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JP2013168518A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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JP2013168518A JP2012030979A JP2012030979A JP2013168518A JP 2013168518 A JP2013168518 A JP 2013168518A JP 2012030979 A JP2012030979 A JP 2012030979A JP 2012030979 A JP2012030979 A JP 2012030979A JP 2013168518 A JP2013168518 A JP 2013168518A
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】剛性があって、より薄く且つ車両用などの設置/載置箇所に応じて3次元曲面に追随可能な柔軟性の高い薄型太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【解決手段】1〜100μmの厚みと20〜200℃のガラス転移温度を有する硬質樹脂からなる表面保護層と裏面保護層との間に存在する封止材層で光電変換層を内包して100〜600μmの薄型太陽電池モジュールとすることで課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールの製造方法に関する。
太陽電池としては、例えば太陽電池セルに単結晶シリコンや多結晶シリコンを用いたものが知られている。
これらの太陽電池セルは、通常、保護部材間(保護層)に、EVA樹脂等の封止材によって封止された状態で太陽電池モジュールを構成する。具体的にこれらの太陽電池モジュールは、表面保護層、裏面保護層などの保護層の間に、電線等で複数の太陽電池セルを接続した光電変換層を、EVA樹脂フィルムなどに包んで挟み込み、モジュール全体を真空ラミネータで加熱加圧成形して真空引き製造するのが一般的である。
太陽電池モジュールの軽量化や薄型化を狙い、更に簡便な工程で形成が可能な薄型太陽電池モジュールとして、例えば、特許文献1には、厚みが1mm以下の合成樹脂板状体と封止剤材料成形シートが厚み0.6mm以下の接着性合成樹脂シートを用いて、表面保護部材と裏面保護部材とが同じ材質及び同じ厚みと共に、モジュール全体としての厚みが3.0mm以下の薄型太陽電池モジュールが記載されている。
特開2007−242677号公報
特許文献1に記載の薄型太陽電池モジュールは、1回の真空ラミネーションによる成形が可能で、得られる薄型太陽電池モジュールも反りや変形の恐れが無いものが得られるが、車両用に載置されるような太陽電池モジュールのように、3次元曲面に追随可能なほどの柔軟性がなかった。
本発明は上記の問題を解決するものであり、剛性があって、より薄く且つ車両用などの設置/載置箇所に応じて3次元曲面に追随可能な柔軟性の高い薄型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ある特定の厚みとガラス転移温度を有する硬質樹脂からなる表面保護層と裏面保護層との間に存在する封止材層で光電変換層を内包して100〜600μmの薄型太陽電池モジュールとすることで上記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。従来、100〜600μmという薄型の太陽電池モジュールを製造しようとする場合には、セルと封止材との界面に空隙が生じるなど封止性、密封性に問題があった。本発明では特定の硬質樹脂を用いることで密封性に優れ、かつ湾曲可能な太陽電池モジュールを想到した。
本願発明の要旨は、表面保護層と裏面保護層の間に、封止材層、光電変換層、及び封止材層をこの順に積層してなる、厚みが100〜600μmの薄型太陽電池モジュールであって、該表面保護層と該裏面保護層はそれぞれの厚みが1〜100μmで、かつ、ガラス転移温度が20〜200℃の硬質樹脂であり、該光電変換層は該封止材層に内包され、該封止材層のそれぞれの厚みが1〜100μmであることを特徴とする薄型太陽電池モジュ
ールである。
また、前記表面保護層の外側に厚みが1〜100μmの最表層を有することが好ましく、前記表面保護層と最表層の間に接着層を更に有することが好ましい。
また、本願発明の薄型太陽電池モジュールは、太陽光受光面側から、最表層、接着層、表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層及び裏面保護層の順に積層して作製することもできる。
本願発明の薄型太陽電池モジュールは、最小曲率半径Rが10,000mm以下で2軸方向で湾曲させることができる。
また、前記裏面保護層の外側に、厚みが0.1〜4mmの補強層を更に設けることもできる。
本願発明の薄型太陽電池モジュールは車両に載置、設置又は搭載させることもできる。
本発明によれば硬質樹脂を用いることで、長期信頼性が高く、かつ、3次元曲面に追随可能な柔軟性の高い薄型太陽電池モジュールを提供できる。
本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。 本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。 本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。 本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。 本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。 比較例の太陽電池モジュールの一実施態様の模式図。
本発明の太陽電池モジュールの実施の形態について、以下に具体的に説明する。
本発明の太陽電池モジュールは、表面保護層と裏面保護層との間に封止材層に内包された光電変換層を順次積層して有するものである。太陽電池モジュールは、表面保護層及び裏面保護層として、ガラス基板ではなく樹脂基板を用いることで、軽量かつ安価に提供できる。このような樹脂基板を用いた太陽電池モジュールは、一般的に熱ラミネートにより製造される。本発明の太陽電池モジュールでは、厚みがある特定の範囲の樹脂基板である表面保護層と裏面保護層、及び特定の厚みを有する封止材層により、剛性があって、封止性が高く、且つ3次元曲面などの形状を保持することが可能な柔軟性の高い薄型太陽電池モジュールを提供することが出来る。
<表面保護層>
本発明の表面保護層は、太陽電池モジュールに機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。表面保護層としては、硬質樹脂が用いられる。一般に太陽電池モジュール全体の厚みを薄くすることで密封性の低下という問題を生じるが、本発明では表面保護層にガラス転移温度20〜200℃の硬質樹脂を用いることで、柔軟性が高く、かつ、強度の高い太陽電池モジュールを得ることができる。本発明において硬質樹脂とは、引張弾性率(JIS K7161,7162:1994)が0.5GPa以
上、好ましくは1GPa以上の樹脂を指す。なお、前記引張弾性率の上限は特に限定されないが、通常は50GPa以下であり、好ましくは10GPa以下である。多くの太陽光を光電変換層に供給する観点から、表面保護層の全光線透過率は80%以上、好ましくは90%以上である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1による。
表面保護層に用いる硬質樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
本願発明の表面保護層は、上記の硬質樹脂を単独で用いることもできるが、2以上の樹脂を積層して用いることもできる。2以上の樹脂を積層して用いる場合は、任意の硬質樹脂を選択することができるが、2以上の硬質樹脂を積層する場合は樹脂と樹脂との間に接着層(プライマー層)を用いることが好ましい。例えば、表面からポリエチレンテレフタレート(PET)層、プライマー層、ポリエチレン(PE)層の様に積層して用いることができる。接着層(プライマー層)の材質等は特に制限されないが、通常例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、マレイン酸またはシラン等で変性した変性ポリエチレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、またアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等の光透過性の材料が用いられる。プライマー層の厚さは1〜50μmのシート状が好ましい。
これらの樹脂の入手方法は特段限定されず、市販のものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)では、三菱化学(株)製ノバペックス等が挙げられ、ポリエチレン(PE)では日本ポリエチレン(株)製ノバテック、カーネル等が挙げられる。ポリカーボネートではタキロン(株)製ポリカーボネートプレート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロン、ポリメチルメタクリレートでは三菱レイヨン(株)製アクリライト,住友化学(株)製スミペックス等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート(PET)、プライマー層、およびポリエチレン(PE)が積層した樹脂としては、ラミーコーポレーション社製ホットラミネートフィルムGOLI FILMなどが
挙げられる。
表面保護層の厚さは1〜100μmである。好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは20〜50μmである。1μmを下回ると、引き裂き強度が低下する傾向にあり、100μmを超えると柔軟性が低下する傾向にある。表面保護層が厚くなりすぎると、樹脂層の柔軟性の低下や、モジュールの重量増を招くため、好ましくない。
また、表面保護層の積層面の大きさは、通常、後述の太陽電池セルを有する光電変換層の積層面よりも面積が大きければよい。ここでいう積層面の面積とは、表面保護層の厚さ方向に対して垂直な面の面積をいう。光電変換層の積層面の面積よりも表面保護層の積層面の面積が大きいことで、光電変換層が十分に保護され得る。
また表面保護層に用いる硬質樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が20〜200℃であり、好ましくは40〜170℃であり、より好ましくは60〜150℃である。Tgが上記範囲にある場合には、太陽電池モジュールのラミネート時に適度な柔軟性を有し、加工性に優れる。なお、ガラス転移点TgはDSC測定により測定する。
また、表面保護層に用いる硬質樹脂は、通常、重量平均分子量(Mw)が10,000以上である。上限は70,000以下であり、20,000以下であることが好ましい。本発明における重量平均分子量はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間
が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量が算出される。
表面保護層において、樹脂を積層して用いる場合は、用いる樹脂のすべてが前記ガラス転移温度(Tg)と重量平均分子量(Mw)の条件を満たすことが好ましい。
また、積層してできた表面保護層全体で、前記引張弾性率の条件を満たすことが好ましい。
また、本発明の太陽電池モジュールでは、表面保護層の外側(太陽光側)に更に最表層を有することが好ましい。本発明において最表層を備えることは表面保護層の傷つきや劣化を抑制し、全光線透過率を維持するため好ましい。最表層を構成する材料は、UV吸収剤やラジカル捕捉剤、酸化防止剤などを含んだ耐候性フィルムが好ましく、通常使用される公知のものを使用することができる。
耐候性フィルムの材料となる樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、耐候性ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等が挙げられる。これらの中でもポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、耐候性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
最表層の厚さは、通常1〜100μmであり、好ましくは5〜70μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
また、太陽電池モジュールは、太陽光により熱せられるものであるため、最表層は耐熱性を有することが好ましい。従って、最表層の構成材料は、融点が、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。一方融点の上限は320℃以下であることが好ましい。
最表層と表面保護層との間に接着層(プライマー層)を備えてもよい。接着層(プライマー層)の材質等は特に制限されないが、通常例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、マレイン酸またはシラン等で変性した変性ポリエチレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、またアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等の光透過性の材料が用いられる。プライマー層の厚さは1〜50μmのシート状が好ましい。
<光電変換層>
光電変換層は、光エネルギーを直接電力に変換することができる太陽電池セルを有する層であり、通常、複数の太陽電池セルを集電線等で接続してなる。太陽電池セルで発生した電気は、集電線を通じ外部変換機を介して取り出すことができる。
太陽電池セルの素子としては、単結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、微結晶シリコン太陽電池素子、球状シリコン太陽電池素子などのシリコン系太陽電池素子を用いることができる。また、CIS系太陽電池素子、CIGS系太陽電池素子、GaAs系太陽電池素子などの化合物太陽電池素子を採用することもできる。さらに色素増感太陽電池素子、有機薄膜太陽電池素子、多接合型太陽電池素子、HIT太陽電池素子等を採用してもよい。
例えば、シリコン系太陽電池素子は市販のものでよく、例えば、Q−Cells社、FirstSolar社、Suntech社、シャープ社、Shinsung社、Gintech社製などの太陽電池セルが挙げられる。
太陽電池セルの素子の各電極は、導電性を有する任意の材料を1種又は2種以上用いて形成することができる。電極材料(電極の構成材料)としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO:酸化スズインジウム);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;そのような導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、
カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。
各電極の厚さ及び光電変換層の厚さは、必要とされる出力等に基づき、決定することができる。
さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合には効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
光電変換層の−30〜30℃における線膨張係数は40ppm/K以下であることが好ましく、更に好ましくは35ppm/K以下であり、特に好ましくは30ppm/K以下である。線膨張係数の測定方法は、例えば、ASTM D696などによる。線膨張係数が40ppm/Kを越えると、温度変化に伴う変形が大きいため、加熱・冷却プロセス、あるいは実使用条件下で故障しやすくなる傾向にある。一方下限は特段限定されないが、通常1ppm/K以上であり、3ppm/K以上であることが好ましい。
<裏面保護層>
本発明の太陽電池モジュールの裏面保護層としては、表面保護層と同様に、硬質樹脂が用いられる。
このような硬質樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ガラスエポキシ多層材料、繊維強化プラスチック(FRP)、環状ポリオレフィン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)あるいはその変性体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)あるいはその変性体、ポリプロピレン(PP)あるいはその変性体、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ガラスエポキシ多層材料等が挙げられる。
裏面保護層に用いる硬質樹脂としては、表面保護層の樹脂と同じ種類のものでもよく、異なっていてもよいが、同じ樹脂を使用するのが好ましい。裏面保護層に用いる樹脂は表面保護層に用いる樹脂と同様に、2以上の硬質樹脂を積層して用いることもできる。2以上の硬質樹脂を積層する場合も、表面保護層と同様の硬質樹脂を用いることができる。
裏面保護層の厚さは1〜100μmである。好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは20〜50μmである。1μmを下回ると、透湿性が低下してモジュールとしての耐久性が低下する傾向にあり、100μmを超えるとモジュールとしての柔軟性が低下する傾向にある。裏面保護層が厚くなりすぎると、樹脂層の柔軟性の低下や、モジュールの重量増を招くため、好ましくない。
裏面保護層の厚さは、表面保護層と同様の厚さであることが好ましい。また裏面保護層の硬質樹脂のガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量、引張弾性率の好ましい範囲につ
いても表面保護層の硬質樹脂と同様である。
裏面保護層において、硬質樹脂を積層して用いる場合のガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量(Mw)、引張弾性率の条件も表面保護層と同様である。
<補強層>
本願発明の太陽電池モジュールは、裏面保護層の外側に補強層を設けることができる。補強層の厚みは通常0.1〜4mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。このような補強層の材質としては、ガルバリウム鋼板、アルミ板、ガラス板、ガラス繊維強化エポキシ樹脂(GFRP)、炭素繊維強化エポキシ樹脂(CFRP)などを用いることができる。裏面保護層と補強層の接着には、通常の接着剤を用いることができる。
<封止材層>
太陽電池モジュールにおける光電変換層は、通常、光電変換層を封止すること等を目的として、光電変換層を覆うように封止材層が設けられる。封止材層は、光電変換層を覆うように配置されるため、表面保護層と光電変換層との間、及び裏面保護層と光電変換層との間に配置されるが、本発明の太陽電池モジュールを形成する際には、上記光電変換層を内包するように封止材層が設けられることが好ましい。ここで、内包とは、太陽電池モジュールにおいて光電変換層の端部が封止材層の端部から露出していないことをいう。
これらの封止材層の材質としては、太陽光を透過する合成樹脂材料であれば特に限定されるものではなく、公知の通常用いられるものを使用することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、マレイン酸またはシラン等で変性した変性ポリエチレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、またエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等を用いることができる。
封止材層の厚さは、1〜100μmであり、好ましくは5〜80μmであり、より好ましくは、10〜60μmである。封止材層の厚さを上記範囲とすることで、適度な耐衝撃性を得ることができると共に、コストおよび重量の観点からも好ましく、発電特性も十分に発揮することができる。
<電気絶縁層>
本発明の太陽電池モジュールは、電気絶縁層を更に設けることができる。電気絶縁層としては、電気を通しにくい材質であれば特段限定されない。このような電気絶縁層を設けることで、光電変換層で生じた電気が、集電線以外から外部に抜けることを防止することができるため、太陽電池の発電効率が向上する。
電気絶縁層としては、例えばETFE(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)などのフッ素系樹脂、PETなどを用いることができる。なお、電気絶縁層の配置位置は特段限定されないが、光電変換層よりも受光面側に配置する場合には、光透過性の高い材料を用いる必要がある。
電気絶縁層の厚さは特段限定されないが、通常10μm以上、好ましくは25μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。一方上限は、通常500μm以下であり、好ましくは300μm以下である。
これらの層以外にも、ガスバリア層、紫外線カット層、耐候性保護層、耐擦傷性層、防汚層、その他の公知の構成部材等を積層してもよい。
<太陽電池モジュールの製造方法>
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、公知の方法が用い得るが、例えば表面保護
層、封止材層、光電変換層、封止材層、裏面保護層等を含む多層シートを、真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却することにより、太陽電池モジュールを得ることができる。また、本発明の太陽電池モジュールは、例えば、太陽光受光面側から、最表層、接着層、表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層及び裏面保護層の順に積層して、上記の様に得ることもできる。
上記熱ラミネート条件は特に限定されず、通常行う条件で熱ラミネートが可能である。
真空条件で行うことが好ましく、通常真空度が30Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは80Pa以上である。一方上限は、通常150Pa以下、好ましくは120Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。上記範囲とすることで、モジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができ、生産性も向上するため好ましい。
真空時間としては、通常1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは3分以上である。一方上限は、通常8分以下、好ましくは6分以下、より好ましくは5分以下である。真空時間を上記範囲とすることで、熱ラミネート後の太陽電池モジュールの外観が良好となり、またモジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができるため好ましい。
熱ラミネートの加圧条件は、通常圧力が50kPa以上、好ましくは70kPa以上、より好ましくは90kPa以上である。一方上限値は、101kPa以下であることが好ましい。上記範囲の加圧条件とすることで、太陽電池モジュールを損傷することなく、また適度な接着性を得ることができるため、耐久性の観点からも好ましい。
上記圧力の保持時間は、通常1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。一方上限は、通常30分以下、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下である。上記保持時間とすることで、封止材層のゲル化率を適正とすることができるため、封止材層の発電素子を保護する機能を十分に発揮することができ、また十分な接着強度を得ることができる。
熱ラミネートの温度条件は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上である。一方上限値は、通常180℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。上記温度範囲とすることで、十分な接着強度を得ることができる。
また、上記温度の加熱時間は、通常10分以上、好ましくは12分以上、より好ましくは15分以上である。一方上限は60分以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下である。上記加熱時間とすることで、封止材の架橋が適度に行われるため耐久性能が向上し、適度な柔軟性を有することができるため、好ましい。
本願発明の太陽電池モジュールは、湾曲させて用いることができる。湾曲させる方法としては特に限定されないが、例えば、加熱して湾曲させる方法が挙げられる。また、本願発明の太陽電池モジュールは、湾曲させる際の最小曲率半径Rを10,000mm以下、好ましくは5,000mm以下とすることができ、1軸方向だけでなく2軸方向で湾曲させることが可能である。また、最小曲率半径の下限には、特に制限がないが、通常は50mm以上、好ましくは500mm以上である。
従来からあった、厚みがあって硬質のモジュールを湾曲させるには、長時間、高温、高圧で曲げる必要があり、生産効率が悪い上、一度できた形状が長時間保持できず、徐々に平面化するという課題があった。本願では、表面保護層と裏面保護層に特定の硬質樹脂を用いる、厚みが100〜600μmの薄型太陽電池モジュールとすることで、容易に湾曲させることができ、かつ、湾曲形状を長時間維持できるようになった。
このようにして得られた本発明の太陽電池モジュールは、薄肉かつ軽量であるにもかかわらず太陽電池セルの破壊を抑制する耐衝撃性を有し、また、たわみや振動を抑制する機能を持つために、トラック等の車両に載置、設置又は搭載することができる。
<実施例1>
図1に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)層/プライマー層/ポリエチレン(PE)層/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)層よりなる合計厚み100μm(封止材層の
厚み40μm)の封止フィルム(ホットラミネートフィルムGOLI FILM、厚み100μm、ラミーコーポレーション社製:PETのガラス転移温度69℃、引張弾性率4GPa)
(2)厚さ50μmの光電変換素子(厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN;25℃におけるヤング率は1000MPa)を発電素子基板とし、下面電極およびアモ
ルファスシリコン層を堆積させ、更に集電電極をパターニングしたもの)に電力を外部へ取り出すための集電線(97Sn3Ag被覆Cu製;導電性接着剤付き;合計厚み100μm)を配線したもの
(3)PET層/プライマー層/PE層/EVA層よりなる合計厚み100μm(封止材層
の厚み40μm)の封止フィルム(GOLI FILM、厚み100μm、ラミーコーポレーション社製)
これらをEVA側が光電変換素子と接するように重ね合わせ積層体とし、NPC社製真空ラミネータ(LM−50×50−S)を使用し、120℃で熱ラミネート(真空度:80Pa、真空時間:5分、加圧:100kPa、加圧保持時間:5分、加熱保持時間:20分)して太陽電池モジュール1を作製した。光電変換層の端部がモジュールから露出せず、封止材層に内包されていることを確認した。太陽電池モジュール1の厚みは、中央部で250μmであった。
<実施例2>
図2に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、実施例1と同様にして作製した太陽電池モジュールの受光面側に、更に、ポリ塩化ビニル(厚み80μm)/アクリル系粘着剤(厚み30μm)よりなる合計厚み110μmの耐候性フィルム(コールドラミネート
フィルム:PVG-80G、ラミーコーポレーション社製)を、粘着剤層と太陽電池モジュール
の受光面側が密着するように重ね合わせ、太陽電池モジュール2を作製した。太陽電池モジュール2の厚みは中央部で360μmであった。
<実施例3>
図3に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、実施例1と同様にして作製した太陽電池モジュールの受光面側に、更に、ポリオレフィンフィルム#80(厚み80μm
)/アクリル系粘着剤L-100(厚み25μm)よりなる合計厚み105μmの耐候性フィ
ルム(NE-tak オーバーラミネートフィルム ピュアグロス、ラミーコーポレーション社製)を、粘着剤層と太陽電池モジュールの受光面側が密着するように重ね合わせ、太陽電池モジュール3を作製した。太陽電池モジュール3の厚みは中央部で355μmであった。
<実施例4>
図4に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、実施例1と同様にして作製した太陽電池モジュールの受光面側に、更に、耐候性ポリエチレンテレフタレート(厚み50μm)/アクリル系粘着剤S-920(厚み30μm)よりなる合計厚み80μmの耐候性フ
ィルム(NE-tak オーバーラミネートフィルム UTL-50 グロス バイアス、ラミーコーポレーション社製)を、粘着剤層と太陽電池モジュールの受光面側が密着するように重ね
合わせ、太陽電池モジュール4を作製した。太陽電池モジュール4の厚みは中央部で330μmであった。
<実施例5>
実施例1〜4で作製した太陽電池モジュール1〜4を、加熱しつつ、受光面側が凸になるように曲率半径1,755mmで湾曲させることで、湾曲した太陽電池モジュール5〜8を
作製したところ、いずれも規定の曲率形状に湾曲させることができ、6ヶ月経過後もその形状を維持していた。
<実施例6>
図5に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、実施例1で作製した太陽電池モジュール1を、接着剤(セメダインスーパーX セメダイン社製)を用いて厚み0.6mmの鋼板に接着し、太陽電池モジュール9を作製した。鋼板と太陽電池モジュール1がしっかりと一体化し、軽量かつ剛性の高い太陽電池付き鋼板材が得られた。
<実施例7>
実施例5で作製した太陽電池モジュール5〜8を、接着剤(セメダインスーパーX セメダイン社製)を用いて、太陽電池モジュール5〜8と同一に湾曲した厚み0.4mmのアルミ板に接着し、太陽電池モジュール10〜13を作製した。湾曲したアルミ板と太陽電池モジュール5〜8がしっかりと一体化し、軽量かつ剛性の高い太陽電池付きアルミ板材が得られた。
<比較例1>
図6に示す太陽電池モジュールを製造した。具体的には、
(1)PET(厚さ100μm;三菱樹脂(株)製、T680E)
(2)EVA(厚さ300μm;シーアイ化成(株)製、UFHCE20)
(3)厚さ50μmの光電変換素子(厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN;25℃におけるヤング率は1000MPa)を発電素子基板とし、下面電極およびアモ
ルファスシリコン層を堆積させ、更に集電電極をパターニングしたもの)に電力を外部へ取り出すための集電線(はんだ被覆銅線;導電性接着剤(3M製 #9703)付き;合計厚み100μm)を配線したもの
(4)EVA(厚さ300μm;シーアイ化成(株)製、UFHCE20)
(5)PET(厚さ100μm;三菱樹脂(株)製、T680E)
これらを順次重ね合わせ積層体とし、NPC社製真空ラミネータ(LM−50×50−S)を使用し、130℃で熱ラミネート(真空度:80Pa、真空時間:5分、加圧:100kPa、加圧保持時間:5分、加熱保持時間:55分)して太陽電池モジュール14を作製した。太陽電池モジュール14の厚みは中央部で750μmであった。
<比較例2>
比較例1で作製した太陽電池モジュール14を、加熱しつつ、受光面側が凸になるように曲率半径1,755mmで湾曲させることで、湾曲した太陽電池モジュール15を作製した
が、十分な湾曲形状を形成させることができなかった。
1 PET層
2 プライマー層
3 PE層
4 EVA層
5 光電変換層
6 アクリル系粘着剤
71 ポリ塩化ビニル層
72 ポリオレフィン層
73 耐候性PET層
8 接着剤
9 鋼板

Claims (7)

  1. 表面保護層と裏面保護層の間に、封止材層、光電変換層、及び封止材層をこの順に積層してなる、厚みが100〜600μmの薄型太陽電池モジュールであって、該表面保護層と該裏面保護層はそれぞれの厚みが1〜100μmで、かつ、ガラス転移温度が20〜200℃の硬質樹脂であり、該光電変換層は該封止材層に内包され、該封止材層のそれぞれの厚みが1〜100μmであることを特徴とする薄型太陽電池モジュール。
  2. 前記表面保護層の外側に厚みが1〜100μmの最表層を更に有することを特徴とする請求項1に記載の薄型太陽電池モジュール。
  3. 前記表面保護層と最表層の間に接着層を更に有する請求項2に記載の薄型太陽電池モジュール。
  4. 太陽光受光面側から、最表層、接着層、表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層及び裏面保護層の順に積層してなる請求項3に記載の薄型太陽電池モジュール。
  5. 最小曲率半径Rが10,000mm以下で2軸方向で湾曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄型太陽電池モジュール
  6. 裏面保護層の外側に、厚みが0.1〜4mmの補強層を更に有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄型太陽電池モジュール。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の薄型太陽電池モジュールが載置、設置又は搭載された車両。
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