されるはんだ層におけるクラックの進展を抑制でき、接合信頼性に優れたヒートシンク付パワーモジュール用基板を提供する。
【解決手段】セラミックス基板11の一方の面に回路層12が配設されるとともにセラミックス基板11の他方の面にアルミニウムからなる金属層13が配設されたパワーモジュール用基板10と、この金属層13の他方の面側にはんだ層17を介して接合されたヒートシンク18と、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板20であって、金属層13は、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされたアルミニウム板がセラミックス基板11に接合されて構成されており、ヒートシンク18は、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、セラミックス基板の一方の面にアルミニウムからなる回路層が配設されるとともに前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウムからなる金属層が配設されたパワーモジュール用基板と、銅又は銅合金からなるヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板、このヒートシンク付パワーモジュール用基板を備えた冷却器付パワーモジュール用基板及びパワーモジュールに関するものである。
半導体素子の中でも電力供給のためのパワー素子は、発熱量が比較的高いため、これを搭載する基板としては、例えば、特許文献1〜4に示すように、セラミックス基板の一方の面に回路層となるアルミニウムの金属板が接合され、セラミックス基板の他方の面に金属層となるアルミニウムの金属板が接合されたパワーモジュール用基板が広く用いられている。
これらのパワーモジュール用基板においては、金属層の他方の面側にはんだ層を介して銅製の放熱板(ヒートシンク)が接合される。そして、この放熱板(ヒートシンク)が冷却器にネジ等によって固定される。
上述のパワーモジュールにおいては、その使用時に熱サイクルが負荷されることになる。ここで、パワーモジュール用基板に熱サイクルが負荷された場合には、金属層と放熱板(ヒートシンク)との間に介在するはんだ層に歪みが蓄積し、はんだ層にクラックが生じることになる。
そこで、従来は、アルミニウムの含有量が99.99質量%以上の4Nアルミニウム等の比較的変形抵抗の小さなアルミニウムで金属層を構成することにより、上述の歪みを金属層の変形によって吸収し、はんだ層におけるクラックの発生防止を図っている。
ここで、4Nアルミニウムからなる金属層と銅からなる放熱板(ヒートシンク)との間に介在されるはんだ層内部の歪み分布を計算した結果、金属層の広い範囲に歪みが分布しており、歪みが広く分散され、歪み量のピーク値が低くなることが確認される。
特開2004−152969号公報 特開2004−153075号公報 特開2004−200369号公報 特開2004−207619号公報
ところで、上述のように、金属層を4Nアルミニウム等の比較的変形抵抗の小さなアルミニウムで構成した場合、はんだ層の広い範囲でクラックが生じ、金属層とヒートシンクとの接合が不十分になって、冷熱サイクル負荷後に熱抵抗が上昇してしまうおそれがあった。これは、熱サイクルを負荷した際に金属層が必要以上に変形し、ヒートシンクとの間に介在するはんだ層に対してさらに歪みが負荷されてしまい、せっかく歪みを広く分散したにもかかわらず歪み量を十分に低減することができなくなったためと推測される。
特に、最近では、パワーモジュールの小型化・薄肉化が進められるとともに、その使用環境も厳しくなってきており、半導体素子等の電子部品からの発熱量が大きくなっているため、熱サイクルの温度差が大きく、はんだ層の広い範囲でクラックが生じやすい傾向にある。
また、銅のヒートシンクは、接合時において反るように塑性変形することがある。すると、冷却器とヒートシンクとを密着するように積層配置することができなくなり、積層方向の熱抵抗が上昇し、効率的に冷却ができないといった問題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、アルミニウムからなる金属層と銅からなるヒートシンクとの間に介在されるはんだ層におけるクラックの発生及び進展を抑制でき、かつ、ヒートシンクの反りを低減することにより、金属層とヒートシンクとが十分に接合され、冷熱サイクル負荷後における金属層とヒートシンクとの間の熱抵抗の上昇を抑制することができるヒートシンク付パワーモジュール用基板、このヒートシンク付パワーモジュール用基板を備えた冷却器付パワーモジュール用基板及びパワーモジュールを提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、金属層を純度が99.0質量%以上99.85質量%以下(いわゆる2Nアルミニウム)を用いることによって、4Nアルミニウムを用いた場合と比較して金属層の変形を抑制可能であるとの知見を得た。また、2Nアルミニウムからなる金属層と銅からなるヒートシンクとの間に介在されるはんだ層内部の歪み分布を確認した結果、金属層の周縁部において歪み量が高く、金属層の内側領域での歪み量が低くなるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基いてなされたものであって、本発明に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板は、セラミックス基板の一方の面に回路層が配設されるとともに前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウムからなる金属層が配設されたパワーモジュール用基板と、この金属層の他方の面側にはんだ層を介して接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、前記金属層は、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされたアルミニウム板が前記セラミックス基板に接合されて構成されており、前記ヒートシンクは、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されていることを特徴としている。
この構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板によれば、金属層は、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされたアルミニウム板が前記セラミックス基板に接合された構成とされているので、熱サイクル負荷後に金属層の変形が抑制され、はんだ層におけるクラックの発生を抑制できる。一方、Alの含有量が99.0質量%未満では、Alの塑性変形が不十分で、十分な応力緩衝効果が得られず、セラミックスやはんだ層にクラックが発生する理由から冷熱サイクル後の熱抵抗が上昇してしまう。また、99.85質量%を超えると熱サイクル負荷後に金属層の変形からはんだ層でクラックが発生し、接合率が低下し、熱抵抗が上昇してしまう。これらの理由よりAlの含有量は99.0質量%以上99.85質量%以下の範囲とした。
また、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されたヒートシンクを備えているので、ヒートシンクが弾性変形し易く、かつ、塑性変形がしにくくなる。すなわち、ヒートシンクの弾性変形領域が広くなるのである。よって、ヒートシンクが弾性変形することにより、はんだ層に生じる歪み量を低減することができ、金属層の周縁部において発生したクラックが金属層の内側領域にまで進展することを抑制できる。
また、ヒートシンクが反るように塑性変形することが抑制されることになり、ヒートシンクを冷却器に密着するように積層配置することができる。
一方、250MPa未満の銅又は銅合金で構成するとヒートシンクに反りが発生し、初期の熱抵抗が上昇してしまう。これらの理由よりヒートシンクは引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成することとした。
以上のことから、金属層とヒートシンクとが十分に接合され、冷熱サイクル負荷後における金属層とヒートシンクとの間の熱抵抗の上昇を抑制することが可能となる。
なお、金属層を構成するアルミニウム板においては、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされており、主な不純物としてはFe,Cu,Siが挙げられる。また、ヒートシンクとしては、板状の放熱板、内部に冷媒が流通する冷却器、フィンが形成された液冷、空冷放熱器、ヒートパイプなど、熱の放散によって温度を下げることを目的とした金属部品が含まれる。
本発明に係る冷却器付パワーモジュール用基板は、前述のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記ヒートシンクの他方の面側に積層配置された冷却器と、を備えていることを特徴としている。
この構成の冷却器付パワーモジュール用基板によれば、熱伝導性に優れた銅製のヒートシンクを備えているので、パワーモジュール用基板からの熱を効率的に拡げて放散させることができる。また、金属層と冷却器との間に介在するはんだ層においてクラックの発生及び進展が抑制されるので、パワーモジュール用基板側の熱を確実に冷却器へと伝導させることができる。
本発明に係るパワーモジュールは、前述のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、このヒートシンク付パワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えていることを特徴としている。
この構成のパワーモジュールによれば、金属層と冷却器との間に形成されたはんだ層におけるクラックの発生及び進展を抑制できるので、その信頼性を飛躍的に向上させることが可能となる。
本発明によれば、アルミニウムからなる金属層と銅からなるヒートシンクとの間に介在されるはんだ層におけるクラックの発生及び進展を抑制でき、かつ、ヒートシンクの反りを低減することにより、金属層とヒートシンクとが十分に接合され、冷熱サイクル負荷後における金属層とヒートシンクとの間の熱抵抗の上昇を抑制することができるヒートシンク付パワーモジュール用基板、このヒートシンク付パワーモジュール用基板を備えた冷却器付パワーモジュール用基板及びパワーモジュールを提供することができる。
本発明の実施形態であるパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板を示す説明図である。 本発明の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
図1に、本発明の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板及びパワーモジュールを示す。
このパワーモジュール1は、回路層12及び金属層13が配設されたパワーモジュール用基板10と金属層13の他方の面(図1において下面)にはんだ層17を介して接合された放熱板18とを有するヒートシンク付パワーモジュール用基板20と、回路層12の一方の面(図1において上面)にチップ用はんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、放熱板18の他方の面側に配設された冷却器40と、を備えている。なお、本実施形態では、ヒートシンクとして放熱板を用いた。
ここで、チップ用はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とチップ用はんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
パワーモジュール用基板10は、図1及び図2に示すように、絶縁層を構成するセラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図2において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図2において下面)に配設された金属層13とを備えている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。なお、本実施形態では、図1及び図2に示すように、セラミック基板11の幅は、回路層12及び金属層13の幅より広く設定されている。
回路層12は、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面(図3において上面)に、導電性を有する金属板22が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層12は、アルミニウムの含有量が99.99質量%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板22がセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。
なお、後述するように、金属板22とセラミックス基板11とは、Al−Si系ろう材を介して接合されていることから、回路層12のうちセラミックス基板11との界面近傍には、Siが拡散された界面近傍層12Aが形成されている。この界面近傍層12Aにおいては、アルミニウムの含有量が99.99質量%未満となることがある。
金属層13は、図3に示すように、セラミックス基板11の他方の面(図3において下面)に、金属板23が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、金属層13は、アルミニウムの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板23がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、後述するように、金属板23とセラミックス基板11とは、Al−Si系ろう材を介して接合されていることから、金属層13のうちセラミックス基板11との界面近傍には、Siが拡散された界面近傍層13Aが形成されている。この界面近傍層13Aにおいては、アルミニウムの含有量が99.0質量%未満となることがある。
放熱板18は、前述のパワーモジュール用基板10からの熱を面方向に拡げるものであり、熱伝導性に優れた銅又は銅合金で構成されている。
ここで、本実施形態では、放熱板18は、ヤング率が130GPa以下、かつ、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されている。具体的には、放熱板18は、Cu−0.04質量%Ni−0.17質量%Co−0.05質量%P−0.1質量%Sn(CDA No.C18620)で構成され、ヤング率が125GPa、引張強さが250MPa以上とされている。
冷却器40は、図1に示すように、冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路41を備えている。冷却器40は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A6063(アルミニウム合金)で構成されている。
なお、放熱板18と冷却器40とは、図1に示すように、グリース層(図示なし)を介して固定ネジ45によって締結されている。
金属層13と放熱板18との間に介在されるはんだ層17は、主成分であるSnと、このSnの母相中に固溶する固溶元素と、を含有する固溶硬化型のはんだ材で構成されている。本実施形態では、固溶元素としてSbを含有する、Sn−5質量%Sbはんだ材とされている。
なお、本実施形態では、金属層13とはんだ層17との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
以下に、前述の構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板20の製造方法について、図3を参照して説明する。
まず、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面側に、回路層12となる金属板22(4Nアルミニウムの圧延板)が、厚さ5〜50μm(本実施形態では14μm)のろう材箔24を介して積層される。
また、セラミックス基板11の他方の面側に、金属層13となる金属板23(2Nアルミニウムの圧延板)が厚さ5〜50μm(本実施形態では14μm)のろう材箔25を介して積層される。
なお、本実施形態においては、ろう材箔24、25は、融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材とされている。
次に、前述のように積層した金属板22、ろう材箔24、セラミックス基板11、ろう材箔25、金属板23を、その積層方向に加圧(圧力1〜5kgf/cm)した状態で加熱炉内に装入して加熱する。すると、ろう材箔24、25と金属板22、23の一部とが溶融し、金属板22、23とセラミックス基板11との界面にそれぞれ溶融金属領域が形成される。ここで、加熱温度は550℃以上650℃以下、加熱時間は30分以上180分以下とされている。そして、加熱後に冷却することによって、金属板22、23とセラミックス基板11との界面に形成された溶融金属領域を凝固させ、セラミックス基板11と金属板22及び金属板23とを接合する。
このとき、ろう材箔24、25に含まれる融点降下元素(Si)が金属板22、23側へと拡散する。
このようにして、回路層12及び金属層13となる金属板22、23とセラミックス基板11とが接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板10が製造される。
また、金属層13においては、ろう材箔25に含まれるSiが拡散することで界面近傍層13Aが形成される。同様に、回路層12においては、ろう材箔24に含まれるSiが拡散することで界面近傍層12Aが形成される。
次に、このパワーモジュール用基板10の金属層13の他方の面にNiめっき膜を形成した後に、Sn−5質量%Sbはんだ材を用いて放熱板18をはんだ接合する。これにより、金属層13と放熱板18との間にはんだ層17が形成され、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板20が製造される。
そして、このヒートシンク付パワーモジュール用基板20の放熱板18がグリース層(図示なし)を介して固定ネジ45によって冷却器40に締結される。これにより、本実施形態である冷却器付パワーモジュール用基板が製出される。
また、回路層12の一方の面にチップ用はんだ層2を介して半導体チップ3を搭載する。これにより、本実施形態であるパワーモジュール1が製出される。
以上のような構成とされた本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板20及びパワーモジュール1においては、金属層13が、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされた2Nアルミニウムからなる金属板23をセラミックス基板11に接合することで構成されているので、熱サイクル負荷後に金属層13が容易に変形せず、はんだ層17におけるクラックの発生を抑制できる。
また、放熱板18は、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されているので、放熱板18は、弾性変形し易く、かつ、塑性変形し難くなる。すなわち、放熱板18の弾性変形領域が広くなるのである。よって、放熱板18の弾性変形によって、はんだ層17に生じる歪みを低減することができ、金属層17の周縁部において発生したクラックが金属層13の内側領域にまで進展することを抑制できる。ここで、放熱板18は、ヤング率が130GPa以下であるものを選択することがより好ましい。
また、放熱板18が反るように塑性変形することが抑制されるので、冷却器40と放熱板18とを密着させることができ、半導体チップ3の熱を冷却器40に向けて効率的に放散させることができる。
さらに、本実施形態では、はんだ層17が、主成分であるSnと、このSnの母相中に固溶する固溶元素と、を含有する固溶硬化型のはんだ材で構成されており、本実施形態では、固溶元素としてSbを含有する、Sn−5質量%Sbはんだ材で構成されているので、はんだ層17の母相の強度が高くなり、かつ、熱サイクルが負荷された場合であってもはんだ層17の母相の強度が確保されることになる。よって、金属層13の周縁部においてはんだ層17にクラックが生じた場合であっても、このクラックが金属層13の内側領域にまで進展することを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明の実施形態としては、ヒートシンクとして放熱板を用いて説明したが、図1に示す構成の冷却器に直接接合する場合、又はヒートシンクとしてフィンが形成された液冷、空冷放熱器、ヒートパイプなどを用いてもよい。
また、回路層となる金属板及び金属層となる金属板と、セラミックス基板と、をろう材箔を用いて接合するものとして説明したが、これに限定されることはなく、過渡液相接合(Transient Liquid Phase Bonding)によって接合したものであってもよい。
さらに、はんだ層を、主成分であるSnと、このSnの母相中に固溶する固溶元素と、を含有する固溶硬化型のはんだ材、より具体的には、Sn−5質量%Sbはんだ材で構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、他のはんだ材で構成されたものであってもよい。
また、回路層をアルミニウムで構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、回路層を銅又は銅合金で構成してもよい。
次に、本発明の効果を確認すべく実施した確認実験の結果について説明する。
表1に示すヒートシンク付パワーモジュール用基板を製造し、接合率、放熱板(ヒートシンク)の反り、冷熱サイクル前後の定常熱抵抗について評価した。
Figure 2013214562
ここで、回路層及び金属層のサイズは37mm×37mmとし、セラミックス基板のサイズは40mm×40mmとした。
ヒートシンクとして放熱板を用い、その放熱板のサイズは、70mm×70mm×3mmとして。また、放熱板と金属層との間のはんだ層の厚さを0.4mmとした。なお、はんだ層は、Sn−5質量%Sbはんだ材を用いた。
また、放熱板の反り量については、AKROMETRIX社製のサーモレイPS400を用いて、はんだ付け後の放熱板裏側の形状を計測した。
熱抵抗は、回路層の中央部にヒータチップをはんだ付けするとともに、放熱板を冷却器にボルトで締結し、ヒータチップに100Wの通電を行って、ヒータチップの表面温度を熱電対で計測し、冷却器を流通する冷媒の温度とヒータチップの表面温度との差を100Wで割った値とした。
金属層と放熱板との間の接合率は、超音波探傷装置を用いて、以下の式を用いて接合率を求めた。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち金属層面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
なお、接合率は、冷熱サイクル負荷前と負荷後で測定した。
冷熱サイクルは、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→125℃×5分を2000サイクル実施した。
評価結果を表2に示す。
Figure 2013214562
金属層を4Nアルミニウムで構成した比較例1においては、冷熱サイクル負荷後に、接合率が低下していることが確認される。はんだ層の広い範囲でクラックが発生したためと推測される。また、熱抵抗の上昇も認められる。
また、金属層をA3003合金で構成した比較例3においては、冷熱サイクル後に熱抵抗が大きく上昇した。
さらに、放熱板の引張強さが250MPa未満とされた比較例2,4においては、放熱板の反りが大きく、冷熱サイクル負荷前の状態でも、熱抵抗が高かった。
これに対して、本発明例1〜8においては、冷熱サイクル負荷後でも接合率が低下せず、熱抵抗の上昇も認められなかった。また、放熱板の反りも十分に低減されていた。
1 パワーモジュール
3 半導体チップ(電子部品)
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
13 金属層
17 はんだ層
18 放熱板(ヒートシンク)

Claims (3)

  1. セラミックス基板の一方の面に回路層が配設されるとともに前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウムからなる金属層が配設されたパワーモジュール用基板と、この金属層の他方の面側にはんだ層を介して接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
    前記金属層は、Alの含有量が99.0質量%以上99.85質量%以下とされたアルミニウム板が前記セラミックス基板に接合されて構成されており、
    前記ヒートシンクは、引張強さが250MPa以上の銅又は銅合金で構成されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。
  2. 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記ヒートシンクの他方の面側に積層配置された冷却器と、を備えていることを特徴とする冷却器付パワーモジュール用基板。
  3. 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、このヒートシンク付パワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
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