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JP2013141164A - アンテナ装置および通信端末装置 - Google Patents

アンテナ装置および通信端末装置 Download PDF

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JP2013141164A
JP2013141164A JP2012000798A JP2012000798A JP2013141164A JP 2013141164 A JP2013141164 A JP 2013141164A JP 2012000798 A JP2012000798 A JP 2012000798A JP 2012000798 A JP2012000798 A JP 2012000798A JP 2013141164 A JP2013141164 A JP 2013141164A
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Abstract

【課題】給電コイルとブースターアンテナとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れ、さらにはヌル点の発生を抑制したアンテナ、およびそれを備えたRFIDデバイスを構成する。
【解決手段】第1コイルパターン11およびコイルパターン13によって第1ブースターコイル111が構成され、コイルパターン12およびコイルパターン14によって第2ブースターコイル112が構成される。第2ブースターコイル112は、第1ブースターコイル111に隣接配置され且つ接続されていて、第1ブースターコイル111により生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されている。給電コイル210は、平面視で第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112の隣接部分を跨ぐように配置されている。給電コイル210は第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112と電磁界を介して結合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナ装置および通信端末装置、特にHF帯の通信システムに用いられるアンテナ装置およびHF帯を用いて通信を行う通信端末装置に関する。
近年、物品の情報管理を行うための無線通信システムとして、誘導磁界を発生するリーダライタと、物品に付されたRFIDタグとを電磁界を利用した非接触方式で通信し、所定の情報を伝達するRFIDシステムが実用化されている。また、二つの通信装置が近距離で通信する近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)システムが知られている。例えば13.56MHz帯等のHF帯を通信周波数として利用したRFIDシステムや近距離無線通信システムであれば、主に誘導磁界を介して結合するアンテナが用いられる。
特許文献1には、ブースターコイルを用いたRFIDタグが開示されている。図11はそのRFIDタグに備えられたブースターコイルとIC素子との配列を示す平面図である。このRFIDタグは、アンテナコイルが一体形成されたRFIC2と、ブースターコイル3および静電容量接続用の導体膜4a,4bが形成された絶縁部材6と、これらを一体にケーシングする基体とで構成されている。RFIC2には、矩形スパイラル状のアンテナコイルが一体に形成されていて、そのアンテナコイルが絶縁部材6のブースターコイル形成面側に向けて取り付けられている。
絶縁部材6の裏面には導体膜4a,4bに対向する静電容量接続用の導体膜が形成されている。また、絶縁部材6の表面側に形成された静電容量接続用の導体膜4a,4bは、前記したように、ブースターコイル3を介して電気的に接続され、絶縁部材6の裏面側に形成された静電容量接続用の導体膜は導線を介して電気的に接続されている。
このRFIDタグにおいては、RFIC2のアンテナコイルとブースターコイル3とが電磁界結合して、RFIC2とブースターコイル3との間で信号が伝達される。
特開2002−042083号公報
しかしながら、図11に示したようなRFIDタグにおいては、アンテナコイルはRFICチップと同サイズ、ブースターコイルはカードサイズであるため、両者のサイズが大きく異なる。そのため、アンテナコイルとブースターコイルとの結合度を高くすることが難しい。なお、特許文献1には、ブースターコイルのうちRFICチップが搭載される部分の形状をアンテナコイルに近似した形状とし、RFICチップ側のアンテナコイルとブースターコイルとの結合度を高くする構造が開示されているが、この構造では、ブースターコイルの形状が複雑化するとともに、ブースターコイルの外形寸法が大きくなってしまう傾向にある。
また、アンテナコイルとブースターコイルを備えたアンテナにおいては、一般に、アンテナコイルとブースターコイルとが重なる領域またはその近傍を通る磁束が互いに打ち消し合う状況が生じる。図11に示したアンテナにおいても、例えばアンテナコイルから生じる磁束B1とブースターコイルに生じる磁束B0とは何れも同方向であるが、同じアンテナコイルから生じる磁束B2とブースターコイルに生じる磁束B0とは互いに逆方向となる。そのため、アンテナコイルによって形成される磁界とブースターコイルによって形成される磁界とが打ち消し合うヌル点が生じる場合がある。このヌル点では通信できない。
本発明は、上述した実情に鑑み、給電コイルとブースターアンテナとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れ、さらにはヌル点の発生を抑制したアンテナ、およびそれを備えた通信端末装置を提供することを目的としている。
本発明のアンテナ装置は、
第1ブースターコイルと第2ブースターコイルとで構成されるブースターアンテナと、このブースターアンテナに電磁界結合する給電コイルとを備え、
前記第2ブースターコイルは、前記第1ブースターコイルに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1ブースターコイルにより生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されていて、
前記給電コイルは、前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルの隣接部分を跨ぐように配置されていて、
前記給電コイルは第1コイルパターンと第2コイルパターンとを備え、
前記第1コイルパターンは、前記第1ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第1ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
前記第2コイルパターンは、前記第2ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第2ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
前記第2コイルパターンは、前記第1コイルパターンに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1コイルパターンにより生じる磁界の方向とは反対方向に磁界が生じるように巻回されている、ことを特徴とする。
この構成により、給電コイルとブースターアンテナとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れたアンテナが得られる。
前記第1コイルパターンおよび前記第2コイルパターンは、共通の磁性体コアに巻回されていることが好ましい。この構造であれば、単一の磁性体コアを用いることで小型化・低コスト化が図れる。
前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルは、複数層に設けられた複数のコイルパターンにてそれぞれ形成されていることが好ましい。この構造によれば、ブースターアンテナに対して給電コイルを小型にしつつ、ブースターアンテナと給電コイルとの結合度を高めることができる。
また、層方向に隣接する第1のブースターコイル同士または層方向に隣接する第2のブースターコイル同士の少なくとも一方は容量を介して結合していることが好ましい。この構造によれば、例えばビア電極を形成する必要がなく、構成を簡素にでき、製造が容易になる。
また、本発明の通信端末装置は、アンテナ装置およびこのアンテナ装置に接続された通信回路を備え、前記アンテナ装置は、
第1ブースターコイルと第2ブースターコイルとで構成されるブースターアンテナと、このブースターアンテナに電磁界結合する給電コイルとを備え、
前記第2ブースターコイルは、前記第1ブースターコイルに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1ブースターコイルにより生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されていて、
前記給電コイルは、前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルの隣接部分を跨ぐように配置されていて、
前記給電コイルは第1コイルパターンと第2コイルパターンとを備え、
前記第1コイルパターンは、前記第1ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第1ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
前記第2コイルパターンは、前記第2ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第2ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
前記第2コイルパターンは、前記第1コイルパターンに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1コイルパターンにより生じる磁界の方向とは反対方向に磁界が生じるように巻回されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、給電コイルとブースターアンテナとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れ、さらにはヌル点の発生が抑制されたアンテナ装置、およびそのアンテナを備えた通信端末装置が構成できる。
図1(A)は第1の実施形態に係るアンテナ装置301の主要部の分解斜視図である。図1(B)はアンテナ装置301の主要部の下面図である。 図2はブースターアンテナ110の分解斜視図である。 図3(A)は給電コイル210の分解斜視図、図3(B)は給電コイル210特に第1コイルパターンおよび第2コイルパターンの形状および接続関係を示す斜視図である。 図4(A)は給電コイル210とブースターアンテナ110との結合の様子を示す下面図、図4(B)はその正面図である。 図5は給電コイル210およびブースターアンテナ110により生じる磁界(磁束)の模式図である。 図6はアンテナ装置301の等価回路図である。 図7は給電コイル210の共振周波数、ブースターアンテナ110の共振周波数、および通信相手のアンテナと結合して通信するキャリア周波数の関係を示す図である。 図8は第2の実施形態のアンテナ装置302の斜視図である。 図9はアンテナ装置302の等価回路図である。 図10(A)は第3の実施形態の通信端末装置401の平面図、図10(B)は正面断面図、図10(C)は図10(B)の部分拡大図である。 図11は特許文献1のRFIDタグに備えられたブースターコイルとIC素子との配列を示す平面図である。
本実施例のアンテナ装置は、FeliCa(登録商標)等のNFCに代表されるHF帯無線通信システム用のアンテナ装置であり、以降に示す各実施の形態はこのHF帯無線通信システムに用いられるアンテナ装置およびそれを備えた通信端末装置に関するものである。
《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係るアンテナ装置301の主要部の分解斜視図である。図1(B)はアンテナ装置301の主要部の下面図である。アンテナ装置301はブースターアンテナ110と給電コイル210とを備えている。
図1に示すように、ブースターアンテナ110は、第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112を含む。第1ブースターコイル111はコイルパターン11,13で構成されていて、第2ブースターコイル112はコイルパターン12,14で構成されている。
第2ブースターコイル112は第1ブースターコイル111に隣接配置され且つ接続されている。第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112は、各ブースターコイルに流れる電流と同方向に電流が流れるように巻回されている。すなわち、平面視したとき、第1ブースターコイルに時計回りの電流が流れるとき、第2ブースターコイルにも時計回りに電流が流れるように、各ループ状導体が巻回されている。すなわち、第2ブースターコイル112のコイルパターン12,14は第1ブースターコイル111のコイルパターン11,13により生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されている。
ブースターアンテナ110は、主として、通信相手側アンテナとの無線信号の送受を行う放射素子として機能する。通信相手側アンテナとの通信距離は、アンテナ外形寸法に大きく依存するので、ブースターアンテナ110の外形寸法は、平面視したとき、給電コイルより大きな外形寸法を有していることが好ましい。
これらのブースターコイル111,112は、各コイル面がほぼ同一面になるよう、且つ、各コイルの巻回軸がほぼ平行になるよう、隣接配置されている。
給電コイル210は、平面視で第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112の隣接部分を跨ぐように配置されている。後に詳述するが、給電コイル210は第1コイルパターン21と第2コイルパターン22とを備え、第1コイルパターン21は、第1ブースターコイル111のコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、第1ブースターコイル111に電磁界を介して結合し、第2コイルパターン22は、第2ブースターコイル112のコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、第2ブースターコイル112に電磁界を介して結合する。そして、第2コイルパターン22は、第1コイルパターン21に隣接配置され且つ接続されていて、第1コイルパターン21により生じる磁界の方向とは反対方向に磁界が生じるように巻回されている。
図2はブースターアンテナ110の分解斜視図である。第1ブースターコイル111のコイルパターン11,13はPET等の誘電体材料からなる支持基材10の第1主面および第2主面に形成されている。第2ブースターコイル112のコイルパターン12,14も支持基材10の第1主面および第2主面に形成されている。これらのコイルパターン11,12,13,14は、銀、銅、アルミニウム等からなる導電材料によってスパイラル状に構成されている。第1ブースターコイル111のコイルパターン11および第2ブースターコイル112のコイルパターン12は支持基材10の第1主面に隣接配置され、直列接続されている。同様に、第1ブースターコイル111のコイルパターン13および第2ブースターコイル112のコイルパターン14は支持基材10の第2主面に隣接配置され、直列接続されている。
図3(A)は給電コイル210の分解斜視図、図3(B)は給電コイル210の特に第1コイルパターンおよび第2コイルパターンの形状および接続関係を示す斜視図である。
給電コイル210は、磁性体層20Cおよび非磁性体層(非磁性体または磁性体層20Cよりも低透磁率の磁性体)20T,20Bの積層体を備えている。磁性体層20Cにはコイルパターンの一部である部分コイルパターン21C,22Cが形成されている。非磁性体層20Bにはコイルパターンの一部である部分コイルパターン21B,22Bが形成されている。部分コイルパターン21Cと部分コイルパターン21Bとで第1コイルパターン21が構成されていて、部分コイルパターン22Cと部分コイルパターン22Bとで第2コイルパターン22が構成されている。結局、第1コイルパターン21および第2コイルパターン22は、共通の磁性体層(本発明の「磁性体コア」)20Cに巻回されていることになる。
第1コイルパターン21と第2コイルパターン22とは互いに直列接続されているが、各コイルパターンに生じる磁束が互いに逆向きになるように巻回されている。積層体の底面(非磁性体層20Bの下面)には、給電コイル210をプリント配線板等のマザー基板に実装するための入出力端子31,32が形成されている。この入出力端子31,32は、ビアホール導体を介して部分コイルパターン21B,22Bの外側の端部に接続されている。第1コイルパターン21と第2コイルパターン22とは巻回方向が互いに逆であるので、両者のコイル軸方向の間隔が狭い程インダクタンスが相殺される。そのため、第1コイルパターン21と第2コイルパターン22との間隔は少なくともコイルパターンの巻回ピッチより大きいこと、さらにはその複数倍以上であることが好ましい。
前記各コイルパターンや入出力端子は銀や銅等の導電材料で構成されている。なお、前記積層体は、セラミックの積層体であってもよいし、樹脂層の積層体であってもよい。
図4(A)は給電コイル210とブースターアンテナ110との結合の様子を示す下面図、図4(B)はその正面図である。図4(A)において、給電コイル210のコイルパターン21,22に流れる電流の方向およびブースターコイル111,112に流れる電流の方向を矢印で表している。図4(B)において磁束φ1,φ2は給電コイル210とブースターアンテナ110との電磁界結合の様子を示している。また、磁界H1,H2はブースターアンテナ110によって生じる磁界を表している。
図4(A)に示すように平面視で、給電コイル210のうち、第1コイルパターン21は第1ブースターコイル111の一部と重なり、第2コイルパターン22は第2ブースターコイル112の一部と重なるように配置されている。よって、給電コイル210の第1コイルパターン21と第1ブースターコイル111とが電磁界結合し、給電コイル210の第2コイルパターン22と第2ブースターコイル112とが電磁界結合する。
図4(A)に示すように、給電回路から給電コイルに矢印a,b方向に電流が流れると、磁束φ1,φ2との鎖交により、コイルパターン11,13に矢印d,e,fに示すように電流が誘導され、コイルパターン11,13に矢印h,i,jに示すように電流が誘導される。
図5は給電コイル210およびブースターアンテナ110により生じる磁界(磁束)の模式図である。このように、第1ブースターコイル(111)と第2ブースターコイル(112)には同方向に電流が流れ、その結果、図5に示すような磁界H1および磁界H2が発生する。給電コイル210のコイル軸は磁界H1,H2の向きとは直交している。そのため、通信相手のアンテナの磁束は給電コイル210を直接通過しない。換言すると、通信相手のアンテナから給電コイル210は等価的に見えない。そのため、従来のアンテナのようなヌル点は生じない。
図6はアンテナ装置301の等価回路図である。ここでインダクタL21は給電コイル210の第1コイルパターン21、インダクタL22は給電コイル210の第2コイルパターン22、にそれぞれ相当する。インダクタL11,L12,L13,L14はコイルパターン11,12,13,14にそれぞれ相当する。キャパシタC1はコイルパターン11とコイルパターン13との層間および線間に生じる容量に相当し、キャパシタC2はコイルパターン12とコイルパターン14との層間および線間に生じる容量に相当する。
相互インダクタンスM3はコイルパターン11,12間の磁界結合に相当し、相互インダクタンスM5はコイルパターン13,14間の磁界結合に相当する。相互インダクタンスM4はコイルパターン11,13間の磁界結合に相当し、相互インダクタンスM6はコイルパターン12,14間の磁界結合に相当する。
相互インダクタンスM1は給電コイル210の第1コイルパターン21と第1ブースターコイル111(コイルパターン11,13)との間の磁界結合に相当し、相互インダクタンスM2は給電コイル210の第2コイルパターン22と第2ブースターコイル112(コイルパターン12,14)との間の磁界結合に相当する。
給電コイル210は、コイル自身が持つインダクタンス成分(図6に示したインダクタL21,L22)と給電コイル210の線間容量で構成されるキャパシタンス成分とを有するので、これらによりLC共振回路を構成し、共振周波数を有する。また、給電回路の接続状態で、給電コイル210と給電回路とによる回路の共振周波数を有する。
ブースターアンテナ110は、インダクタL1〜L4およびキャパシタC1,C2によるLC共振回路で構成される共振周波数を有する。
図7は給電コイル210の共振周波数、ブースターアンテナ110の共振周波数、および通信相手のアンテナと結合して通信するキャリア周波数の関係を示す図である。図7の横軸は周波数、縦軸はアンテナのリターンロスである。給電コイル210の共振周波数(または、給電コイル210と給電回路とによる共振周波数)faはブースターアンテナ110の共振周波数fbより高い。例えばfa=14MHz、fb=13.6MHz、通信周波数foは13.56MHzである。
仮に、給電コイルの共振周波数とブースターアンテナの共振周波数が同じであると、縮退が解け、給電コイルとブースターアンテナとが結合しにくくなってしまう。また、給電コイルの共振周波数faがブースターアンテナの共振周波数fbより低いと、給電コイルとブースターアンテナとの結合が容量性で結合することになるが、コイル同士の容量結合は強くならず、その結果、高い結合強度が得られない。
第1の実施形態では上述のとおり、給電コイル210の共振周波数faはブースターアンテナの共振周波数fbより高いので、給電コイルとブースターアンテナとが誘導性で結合することになり、高い結合強度が得られる。
また、リーダライタアンテナの共振周波数は通信周波数foまたはfo付近に設定されていて、ブースターアンテナの共振周波数fbは通信周波数foに等しいかまたは略等しく設定されている。そして給電コイル210の共振周波数faがブースターアンテナの共振周波数fbより高く、通信周波数foより高く設定されているので、ブースターアンテナがリーダライタアンテナと近接して強く結合したときのブースターアンテナの共振周波数fbが高周波側にシフトする量が抑制される。そのため、リーダライタアンテナと強く結合したときのヌル点が発生しにくいという効果を奏する。これは、近接する二つの共振器(この場合、ブースターアンテナと給電コイル)が磁気結合しているので、互いの共振周波数に近づく方向の周波数変化を抑制しあうという効果を利用している。
また、図6に示したように、ブースターアンテナ110におけるインダクタL11〜L14は、相互インダクタンスM3〜M6で互いに結合しているため、インダクタL11〜L14を単純に合わせたインダクタンス値よりも、全体の実効的なインダクタンス値は大きい。その結果、小型でも十分なインダクタンス値を有するブースターアンテナを実現できる。
第1の実施形態に係るアンテナによれば、給電コイルとブースターコイルとの結合度を大きくすることができ、RF信号の伝達効率が高い。また、ヌル点が発生しにくい。
《第2の実施形態》
図8は第2の実施形態のアンテナ装置302の斜視図である。第2の実施形態では、コイルパターン11が第1のブースターコイルであり、コイルパターン12が第2のブースターコイルである。支持基材10およびこの支持基材10に形成されたコイルパターン11,12によってブースターアンテナ120が構成されている。
図9はアンテナ装置302の等価回路図である。ここでインダクタL21は給電コイル210の第1コイルパターン21、インダクタL22は給電コイル210の第2コイルパターン22、にそれぞれ相当する。インダクタL11,L12はコイルパターン11,12にそれぞれ相当する。キャパシタCはコイルパターン11の端部とコイルパターン12の端部との間に接続されたキャパシタである。
このように、一層に形成した二つのコイルパターン11,12でブースターアンテナ120を構成してもよい。但し、第1の実施形態で示したように、複数層に形成したコイルでブースターアンテナを構成した方が、必要なインダクタンス成分およびキャパシタンス成分を得るために要する面積を縮小化できる。
《第3の実施形態》
図10(A)は第3の実施形態の通信端末装置401の平面図、図10(B)は正面断面図、図10(C)は図10(B)の部分拡大図である。但し、通信端末装置401の下面(表示パネルや操作部とは反対側の面)を上にして図示している。
アンテナ装置301は通信端末装置401の端末筐体60内に設けられている。このアンテナ装置301は第1の実施形態で示したアンテナ装置301であり、ブースターアンテナ110と給電コイル210とで構成されている。ブースターアンテナ110は端末筐体60の内面に両面テープなどで貼付されている。
また、端末筐体60内には、グランドパターン41を備えたプリント配線板40が収納されている。このプリント配線板40に通信回路が構成されている。また、このプリント配線板40の図における上面(表示パネルや操作部とは反対側の面)に給電コイル210およびRFIC(無線IC)チップ51が表面実装されている。給電コイル210とRFICチップ51とはプリント配線板40に形成されている配線50で接続されている。RFICチップ51は、メモリ回路やロジック回路を備えていて、給電回路として機能し、高周波信号を給電コイル210やブースターアンテナ110に供給する。基本的には、半導体ICチップとして構成されていて、ベアチップであってもよいし、パッケージされたチップであってもよい。
なお、グランドパターン41で遮蔽されない位置であれば、給電コイル210はプリント配線板40の下面(表示パネルや操作部側の面)に実装されていてもよい。
この実施形態によれば、ブースターアンテナ110に給電するための給電ピンやフレキシブルケーブルが不要であるので、ブースターアンテナ110の配置位置や取り付け構造についての自由度が高い。また、給電コイル210は端末筐体60の内部に配置され、表面付近のブースターアンテナとは電気的に絶縁されているので、このアンテナ装置301はその構造自体がESD(静電気放電)保護構造となっている。
なお、ブースターアンテナ110は、端末筺体60の樹脂部分に埋め込まれていてもよいし、端末筺体60に直接導体パターンが描かれることによって構成されていてもよい。
《他の実施形態》
以上に示した各実施形態では、ブースターコイルは矩形スパイラル状の導体パターンで構成したが、円形や三角形等のループ状の導体パターンで構成してもよい。また、ターン数は必要に応じて1ターンであってもよい。また、第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112は3層以上の複数層に設けられた複数のコイルパターンにてそれぞれ構成されていてもよい。
また、以上に示した各実施形態では、給電コイル210が第1ブースターコイル111および第2ブースターコイル112に対して主に磁界を介して結合する例を示したが、周波数帯域によっては主に電界を介して結合するようにしてもよい。さらには電界および磁界の両方を介して結合するようにしてもよい。これは高周波信号の場合に、給電コイルとブースターアンテナとの間の静電容量でも十分にエネルギーが伝達されるからである。
また、以上に示した各実施形態では、HF帯のRFIDデバイスに適用する例を示したが、本発明はHF帯に限らず例えばUHF帯のRFIDデバイスにも同様に適用できる。
また、以上に示した各実施形態では、各ブースターコイルが同一平面上に配置された例を示したが、各ブースターコイルの全体または一部が曲面に沿って配置されていてもよい。また、各ブースターコイルの全体または一部が折れ曲がっていてもよい。
また、以上に示した各実施形態では、給電コイル210に単一で共通の磁性体コアを設けたが、コイルパターン11とコイルパターン12とで個別の磁性体コアを備えてもよい。その場合には、コイルパターン11の入出力端子とコイルパターンの入出力端子とを分離し、プリント配線板上で直列または並列に接続されるように構成してもよい。
H1,H2…磁界
L11,L12,L13,L14…インダクタ
L21,L22…インダクタ
M1〜M6…相互インダクタンス
10…基材
11〜14…コイルパターン
20T,20B…非磁性体層
20C…磁性体層
21…第1コイルパターン
22…第2コイルパターン
21B,22B…部分コイルパターン
21C,22C…部分コイルパターン
31,32…入出力端子
40…プリント配線板
41…グランドパターン
50…配線
51…RFICチップ
60…端末筐体
110…ブースターアンテナ
111…第1ブースターコイル
112…第2ブースターコイル
120…ブースターアンテナ
210…給電コイル
301,302…アンテナ装置
401…通信端末装置

Claims (5)

  1. 第1ブースターコイルと第2ブースターコイルとで構成されるブースターアンテナと、このブースターアンテナに電磁界結合する給電コイルとを備え、
    前記第2ブースターコイルは、前記第1ブースターコイルに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1ブースターコイルにより生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されていて、
    前記給電コイルは、平面視で前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルの隣接部分を跨ぐように配置されていて、
    前記給電コイルは第1コイルパターンと第2コイルパターンとを備え、
    前記第1コイルパターンは、前記第1ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第1ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
    前記第2コイルパターンは、前記第2ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第2ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
    前記第2コイルパターンは、前記第1コイルパターンに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1コイルパターンにより生じる磁界の方向とは反対方向に磁界が生じるように巻回されている、
    ことを特徴とする、アンテナ装置。
  2. 前記第1コイルパターンおよび前記第2コイルパターンは、共通の磁性体コアに巻回されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルは、複数層に設けられた複数のコイルパターンにてそれぞれ形成されている、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 層方向に隣接する第1のブースターコイル同士または層方向に隣接する第2のブースターコイル同士の少なくとも一方は容量を介して結合している、請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. アンテナ装置およびこのアンテナ装置に接続された通信回路を備えた通信端末装置において、
    前記アンテナ装置は、
    第1ブースターコイルと第2ブースターコイルとで構成されるブースターアンテナと、このブースターアンテナに電磁界結合する給電コイルとを備え、
    前記第2ブースターコイルは、前記第1ブースターコイルに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1ブースターコイルにより生じる磁界の方向と同方向に磁界が生じるように巻回されていて、
    前記給電コイルは、前記第1ブースターコイルおよび前記第2ブースターコイルの隣接部分を跨ぐように配置されていて、
    前記給電コイルは第1コイルパターンと第2コイルパターンとを備え、
    前記第1コイルパターンは、前記第1ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第1ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
    前記第2コイルパターンは、前記第2ブースターコイルのコイル軸に対してほぼ直交するコイル軸を有し、前記第2ブースターコイルに電磁界を介して結合し、
    前記第2コイルパターンは、前記第1コイルパターンに隣接配置され且つ接続されていて、前記第1コイルパターンにより生じる磁界の方向とは反対方向に磁界が生じるように巻回されている、
    ことを特徴とする通信端末装置。
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