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JP2013206496A - 光ピックアップ装置及び対物レンズ - Google Patents

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JP2013206496A JP2012073038A JP2012073038A JP2013206496A JP 2013206496 A JP2013206496 A JP 2013206496A JP 2012073038 A JP2012073038 A JP 2012073038A JP 2012073038 A JP2012073038 A JP 2012073038A JP 2013206496 A JP2013206496 A JP 2013206496A
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Abstract

【課題】光ディスクの大容量化を推進する上で問題となる対物レンズのNA変化を抑制でき、適切に情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置及びそれに用いる対物レンズを提供する。
【解決手段】光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔が0.05mm以上である第1光ディスクの情報記録層に集光することによって情報の記録/再生を行う光ピックアップ装置において、対物レンズOBJは、像側開口数(NA)が0.87以上、0.95未満のプラスチック製の単玉レンズであり、以下の式を満たす。
−0.35≧D/f≧−0.90 (2)
但し、
D[mm]:対物レンズOBJの光源側面頂点に接する平面から開口制限絞りAPの開口制限位置までの光軸方向の距離(負値で表す)
f[mm]:波長λ1での対物レンズOBJの焦点距離
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の情報記録層を有する光ディスクに対して情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズに関する。
近年、光ディスクに対して情報の記録/再生を行う光ピックアップ装置が急速に発達し、多方面で利用されている。このような光ピックアップ装置において、取り扱う情報量が増えるに従い,光源の短波長化,及び,対物レンズの高NA化により光ディスクの大容量化を実現してきた。周知の通り、対物レンズにより集光されたスポットサイズは(波長λ/NA)に比例するため、スポットサイズと光ディスクの容量は逆比例の関係にある。以下、各光ディスクの仕様(使用波長、NA、1枚当たりの容量)を列挙する。
CD:780nm、NA0.45、0.65GB
DVD:650nm、NA0.60、4.7GB
Blu−ray Disc(BD):405nm、NA0.85、25GB
また,DVDやBDでは,厚み方向に複数の情報記録層を積層させることで,光ディスク1枚あたりの記録容量を増やした所謂多層型光ディスクも実現している。多層型光ディスクの例として、BDでは,記録容量33.3GBの情報記録層を3層積層することで1枚あたり100GBの記録容量を有するBDXL規格の光ディスクが市場投入されている。
しかしながら将来に向かって更に記録すべき情報量が増えるに従い,ハードディスクドライブやフラッシュメモリに比べて,長期保存性、耐久性に優れる光ディスクの更なる大容量化が期待されている。しかるに,現在BDで使用している青紫色レーザ光より短波長の紫外線領域では、光ディスクや光ピックアップ装置に使用される光学材料の吸収率が大きいという実情がある。よって,光源波長として紫外線を使用するためには,紫外線を吸収せずかつ安価な光学材料の開発が必要になるという課題に直面する。現在の技術では、かかる課題の克服が極めて困難であることを勘案すると,大容量化の手段の一つである光源の短波長化は実現性が低いと考えられる。そこで,光ディスクの更なる大容量化を達成するためには,光ディスクの多層化と対物レンズの高NA化が有効であるといえる。
そのうち,光ディスクの多層化については,対物レンズのNA0.85,光源波長405nmのシステムにおいて,1層あたり32GB,記録層16層の構成によりBDと同じ大きさである直径12cmの光ディスクで512GBの記録容量を達成した光ディスクの例が非特許文献1に記載されている。また,対物レンズの高NA化については、特許文献1にNAが0.85より大きい対物レンズの例が記載されている。
信学技報,vol.110,no.438,MR2010−57,pp.1−6,2011年3月
特許第4817036号明細書
ところで,情報の記録/再生を行う情報記録層の選択は,対物レンズを光軸方向に移動させると共に(フォーカシングという)、光ディスクの光束入射面から情報記録層までの厚みの差によって発生する球面収差を補正するために,光源と対物レンズとの間に配置したカップリングレンズ等を光軸方向に移動させ,対物レンズの倍率を変更することで行える。しかるに,光学系の倍率を変更すると,対物レンズに入射する光束の発散角又は収束角が変化し,本来的に一定であるべき対物レンズのNAが変化してしまう恐れがある。NAの変化は,情報記録層の面上でのスポット径の変化を招き,読み取りエラー等を生じさせる恐れがある。
本発明は、上述の問題を考慮してなされたものであり、光ディスクの大容量化を推進する上で問題となる対物レンズのNA変化を抑制でき、適切に情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置及びそれに用いる対物レンズを提供することを目的とする。
請求項1に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1(390nm<λ1<415nm)の光束を出射する第1光源と、球面収差補正素子と、開口制限素子と、対物レンズとを有し、前記第1光源から出射された波長λ1の光束を、前記球面収差補正素子、前記開口制限素子を介して前記対物レンズに入射させ、光軸方向に重ねられた複数の情報記録層を有し、光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔が0.05mm以上である第1光ディスクの情報記録層に集光することによって情報の記録/再生を行う光ピックアップ装置であって、
情報の記録/再生を行う情報記録層を一方から他方へ変更する際に、前記球面収差補正素子により前記対物レンズの倍率を変えることで、光束入射面から情報記録層までの厚みの差により発生する球面収差を補正するようになっており、前記対物レンズは単玉であり、前記開口制限素子は、前記対物レンズの光源側面頂点に接する平面よりも光ディスク側に配置されており、更に以下の式を満たすことを特徴とする。
0.87≦NA≦0.95 (1)
−0.35≧D/f≧−0.90 (2)
但し、
NA:前記対物レンズの開口数
D[mm]:前記対物レンズの光源側面頂点に接する平面から前記開口制限素子の開口制限位置までの光軸方向の距離(負値で表す)
f[mm]:前記波長λ1での前記対物レンズの焦点距離
従来の光ピックアップ装置においては,情報記録層の数が2〜4層程度と少なく,複数層に対応するための倍率の変化が0であるか又は非常に小さかったため,NAの変化という問題が顕在化しなかった。しかしながら,情報記録層の数が多くなり、NAが0.85より大きい高NAとなる場合,情報記録層選択の際の倍率変化が大きくなることがわかってきた。そのような光ピックアップ装置においては,倍率変化に伴うNA変化の問題が特に顕著となることを本発明者は見出したのである。以下、より具体的に説明する。
本発明の原理について、図1を参照して説明する。図1(a)は、比較例として示す対物レンズOLと開口制限素子APの光路図であり、図1(b)は、本発明の一例として示す対物レンズOLと開口制限素子APの光路図であり、それぞれ左側が光源側であり、右側が光ディスク側である。図1(a)の比較例においては、開口制限素子APは、対物レンズOLの面頂点Pに接する平面よりも光源側に配置されている。従って、実線で示す平行光束が対物レンズOLに入射したときの開口数をNA0としたときに、対物レンズの倍率が変化し、点線で示す発散光が入射したときの開口数をNA1、または、対物レンズの倍率が変化し、一点鎖線で示す収束光が入射したときの開口数をNA2は、NA1>NA0>NA2となり、開口数が変化してしまっていることがわかる。
これに対し本発明によれば、図1(b)に示すように、開口制限素子APは、対物レンズOLの面頂点Pに接する平面よりも光ディスク側に配置されている。実線で示す平行光束が対物レンズOLに入射したときの開口数をNA0としたときに、対物レンズの倍率が変化し、点線で示す発散光が入射したときの開口数をNA1、または、対物レンズの倍率が変化し、一点鎖線で示す収束光が入射したときの開口数をNA2は、NA1≒NA0≒NA2となり、開口数の変化を抑えることができる。
前述から、情報記録層選択の際における開口数(NA)の変化を抑えるためには、開口制限素子を対物レンズの面頂点に接する平面よりも光ディスク側に配置するという技術思想によって、好ましい結果が得られることがわかる。その際に、どの程度、対物レンズの面頂点よりも光ディスク側に絞りを配置すべきか、本発明者は検討を行った。
かかる検討の結果、NAが0.87より大きい場合は、或る情報記録層と異なる情報記録層に集光する際に生じる球面収差が過大なものとなってしまい、倍率変動によって補正するのに工夫が必要になることがわかった。
より具体的には、NA0.87以上、NA0.95以下の対物レンズについて、光ディスクの光束入射面からの距離を0.05mm以上変化させた際に発生する球面収差を倍率を変化させて補正した場合のNA変化をD/fをパラメータとして調べた。(尚、D[mm]は対物レンズの光源側面頂点に接する平面から開口制限素子の開口制限位置までの光軸方向の距離であり、対物レンズの面頂点に接する平面から光ディスク側に向かう方向を負とする。f[mm]は波長λ1での対物レンズの焦点距離である。)その結果、D/fの範囲として、0.35以上、0.90以下とすると、倍率が変化してもNAの変化を抑えられることを見出した。
従って、(1)式のNAを満たし、基板厚の変化が0.05mm以上の範囲となる複数層の光ディスクの情報記録層に集光するべく球面収差を補正するために、比較的大きな倍率変化をしたとしても、(2)式を満たすことによりNAの変化を抑えることが出来、安定した光ディスクの記録/再生を行なうことができる。
請求項2に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.90≦NA≦0.94 (1’)
請求項3に記載の光ピックアップ装置は、請求項1又は2に記載の発明において、以下の式を満たすことを特徴とする。
−0.45≧D/f≧−0.85 (2’)
請求項4に記載の対物レンズは、請求項1〜3のいずれかに記載の光ピックアップ装置に用いることを特徴とする。
本発明に係る光ピックアップ装置は、波長λ1(390nm<λ1<415nm)の光束を出射する第1の光源を有する。
本発明の光ピックアップ装置で用いられる第1光ディスクは、厚さ方向(光軸方向)に重ねられた複数の情報記録層を有する。5層以上の情報記録層を有する光ディスクにおいて本発明の光ピックアップ装置はより好適に用いることが出来る。更に好ましくは、10層以上の情報記録層を有することである。また、第1光ディスクは、光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔が0.05mm以上である。また、当該光ディスクは、情報記録層とは別に、対物レンズの位置制御を行うにあたって基準となる層(基準層と呼ぶ)を有するものであっても良い。ここでいう対物レンズの位置制御とは、トラッキングとフォーカシングの少なくとも一方を指す。基準層は一層のみであってもよいし、複数有していてもよいが、情報記録層の層数よりも少ないことが好ましく、情報記録層の層数の半数以下であることが、光ピックアップ装置の設計が容易になり好ましい。また、当該光ディスクが基準層を有する場合、本発明の光ピックアップ装置は、第1光源とは波長が異なる第2光源を更に有し、第1光源から出射された波長λ1の光束を記録/再生用の光束として情報記録層に集光させると同時に、第2光源から出射された波長λ2の光束を対物レンズの位置制御用の光束として基準層に集光させるようにするのが好ましい。この場合、第2光源から出射される光束を基準層にフォーカシングするための第2フォーカシング手段を有するのが好ましく、第2フォーカシング手段は、第1光源から出射される光束を情報記録層にフォーカシングさせる第1フォーカシング手段とは独立していることが好ましい。また、本光ディスクの情報の記録/再生を行うために必要な開口数NAは、0.87以上、0.95以下である場合に、本発明の効果がより顕著となり、NAが0.90以上、0.94以下である場合に、更に顕著となる。光ディスクは表面に保護基板層を持っていることが好ましく、保護基板層の厚さは特に限定されるものではない。
また、本発明の光ピックアップ装置は、第1光源とは波長が同じで出射パワーが異なる第3の光源を更に有し、第1光ディスクに対して情報の再生を行う場合には、第1光源から出射された波長λ1の光束を対物レンズの情報記録層に集光させ、第1光ディスクに対して情報の記録を行う場合には、第3光源から出射された波長λ1の光束を対物レンズの情報記録層に集光させてもよい。一般的に光ディスクでは情報の再生よりも記録のほうがより高い波長エネルギーを必要とするため、かかる構成の場合には、第1光源よりも第3光源のほうが出射される光束のパワーが高いほうが好ましい。
但し、本発明の光ピックアップ装置は、波長λ4(λ1<λ4)の光束を出射する第4光源、及び/又は、波長λ5(λ4<λ5)の光束を出射する第5光源を更に有し、当該光ディスクに加えて、BD、DVD、CDの少なくとも一つ又は全てと互換可能であるような光ピックアップ装置としても良い。
尚、BDは、NA0.85の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.1mm程度である。DVDとは、NA0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、CDとは、NA0.45〜0.53程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
本明細書において、第1光源乃至第5光源等の光源は、好ましくはレーザ光源である。レーザ光源としては、好ましくは半導体レーザ、シリコンレーザ等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1、第4光源から出射される第4光束の第4波長λ4(λ4>λ1)、第5光源から出射される第5光束の第5波長λ5(λ5>λ4)は以下の条件式を満たすことが好ましい。
1.5×λ1<λ4<1.7×λ1
1.9×λ1<λ5<2.1×λ1
また、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、350nm以上、440nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第4光源の第4波長λ4は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは630nm以上、670nm以下であって、第5光源を有する場合、第5光源の第5波長λ5は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。また、第2光源を有する場合、第2光源と第4光源は共通であることが好ましい。
また、第1光源、第2光源、第4光源、第5光源のうち少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいうが、これに限られず、2つの光源が収差補正不能なように固定されている状態を広く含むものである。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
また、本明細書において「情報の記録/再生を行う」とは、情報の記録と再生の少なくとも一方を行うことを指す。また、本明細書において「光ディスクの光束入射面」とは、光ディスクの表面のうち、情報の記録/再生を行う際に対物レンズに対向する側の表面を指す。
光ピックアップ装置は、光ディスクから反射した光束を受光する受光素子を有していても良い。受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録面上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
光ピックアップ装置に用いる集光光学系は、対物レンズを有する。集光光学系は、対物レンズのみを有していても良いが、対物レンズの他にコリメートレンズ等のカップリングレンズを有していてもよい。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変える単レンズ又はレンズ群のことをいう。コリメートレンズは、カップリングレンズの一種で、コリメートレンズに入射した光を平行光にして出射するレンズである。更に集光光学系は、光源から射出された光束を、情報の記録再生に用いられるメイン光束と、トラッキング等に用いられる二つのサブ光束とに分割する回折光学素子などの光学素子を有していてもよい。本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系を指す。好ましくは、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系であって、更に、アクチュエータにより少なくとも光軸方向に一体的に変位可能とされた光学系を指す。
対物レンズは、単玉の対物レンズである。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。
対物レンズの素材の屈折率nは、以下の式を満たすこと好ましい。
1.59≦n≦1.64 (3)
nが1.59以上だと、光源側光学面の傾斜角が大きくなりすぎないため,金型の加工精度を向上でき、さらに光学面の平行偏芯に強い対物レンズとなる。一方、nが1.64以下だと光源側光学面の周辺部が、光軸近傍よりも光情報記録媒体側に凸となる量を小さく抑えることができるので作動距離を確保することが出来るとともに、素材のアッベ数が小さくなりすぎないので対物レンズの色収差を小さく抑えられる。
対物レンズの素材のアッベ数屈折率μdは、以下の式を満たすこと好ましい。
50≦μd≦65 (4)
μd が50以上だと、対物レンズの色収差が小さいため,半導体レーザのモードホッピングに対して強い対物レンズとなる。一方、μdが65以下だと、屈折率が小さくなりすぎないため,光源側光学面の形状形成が容易になるとともに,光学材料の選択の幅が広がる。
対物レンズは、ガラスレンズであってもプラスチックレンズであっても、又は、ガラスレンズの上に光硬化性樹脂などで光路差付与構造等を設けたハイブリッドレンズであってもよい。
対物レンズをガラスレンズとした場合、光ピックアップ装置における温度変化の影響を小さくすることができる。
また、対物レンズをプラスチックレンズとする場合は、環状オレフィン系の樹脂材料を使用するのが好ましく、環状オレフィン系の中でも、波長405nmに対する温度25℃での屈折率が1.52乃至1.60の範囲内であって、−5℃から70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率変化率dN/dT(℃-1)が−20×10-5乃至−5×10-5(より好ましくは、−10×10-5乃至−8×10-5)の範囲内である樹脂材料を使用するのがより好ましい。また、対物レンズをプラスチックレンズとする場合、カップリングレンズもプラスチックレンズとすることが好ましい。
対物レンズは、温度変化に対する屈折率変化に起因して生じる球面収差や、光源の波長の変動に応じて生じる球面収差を補正するための光路差付与構造を有していても良い。本明細書でいう光路差付与構造とは、入射光束に対して光路差を付加する構造の総称である。光路差付与構造には、位相差を付与する位相差付与構造も含まれる。また、位相差付与構造には回折構造が含まれる。光路差付与構造は、段差を有し、好ましくは段差を複数有する。この段差により入射光束に光路差/位相差が付加される。光路差付与構造により付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波長の非整数倍であっても良い。段差は、光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。好ましくは、光路差付与構造が回折構造であることである。
対物レンズの正弦条件違反量としては、有効開口半径hの5割から9割の間で正弦条件違反量が正の極大値を持ち,それより周辺部で正弦条件違反量が単調減少するようにするのが望ましい。これにより、情報の記録/再生を行う情報記録層の位置の変化により発生する高次球面収差を残留させることなく、入射光の発散収束度の変化により適切に補正することが可能となる。ここで、「高次球面収差」とは、5次以上の球面収差をいうものとする。尚、対物レンズに波長λ1の光束が設計倍率で入射した場合において、正弦条件違反量が正の極大値を持つ位置より周辺部で正弦条件違反量は、単調に減少することが好ましい。「単調に減少する」とは、極大値から一定範囲で減少し続けることを意味する。また、好ましくは、対物レンズに波長λ1の光束が設計倍率で入射した場合において、有効開口半径hの6割から9割の間で正弦条件違反量が正の極大値を持つことである。
また、対物レンズのS2面(光ディスク側面)の形状としては、傾きが連続的であるものであれば足り、S2面形状が連続している場合と、連続しているS2面形状をレンズ面の一部区間を光軸方向に平行移動したような形状を含む。図2は、S2面が変曲点を有するが凹部を有さない対物レンズの断面図であり、図3は、S2面が変曲点と凹部を有する対物レンズの断面図である。
図2,3を参照して、このようなS2面12a又は12bの面形状を有することで、以下の効果を奏する。すなわち、通常の対物レンズは、両面が凸の両凸レンズ、または、凸レンズと凹レンズによって構成されるメニスカスレンズである。それぞれのレンズには特徴があり、S2面の中心位置とディスク30までの距離をワーキングディスタンス(WD)とした場合、メニスカスレンズはS2面が凹んでいる関係上、両凸レンズに比べて、ワーキングディスタンスが短くなってしまう。一方、軸外特性の画角特性は、メニスカスレンズは、両面が同方向に湾曲していることにより、凸レンズよりもよい特性を示す。
これに対し、対物レンズ1a又は1bは、外周側に凹部が形成され中央部に凸部が形成されていることから、このメニスカスレンズと両凸レンズの、両方の特性を満たすことができる。すなわち、ワーキングディスタンスが長く、また、軸上特性を満たしつつ、軸外特性として画角特性をよくすることが可能となる。
つまり、図2に示す対物レンズ1aにおいては、S2面12aの半径方向中心h0から外周13aに向かとサグ量が徐々に増加し、ある半径、図2においては半径h3以降はサグ量がほとんど変化しない。また、図3に示す対物レンズ1bにおいては、S2面12bの半径方向中心h0から外周13bに向かうとサグ量が徐々に増加し、ある半径、本例では半径h4に到達すると、そこから外周13bまでは、それまでとは逆にサグ量が徐々に小さくなる。これらのサグ量の増減量が変わる位置から内径では両凸レンズの特徴を有し、これより外径では、メニスカスレンズの特性を持たせることが可能となる。
すなわち、対物レンズ中央部分は、両凸レンズであることから、ワーキングディスタンスを長くすることができ、それほど大きな曲率半径をもたないため、両凸レンズでありながら、画角特性をよくすることも可能である。そして、このサグ量の増減量が変わる位置から外径側(S2面の外周部)にはメニスカスの特徴を持たせることにより、メニスカスレンズの特長である良好な画角特性を得ることができる。また、メニスカスレンズに相当する部分がレンズ中央部ではなく外周部分に形成されていることにより、ワーキングディスタンスを短くすることがない。このように、対物レンズ1a、1bは、外周部分は略平坦乃至凹部を形成することでメニスカスレンズの特長を取り入れ、内周部分は凸部を形成して両凸レンズの特長を取り入れることで、長いワーキングディスタンスを確保し、かつ軸上特性はもとより、画角特性も良好とすることができる。以上の観点からは、図2及び図3の半径h1〜h4はすべてレーザの光束が通過する領域に存在するのが好ましい。
また、図2に示す対物レンズ1aにおいては、サグ量の増減量が変わる半径h3の位置から外径にかけてメニスカス形状にしたが、図3に示す対物レンズ1bは、極小値kを持たせる程度に極端なメニスカス形状としている。このような形状にすることにより、さらに、ワーキングディスタンスを長くとることができ、かつ軸上特性及び軸外特性として画角特性を更に良好にすることができる。
一方、対物レンズのS1面(光源側面)の光学面有効径は、φ2.0mm以上φ3.0mm以下であると好ましい。有効径がφ2,Omm以上だと、対物レンズの作動距離を十分に確保することができ,光ディスクとの衝突リスクを低減できる。また,対物レンズの倍率が変化した際の像高コマの発生量を抑制できるので、光ピックアップ装置の特性が向上する。一方、有効径がφ3.0mm以下だと光学系をコンパクトに出来るのでピックアップ装置の小型化に有利である。
尚、複数の情報記録層を有する光ディスクのある情報記録層(層Aとする)の情報の記録/再生を行い、次に、他の情報記録層(層Bとする)の情報の記録/再生を行おうとする場合、光ディスクの光束入射面から層Aまでの厚みと、光ディスクの光束入射面から表面層Bまでの厚みの差に起因する球面収差が発生してしまう。従って、異なる情報記録層における光ディスクの光束入射面から情報記録層までの厚みの差に起因して発生する球面収差を補正する球面収差補正素子が必要となる。
このような球面収差補正素子の例としては、光源からの発散光束を取り込み対物レンズに導くものとして、波長λ1の光束の球面収差を補正する液晶装置や、光軸方向に可動する少なくとも1つのレンズを有し、波長λ1の光束の対物レンズの倍率を変化させる倍率変換手段等が挙げられる。倍率変換手段の例としては、光軸方向に移動可能な前述した単玉のカップリングレンズや、単玉のコリメータレンズや、平行光束内に配置され、少なくとも1つの正レンズと少なくとも1つの負レンズを有し、いずれかを光軸方向に可動する2群カップリングレンズや、少なくとも1つの正レンズと少なくとも1つの負レンズを有し、いずれかを光軸方向に可動するビームエキスパンダー(ビームシュリンカーを含む)等が挙げられる。
カバーレイヤーの補正範囲としては、0.87≦NA<0.90の場合、0.10mm以上0.25mm以下であると好ましく、0.90≦NA≦0.94の場合、0.05mm以上0.15mm以下であると好ましい。補正範囲が、下限以上だと情報記録層数を増やせるので、光ディスクの大容量化に有利である。また,層間間隔を十分に確保できるので,層間クロストークの影響を低減できる。一方、上限以下だと,情報記録層の厚さの差異によって発生する球面収差を、倍率変化により補正した際の高次球面収差の残留量を低減でき,更に,倍率変化した際の像高コマ収差の発生量を抑えることができるので,光ピックアップ装置の特性が向上する。
その他、像高コマの補正手段として、液晶収差補正素子を更に有すると好ましい。倍率変化した際の像高コマ収差を補正する手段を設けることで,NAを大きくした場合でもカバーレイヤーの補正範囲を大きく設定でき.大容量化に有利である。
さらに、光ピックアップ装置は、波長λ1の光束を情報記録層のいずれかにフォーカスするための第1フォーカシング手段を有することが好ましい。
また、本発明の光ピックアップ装置は、開口制限素子を有する。開口制限素子の例としては、通常良く用いられるドーナツ状の絞りや、アクチュエーターのボビンの開口が絞りを兼ねる場合等が挙げられる。
図1に記載されるように、対物レンズと開口制限素子を別体としてもよい。その際に、対物レンズと開口制限素子間の相対距離が固定されていることが好ましい。また、対物レンズと開口制限素子を一体化した対物レンズユニットとしてもよい。
開口制限素子は、図1(b)に示すように、対物レンズの光源側面頂点よりも光ディスク側に配置されている。また、以下の式(2)を満たす。
−0.35≧D/f≧−0.90 (2)
但し、D[mm]は対物レンズの光源側面頂点から開口制限素子の開口制限位置までの光軸方向の距離(負値)を表し、f[mm]は波長λ1での対物レンズの焦点距離を表している。
より好ましくは、以下の式(2´)を満たすことである。
−0.45≧D/f≧−0.85 (2´)
また、対物レンズは、以下の条件式(5)を満たすと好ましい。
1.20<d/f<1.55 (5)
但し、d[mm]は、対物レンズの軸上厚を表し、f[mm]は、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。
対物レンズの周辺部の厚さを確保するためには,NAが大きくなるに従い,軸上厚を焦点距離に比して大きく設定する必要がある。(5)式の値が下限以上だと,対物レンズの周辺部の厚さを確保できるので,対物レンズを樹脂製とする場合は,成形時の樹脂の流動性が向上し,成形性の良い対物レンズとなる。更に,コバの強度を十分に確保できる。一方、(5)式の値が上限以下だと,作動距離を十分に確保することができ,光ディスクとの衝突リスクを低減できる。また,光ディスク側光学面の有効径を大き<確保できるので,軸外コマ収差を良好に補正できる。
また、光源側光学面と光源側コバ面を、光源側光学面とは異なる形状で繋ぐようにすると、光源側コバ面の位置を任意に設定できるので好ましい。例えば、ガラス製の対物レンズの場合、コバが薄くなるとハンドリング時にコバが割れやすくなるため、軸上厚をあまり薄く出来ない(言い換えると、作動距離が確保出来ない)という課題がある。そこで、図33に示すように、光源側光学面と光源側コバ面を直線で繋ぐようにすると、光源側光学面を延長して光源側コバ面と直接繋ぐ場合に比べてコバ厚を確保できるため、軸上厚を薄くすることが可能となり好ましい。尚、光源側光学面と光源側コバ面を繋ぐ形状としては、光源側コバ面の位置を任意に設定できる形状であれば良く、図33に例を示した直線形状に限られない。
尚、対物レンズの重心位置よりも光源側光学面に近い位置に、光源側コバ面の位置を設定すると、対物レンズの重心とアクチュエーターコイルの磁気中立点(動作中心点)との上下方向の距離が短くなるため、対物レンズ駆動部全体のバランスが取り易く、重量のばらつきの抑制及びカウンターバランスの軽量化及びコンパクト化を図ることが可能となり、駆動部の動作感度の向上を図ることができる。また、対物レンズ駆動部全体の剛性を向上させ、2次共振周波数を上げることができ、サーボ帯域の確保が容易となる。さらに、対物レンズのローリングを抑制でき、駆動部の安定した動作を確保することができる。
光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有すると好ましい。
ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、光ディスクの大容量化を推進する上で問題となる対物レンズのNA変化を抑制でき、適切に情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置及びそれに用いる対物レンズを提供することができる。
開口絞りの位置とNAとの関係を示す図である。 対物レンズのS2面側の断面形状を示す図である。 対物レンズのS2面側の断面形状を示す図である。 光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。 比較例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 比較例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 対物レンズと開口絞りの相対関係を示す図である。 実施例1の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例1の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例2の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例2の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例3の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例3の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例4の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例4の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例5の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例5の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例6の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例6の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例7の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例7の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例8の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例8の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例9の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例9の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例10の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例10の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例11の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例11の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 実施例12の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す図である。 実施例12の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す図である。 NAとD/fとの関係を示す図である。 光源側光学面と光源側コバ面を直線で繋いだ対物レンズの断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図4は、厚さ方向に3つの情報記録面RL1〜RL3(光ディスクの光束入射面からの距離が小さい順にRL1、RL2、RL3とする)を有する光ディスクであるODに対して適切に情報の記録/再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。光ディスクODは、光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔が0.05mm以上である。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではない。例えば、図4ではOD専用の光ピックアップ装置を示しているが、BD/DVD/CD互換の対物レンズを別個に配置することで、他光ディスク互換用の光ピックアップ装置とすることもできる。また、3つの情報記録面(情報記録層ともいう)ではなく、4つ以上の情報記録面としてもよい。
光ピックアップ装置PU1は、対物レンズOBJ、対物レンズOBJをフォーカシング方向及びトラッキング方向に移動させ、光ディスクのラジアル方向、及び/または、タンジェンシャル方向に傾ける3軸アクチュエータAC2、λ/4波長板QWP、開口絞り(開口制限素子)AP、立ち上げミラーMR、正の屈折力を有する正レンズL2と負の屈折力を有する負レンズL3とを有するカップリングCL、正レンズL2のみ光軸方向に移動させる1軸アクチュエータAC1、偏光プリズムPBS、405nmのレーザ光束(光束)を射出する半導体レーザLD、センサ用レンズSL、BDの情報記録面RL1〜RL3からの反射光束を受光する受光素子PDを有する。
本実施の形態においては、カップリングレンズCLは、偏光プリズムPBSとλ/4波長板QWPとの間に配置されている。半導体レーザLDから、負レンズL3、正レンズL2の順で配置されているが、半導体レーザLDから、正レンズL2、負レンズL3の順で配置しても良い。又、負レンズL3が光軸方向に移動可能となっており、正レンズL2は光ピックアップ装置に固定されている。光束入射面から情報記録面までの厚みの差により発生する球面収差を、球面収差補正素子としてのカップリングレンズCLを光軸方向に移動することにより補正でき、カップリングレンズCLは光ピックアップ装置動作時に情報記録面の数と同じ数の固定位置(ここでは3カ所)に配置される。
ここで、対物レンズOBJは、像側開口数(NA)が0.87以上、0.95未満のプラスチック製の単玉レンズであり、以下の式を満たす。
−0.35≧D/f≧−0.90 (2)
但し、
D[mm]:対物レンズOBJの光源側面頂点から開口制限絞りAPの開口制限位置までの光軸方向の距離(負値で表す)
f[mm]:波長λ1での対物レンズOBJの焦点距離
まず、ODの第1の情報記録面RL1に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズL2は、1軸アクチュエータAC1により実線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズL3を通過して発散角が増大され、更に正レンズL2を通過して弱い収束光束とされた後、立ち上げミラーMRで反射され、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、開口絞りAPによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第1の厚さの透明基板PL1を介して、実線で示すように第1の情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
第1の情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、開口絞りAPを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、立ち上げミラーMRで反射され、コリメートレンズCLの正レンズL2及び負レンズL3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第1の情報記録面RL1に記録された情報を読み取ることができる。
次に、ODの第2の情報記録面RL2に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズL2は、1軸アクチュエータAC1により一点鎖線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズL3を通過して発散角が増大され、更に正レンズL2を通過して略平行光束とされた後、立ち上げミラーMRで反射され、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、開口絞りAPによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第2の厚さ(第1の厚さより厚い)の透明基板PL2を介して、一点鎖線で示すように第2の情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。
第2の情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、開口絞りAPを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、立ち上げミラーMRで反射され、コリメートレンズCLの正レンズL2及び負レンズL3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第2の情報記録面RL2に記録された情報を読み取ることができる。
次に、ODの第3の情報記録面RL3に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズL2は、1軸アクチュエータAC1により点線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズL3を通過して発散角が増大され、更に正レンズL2を通過して弱い発散光束とされた後、立ち上げミラーMRで反射され、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、開口絞りAPによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第3の厚さ(第2の厚さより厚い)の透明基板PL3を介して、点線で示すように第3の情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
第3の情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、開口絞りAPを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、立ち上げミラーMRで反射され、コリメートレンズCLの正レンズL2及び負レンズL3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第3の情報記録面RL3に記録された情報を読み取ることができる。
<実施例>
次に、上述の実施の形態に用いることができる対物レンズの実施例を、比較例と比較して以下に説明する。以下の表中のrは各面の曲率半径[mm]、dは各面間距離[mm]、N(λ)は波長λ1における各面の屈折率、νdは各面のアッベ数を表している。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−03)を用いて表すものとする。対物レンズの光学面は、それぞれ数1式に表1に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。尚、ここでは波長λ1を、λとして表すものとする。
[数1:非球面表現式]
z=(y2/R)/[1+√{1−(K+1)(y/R)2}]+A44+A66+A88+A1010+A1212+A1414+A1616+A1818+A2020
但し、
z:非球面形状(非球面の面頂点から光軸に沿った方向の距離)
y:光軸からの距離
R:曲率半径
K:コーニック係数
4,A6,A8,A10,A12,A14,A16,A18,A20:非球面係数
(比較例)
表1に比較例のレンズデータを示す。又、図5に、比較例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図6に、比較例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示すが、ここでは、横軸に保護基板層の厚さをとり、縦軸に保護基板層の厚みが変わったときの球面収差を倍率変化で補正した状態のNAをとって、開口絞りの位置を3カ所変えて比較しつつ示している。比較例では、NA=0.85,D/f=−0.35である。尚、ここでは、図7に示すように、対物レンズOBJの面頂点に接する平面内に開口絞りがある時を0mmとして、それから光ディスク側に向かって負、光源側に向かって正で表すものとする。図5に示すように正弦条件違反量は小さい。又、図6に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.50mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例1)
表2に実施例1のレンズデータを示す。又、図8に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図9に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.56である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.4付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図8に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.75mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例2)
表3に実施例2のレンズデータを示す。又、図10に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図11に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.45である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.25付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図10に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.6mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例3)
表4に実施例3のレンズデータを示す。又、図12に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図13に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.56である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.15付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図12に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.75mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例4)
表5に実施例4のレンズデータを示す。又、図14に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図15に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.45である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.2付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図14に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.60mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例5)
表6に実施例5のレンズデータを示す。又、図16に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図17に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.92,D/f=−0.58である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.4付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図16に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.75mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例6)
表7に実施例6のレンズデータを示す。又、図18に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図19に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.93,D/f=−0.65である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.4付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図18に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から1.05mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例7)
表8に実施例7のレンズデータを示す。又、図20に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図21に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.94,D/f=−0.85である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.38付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図20に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.90mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例8)
表9に実施例8のレンズデータを示す。又、図22に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図23に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.875,D/f=−0.40である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.38付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図22に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.55mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例9)
表10に実施例9のレンズデータを示す。又、図24に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図25に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.64である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.82付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図24に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.85mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例10)
表11に実施例10のレンズデータを示す。又、図26に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図27に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.875,D/f=−0.40である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.8付近で最大値をとる。又、図26に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.55mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例11)
表12に実施例11のレンズデータを示す。又、図28に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図29に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.45である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.42付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図28に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.60mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
(実施例12)
表13に実施例9のレンズデータを示す。又、図30に、本実施例の対物レンズの球面収差と正弦条件違反量とを示す。図31に、本実施例の対物レンズと開口絞りの相対位置の変化に応じたNAの変化量を示す。本実施例では、NA=0.90,D/f=−0.56である。正弦条件違反量は、有効開口半径hを1としたときに0.38付近で正の極大値をとり、その前後で単調に減少する。又、図30に示すように、開口絞りの位置は対物レンズの面頂点に接する平面から0.75mm光ディスク側に位置するときに、NAの変化が最も小さくなる。
表14に、各実施例の値を示す。比較例、及び、実施例1〜12の対物レンズは、倍率ゼロと保護層厚さ設計値の組み合わせで球面収差が補正されるように非球面形状が設計されている。表14における保護層厚さ補正範囲とは、光ディスクの光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔を指す。
図32に、NAとD/fとの関係を示す。図32によれば、NAとD/fとに相関関係があることが分かる。即ち、NAが0.87近傍では、D/fの絶対値は小さくなり、NAが0.95近傍では、D/fの絶対値は大きくなる。比較例では、NA0.85で、D/fが−0.35である。よって、0.87≦NA≦0.95の条件下では、−0.35≧D/f≧−0.90の範囲が最適となる。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。
OBJ 対物レンズ
PU1 光ピックアップ装置
LD 青紫色半導体レーザ
AC1 1軸アクチュエータ
AC2 3軸アクチュエータ
BS 偏光ビームスプリッタ
PBS 偏光プリズム
CL カップリングレンズ
MR 立ち上げミラー
L2 正レンズ群
L3 負レンズ群
QWP λ/4波長板
PL1〜PL3 保護基板
RL1〜RL3 情報記録面
SL センサ用レンズ

Claims (4)

  1. 波長λ1(390nm<λ1<415nm)の光束を出射する第1光源と、球面収差補正素子と、開口制限素子と、対物レンズとを有し、前記第1光源から出射された波長λ1の光束を、前記球面収差補正素子、前記開口制限素子を介して前記対物レンズに入射させ、光軸方向に重ねられた複数の情報記録層を有し、光束入射面に最も近い情報記録層と光束入射面から最も遠い情報記録層までの間隔が0.05mm以上である第1光ディスクの情報記録層に集光することによって情報の記録/再生を行う光ピックアップ装置であって、
    情報の記録/再生を行う情報記録層を一方から他方へ変更する際に、前記球面収差補正素子により前記対物レンズの倍率を変えることで、光束入射面から情報記録層までの厚みの差により発生する球面収差を補正するようになっており、前記対物レンズは単玉であり、前記開口制限素子は、前記対物レンズの光源側面頂点に接する平面よりも光ディスク側に配置されており、更に以下の式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
    0.87≦NA≦0.95 (1)
    −0.35≧D/f≧−0.90 (2)
    但し、
    NA:前記対物レンズの開口数
    D[mm]:前記対物レンズの光源側面頂点に接する平面から前記開口制限素子の開口制限位置までの光軸方向の距離(負値で表す)
    f[mm]:前記波長λ1での前記対物レンズの焦点距離
  2. 以下の式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
    0.90≦NA≦0.94 (1’)
  3. 以下の式を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
    −0.45≧D/f≧−0.85 (2’)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光ピックアップ装置に用いることを特徴とする対物レンズ。
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