前記液晶表示装置では、前記液晶表示パネルを薄型化するために、前記TFT基板や対向基板に用いられるガラス基板を研磨して薄くしていくと、それにともない、ガラス基板の強度が低下し、液晶表示パネルの強度が低下する。そのため、ガラス基板を研磨して薄型化する方法では、薄型化と十分な強度の確保を両立させることが難しいという問題があった。
また、ガラス基板の代わりにプラスチック基板を用いる方法では、プラスチック基板の耐熱性や耐溶剤性(耐薬品性)が、ガラス基板に比べて弱いので、たとえば、ガラス基板上にTFT素子などを形成する工程における取り扱いが困難であるという問題がある。また、たとえば、ガラス基板を用いたTFT基板とプラスチック基板を用いた対向基板を用いた液晶表示パネルの場合、温度や湿度などの環境変化による各基板の変形量が異なるので、表示むらが発生しやすいという問題があった。
本発明の目的は、たとえば、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立させることが可能な技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、たとえば、液晶表示装置(モジュール)を有する携帯型電子装置の薄型化が可能な技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
(1)第1の基板と、前記第1の基板に対向して、前記第1の基板よりも観察者側に配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶と、前記第2の基板よりも観察者側に配置された上偏光板と、前記上偏光板よりも観察者側に配置され、前記上偏光板に密着して貼り付けられた、前記上偏光板よりも表面硬度が高い樹脂フィルムとを有する液晶表示パネルを備える液晶表示装置である。
(2)前記(1)において、前記樹脂フィルムの表面硬度は、表面鉛筆硬度が3H以上である液晶表示装置である。
(3)前記(1)または(2)において、前記樹脂フィルムは、厚さが0.2mm以上である液晶表示装置である。
(4)前記(1)または(2)において、前記樹脂フィルムは、厚さが0.2mm以上、1mm以下である液晶表示装置である。
(5)前記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムの材質は、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂である液晶表示装置である。
(6)前記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記第1の基板の厚さは、0.5mm以下である液晶表示装置である。
(7)前記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記第2の基板の厚さは、0.5mm以下である液晶表示装置である。
(8)前記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さがほぼ等しい液晶表示装置である。
(9)前記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が薄い液晶表示装置である。
(10)前記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が厚い液晶表示装置である。
(11)前記(1)から(10)のいずれかにおいて、前記液晶表示パネルの総厚が、2mm以下である液晶表示装置である。
(12)前記(1)から(11)のいずれかにおいて、前記上偏光板と前記第2の基板との間に上位相差板を有する液晶表示装置である。
(13)前記(1)から(12)のいずれかにおいて、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記樹脂フィルムの外形は、前記上偏光板の外形よりも小さい液晶表示装置である。
(14)前記(1)から(12)のいずれかにおいて、前記液晶表示パネルは、前記第1の基板よりも背面側に配置された下偏光板を有し、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記樹脂フィルムの外形と前記上偏光板の外形は、前記下偏光板の外形よりも小さい液晶表示装置である。
(15)前記(14)において、前記下偏光板と前記第1の基板との間に下位相差板を有する液晶表示装置である。
(16)前記(1)から(15)のいずれかにおいて、前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板である液晶表示装置である。
(17)第1の基板と、前記第1の基板に対向して、前記第1の基板よりも観察者側に配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶と、前記第2の基板よりも観察者側に配置された上偏光板と、前記上偏光板と前記第2の基板との間に配置された樹脂フィルムとを有する液晶表示パネルを備え、前記樹脂フィルムは、厚さが0.2mm以上であり、前記上偏光板の表面硬度は、表面鉛筆硬度が3H以上である液晶表示装置である。
(18)前記(17)において、前記樹脂フィルムは、厚さが1mm以下である液晶表示装置である。
(19)前記(17)または(18)において、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さがほぼ等しい液晶表示装置である。
(20)前記(17)または(18)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が薄い液晶表示装置である。
(21)前記(17)または(18)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が厚い液晶表示装置である。
(22)前記(17)から(21)のいずれかにおいて、前記上偏光板と前記第2の基板との間に上位相差板を有する液晶表示装置である。
(23)前記(17)から(22)のいずれかにおいて、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記上偏光板の外形は、前記樹脂フィルムの外形よりも小さい液晶表示装置である。
(24)前記(17)から(23)のいずれかにおいて、前記液晶表示パネルは、前記第1の基板よりも背面側に配置された下偏光板を有し、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記上偏光板の外形は、前記下偏光板の外形よりも小さい液晶表示装置である。
(25)前記(24)において、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記樹脂フィルムの外形は、前記下偏光板の外形よりも小さい液晶表示装置である。
(26)前記(24)において、前記液晶表示パネルを正面から見た場合、前記樹脂フィルムの外形は、前記下偏光板の外形よりも大きい液晶表示装置である。
(27)前記(24)から(26)のいずれかにおいて、前記下偏光板と前記第1の基板との間に下位相差板を有する液晶表示装置である。
(28)前記(17)から(27)のいずれかにおいて、前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板である液晶表示装置である。
(29)第1の基板と、前記第1の基板に対向して、前記第1の基板よりも観察者側に配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶と、前記第2の基板よりも観察者側に配置された上偏光板と、前記第1の基板よりも背面側に配置された下偏光板と、前記下偏光板よりも背面側に配置され、前記下偏光板に密着して貼り付けられた樹脂フィルムとを有する液晶表示パネルを備え、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さの合計が、0.5mm以下である液晶表示装置である。
(30)前記(29)において、前記樹脂フィルムは、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下である液晶表示装置である。
(31)前記(29)または(30)において、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さがほぼ等しい液晶表示装置である。
(32)前記(29)または(30)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が薄い液晶表示装置である。
(33)前記(29)または(30)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が厚い液晶表示装置である。
(34)前記(29)から(33)のいずれかにおいて、前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板である液晶表示装置である。
(35)第1の基板と、前記第1の基板に対向して、前記第1の基板よりも観察者側に配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶と、前記第2の基板よりも観察者側に配置された上偏光板と、前記第1の基板よりも背面側に配置された下偏光板と、前記下偏光板と前記第1の基板との間に配置された樹脂フィルムとを有する液晶表示パネルを備え、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さの合計が、0.5mm以下である液晶表示装置である。
(36)前記(35)において、前記樹脂フィルムは、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下である液晶表示装置である。
(37)前記(35)または(36)において、前記第1の基板と前記第2の基板の厚さがほぼ等しい液晶表示装置である。
(38)前記(35)または(36)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が薄い液晶表示装置である。
(39)前記(35)または(36)において、前記第1の基板の厚さよりも前記第2の基板の厚さの方が厚い液晶表示装置である。
(40)前記(35)から(39)のいずれかにおいて、前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板である液晶表示装置である。
(41)第1の基板と、前記第1の基板に対向して、前記第1の基板よりも観察者側に配置される第2の基板と、前記第2の基板よりも観察者側に配置された上偏光板とを有する表示パネルを備えた表示装置であって、前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板であり、前記上偏光板よりも観察者側に配置され、前記上偏光板に密着して貼り付けられた樹脂フィルムを有し、前記樹脂フィルムの表面硬度は、表面鉛筆硬度が3H以上である表示装置である。
本発明の液晶表示装置のうち、第1の発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルの上偏光板に樹脂フィルムが密着して貼り付けられており、かつ、この樹脂フィルムは、表面硬度が上偏光板の表面硬度よりも高い。このような樹脂フィルムを有する液晶表示パネルでは、前記樹脂フィルムが補強部材としての機能を持ち、液晶表示パネルの強度が高くなる。そのため、第1の基板または第2の基板、あるいは両方の基板を薄型化しても、液晶表示パネルに十分な強度を確保することができる。また、樹脂フィルムの表面鉛筆硬度を3H以上にすることで、液晶表示パネルに傷が付きにくくなる。そのため、たとえば、この液晶表示パネルを有する液晶表示装置(モジュール)を携帯電話端末に組み込んだときに、携帯電話端末の外表面に液晶表示パネルを保護する保護カバーを取り付けなくてもよくなる。その結果、携帯電話端末の表示部を薄型化することができる。
このとき、前記樹脂フィルムは、たとえば、厚さが0.2mm以上、1mm以下であることが好ましい。また、前記樹脂フィルムは、光の透過率が高い材質、特に無色透明の材質であることが好ましい。そのような材質としては、たとえば、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂が挙げられる。なお、前記樹脂フィルムにアクリル樹脂またはエポキシ樹脂を用いる場合、たとえば、表面にハードコート処理を施して、表面鉛筆硬度が3H以上になるようにする。この表面鉛筆硬度とは、材料の表面に鉛筆で線を引いたときに材料表面に傷が付く硬さで表される硬度である。つまり、表面鉛筆硬度が3Hであるということは、3Hおよび3Hより軟らかい芯の鉛筆で樹脂フィルムに線を引いたときには表面に傷が付かないことを意味する。
また、前記第1の基板および第2の基板の厚さは、それぞれ0.5mm以下であることが好ましい。このとき、第1の基板の厚さと第2の基板の厚さは、ほぼ等しくてもよいし、異なっていてもよい。特に、前記樹脂フィルムを貼り付けている第2の基板は、樹脂フィルムにより補強されているので、第1の基板より薄くても十分な強度を確保できる。ただし、液晶表示パネルが、たとえば、IPS(In Plane Switching)と呼ばれる横電界駆動方式の場合、第2の基板の上偏光板5が貼り付けられる面には、帯電防止用の導体膜が設けられていることがある。そのような場合、たとえば、第2の基板を研磨して薄型化することができない。そのため、第2の基板に前記導体膜が設けられている場合は、第1の基板を第2の基板より薄くすることで、液晶表示パネルを薄型化する。このとき、樹脂フィルムの厚さ、第1の基板の厚さ、および第2の基板の厚さは、たとえば、液晶表示パネルの厚さが2mm以下になるようにすることが好ましい。
また、このような液晶表示パネルでは、たとえば、液晶表示パネルを正面から見たときに、前記樹脂フィルムの外形が、前記上偏光板の外形よりも小さくなっていることが好ましい。前記液晶表示パネルを有する液晶表示装置を、たとえば、携帯電話端末に組み込んだ場合、通常、携帯電話端末の外装と液晶表示パネルの間に若干の隙間ができる。そして、その隙間を通って、端末外部から外装内部に水分が進入する。そのため、樹脂フィルムの外形を上偏光板の外形よりも小さくすることで、たとえば、樹脂フィルムの外周と上偏光板の外周の間で、上偏光板と携帯電話端末の外装を粘着剤などで貼り合わせて隙間を埋めることができ、外装内部への水分の進入を防ぐことができる。
また、このような液晶表示パネルでは、たとえば、第1の基板の背面側に下偏光板が配置されていてもよい。この場合、たとえば、液晶表示パネルを正面から見たときに、前記樹脂フィルムの外形および前記上偏光板の外形が、前記下偏光板の外形よりも小さくなっていることが好ましい。
また、このような液晶表示パネルでは、たとえば、前記上偏光板と第2の基板の間に、上位相差板が配置されていてもよい。同様に、前記下偏光板と第1の基板の間に、下位相差板が配置されていてもよい。
なお、このような液晶表示パネルにおいて、第1の基板および第2の基板は、ともにガラス基板であることが好ましい。前記第1の基板および第2の基板にガラス基板を用いた場合でも、前記樹脂フィルムによって十分な強度を確保できるので、各ガラス基板を薄型化することができる。そのため、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、本発明の液晶表示装置のうち、第2の発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルの前記第2の基板と上偏光板の間に前記樹脂フィルムが配置されている。この場合も、樹脂フィルムの厚さは、たとえば、0.2mm以上、1mm以下であることが好ましい。なお、このような液晶表示パネルでは、観察者から見て最も手前に配置されるのは上偏光板であるため、前記樹脂フィルムは、表面鉛筆硬度が3H以上でなくてもよい。その代わり、第2の発明の液晶表示装置では、たとえば、上偏光板の表面にハードコート処理を施して、表面鉛筆硬度が3H以上になるようにすることが好ましい。このようにすれば、第1の発明の液晶表示装置(液晶表示パネル)と同じ効果が得られる。
また、第2の発明の液晶表示装置においても、第1の基板と第2の基板の厚さは、ほぼ等しくてもよいし、どちらか一方を薄くしてもよい。
また、第2の発明の液晶表示装置においても、たとえば、液晶表示パネルを正面から見たときに、前記樹脂フィルムの外形が、前記上偏光板の外形よりも小さくなっていることが好ましい。
また、第2の発明の液晶表示装置においても、たとえば、第1の基板の背面側に下偏光板が配置されていてもよい。この場合、たとえば、液晶表示パネルを正面から見たときに、前記樹脂フィルムの外形および前記上偏光板の外形が、前記下偏光板の外形よりも小さくなっていることが好ましい。
また、第2の発明の液晶表示装置においても、たとえば、前記上偏光板と第2の基板の間に、上位相差板が配置されていてもよい。同様に、前記下偏光板と第1の基板の間に、下位相差板が配置されていてもよい。なお、前記上位相差板は、第2の基板と樹脂フィルムの間に配置されていてもよいし、樹脂フィルムと上偏光板の間に配置されていてもよい。
なお、第2の発明の液晶表示装置においても、第1の基板および第2の基板は、ともにガラス基板であることが好ましい。前記第1の基板および第2の基板にガラス基板を用いた場合でも、前記樹脂フィルムによって十分な強度を確保できるので、各ガラス基板を薄型化することができる。そのため、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、本発明の液晶表示装置のうち、第3の発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルの下偏光板の背面側に樹脂フィルムが密着して貼り付けられており、かつ、第1の基板と第2の基板の厚さの合計が0.5mm以下である。このような液晶表示パネルでは、前記樹脂フィルムの厚さは、たとえば、0.1mm以上、0.3mm以下にすることが好ましい。このようにすれば、たとえば、液晶表示パネルに、上偏光板側から押圧が加わったときに、その力を表示パネルの背面側に貼り付けられた樹脂フィルムで支えることができる。そのため、第1の基板および第2の基板を薄型化しても、液晶表示パネルの強度を十分に確保できる。
また、第3の発明の液晶表示装置においても、第1の基板と第2の基板の厚さは、ほぼ等しくてもよいし、どちらか一方を薄くしてもよい。
なお、第3の発明の液晶表示装置においても、第1の基板および第2の基板は、ともにガラス基板であることが好ましい。前記第1の基板および第2の基板にガラス基板を用いた場合でも、前記樹脂フィルムによって十分な強度を確保できるので、各ガラス基板を薄型化することができる。そのため、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、本発明の液晶表示装置のうち、第4の発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルの前記第1の基板と下偏光板の間に前記樹脂フィルムが配置されており、、かつ、第1の基板と第2の基板の厚さの合計が0.5mm以下である。この場合も、樹脂フィルムの厚さは、たとえば、0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましい。このようにすることで、第3の発明の液晶表示装置と同様の効果が得られる。
また、第4の発明の液晶表示装置においても、第1の基板と第2の基板の厚さは、ほぼ等しくてもよいし、どちらか一方を薄くしてもよい。
なお、第4の発明の液晶表示装置においても、第1の基板および第2の基板は、ともにガラス基板であることが好ましい。前記第1の基板および第2の基板にガラス基板を用いた場合でも、前記樹脂フィルムによって十分な強度を確保できるので、各ガラス基板を薄型化することができる。そのため、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、第3の発明および第4の発明の液晶表示装置を、たとえば、携帯電話端末に組み込む場合は、従来の液晶表示装置のように、携帯電話端末の外装に、液晶表示パネルを保護する保護カバーを貼り付けることが好ましい。ただし、第3の発明および第4の発明の液晶表示装置の場合、第1の基板と第2の基板の厚さの合計が0.5mm以下であり、かつ、樹脂フィルムの厚さが0.1mm以上、0.3mm以下である。つまり、第3の発明および第4の発明の液晶表示装置では、液晶表示パネルの厚さが、従来の液晶表示パネルの厚さに比べて薄くなっている分、液晶表示装置を薄型化できる。その結果、液晶表示パネルを保護する保護カバーを貼り付けても、携帯電話端末の表示部を、従来のものに比べて薄型化できる。
また、第1の発明は液晶表示装置に関する発明であるが、液晶表示装置で用いられる液晶表示パネルと類似した構成の表示パネルを有する表示装置であれば、第1の発明と同じ構成を適用することができる。つまり、第1の基板と第2の基板の間に液晶材料が挟持されていない表示パネルでも、たとえば、第2の基板よりも観察者側に上偏光板を有する場合に、上偏光板に前記樹脂フィルムを貼り付けて密着させることで、表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。またこのとき、樹脂フィルムの表面鉛筆硬度が3H以上であれば、第1の発明の液晶表示装置と同様に、たとえば、携帯電話端末に組み込んだときに、液晶表示パネルを保護する保護カバーを貼り付けなくてもよくなり、携帯電話端末の表示部を薄型化できる。なお、液晶表示パネルと類似した構成であり、かつ、液晶材料を用いていない表示パネルには、たとえば、有機ELを用いた自発光型の表示パネルがある。
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明による実施例1の液晶表示パネルの概略構成を示す模式平面図である。図2は、図1のA−A’線断面図である。図3は、実施例1の液晶表示パネルの作用効果を説明するための模式断面図である。なお、図3には、作用効果を説明するために(a),(b)の2つの断面図を例示している。また、図3に示した(a),(b)の2つの断面図は、ともに図1のA−A’線での断面構成に相当する図である。
実施例1では、本発明が適用される表示装置の一例として透過型の液晶表示装置を挙げ、前記透過型の液晶表示装置で用いられる液晶表示パネルの構成および作用効果について説明する。
実施例1の液晶表示パネルは、図1に示すように、TFT基板1と、対向基板2と、TFT基板1と対向基板2の間に挟持された液晶材料3と、液晶材料3を挟持しているTFT基板1および対向基板2を挟むように配置された一対の偏光板4,5と、対向基板2側に配置された偏光板5と密着して貼り付けられた樹脂フィルム6とを有する。
また、TFT基板1と対向基板2は、環状のシール材7によって接着されており、液晶材料3は、TFT基板1、対向基板2、およびシール材7で囲まれた空間内に封入されて挟持されている。
なお、このような液晶表示パネルを有する表示装置では、TFT基板1を基準にすると、観察者から見たときに、TFT基板1よりも観察者側に対向基板2が配置されているのが一般的である。つまり、実施例1の液晶表示パネルを観察者が見たときには、手前から樹脂フィルム6、偏光板5、対向基板2、液晶材料3、TFT基板1、偏光板4の順に配置されている。そこで、以下の説明では、観察者から見て対向基板2よりも手前(前方)に配置されている偏光板5を上偏光板と呼び、TFT基板1の背面(後方)に配置されている偏光板4を下偏光板と呼ぶ。
TFT基板1は、ガラス基板101と多層薄膜層102とを有する。詳細な説明は省略するが、多層薄膜層102は、複数の絶縁層、導電層、および半導体層などが積層しており、たとえば、走査信号線(ゲート信号線とも呼ばれる)、映像信号線(ドレイン信号線とも呼ばれる)、TFT素子、および画素電極などが形成されている。
対向基板2は、ガラス基板201と多層薄膜層202とを有する。詳細な説明は省略するが、多層薄膜層202は、複数の絶縁層、導電層などが積層しており、たとえば、カラーフィルタが形成されている。
なお、液晶表示パネルの駆動方式が縦電界方式の場合、対向基板2の多層薄膜層202には、TFT基板1の画素電極と対向する共通電極も形成されている。また、液晶表示パネルの駆動方式が横電界方式の場合、前記共通電極はTFT基板1の多層薄膜層102に形成されている。
また、TFT基板1の多層薄膜層102の構成と対向基板2の多層薄膜層202の構成の組み合わせは、従来の液晶表示パネルで適用されている種々の組み合わせのいずれかを適用すればよい。そのため、各多層薄膜層102,202の具体的な構成例についての詳細な説明は省略する。
下偏光板4は、たとえば、粘着剤などでTFT基板1のガラス基板101に貼り付けられて密着している。同様に、上偏光板5も、たとえば、粘着剤などで対向基板2のガラス基板201に貼り付けられて密着している。このとき、上偏光板4と下偏光板5は、透過軸(偏光軸とも呼ばれる)が直交するか、あるいは平行になるように貼り付けられる。この下偏光板4および上偏光板5は、たとえば、従来の液晶表示パネルに用いられているフィルム状の偏光板を用いればよいので、材料などの具体的な構成例についての詳細な説明は省略する。
なお、図示は省略するが、実施例1の液晶表示パネルでは、TFT基板1のガラス基板101と下偏光板4の間、および対向基板2のガラス基板201と上偏光板5の間に、位相差板が配置されていてもよい。
樹脂フィルム6は、観察者から見て最も手前に配置されるフィルム部材である。そのため、樹脂フィルム6には、光の透過率が高いフィルム、特に無色透明のフィルムを用いることが好ましい。この樹脂フィルム6には、たとえば、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を用いることができる。またこのとき、樹脂フィルム6は、たとえば、粘着剤などで上偏光板5に貼り付けられて密着している。
また、実施例1の液晶表示パネルにおいて、樹脂フィルム6の厚さT6は、たとえば、0.2mm以上1.0mm以下にすることが好ましい。樹脂フィルム6の厚さT6が0.2mm以上あれば、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を、たとえば、それぞれ0.5mm以下に薄くしても液晶表示パネルの強度を十分に確保できる。そのため、実施例1の液晶表示パネルでは、パネルの総厚TPを、たとえば、2mm以下にしても十分な強度を確保できる。またこのとき、実施例1の液晶表示パネルでは、パネルの総厚TPが2mm以下であり、かつ、樹脂フィルムを除いたパネルの厚さTP−T6が1.3mm以下であることが望ましい。
またこのとき、樹脂フィルム6には、液晶表示パネルの補強部材としての機能があるので、たとえば、図3の(a)に示すように、樹脂フィルム6が貼り付けられている対向基板2のガラス基板201の厚さT2を、TFT基板1のガラス基板101の厚さT1よりも薄くすることが可能である。そのため、パネルの総厚TPをさらに薄型化できる。
また、液晶表示パネルが、IPS(In Plane Switching)と呼ばれる横電界駆動型の場合、たとえば、図3の(b)に示すように、対向基板2のガラス基板201の裏面、言い換えると上偏光板5が貼り付けられている面に、耐電防止用の導体膜203が設けられていることがある。この場合、対向基板2のガラス基板202は、裏面を研磨して薄型化することはできない。そのため、対向基板2に導体膜203が設けられている場合は、図3の(b)に示すように、TFT基板1のガラス基板101の裏面、言い換えると下偏光板4が貼り付けられている面を研磨し、TFT基板1のガラス基板101の厚さT1を、対向基板2のガラス基板201の厚さT2よりも薄くすることで、パネルの総厚TPを薄型化できる。
またさらに、樹脂フィルム6は、表面硬度が上偏光板5の表面硬度よりも高いことが好ましく、より具体的には表面鉛筆硬度が3H以上であることが好ましい。なお、表面鉛筆硬度とは、材料の表面に鉛筆で線を引いたときに材料表面に傷が付く硬さで表される硬度である。つまり、表面鉛筆硬度が3Hであるということは、3Hおよび3Hより軟らかい芯の鉛筆で樹脂フィルム6に線を引いたときには表面に傷が付かないことを意味する。
なお、樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度を3H以上にする場合、鉛筆硬度が3H以上の硬度を有する材料をフィルム状に成形したものを用いてもよいし、任意の鉛筆硬度の材料をフィルム状に成形した後、表面にハードコート処理を施して表面の鉛筆硬度が3H以上になるようにしてもよい。樹脂フィルム6の材料としてアクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いる場合は、後者のように、表面にハードコート処理を施すことで表面鉛筆硬度を3H以上にする。
図4乃至図7は、実施例1の液晶表示パネルを用いることが好ましい携帯型電子機器の一例と作用効果を説明するための模式図である。
図4は、従来の携帯電話端末の表示部の概略構成を示す模式正面図である。図5は、図4のB−B’線断面図である。図6は、実施例1の液晶表示パネルを用いた携帯電話端末の表示部の概略構成を示す模式正面図である。図7は、図6のC−C’線断面図である。
実施例1の液晶表示パネルは、たとえば、携帯電話端末などの携帯型電子機器の表示装置(モジュール)に適用することが好ましい表示パネルである。
携帯電話端末の表示部に用いられる液晶表示装置は、液晶表示パネルの他に、液晶表示パネルの映像信号線(ドレイン線)に映像信号を出力するデータドライバ、液晶表示パネルの走査信号線(ゲート線)に走査信号を出力するゲートドライバ、前記映像信号および走査信号を出力するタイミングを制御するタイミングコントローラーなどを有する。また、液晶表示装置が透過型または半透過型である場合は、バックライト(光源)を有する。そして、これらの部品は、たとえば、表示素子モールドと呼ばれるフレーム部材によって一体的に保持されている。
従来の携帯電話端末に用いられる液晶表示パネルは、たとえば、図4および図5に示すように、TFT基板1、対向基板2、液晶材料3、下偏光板4、上偏光板5、シール材7で構成されている。このとき、液晶表示パネルを観察者が見たときには、手前から上偏光板5、対向基板2、液晶材料3、TFT基板1、下偏光板4の順に配置されている。またこのとき、透過型の液晶表示装置であれば、観察者から見て下偏光板4のさらに後方にバックライト8が配置されている。そして、液晶表示パネルおよびバックライト8は、バックライト8の背面側が底面になるような凹形状の表示素子モールド9によって保持されている。
また、このような液晶表示装置は、液晶表示パネルの表示領域DAが見えるように開口された携帯電話端末の外装(筐体)10に収容されている。また、従来の携帯電話端末では、観察者から見て液晶表示パネルよりも手前に、たとえば、アクリル板などで構成された透明な保護カバー11を配置しているのが一般的である。またこのとき、保護カバー11は、外装10の表面に設けたくぼみにはめ込み、粘着剤12で外装10に貼り付けていることが多い。この保護カバー11は、たとえば、液晶表示パネルの表面(上偏光板5)に傷が付くのを防いだり、液晶表示パネルに圧力がかかって割れるのを防いだりするためのものである。
このように、従来の液晶表示装置を用いた携帯電話端末では、液晶表示パネルを保護する保護カバー11が必要であり、その分、表示部が厚くなっていた。
一方、実施例1の液晶表示パネルは、上偏光板5に樹脂フィルム6を貼り付けることで、液晶表示パネルの強度を高くしている。また、樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度を3H以上にすることで、表面に傷が付きにくくしている。つまり、実施例1の液晶表示パネルは、樹脂フィルム6に、従来の保護カバー11としての機能を持たせている。そのため、たとえば、図6および図7に示すように、観察者から見て樹脂フィルム6が最も手前になるように液晶表示パネルを配置した液晶表示装置を携帯電話端末の外装10に収容すれば、保護カバー11が無くても液晶表示パネルを傷や圧力による割れから保護できる。この結果、携帯電話端末の表示部を、従来のものに比べて薄くすることができる。
また、従来の携帯電話端末の表示部は、液晶表示パネルと保護カバー11の間に空気の層があるが、実施例1の液晶表示パネルを用いることで、その空気の層をなくすことができる。そのため、従来のものに比べて、表示効率も改善することができる。
また、実施例1の液晶表示パネルは、TFT基板1および対向基板2を、ガラス基板101,201を用いて製造することができる。そのため、特許文献1に記載されたプラスチック基板を用いた液晶表示パネルよりも、多層配線層102,202を容易に形成することができる。また、TFT基板1および対向基板2を、ガラス基板101,201を用いて製造することで、環境変化による表示むらの発生も防げる。
図8は、実施例1の液晶表示パネルを用いた携帯電話端末の表示部の構成の変形例を示す模式断面図である。なお、図8には、構成の変形例として(a),(b)の2つの断面図を例示している。また、図8に示した(a),(b)の2つの断面図は、ともに図6のC−C’線での断面構成に相当する図である。
実施例1の液晶表示パネルを有する液晶表示装置を携帯電話端末に用いた場合、たとえば、図7に示したように、外装10の表面に保護カバー11を貼り付けなくてもよくなる。しかしながら、図7に示したような状態で収容されている場合、外装10の開口領域の外周10Aと液晶表示パネル(樹脂フィルム6)の間に生じる隙間から外装内部に水分などが進入しやすく、液晶表示パネルのTFT基板1に形成された配線や他の回路基板に形成された配線などが腐食しやすくなる。
そこで、実施例1の液晶表示パネルを用いる場合、たとえば、図8の(a)に示すように、対向基板2に貼り付けられた上偏光板5および樹脂フィルム6の外形を、下偏光板4の外形よりも小さくし、対向基板2と外装10を粘着剤13で接着固定することが好ましい。このとき、粘着剤13の形状を、たとえば、上偏光板5および樹脂フィルム6を囲む環状にすれば、粘着剤13が壁になり、外装内部への水分などの進入を防ぐことができる。なお、粘着剤13に代えて、接着剤を用いてもよいことはもちろんである。
またこのとき、たとえば、図8の(b)に示すように、外装10の開口領域の外周10Aに対向基板2側に突出する突起部を設ければ、外装内部への水分などの進入を防ぐ効果がより一層高くなる。
図9は、実施例1の液晶表示パネルの応用例を説明するための模式正面図である。図10は、図9のD−D’線断面図である。
実施例1の液晶表示パネルは、対向基板2に貼り付けられた上偏光板5に、樹脂フィルム6を貼り付けることで、液晶表示パネルの薄型化と十分な強度の確保を両立している。また、このような液晶表示パネルを用いることで、携帯電話端末などの携帯型電子機器の表示部の薄型化を可能にしている。
しかしながら、たとえば、図1および図2に示した液晶表示パネルのように、正面から見たときに上偏光板5の外周と樹脂フィルム6の外周が一致している場合、たとえば、図7および図8の(a),(b)に示したように、上偏光板5の外周端面が外気に触れてしまう。そのため、外気に含まれる水分で上偏光板5が腐食、劣化してしまい、上偏光板5が対向基板2から剥がれたり、表示むらの原因になったりする可能性がある。
そのような問題の発生を防ぐには、たとえば、図9および図10に示すように、液晶表示パネルを正面から見たときに、樹脂フィルム6の外周が、上偏光板5の外周よりも内側になるように樹脂フィルム6の外形を小さくすればよい。なお、樹脂フィルム6の外形を小さくする場合、その外周が表示領域DAよりも外側になるようにすることはもちろんである。
図11は、図9および図10に示した液晶表示パネルを用いた携帯電話端末の表示部の構成例を示す模式断面図である。なお、図11には、構成例として(a),(b),(c)の3つの断面図を例示している。また、図11に示した(a),(b),(c)の3つの断面図は、ともに図6のC−C’線での断面構成に相当する図である。
図9および図10に示した液晶表示パネルを有する液晶表示装置を携帯電話端末に用いた場合も、たとえば、図11の(a)に示したように、外装10の表面に保護カバー11を貼り付けなくてもよくなる。そのため、携帯電話端末の表示部を、従来のものより薄型化できる。
また、液晶表示パネルの樹脂フィルム6の外周が、上偏光板5の外周よりも内側にあるので、外装10の開口領域の外周10Aを上偏光板5の外周よりも内側にすることができる。そのため、たとえば、図7に示した場合に比べて、外装10の外側から上偏光板5の外周側面に達するまでの経路が長く、かつ複雑になり、水分などが進入しにくくなる。その結果、上偏光板5の外周側面が腐食、劣化しにくくなり、上偏光板5が対向基板2から剥がれたり、表示むらの原因になったりする可能性を低くできる。
またこのとき、たとえば、図11の(b)に示すように、上偏光板5と外装10を粘着剤13で接着固定することが好ましい。このとき、粘着剤13の形状を、たとえば、樹脂フィルム6を囲む環状にすれば、粘着剤13が壁になり、外装内部への水分などの進入を防ぐことができる。その結果、上偏光板5の外周側面がさらに劣化しにくくなり、上偏光板5が対向基板2から剥がれたり、表示むらの原因になったりする可能性をさらに低くできる。
またさらに、たとえば、図11の(c)に示すように、外装10の開口領域の外周10Aに上偏光板5側に突出する突起部を設ければ、外装内部への水分などの進入を防ぐ効果がより一層高くなる。
以上説明したように、実施例1の液晶表示パネルによれば、上偏光板5に樹脂フィルム6を貼り付けて密着させることで、液晶表示パネルの強度を確保できる。また、樹脂フィルム6により強度を確保できるので、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を研磨して薄型化できる。そのため、液晶表示パネルを薄型化できる。つまり、実施例1の液晶表示パネルは、薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、TFT基板1および対向基板2を、ガラス基板を用いて形成することができるので、環境変化による変形量に差がほとんど無い。そのため、環境変化による表示むらの発生を防ぐこともできる。
また、携帯電話端末などの携帯型電子機器に、実施例1の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(モジュール)を用いることで、携帯型電子機器の表示部を薄型化できる。
なお、実施例1では、樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度を3H以上にすることで、たとえば、携帯電話端末に組み込む際の従来の保護カバー11を不要にし、表示部を薄型化する例を挙げている。しかしながら、実施例1の液晶表示パネルは、これに限らず、たとえば、保護カバー11を用いる携帯電話端末に組み込んでもよいことはもちろんである。保護カバー11を用いる場合、樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度は3H以下でも構わない。ただし、この場合は、樹脂フィルム6を含む液晶表示パネルの総厚TPを1.3mm以下にすることが望ましい。
図12は、本発明による実施例2の液晶表示パネルの概略構成を示す模式断面図である。なお、図12に示した断面図は、図1のA−A’線での断面構成に相当する図である。
実施例2の液晶表示パネルは、基本的には実施例1の液晶表示パネルの同様の構成である。そのため、実施例2では、実施例1と異なる点のみを説明する。
実施例2の液晶表示パネルは、たとえば、図12に示すように、TFT基板1と、対向基板2と、TFT基板1と対向基板2の間に挟持された液晶材料3と、液晶材料3を挟持しているTFT基板1および対向基板2を挟むように配置された一対の偏光板(下偏光板4および上偏光板5)と、対向基板2側に配置された樹脂フィルム6とを有する。
なお、図示は省略するが、実施例2の液晶表示パネルでも、TFT基板1のガラス基板101と下偏光板4の間、および対向基板2のガラス基板201と上偏光板5の間に、位相差板が配置されていてもよい。
このとき、樹脂フィルム6は、実施例1と異なり、対向基板2と上偏光板5の間に配置される。またこのとき、樹脂フィルム6は、たとえば、粘着剤などで対向基板2のガラス基板201に貼り付けられて密着している。そして、上偏光板5も、たとえば、粘着剤などで樹脂フィルム6に貼り付けられて密着している。
実施例2の液晶表示パネルにおいても、樹脂フィルム6は、光の透過率が高いフィルム、特に無色透明なフィルムを用いることが好ましい。また、実施例2の液晶表示パネルでは、上偏光板5と対向基板2(下偏光板4)の間に樹脂フィルム6を配置している。そのため、樹脂フィルム6は光学異方性が小さいことが望ましく、ほぼ0であることがより望ましい。したがって、樹脂フィルム6には、たとえば、エポキシ樹脂を用いることが望ましい。ただし、光学異方性が許容できる大きさである場合、あるいは補償できる場合には、たとえば、樹脂フィルム6にアクリル樹脂を用いても構わない。
なお、実施例2の液晶表示パネルは、観察者から見ると、樹脂フィルム6よりも手前(前方)に上偏光板5が配置されている。そのため、実施例2の場合、実施例1の液晶表示パネルのように樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度を3H以上にする必要は無い。その代わりに、実施例2の液晶表示パネルでは、観察者から見て最も手前に配置される上偏光板5の表面鉛筆硬度を3H以上にする。上偏光板5の表面鉛筆硬度を3H以上にするには、たとえば、従来の一般的な偏光板の表面にハードコート処理を施せばよい。
また、実施例2の液晶表示パネルにおいても、樹脂フィルム6の厚さT6は、たとえば、0.2mm以上1.0mm以下にすることが好ましい。樹脂フィルム6の厚さT6が0.2mm以上あれば、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を、たとえば、それぞれ0.5mm以下に薄くしても液晶表示パネルの強度を十分に確保できる。そのため、実施例2の液晶表示パネルでは、パネルの総厚TPを、たとえば、2mm以下にしても十分な強度を確保できる。またこのとき、実施例2の液晶表示パネルでは、パネルの総厚TPが2mm以下であり、かつ、樹脂フィルムを除いたパネルの厚さTP−T6が1.3mm以下であることが望ましい。
またこのとき、樹脂フィルム6には、液晶表示パネルの補強部材としての機能があるので、たとえば、図3の(a)に示した構成と同様に、樹脂フィルム6が貼り付けられている対向基板2のガラス基板201の厚さT2を、TFT基板1のガラス基板101の厚さT1よりも薄くすることが可能である。そのため、パネルの総厚TPをさらに薄型化できる。
また、液晶表示パネルが、IPSと呼ばれる横電界駆動型の場合、たとえば、図3の(b)に示した構成と同様に、対向基板2のガラス基板201の裏面、言い換えると上偏光板5が貼り付けられている面に、耐電防止用の導体膜203が設けられていることがある。この場合、対向基板2のガラス基板202は、裏面を研磨して薄型化することはできない。そのため、対向基板2に導体膜203が設けられている場合は、たとえば、図3の(b)に示した構成と同様に、TFT基板1のガラス基板101の裏面、言い換えると下偏光板4が貼り付けられている面を研磨し、TFT基板1のガラス基板101の厚さT1を、対向基板2のガラス基板201の厚さT2よりも薄くすることで、パネルの総厚TPを薄型化できる。
図13は、実施例2の液晶表示パネルを用いた携帯電話端末の表示部の構成例を示す模式断面図である。なお、図13には、構成例として(a),(b),(c)の3つの断面図を例示している。また、図13に示した(a),(b),(c)の3つの断面図は、ともに図6のC−C’線での断面構成に相当する図である。
実施例2の液晶表示パネルを有する液晶表示装置を携帯電話端末に用いた場合も、たとえば、図13の(a)に示したように、外装10の表面に保護カバー11を貼り付けなくてもよくなる。そのため、携帯電話端末の表示部を、従来のものより薄型化できる。
しかしながら、図13の(a)に示したような状態で収容されている場合、外装10の開口領域の外周10Aと液晶表示パネル(上偏光板5)の間に生じる隙間から外装内部に水分などが進入しやすく、液晶表示パネルのTFT基板1に形成された配線や他の回路基板に形成された配線などが腐食しやすくなる。
そこで、実施例2の液晶表示パネルを用いる場合も、たとえば、図13の(b)に示すように、対向基板2に貼り付けられた上偏光板5および樹脂フィルム6の外形を、下偏光板4の外形よりも小さくし、対向基板2と外装を粘着剤13で接着固定することが好ましい。このとき、粘着剤13の形状を、たとえば、上偏光板5および樹脂フィルム6を囲む環状にすれば、粘着剤13が壁になり、外装内部への水分などの進入を防ぐことができる。
またこのとき、たとえば、図13の(c)に示すように、外装10の開口領域の外周10Aに、対向基板2側に突出する突起部を設ければ、外装内部への水分などの進入を防ぐ効果がより一層高くなる。
図14は、実施例2の液晶表示パネルの応用例を説明するための模式断面図である。なお、図14に示した断面図は、図9のD−D’線での断面構成に相当する図である。
実施例2の液晶表示パネルにおいても、対向基板2のガラス基板201に貼り付けた樹脂フィルム6および上偏光板5は、たとえば、図14に示すように、上偏光板5の外周が、樹脂フィルム6の外周よりも内側になるように上偏光板5の外形を小さくしてもよい。なお、上偏光板5の外形を小さくする場合、その外周が表示領域DAよりも外側になるようにすることはもちろんである。
図15は、図14に示した液晶表示パネルを用いた携帯電話端末の表示部の構成例を示す模式断面図である。なお、図15には、構成例として(a),(b),(c)の3つの断面図を例示している。また、図15に示した(a),(b),(c)の3つの断面図は、ともに図6のC−C’線での断面構成に相当する図である。
図14に示した液晶表示パネルを有する液晶表示装置を携帯電話端末に用いた場合も、たとえば、図15の(a)に示したように、外装10の表面に保護カバー11を貼り付けなくてもよくなる。そのため、携帯電話端末の表示部を、従来のものより薄型化できる。
また、液晶表示パネルの上偏光板5の外周が、樹脂フィルム6の外周よりも内側にあるので、外装10の開口領域の外周10Aを樹脂フィルム6の外周よりも内側にすることができる。そのため、たとえば、図13の(a)に示した場合に比べて、外装10の外側から内部に達する経路が長く、かつ複雑になり、水分などが進入しにくくなる。
またこのとき、たとえば、図15の(b)に示すように、樹脂フィルムと外装10を粘着剤13で接着固定することが好ましい。このとき、粘着剤13の形状を、たとえば、上偏光板を囲む環状にすれば、粘着剤13が壁になり、外装内部への水分などの進入を防ぐことができる。
またさらに、たとえば、図15の(c)に示すように、外装10の開口領域の外周10Aに、樹脂フィルム6側に突出する突起部を設ければ、外装内部への水分などの進入を防ぐ効果がより一層高くなる。
以上説明したように、実施例2の液晶表示パネルによれば、対向基板2のガラス基板201と上偏光板5の間に樹脂フィルム6を密着させて配置することで、液晶表示パネルの強度を確保できる。また、樹脂フィルム6により強度を確保できるので、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を研磨して薄型化できる。そのため、液晶表示パネルを薄型化できる。つまり、実施例2の液晶表示パネルも、薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、TFT基板1および対向基板2を、ガラス基板を用いて形成することができるので、環境変化による変形量に差がほとんど無い。そのため、環境変化による表示むらの発生を防ぐこともできる。
また、携帯電話端末などの携帯型電子機器に、実施例2の液晶表示パネルを有する液晶表示装置(モジュール)を用いることで、携帯型電子機器の表示部を薄型化できる。
なお、実施例2では、上偏光板5の表面鉛筆硬度を3H以上にすることで、たとえば、携帯電話端末に組み込む際の従来の保護カバー11を不要にし、表示部を薄型化する例を挙げている。しかしながら、実施例2の液晶表示パネルの場合も、これに限らず、たとえば、保護カバー11を用いる携帯電話端末に組み込んでもよいことはもちろんである。保護カバー11を用いる場合、上偏光板5の表面鉛筆硬度は3H以下でも構わない。ただし、この場合は、樹脂フィルム6を含む液晶表示パネルの総厚TPを1.3mm以下にすることが望ましい。
図16は、本発明による実施例3の液晶表示パネルの概略構成を示す模式断面図である。
実施例3の液晶表示パネルは、基本的には実施例1の液晶表示パネルの同様の構成である。そのため、実施例3では、実施例1と異なる点のみを説明する。
実施例3の液晶表示パネルは、たとえば、図16に示すように、TFT基板1と、対向基板2と、TFT基板1と対向基板2の間に挟持された液晶材料3と、液晶材料3を挟持しているTFT基板1および対向基板2を挟むように配置された一対の偏光板(下偏光板4および上偏光板5)と、TFT基板1側の下偏光板4と密着して貼り付けられた樹脂フィルム6とを有する。
つまり、実施例3の液晶表示パネルでは、樹脂フィルム6は、実施例1と異なり、TFT基板1の背面側にあり、観察者から見て最も奥に配置される。このとき、樹脂フィルム6は、たとえば、粘着剤などで下偏光板4に貼り付けられて密着している。
なお、図示は省略するが、実施例3の液晶表示パネルにおいても、TFT基板1のガラス基板101と下偏光板4の間、および対向基板2のガラス基板201と上偏光板5の間に、位相差板が配置されていてもよい。
実施例3の液晶表示パネルにおいても、樹脂フィルム6は、光の透過率が高いフィルム、特に無色透明なフィルムを用いることが好ましい。この樹脂フィルム6には、たとえば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
なお、実施例3の液晶表示パネルは、観察者から見ると、樹脂フィルム6よりも手前(前方)に下偏光板4やTFT基板1などが配置されている。そのため、実施例3の場合も、実施例1の液晶表示パネルのように樹脂フィルム6の表面鉛筆硬度を3H以上にする必要は無い。
また、実施例3の液晶表示パネルでは、たとえば、TFT基板1のガラス基板101の厚さT1と対向基板2のガラス基板201の厚さT2の合計が0.5mm以下になるようにすることが好ましい。なお、このときの各ガラス基板101,201の厚さT1,T2は、ほぼ等しくてもよいし、一方が薄く他方が厚くなっていてもよい。
このようにすると、たとえば、液晶表示パネルに、上偏光板5側から押圧が加わったときに、その力を液晶表示パネルの背面側に貼り付けられた樹脂フィルム6で支えることができる。そのため、各ガラス基板101,201を薄型化しても、液晶表示パネルの強度を十分に確保できる。
図17は、実施例3の液晶表示パネルの変形例を説明するための模式断面図である。
実施例3のように、TFT基板1側に樹脂フィルム6を配置する場合、その配置位置は、たとえば、図17に示すように、TFT基板1のガラス基板101と下偏光板4の間であってもよい。なお、TFT基板1と下偏光板4の間に樹脂フィルム6を配置する場合は、樹脂フィルム6は光学異方性が小さいことが望ましく、ほぼ0であることがより望ましい。したがって、樹脂フィルム6には、たとえば、エポキシ樹脂を用いることが望ましい。ただし、光学異方性が許容できる大きさである場合、あるいは補償できる場合には、たとえば、樹脂フィルム6にアクリル樹脂を用いても構わない。
また、実施例3の液晶表示パネルにおいても、樹脂フィルム6の厚さT6は、たとえば、0.2mm以上1.0mm以下にすることが好ましい。樹脂フィルム6の厚さT6が0.2mm以上あれば、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を、たとえば、それぞれ0.5mm以下に薄くしても液晶表示パネルの強度を十分に確保できる。そのため、実施例3の液晶表示パネルでは、パネルの総厚TPを、たとえば、1.3mm以下にしても十分な強度を確保できる。
以上説明したように、実施例3の液晶表示パネルによれば、下偏光板4の背面側またはTFT基板1のガラス基板101と下偏光板4の間に樹脂フィルム6を密着させて配置することで、液晶表示パネルの強度を確保できる。また、樹脂フィルム6により強度を確保できるので、TFT基板1のガラス基板101および対向基板2のガラス基板201を研磨して薄型化できる。そのため、液晶表示パネルを薄型化できる。つまり、実施例3の液晶表示パネルも、薄型化と十分な強度の確保を両立することができる。
また、TFT基板1および対向基板2を、ガラス基板を用いて形成することができるので、環境変化による変形量に差がほとんど無い。そのため、環境変化による表示むらの発生を防ぐこともできる。
なお、実施例3の液晶表示パネルを有する液晶表示装置を、たとえば、携帯電話端末に組み込む場合は、従来の液晶表示装置のように、携帯電話端末の外装10に、液晶表示パネルを保護する保護カバー11を貼り付けることが好ましい。ただし、実施例3の液晶表示パネルを有する液晶表示装置の場合、TFT基板1のガラス基板101と対向基板2のガラス基板201の厚さの合計T1+T2が0.5mm以下であり、かつ、樹脂フィルム6の厚さが0.1mm以上、0.3mm以下である。つまり、実施例3の液晶表示パネルを用いた液晶表示装置では、液晶表示パネルの厚さが、従来の液晶表示パネルの厚さに比べて薄くなっている分、液晶表示装置を薄型化できる。その結果、液晶表示パネルを保護する保護カバーを貼り付けても、携帯電話端末の表示部を、従来のものに比べて薄型化できる。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、前記各実施例では、透過型または半透過型の液晶表示パネルを例に挙げており、下偏光板4と上偏光板5の2枚の偏光板を有する。しかしながら、本発明は、透過型または半透過型に限らず、反射型の液晶表示パネルに適用することもできる。
図18は、本発明を反射型の液晶表示パネルに適用したときの概略構成を示す模式断面図である。
反射型の液晶表示パネルは、たとえば、図18に示すように、TFT基板1と、対向基板2と、TFT基板1と対向基板2の間に挟持された液晶材料3と、対向基板2のガラス基板201に貼り付けられた偏光板5とを有する。そして、実施例1の構成を適用した場合、対向基板2側に配置された偏光板5と密着して貼り付けられた樹脂フィルム6とを有する。
なお、このような液晶表示パネルを有する表示装置では、TFT基板1を基準にすると、観察者から見たときに、TFT基板1よりも観察者側に対向基板2が配置されているのが一般的である。つまり、図18に示した液晶表示パネルを観察者が見たときには、手前から樹脂フィルム6、偏光板5、対向基板2、液晶材料3、TFT基板1の順に配置されている。
またこのとき、たとえば、TFT基板1の多層薄膜層102に反射層が形成されており、樹脂フィルム6側から液晶表示パネルに入射した光14を、多層薄膜層102の反射層で反射させた後、観察者側に出射させる。
このような反射型の液晶表示パネルでも、たとえば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などを用いた樹脂フィルム6を偏光板5に貼り付けて密着させることで、TFT基板1のガラス基板101や対向基板2のガラス基板201を研磨して薄型化しても、十分な強度を確保することができる。そのため、液晶表示パネルの薄型化と、十分な強度の確保を両立させることができる。
なお、図18には、観察者から見て偏光板5の手前に樹脂フィルム6を配置する例を挙げているが、これに限らず、対向基板2のガラス基板201と偏光板5の間、あるいはTFT基板1のガラス基板101の背面側に樹脂フィルム6を貼り付けて密着させてもよい。
また、前記各実施例では、本発明を液晶表示パネルに適用した場合を例に挙げたが、本発明は、他の表示パネル、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)を用いた自発光型の表示装置の表示パネルにも適用することができる。
図19は、本発明を有機ELパネルに適用したときの概略構成を示す模式断面図である。
有機ELパネルは、たとえば、図19に示すように、TFT基板1と、対向基板2(ガラス基板201)と、対向基板2に貼り付けられた位相差板15および上偏光板5とを有する。そして、実施例1の構成を適用した場合、対向基板2側に配置された上偏光板5と密着して貼り付けられた樹脂フィルム6とを有する。
有機ELパネルにおいては、上偏光板5と位相差板15とを組み合わせて円偏光板を構成することで、外光の反射(映り込み)を防止している。このとき、位相差板15は、たとえば、λ/4位相差板のみを用いてもよいし、λ/4位相差板とλ/2位相差板を重ねて用いてもよい。特に、λ/4位相差板とλ/2位相差板を重ねた位相差板15と上偏光板5を組み合わせることで、広帯域円偏光板を構成することができる。
また、有機ELパネルの場合、たとえば、TFT基板1の多層薄膜層102に、有機EL材料を用いた発光層を有し、発光層の点灯および消灯、そして点灯時の光14の輝度によって各画素の階調を制御する。そのため、TFT基板1、対向基板2、およびシール材7で囲まれた空間内は、真空状態になっている。また、液晶表示パネルと異なり、対向基板2には多層薄膜層202が無くてもよい。
なお、本発明は、液晶表示パネル、有機ELを用いた表示パネルに限らず、これらと類似した構成の表示パネルに適用可能であることはもちろんである。