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JP2013010899A - 樹脂ワニス、ろ過処理樹脂ワニス及びその製造方法、積層フィルム並びに多層基板 - Google Patents

樹脂ワニス、ろ過処理樹脂ワニス及びその製造方法、積層フィルム並びに多層基板 Download PDF

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JP2013010899A JP2011145660A JP2011145660A JP2013010899A JP 2013010899 A JP2013010899 A JP 2013010899A JP 2011145660 A JP2011145660 A JP 2011145660A JP 2011145660 A JP2011145660 A JP 2011145660A JP 2013010899 A JP2013010899 A JP 2013010899A
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varnish
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Tatsuji Hayashi
達史 林
Takumi Ito
巧 伊藤
Kazutaka Shirahase
和孝 白波瀬
Daisuke Tottori
大輔 鳥取
Takashi Nishimura
貴至 西村
Yuya Hayashi
裕也 林
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】ろ過処理したときに粒径が大きなシリカを精度よく除去し、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスを得ることができ、かつ該ろ過処理樹脂ワニスの量産性を高めることができる樹脂ワニスを提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂ワニスは、エポキシ樹脂と、硬化剤と、シランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有する。本発明に係る樹脂ワニスでは、23℃及び3.83[1/s]での粘度が、150mPa・s以上、1000mPa・s以下であり、23℃及び3.83[1/s]での粘度(mPa・s)の23℃及び191.5[1/s]での粘度(mPa・s)に対する粘度比が、1.0以上、3.0以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理した後に好適に用いられる樹脂ワニス、並びに該樹脂ワニスをろ過処理したろ過処理樹脂ワニス、ろ過処理樹脂ワニスの製造方法、積層フィルム及び多層基板に関する。
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。
多層プリント配線板の絶縁層には、該絶縁層に積層される他の絶縁層又は回路などと剥離が生じ難いことが強く求められる。このため、上記絶縁層では、熱により寸法が大きく変化しないことが望まれる。すなわち、上記絶縁層の線膨張率が低いことが望ましい。
上記絶縁層の線膨張率を大幅に低下させるために、樹脂組成物に線膨張率が低いフィラーを配合することが一般的に行われる。近年、銅配線、半田等といった異種材料と絶縁層との線膨張率の差を低減するため、樹脂組成物に配合されるフィラーの量が多くなってきている。
上記樹脂組成物の一例として、下記の特許文献1には、略真球状の酸化物微粒子であるフィラーと有機溶媒とを含有するスラリー組成物を、マトリクス樹脂中に分散させることにより得られた樹脂組成物が開示されている。特許文献1には、フィラーを有機溶媒に予め分散させたスラリー組成物を用意した後、該スラリー組成物をマトリクス樹脂中に分散させることで、凝集塊の発生を抑制でき、マトリクス樹脂中にフィラーを均一に分散させることができることが記載されている。
下記の特許文献2には、無機充填材と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物が開示されている。特許文献2に記載の樹脂組成物では、上記無機充填材の2μmを超える粗粒は500ppm以下である。粗粒を少なくする具体的な方法としては、メチルエチルケトン中に無機充填材を分散させた状態で、2μmの細孔径フィルターで積層型カートリッジフィルターを用いて、最大粒子径2.0μmを超える粗粒をろ過により分離している。このように粗粒を少なくすることによって、上記樹脂組成物により配線板の絶縁層を形成した場合に、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細な配線を形成するための溝加工性、微細なビアの加工性が良好になり、絶縁層と導体回路との密着性が良好になることが記載されている。
特開2002−285003号公報 特開2010−258419号公報
特許文献1に記載の方法で樹脂組成物を得た場合には、無機充填材の凝集塊は抑制できるが、該樹脂組成物を用いて配線板の絶縁層を形成したときに、粗大な一次粒子により絶縁層に不具合が発生する。
特許文献2に記載の方法では、樹脂組成物を高い量産性で得ることが困難なことがある。特に、粗粒を少なくする際に、粗粒を効率的に除去できないことがある。
本発明の目的は、ろ過処理したときに粒径が大きなシリカを精度よく除去し、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスを得ることができ、かつ該ろ過処理樹脂ワニスの量産性を高めることができる樹脂ワニス、ろ過処理樹脂ワニス、ろ過処理樹脂ワニスの製造方法、積層フィルム並びに多層基板を提供することである。
本発明の広い局面によれば、エポキシ樹脂と、硬化剤と、シランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有し、23℃及び3.83[1/s]での粘度が、150mPa・s以上、1000mPa・s以下であり、23℃及び3.83[1/s]での粘度(mPa・s)の23℃及び191.5[1/s]での粘度(mPa・s)に対する粘度比が、1.0以上、3.0以下である、樹脂ワニスが提供される。
本発明に係る樹脂ワニスのある特定の局面では、上記シランカップリング剤は、SP値が7.4以上、10.4以下である有機基を有する。
本発明に係る樹脂ワニスの他の特定の局面では、上記シリカは球状シリカである。
本発明に係る樹脂ワニス100重量%中、上記シリカの含有量は30重量%以上、70重量%以下であることが好ましい。
本発明に係る樹脂ワニスの他の特定の局面では、上記シリカの平均粒子径は0.1μm以上、1μm以下である。
本発明に係る樹脂ワニスのさらに他の特定の局面では、フェノキシ樹脂がさらに含まれている。
本発明に係る樹脂ワニスは、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理される樹脂ワニスであることが好ましい。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニスは、上述した樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することにより得られる。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニスのある特定の局面では、上記プリーツ型カートリッジフィルターの材質は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、グラスファイバー又はポリフェニレンサルファイドである。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニスの製造方法では、上述した樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することによりろ過処理樹脂ワニスを得る。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニスの製造方法のある特定の局面では、上記プリーツ型カートリッジフィルターの材質は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、グラスファイバー又はポリフェニレンサルファイドである。
本発明に係る積層フィルムは、基材と、該基材の一方の表面に積層されており、かつ上述したろ過処理樹脂ワニスを用いて形成された樹脂フィルムとを備える。
本発明に係る多層基板は、回路基板と、該回路基板の表面上に配置された硬化物層とを備え、該硬化物層が、上述したろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成されている。
本発明に係る樹脂ワニスは、エポキシ樹脂と、硬化剤と、シランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有し、23℃及び3.83[1/s]での粘度が、150mPa・s以上、1000mPa・s以下であり、23℃及び3.83[1/s]での粘度(mPa・s)の23℃及び191.5[1/s]での粘度(mPa・s)に対する粘度比が、1.0以上、3.0以下であるので、ろ過処理したときに粒径が大きなシリカを精度よく除去でき、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスを得ることができる。さらに、該ろ過処理樹脂ワニスの量産性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るろ過処理樹脂ワニスを用いた多層基板を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(樹脂ワニス、並びにろ過処理樹脂ワニス及びその製造方法)
本発明に係る樹脂ワニスは、エポキシ樹脂と、硬化剤と、シランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有する。本発明に係る樹脂ワニスでは、23℃及び3.83[1/s]での粘度Aが、150mPa・s以上、1000mPa・s以下であり、23℃及び3.83[1/s]での粘度A(mPa・s)の23℃及び191.5[1/s]での粘度B(mPa・s)に対する粘度比(A/B)が、1.0以上、3.0以下である。
本発明に係る樹脂ワニスにおける上記構成の採用により、ろ過処理したときに粒径が大きなシリカを精度よく除去でき、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスを得ることができる。さらに、該ろ過処理樹脂ワニスの量産性を高めることができる。特に、上記構成の採用によって、本発明に係る樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することで、粒径が大きなシリカをより一層精度よく除去し、得られるろ過処理樹脂ワニスの量産性をより一層良好にすることができる。
塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスの量産性をより一層高める観点からは、上記粘度Aは、好ましくは200mPa・s以上、好ましくは800Pa・s以下である。塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスの量産性をより一層高める観点からは、上記粘度比(A/B)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは、1.5以下である。
なお、本明細書では、ろ過処理される前の樹脂ワニスを「樹脂ワニス」と呼び、ろ過処理された後の樹脂ワニスを「ろ過処理樹脂ワニス」と呼ぶ。
本発明に係る樹脂ワニスは、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理される樹脂ワニスであることが好ましい。
粒子の捕捉効率は、目的の粒子径のラテックスビーズ等の粒子を精製水に分散させ、フィルターをワンパスさせた前後の粒子を、パーティクルカウンターにて測定することにより求められる。この捕捉効率の測定方法は、例えば、ロキテクノ社のフィルターカートリッジのカタログ等に記載されている。
また、本発明に係るろ過処理樹脂ワニスは、上述した樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することにより得られる。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニスの製造方法では、上述した樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することによりろ過処理樹脂ワニスを得る。
本発明に係るろ過処理樹脂ワニス、及び本発明に係るろ過処理樹脂ワニスの製造方法により得られるろ過処理樹脂ワニスは、粒径が大きなシリカが精度よく除去されており、塗工性に優れている。本発明に係るろ過処理樹脂ワニスの製造方法では、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスの生産効率を高めることができる。
従来、第一に、シリカなどの無機充填材を比較的多く含む組成物をろ過処理する場合には、すぐに目詰まりしやすいため、少量ずつろ過するか又は巨大なろ過装置を用いる必要があった。このため、生産効率が悪くかつ生産コストが高くなるという問題がある。
第二に、シリカなどの無機充填材を比較的少なく含む組成物をろ過処理する場合には、最終的に不必要な溶剤を除去する必要が生じることが多く、溶剤除去工程を必要とするために生産効率が悪くなるという問題がある。
第三に、シリカなどの無機充填材を比較的少なく含む組成物をろ過処理する場合には、樹脂ワニスの作製時に多量の溶剤を配合しなければならないことがあり、多量の溶剤によって樹脂ワニスの粘度が大きく低下することがある。この結果、樹脂ワニス又は該樹脂ワニスをろ過処理したろ過処理樹脂ワニスの塗工性が悪くなるという問題がある。
第四に、無機充填材の粗粒又は樹脂ワニス中の無機充填材の粗粒を除去する方法として、乾式又は湿式の遠心分級処理を用いる方法がある。しかし、遠心分級処理方法では、分級点が小さく、分級点を2〜3μm程度として無機充填材の粗粒を除去するには向かない。この理由としては、狙いの分級点が小さくなるに従い、分級点付近の粒子間の相互作用が強くなる為、分級精度が低下することが挙げられる。この結果、分級点以下の必要な無機充填材も過剰に除去され、分級処理樹脂ワニスにおける無機充填材の固形分が低下するなどして、良好な分級処理樹脂ワニスの回収率が低下する。また、遠心分級処理では、アルミナ、硫酸バリウム等の無機充填材と比較し、比較的比重が小さいシリカなどの無機充填材を用いる場合には、遠心分級処理に時間がかかり、分級処理樹脂ワニスの生産効率が悪くなるという問題がある。
これに対して、エポキシ樹脂と硬化剤とシランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有し、上記粘度A及び上記粘度比(A/B)を満足する樹脂ワニスをろ過することによって、上記のような問題点を解決できる。
シリカを含む樹脂ワニスにおいて、該樹脂ワニスの粘度比(A/B)を上記上限以下とし、該樹脂ワニスのせん断依存性(チクソ性)を低くすることは、ろ過処理樹脂ワニスの量産性の向上に重要な役割を果たす。
上記樹脂ワニスにおける上記粘度A及び上記粘度比(A/B)を満足する方法としては、シリカとして球状シリカを用いる方法、フェノキシ樹脂を用いる方法、シリカの表面処理に用いるシランカップリング剤を選択する方法、及びシリカの平均粒子径を大きくする方法等が挙げられる。これらの方法を2種以上併用してもよい。
上記ろ過処理には、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターが好適に用いられる。1つの樹脂ワニスのろ過処理の回数は1回以上であり、2回以上であってもよい。ろ過処理樹脂ワニスの生産効率を高める観点からは、1つの樹脂ワニスのろ過処理の回数は好ましくは3回以下である。
上記プリーツ型カートリッジフィルターの材質は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、グラスファイバー又はポリフェニレンサルファイドであることが好ましい。これらの好ましい材質により形成されたフィルターの使用により、ろ過処理樹脂ワニスの量産性がより一層良好になる。
精度よく粒径の大きいシリカを除去するには、2μm以上の粒子の捕集効率が95%以上である、カートリッジフィルターを使用することが好ましい。
カートリッジフィルターの中でも、ろ材の厚みが20mm以上の糸巻き型や積層型等の、ろ過表面積が小さい一般的なデプスフィルターは、圧力損失が大きくなる傾向がある。その結果、捕捉物が流出し、粒径の大きいシリカの精度のよい除去が困難になり、2μm以上の粒子を95%以上捕捉すること自体が難しい。2μm以上の粒子を95%以上捕捉できるようなデプスフィルター設計では、(2μm−3μmの捕集効率)/(0.6μm−0.8μmの捕集効率)で表される比が1.5未満であることが多く、平均粒子径が1μm以下のシリカを含む樹脂ワニスをろ過処理した場合、狙いの分級点が2μmに対し、1μm以下の必要なシリカも過度に除去され、目詰まりする。分級処理樹脂ワニスが一部得られたとしても、シリカの固形分が低下することがあり、良好な分級処理樹脂ワニスの回収率が低下する。
一方、2μm以上の粒子の捕集効率が95%以上であるフィルターで、ろ材がプリーツ状に加工され、ろ過面積が大きく、ろ材の厚みが2mm以上5mm以下であるプリーツ型カートリッジフィルターは、圧力損失を低く抑えることが出来るため、その結果、捕捉物の流出を抑制でき、粒径の大きいシリカを精度よく除去できる。また、上記粘度A及び上記粘度比(A/B)の範囲を満たすことにより、1μm以下の必要な粒子のプリーツフィルター表面での表面閉塞等を抑制することができる為、量産性と高精度の粗粒除去との両立が可能になる。
さらに、(2μm−3μmの捕集効率)/(0.6μm−0.8μmの捕集効率)で表される比が1.5以上、好ましくは3以上であるようなプリーツ型カートリッジフィルターを採用することにより、目詰まりを抑制でき、ろ過処理樹脂ワニスの量産性がさらに高くなる。
なお、複数の樹脂ワニスをろ過して複数のろ過処理ワニスを作製して、複数のろ過処理ワニスを混合して、ろ過処理ワニスを得てもよい。また、樹脂ワニスを得る工程の後、ろ過処理ワニスを塗工する工程の前に、これらの工程間にプリーツ型カートリッジフィルターを配置して、ろ過処理樹脂ワニスを得る工程を実施することが好ましい。
以下、上記樹脂ワニスに含まれている上記エポキシ樹脂、上記硬化剤及び上記シリカ、並びに含まれることが好ましい成分の詳細を説明する。
[エポキシ樹脂]
上記樹脂ワニスに含まれているエポキシ樹脂は特に限定されない。該エポキシ樹脂として、従来公知のエポキシ樹脂を使用可能である。該エポキシ樹脂は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記エポキシ樹脂は、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂又はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、多官能のエポキシ樹脂であることがより好ましい。多官能のエポキシ樹脂としては、例えば、3官能脂環式エポキシモノマー(ユニオン・カーバイド社製「エポリードGT301」)、トリアジン核を骨格に有する3価のエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−301」、日産化学工業社製「TEPIC−S」)、多官能エポキシ樹脂としてビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200」)、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学「157−S70」)等が挙げられる。
硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。
上記エポキシ樹脂の重量平均分子量は5000以下であることが好ましい。この場合には、上記樹脂ワニスにおけるシリカの含有量を多くすることができる。さらに、シリカの含有量が多くても、上記粘度A及び上記粘度比(A/B)の範囲を満たすことができる。一方で、重量平均分子量が5000以下であるエポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂との併用により、樹脂ワニスの硬化を進行させた樹脂フィルム(Bステージフィルム)の溶融粘度の低下を抑制できる。このため、樹脂フィルムを基板上にラミネートした場合に、シリカの存在状態を良好にすることができる。
上記樹脂ワニスに含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)100重量%中、上記エポキシ樹脂の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記エポキシ樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の粗化処理された表面の表面粗さがより一層小さくなり、かつ硬化物の粗化処理された表面上に設けられた金属層のピール強度がより一層良好になる。「全樹脂成分X」とは、エポキシ樹脂と硬化剤と必要に応じて配合される他の樹脂成分との総和をいう。上記全樹脂成分Xに、シリカは含まれない。
[硬化剤]
上記樹脂ワニスに含まれている硬化剤は特に限定されない。該硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、シアネートエステル樹脂(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。
上記硬化剤は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。上記硬化剤における上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応可能な官能基としては、フェノール基、アミノ基、シアネートエステル基及び酸無水物基等が挙げられる。
熱による寸法変化がより一層小さい硬化物を得る観点からは、上記硬化剤は、シアネートエステル樹脂又はフェノール化合物であることが好ましい。上記硬化剤は、シアネートエステル樹脂であることが好ましく、フェノール化合物であることも好ましい。硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記硬化剤は、シアネートエステル樹脂、フェノール化合物又は活性エステル化合物であることが好ましい。さらに、硬化剤によって良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記硬化剤は、シアネートエステル樹脂であることがより好ましい。
上記シアネート樹脂の使用により、シリカの含有量が多い樹脂フィルムのハンドリング性が良好になり、硬化物のガラス転移温度がより一層高くなる。上記シアネートエステル樹脂は特に限定されない。該シアネートエステル樹脂として、従来公知のシアネートエステル樹脂を使用可能である。上記シアネートエステル樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シアネートエステル樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂及びビスフェノール型シアネート樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネート樹脂としては、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル樹脂の市販品としては、フェノールノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、並びにビスフェノールAジシアネートがトリアジン化され、三量体とされたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230」、「BA200」及び「BA3000」)等が挙げられる。
上記フェノール化合物の使用により、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記フェノール化合物の使用により、例えば、硬化物の表面上に設けられた銅の表面を黒化処理又はCz処理することにより、硬化物と銅との密着性がより一層高くなる。
上記フェノール化合物は特に限定されない。該フェノール化合物として、従来公知のフェノール化合物を使用可能である。上記フェノール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、及びアラルキル型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851」)及びアラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)等が挙げられる。
硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記フェノール化合物は、ビフェニルノボラック型フェノール、又はアラルキル型フェノール化合物であることが好ましい。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「EXB−9460S−65T」等が挙げられる。
硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化剤により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記硬化剤は、当量が250以下である硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤の当量は、例えば、硬化剤がシアネートエステル樹脂である場合にはシアネートエステル基当量を示し、硬化剤がフェノール化合物である場合にはフェノール性水酸基当量を示し、硬化剤が活性エステル化合物である場合には活性エステル基当量を示す。
重量平均分子量が1000以下である硬化剤と、フェノキシ樹脂との併用により、樹脂フィルムの溶融粘度の低下を抑制できる。このため、樹脂フィルムを基板上にラミネートした場合に、シリカの存在状態が良好になる。
上記エポキシ樹脂と上記硬化剤との配合比は特に限定されない。上記エポキシ樹脂と上記硬化剤との配合比は、エポキシ樹脂と硬化剤との種類などにより適宜決定される。
上記硬化剤の配合量の一例を挙げると、上記全樹脂成分X100重量%中、上記硬化剤の含有量は好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、硬化物の熱による寸法変化をより一層抑制できる。
[シリカ]
硬化物の熱による寸法変化を小さくすること、並びに硬化物と金属層との接着強度を高めることなどを目的として、上記樹脂ワニスは、シリカを含む。該シリカは、シランカップリング剤により表面処理されている。シランカップリング剤により表面処理されたシリカの使用により、硬化物の粗化処理された表面の表面粗さが小さくなる。上記シリカは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記シランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の粗化処理された表面の表面粗さを小さくし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により一層良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記シリカの平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.25μm以上、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記シリカの平均粒子径が0.1μm以上であれば、樹脂ワニス中のシリカ含有量が多くても樹脂ワニスのせん断依存性を低くしやすい。さらに、上記シリカの平均粒子径が1μm以下であれば、配線板の絶縁層を形成した場合に不具合が発生しにくい。
上記充填剤の平均粒子径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒子径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定できる。
上記シリカは、球状シリカであることが好ましい。該球状シリカの使用により、シリカ同士の接触面積が小さくなり、樹脂ワニスのせん断依存性を低くすることができる。
上記シリカは、シランカップリング剤により表面処理されている。この表面処理により、硬化物の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつ硬化物により良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を付与することができる。
上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記樹脂ワニスのせん断依存性を低くするために、シランカップリング剤により表面処理されていないシリカではなく、シランカップリング剤により表面処理されたシリカを用いている。該シランカップリング剤は有機基を有することが好ましい。シランカップリング剤が有機基を有することにより樹脂ワニス中でのシリカの排除体積が増大し、シリカの分散性が向上し、せん断依存性が低くなる。エポキシ樹脂を含む樹脂ワニスでは、一般的なエポキシ樹脂のSP値±3の範囲内に、上記シランカップリング剤における有機基のSP値が入ることが好ましい。それにより、シリカの排除体積がより一層増大し、せん断依存性を効果的に低くすることができる。またシリカと樹脂との界面での吸水性を低減することを考慮すると、上記シランカップリング剤における有機基のSP値は、一般的なエポキシ樹脂のSP値−3以上であることが好ましい。このため、上記シランカップリング剤における有機基のSP値は好ましくは7.4以上、好ましくは10.4以下である。ビルトアップ材における低い誘電特性、低い線膨張率及び高い絶縁性等の要求性能を満足する観点からは、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などの低吸水性のエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、シアネートエステル樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂を用いる場合に、SP値が7.4以上、10.4以下である有機基を有するシランカップリング剤を用いることによって、上記樹脂ワニスのせん断依存性をさらに効果的に低くすることができる。
SP値が7.4以上、10.4以下である有機基としては、N−フェニル−3−アミノプロピル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基及びビニル基等が挙げられる。SP値はFedorの計算方法に従って算出される。
上記シリカの具体例としては、例えば、アドマテックス社製の球状シリカ「SO−C1(平均粒径0.25μm)」、「SO−C2(平均粒径0.5μm)」及び「SO−C3(平均粒径0.9μm)」を信越化学工業社製のシランカップリング剤「KBM−573」、「KBM−573」、「KBM−573」などで表面処理したシリカ等が挙げられる。
上記シリカの含有量は特に限定されない。上記樹脂ワニスに含まれている全固形分(以下、全固形分Yと略記することがある)100重量%中、上記シリカの含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記シリカの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の粗化処理された表面の表面粗さがより一層小さくなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成できる。「全固形分Y」とは、エポキシ樹脂と硬化剤とシリカと必要に応じて配合される固形分との総和をいう。「固形分」とは、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。上記全固形分Y中の上記シリカの含有量が50重量%以上である場合に、硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。
また、上記樹脂ワニス100重量%中、上記シリカの含有量は30重量%以上、70重量%以下であることが特に好ましい。上記樹脂ワニス100重量%中の上記シリカの含有量が30〜70重量%であっても、樹脂ワニスの上記粘度A及び上記粘度比(A/B)を満足することによって、樹脂ワニスをろ過処理したときに粒径が大きなシリカを精度よく除去でき、塗工性に優れたろ過処理樹脂ワニスを得ることができ、かつ該ろ過処理樹脂ワニスの量産性を高めることができる。
[他の成分及び樹脂ワニスの詳細]
上記樹脂ワニスは、必要に応じて硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。ろ過処理樹脂ワニスを速やかに硬化させることで、硬化物の架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。該硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
硬化物の絶縁信頼性を高める観点からは、上記硬化促進剤は、イミダゾール化合物であることが特に好ましい。硬化物の絶縁信頼性を高める観点からは、上記硬化促進剤は、有機金属化合物を含まないことが好ましい。
上記全樹脂成分X100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、好ましくは5重量%以下である。上記全樹脂成分Xには硬化促進剤が含まれる。
上記樹脂ワニスは、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂の使用により、ろ過処理樹脂ワニスにより得られた樹脂フィルムの回路の凹凸への追従性が高くなり、硬化物の粗化処理された表面の表面粗さがより一層小さくなり、更に硬化物の粗化処理された表面の粗度がより一層均一になる。
上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。硬化物の耐熱性を高くし、また熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂及び硬化剤との相溶性を良好にする観点からは、上記熱可塑性樹脂はフェノキシ樹脂であることが好ましい。
上記樹脂ワニスがフェノキシ樹脂を含むことで、樹脂ワニスの塗工性をより良好にできる。フェノキシ樹脂が高分子量であっても、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との相溶性が良好である為、フェノキシ樹脂の含有量を増やしてもワニスのせん断依存性を抑えた状態で、塗工性を満足するようなワニス粘度まで粘度を上昇させることができる。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、及びナフタレン骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記樹脂ワニスの硬化物の表面を粗化処理した後に、金属層を形成するためにめっき処理した場合に、硬化物と金属層との接着強度が高くなるので、上記フェノキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有することが好ましく、ビフェノール骨格を有することがより好ましい。
上記フェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、東都化成社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」、「YX8100BH30」、「YL7600DMAcH25」及び「YL7213BH30」などが挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、好ましくは100000以下である。
上記熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されない。上記全樹脂成分X100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(上記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合には、フェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱による寸法変化に対する悪影響が小さくなる。また、上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。なお、上記全樹脂成分Xには、上記熱可塑性樹脂が含まれる。
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂ワニスには、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及び上述した樹脂以外の他の樹脂等を添加してもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記他の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
(樹脂フィルム及び積層フィルム)
上記ろ過処理樹脂ワニスをフィルム状に成形する方法としては、例えばろ過処理樹脂ワニスをキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化を進めることができるので、キャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
上記ろ過処理樹脂ワニスをフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50〜150℃で3〜10分間加熱乾燥させることにより、樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができる樹脂フィルムを、Bステージフィルムと称する。該Bステージフィルムは、半硬化状態にある半硬化物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記ろ過処理樹脂ワニスは、基材と、該基材の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムを形成するために好適に用いられる。該積層フィルムにおける樹脂フィルムが、上記ろ過処理樹脂ワニスにより形成される。
上記積層フィルムにおける上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、銅箔及びアルミニウム箔などの金属箔等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
上記ろ過処理樹脂ワニスを回路の絶縁層として用いる場合、上記ろ過処理樹脂ワニスにより形成された層の厚さは、回路を形成する導体層の厚さ以上であることが好ましい。上記ろ過処理樹脂ワニスにより形成された層の厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
(プリント配線板)
上記ろ過処理樹脂ワニス及び該ろ過処理樹脂ワニスにより形成された樹脂フィルムは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記ろ過処理樹脂ワニス又は該ろ過処理樹脂ワニスにより形成された樹脂フィルムを用いて、該樹脂フィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
上記樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属箔を積層できる。上記樹脂フィルムと金属箔とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を使用可能である。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記樹脂フィルムを金属箔に積層できる。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記ろ過処理樹脂ワニスは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板の樹脂フィルムが、上記ろ過処理樹脂ワニスにより形成される。
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、ろ過処理樹脂ワニス又は樹脂フィルムを硬化させた硬化物層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
また、上記ろ過処理樹脂ワニスは、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された硬化物層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の硬化物層が、上記ろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成される。上記硬化物層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記硬化物層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。上記多層基板では、上記積層フィルムを用いて、樹脂フィルムを硬化させて上記硬化物層を形成してもよい。
上記多層基板では、上記硬化物層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記硬化物層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記硬化物層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された硬化物層と、該硬化物層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える回路基板が挙げられる。上記硬化物層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の硬化物層とを備える回路基板が挙げられる。上記複数層の硬化物層の内の少なくとも1層が、上記ろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成される。上記多層基板は、上記ろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成されている上記硬化物層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図1に、本発明の一実施形態に係るろ過処理樹脂ワニスを用いた多層基板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の硬化物層13〜16が積層されている。硬化物層13〜16は、絶縁層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の硬化物層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する硬化物層16以外の硬化物層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と硬化物層13の間、及び積層された硬化物層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、硬化物層13〜16が、上記ろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成されている。本実施形態では、硬化物層13〜16の表面が粗化処理されているので、硬化物層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記ろ過処理樹脂ワニスは、粗化処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記ろ過処理樹脂ワニスを予備硬化させることにより得られた予備硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、予備硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、予備硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、予備硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、予備硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、予備硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との粗化接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
膨潤液を用いて膨潤処理し、次に粗化液を用いて粗化処理したときに、粗化処理された硬化物の表面の算術平均粗さRaが、50nm以上、350nm以下であることが好ましい。この場合には、硬化物と金属層又は配線との接着強度を高くすることができ、更に硬化物層の表面により一層微細な配線を形成することができる。
(デスミア処理)
また、上記ろ過処理樹脂ワニスを予備硬化させることにより得られた予備硬化物又は硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、硬化物層の表面は、デスミア処理されることが好ましい。一般に、デスミア処理により硬化物の表面が粗化処理されることから、本明細書では、デスミア処理は粗化処理に含まれることとする。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物又は硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
上記ろ過処理樹脂ワニスの使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さを十分に小さくすることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
実施例及び比較例では、以下に示す材料を用いた。
(エポキシ樹脂)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850」、エポキシ当量189)
ビスフェノールS型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA1517」、エポキシ当量237)
トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業社製「TEPIC−SP」、エポキシ当量105)
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」、エポキシ当量290)
(硬化剤)
シアネートエステル硬化剤含有液(ロンザジャパン社製「BA−230S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む、シアネートエステル当量235)
アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800−S」、水酸基当量174)
ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851−4H」、水酸基当量240)
(硬化促進剤)
イミダゾール化合物(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業社製「2E4MZ」)
(フェノキシ樹脂)
フェノキシ樹脂含有液(三菱化学社製「YX6954BH30」、固形分30重量%とメチルエチルケトン35重量%とシクロヘキサノン35重量%とを含む、重量平均分子量39000)
(ブチラール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業社製「BX−5」、計算分子量130000)
(シリカ含有スラリー)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HNK」、N−フェニル−3−アミノプロピル基(SP値10.3)を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)により表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」)を含む、平均粒子径0.5μm、固形分70重量%とシクロヘキサノン30重量%とを含む)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HND」、3−グリシドキシプロピル基(SP値9.3)を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−403」)により表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」)を含む、平均粒子径0.5μm、固形分70重量%とシクロヘキサノン30重量%とを含む)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HNF」、ビニル基(SP値7.9)を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−1003」)により表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」)を含む、平均粒子径0.5μm、固形分70重量%とシクロヘキサノン30重量%とを含む)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−FNA」、特殊骨格イミダゾール基(SP値10.5)を有するシランカップリング剤(JX日鉱日石金属社製「IM−1000」)により表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」)を含む、平均粒子径0.5μm、固形分70重量%とジメチルホルムアミド30重量%とを含む)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC1050−HKB」、3−グリシドキシプロピル基(SP値9.3)を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−403」)により表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C1」)を含む、平均粒子径0.25μm、固形分55重量%とシクロヘキサノン45重量%とを含む)
(溶剤)
溶剤(CHN、シクロヘキサノン、和光純薬工業社製「037−05096」)
(実施例1)
シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050−HND」)64重量部に、シアネートエステル硬化剤含有液(ロンザジャパン社製「BA−230S」)7.5重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850」)8.5重量部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)7重量部と、フェノキシ樹脂含有液(三菱化学社製「YX6954BH30」)12.6重量部と、イミダゾール化合物(四国化成社製「2E4MZ」)0.4重量部とを加え、ホモミクサー(プライミクス社製「T.K.オートミクサー20型」)にて、均一な溶液となるまで室温で2時間攪拌溶解させ、樹脂ワニスAを得た。
得られた樹脂ワニスAを、モーノポンプ(兵神装備社製)を用いて、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−030」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.99%を超える)でろ過して、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(実施例2)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−100」、2μm以上の粒子の捕捉効率が97.3%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(実施例3)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「MPX−060」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.99%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(実施例4)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−050」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.9%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(実施例5)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−050」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.9%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(実施例6)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−050」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.9%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(比較例1)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−050」、2μm以上の粒子の捕捉効率が99.9%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(比較例2)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−100」、2μm以上の粒子の捕捉効率が97.3%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(比較例3)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニスAを得た。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、プリーツ型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SHP−100」、2μm以上の粒子の捕捉効率が97.3%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(参考例1)
実施例1で得られた樹脂ワニスAを用意した。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、ノンプリーツ形状の積層型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「SLS−050」、2μm以上の粒子の捕捉効率が98.0%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(参考例2)
実施例1で得られた樹脂ワニスAを用意した。この樹脂ワニスAをろ過するためのフィルターを、ノンプリーツ形状の積層型カートリッジフィルター(ロキテクノ社製「HC−05」、2μm以上の粒子の捕捉効率が80.0%を超える)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ろ過処理樹脂ワニスBを得た。
(評価)
(1)粘度
粘度計(東機産業社製「TV33」)を用いて、得られた樹脂ワニスAの23℃及び3.83[1/s]での粘度Aと、23℃及び191.5[1/s]での粘度Bとを測定した。粘度Aと粘度Bとの値から、粘度比(A/B)を求めた。
(2)粗粒カット精度の評価
得られたろ過処理樹脂ワニスBに、該ろ過処理樹脂ワニスBと同重量のシクロヘキサノンを加えた後、12000rpm及び20分の条件で遠心処理することにより、シリカを沈降させて、シリカのみを回収した。回収したシリカに固形分35重量%となるようにシクロヘキサノンを加え、シリカを再分散させた。超音波100Wで3分間分散処理し、測定溶液を得た。フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製「FPIA−3000S」)を用いて、得られた測定溶液における粗粒量を測定した。下記の基準で粗粒カット精度を判定した。
[粗粒カット精度の判定基準]
○:2μm以上の粗粒の割合が10ppm未満である
△:2μm以上の粗粒の割合が10ppm以上、100ppm未満である
×:2μm以上の粗粒の割合が100ppm以上である
(3)塗工性の評価
塗工機を用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、得られた樹脂ワニスBを塗工した。100℃の恒温器(エスペック社製)内で2分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム(厚み25μm)上に、厚さが40μmであり、溶剤の残量が1.0重量%以上、1.5重量%以下である樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの表面を、顕微鏡(オリンパス社製「STM6」)により観察し、ベナードセルの発生の有無を評価した。また、レーザー干渉計(Vecco社製「NT1100」)により0.5cm×2.0cmの範囲内の凹凸を解析した。両解析結果から、下記の基準で塗工性を判定した。
[塗工性の判定基準]
○:表面の凹凸が1.5μm未満、かつベナートセルが発生していない
△:表面の凹凸が1.5μm以上、2.0μm未満、かつベナートセルが発生していない
×:表面の凹凸が2.0μm以上、又はベナードセル、ゆず肌が発生している
(4)量産性の評価方法
量産用に使用するカートリッジフィルターの1/25スケールのカートリッジフィルターを使用し、量産性を評価した。モーノポンプと上記フィルター間に圧力計を設置し、得られた樹脂ワニスA10kg処理した際の差圧を計測した。実生産で使用するフィルターに換算すると、250kgの処理に相当する。下記の基準で量産性を判定した。
[量産性の判定基準]
○:樹脂ワニスA10kgろ過処理後のろ過圧力が0.3MPa未満である
△:樹脂ワニスA10kgろ過処理後のろ過圧力が0.3MPa以上、0.5MPa未満である
×:樹脂ワニスA10kgろ過処理後のろ過圧力が0.5MPa以上である
結果を下記の表1に示す。
Figure 2013010899
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…硬化物層
17…金属層

Claims (13)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、シランカップリング剤により表面処理されたシリカとを含有し、
    23℃及び3.83[1/s]での粘度が、150mPa・s以上、1000mPa・s以下であり、
    23℃及び3.83[1/s]での粘度(mPa・s)の23℃及び191.5[1/s]での粘度(mPa・s)に対する粘度比が、1.0以上、3.0以下である、樹脂ワニス。
  2. 前記シランカップリング剤が、SP値が7.4以上、10.4以下である有機基を有する、請求項1に記載の樹脂ワニス。
  3. 前記シリカが球状シリカである、請求項1又は2に記載の樹脂ワニス。
  4. 樹脂ワニス100重量%中、前記シリカの含有量が30重量%以上、70重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂ワニス。
  5. 前記シリカの平均粒子径が0.1μm以上、1μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂ワニス。
  6. フェノキシ樹脂をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂ワニス。
  7. 2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理される樹脂ワニスである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂ワニス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することにより得られたろ過処理樹脂ワニス。
  9. 前記プリーツ型カートリッジフィルターの材質が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、グラスファイバー又はポリフェニレンサルファイドである、請求項8に記載のろ過処理樹脂ワニス。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂ワニスを、2μm以上の粒子の捕捉効率が95%以上であるプリーツ型カートリッジフィルターで1回以上ろ過処理することによりろ過処理樹脂ワニスを得る、ろ過処理樹脂ワニスの製造方法。
  11. 前記プリーツ型カートリッジフィルターの材質が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、グラスファイバー又はポリフェニレンサルファイドである、請求項10に記載のろ過処理樹脂ワニスの製造方法。
  12. 基材と、前記基材の一方の表面に積層されており、かつ請求項8又は9に記載のろ過処理樹脂ワニスを用いて形成された樹脂フィルムとを備える、積層フィルム。
  13. 回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された硬化物層とを備え、
    前記硬化物層が、請求項8又は9に記載のろ過処理樹脂ワニスを硬化させることにより形成されている、多層基板。
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