JP2013037896A - 硫化物固体電解質材料、リチウム固体電池、および、硫化物固体電解質材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、Li、P、S、I、A(Aは、Al、SiおよびGeの少なくとも一種である)を有する硫化物ガラスであり、PS4 3−構造を主体とするイオン伝導体を有し、上記イオン伝導体は、上記PS4 3−構造の一部のPが上記Aに置換された構造を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図4
Description
まず、本発明の硫化物固体電解質材料について説明する。本発明の硫化物固体電解質材料は、三つの実施態様に大別できる。本発明の硫化物固体電解質材料について、第一実施態様〜第三実施態様に分けて説明する。
第一実施態様の硫化物固体電解質材料は、Li、P、S、I、A(Aは、Al、SiおよびGeの少なくとも一種である)を有する硫化物ガラスであり、PS4 3−構造を主体とするイオン伝導体を有し、上記イオン伝導体は、上記PS4 3−構造の一部のPが上記Aに置換された構造を有することを特徴とするものである。
第二実施態様の硫化物固体電解質材料は、一般式xLiI・(100−x)LPSAで表される硫化物ガラスであり、上記LPSAは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{cLi2S・(1−c)Al2S3}であり、上記xは1≦x≦60であり、上記aは0<a≦0.5であり、上記bは0.70≦b≦0.80であり、上記cは0.70≦c≦0.80であることを特徴とするものである。
第三実施態様の硫化物固体電解質材料は、一般式xLiI・(100−x)LPSMで表される硫化物ガラスであり、上記LPSMは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{dLi2S・(1−d)MS2}であり、上記MS2は、SiS2およびGeS2の少なくとも一種であり、上記xは1≦x≦60であり、上記aは0<a≦0.5であり、上記bは0.70≦b≦0.80であり、上記dは0.62≦d≦0.72であることを特徴とするものである。
次に、本発明のリチウム固体電池について説明する。本発明のリチウム固体電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記固体電解質層の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするものである。
以下、本発明のリチウム固体電池について、構成ごとに説明する。
まず、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
次に、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
次に、本発明における固体電解質層について説明する。本発明における固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層であり、固体電解質材料から構成される層である。固体電解質層に含まれる固体電解質材料は、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。
本発明のリチウム固体電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、SUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、SUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム固体電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的なリチウム固体電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えば、SUS製電池ケース等を挙げることができる。
本発明のリチウム固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池として有用だからである。本発明のリチウム固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
次に、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について説明する。本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、三つの実施態様に大別できる。本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について、第一実施態様〜第三実施態様に分けて説明する。
第一実施態様の硫化物固体電解質材料の製造方法は、Li2S、P2S5、LiI、AS(ASは、Al2S3、SiS2、およびGeS2の少なくとも一種である)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、上記Li2Sと、上記P2S5および上記ASの合計との割合を、PS4 3−構造を主体とするイオン伝導体が得られる割合に調整することを特徴とするものである。
第二実施態様の硫化物固体電解質材料の製造方法は、Li2S、P2S5、LiI、Al2S3を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、上記原料組成物の組成を、一般式xLiI・(100−x)LPSAにおいて、上記LPSAは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{cLi2S・(1−c)Al2S3}であり、上記xは1≦x≦60であり、上記aは0<a≦0.5であり、上記bは0.70≦b≦0.80であり、上記cは0.70≦c≦0.80であるように調整することを特徴とするものである。
第三実施態様の硫化物固体電解質材料の製造方法は、Li2S、P2S5、LiI、MS2(MS2は、SiS2およびGeS2の少なくとも一種である)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、上記原料組成物の組成を、一般式xLiI・(100−x)LPSMにおいて、上記LPSMは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{dLi2S・(1−d)MS2}であり、上記xは1≦x≦60であり、上記aは0<a≦0.5であり、上記bは0.70≦b≦0.80であり、上記dは0.62≦d≦0.72であるように調整することを特徴とするものである。
出発原料として、硫化リチウム(Li2S、日本化学工業社製)、五硫化二リン(P2S5、アルドリッチ社製)、ヨウ化リチウム(LiI、アルドリッチ社製)および硫化アルミニウム(Al2S3)を用いた。次に、Li2S、P2S5およびAl2S3を、0.7(0.75Li2S・0.25P2S5)・0.3(0.75Li2S・0.25Al2S3)モル組成となるように秤量した。次に、LiIの割合が30mol%となるようにLiIを秤量した。秤量した出発原料をメノウ乳鉢で5分間混合し、その混合物2gを遊星型ボールミルの容器(45cc、ZrO2製)に投入し、脱水ヘプタン(水分量30ppm以下、4g)を投入し、さらにZrO2ボール(φ=5mm、53g)を投入し、容器を完全に密閉した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、40時間メカニカルミリングを行った。その後、100℃で乾燥することによりヘプタンを除去し、硫化物ガラスを得た。得られた硫化物ガラスのモル組成は、30LiI・70{0.7(0.75Li2S・0.25P2S5)・0.3(0.75Li2S・0.25Al2S3)}である。
組成が30LiI・70(0.75Li2S・0.25P2S5)となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして硫化物ガラスを得た。
比較例1で得られた硫化物ガラス0.5gをガラス管の中に入れ、そのガラス管をSUS製密閉容器に入れた。その密閉容器に対して、200℃で10時間熱処理を行い、ガラスセラミックスを得た。
(X線回折測定)
実施例1および比較例1で得られた硫化物ガラスに対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、リガク製RINT UltimaIIIを使用し、粉末XRD測定を行った。具体的には、ドーム状の治具中に硫化物ガラスを設置し、Arガス雰囲気中、2θ=10°〜60°の条件で測定を行った。その結果を図3に示す。図3に示すように、実施例1および比較例1で得られた硫化物ガラスは、いずれも非晶質化した硫化物ガラスであることが確認された。
実施例1および比較例1で得られた硫化物ガラスに対して、示差熱分析(DTA)を行った。DTA測定には、TG−DTA装置(METTLERT TOLEDO製、TGA/SDTA851e)を使用した。具体的には、アルミ容器内に硫化物ガラスを設置し、Arガス雰囲気中、昇温温度5℃/min、室温〜300℃の条件で測定を行った。その結果を図4に示す。図4に示すように、比較例1の硫化物ガラスの結晶化温度が約160℃であるのに対して、実施例1の硫化物ガラスの結晶化温度は約180℃であった。すなわち、PS4 3−構造の一部のPを、Alで置換することにより、耐熱性が向上することが確認された。
実施例1および比較例1で得られた硫化物ガラスに対して、交流インピーダンス法によるLiイオン伝導度(常温)の測定を行った。Liイオン伝導度の測定は以下のように行った。まず、サンプル粉末を4ton/cm2の圧力でコールドプレスすることで、φ11.29mm、厚さ約500μmのペレットを作製した。次に、ペレットを、Arガスで充填した不活性雰囲気の容器内に設置して測定を行った。測定には、東陽テクニカ社製のソーラトロン(SI1260)を用いた。また、恒温槽で測定温度を25℃に調整した。その結果を図5に示す。図5に示すように、実施例1および比較例1で得られた硫化物ガラスは、いずれも10−3S/cm以上の高いLiイオン伝導度を示した。すなわち、Li3PS4構造の一部のPを、Alで置換しても、Liイオン伝導度の低下が生じないことが確認された。
2 … 負極活物質層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … リチウム固体電池
Claims (8)
- Li、P、S、I、A(Aは、Al、SiおよびGeの少なくとも一種である)を有する硫化物ガラスであり、
PS4 3−構造を主体とするイオン伝導体を有し、
前記イオン伝導体は、前記PS4 3−構造の一部のPが前記Aに置換された構造を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料。 - Li2S、P2S5、LiI、AS(ASは、Al2S3、SiS2およびGeS2の少なくとも一種である)を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の硫化物固体電解質材料。
- 一般式xLiI・(100−x)LPSAで表される硫化物ガラスであり、
前記LPSAは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{cLi2S・(1−c)Al2S3}であり、
前記xは1≦x≦60であり、前記aは0<a≦0.5であり、前記bは0.70≦b≦0.80であり、前記cは0.70≦c≦0.80であることを特徴とする硫化物固体電解質材料。 - 一般式xLiI・(100−x)LPSMで表される硫化物ガラスであり、
前記LPSMは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{dLi2S・(1−d)MS2}であり、
前記MS2は、SiS2およびGeS2の少なくとも一種であり、
前記xは1≦x≦60であり、前記aは0<a≦0.5であり、前記bは0.70≦b≦0.80であり、前記dは0.62≦d≦0.72であることを特徴とする硫化物固体電解質材料。 - 正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、
前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム固体電池。 - Li2S、P2S5、LiI、AS(ASは、Al2S3、SiS2、およびGeS2の少なくとも一種である)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、
前記Li2Sと、前記P2S5および前記ASの合計との割合を、PS4 3−構造を主体とするイオン伝導体が得られる割合に調整することを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。 - Li2S、P2S5、LiI、Al2S3を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、
前記原料組成物の組成を、一般式xLiI・(100−x)LPSAにおいて、前記LPSAは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{cLi2S・(1−c)Al2S3}であり、 前記xは1≦x≦60であり、前記aは0<a≦0.5であり、前記bは0.70≦b≦0.80であり、前記cは0.70≦c≦0.80であるように調整することを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。 - Li2S、P2S5、LiI、MS2(MS2は、SiS2およびGeS2の少なくとも一種である)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程を有し、
前記原料組成物の組成を、一般式xLiI・(100−x)LPSMにおいて、前記LPSMは、{1−a}{bLi2S・(1−b)P2S5}・a{dLi2S・(1−d)MS2}であり、前記xは1≦x≦60であり、前記aは0<a≦0.5であり、前記bは0.70≦b≦0.80であり、前記dは0.62≦d≦0.72であるように調整することを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。
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