JP2013010131A - 消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】短絡状態からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、このくびれ検出時点t2から短絡負荷に通電する溶接電流Iwを減少させて低レベル電流Ilの状態でアークを再発生させる消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、くびれ検出時点t2からの経過時間がアークが再発生する前に予め定めた基準時間Ttに達したときは、溶接電流Iwを低レベル電流Ilから高レベル電流Ihへと増加させてアークを再発生させる。この高レベル電流Ihの値及び/又は立上り傾斜を基準時間Ttに達した時点t22でのくびれの進行度に応じて変化させる。これにより、アークの安定性を維持した上で、スパッタの発生を低減することができる。
【選択図】 図2
Description
前記くびれ検出時点からの経過時間がアークが再発生する前に予め定めた基準時間に達したときは溶接電流を前記低レベル電流から高レベル電流へと増加させてアークを再発生させ、この高レベル電流の値及び/又は立上り傾斜を前記基準時間に達した時点での前記くびれの進行度に応じて変化させる、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法である。
ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法である。
1)短絡/アーク判別信号SdがHighレベル(短絡)に変化した時点から予め定めた初期期間中は、予め定めた初期電流設定値を電流設定信号Irとして出力する。
2)その後は、電流設定信号Irの値を、上記の初期電流設定値から予め定めた傾斜設定値で定まる傾斜で予め定めたピーク設定値まで上昇させ、その値を維持する。
3)くびれ検出信号NdがHighレベル(くびれ検出)に変化すると、電流設定信号Irの値を低レベル電流設定信号Ilrの値に切り換える。
4)経過時間判別信号CtがHighレベル(くびれ検出時間が基準時間に達した時点)に変化すると、電流設定信号Irの値を、低レベル電流設定信号Ilrの値から立上り傾斜設定信号Srによって定まる傾斜で高レベル電流設定信号Ihrの値まで上昇させ、その値を維持する。
この期間中の動作は、上述した図6と同様である。時刻t1において溶接ワイヤが母材と接触すると短絡状態になり、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数V程度の短絡電圧値に急減する。この溶接電圧Vwが短絡/アーク判別値Vta未満になったことを判別して、同図(E)に示すように、短絡/アーク判別信号SdはLowレベルからHighレベルに変化する。これに応動して、同図(G)に示すように、電流設定信号Irは時刻t1において低レベル電流設定信号Ilrの値から少し大きな値である予め定めた初期電流設定値に変化する。ここで、電流設定信号Irの値が、時刻t1以前に低レベル電流設定信号Ilrの値であるのは、前回の短絡の解除(アーク再発生)がくびれ検出時点からの経過時間が基準時間Ttに達する前に行われたためである。基準時間Ttに達した以後に行われた場合には、時刻t1以前の電流設定信号Irの値は、高レベル電流設定信号Ihrの値となる。どちらの値であっても、電流設定信号Irは時刻t1以後の短絡期間しか使用されないので、動作には無関係である。電流設定信号Irは、同図(G)に示すように、時刻t1〜t11の予め定めた初期期間中は予め定めた初期電流設定値となり、時刻t11〜t12の期間中は予め定めた傾斜設定値で定まる傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中は予め定めたピーク設定値となる。短絡期間中は上述したように定電流制御されているので溶接電流Iwは電流設定信号Irに相当する値に制御される。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t1においてアーク期間の溶接電流から急減し、時刻t1〜t11の初期期間中は初期電流値となり、時刻t11〜t12の期間中は所定傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中はピーク値となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwがピーク値となる時刻t12あたりから急上昇する。これは、溶滴にくびれが発生したためである。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、後述する時刻t2〜t3の期間以外はLowレベルとなる。同図(D)に示すように、駆動信号Drは、後述する時刻t2〜t21の期間はLowレベルとなり、それ以外の期間はHighレベルとなる。したがって、同図において時刻t2以前の期間中は、駆動信号DrはHighレベルとなり、図1のトランジスタTRがオン状態となるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の消耗電極アーク溶接装置と同一の状態となる。同図(F)に示すように、経過時間判別信号Ctは、後述する時刻t22〜t3の期間Highレベルとなり、それ以外の期間はLowレベルとなる。
時刻t2において、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwが急上昇して初期期間中の電圧値からの電圧上昇値ΔVが予め定めたくびれ検出基準値Vtnと等しくなったことによってくびれを検出すると、同図(C)に示すように、くびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(D)に示すように、駆動信号DrはLowレベルになるので、図1のトランジスタTRはオフ状態となり減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、同図(G)に示すように、電流設定信号Irは低レベル電流設定信号Ilrの値に小さくなる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwはピーク値から低レベル電流値Ilへと急減する。そして、時刻t21において溶接電流Iwが低レベル電流値Ilまで減少すると、同図(D)に示すように、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、図1のトランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、電流設定信号Irが低レベル電流設定信号Ilrのままであるので、低レベル電流値Ilを維持する。したがって、トランジスタTRは、時刻t2にくびれが検出されてから時刻t21に溶接電流Iwが低レベル電流値Ilに減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t2から一旦減少した後に緩やかに上昇する。しかし、同図は時刻t2のくびれ検出時点からの経過時間が基準時間Ttに達する時刻t22の前にアークが再発生しない場合であるので、溶接電圧Vwは時刻t22までに急上昇して短絡/アーク判別値Vta以上となることはない。
時刻t22において、時刻t2にくびれ検出信号NdがHighレベルになった時点からの経過時間が基準時間設定信号Ttrによって定まる基準時間Ttに達すると、同図(F)に示すように、経過時間判別信号CtはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(G)に示すように、電流設定信号Irは、低レベル電流設定信号Ilrの値から立上り傾斜設定信号Srによって定まる傾斜で高レベル電流設定信号Ihrの値まで上昇して、その値を維持する。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、低レベル電流値Ilから所定の立上り傾斜Sで高レベル電流値Ihまで上昇し、その値を維持する。立上り傾斜設定信号Sr及び高レベル電流設定信号Ihrの両値は、経過時間判別信号CtがHighレベルに変化する時刻t22時点でのくびれの進行度に応じて予め定めた関数に従って変化させる。くびれの進行度については、図1で上述したとおりである。関数については、図3で後述する。溶接電流Iwが増加したことによってくびれの進行が促進されて時刻t3においてアークが再発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwが高レベル電流値Ihになったあたりから急上昇して、時刻t3において短絡/アーク判別値Vta以上となる。これに応動して、同図(E)に示すように、短絡/アーク判別信号SdがLowレベルに変化する。この結果、溶接装置は定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは高レベル電流値Ihから次第に減少する。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、短絡/アーク判別信号SdがLowレベルに変化するので、Lowレベルに変化する。同様に、同図(F)に示すように、経過時間判別信号CtもLowレベルに変化する。同図(G)に示すように、電流設定信号Irは、時刻t3以後もその値を維持する。ここでは、時刻t3時点では高レベル電流設定信号Ihrの値となっているので、その値を維持することになる。
このケースにおいても、図2の時刻t1〜t21までの期間の動作は同様であるので説明は省略する。時刻t21において、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは低レベル電流値Ilの状態にある。そして、時刻t2のくびれ検出時点からの経過時間が基準時間Ttに達する前に、くびれが進行してアークが再発生する。すなわち、時刻t21〜t22の期間の途中でアークが再発生する。アークが再発生すると、同図(B)に示す溶接電圧Vwは急上昇して短絡/アーク判別値Vta以上のアーク電圧値となる。これに応動して、同図(E)に示す短絡/アーク判別信号SdはLowレベルに変化するので、定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。この結果、同図(A)に示す溶接電流Iwは増加した後に緩やかに減少する。このケースにおける溶接電流Iw及び溶接電圧Vwの波形は、上述した図6と同様になる。
第2のケースの動作は、上述した図2のとおりである。時刻t2のくびれ検出時点からの経過時間が時刻t22において基準時間Ttに達してもアークが再発生していないので、溶接電流Iwを高レベル電流値Ihに増加させてくびれの進行を促進することによってアークの再発生へと導いている。上述した従来技術では、基準時間Ttに達した時点におけるくびれの進行度とは無関係に最速の立上り傾斜(1000A/ms)で予め定めた高レベル電流値Ih(500A)に増加させる。このために、アーク再発生時の電流値は500Aとなり、大きな値となるために大粒のスパッタが発生することになる。これに対して、本実施の形態では、基準時間Ttに達した時点におけるくびれの進行度を検出し、このくびれ進行度に応じて高レベル電流の値及び/又は立上り傾斜を適正化して、アーク再発生時の電流値を従来技術よりも小さくすることによってスパッタの発生を抑制している。これは、くびれ進行度が進んでいる場合には、高レベル電流の値及び/又は立上り傾斜を小さくしてもアークの再発生に導くことができるためである。
1a 溶滴
1b くびれ
2 母材
2a 溶融池
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
CT 経過時間判別回路
Ct 経過時間判別信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
Ea 誤差増幅信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
Fc 送給制御信号
Ia アーク再発生時電流値
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Ih 高レベル電流
IHR 高レベル電流設定回路
Ihr 高レベル電流設定信号
Il 低レベル電流
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
IR 電流設定回路
Ir 電流設定信号
Iw 溶接電流
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
NS くびれ進行度検出回路
Ns くびれ進行度信号
PM 電源主回路
PS 溶接電源
R 減流抵抗器
S 傾斜
SD 短絡/アーク判別回路
Sd 短絡/アーク判別信号
SR 立上り傾斜設定回路
Sr 立上り傾斜設定信号
SW 制御切換回路
t 経過時間
Ta アーク期間
Tn くびれ検出時間
TR トランジスタ
Ts 短絡期間
Tt 基準時間
TTR 基準時間設定回路
Ttr 基準時間設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vs 短絡電圧値
Vta 短絡/アーク判別値
VTN くびれ検出基準値設定回路
Vtn くびれ検出基準値(信号)
Vw 溶接電圧
WM 送給モータ
ΔV 電圧上昇値
Claims (2)
- 溶接ワイヤと母材との間でアーク発生状態と短絡状態とを繰り返す消耗電極アーク溶接にあって、短絡状態からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、このくびれ検出時点から短絡負荷に通電する溶接電流を減少させて低レベル電流の状態でアークを再発生させる消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、
前記くびれ検出時点からの経過時間がアークが再発生する前に予め定めた基準時間に達したときは溶接電流を前記低レベル電流から高レベル電流へと増加させてアークを再発生させ、この高レベル電流の値及び/又は立上り傾斜を前記基準時間に達した時点での前記くびれの進行度に応じて変化させる、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法。 - 前記くびれの進行度を、溶接ワイヤと母材との間の電圧値又は抵抗値の変化によって検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法。
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