JP2013023417A - ガラス基板の加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化ガラスや肉厚ガラスのスクライブ加工において、スクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止する。
【解決手段】ガラス基板1の加工装置において、ガラス基板保持用テーブル10におけるガラス基板1の外周部に当たる位置に切溝21、22、23、24を刻設し、この切溝21、22、23、24に排水通路11を連通させる。これにより、ガラス基板1のスクライブ加工の際に、ガラス基板1に多量の水ミストを吹き付けても、余剰となった水ミストはガラス基板保持用テーブル10の切溝21、22、23、24に流れ込み、排水通路11を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板1とガラス基板保持用テーブル10との間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。
【選択図】図2
【解決手段】ガラス基板1の加工装置において、ガラス基板保持用テーブル10におけるガラス基板1の外周部に当たる位置に切溝21、22、23、24を刻設し、この切溝21、22、23、24に排水通路11を連通させる。これにより、ガラス基板1のスクライブ加工の際に、ガラス基板1に多量の水ミストを吹き付けても、余剰となった水ミストはガラス基板保持用テーブル10の切溝21、22、23、24に流れ込み、排水通路11を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板1とガラス基板保持用テーブル10との間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。
【選択図】図2
Description
本発明はスマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン、タッチテーブルのスクリーンやテレビのスクリーンなどに使用されるフラットパネルディスプレイ用ガラス、特にガラス表面を化学強化したアルミノケイ酸ガラスやフロートガラスに熱処理を加えて風冷強化した強化ガラス、あるいは厚さが3mm以上の肉厚ガラス(以下これらを強化ガラスと総称する)を加工するガラス基板の加工装置に関する。
最近ガラス割断において、過去1世紀にわたって使用されてきたダイヤモンドチップによる機械的方法に代わって、レーザビーム照射による熱応力スクライブ方法(以下レーザスクライブと略記する)が使用されるようになってきた。
レーザスクライブによれば、機械的方法に固有の欠点、すなわちマイクロクラック発生によるガラス強度の低下、割断時のカレット発生による汚染、適用板厚の下限値の存在などが一掃できる。
レーザスクライブにおいては一般に、ガラスを局所的に加熱し、気化、溶融やクラックが発生しない程度のレーザ光照射を行なう。この時ガラス加熱部は熱膨張しようとするが周辺ガラスからの反作用にあい十分な膨張ができず、この加熱領域には圧縮応力が発生する。周辺の非加熱領域でも、加熱部からの膨張に押されてさらに周辺に対して歪みが発生し、その結果圧縮応力が発生する。こうした圧縮応力は加熱中心点を原点とした半径方向のもので、加熱が発生後ほとんど音速でガラス板全域に伝播する。ところで物体に圧縮応力がある場合には、その直交方向にはポアソン比に比例した引っ張り応力が発生する。
引張り応力の存在位置に亀裂がある場合にはこの亀裂先端では応力拡大が発生し、この拡大された応力が材料の破壊靱性値を超えると亀裂が拡大する。すなわち、亀裂先端から加熱中心に向かって亀裂が進展するという制御された割断が生じることになる。したがって、レーザ照射点を先行走査することで、亀裂を延長させていくことができる。
ガラスのレーザスクライブはこの原理を使用しており、引張り応力の最大点付近に冷却を行なうと、このときガラスの収縮によって増幅される引張り応力が割断強化に役立ち、加熱と冷却の併用によって割断が効率よく実現できることが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1によれば、加熱用レーザ光としてはCO2レーザ光が使用される。CO2レーザ光のビームスポットにおけるエネルギーの99%は、ガラス板6の深さ3.7μmのガラス表面層において吸収され、ガラス板の全厚さにわたって透過しない。これは、CO2レーザ波長におけるガラスの吸収係数が著しく大きいことによる。この結果、加熱はガラス板の表面層のみで発生し、この加熱領域では圧縮応力が発生する。
一方、この加熱領域から外れた位置にある冷却点で冷却を行なうと引張り応力が発生し、この冷却点から後方に初亀裂を出発点とする表面スクライブが発生する。このスクライブの深さは、ソーダガラスなどでは通常100μm程度である。しかしながら、ガラス板は脆性が強く、このスクライブ線にあわせて曲げ応力を印加し機械的に割断することが容易である。この曲げ応力の印加によって割断するプロセスをブレイクと称する。レーザビームは走査方向の方向に走査される。この方法は従来方法である機械的方法に比較すれば数多くの長所があり、フラットパネルディスプレイ装置の生産に徐々に応用されるようになって来た。
一方、近年、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン、タッチテーブルのスクリーンやテレビのスクリーンなどのフラットパネルディスプレイ用ガラスとしてガラス表面の硬度を増すためにガラス表面を化学強化したアルミノケイ酸ガラスやフロートガラスに熱処理を加えて風冷強化した強化ガラス、あるいは厚さが3mm以上の肉厚ガラスなどの強化ガラスが活用されている。
特許文献1によるレーザスクライブ加工方法は、通常のソーダガラスの割断加工には問題はないが、強化ガラスの場合にはいくつかの課題がある。たとえば、強化ガラスの場合には初亀裂の形成も通常のダイヤモンドカッタなどの刃物でガラスの表面を引掻いて良好な初亀裂を形成することが極めて困難であり、パルス発振型のレーザを利用する方法など検討されている。
また、ガラス基板が強化ガラスである場合は、スクライブ溝の深さが浅いものしか加工できないので、強く化学処理したガラスほどブレイクが難しく、さらに、ガラスが厚い場合にもブレイクのために大きな力が必要になり難しくなる。このため、強化ガラスにスクライブ溝を形成するには、ブレイクを直線的かつ良好に行なえるようにある程度の深さのスクライブ溝を加工しなければならないが、このためには、レーザスクライブ加工時に冷却用の水ミストが多量に必要である。
ところがスクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けると、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込んでガラス基板の下面においてガラス基板の中央部、すなわち、スクライブ線の進行方向に向かって進入してしまい、レーザ加熱や冷却プロセスの制御が乱れてスクライブ溝の進行方向や深さに乱れが生じてしまい、所望のスクライブ溝が形成できないという課題がある。
本発明はこのような課題を解決するもので、ガラス基板、特に強化ガラスや肉厚ガラスのスクライブ加工において、スクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができるガラス基板の加工装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、ガラス基板を保持しているテーブルにおいて、ガラス基板の外周部に当たる位置に切溝を刻設し、この切溝に排水用の通路を連通させたものである。
上記構成によれば、ガラス基板、特にガラス基板が強化ガラスで形成されたガラス基板のスクライブ加工に際に、ガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、噴きつけ後に余剰となった水ミストはガラス基板の外周部における切溝に流れ、そこから連通する排水用の通路を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。したがって、水ミストがガラス基板の下面においてガラス基板の中央部、すなわち、スクライブ線の進行方向に向かって進入しないので、レーザ加熱や冷却プロセスの制御に乱れがなく、スクライブ溝の進行方向や深さに乱れがない良好なスクライブ溝を形成することができる。この結果、ブレイクを容易にし、しかもガラス基板の割断予定線の全体に亘ってブレイクが真直に走るようにすることができ、ブレイクの困難な強化ガラスでも確実に加工させることができる。
上記構成によれば、ガラス基板、特にガラス基板が強化ガラスで形成されたガラス基板のスクライブ加工に際に、ガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、噴きつけ後に余剰となった水ミストはガラス基板の外周部における切溝に流れ、そこから連通する排水用の通路を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。したがって、水ミストがガラス基板の下面においてガラス基板の中央部、すなわち、スクライブ線の進行方向に向かって進入しないので、レーザ加熱や冷却プロセスの制御に乱れがなく、スクライブ溝の進行方向や深さに乱れがない良好なスクライブ溝を形成することができる。この結果、ブレイクを容易にし、しかもガラス基板の割断予定線の全体に亘ってブレイクが真直に走るようにすることができ、ブレイクの困難な強化ガラスでも確実に加工させることができる。
また、本発明は、ガラス基板の外周辺がそれぞれ切溝の幅方向の略中央部に位置するように構成されたものである。
上記構成によれば、ガラス基板、特にガラス基板が強化ガラスで形成されたガラス基板のスクライブ加工に際に、ガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、噴きつけ後に余剰となった水ミストはガラス基板の外周部における切溝に流れ、そこから連通する排水用の通路を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。
上記構成によれば、ガラス基板、特にガラス基板が強化ガラスで形成されたガラス基板のスクライブ加工に際に、ガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、噴きつけ後に余剰となった水ミストはガラス基板の外周部における切溝に流れ、そこから連通する排水用の通路を通って加工装置の外部に排水されるので、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。
また、本発明は、ガラス基板保持テーブルに複数の大きさのガラス基板に対応した複数の切溝を刻設したものである。
上記構成によれば、一枚のガラス基板保持テーブルで大きさの異なる複数のガラス基板に対応させることができる。
上記構成によれば、一枚のガラス基板保持テーブルで大きさの異なる複数のガラス基板に対応させることができる。
また、本発明は、加工すべきガラス基板の大きさに応じた複数種のガラス基板保持テーブルを加工すべきガラス基板の大きさに応じて交換可能としたものである。
上記構成によれば、一台の加工装置で多種多様な大きさのガラス基板を加工することができる。
上記構成によれば、一台の加工装置で多種多様な大きさのガラス基板を加工することができる。
また、本発明は、ガラス基板が表面に強化層を形成した強化ガラスまたは厚さが3mm以上の肉厚ガラスとしたものである。
上記構成によれば、強化ガラスや肉厚ガラスのスクライブ加工において、スクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる
上記構成によれば、強化ガラスや肉厚ガラスのスクライブ加工において、スクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けても、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる
本発明によれば、ガラス基板を支持しているテーブルにおいて、ガラス基板の外周部に当たる位置に切溝を刻設し、この切溝に排水用の通路を連通させているので、スクライブ加工時に吹き付けられる多量の水ミストを吹き付けても、吹き付け後に余剰となった水ミストをガラス基板の外周部に形成された切溝から排水用の通路を通って加工装置の外部に排水させることができるので、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込むことを防止することができる。
本発明は、ガラス基板をガラス基板保持用テーブル上に支持し、ガラス基板の割断予定線に沿ってレーザビームで加熱後その加熱位置を冷却し、レーザビームの照射位置および冷却点をガラス基板に対して割断予定線に沿って相対的に移動させてガラス基板にスクライブを形成するガラス基板の加工装置において、ガラス基板保持用テーブルにおけるガラス基板の外周部に当たる位置に切溝を刻設し、この切溝に排水用の通路を連通させたものである。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による強化ガラスの加工装置の全体構成を示す概念図である。強化ガラスからなるガラス基板1はガラス基板保持テーブル10上に載置され、ガラス基板保持テーブル10はX−Y駆動装置によりX−Y平面において移動する。図においては、ガラスの移動方向であるY軸駆動用のサーボモータ8とシャフト軸9のみが示されており、X軸駆動系は図示省略されている。
ガラス基板1を加熱するレーザ発振器2は、ガラス基板1に対して不透明な波長のレーザ光線を出力するレーザ光源、例えば、波長10.6μmのレーザ光線を出力するCO2ガスレーザ光源が使用される。レーザ発振器2はたとえば最大出力100Wのガス封じ切り型が使用される。なお、ガラス基板1の表面強化層が厚かったりガラス基板1の厚さが3mm以上など厚い肉厚ガラスの場合にはブレイクが困難である場合がしばしばあるので、最大出力が200Wのレーザ発振器を使用することが好ましい。レーザ照射装置2から出力されるレーザビーム3は、反射鏡4により下向きに反射されてビーム変換装置12に入射される。
レーザ発振器2はたとえば最大出力100Wのガス封じ切り型が使用される。ガラス基板11の表面強化層が厚かったりガラス基板11の厚さが10mm以上など厚い場合には、ブレイクが困難である場合がしばしばあるので、最大出力が200Wのレーザ発振器を使用することが好ましい。
ビーム変換装置12は、平行に対向配置された全反射面および部分反射面を備えており、反射鏡4から反射された一本のレーザビーム3をビーム変換装置12に斜入射させると、レーザビーム3は全反射面および部分反射面の間において複数回多重反射して、部分反射面からビームエネルギーの一部を順次に透過することにより割断予定線の方向に配列した複数本のビームよりなるレーザビーム列5に変換される。このレーザビーム列5はガラス基板1に斜照射される。
複数本のビームよりなるレーザビーム列5の照射位置の前方には、ガラス基板1の割断予定線の始点に亀裂を形成するための初期亀裂形成装置6が設けられている。初期亀裂形成装置6はたとえばレーザ光になどの局所熱源やダイヤモンドカッタなどで構成される。
一方、複数本のビームよりなるビーム列5の照射位置の後方には、レーザビーム列5による加熱領域に間隔をあけて追従しながら加熱されたガラス基板1の表面に水ミストなどの冷媒を吹き付けて急冷却する冷却装置7が配置されている。
ガラス基板1の表面に吹き付けられた水ミストなどの冷媒は排水通路11を介して加工装置の外部に排水される。詳細は後述する。
ガラス基板1の表面に吹き付けられた水ミストなどの冷媒は排水通路11を介して加工装置の外部に排水される。詳細は後述する。
図2にガラス基板保持テーブル10の斜視図を示す。ガラス基板保持テーブル10の一主面には加工するガラス基板1が載置される。ガラス基板保持テーブル10には、載置されたガラス基板1の外周部に当たる位置に切溝21、22、23、24が刻設されている。ガラス基板1はその外周辺がそれぞれ切溝21、22、23、24の幅方向の略中央部に位置するように載置される。したがって、切溝21、22、23、24の刻設位置は加工すべきガラス基板1の大きさにより異なっている。
一般に加工すべきガラス基板1の大きさには用途によって異なるので、1つのガラス基板保持テーブル10に数種類の大きさのガラス基板1に対応した複数の切溝を刻設したり、加工すべきガラス基板1の大きさに応じた複数種のガラス基板保持テーブル10を用意しておき、加工すべきガラス基板1の大きさに呼応して交換可能なように構成することが好ましい。
次に、図1および図2により本発明によるガラス基板の加工装置の動作を説明する。
強化ガラスを加工するために、まず、ガラス基板1の割断予定線25の始端に初亀裂形成装置7により初亀裂26を形成する。この初亀裂26がガラス基板11の加工の出発位置となる。初亀裂26を形成するには、まず、ガラス基板保持テーブル10の上に載置されたガラス基板1をサーボモータ8により−Y方向に移動させ、ガラス基板1の割断予定線25の始端を初亀裂形成装置6の加工具の直下に位置させて、ガラス基板11の割断予定線25の始端に初亀裂26となるクラックを形成する。
強化ガラスを加工するために、まず、ガラス基板1の割断予定線25の始端に初亀裂形成装置7により初亀裂26を形成する。この初亀裂26がガラス基板11の加工の出発位置となる。初亀裂26を形成するには、まず、ガラス基板保持テーブル10の上に載置されたガラス基板1をサーボモータ8により−Y方向に移動させ、ガラス基板1の割断予定線25の始端を初亀裂形成装置6の加工具の直下に位置させて、ガラス基板11の割断予定線25の始端に初亀裂26となるクラックを形成する。
つぎに、初亀裂形成装置6をガラス基板1の表面から離間させ、ガラス基板保持テーブル10の上に載置されたガラス基板1をサーボモータ8により+Y方向に移動させながら、レーザ照射装置2を発振させてレーザビーム3を出射する。出射されたレーザビーム3は、反射鏡4により下向きに反射されてビーム変換装置12に斜入射され、ビーム変換装置12の全反射面および部分反射面の間において複数回多重反射して、部分反射面から割断予定線25の方向に配列した複数本のビームよりなるレーザビーム列5に変換されてガラス基板1に斜照射される。この結果、ガラス基板1は初亀裂26を始端として割断予定線12に沿ってレーザビーム列5により加熱される。可動式テーブル10をサーボモータ8によりさらに+Y方向に移動させるとガラス基板1もさらに+Y方向に移動し、レーザビーム列5により加熱された領域は冷却装置7の真下の位置に達する。このとき、冷却装置7から冷媒となる水ミストを噴射すると、ガラス基板1は冷却点直下で初亀裂26から拡大した亀裂がガラス基板11の板厚方向に発生する。
初亀裂26の付近で板厚方向に拡大した亀裂は、レーザビーム列5および冷却点の組み合わせがガラス基板1に対して相対的に移送するのに伴って、割断予定線12に沿って亀裂を拡大させることができる。この結果、ガラス基板11表面にスクライブ溝27が形成される。
ところで、ガラス基板1が強化ガラスである場合、亀裂を進展させるためにはレーザビーム列5のパワー密度は大きく、また、冷却に使用される水ミストの量も多量に使用しないと十分な深さのスクライブ溝27を形成することができない。ところが前述したように、スクライブ加工時にガラス基板に多量の水ミストを吹き付けると、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込んでガラス基板の下面においてガラス基板の中央部、すなわち、スクライブ溝27の進行方向に向かって進入するおそれがある。
この現象を防ぐために、本発明においては図2に示すように、ガラス基板保持テーブル10には載置されたガラス基板1の外周部に当たる位置に切溝21、22、23、24が刻設されている。したがって、スクライブ加工時に多量に吹き付けられたミストの水はこの切溝21、22、23、24に流れ込み、切溝21、22、23、24に連結された排水通路11を介して加工装置の外部に排水される。排水された水は必要に応じてろ過後冷却装置7に再利用することができる。
このように、本発明によれば、強化ガラスのレーザスクライブにおいて、ブレイクを直線的かつ良好に行なえるようにある程度の深さのスクライブ溝27を加工する場合に多量の水ミストを使用しても、ガラス基板とガラス基板を支持しているテーブルとの間の隙間にミストの水が入り込んでガラス基板の下面においてガラス基板の中央部、すなわち、スクライブ溝27の進行方向に向かって進入することを防止することができる。したがって、レーザ加熱や冷却プロセスの制御が乱れてスクライブ溝27の進行方向や深さに乱れが生じることがなく、所望のスクライブ溝27を確実に形成することができる。
本発明による強化ガラスの加工装置は、近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイや携帯電話、携帯端末などの表示装置用に用いられているガラス表面に強化層を形成した強化ガラスや厚さが厚い厚ガラスの鏡面割断に適用して好適である。
1 ガラス基板
2 レーザ発振器
3 レーザビーム
4 反射鏡
5 レーザビーム列
6 初期亀裂形成装置
7 冷却装置
8 サーボモータ
9 シャフト軸
10 ガラス基板保持テーブル
12 ビーム変換装置
21、22、23、24 切溝
25 割断予定線
26 初亀裂
27 スクライブ溝
2 レーザ発振器
3 レーザビーム
4 反射鏡
5 レーザビーム列
6 初期亀裂形成装置
7 冷却装置
8 サーボモータ
9 シャフト軸
10 ガラス基板保持テーブル
12 ビーム変換装置
21、22、23、24 切溝
25 割断予定線
26 初亀裂
27 スクライブ溝
Claims (5)
- ガラス基板をガラス基板保持用テーブル上に支持し、ガラス基板の割断予定線に沿ってレーザビームで加熱後その加熱位置を冷却し、レーザビームの照射位置および冷却点をガラス基板に対して割断予定線に沿って相対的に移動させてガラス基板にスクライブを形成するガラス基板の加工装置であって、ガラス基板保持用テーブルにおけるガラス基板の外周部に当たる位置に切溝を刻設し、この切溝に排水用の通路を連通させたことを特徴とするガラス基板の加工装置。
- ガラス基板の外周辺がそれぞれ切溝の幅方向の略中央部に位置するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の加工装置。
- ガラス基板保持テーブルに複数の大きさのガラス基板に対応した複数の切溝を刻設したことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の加工装置。
- 加工すべきガラス基板の大きさに応じた複数種のガラス基板保持テーブルを加工すべきガラス基板の大きさに応じて交換可能としたことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の加工装置。
- ガラス基板が表面に強化層を形成した強化ガラスまたは厚さが3mm以上の肉厚ガラスであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011160733A JP2013023417A (ja) | 2011-07-22 | 2011-07-22 | ガラス基板の加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2011160733A Withdrawn JP2013023417A (ja) | 2011-07-22 | 2011-07-22 | ガラス基板の加工装置 |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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