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JP2013011306A - 変速駆動装置 - Google Patents

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JP2013011306A
JP2013011306A JP2011144415A JP2011144415A JP2013011306A JP 2013011306 A JP2013011306 A JP 2013011306A JP 2011144415 A JP2011144415 A JP 2011144415A JP 2011144415 A JP2011144415 A JP 2011144415A JP 2013011306 A JP2013011306 A JP 2013011306A
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Abstract

【課題】電動アクチュエータのクラッチに故障等が発生した場合であっても、より低速のギヤへのギヤ入れが可能な変速駆動装置を提供すること。
【解決手段】電動アクチュエータ21は、正逆回転可能な単一の電動モータ23を備えている。電動モータ23とシフト変換機構24との間にはシフト用電磁クラッチ43が介装され、また、電動モータ23とセレクト駆動機構25との間にはセレクト用電磁クラッチ45が介装されている。セレクト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の軸方向移動距離Xは、シフト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16の他端部16bの移動距離Xよりも大きく設定されている。クラッチ故障の発生時には、電動モータ23を第1回転方向R11に回転駆動しつつ、シフト用およびセレクト用電磁クラッチ43,45の双方をそれぞれ接続状態にする。
【選択図】図4

Description

この発明は、変速機構を駆動するための変速駆動装置に関する。
従来から、マニュアルトランスミッションの変速が自動化された自動制御式マニュアルトランスミッション(Automated Manual Transmission)の変速装置が知られている。このような変速装置には、変速機構を駆動するための電動アクチュエータが備えられている。
たとえば特許文献1には、1つの電動モータを用いて、シフト動作およびセレクト動作の両方を実現させる電動アクチュエータが記載されている。この電動アクチュエータは、単一のモータと断続可能な単一のクラッチとを有しており、シフト動作とセレクト動作との実行により、変速機構の変速段を切換え可能に設けられている。
また、特許文献2には、ギヤの接続/切断における故障が発生している場合にも走行可能な自動車の駆動装置が提案されている。
特開平10−148256号公報 特開2008−128454号公報
本願発明者は、単一のモータと、断続可能な2つのクラッチとを有する電動アクチュエータを用いて、変速段切換え用の変速操作部材を、シフト動作とセレクト動作との間で切り換える構成を検討している。
このような電動アクチュエータは、単一の電動モータと、当該電動モータからの動力を用いて変速操作部材にシフト動作をさせるシフト駆動伝達機構と、電動モータからの動力を用いて変速操作部材にセレクト動作をさせるセレクト伝達機構とを含んでいる。この電動アクチュエータは、たとえば、電動モータとシフト駆動伝達機構との間に断続可能に設けられた第1電磁クラッチ、および電動モータとセレクト伝達機構との間に断続可能に設けられた第2電磁クラッチを備えている。変速操作部材にシフト動作をさせるときには、第1電磁クラッチを接続するとともに第2電磁クラッチを切断する。一方、変速操作部材にセレクト動作をさせるときには、第1電磁クラッチを切断するとともに第2電磁クラッチを接続する。言い換えれば、接続対象の電磁クラッチを、第1電磁クラッチと第2電磁クラッチとの間で選択的に切り換えることにより、電動モータの動力の伝達先を、シフト駆動伝達機構とセレクト伝達機構との間で切り換えることができる。
ところで、このような変速駆動装置において、第1および/または第2電磁クラッチや、これらを駆動するための駆動回路に故障が生じると、第1および/または第2電磁クラッチが接続状態のまま切断されない状態になる。
通常、車両の走行中に何らかの異常が生じると、運転者は走行中の車両を直ちに停止させ、異常箇所の特定や車両の点検などを行う。そして、異常の原因がクラッチにおける前述のような故障である場合には、車両を修理工場などに運び修理を行う必要があるので、当該車両を修理工場まで自走させる必要がある。また、取り敢えず車両を路側帯のような安全な場所に車両を移動させたいような場合もある。
そして、点検等の後において、車両を発進させるためには変速機構が低速ギヤにギヤ入れされている必要があるが、前述のような故障である場合にはシフト動作とセレクト動作との切換えが行えないので、電動モータを駆動させても所望の変速操作(シフト動作またはセレクト動作)を行えない場合がある。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、電動アクチュエータのクラッチに故障等が発生した場合であっても、より低速のギヤへのギヤ入れが可能な変速駆動装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ギヤ式の変速機構に搭載される変速駆動装置(3)であり、前記変速機構を操作するための変速操作部材(15)を有する変速駆動装置であって、正逆回転可能な単一の電動モータ(23)と、前記電動モータからの動力伝達を断続可能な第1クラッチ(43)と、前記第1クラッチを介して前記変速操作部材に入力される前記電動モータからの動力を用いて、前記変速操作部材にシフト動作をさせる第1駆動伝達機構(24)と、前記電動モータからの動力伝達を断続可能な第2クラッチ(45)と、前記第2クラッチを介して前記変速操作部材に入力される前記電動モータからの動力を用いて、前記変速操作部材にセレクト動作をさせる第2駆動伝達機構(25)とを含み、前記電動モータの所定の第1回転方向(R11)への回転状態において、前記電動モータの駆動力が前記第1駆動伝達機構に入力されると、前記第1駆動伝達機構が前記変速操作部材を減速方向(R1)にシフト動作させるとともに、前記電動モータの駆動力が前記第2駆動伝達機構に入力されると、前記第2駆動伝達機構が前記変速操作部材を減速方向(M11)にセレクト動作させるようになっており、前記第1および第2駆動伝達機構は、前記第2駆動伝達機構の駆動による、前記電動モータ単位回転当りの前記変速操作部材の移動量(X)が、前記第1駆動伝達機構の駆動による、前記電動モータ単位回転当りの前記変速操作部材の移動量(X)よりも大きくなるように構成されている、変速駆動装置である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ第1クラッチを接続状態にすることにより、第1駆動伝達機構が変速操作部材を減速方向にシフト動作させる。また、電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ第2クラッチを接続状態にすることにより、第2駆動伝達機構が変速操作部材を減速方向にセレクト動作させる。電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にすることにより、電動モータからの動力が第1および第2駆動伝達機構にそれぞれ入力され、これにより第1および第2駆動伝達機構が変速操作部材をそれぞれ駆動する。
また、第2駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量が、第1駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量よりも大きい。したがって、電動モータからの動力が第1および第2駆動伝達機構にそれぞれ入力されると、変速操作部材はセレクト動作を主要なものとして行い、シフト動作を二次的に行う。その結果、セレクト動作に先立ってシフト動作を実行することができるので、シフト動作およびセレクト動作のそれぞれを良好に実行することができる。
第1および/または第2クラッチに関連して、当該クラッチが切断されずに接続状態が続くという故障が発生する場合がある。しかしながら、このような場合であっても、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にし、かつ電動モータを減速方向に回転駆動させることにより、より低速のギヤにギヤ入れすることができる。これにより、車両を発進させることができる。
また、請求項2記載の発明は、前記変速操作部材は、中心軸線(17)を有し、前記中心軸線周りの回転によってシフト動作をし、軸方向移動によってセレクト動作をするシフトセレクト軸(15)を含み、前記第1駆動伝達機構は、前記第1クラッチを介して入力される前記電動モータからの動力を用いて前記シフトセレクト軸にシフト動作をさせる手段を含み、前記第2駆動伝達機構は、前記第2クラッチを介して入力される前記電動モータからの動力を用いて前記シフトセレクト軸にセレクト動作をさせる手段を含む、請求項1記載の変速駆動装置である。
この構成によれば、電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ第1クラッチを接続状態にすることにより、シフトセレクト軸が減速方向に回転移動し、この回転移動により、シフトセレクト軸が減速方向のシフト動作を実行する。また、電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ第2クラッチを接続状態にすることにより、シフトセレクト軸が減速方向に軸方向移動し、この軸方向運動により、シフトセレクト軸が減速方向のセレクト動作を実行する。電動モータを第1回転方向に回転駆動しつつ、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にすることにより、電動モータからの動力が第1および第2駆動伝達機構にそれぞれ入力され、これにより第1および第2駆動伝達機構が変速操作部材をそれぞれ駆動する。
また、第2駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量が、第1駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量よりも大きい。したがって、電動モータからの動力が第1および第2駆動伝達機構にそれぞれ入力されると、シフトセレクト軸は主として軸方向移動し、回転動作を二次的に行う。その結果、セレクト動作に先立ってシフト動作を実行することができるので、シフト動作およびセレクト動作のそれぞれを良好に実行することができる。
また、前記電動モータならびに前記第1および第2クラッチを駆動するための制御装置(88)をさらに含み、前記制御装置は、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にするとともに、前記電動モータを、前記減速回転方向に回転させる第1制御手段(88)とを含んでいてもよい(請求項3)。
請求項4記載の発明は、前記第1および第2クラッチの少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段(87,88,89)をさらに含み、前記第1制御手段は、前記故障判定手段が故障と判定したことに応じて実行開始する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置である。
この構成によれば、故障判定手段によって故障と判定されることにより、電動モータを減速方向に回転駆動するとともに、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にする。これにより、第1および/または第2クラッチに関連して故障が発生している場合であっても、より低速のギヤにギヤ入れすることが可能であり、ゆえに車両の発進を実現することができる。
本発明の一実施形態の変速駆動装置が適用された変速装置の概略構成の分解斜視図である。 インターナルレバーの位置と、変速機のシフト位置との関係を示す図である。 図1に示す電動アクチュエータの構成を示す斜視図である。 図1に示す電動アクチュエータの構成を示す断面図である。 図4の切断面線V‐Vで切断したときの断面図である。 クラッチ故障時における、電動アクチュエータのECUの処理の流れを示すフローチャートである。 クラッチ故障時におけるシフト動作およびセレクト動作を示す図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の変速駆動装置3が適用された変速装置1の概略構成の分解斜視図である。変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。
変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行軸歯車動力伝達機構により構成された動力伝達機構(変速機構)と、動力伝達機構の動力伝達経路を、複数の動力伝達経路の間で切り換えるための変速操作機構6と、これら動力伝達機構および変速操作機構6を収容するギヤハウジング7とを備えている。変速機2は、乗用車やトラックなどの車両に搭載されている。動力伝達機構における動力伝達経路の切換えにより、動力伝達比を異ならせることができる。
変速操作機構6は、ギヤハウジング7内に収容され、互いに平行に延びる複数のフォーク軸10A,10B,10Cを有している。フォーク軸10Aは軸方向M1,M2に移動可能に設けられている。フォーク軸10Bは軸方向M3,M4に移動可能に設けられている。フォーク軸10Cは軸方向M5,M6に移動可能に設けられている。軸方向M1、M3およびM5は、互いに同じ方向を向きかつ互いに並行な軸方向である。軸方向M2、M4およびM6は、それぞれ、軸方向M1、M3およびM5と逆向きの軸方向である。
フォーク軸10A,10B,10Cは、軸方向M1,M3,M5(M2,M4,M6)から見て一直線上に位置するように並置されている。各フォーク軸10A,10B,10Cの途中部には、変速駆動装置3によって駆動されるフォークヘッド12A,12B,12Cが固定されている。これらのフォークヘッド12A,12B,12Cは、軸方向M1,M3,M5に関して揃っている。各フォークヘッド12A,12B,12Cは変速駆動装置3に対向する対向面を有している。各対向面は同一平面を有している。各対向面には、係合凹所14A,14B,14Cが形成されている。各係合凹所14A,14B,14Cは、フォーク軸10A〜10Cの軸方向M1〜M6に直交する内壁200A(図2参照)を有している。また、両端側の係合凹所14A,14Cは、シフトセレクト軸15の軸方向M11,M12に沿う方向に直交し、各係合凹所14A,14Cの両端側の側面を閉塞する内壁200B(図2参照)を有している。係合凹所14A,14B,14Cには、インターナルレバー16の他端部16bが進入しており、他端部16bが係合凹所14A,14B,14Cの内壁200Aおよび内壁200Bに当接することにより、フォークヘッド12A,12B,12Cと係合している。インターナルレバー16の他端部16bは、係合凹所14A,14B,14Cの内部空間を通って、各フォークヘッド12A,12B,12Cとの係合のための係合位置(各中立位置)間を移動することができる。
また、各フォーク軸10A,10B,10Cには、動力伝達機構の動力伝達経路を切り換えるために操作される被操作部材(図示しない。たとえばクラッチスリーブなど)と係合するためのシフトフォーク11(図1では、フォーク軸10Aに設けられたシフトフォーク11のみを示す。)が固定されている。シフトフォーク11の軸方向M1〜M6移動により、シフトフォーク11を被操作部材に係合させることができ、その被操作部材を駆動することができる。なお、図1には係合凹所14A,14B,14Cとして係合溝が示されているが、係合溝に代えて係合孔を採用してもよいのは言うまでもない。
変速駆動装置3は、変速操作機構6にシフト動作を行わせるための円柱状のシフトセレクト軸15と、シフトセレクト軸15をシフト動作させるための駆動源として用いられる電動アクチュエータ(回転駆動手段)21とを備えている。シフトセレクト軸15は中心軸線17を有している。シフトセレクト軸15はギヤハウジング7に、中心軸線17まわりに回転方向R1,R2に回転可能に、かつ軸方向M11,M12に移動可能に支持されている。シフトセレクト軸15はフォーク軸10A,10B,10Cのそれぞれといわゆる90°の食い違い軸の関係をなす状態に配置されている。回転方向R2は回転方向R1と逆向きの回転方向である。軸方向M12は、軸方向M11と逆向きの軸方向である。
シフトセレクト軸15の途中部には、ギヤハウジング7内に収容されるインターナルレバー16の一端16aが固定されている。インターナルレバー16は、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに、シフトセレクト軸15と同伴回転する。シフトセレクト軸15の先端部(図1に示す右上部)は、ギヤハウジング7外に突出している。この実施形態では、変速装置1を車両に搭載した状態で、図5のシフトセレクト軸15が水平方向(図5では鉛直方向。または鉛直方向に近い方向)に沿って延びている。たとえば、図5に示すように、シフトセレクト軸15の紙上上部側を軸方向M11とし、シフトセレクト軸15の紙上下部側を軸方向M12とする。
電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15がその軸方向M11,M12移動されると、インターナルレバー16が軸方向M11,M12に移動される。その結果、インターナルレバー16の他端部16bが所要のフォークヘッド12A,12B,12Cに係合し、これによりセレクト動作が達成される。
一方、電動アクチュエータ21によりシフトセレクト軸15がその中心軸線17まわりに回転されると、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動する。その結果、インターナルレバー16と係合しているフォークヘッド12A,12B,12Cが、フォーク軸10A,10B,10Cの軸方向M1〜M6に移動し、これにより、シフト動作が達成される。
図2は、インターナルレバー16の他端部16bの位置と、変速機2のシフト位置との関係を示す図である。図2では、インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N2にある状態を示している(図2中に太字の実線で図示)。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中の1速シフト位置(図2中に「1速」と記載。)にあるとき(ギヤ入れされているとき)、変速機構(動力伝達機構)の1速出力用の出力ギヤに被操作部材が噛み合い状態で係合している。その噛み合いにより、出力ギヤが1速である。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中の2速シフト位置(図2中に「2速」と記載。)にあるとき、変速機構の2速出力用の出力ギヤに、被操作部材が噛み合い状態で係合している。これにより、出力ギヤが2速である。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中の3速シフト位置(図2中に「3速」と記載。)にあるとき、変速機構の3速出力用の出力ギヤに、被操作部材が噛み合い状態で係合している。これにより、出力ギヤが3速である。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中の4速シフト位置(図2中に「4速」と記載。)にあるとき、変速機構の4速出力用の出力ギヤに、被操作部材が噛み合い状態で係合している。これにより、出力ギヤが4速である。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中の5速シフト位置(図2中に「5速」と記載。)にあるとき、変速機構の5速出力用の出力ギヤに、被操作部材が係合している。これにより、出力ギヤが5速である。
インターナルレバー16の他端部16bが図2中のリバースシフト位置(図2中に「R」と記載。)にあるとき、変速機構のリバース出力用の出力ギヤに、被操作部材が係合している。これにより、出力ギヤがリバースである。
また、インターナルレバー16に係合しているフォークヘッド12A〜12Cに対応するフォーク軸10A〜10Cが軸方向移動していない位置を中立位置N1,N2,N3という。前述の中立位置N2とは、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Bに係合している中立位置を言う。また、中立位置N1とは、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Aに係合している中立位置を言い、中立位置N3とは、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Cに係合している中立位置を言う。中立位置N1,N2,N3にあるときは、出力ギヤは中立であり、インターナルレバー16の他端部16bと係合しているフォークヘッド12A,12B,12Cに対応するシフトフォーク11は、被操作部材に係合していない。
1速シフト位置および2速シフト位置は互いに共通のセレクト位置にあり、換言すれば、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Aに係合している。3速シフト位置および4速シフト位置は互いに共通のセレクト位置にあり、換言すれば、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Bに係合している。5速シフト位置およびリバースシフト位置は互いに共通のセレクト位置にあり、換言すれば、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Cに係合している。
また、1速シフト位置、3速シフト位置および5速シフト位置はそれぞれ、中立位置N1,N2,N3から見て共通する方向(減速方向側。図2中の白抜矢符E1、E3およびE5で示す方向。)に位置している。2速シフト位置、4速シフト位置およびリバースシフト位置はそれぞれ、中立位置N1,N2,N3から見て共通する方向(減速方向反対側。図2中の白抜矢符E2、E4およびE6で示す方向。)に位置している。また、1速シフト位置、3速シフト位置および5速シフト位置はそれぞれ、2速シフト位置、4速シフト位置およびリバースシフト位置と逆方向に位置している。
次に、図1および図2を参照して、1速→2速→3速→4速→5速のシフトアップについて説明する。
中立位置N2から1速へのギヤ入れについて説明する。インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N2にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が軸方向M11移動させられ(図2中の白抜矢符D2。)、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Aと係合する(中立位置N1に位置する。)。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられ、これに同伴してインターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Aおよびフォーク軸10Aが軸方向M1移動させられる(図2中の白抜矢符E1。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の1速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより1速へのギヤ入れが達成される。
次に、1速から2速へのギヤ入れについて説明する。インターナルレバー16の他端部16bが前記の1速シフト位置にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転方向R2に回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Aおよびフォーク軸10Aが軸方向M2移動させられて(図2中の白抜矢符E1と反対方向。)、インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N1に位置する。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転方向R2にさらに回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Aおよびフォーク軸10Aが軸方向M2移動させられる(図2中の白抜矢符E2。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の2速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより2速へのギヤ入れが達成される。
次に、2速から3速へのギヤ入れについて説明する。インターナルレバー16の他端部16bが前記の2速シフト位置にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Aおよびフォーク軸10Aが軸方向M1移動させられて(図2中の白抜矢符E2と反対方向。)、インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N1に位置する。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が軸方向M12移動させられ(図2中の白抜矢符D2と反対方向。)、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Bと係合する(中立位置N2に位置する。)。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられる。このシフトセレクト軸15の回転に同伴してインターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Bおよびフォーク軸10Bが軸方向M3移動させられる(図2中の白抜矢符E3。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の3速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより3速へのギヤ入れが達成される。
次に、3速から4速へのギヤ入れについて説明する。インターナルレバー16の他端部16bが前記の3速シフト位置にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転方向R2に回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Bおよびフォーク軸10Bが軸方向M4移動させられて(図2中の白抜矢符E3と反対方向。)、インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N2に位置する。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転方向R2にさらに回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Bおよびフォーク軸10Bが軸方向M4移動させられる(図2中の白抜矢符E4。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の4速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより4速へのギヤ入れが達成される。
次に、4速から5速へのギヤ入れについて説明する。インターナルレバー16の他端部16bが前記の4速シフト位置にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられ、これに同伴してインターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Bおよびフォーク軸10Bが軸方向M3移動させられ(図2中の白抜矢符E4と反対方向。)、インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N2に位置する。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が軸方向M12移動させられ(図2中の白抜矢符D1。)、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Cと係合する(中立位置N3に位置する。)。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられる。このシフトセレクト軸15の回転に同伴してインターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Cおよびフォーク軸10Cが軸方向M5移動させられる(図2中の白抜矢符E5。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の5速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより5速へのギヤ入れが達成される。
また、1速シフト位置、3速シフト位置および5速シフト位置はそれぞれ、中立位置N1,N2,N3から見て共通する方向(減速方向側。図2に示す左側。)に位置している。2速シフト位置、4速シフト位置およびリバースシフト位置はそれぞれ、中立位置N1,N2,N3から見て共通する方向(減速方向反対側。図2に示す右側。)に位置している。また、1速シフト位置、3速シフト位置および5速シフト位置はそれぞれ、2速シフト位置、4速シフト位置およびリバースシフト位置と逆方向に位置している。
換言すると、シフト動作に関する減速方向とは、シフトセレクト軸15を回転方向R1に回転させる方向を言い、また、中立位置N1,N2,N3から見て、それぞれ1速シフト位置、3速シフト位置および5速シフト位置の方向(図2中の白抜矢符E1、E3およびE5。)、ならびに2速シフト位置および4速シフト位置から見て、それぞれ中立位置N1,N2の方向(図2中の白抜矢符E2およびE4のそれぞれの反対方向。)を言う。
また、換言すると、セレクト動作に関する減速方向とは、シフトセレクト軸15を軸方向M11へ移動させる方向を言い、中立位置N3から中立位置N2に向かう方向(図2中の白抜矢符D1の反対方向。)、ならびに中立位置N2から中立位置N1に向かう方向(図2中の白抜矢符D2。)を言う。
図3は、電動アクチュエータ21の構成を示す斜視図である。図4は、電動アクチュエータ21の構成を示す断面図である。図5は、図4の切断面線V‐Vで切断したときの断面図である。なお、図3では、シフトセレクト軸15の図示を省略している。以下、図3〜図5を参照して、電動アクチュエータ21の構成について説明する。
電動アクチュエータ21は、有底略筒状のハウジング22を備えている。電動アクチュエータ21は、ギヤハウジング7(図1参照)の外表面または車両の所定箇所に固定されている。
電動アクチュエータ21は、たとえばブラシレスモータからなる電動モータ23と、電動モータ23の回転トルクを、シフトセレクト軸15を中心軸線17まわりに回転させる力に変換するためのシフト変換機構(第1駆動伝達機構)24と、電動モータ23の回転トルクを、シフトセレクト軸15をその軸方向M11,M12(図4の紙面に直交する方向。図5に示す上下方向)に移動させる力に変換するためのセレクト変換機構(第2駆動伝達機構)25と、電動モータ23の回転駆動力の伝達先を、シフト変換機構24とセレクト変換機構25との間で切り換えるため切換ユニット26とを備えている。このうちシフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26はハウジング22内に収容されている。
ハウジング22の開口部(図4に示す左側)は、略板状の蓋27によって閉塞されている。このハウジング22および蓋27は、それぞれたとえば鋳鉄やアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されており、蓋27の外周がハウジング22の開口部に嵌め合わされている。蓋27にはその内面(図4に示す右面)と外面(図4に示す左面)とを貫通する円形の貫通孔29が形成されている。また、蓋27の外面には、電動モータ23の本体ケーシングが固定されている。電動モータ23は、第1回転方向R11(たとえば正方向)と第2回転方向R12(たとえば逆方向)とに正逆回転可能なモータであり、この電動モータ23としてたとえばブラシレスモータが採用されている。電動モータ23は、その本体ケーシングがハウジング22外に露出するように取り付けられている。電動モータ23の出力軸40は、シフトセレクト軸15と、食い違い角が90°の食い違い角の関係をなして配置されている。軸方向M11,M12(図5参照)と直交する所定の方向(図4に示す左右方向)に沿って延びている。出力軸40は蓋27の貫通孔29を介してハウジング22の内部に臨んでおり、切換ユニット26に対向している。
図5に示すように、ハウジング22は、シフトセレクト軸15における先端(図5に示す下端)側の部分や、シフト変換機構24の各構成部品を主に収容する略箱状の主ハウジング22Aを含んでいる。主ハウジング22Aは、第1側壁111(図5参照)と、第2側壁112(図5参照)と、シフトセレクト軸15における先端部よりもやや基端寄りを支持するための第1の軸ホルダ113(図5参照)と、シフトセレクト軸15の先端部を収容支持するための第2の軸ホルダ114(図5参照)と備えている。
第1側壁111の内側の側面は、平坦面からなる第1内壁面111A(図5参照)である。第2側壁112の内側の側面は、平坦面からなる第2内壁面112A(図5参照)である。第2内壁面112Aは第1内壁面111Aと対向し、第1内壁面111Aと平行に形成されている。
第1の軸ホルダ113は、第1側壁111の外壁面(第1内壁面111Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば円柱状に形成されている。第1の軸ホルダ113は第1側壁111と一体的に形成されている。第1の軸ホルダ113および第1側壁111には、断面円形の挿通孔104が形成されている。挿通孔104は第1の軸ホルダ113および第1側壁111を、それらの厚み方向(図5に示す上下方向)に貫通している。挿通孔104には、シフトセレクト軸15が挿通されている。
挿通孔104の内周壁には、第1すべり軸受101(図5参照)が内嵌固定されている。第1すべり軸受101は、挿通孔104に挿通されているシフトセレクト軸15の途中部(先端部よりもやや基端寄り)の外周を取り囲み、シフトセレクト軸15の途中部の外周を摺接支持している。
第2の軸ホルダ114は、第2側壁112の外壁面(第2内壁面112Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば略円筒状に形成されている。第2の軸ホルダ114は第2側壁112と一体的に形成されている。第2の軸ホルダ114の内周面および底面によって、シフトセレクト軸15の先端部(図5に示す下端部)を収容する円柱状の先端部収容溝115(図5参照)が区画されている。先端部収容溝115の内周壁は、円筒状の挿通孔104と同軸の中心軸線を有する円筒状に形成されている。
先端部収容溝115の内周壁には、第2すべり軸受102(図5参照)が内嵌固定されている。第2すべり軸受102は、先端部収容溝115に収容されているシフトセレクト軸15の先端部の外周を取り囲んで、当該先端部の外周を摺接支持している。シフトセレクト軸15は、これら第1および第2すべり軸受101,102によって、その中心軸線17まわりに回転可能にかつ軸方向M11,M12移動可能に支持されている。
挿通孔104における第1すべり軸受101の外側の部分には、ごみや埃がハウジング22内(主ハウジング22A内)に進入しないように、挿通孔104の内周壁とシフトセレクト軸15の外周との間をシールするためのシール部材103が介装されている。
第1の軸ホルダ113において、厚み方向(図5に示す上下方向)に関しシール部材103と第1すべり軸受101との間には、ロックボール106が配設されている。具体的には、挿通孔104の内周壁と、第1の軸ホルダ113の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックボール106が収容されている。ロックボール106は、円筒状の先端部収容溝115の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向(直交方向)に延び、略円筒状をなすともに、当該方向(直交方向)に沿って移動可能に設けられている。ロックボール106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
シフトセレクト軸15の外周には、軸方向M11,M12に間隔を空けて、周方向に延びる複数本(たとえば3本)の係合溝107が形成されている。各係合溝107は全周にわたって設定されている。ロックボール106がその長手方向に移動することにより、先端部が挿通孔104の内周壁よりも中心軸線17側(図5に示す左方)に突出して、その先端部が係合溝107と係合して、シフトセレクト軸15の軸方向M11,M12移動を阻止する。これにより、シフトセレクト軸15は、軸方向M11,M12への移動が阻止された状態で、一定力で保持される。
シフトセレクト軸15の外周における第1すべり軸受101が摺接する部分と第2すべり軸受102が摺接する部分との間には、雄スプライン121(図5参照)と、ピニオン36が噛み合う後述するラック122(図5参照)とが、第1すべり軸受101側からこの順で形成されている。
図4に示すように、切換ユニット26は、電動モータ23の出力軸40と同軸に連結された伝達軸41と、伝達軸41と同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第1ロータ42と、伝達軸41に同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第2ロータ44と、第1ロータ42と第2ロータ44との間で伝達軸41の連結先を切り換えるためのクラッチ機構39とを備えている。
伝達軸41は、電動モータ23側に設けられた小径の主軸部46と、主軸部46の第1ロータ42側の軸方向端部(図4に示す右端部)に、主軸部46と一体的に設けられ、主軸部46よりも大径の大径部47とを備えている。
第1ロータ42は、伝達軸41に対し電動モータ23側と反対側に配置されている。
第1ロータ42は、電動モータ23側の軸方向端部(図4に示す左端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第1アーマチュアハブ54を備えている。第1アーマチュアハブ54は大径部47の電動モータ23側と反対側の面(図4に示す右面)に対向して配置されている。
第2ロータ44は、伝達軸41の大径部47に対し第1ロータ42と反対側、すなわち電動モータ23側に配置されており、伝達軸41の主軸部46の周囲を取り囲んでいる。第2ロータ44は、電動モータ23側と反対側の軸方向端部(図4に示す右端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第2アーマチュアハブ55を備えている。第2アーマチュアハブ55は大径部47の電動モータ23側の面(図4に示す左面)に対向して配置されている。言い換えれば、第1ロータ42(の第1アーマチュアハブ54)および第2ロータ44(の第2アーマチュアハブ55)が、伝達軸41の大径部47を挟むように配置されている。
クラッチ機構39は、第1ロータ42と断続して、伝達軸41と第1ロータ42とを連結/解放するシフト用電磁クラッチ(第1クラッチ)43と、第2ロータ44と断続して、伝達軸41と第2ロータ44とを連結/解放するセレクト用電磁クラッチ(第2クラッチ)45とを備えている。
シフト用電磁クラッチ43は、第1フィールド48と第1アーマチュア49とを備えている。第1アーマチュア49は、伝達軸41の大径部47の軸方向他方側の面(図4に示す右面)に第1アーマチュアハブ54の電動モータ23側の面(図4に示す左面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第1アーマチュア49は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第1フィールド48は、ヨーク内に第1電磁コイル50を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。
セレクト用電磁クラッチ45は第2フィールド51と、第2アーマチュア52とを備えている。第2アーマチュア52は、伝達軸41の大径部47の軸方向一方側の面(図4に示す左面)に第2アーマチュアハブ55の電動モータ23と反対側の面(図4に示す右面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第2アーマチュア52は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第2フィールド51はヨーク内に第2電磁コイル53を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。第1フィールド48および第2フィールド51は、大径部47、第1アーマチュアハブ54および第2アーマチュアハブ55を挟んで軸方向に沿って並置されている。
第1電磁コイル50に通電されると、その第1電磁コイル50が励磁状態になり、第1電磁コイル50を含む第1フィールド48に電磁吸引力が発生する。そして、第1アーマチュア49が第1フィールド48に吸引されて第1フィールド48に向けて変形し、第1アーマチュア49が第1アーマチュアハブ54と摩擦接触する。したがって、第1電磁コイル50への通電により第1電磁コイル50が第1ロータ42に締結され、伝達軸41が第1ロータ42に連結される。そして、第1電磁コイル50に切電(電流供給停止)されることにより第1電磁コイル50が第1ロータ42に切断され、伝達軸41が第1ロータ42から解放される。つまり、第1電磁コイル50への通電/切電を切り換えることにより、シフト用電磁クラッチ43の接続状態(締結状態)と切断状態(開放状態)とを切り換えることができる。
一方、第2電磁コイル53に通電されると、その第2電磁コイル53が励磁状態になり、第2電磁コイル53を含む第2フィールド51に電磁吸引力が発生する。そして、第2アーマチュア52が第2フィールド51に吸引されて第2フィールド51に向けて変形し、第2アーマチュア52が第2アーマチュアハブ55と摩擦接触する。したがって、第2電磁コイル53への通電により、第2電磁コイル53が第2ロータ44に接続され、伝達軸41が第2ロータ44に連結される。そして、第2電磁コイル53に切電(電流供給停止)されることにより第2電磁コイル53が第2ロータ44に切断され、伝達軸41が第2ロータ44から解放される。つまり、第2電磁コイル53への通電/切電を切り換えることにより、セレクト用電磁クラッチ45の接続状態と、切断状態とを切り換えることができる。
この実施形態では、通常、シフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の一方のみが選択的に接続されるようになっている。すなわち、シフト用電磁クラッチ43が接続状態にあるときには、セレクト用電磁クラッチ45が切断状態にあり、セレクト用電磁クラッチ45が接続状態にあるときには、シフト用電磁クラッチ43が切断状態にある。
第2ロータ44の外周には、小径の円環状の第1歯車56が外嵌固定されている。第1歯車56は第2ロータ44と同軸に設けられている。第1歯車56は転がり軸受57によって支持されている。転がり軸受57の外輪は、第1歯車56に内嵌固定されている。転がり軸受57の内輪は、伝達軸41の主軸部46の外周に外嵌固定されている。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58のナット(移動体)59の軸方向移動に伴って、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動するアーム60とを備えている。
ボールねじ機構58は、第1ロータ42と同軸(すなわち伝達軸41と同軸)に延びるねじ軸(所定の軸)61と、ねじ軸61にボール(図示しない)を介して螺合するナット59とを備えている。ねじ軸61はシフトセレクト軸15と、食い違い角が90°の食い違い軸の関係をなしている。言い換えれば、ねじ軸61の軸方向およびシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12の双方に直交する方向から見て、ねじ軸61およびシフトセレクト軸15は互いに直交している。
ねじ軸61は転がり軸受64,67によって軸方向への移動が規制されつつ支持されている。具体的には、ねじ軸61の一端部(図4に示す左端部)は転がり軸受64によって支持されており、また、ねじ軸61の他端部(図4に示す右端部)は転がり軸受67によって支持されている。これらの転がり軸受64,67により、ねじ軸61がその中心軸線80まわりに回転可能に支持されている。
転がり軸受64の内輪は、ねじ軸61の一端部に外嵌固定されている。また、転がり軸受64の外輪は、ハウジング22に固定された、切換ユニット26のケーシングの底壁65の内外面を貫通する貫通孔に内嵌されている。また、転がり軸受64の外輪にはロックナット66が係合されて、ねじ軸61の軸方向の他方(図4に示す右方)への移動が規制されている。ねじ軸61の一端部における転がり軸受64よりも電動モータ23側(図4に示す左側)の部分は、第1ロータ42の内周に挿通されて、この第1ロータ42に同伴回転可能に連結されている。転がり軸受67の外輪は、ハウジング22に固定されている。
ナット59の一側面(図4に示す手前側側面。図5に示す上側側面)、および当該一側面とは反対側の他側面(図4に示す奥側側面。図5に示す下側側面)には、それぞれシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12に沿う方向(図4の紙面に直交する方向。図5に示す上下方向)に延びる円柱状の突出軸70(図4では一方のみ図示。図5を併せて参照)が突出形成されている。一対の突出軸70は同軸である。ナット59はアーム60の第1係合部(移動体係合部)72によって、ねじ軸61まわりの回転が規制されている。したがって、ねじ軸61が回転されると、ねじ軸61の回転に同伴して、ナット59がねじ軸61の軸方向に移動する。なお、図5では、ねじ軸61の軸方向に関し、図4に示すナット59の位置よりも、第1ロータ42に対し離反する方向(図4に示す右方)にナット59が位置するときの断面状態を示している。
アーム60は、ナット59に係合するための第1係合部72と、シフトセレクト軸15にスプライン嵌合するための係合部としての第2係合部73(図5参照)と、第1係合部72と第2係合部73とを接続する直線状の接続ロッド74とを備えている。接続ロッド74は、たとえば、その全長にわたって断面矩形状をなしている。第2係合部73は略円筒状をなし、シフトセレクト軸15に外嵌されている。
第1係合部72は互いに対向する一対の支持板部76と、一対の支持板部76の基端辺同士(図4および図5に示す左端辺)を連結する連結板部77とを備え、側面視で略U字状をなしている。各支持板部76には、各突出軸70の外周と、当該突出軸70の回転を許容しつつ係合するU字係合溝78が形成されている。U字係合溝78は前記の基端辺と反対側の先端辺から切り欠かれている。そのため、第1係合部72は、ナット59に、突出軸70まわりに相対回転可能にかつ、ねじ軸61の軸方向に同行移動可能に係合している。また、各U字係合溝78と各突出軸70との係合により、ナット59はアーム60の第1係合部72によってねじ軸61まわりの回転が規制される。したがって、ねじ軸61の回転に伴って、ナット59および第1係合部72がねじ軸61の軸方向に移動する。第2係合部73は、たとえば円環板状をなしている。しかし、第2係合部73が円筒状をなしていてもよい。
シフトセレクト軸15の外周と第2係合部73の内周とはスプライン嵌合している。具体的には、第2係合部73の内周に設けられた雌スプライン75に、シフトセレクト軸15の外周に設けられた雄スプライン121が噛み合っている。このとき、雄スプライン121と雌スプライン75との間には噛合いのための隙間が確保されている。
言い換えれば、シフトセレクト軸15の外周には第2係合部73が、当該シフトセレクト軸15に対して相対回転不能にかつ相対軸方向移動が許容された状態で連結されている。したがって、ねじ軸61が回転し、これに伴ってナット59がねじ軸61の軸方向に移動すると、アーム60がシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動し、このアーム60の揺動に同伴してシフトセレクト軸15が回転する。この実施形態では、シフト用電磁クラッチ43が接続状態にある状態で、電動モータ23が第1回転方向R11(図4参照)に回転していると、ねじ軸61が、その中心軸線80まわりに回転方向R21(図4参照)に回転するので、シフトセレクト軸15が回転方向R1(図1参照)に回転する。換言すると、シフトセレクト軸15は減速方向にシフト動作する。一方、電動モータ23が第2回転方向R12(図4参照)に回転していると、ねじ軸61が、その中心軸線80まわりに回転方向R22(図4参照)に回転するので、シフトセレクト軸15が回転方向R2(図1参照)に回転する。
セレクト変換機構25は、第1歯車56と、伝達軸41と平行に延び、回転可能に設けられたピニオン軸95と、ピニオン軸95における一端部(図4に示す左端部)寄りの所定位置に同軸に固定された第2歯車81と、ピニオン軸95の他端部(図4に示す右端部)寄りの所定位置に同軸に固定された小径のピニオン36とを備え、全体として減速機を構成している。なお、第2歯車81は、第1歯車56およびピニオン36の双方よりも大径に形成されている。
ピニオン軸95の一端部(図4に示す左端部)は、ハウジング22に固定された転がり軸受96によって支持されている。転がり軸受96の内輪は、ピニオン軸95の一端部(図4に示す左端部)に外嵌固定されている。また、転がり軸受96の外輪は、蓋27の内面に形成された円筒状の凹部97内に固定されている。また、ピニオン軸95の他端部(図4に示す右端部)は、転がり軸受84によって支持されている。ピニオン36とラック122とがラックアンドピニオンにより噛み合っているので、伝達軸41の回転に伴ってピニオン軸95が回転すると、これに伴って、シフトセレクト軸15が軸方向M11,M12に移動する。この実施形態では、セレクト用電磁クラッチ45が接続状態にある状態で、電動モータ23が第1回転方向R11(図4参照)に回転していると、ピニオン軸95が、回転方向R31(図4参照)に回転し、シフトセレクト軸15が軸方向M11(鉛直上方。図1および図5参照)移動する。換言すると、シフトセレクト軸15は減速方向にセレクト動作する。一方、電動モータ23が第2回転方向R12(図4参照)に回転していると、ピニオン軸95が回転方向R32(図4参照)に回転し、シフトセレクト軸15が軸方向M12(鉛直上方。図1および図5参照)に移動する。
ピニオン軸95の他端部に関連して、ピニオン軸95の回転角を検出するための第1回転角センサ87(故障判定手段)が配設されている。この第1回転角センサ87の検出出力により、シフトセレクト軸15の軸方向位置を求めることが可能である。第1回転角センサ87の検出出力は、次に述べるECU88(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)に入力されるようになっている。
また、ハウジング22内には、シフトセレクト軸15の回転角を検出するための第2回転角センサ(故障判定手段)89が配設されている。第2回転角センサ89の検出出力は、次に述べるECU88に入力されるようになっている。この実施形態では、第1回転角センサ87およびECU88によって特許請求の範囲の故障判定手段が構成されており、また、第2回転角センサ89およびECU88によって特許請求の範囲の故障判定手段が構成されている。
ECU88は、モータドライバ(図示しない)を介して電動モータ23を駆動制御する。また、ECU88はリレー回路(図示しない)を介してシフト用およびセレクト用電磁クラッチ43,45を駆動制御する。なお、ECU88はギヤハウジング7内に収容されていてもよい。
前述のように、シフト用電磁クラッチ43を接続状態にするとともに、電動モータ23を回転駆動することにより、インターナルレバー16がシフト動作を行う。また、セレクト用電磁クラッチ45を接続状態にするとともに、電動モータ23を回転駆動することにより、インターナルレバー16がセレクト動作を行う。
1単位のセレクト動作(白抜矢符D1またはD2、あるいは白抜矢符D1またはD2の反対方向。)を行うために必要なインターナルレバー16の他端部16bの移動距離(移動量。)をそれぞれL(図2参照)とし、セレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12移動距離(フォークヘッド12A,12B,12Cおよびフォーク軸10A,10B,10Cの軸方向M11,M12移動距離)をX(図5参照)とする。このとき、セレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離を、前記のXと同視できる。したがって、電動モ―タ23単位回転当りの1単位のセレクト動作の完了割合(1単位のセレクト動作に必要な移動距離に占める、電動モ―タ23単位回転当りの他端部16bの移動距離)を、「X/L」と表すことができる。
次いで、シフト動作に関連して説明する。シフト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16の他端部16bの移動距離をXとし、シフト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の回転角をAR(図4参照)とし、シフトセレクト軸15の回転中心から他端部16bの距離をr(図1参照)とする。この場合におけるインターナルレバー16の他端部16bの移動距離は、次式(1)に示す関係が成立する。
=r・sinAR ・・・(1)
このとき、1単位のシフト動作(白抜矢符E1〜E5、あるいは白抜矢符E1〜E5の反対方向。)を行うために必要なインターナルレバー16の他端部16bの移動距離(移動量)をそれぞれL(図2参照)とすると、電動モ―タ23単位回転当りの1単位のシフト動作の完了割合(1単位のシフト動作に必要な移動距離に占める、電動モ―タ23単位回転当りの他端部16bの移動距離)を、「X/L」と表すことができる。
セレクト変換機構25およびシフト変換機構24の各減速比は、セレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12移動距離Xが、シフト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の周方向移動距離Xよりも著しく大きくなるように設定されている。
すなわち、次式(2)の関係が成り立つ。
>X (但し、X=r・sinAR) ・・・(2)
前述のように、シフト動作時およびセレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離は、それぞれ、シフト動作時およびセレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の移動距離X,Xと同視できる。そのため、セレクト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離を、シフト動作時における、電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離よりも大きくすることができる。
また、より具体的には、セレクト変換機構25およびシフト変換機構24の各減速比は、電動モ―タ23単位回転当りの1単位のセレクト動作の完了割合が電動モ―タ23単位回転当りの1単位のシフト動作の完了割合よりも著しく大きくなるように設定されている。
すなわち、次式(3)の関係が成り立つ。
/L>X/L (但し、X=r・sinAR) ・・・(3)
ところで、変速駆動装置3において、シフト用および/またはセレクト用電磁クラッチ43,45や、これらを駆動するためのリレー回路(図示しない)などに故障が生じた場合に、シフト用および/またはセレクト用電磁クラッチ43,45が接続状態のまま切断されない状態になることがある。
通常、車両の走行中に何らかの異常が生じ、その旨の報知などが行われると、運転者は走行中の車両を直ちに停止させ、車両を停止させた状態で、異常箇所の特定や車両の点検などを行う。そして、異常の原因が前述のクラッチ故障などである場合には、車両を修理工場などに運ぶ必要がある。そのため、このようなクラッチ故障が生じた場合であっても、当該車両を修理工場まで自走させることができることが望ましい。
ところで、前述のようなこのようなクラッチ故障は、シフトチェンジの動作中に生じることが多い。そのため、クラッチ故障の発生時には、いずれのギヤにもギヤ入れされておらず、中立位置にあることが多いと考えられる。そのため、故障しているクラッチを有する電動アクチュエータの駆動により、所定のギヤにギヤ入れする必要がある。そして、より好ましくは、エンストなく車両を良好に発進させるために、低速ギヤにギヤ入れされている必要がある。
この電動アクチュエータ21では、クラッチ故障の発生時に車両を発進させることができるように、次に述べる低速自動ギヤ入れ処理が実行される。
図6は、クラッチ故障時における、電動アクチュエータのECU88の処理の流れを示すフローチャートである。図7は、クラッチ故障時におけるシフト動作およびセレクト動作を示す図である。
この低速自動ギヤ入れ処理の実行は、クラッチ故障であると診断されたときに開始される。たとえば、シフト用電磁クラッチ43が接続状態のまま切断されない故障状態になる場合には、シフトセレクト軸15のシフト動作が終了すべきタイミング以降もシフトセレクト軸15の回転が続行している。そのため、たとえばECU88は、シフトセレクト軸15のシフト動作が終了すべきタイミング以降も引き続き第2回転角センサ89の検出出力があった場合に、シフト用電磁クラッチ43の故障であると診断する。
また、たとえば、セレクト用電磁クラッチ45が接続状態のまま切断されない故障状態になる場合には、シフトセレクト軸15のセレクト動作が終了すべきタイミング以降もシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12移動が続行している。そのため、たとえばECU88は、シフトセレクト軸15のセレクト動作が終了すべきタイミング以降も引き続き第1回転角センサ87の検出出力があった場合に、セレクト用電磁クラッチ45の故障であると診断する。
そして、クラッチ故障であると診断されたとき(ステップS1でYES)には、ECU88はリレー回路を介して、故障していない電磁クラッチを接続状態にする(ステップS2,S3)。このとき故障している電磁クラッチは既に接続状態であるので、故障していない電磁クラッチを接続状態にすることにより、シフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の双方が接続状態になる。なお、故障によって既にシフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の双方が接続状態にあるときは、これらステップS2およびステップS3の各処理はスキップされる。
また、ECU88は電動モータ23を、第1回転方向R11に回転駆動する(ステップS4)。
図7に示すように、たとえばギヤが3速と4速との間の中立位置に入っている状態でシフト用電磁クラッチ43に故障が生じた場合を検討する。この場合、インターナルレバー16他端部16bが図2に示す中立位置N2に位置している。
この状態において、ECU88は電動モータ23を第1回転方向R11に回転駆動しつつシフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の双方を接続状態にする。これにより、シフトセレクト軸15は減速方向に軸方向移動(軸方向M11方向移動)するとともに、シフトセレクト軸15が減速方向に回転(回転方向R1方向に回転)する。
また、前述のように、セレクト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離は、シフト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16他端部16bの移動距離よりも著しく大きい。
そのため、シフトセレクト軸15は主として軸方向移動し、回転動作を二次的に行う。このとき、中立位置N2に位置しているインターナルレバー16の他端部16bは、フォークヘッド12Bの各溝14の内壁200Aに案内されつつ、図2に白抜矢符D2で示す経路を経て中立位置N1へと移動される。これにより、インターナルレバー16の他端部16bがフォークヘッド12Aと係合する。中立位置N1では、インターナルレバー16の他端部16bが、溝14の内壁200Bに当接し、これ以上、他端部16bは経路上を(すなわち、白抜矢符D2方向に)進めない。インターナルレバー16の他端部16bが中立位置N1に達した後も、電動モータ23の第1回転方向R11の回転は続行しているが、インターナルレバー16の他端部16bのさらなる移動が阻止されるので、シフト動作が開始される。換言すると、シフトセレクト軸15によるさらなるセレクト動作は実行不能な状況であるので、自ずと、シフトセレクト軸15によるシフト動作が開始される。
そして、シフトセレクト軸15が回転方向R1に回転させられることにより、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに揺動インターナルレバー16が中心軸線17まわりに回動して、フォークヘッド12Aおよびフォーク軸10Aが軸方向M1移動させられる(図2中の白抜矢符E1。)。インターナルレバー16の他端部16bが前記の1速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより1速へのギヤ入れが達成される。
その後、終了タイミングになると(ステップS5でYES)、ECU88はシフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の駆動をオフする。また、ECU88は電動モータ23の駆動をオフする。
以上によりこの実施形態によれば、電動モータ23を第1回転方向R11に回転駆動しつつ、シフト用およびセレクト用電磁クラッチ43,45の双方をそれぞれ接続状態にすることにより、先ずシフトセレクト軸15を減速方向にセレクト動作(軸方向M11移動)させ、次いで、シフトセレクト軸15を減速方向にシフト動作(回転方向R1に回転)させることができる。そのため、クラッチ故障が発生している場合であっても、1速のギヤに自動的にギヤ入れすることができる。これにより、車両を停止させた後、車両の発進を実現することができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は他の形態でも実施することができる。
たとえば、ギヤが中立位置にあるときにクラッチ故障が発生する場合を例に挙げたが、ギヤが2速〜5速のいずれのギヤ(この実施形態では4速)にギヤ入れされている状態で発生したクラッチ故障においても、同様の低速自動ギヤ入れ処理を行うことが可能な場合がある。そして、1速にギヤ入れする低速自動ギヤ入れ処理の場合、1速にギヤ入れしてもエンストが発生しないように、「減速してください」など、走行中の車両の減速を促す報知が、車両内で行われてもよい。
さらに、たとえば、このような低速自動ギヤ入れ処理を、クラッチ故障だけでなく電動アクチュエータ21に関する他の故障が発生した場合も実行するようにしてもよい。
また、シフト位置の配置構成を、他の態様としてもよいのは言うまでのない。この場合、低速自動ギヤ入れ処理によるインターナルレバー16の他端部16bの移行先は、第1シフト位置に限られず、他のシフト位置であってもよいが、エンスト発生の防止を考慮すると、第1または第2シフト位置であることが望ましい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
3…変速駆動装置、15…シフトセレクト軸、23…電動モータ、24…シフト変換機構(第1駆動伝達機構)、25…セレクト変換機構(第2駆動伝達機構)、43…シフト用電磁クラッチ(第1クラッチ)、45…セレクト用電磁クラッチ(第2クラッチ)、87…第1回転角センサ(故障判定手段)、88…ECU(制御装置、第1制御手段、故障判定手段)、89…第2回転角センサ(故障判定手段)、M11…軸方向(減速方向)、R1…回転方向(減速方向)、R11…第1回転方向、X…セレクト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのシフトセレクト軸15の軸方向移動距離(第2駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量)、X…シフト動作時における電動モ―タ23単位回転当りのインターナルレバー16の他端部16bの移動距離(第1駆動伝達機構の駆動による、電動モータ単位回転当りの変速操作部材の移動量)

Claims (4)

  1. ギヤ式の変速機構に搭載される変速駆動装置であり、前記変速機構を操作するための変速操作部材を有する変速駆動装置であって、
    正逆回転可能な単一の電動モータと、
    前記電動モータからの動力伝達を断続可能な第1クラッチと、
    前記第1クラッチを介して前記変速操作部材に入力される前記電動モータからの動力を用いて、前記変速操作部材にシフト動作をさせる第1駆動伝達機構と、
    前記電動モータからの動力伝達を断続可能な第2クラッチと、
    前記第2クラッチを介して前記変速操作部材に入力される前記電動モータからの動力を用いて、前記変速操作部材にセレクト動作をさせる第2駆動伝達機構とを含み、
    前記電動モータの所定の第1回転方向への回転状態において、前記電動モータの駆動力が前記第1駆動伝達機構に入力されると、前記第1駆動伝達機構が前記変速操作部材を減速方向にシフト動作させるとともに、前記電動モータの駆動力が前記第2駆動伝達機構に入力されると、前記第2駆動伝達機構が前記変速操作部材を減速方向にセレクト動作させるようになっており、
    前記第1および第2駆動伝達機構は、前記第2駆動伝達機構の駆動による、前記電動モータ単位回転当りの前記変速操作部材の移動量が、前記第1駆動伝達機構の駆動による、前記電動モータ単位回転当りの前記変速操作部材の移動量よりも大きくなるように構成されている、変速駆動装置。
  2. 前記変速操作部材は、中心軸線を有し、前記中心軸線周りの回転によってシフト動作をし、軸方向移動によってセレクト動作をするシフトセレクト軸を含み、
    前記第1駆動伝達機構は、前記第1クラッチを介して入力される前記電動モータからの動力を用いて前記シフトセレクト軸にシフト動作をさせる手段を含み、
    前記第2駆動伝達機構は、前記第2クラッチを介して入力される前記電動モータからの動力を用いて前記シフトセレクト軸にセレクト動作をさせる手段を含む、請求項1記載の変速駆動装置。
  3. 前記電動モータならびに前記第1および第2クラッチを駆動するための制御装置をさらに含み、
    前記制御装置は、第1および第2クラッチの双方をそれぞれ接続状態にするとともに、前記電動モータを、前記減速回転方向に回転させる第1制御手段とを含む、請求項1または2記載の変速駆動装置。
  4. 前記第1および第2クラッチの少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段をさらに含み、
    前記第1制御手段は、前記故障判定手段が故障と判定したことに応じて実行開始する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置。
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