JP2013159752A - インクジェット記録装置用洗浄液 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録装置に対する悪影響が極めて低く、洗浄効果が十分に高い上に、フィルターの洗浄にも有効なインクジェット記録装置用洗浄液の提供。
【解決手段】(1)少なくとも水、水溶性有機溶剤、及びメラミン樹脂微粒子を含有するインクジェット記録装置用洗浄液。
(2)更にメラミン樹脂微粒子を分散させるための分散剤を含有する(1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
(3)前記インクジェット記録装置用洗浄液を容器中に収容したカートリッジ。
(4)前記洗浄液を用いてインクジェット記録装置内の少なくとも一部を洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
【選択図】なし
【解決手段】(1)少なくとも水、水溶性有機溶剤、及びメラミン樹脂微粒子を含有するインクジェット記録装置用洗浄液。
(2)更にメラミン樹脂微粒子を分散させるための分散剤を含有する(1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
(3)前記インクジェット記録装置用洗浄液を容器中に収容したカートリッジ。
(4)前記洗浄液を用いてインクジェット記録装置内の少なくとも一部を洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録装置用洗浄液に関する。
インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有することから、デジタル信号の出力機器として近年急速に普及している。
インクジェット記録用インク(以下、インクという)には染料系インクと顔料系インクがあるが、染料系インクは色調の鮮明性に優れているものの耐光性に劣るという欠点があり、耐水性、耐候性の点で顔料インクの方が優れている。しかし、顔料インクはインク中に分散状態が不安定な顔料粒子が数多く存在しているため、顔料粒子の凝集物が発生し、ノズルが目詰まりし、正常な吐出が妨げられることがあった。このような課題に対し、インク供給部とインク吐出部の間にフィルターを設けることが提案されている。
しかしながら、フィルターに付着するのは異物だけとは限らず、インク中に含まれる成分がフィルターの繊維表面に付着して繊維が見かけ上太くなり、フィルター孔径が狭まってフィルターの流体抵抗を上昇させ、印字中のヘッドへのインク供給が追いつかなくなり、不吐出になるという不具合が発生することが知られている。
特に、記録物に定着性を付与するため水不溶性樹脂を含有させたインクの場合には、樹脂成分が繊維に付着することにより、不当に装置の寿命を縮める原因となっていた。
インクジェット記録用インク(以下、インクという)には染料系インクと顔料系インクがあるが、染料系インクは色調の鮮明性に優れているものの耐光性に劣るという欠点があり、耐水性、耐候性の点で顔料インクの方が優れている。しかし、顔料インクはインク中に分散状態が不安定な顔料粒子が数多く存在しているため、顔料粒子の凝集物が発生し、ノズルが目詰まりし、正常な吐出が妨げられることがあった。このような課題に対し、インク供給部とインク吐出部の間にフィルターを設けることが提案されている。
しかしながら、フィルターに付着するのは異物だけとは限らず、インク中に含まれる成分がフィルターの繊維表面に付着して繊維が見かけ上太くなり、フィルター孔径が狭まってフィルターの流体抵抗を上昇させ、印字中のヘッドへのインク供給が追いつかなくなり、不吐出になるという不具合が発生することが知られている。
特に、記録物に定着性を付与するため水不溶性樹脂を含有させたインクの場合には、樹脂成分が繊維に付着することにより、不当に装置の寿命を縮める原因となっていた。
また、インクジェットプリンターでは高画質化及び高速化に対する要求が著しく、これに対応するため、インク飛翔手段であるノズルが小径化される傾向にある。
このため、前記フィルターの径も、従来のフィルターと比較してかなり微細な径となってきており、前記フィルターの目詰まりも尚更起きやすくなっている。
そこで、目詰まりしにくいフィルターが提案されており、例えば金属繊維からなる焼結不織布を用いたフィルター、金属繊維を綾畳織したフィルター、平坦な金属板に多数の微細孔を貫通させて形成したフィルターなどがある。しかし、これらのフィルターでは目詰まりするまでの時間が長くなるだけであり、問題の本質的な解決にはならない。
このため、前記フィルターの径も、従来のフィルターと比較してかなり微細な径となってきており、前記フィルターの目詰まりも尚更起きやすくなっている。
そこで、目詰まりしにくいフィルターが提案されており、例えば金属繊維からなる焼結不織布を用いたフィルター、金属繊維を綾畳織したフィルター、平坦な金属板に多数の微細孔を貫通させて形成したフィルターなどがある。しかし、これらのフィルターでは目詰まりするまでの時間が長くなるだけであり、問題の本質的な解決にはならない。
一方、目詰まりを起こした場合にこれを解消するため、洗浄液を用いてフィルター及びノズルを洗浄する方法が知られている。例えば、特許文献1にはポリオキシアルキレンセカンダリーアルコールエーテルを用いた洗浄液が、特許文献2には芳香環を含む樹脂を含有するインクと、芳香環を含む有機溶剤を含有するメンテナンス液とのインクセットが開示されている。しかし、長期にわたる使用では経時的にフィルターの目詰まりが発生し、圧力損失が増大してしまうという問題は解消されずに残っている。
また、特許文献3には、記録用ヘッドやインクに悪影響を及ぼしにくく洗浄性に優れた洗浄液として、少なくとも水と水不溶性有機溶剤を含むインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている。このメンテナンス液は樹脂微粒子を含むインクにも対応できるとしているが、フィルターの洗浄については記載されていない。
また、特許文献3には、記録用ヘッドやインクに悪影響を及ぼしにくく洗浄性に優れた洗浄液として、少なくとも水と水不溶性有機溶剤を含むインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている。このメンテナンス液は樹脂微粒子を含むインクにも対応できるとしているが、フィルターの洗浄については記載されていない。
従来の洗浄液の殆どは目詰まり等の問題を起こしている付着成分を洗浄液中に溶解又は再分散させるものであった。これでは、例えばインク中に含まれる成分が変化したときに対応しきれず、洗浄液としての使用対象が限定的になることがあった。
前記特許文献3の技術でも、インク成分が付着して流体抵抗が大きくなったフィルターからインク成分を除去することは検討されておらず、樹脂微粒子を含む顔料インクを使用するインクジェット記録装置用洗浄液としては不十分なものであった。また、一般に疎水性の強い有機溶剤は、それ自体が装置構成部材にダメージを与えやすく、悪影響が低いとは言い切れない。
したがって本発明は、インクジェット記録装置に対する悪影響が極めて低く、洗浄効果が十分に高い上に、フィルターの洗浄にも有効なインクジェット記録装置用洗浄液の提供を目的とする。
前記特許文献3の技術でも、インク成分が付着して流体抵抗が大きくなったフィルターからインク成分を除去することは検討されておらず、樹脂微粒子を含む顔料インクを使用するインクジェット記録装置用洗浄液としては不十分なものであった。また、一般に疎水性の強い有機溶剤は、それ自体が装置構成部材にダメージを与えやすく、悪影響が低いとは言い切れない。
したがって本発明は、インクジェット記録装置に対する悪影響が極めて低く、洗浄効果が十分に高い上に、フィルターの洗浄にも有効なインクジェット記録装置用洗浄液の提供を目的とする。
本発明者らは、前述したような現状に鑑み、問題を引き起こしている付着成分を物理的に切削、つまりこそぎ落とす効果を持つ洗浄液について検討した結果、本発明に至った。
即ち、上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、及びメラミン樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液。
即ち、上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、及びメラミン樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液。
本発明によれば、インクジェット記録装置に対する悪影響が極めて低く、洗浄効果が十分に高い上に、フィルターの洗浄にも有効なインクジェット記録装置用洗浄液を提供できる。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明のインクジェット記録装置用洗浄液(以下、単に記録装置及び洗浄液ということもある)は、少なくとも水と液中に分散されたメラミン樹脂微粒子を含有する。
本発明の洗浄液は、記録装置に充填されノズルから吐出されるまでの間に、洗浄液中のメラミン樹脂微粒子が、フィルターやノズル等の目詰まりを起こしている箇所を通過しながら付着成分を削り落とし、これにより記録装置の吐出性能を、初期又はそれに近い状態にまで復帰させることができる。
その一方、メラミン樹脂微粒子は金属等の硬い部材に対する切削機能までは持たないので、ヘッド構成部材を物理的に傷付けることはない。また、本発明の洗浄液は疎水性有機溶剤を含有する必要もないので、ヘッド構成部材が化学的に損傷することもない。
したがって、記録装置に対する悪影響が極めて低く、かつ洗浄効果が十分に高い洗浄液を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置用洗浄液(以下、単に記録装置及び洗浄液ということもある)は、少なくとも水と液中に分散されたメラミン樹脂微粒子を含有する。
本発明の洗浄液は、記録装置に充填されノズルから吐出されるまでの間に、洗浄液中のメラミン樹脂微粒子が、フィルターやノズル等の目詰まりを起こしている箇所を通過しながら付着成分を削り落とし、これにより記録装置の吐出性能を、初期又はそれに近い状態にまで復帰させることができる。
その一方、メラミン樹脂微粒子は金属等の硬い部材に対する切削機能までは持たないので、ヘッド構成部材を物理的に傷付けることはない。また、本発明の洗浄液は疎水性有機溶剤を含有する必要もないので、ヘッド構成部材が化学的に損傷することもない。
したがって、記録装置に対する悪影響が極めて低く、かつ洗浄効果が十分に高い洗浄液を得ることができる。
また、以下の2)〜6)も、本発明の洗浄液の実施形態又は応用形態に含まれる。
2) 更にメラミン樹脂微粒子を分散させるための分散剤を含有することを特徴とする1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
3) 前記分散剤が、下記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用洗浄液。
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリル基又はアラルキル基を表し、lは0〜7の整数、nは20〜200の整数を表す。)
4) 1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液を容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
5) 1)〜3)のいずれかに記載の洗浄液を用いてインクジェット記録装置内の少なくとも一部を洗浄することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
6) 前記インクジェット記録装置がその液体流路中にフィルターを付設した装置であることを特徴とする5)に記載の洗浄方法。
2) 更にメラミン樹脂微粒子を分散させるための分散剤を含有することを特徴とする1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
3) 前記分散剤が、下記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用洗浄液。
4) 1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液を容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
5) 1)〜3)のいずれかに記載の洗浄液を用いてインクジェット記録装置内の少なくとも一部を洗浄することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
6) 前記インクジェット記録装置がその液体流路中にフィルターを付設した装置であることを特徴とする5)に記載の洗浄方法。
<メラミン樹脂微粒子>
メラミン樹脂微粒子は、記録装置中の付着成分を切削して除去する効果をもたらす。
その添加量は洗浄液全体の0.1〜50.0質量%が好ましく、0.1〜20.0質量%がより好ましく、3.0〜15.0質量%がさらに好ましい。
その50%体積平均粒径(D50)は、10〜500nmが好ましく、50〜250nmがより好ましく、90〜210nmがさらに好ましい。10nm未満では、樹脂微粒子を水中に分散させたときの粘度が高くなり、洗浄液としての粘度も高くなってしまう。500nmを超えると、供給経路中のフィルターに捕捉される樹脂微粒子が多くなり、洗浄前よりも逆に不吐出が多くなってしまう。
ここで、上記50%体積平均粒径(D50)は、23℃、55%RHの環境下で、日機装社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定した値である。
メラミン樹脂微粒子は、記録装置中の付着成分を切削して除去する効果をもたらす。
その添加量は洗浄液全体の0.1〜50.0質量%が好ましく、0.1〜20.0質量%がより好ましく、3.0〜15.0質量%がさらに好ましい。
その50%体積平均粒径(D50)は、10〜500nmが好ましく、50〜250nmがより好ましく、90〜210nmがさらに好ましい。10nm未満では、樹脂微粒子を水中に分散させたときの粘度が高くなり、洗浄液としての粘度も高くなってしまう。500nmを超えると、供給経路中のフィルターに捕捉される樹脂微粒子が多くなり、洗浄前よりも逆に不吐出が多くなってしまう。
ここで、上記50%体積平均粒径(D50)は、23℃、55%RHの環境下で、日機装社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定した値である。
メラミン樹脂微粒子としては、上記特性を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、微粒子粉体として市販されているもの(日本触媒社製エポスターS、S6、MSなど)を使用しても良いが、溶液形態で市販されているものから特表2008−543982号公報に記載された方法で必要なサイズの微粒子を得るのが簡便である。市販されているメラミン樹脂水溶液としては、例えばベッカミンMA−S、M−3、J−101(DIC社製)、メラン622、623(日立化成社製)、スミマールM30W、M40S、M50W、50B(住友化学社製)、ユーバン228、20SE60、122(三井化学社製)などが挙げられる。
メラミン樹脂微粒子は真球に近い方が望ましく、具体的には、長径と短径の比で表される真球度が0.8〜1.2であることが望ましい。真球度がこの範囲にあると洗浄性能が高く、おそらく樹脂微粒子とノズル付着物との間の接触面積が小さいために強く擦過され、切削による除去効率が上昇するからであると考えられる。
本発明において洗浄液を調製する際、メラミン樹脂微粒子は水性媒体中に安定に分散したエマルジョン形態で添加される。メラミン樹脂微粒子を水性媒体中に安定に分散するには分散剤を用いる方法が簡便であるが、メラミンを縮合させてメラミン樹脂を合成する際に、電荷を有するモノマーを添加して共重合させ、自己分散可能な樹脂微粒子として使用することも可能である。
本発明において洗浄液を調製する際、メラミン樹脂微粒子は水性媒体中に安定に分散したエマルジョン形態で添加される。メラミン樹脂微粒子を水性媒体中に安定に分散するには分散剤を用いる方法が簡便であるが、メラミンを縮合させてメラミン樹脂を合成する際に、電荷を有するモノマーを添加して共重合させ、自己分散可能な樹脂微粒子として使用することも可能である。
<分散剤>
分散剤はメラミン樹脂微粒子を水性媒体中に安定に分散させるために添加する。
その添加量は、樹脂微粒子に対して5.0〜40.0質量%が好ましく、安定した分散の観点から10.0〜30.0質量%がより好ましい。5.0質量%未満では樹脂微粒子の分散安定性が劣り、樹脂微粒子が凝集しやすくなるし、40.0質量%を超えると泡立ち易くなるため、気泡による目詰まりが発生しやすくなる。
分散剤としては、メラミン樹脂微粒子を分散できるものであれば特に限定されないが、アニオン系界面活性剤やHLB値12〜20のノニオン系界面活性剤が好適であり、親水性基としてエチレンオキサイド鎖を含むものが分散安定性の面から特に望ましい。なお、HLBは、Hydrophile−Lipophile Balanceの略称であり、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。HLBを算出する方法としては、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法など種々の方法が知られており、その方法によって若干の差異を生じる。
本発明で示すノニオン系界面活性剤のHLB値は、下記式で示されるグリフィンの式によって算出されたものである。
HLB値=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)
分散剤はメラミン樹脂微粒子を水性媒体中に安定に分散させるために添加する。
その添加量は、樹脂微粒子に対して5.0〜40.0質量%が好ましく、安定した分散の観点から10.0〜30.0質量%がより好ましい。5.0質量%未満では樹脂微粒子の分散安定性が劣り、樹脂微粒子が凝集しやすくなるし、40.0質量%を超えると泡立ち易くなるため、気泡による目詰まりが発生しやすくなる。
分散剤としては、メラミン樹脂微粒子を分散できるものであれば特に限定されないが、アニオン系界面活性剤やHLB値12〜20のノニオン系界面活性剤が好適であり、親水性基としてエチレンオキサイド鎖を含むものが分散安定性の面から特に望ましい。なお、HLBは、Hydrophile−Lipophile Balanceの略称であり、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。HLBを算出する方法としては、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法など種々の方法が知られており、その方法によって若干の差異を生じる。
本発明で示すノニオン系界面活性剤のHLB値は、下記式で示されるグリフィンの式によって算出されたものである。
HLB値=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)
前記アニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えばNH4、Na等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、などが挙げられる。
前記HLB値12〜20のノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
前記HLB値12〜20のノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
これらの中でも下記一般式(1)で表される化合物が良好な分散安定性を示すため特に望ましい。
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリル基又はアラルキル基を表し、lは0〜7の整数、nは20〜200の整数を表す。)
また、本発明の洗浄液は、前記分散剤以外に、インクジェットヘッドへの充填性を容易にする目的で、必要に応じて他の界面活性剤を含んでも良い。
このような界面活性剤としては特に限定されず、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、樹脂微粒子の分散安定性と画像品質との関係から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン系の界面活性剤が望ましい。また、処方によってはフッ素系の界面活性剤やシリコーン系の界面活性剤を併用(又は単独使用)することも可能である。
更に、洗浄対象となるインクジェット記録装置で使用される顔料インクの界面活性剤と同じか類似構造を持つ界面活性剤を使用することが、洗浄液とインクが混和した際の顔料の凝集を防ぐ観点から望ましい。
このような界面活性剤としては特に限定されず、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、樹脂微粒子の分散安定性と画像品質との関係から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン系の界面活性剤が望ましい。また、処方によってはフッ素系の界面活性剤やシリコーン系の界面活性剤を併用(又は単独使用)することも可能である。
更に、洗浄対象となるインクジェット記録装置で使用される顔料インクの界面活性剤と同じか類似構造を持つ界面活性剤を使用することが、洗浄液とインクが混和した際の顔料の凝集を防ぐ観点から望ましい。
<水溶性有機溶剤>
水溶性有機溶剤は、洗浄液に保湿性を付与し吐出安定性を向上させるために含有させてもよい。
その含有量は、洗浄液全体の5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。含有量が5質量%未満では、保湿性が充分に確保できず、含有させる有機溶剤種、溶剤比率によらず吐出安定性が低下してしまう。また、50質量%を超えると、洗浄液の粘度が非常に高くなり、一般的なインクジェット記録装置での吐出がし難くなる。
水溶性有機溶剤は、洗浄液に保湿性を付与し吐出安定性を向上させるために含有させてもよい。
その含有量は、洗浄液全体の5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。含有量が5質量%未満では、保湿性が充分に確保できず、含有させる有機溶剤種、溶剤比率によらず吐出安定性が低下してしまう。また、50質量%を超えると、洗浄液の粘度が非常に高くなり、一般的なインクジェット記録装置での吐出がし難くなる。
水溶性有機溶剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定される訳ではない。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン等。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
前記の中でも、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンが水分蒸発による吐出不良を防止する上で効果が優れている。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン等。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
前記の中でも、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンが水分蒸発による吐出不良を防止する上で効果が優れている。
以下、本発明の洗浄液と組み合わせて用いるインクについて説明するが、これに限定されるものではない。
インクは、水分散性着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤などを含有する。また、必要に応じてその他の添加剤を含有する。
水分散性着色剤としては、耐候性の面から主に顔料が用いられるが、色調調整の目的で耐候性が劣化しない範囲で染料を含有しても構わない。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インクは、水分散性着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤などを含有する。また、必要に応じてその他の添加剤を含有する。
水分散性着色剤としては、耐候性の面から主に顔料が用いられるが、色調調整の目的で耐候性が劣化しない範囲で染料を含有しても構わない。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
上記顔料のうち、好ましく用いられる顔料の具体例としては、黒色用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、酸化チタン、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用として、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
また、カラー用として、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
着色剤が顔料である場合、本発明の洗浄液と組み合わせるインクに使用する顔料の特に好ましい形態としては、以下の第1〜第2形態が挙げられる。特に第1形態が好ましい。
(1)第1形態:ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の顔料を含有させたポリマーエマルジョン(顔料を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
(2)第2形態:表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下、「自己分散性顔料」と称することもある)を含有する。
(1)第1形態:ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の顔料を含有させたポリマーエマルジョン(顔料を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
(2)第2形態:表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下、「自己分散性顔料」と称することもある)を含有する。
第1形態の水分散性着色剤としては、上記顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で顔料がエマルジョン中に分散していてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(ポリマー微粒子におけるポリマー)としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを使用することができる。
第2形態の自己分散性顔料は、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接又は他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、顔料の表面に、特定の官能基(スルホン基、カルボキシル基等)を化学的に結合させるか、あるいは次亜ハロゲン酸及び又はその塩を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、顔料の表面にカルボキシル基が結合し水中に分散している形態が特に好ましい。このように顔料が表面改質され、カルボキシル基が結合していると、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られると共に、印字後の記録用媒体の耐水性が一層向上する。
また、自己分散性顔料を含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえる。
自己分散性顔料の50%体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
また、自己分散性顔料を含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえる。
自己分散性顔料の50%体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
自己分散性顔料としてはイオン性を有するものが好ましく、アニオン性親水基によりアニオン性に帯電したものが好適である。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合したものが好ましい。
また、前記「M」のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合したものが好ましい。
また、前記「M」のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記親水基は、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。これらの親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−C2H4COOM(ただし、Mは、アルカリ金属又は第4級アンモニウムを表す)、−PhSO3M(ただし、Phはフェニル基を表わし、Mは、アルカリ金属又は第4級アンモニウムを表す)等が挙げられる。
前記着色剤のインクにおける含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。含有量が2質量%未満であると、インクの発色性及び画像濃度が低くなってしまうことがあり、15質量%を超えると、インクが増粘して吐出性が悪くなってしまうことがあり好ましくない。
前記着色剤のインクにおける含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。含有量が2質量%未満であると、インクの発色性及び画像濃度が低くなってしまうことがあり、15質量%を超えると、インクが増粘して吐出性が悪くなってしまうことがあり好ましくない。
インクに用いられる水溶性有機溶剤としては、前記洗浄液に用いられる水溶性有機溶剤が好適である。インクにおける水分散性着色剤と水溶性有機溶剤の質量比は、ヘッドからのインク吐出安定性に影響を与える。例えば、水分散性着色剤の固形分が多いのに水溶性有機溶剤の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。
水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。含有量が20質量%未満では、吐出安定性が低下したりインクジェット記録装置の維持装置で廃インク固着したりする可能性がある。また、50質量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣り、更に普通紙上の文字品位が低下することがある。
水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。含有量が20質量%未満では、吐出安定性が低下したりインクジェット記録装置の維持装置で廃インク固着したりする可能性がある。また、50質量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣り、更に普通紙上の文字品位が低下することがある。
水溶性有機溶剤の具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、尿素、テトラメチル尿素などが挙げられる。
インクに用いられる界面活性剤としては、着色剤の種類や水溶性有機溶剤の組み合わせによって分散安定性が損なわれず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。これら界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記界面活性剤としては、前記洗浄液に用いられる界面活性剤が好適に用いられる。
界面活性剤のインクにおける含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無いことがあり、3.0質量%を超えると、記録用媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
上記界面活性剤としては、前記洗浄液に用いられる界面活性剤が好適に用いられる。
界面活性剤のインクにおける含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無いことがあり、3.0質量%を超えると、記録用媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
前記第2形態の場合は、水分散性樹脂を含むことが好ましい。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えており、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。水分散性樹脂の例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。また、水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えており、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。水分散性樹脂の例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。また、水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
前記フッ素系樹脂微粒子としては、フルオロオレフィン単位を有するものが好ましく、これらの中でも、フルオロオレフィン単位及びビニルエーテル単位から構成されるフッ素含有ビニルエーテル系樹脂微粒子が特に好ましい。
前記フルオロオレフィン単位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば−CF2CF2−、−CF2CF(CF3)−、−CF2CFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、次の構造式で表される基が挙げられる。
前記フルオロオレフィン単位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば−CF2CF2−、−CF2CF(CF3)−、−CF2CFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、次の構造式で表される基が挙げられる。
前記フルオロオレフィン単位及びビニルエーテル単位から構成されるフッ素含有ビニルエーテル系樹脂微粒子としては、上記フルオロオレフィン単位とビニルエーテル単位が交互に共重合してなる交互共重合体が好ましい。
このようなフッ素系樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製のフルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A;旭硝子社製のルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用してもコポリマーとして使用してもよく、単相構造型、コアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
このようなフッ素系樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製のフルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A;旭硝子社製のルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用してもコポリマーとして使用してもよく、単相構造型、コアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
水分散性樹脂としては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基を持つ樹脂により分散性を付与したもののいずれも使用できる。これらの中でも、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、及びpH調整剤などを添加した系で反応させることにより、容易に水分散性樹脂エマルジョンを得ることができ、樹脂構成を容易に替えることができるため目的の性質を作りやすい。
前記不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、単官能又は多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアノ化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることにより柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行なうことにより樹脂の特性を改質することもできる。
前記不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記単官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。
前記多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アミド単量体類としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
前記芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸とその塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、特に水分散性着色剤との混和性の点からpHは6〜11がより好ましく、pH7〜9が更に好ましい。
水分散性樹脂の50%体積平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インクに用いたときに過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の50%体積平均粒径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性が悪化する。そこで、インク吐出性を阻害させないために50%体積平均粒径(D50)は200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
水分散性樹脂の50%体積平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インクに用いたときに過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の50%体積平均粒径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性が悪化する。そこで、インク吐出性を阻害させないために50%体積平均粒径(D50)は200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
また、水分散性樹脂は、水分散性着色剤を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して着色剤の定着性を向上させることが好ましい。そのため水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。また、水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃未満になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−40℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
水分散性樹脂のインクにおける含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
ここで、インクの固形分含有量は、例えばインク中から水分散性着色剤と水分散性樹脂分のみを分離する方法により測定することができる。また水分散性着色剤として顔料を用いる場合には、熱質量分析により質量減少率を評価することにより顔料と水分散性樹脂の比率を測定できる。また、水分散性着色剤の分子構造が明らかな場合には、顔料や染料ではNMRを用いて着色剤の固形分量を定量することが可能であり、重金属原子、分子骨格に含まれる無機顔料、含金有機顔料、含金染料では蛍光X線分析を用いることにより着色剤の固形分量を定量することが可能である。
水分散性樹脂のインクにおける含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
ここで、インクの固形分含有量は、例えばインク中から水分散性着色剤と水分散性樹脂分のみを分離する方法により測定することができる。また水分散性着色剤として顔料を用いる場合には、熱質量分析により質量減少率を評価することにより顔料と水分散性樹脂の比率を測定できる。また、水分散性着色剤の分子構造が明らかな場合には、顔料や染料ではNMRを用いて着色剤の固形分量を定量することが可能であり、重金属原子、分子骨格に含まれる無機顔料、含金有機顔料、含金染料では蛍光X線分析を用いることにより着色剤の固形分量を定量することが可能である。
前記その他の添加剤としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。pHが7未満又は11を超えるとインクジェットヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
インクは、前記各材料を水性媒体中に分散又は溶解させ、適宜攪拌混合して製造することができる。攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機、通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができる。
インクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃でのインク粘度は5〜20mPa・sが好ましい。インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることにより、吐出性を確保することができる。粘度は、例えば粘度計(RE−550L、東機産業社製)を使用して25℃で測定することができる。
インクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃でのインク粘度は5〜20mPa・sが好ましい。インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることにより、吐出性を確保することができる。粘度は、例えば粘度計(RE−550L、東機産業社製)を使用して25℃で測定することができる。
また、インクの静的表面張力は、25℃で20〜35mN/mが好ましく、20〜30mN/mがより好ましい。静的表面張力が20〜35mN/mの範囲にあると、浸透性を高めることによるブリーディングの低減効果が高く、普通紙印字での乾燥性が良好となるし、前処理層に濡れ易いと言うことで、発色性が良くなり白ポチも改良される。しかし、静的表面張力が35mN/mを超えると、被記録材上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
インクの色は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行なうと多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行なうとフルカラー画像を形成することができる。
前記インクは、インクジェットヘッドとして、ピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、サーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのものを搭載するインクジェット記録装置にも良好に使用できる。
前記インクは、例えば、印字時又は印字前後に記録用媒体及び前記インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。
前記インクは、インクジェットヘッドとして、ピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、サーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのものを搭載するインクジェット記録装置にも良好に使用できる。
前記インクは、例えば、印字時又は印字前後に記録用媒体及び前記インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。
インクジェット記録装置の液体流路には一般にフィルターが付設される。フィルターを構成する材料としてはSUS316、SUS316Lなどが挙げられる。
本発明の洗浄液を用いてインクジェット記録装置及びフィルターを洗浄する際の方法は特に限定されず、洗浄液を液体流路内に供給し排出する工程を繰り返せば良い。例えば、インクジェット記録装置本体の供給、吸引機構を用いて、洗浄液の入ったカートリッジから洗浄液をインク流路内に供給、排出を繰り返す方法、外部から洗浄液の入った容器を加圧して洗浄液を供給する方法、ヘッド側から外部のポンプを用いて吸引する方法等が挙げられる。
本発明の洗浄液を用いてインクジェット記録装置及びフィルターを洗浄する際の方法は特に限定されず、洗浄液を液体流路内に供給し排出する工程を繰り返せば良い。例えば、インクジェット記録装置本体の供給、吸引機構を用いて、洗浄液の入ったカートリッジから洗浄液をインク流路内に供給、排出を繰り返す方法、外部から洗浄液の入った容器を加圧して洗浄液を供給する方法、ヘッド側から外部のポンプを用いて吸引する方法等が挙げられる。
本発明の洗浄液は、容器に収容してカートリッジとして用いることができる。容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成された袋などを有するものなどが好適に挙げられる。このような容器はインクカートリッジとして既に公知であるから、インクの代わりに洗浄液を収容して用いればよい。
上記カートリッジについて、図1を参照して説明する。ここで、図1は、洗浄液袋241をカートリッジケース244内に収容したカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、洗浄液注入口242から洗浄液を洗浄液袋241内に充填し、該洗浄液袋中に残った空気を排気した後、該洗浄液注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなる洗浄液排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。洗浄液袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、カートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
上記カートリッジについて、図1を参照して説明する。ここで、図1は、洗浄液袋241をカートリッジケース244内に収容したカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、洗浄液注入口242から洗浄液を洗浄液袋241内に充填し、該洗浄液袋中に残った空気を排気した後、該洗浄液注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなる洗浄液排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。洗浄液袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、カートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
以下、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」である。
<メラミン樹脂微粒子の製造>
50gの水にベッカミンMA−S(DIC社製、メラミン樹脂)15gを添加し攪拌しながら70℃にした。次いで、これを70℃の水450gに投入した後、98〜100%のギ酸を2mL添加し、70℃で更に20分間撹拌した。次いで、限外濾過(30kDaのメンブラン)により精製してメラミン樹脂微粒子Xを得た。この微粒子Xの50%体積平均粒径(D50)は90nmであった。
50gの水にベッカミンMA−S(DIC社製、メラミン樹脂)15gを添加し攪拌しながら70℃にした。次いで、これを70℃の水450gに投入した後、98〜100%のギ酸を2mL添加し、70℃で更に20分間撹拌した。次いで、限外濾過(30kDaのメンブラン)により精製してメラミン樹脂微粒子Xを得た。この微粒子Xの50%体積平均粒径(D50)は90nmであった。
<メラミン樹脂微粒子分散体の調製>
(1)メラミン樹脂微粒子分散体A
下記処方の材料をプレミックスした後、ビーズミル分散機(寿工業社製UAM−015)により、直径0.03mmのジルコニアビーズを用いて、周速10m/s、液温30℃で15分間分散し、次いで遠心分離機(久保山商事社製、Model−3600)で粗大粒子を分離して、メラミン樹脂微粒子分散体Aを得た。
・メラミン樹脂微粒子X・・・200部
・分散剤:ポリオキシエチレン(n=40)−β−ナフチルエーテル・・・50部
・高純水・・・750部
(1)メラミン樹脂微粒子分散体A
下記処方の材料をプレミックスした後、ビーズミル分散機(寿工業社製UAM−015)により、直径0.03mmのジルコニアビーズを用いて、周速10m/s、液温30℃で15分間分散し、次いで遠心分離機(久保山商事社製、Model−3600)で粗大粒子を分離して、メラミン樹脂微粒子分散体Aを得た。
・メラミン樹脂微粒子X・・・200部
・分散剤:ポリオキシエチレン(n=40)−β−ナフチルエーテル・・・50部
・高純水・・・750部
(2)メラミン樹脂微粒子分散体B
前記(1)における分散剤をソルビタンモノステアレートに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子Bを得た。
前記(1)における分散剤をソルビタンモノステアレートに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子Bを得た。
(3)メラミン樹脂微粒子分散体C
前記(1)におけるメラミン樹脂微粒子Xを、エポスターS〔日本触媒社製:50%体積平均粒径(D50)=210nm〕に変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Cを得た。
前記(1)におけるメラミン樹脂微粒子Xを、エポスターS〔日本触媒社製:50%体積平均粒径(D50)=210nm〕に変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Cを得た。
(4)メラミン樹脂微粒子分散体D
50gの水にメラン622〔日立化成社製、メラミン樹脂:50%体積平均粒径(D50)=130nm〕15gを添加し、攪拌しながら70℃にした。次いで、これを70℃の水450gに投入した後、メタクリル酸メチルエステル30gを加えてよく攪拌した。次いで、98〜100%のギ酸を2mL添加し、70℃で更に20分間撹拌した。次いで、限外濾過(30kDaのメンブラン)により精製したのち、固形分濃度が20質量%となるように再度高純水に投入して、メラミン樹脂微粒子分散体Dを得た。
50gの水にメラン622〔日立化成社製、メラミン樹脂:50%体積平均粒径(D50)=130nm〕15gを添加し、攪拌しながら70℃にした。次いで、これを70℃の水450gに投入した後、メタクリル酸メチルエステル30gを加えてよく攪拌した。次いで、98〜100%のギ酸を2mL添加し、70℃で更に20分間撹拌した。次いで、限外濾過(30kDaのメンブラン)により精製したのち、固形分濃度が20質量%となるように再度高純水に投入して、メラミン樹脂微粒子分散体Dを得た。
(5)メラミン樹脂微粒子分散体E
前記(1)における分散剤を、ポリオキシエチレン(n=60)−α−ナフチルエーテルに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Eを得た。
前記(1)における分散剤を、ポリオキシエチレン(n=60)−α−ナフチルエーテルに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Eを得た。
(6)メラミン樹脂微粒子分散体F
前記(1)における分散剤を、ポリオキシエチレン(n=40)−6−(1,3,5−トリフェニルペンチル)−2−ナフチルエーテルに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Fを得た。
前記(1)における分散剤を、ポリオキシエチレン(n=40)−6−(1,3,5−トリフェニルペンチル)−2−ナフチルエーテルに変えた点以外は、(1)と同様にして、メラミン樹脂微粒子分散体Fを得た。
実施例1〜8、比較例1〜5
<洗浄液の調製>
表1、表2の実施例及び比較例の各欄に示した水溶性有機溶剤に、竹本油脂社製界面活性剤D−1007を1部加えた混合物に対して、同じ表中に示した樹脂微粒子分散体(表中の数値は固形分としての部数)を加え、全体で100部となるように高純水を添加して30分間攪拌した後、0.8μmのセルロースアセテートフィルターで濾過して実施例及び比較例の各洗浄液を調製した。
なお、表1、表2中の材料の詳細は次のとおりである。
・ポリウレタン樹脂微粒子分散体:タケラックW−5025(三井武田ケミカル社製)
・アクリル樹脂微粒子分散体:ボンコートR−3380−E(DIC社製)
・ポリエステル樹脂微粒子分散体:ペスレジンA210(高松油脂社製)
<洗浄液の調製>
表1、表2の実施例及び比較例の各欄に示した水溶性有機溶剤に、竹本油脂社製界面活性剤D−1007を1部加えた混合物に対して、同じ表中に示した樹脂微粒子分散体(表中の数値は固形分としての部数)を加え、全体で100部となるように高純水を添加して30分間攪拌した後、0.8μmのセルロースアセテートフィルターで濾過して実施例及び比較例の各洗浄液を調製した。
なお、表1、表2中の材料の詳細は次のとおりである。
・ポリウレタン樹脂微粒子分散体:タケラックW−5025(三井武田ケミカル社製)
・アクリル樹脂微粒子分散体:ボンコートR−3380−E(DIC社製)
・ポリエステル樹脂微粒子分散体:ペスレジンA210(高松油脂社製)
<顔料インクの調製>
以下のようにして、評価用の各顔料インクを調製した。
(a)評価用ブラックインク
・顔料:カーボンブラック(NIPEX150−IQ、degussa社製、
ガスブラック)・・・200部
・分散剤:ポリオキシエチレン(n=40)−β−ナフチルエーテル・・・50部
・高純水・・・750部
上記処方の材料をプレミックスした後、ビーズミル分散機(寿工業社製UAM−015)により、直径0.03mmのジルコニアビーズを用いて周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保山商事社製、Model−3600)で粗大粒子を遠心分離して、ブラック顔料分散体を得た。
次いで、1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、竹本油脂社製界面活性剤D−1007を1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。この混合液に対し、DIC社製ボンコートR−3380−E(アクリル樹脂エマルジョン)を固形分として総量の3質量%となるように添加し、30分攪拌した後、前記ブラック顔料分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加して1時間撹拌した。その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過して粗大粒子を除去し、評価用ブラックインクを得た。
以下のようにして、評価用の各顔料インクを調製した。
(a)評価用ブラックインク
・顔料:カーボンブラック(NIPEX150−IQ、degussa社製、
ガスブラック)・・・200部
・分散剤:ポリオキシエチレン(n=40)−β−ナフチルエーテル・・・50部
・高純水・・・750部
上記処方の材料をプレミックスした後、ビーズミル分散機(寿工業社製UAM−015)により、直径0.03mmのジルコニアビーズを用いて周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保山商事社製、Model−3600)で粗大粒子を遠心分離して、ブラック顔料分散体を得た。
次いで、1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、竹本油脂社製界面活性剤D−1007を1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。この混合液に対し、DIC社製ボンコートR−3380−E(アクリル樹脂エマルジョン)を固形分として総量の3質量%となるように添加し、30分攪拌した後、前記ブラック顔料分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加して1時間撹拌した。その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過して粗大粒子を除去し、評価用ブラックインクを得た。
(b)評価用シアンインク
前記(a)における顔料をピグメントブルー15:3に変えた点以外は、(a)と同様にして評価用シアンインクを得た。
前記(a)における顔料をピグメントブルー15:3に変えた点以外は、(a)と同様にして評価用シアンインクを得た。
(c)評価用マゼンタインク
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、メルカプトエタノール0.4g及びメチルエチルケトン40.0gを混合し、65℃に昇温した。
次いで、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342.0gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更に、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、メルカプトエタノール0.4g及びメチルエチルケトン40.0gを混合し、65℃に昇温した。
次いで、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342.0gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
更に、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
−マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
前記ポリマー溶液17.5g、C.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13.0g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
前記ポリマー溶液17.5g、C.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13.0g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料を15質量%含有する、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−マゼンタ顔料インクの調製−
まず、3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont社製Zonyl FSO−100、0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。
次いで、この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加し、1時間撹拌した。
その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去してマゼンタ顔料インクを得た。
まず、3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont社製Zonyl FSO−100、0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し、1時間攪拌して均一に混合した。
次いで、この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように水を添加し、1時間撹拌した。
その後、0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去してマゼンタ顔料インクを得た。
(d)評価用イエローインク
前記(c)における顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は(c)と同様にして評価用イエローインクを得た。
前記(c)における顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は(c)と同様にして評価用イエローインクを得た。
上記洗浄液及び評価用インクを用い、以下のようにして、各洗浄液の特性を評価した。結果を表1、表2に示す。
<インク混合性評価>
各洗浄液97質量%とインク3質量%の混合液を、評価用ブラックインク、評価用マゼンタインクを用いて作成し、65℃で50時間放置した後、放置前後の粘度変化率を算出し、以下の基準で評価した。○までが許容範囲である。
[評価基準]
◎:5%未満
○:5%以上10%未満
△:10%以上15%未満
×:15%以上
各洗浄液97質量%とインク3質量%の混合液を、評価用ブラックインク、評価用マゼンタインクを用いて作成し、65℃で50時間放置した後、放置前後の粘度変化率を算出し、以下の基準で評価した。○までが許容範囲である。
[評価基準]
◎:5%未満
○:5%以上10%未満
△:10%以上15%未満
×:15%以上
<フィルター通液回復性評価>
金属製のバット2つをフィルターユニットで接続し、インクを注いで水頭差150mmとなるようにした。
25℃の環境下で、水頭圧150mmaqを維持しながら、10kgのインクを流し、流出時間を測定して流体抵抗を算出した。
次いで、洗浄液50gを通液させた後、改めて新しいインクを100g通液し、そのときの流体抵抗を同様に算出した。
各洗浄液に対して評価用ブラックインクと評価用マゼンタインクを使用し、洗浄前に対する洗浄後のフィルター流体抵抗の回復の程度を以下の基準で評価した。○までが許容範囲である。
[評価基準]
◎:80%以上回復
○:60%以上80%未満回復
△:40%以上60%未満回復
×:40%未満回復
金属製のバット2つをフィルターユニットで接続し、インクを注いで水頭差150mmとなるようにした。
25℃の環境下で、水頭圧150mmaqを維持しながら、10kgのインクを流し、流出時間を測定して流体抵抗を算出した。
次いで、洗浄液50gを通液させた後、改めて新しいインクを100g通液し、そのときの流体抵抗を同様に算出した。
各洗浄液に対して評価用ブラックインクと評価用マゼンタインクを使用し、洗浄前に対する洗浄後のフィルター流体抵抗の回復の程度を以下の基準で評価した。○までが許容範囲である。
[評価基準]
◎:80%以上回復
○:60%以上80%未満回復
△:40%以上60%未満回復
×:40%未満回復
<インクジェットプリンターを用いた回復性評価>
洗浄液を入れたカートリッジを着脱自在に装着できる、フィルター付きインクジェットプリンター(IPSIO GX3000、リコー社製)を用い、マイペーパー(リコー社製)上に印字を行った。印刷パターンは、紙面全面積中、各色印字面積が5%のチャートとし、評価用シアンインク、評価用イエローインクを各100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度360dpi、ワンパス印字で1000枚印字した。
その後、洗浄液を入れたカートリッジから洗浄液を流して、インクジェットプリンターの液体流路及びフィルターを洗浄した後、改めて評価用シアンインク及び評価用イエローインクを再充填し、初期充填動作を実施した。
次いで、ノズルチェックパターンを印字し、吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)がなくなるまでの、ヘッドリフレッシング動作の回数により、以下の基準で回復性を評価した。
[評価基準]
◎:ヘッドリフレッシングなし
○:ヘッドリフレッシング1回以上2回以下
△:ヘッドリフレッシング3回以上4回以下
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、又は回復不能
洗浄液を入れたカートリッジを着脱自在に装着できる、フィルター付きインクジェットプリンター(IPSIO GX3000、リコー社製)を用い、マイペーパー(リコー社製)上に印字を行った。印刷パターンは、紙面全面積中、各色印字面積が5%のチャートとし、評価用シアンインク、評価用イエローインクを各100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度360dpi、ワンパス印字で1000枚印字した。
その後、洗浄液を入れたカートリッジから洗浄液を流して、インクジェットプリンターの液体流路及びフィルターを洗浄した後、改めて評価用シアンインク及び評価用イエローインクを再充填し、初期充填動作を実施した。
次いで、ノズルチェックパターンを印字し、吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)がなくなるまでの、ヘッドリフレッシング動作の回数により、以下の基準で回復性を評価した。
[評価基準]
◎:ヘッドリフレッシングなし
○:ヘッドリフレッシング1回以上2回以下
△:ヘッドリフレッシング3回以上4回以下
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、又は回復不能
上記表1の結果から分かるように、メラミン樹脂微粒子分散体の種類に関わらず、全ての項目で基準を満たす性能が得られた。
また、実施例5のように、複数のメラミン樹脂微粒子分散体を混合して用いてもよく、実施例6のように、メラミン樹脂微粒子分散体とメラミン樹脂以外の樹脂微粒子分散体を併用しても構わない。
実施例1や3で使用したメラミン樹脂微粒子分散体A、Cと、評価用ブラックインクや評価用シアンインクは同じ分散剤によって分散されたものであり、この組み合わせの場合、混合性や洗浄性において特に優れた性能が得られることも分かった。
一方、上記表2の結果から分かるように、比較例1〜3はメラミン樹脂以外の樹脂微粒子分散体を使用した例であるが、全て洗浄性が劣り、比較例2、3では保存安定性も悪かった。
また、比較例4は樹脂微粒子を含まない例であり、凝集を起こし得るものが存在しないため、インクとの混合性に優れるが、洗浄性能も殆ど見られなかった。
また、比較例5はメラミン樹脂微粒子を含むが、水溶性有機溶剤を含まない例であり、水分が蒸発しやすくなってしまうため、保存安定性が低下する傾向にあった。
また、実施例5のように、複数のメラミン樹脂微粒子分散体を混合して用いてもよく、実施例6のように、メラミン樹脂微粒子分散体とメラミン樹脂以外の樹脂微粒子分散体を併用しても構わない。
実施例1や3で使用したメラミン樹脂微粒子分散体A、Cと、評価用ブラックインクや評価用シアンインクは同じ分散剤によって分散されたものであり、この組み合わせの場合、混合性や洗浄性において特に優れた性能が得られることも分かった。
一方、上記表2の結果から分かるように、比較例1〜3はメラミン樹脂以外の樹脂微粒子分散体を使用した例であるが、全て洗浄性が劣り、比較例2、3では保存安定性も悪かった。
また、比較例4は樹脂微粒子を含まない例であり、凝集を起こし得るものが存在しないため、インクとの混合性に優れるが、洗浄性能も殆ど見られなかった。
また、比較例5はメラミン樹脂微粒子を含むが、水溶性有機溶剤を含まない例であり、水分が蒸発しやすくなってしまうため、保存安定性が低下する傾向にあった。
200 カートリッジ
241 洗浄液袋
242 洗浄液注入口
243 洗浄液排出口
244 カートリッジケース
241 洗浄液袋
242 洗浄液注入口
243 洗浄液排出口
244 カートリッジケース
Claims (6)
- 少なくとも水、水溶性有機溶剤、及びメラミン樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液。
- 更にメラミン樹脂微粒子を分散させるための分散剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液を容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄液を用いてインクジェット記録装置内の少なくとも一部を洗浄することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
- 前記インクジェット記録装置がその液体流路中にフィルターを付設した装置であることを特徴とする請求項5に記載の洗浄方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012025000A JP2013159752A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | インクジェット記録装置用洗浄液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012025000A JP2013159752A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | インクジェット記録装置用洗浄液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013159752A true JP2013159752A (ja) | 2013-08-19 |
Family
ID=49172280
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012025000A Pending JP2013159752A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | インクジェット記録装置用洗浄液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013159752A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015096581A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | インクジェット用洗浄液 |
US9718978B2 (en) | 2015-03-10 | 2017-08-01 | Seiko Epson Corporation | Ink set |
-
2012
- 2012-02-08 JP JP2012025000A patent/JP2013159752A/ja active Pending
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JP2015096581A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | インクジェット用洗浄液 |
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