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JP2013097693A - 骨粗鬆症リスク判定システム及びプログラム - Google Patents

骨粗鬆症リスク判定システム及びプログラム Download PDF

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以子 百合野
Keiichi Sato
恵一 佐藤
Yasuhiro Kasai
康弘 笠井
Hiroshi Shimokata
浩史 下方
Fujiko Ando
富士子 安藤
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Abstract

【課題】骨粗鬆症のリスクと予防方針を提言するシステムを提供する。
【解決手段】特定の年齢における骨粗鬆症の発症確率を算出して骨粗鬆症リスク判定を行うデータ処理装置を有するシステムにおいて、データ処理装置が、発症関連遺伝子に含まれる複数の遺伝子多型の各々について、発症リスクに対応した遺伝子型数値を記憶したデータベースと、発症関連遺伝子の検査により得られ入力された遺伝子多型に基づいてデータベースから対応する遺伝子型数値を取得する手段と、生活習慣関連値、閉経年齢、及び、発症確率算出年齢を入力される手段と、発症確率を算出する数式に含まれる複数の変数の各々に対し所定の数値を代入して発症確率を算出する手段と、を有し、変数に代入する数値自体として又は代入する数値を算出するための数値として、遺伝子型数値、生活習慣関連値、閉経年齢、及び、発症確率を算出する年齢を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、骨粗鬆症のリスク判定を行うシステム及びプログラムであって、リスク判定の結果に基づいて予防方針の提言も併せて行うことができるシステム及びプログラムに関する。
ここ数十年の医療の発達により平均寿命が延び、そのため長く健康であり続けるための予防医療に力を入れる傾向がみられる。その一つとして、特定の生活習慣病にかかるリスク(危険度)を知るために個人の遺伝子検査を行い、それに基づいて警告を行うことが主流である。
なお、この技術分野に関連する公知技術文献としては特許文献1〜4があり、種々の遺伝子多型を用いた骨粗鬆症発症リスクの判定方法が記載されている。
特開2005−192450号公報 特開2008−301777号公報 特開2010−66号公報 特開2010−246424号公報
骨粗鬆症は、特に、高齢の女性に多くみられる疾患で、その理由としては、骨の形成に影響を与える女性ホルモンの量が減少するためである。従って女性ホルモン量の減少が緩やかな閉経前、又は閉経直後の時期に自身の体質すなわち遺伝子多型を知り、体質に合った予防しておくことが非常に有効であると考えられる。
また、骨粗鬆症は、遺伝子多型の影響を受けやすい疾患であるが、生活習慣病の一つでもあるから、予防としては生活習慣の改善が有効である。
しかし、従来の特許文献の方法は、いずれも遺伝子の多型のみから骨粗鬆症の発症リスクを推測するのみであり、生活習慣の要因までを考慮して発症リスクを推測するものではなかった。
また、判定された発症リスクに対して、実際にどのような予防措置をとればよいのかを、生活習慣の改善も含めて提言するものではなかった。従来の予防方法は、遺伝子の型から「効果的であろう」と推測したものを行うだけで、特に実績に基づいたものではなかったため、推測による予防方法を実行しても、人によっては思ったほど効果が得られない可能性が高かった。
以上の現状に鑑み本発明の目的は、遺伝子多型と生活習慣に関連する予防策との相関が確認されたデータに基づいた骨粗鬆症発症リスクを算出するシステム及びプログラムを提供することである。さらに、骨粗鬆症発症リスクを算出するだけでなく、遺伝子多型に合った予防方針を提言することができるシステム及びプログラムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の骨粗鬆症リスク判定システムは、特定の年齢における骨粗鬆症の発症確率を算出して骨粗鬆症リスク判定を行うためのデータ処理装置を有するシステムにおいて、前記データ処理装置が、骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、骨粗鬆症の発症リスクを示す遺伝子型数値を対応付けてデータベースに記憶する手段と、遺伝子検査により得られた遺伝子型を入力され、入力された前記遺伝子型に基づいて前記データベースを参照し、対応する遺伝子型数値を取得する手段と、生活習慣を示す生活習慣関連値、閉経年齢及び発症確率算出年齢を入力される手段と、
前記発症確率を算出するための所定の数式に含まれる複数の変数に対して所定の数値を代入することにより、前記発症確率を算出する手段と、を有し、前記遺伝子型数値、前記生活習慣関連値、前記閉経年齢及び前記発症確率を算出する年齢を、前記複数の変数の各々に代入する数値自体として、又は、前記複数の変数の各々に代入する数値を算出するための数値として用いることを特徴とする。
上記システムにおいて、前記生活習慣関連値が、カルシウム摂取量、BMI値及び握力値であり、また、前記遺伝子が、エストロゲン受容体、インターロイキン6、IGF−2受容体、アンドロゲン受容体、コネクチン37、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ及びインターロイキン−1βの7種であることが、好適である。
上記システムにおいて、算出された前記発症確率を表示装置に表示する手段をさらに備えたことが、好適である。
上記システムにおいて、骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、生活習慣感受性情報を記憶したデータベースと、遺伝子検査により得られた前記遺伝子型に基づいて、前記データベースから対応する生活習慣感受性情報を取得する手段と、遺伝子検査により得られた前記遺伝子型とともに、取得した前記生活習慣感受性情報を表示装置に表示する手段と、をさらに備えたことが、好適である。
また、本発明は、上記システムのデータ処理装置に、上記システムの機能を実現させるプログラムを提供するものである。
本発明による骨粗鬆症リスク判定システム及びプログラムによれば、遺伝子検査による7種の遺伝子の遺伝子型と、生活習慣関連値とに基づいて、特定の年齢における発症確率を算出するので、骨粗鬆症のリスク判定を行うことができる。
また、リスク判定結果をユーザに分かりやすい方法で表示することができる。本発明により算出される特定年齢における発症確率は、通常の遺伝子検査にみられるような遺伝子多型のオッズ比だけから推測されるものではない。本発明では、遺伝子型のリスクに対応する遺伝値型数値に加えて、生活習慣によって異なるカルシウム摂取量(食物摂取頻度調査等により得られる)と、BMI値(身長と体重から算出)と、握力値(測定により得られる)とを、発症確率の算出式に加味することで、より正確な発症確率を判定できるようになる。
さらに、本発明では、データベースに予め遺伝子型と生活習慣感受性情報とを対応付けて格納しているので、データベース内から、その被判定者に有効と思われる予防方針を提示することができる。
本発明の効果をまとめると、次の通りである。
(1)遺伝子検査と生活習慣関連情報から、より精度の高い骨粗鬆症発症リスク判定を行うことができる。
(2)被判定者に対し予防方針を提言できる。
(3)被判定者に合った予防方針を提示することができ、通常の遺伝子検査及び骨粗鬆症のリスク診断よりも被判定者のメリットが大きい。
(4)予防方針に基づいて医療従事者が被判定者に適切なアドバイスすることができる。
(5)遺伝子型は不変であるが、生活習慣は改善することができるため、1回の健診で終わりではなく、その後のフォローアップにも使うことができる。
図1は、本発明の骨粗鬆症リスク判定システムの一実施例における運用の流れを概略的かつ模式的に示した図である。 図2は、本発明の骨粗鬆症リスク判定システムの一実施例における概略構成図である。 図3は、ID登録テーブル221の構成例である。 図4は、検査結果テーブル222の構成例である。 図5は、問診情報テーブル223の構成例である。 図6は、リスク判定結果テーブル224の構成例である。 図7は、標準値情報テーブル231の構成例である。 図8は、遺伝子型関連情報テーブル232の構成例である。 図9は、予防方針コメント情報テーブル233の構成例である。 図10は、遺伝子の検査結果及び問診情報に基づいて骨粗鬆症の発症リスクを判定するリスク判定処理を概略的に示したフロー例である。 図11は、リスク判定結果及び予防方針を表示装置に表示させる処理を概略的に示したフロー例である。 図12は、表示画面の例を示している。 図13は、表示画面の例を示している。 図14は、表示画面の例を示している。 図15は、表示画面の例を示している。
以下、本発明による骨粗鬆症リスク判定システムの実施の形態を、実施例を示した図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の骨粗鬆症リスク判定システムの一実施例における運用の流れを概略的かつ模式的に示した図である。
図1のブロック11では、骨粗鬆症リスク判定を希望する被判定者が医師の元に赴き、申込みをする際の流れを示している。医師の元には、遺伝子検査用の検査キットが用意されている。検査キットには、各キットに固有の識別情報であるIDが記載された検体取得棒と検査検体送付用封筒が含まれる(ステップ111)。IDと対応したパスワード(PW)も付与されており、パスワード情報も医師に渡されている。医師は、適宜の端末装置を用いて、検査キットのIDと当該IDに対応するパスワードを入力し、本システムにログインする(ステップ112)。最初のログインでは、受付画面が表示される(ステップ113)。医師は、被判定者のインフォームドコンセントを得る説明を行う。同意書が画面に表示され、これを印刷する。被判定者は同意書に署名し、医師がこれを保管する。医師は、被判定者から取得した検体を検査会社に送付する。被判定者の管理は、検査キットのIDのみで行われ、個人を特定する個人情報は入力されないので、個人情報が流出することはない。
図1のブロック12では、検査が医者による検査の流れを示している。検査が医者は検体を用いて遺伝子検査を実行する(ステップ121)。検査結果のデータはデータベースに格納される(ステップ122)。この遺伝子検査では、骨粗鬆症の発症に関連する複数の遺伝子の遺伝子型を調べる。すなわち、各遺伝子の遺伝子多型のうちのいずれであるかを調べる。具体的には後述する7種の遺伝子である。
図1のブロック13では、被判定者が再び医師の元に赴き、リスク判定と予防方針の提言を受ける流れを示している。医師は、適宜の端末を用いて、再びIDとパスワードを入力し、本システムにログインする(ステップ131)。2度目のログインでは、問診情報入力画面が表示される。問診情報入力画面において、医師は、被判定者のカルシウム摂取量、BMI値及び握力値を入力する(ステップ132)。本明細書では、カルシウム摂取量、BMI値及び握力値をまとめて、「生活習慣関連値」と称することとする。1日のカルシウム摂取量は、例えば、一般的な食物摂取頻度調査等を利用してデータを入力し、入力データに基づいて自動計算されるようにしてもよい。BMI値は、体重/(身長)により算出される。よって、体重と身長を入力し、入力データに基づいて自動計算されるようにしてもよい。握力値は、握力測定を行ってその測定値を入力する。
さらに、閉経後の場合は、閉経年齢を入力する。閉経前の場合は、例えば「50歳」を想定値として入力する。
さらに、骨粗鬆症の発症確率(以下、単に「発症確率」と称する場合がある)を算出する特定の年齢(以下、「発症確率算出年齢」と称する)を入力する。例えば、現在の年齢が45歳であり60歳のときの発症確率を知りたい場合は、「60歳」を入力する。別の年齢での発症確率を知りたい場合は、発症確率算出年齢を再入力して、再度算出することができる。
問診情報の入力後、遺伝子検査結果と併せてリスク判定処理が行われる(ステップ133)。リスク判定では、遺伝子型のリスク判定が行われ、発症確率算出年齢における発症確率が算出される。好適には、標準値との対比も行われる。
リスク判定結果及び結果に基づいた予防方針のコメント等が画面に表示される(ステップ134)。医師は、画面を被判定者に示しながら適切な予防方針を提言することができる。リスク判定結果に基づいた、骨粗鬆症になりにくいような体質にもっていくための予防方針の提言については、医師に限らず、栄養士、運動療法士なども行うことができる。
図2は、本発明による骨粗鬆症リスク判定システムの一実施例の概略構成図である。この実施例は、データ処理装置21と、これに接続された被判定者情報データベース22、リスク判定用基本情報データベース23、入力装置24、表示装置25及び印刷装置26を備えたシステムである。以下、データベースを「DB」と称する。データ処理装置21は、適宜のコンピュータに本システムの機能を実現するプログラムを導入し、CPUがメモリにプログラムを読み込み実行することにより実施可能である。
別の実施例として、適宜のネットワークを介してサーバコンピュータと端末コンピュータとを接続するシステム構成としてもよい。その場合、サーバコンピュータがデータ処理装置21であり、被判定者情報DB22及びリスク判定用基本情報DB23と接続され、本システムの機能を実現するプログラムを導入され、ウェブサーバ機能を備える。端末コンピュータは、ブラウザ機能を備え、入力装置24、表示装置25及び印刷装置26と接続されている。
プログラムにより実現されるデータ処理装置21の機能として、被判定者登録処理部211、検査結果格納処理部212、問診情報格納処理部213、リスク判定処理部214、判定結果及び予防方針表示処理部215がある。
被判定者情報DB22には、個々の被判定者の情報が複数のテーブルに格納されている。例えば、ID及びパスワードを格納するID登録テーブル221、遺伝子検査の結果を格納する検査結果テーブル222、問診情報を格納する問診情報テーブル223、リスク判定の結果を格納するリスク判定結果テーブル224がある。
リスク判定用基本情報DB23には、リスク判定を行うための根拠又は基準となる基本情報が複数のテーブルに格納されている。例えば、年齢毎の発症確率の標準値を格納した標準値テーブル231、遺伝子型毎に発症リスクとの関連性及び生活習慣との関連性の情報を格納した遺伝子型関連情報テーブル232、予防方針の提言を表示するためのコメント文のテンプレートを格納したコメント情報テーブル233がある。
被判定者登録処理部211は、入力装置24にログイン画面を表示し、入力装置24から最初にIDとパスワードによるログインがあったとき、受付画面において同意書を表示し、被判定者情報DB22のID登録テーブル221に対して新規の被判定者の登録処理を行う。
検査結果格納処理部212は、検査会社による遺伝子検査の結果情報を取得して被判定者情報DB22の検査結果テーブル222に格納する。遺伝子検査の結果情報は、オンライン又はオフラインのいずれを介して取得してもよい。
問診情報格納処理部213は、入力装置24から、2回目以降のIDとパスワードによるログイン時に問診情報が入力されたとき、被判定者情報DB22の問診情報テーブル223に問診情報の格納処理を行う。
リスク判定処理部214は、検査結果テーブル222に格納された遺伝子検査結果情報及び問診情報テーブル223に格納された問診情報に基づいて、遺伝子型関連情報テーブル232を参照して遺伝子型のリスクを判定し、また、発症確率算出年齢における発症確率等を算出し、判定結果及び算出結果をリスク判定結果テーブル224に格納する。さらに、標準値テーブル231を参照して算出結果を標準値と比較し、その結果もリスク判定結果テーブル224に格納する。
判定結果及び予防方針表示処理部215は、リスク判定結果テーブル224に格納された遺伝子型のリスク判定結果及び発症確率等を、表示装置25に表示する。また、リスク判定結果等に基づいてコメント情報テーブル233を参照して予防方針を提言するコメント文を作成し、表示装置25に表示する。
図3〜図6は、図2に示した被判定者情報DB22に含まれる各テーブルの実施例を示す。なお、DBの構成及びテーブルの構成は多様に考えられるので、図示の例に限定されない。
図3は、ID登録テーブル221の構成例である。
ID登録テーブル221には、「ID」31、「パスワード」32、「登録年月日」33の項目がある。ID及びパスワード32は、検査キットの製造時に各キットに割り当てられた時点で格納され、登録年月日は、遺伝子検査の受付時すなわち検査キットが被判定者に渡され同意書に同意がなされた時点で格納される。なお、IDは、被判定者情報DB21内の各テーブル間をリンク付けており、特定の被判定者のデータの抽出に用いられる。
図4は、検査結果テーブル222の構成例である。
検査結果テーブル222には、「ID」41と7種の遺伝子型42の各々の項目がある。検査により判明した遺伝子型のデータが格納されている。
骨粗鬆症の発症リスクに関係する7種の遺伝子型とその多型の部位は、次の通りである。最初の()内は遺伝子名の略号である。
・エストロゲン受容体β遺伝子(ESR2)(rs9340799)
・インターロイキン−6(IL6)(rs1800796)
・インスリン様成長因子-2受容体(IGF2R2)(rs629849)
・アンドロゲン受容遺伝子(ADR)(rs4045402)
・コネクチン37(CX37)(rs1764391)
・血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAFH)(rs45619133)
・インターロイキン−1β(IL1B)(rs16944)
ここで、遺伝子多型解析の一例について説明する。遺伝子多型解析は、例えばシーケンサーによる塩基配列の読み取りで決定することができる。まず、個人の検体から、ゲノムDNAを抽出する。検体は、例えば血液、口腔粘膜、場合によっては爪などがあげられる。抽出はQIAamp(登録商標)DNA Blood Mini Kitなどを用いて行うことができる。一方、遺伝子に特有のプライマーを設計する。
1つの対象領域に対して、設計したプライマー2種類と、ゲノムDNAと、酵素と、4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸 (dATP, dCTP, dGTP, dTTP) と滅菌蒸留水を混合し、サーマルサイクラーにより遺伝子の対象領域を増幅する。酵素には、例えばTaKaRa Ex Taq などが使用される。反応の組成は、例えば下記に示すようなものがあげられる。
10×Ex Taq Buffer* 5 μl
dNTP Mixture (各2.5 mM) 4 μl
ゲノムDNA <500 ng
Primer 1 0.2〜1.0 μM(最終濃度)
Primer 2 0.2〜1.0 μM(最終濃度)
滅菌蒸留水 50 μlまで
増幅後、反応液はExoSAP-ITなどで精製する。これに例えばBigDye(登録商標)Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ)とプライマー1種類を用いて反応を行う。反応後、精製を行い、該当箇所がシーケンサーで読み取れるようになる。シーケンサーは例えば3730 DNA Analyzer(アプライドバイオシステムズ)などがある。
また、遺伝子多型は、シーケンサーに限らず、例えばLuminexシステムなどのハイブリダイゼーション反応を応用したシステムを用いて判定することも可能である。この場合は、プライマーだけでなく、各遺伝子に特有なプローブを設計する必要がある。
検査終了後、検査結果テーブルにIDと各遺伝子の遺伝子型を格納する。
図5は、問診情報テーブル223の構成例である。
問診情報テーブル223には、「ID」51、「カルシウム摂取量」52、「身長」53、「体重」54、「BMI値」55、「握力値」56、「発症確率算出年齢」57、「閉経年齢」58の各項目がある。BMI値は、身長と体重のデータに基づいて自動算出されて格納される。発症確率算出年齢は、発症確率を算出する特定の年齢である。閉経年齢は、最終月経のあった年齢である。なお、問診情報テーブル223へのデータの格納は、遺伝子検査の結果が検査結果テーブル222に格納された後に行われる。
問診情報に含まれる生活習慣関連値は、食物摂取頻度調査等の結果であるカルシウム摂取量と、身長・体重から算出されるBMI値と、握力値である。例えば食物摂取頻度調査は、FFQg(Food Frequency Questionnaire Based on Food Groups)と言われ、食品群別に分けられた29の食品グループと、10種類の調査法から構成された簡単な質問により、日常の食事(最近1〜2か月程度)の内容を評価するために開発されたものである。被調査者に負担を強いることなく再現性・妥当性を確保することができる。本発明においては、1日のカルシウム摂取量が調査できるものであれば、この食物摂取頻度調査に限らず利用してよい。
生活習慣関連値は、遺伝子検査結果とは異なり変化する可能性があるので、リスク判定及び予防方針を医師に相談する毎に改めて入力し、更新することができる。これにより、単なる遺伝的なリスクだけではなく、生活習慣を改めることで発症リスクに反映されるので、より正確な判断ができ、フォローアップにつながる。
図6は、リスク判定結果テーブル224の構成例である。
リスク判定結果テーブル224には、「ID」61、7種の遺伝子型の各々についての「リスクレベル判定結果」62、「発症確率算出年齢」63、「発症確率」64、「標準値比」65の各項目がある。リスクレベル判定結果は、後述する図8の遺伝子型関連情報テーブルのリスクレベルを参照して遺伝子型数値を格納する。遺伝子型数値は、この実施例では"1"がリスク有りを示し、"0"がリスク無しを示している。発症確率は、後述する数式に従って算出される。標準値比は、算出された発症確率と、後述する図7の標準値情報テーブルの発症確率標準値との比を算出し、格納している。
なお、図5及び図6の「発症確率算出年齢」は、別の数値を再入力して、別の年齢における発症確率を算出することもできる。その場合は、図5及び図6の各テーブルにおける新たな行にデータを格納してもよい。
図7〜図9は、図2に示したリスク判定用基本情報DB23に含まれる各テーブルの実施例を示す。なおDBの構成及びテーブルの構成は多様に考えられるので、図示の例に限定されない。
図7は、標準値情報テーブル231の構成例である。
標準値情報テーブル231には、「年齢」71、「発症確率」72、「カルシウム摂取量」73、「BMI値」74、「握力値」75の各項目がある。このテーブルには各年齢についての各項目の標準的な値が格納される。発症確率については、本システムにより算出された各年齢における発症確率の平均値でもよく、あるいは、実際の症例データに基づいた各年齢における発症確率でもよい。カルシウム摂取量、BMI値及び握力値の各々については、本システムの対象となる被判定者の各年齢における平均値でもよい。また、平均値に限らず、理想値や推奨値でもよい。
図8は、遺伝子型関連情報テーブル232の構成例である。
遺伝子型関連情報テーブル232には、「遺伝子名略号」81、「遺伝子型」82、「リスクレベル(遺伝子型数値)」83、「生活習慣感受性」84の各項目がある。「遺伝子名略号」81には、7種の遺伝子が含まれる。各遺伝子の複数の遺伝子型にそれぞれ対応するリスクレベルが数値(遺伝子型数値)で既定されている。この実施例では、リスクレベルを示す遺伝子型数値は、"1"(リスク有り)又は"0"(リスク無し)である。
生活習慣感受性には、各遺伝子と生活習慣関連値との関連性がテキスト情報で格納されている。例えば、生活習慣関連値の1つである握力値には筋力が反映されるが、筋力と関連する遺伝子には、"筋力を鍛えるとよい"という生活習慣感受性が対応付けられている。またBMI値には太りすぎや痩せすぎが反映されるが、これと関連する遺伝子には、"痩せすぎを直すとよい"という生活習慣感受性が対応付けられている。またカルシウム摂取量と関連する遺伝子には、"カルシウム摂取量を増やすとよい"という生活習慣感受性が対応付けられている。
図9は、予防方針コメント情報テーブル233の構成例である。
予防方針コメント情報テーブル233には、「コメント文テンプレート」81、「選択肢x」92の各項目がある。コメント文テンプレートは、変数x以外の部分が定型のコメント文である。選択肢xは、変数xに代入される複数の選択肢であり、問診情報テーブル223、リスク判定結果テーブル224、標準値情報テーブル231、遺伝子型関連情報テーブル232等を参照していずれかの選択肢が選択される。変数xに選択肢を代入され完成したコメント文は、リスク判定結果の表示又は予防方針の表示において表示装置の画面に表示される。
図10は、遺伝子検査の結果及び問診情報に基づいて骨粗鬆症の発症リスクを判定するリスク判定処理を概略的に示したフロー例である。このリスク判定処理は、ログインして問診情報の入力が完了した後に実行可能となる。また、このリスク判定処理は、問診情報の入力完了後に自動的に実行してもよく、入力装置からの要求に応じて実行してもよい。
以下のフロー例の説明においては、上述の図面中の符号を参照する場合がある。
先ず、図4の検査結果テーブル222の7種の遺伝子型42の各々について、図8の遺伝子型関連情報テーブル232を参照してリスクレベル(遺伝子型数値)を判定する(ステップ1001)。リスクレベル(遺伝子型数値)の判定結果("1"又は"0")を、図6のリスク判定結果テーブル224に格納する(ステップ1002)。
本システムにおける骨粗鬆症の発症確率の算出方法は、2000人の遺伝子多型を基に、かつ遺伝子多型のみでなく、個人の10年間の生活習慣データを基に確立させたロジスティックモデルによるものである。
先ず、図6のリスク判定結果テーブル224及び図5の問診情報テーブル223から次の各データを取得する(ステップ1003)。
・7種の遺伝子型の遺伝子型数値
・生活習慣関連値(カルシウム摂取量、BMI値、握力値)
・閉経年齢
・発症確率算出年齢
発症確率pを、以下の式1により算出する(ステップ1004、1005)。
Figure 2013097693
上記の式1中のZは、以下の式2により算出する。
Figure 2013097693
上記の式2中に含まれる13個の定数のパラメータ及び12個の変数X1、X2...X12は、それぞれ以下の数3及び数4の通りである。
Figure 2013097693
Figure 2013097693
上記の13個の定数のパラメータは、過去の蓄積データに基づいて決定された数値である。
上記のZは、1個の定数パラメータと、12個の各定数のパラメータと各変数Xn(n=1,...,12)の積と、を加算したものである。
各変数Xn(n=1,...,12)に代入される数値は、遺伝子型数値、生活習慣関連値(カルシウム摂取量、BMI値、握力値)、閉経年齢及び発症確率算出年齢のうちのいずれかの数値自体、又は、これらの数値から算出された数値である。
X1、X2、X3、X4、X5には、IGF2R2、ADR、CX37、ESR2、IL6の各々の遺伝子型数値がそれぞれ代入される。具体的な遺伝子型数値は、上記の数4の各変数の()内に示されている通り、"0"又は"1"である。
X6には、IL6の遺伝子型数値とBMI値の積が代入される。
X7には、BMI値が代入される。
X8には、閉経年齢とIGF2R2の遺伝子型数値の積が代入される(但し、閉経前には、例えば50歳を想定値として代入)。
X9には、IL1Bの遺伝子型数値とカルシウム摂取量の積が代入される。
X10には、PAFAHの遺伝子型数値と握力値の積が代入される。
X11には、ESR2の遺伝値型数値と握力値の積が代入される。
X12には、発症確率算出年齢が代入される。
Zは、−∞<Z<∞の範囲を、pは、0<p<1の範囲を取り得る。発症確率を百分率で表す場合は、p*100(%)となる(ステップ1005)。
次に、図7の標準値情報テーブル231を参照することにより、算出された発症確率(%)と標準値を比較する(ステップ1006)。例えば、発症確率算出年齢を60歳として発症確率(%)を算出した場合、図7の標準値情報テーブル231の年齢60歳における発症確率(図7の例では"16%")との比を算出する。この比を「標準値比」と称することとする。
続いて、ステップ1005及び1006で算出された発症確率(%)及び標準値比を図6のリスク判定結果テーブル224にそれぞれ格納する(ステップ1007)。図6の例では、例えば発症確率が"40%"、標準値比が"2.5倍"となっている。
図11は、リスク判定結果及び予防方針を表示装置に表示させる処理を概略的に示したフロー例である。また、図12〜図15は、表示画面の例を示している。この表示処理は、図10のリスク判定処理が完了した後に実行可能となる。また、この表示処理は、リスク判定処理後に自動的に実行してもよく、入力装置からの要求に応じて実行してもよい。
先ず、図6のリスク判定結果テーブル224から発症確率(%)及び標準値比を取得し、表示装置に表示する(ステップ1101、ステップ1102)。これにより、例えば図12の上半分のように表示される。
また、図6のリスク判定結果テーブル224から7種の遺伝子型及びそのリスクレベル(遺伝子型数値)判定結果を取得し、また、図8の遺伝子型関連情報テーブル232から生活習慣感受性情報を取得し、表示装置に表示する(ステップ1103)。これにより、例えば図12の下半分のように表示される。図12の例では、リスクレベル(遺伝子型数値)の"0"と"1"とを数字ではなく色分けで区別し、判り易いように表示している。
さらに、別の表示画面では、図9のコメント文テーブル233の各コメント文テンプレートについて、図5の問診情報テーブル223及び図6のリスク判定結果テーブル224のデータを参照して選択肢xの中から該当する値又は文言を選択してコメント文を作成し、表示装置に表示する(ステップ1104)。これにより、例えば、図13の下半分のようにコメント文が表示される。
また、図13の上半分のグラフは、横軸が年齢、縦軸が発症確率である。"あなたの平均的な骨粗鬆症発症リスク"のグラフは、上述の発症確率の算出処理を、複数の異なる発症確率算出年齢を用いて実行し、結果に基づいてグラフ化したものである。また、"女性の平均的な骨粗鬆症発症リスク"のグラフは、図7の標準値情報テーブル231のデータに基づいてグラフ化したものである。
さらに、別の表示画面では、特定の年齢における発症確率を目標値とするための、生活習慣関連値の目標値を算出し、表示装置に表示する(ステップ1105)。例えば、図14のような表示画面とする。例えば、最初にカルシウム摂取量の現在値450mgが数値表示され、発症確率の現在値40%及び標準値16%がグラフ上の横線でそれぞれ表示される。次に、カーソルを発症確率の現在値の横線に合わせ、この横線を任意の目標値までドラッグする。発症確率を示す横線のドラッグ移動に伴ってカルシウム摂取量の数値表示が変化する。このカルシウム摂取量の目標値は、上述の式1の発症確率pとしてドラッグされた位置での発症確率の数値を代入し、式2のZにおけるカルシウム摂取量を変数として数式を解く演算により得られる。BMI値及び握力値についても同様である。
さらに、別の表示画面では、現時点の生活習慣関連値と、現時点年齢の標準値とを対比を、判り易いように表示装置に表示する(ステップ1106)。例えば、図15のような表示画面とする。現在値は、図5の問診情報テーブル223から取得し、標準値は、図7の標準値情報テーブル231から取得し、分かり易いグラフ表示及び数値表示を作成する。
このように、骨粗鬆症の発症リスクの判定結果と、生活習慣に関連した予防方針とを表示画面上で見ることができる。
なお、本システムを利用した骨粗鬆症の発症リスクの判定及び予防方針の提言は、何度でも受けることができ、経年的な変化や生活習慣改善の効果も確認することができる。遺伝子検査については、一度行えば同じデータを毎回用いることができる。問診情報として新しい生活習慣関連値を入力することにより、新たなリスク判定結果及び予防方針の提言を得ることができる。
21 データ処理装置
211 被判定者登録処理部
212 検査結果格納処理部
213 問診情報格納処理部
214 リスク判定処理部
215 判定結果及び予防方針表示処理部
22 被判定者情報データベース
221 ID登録テーブル
222 検査結果テーブル
223 問診情報テーブル
224 リスク判定結果テーブル
23 リスク判定用基本情報データベース
231 標準値テーブル
232 遺伝子型関連情報テーブル
233 コメント情報テーブル
24 入力装置
25 表示装置
26 印刷装置

Claims (12)

  1. 特定の年齢における骨粗鬆症の発症確率を算出して骨粗鬆症リスク判定を行うためのデータ処理装置を有するシステムにおいて、前記データ処理装置が、
    骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、骨粗鬆症の発症リスクを示す遺伝子型数値を対応付けてデータベースに記憶する手段と、
    遺伝子検査により得られた遺伝子型を入力され、入力された前記遺伝子型に基づいて前記データベースを参照し、対応する遺伝子型数値を取得する手段と、
    生活習慣を示す生活習慣関連値、閉経年齢及び発症確率算出年齢を入力される手段と、
    前記発症確率を算出するための所定の数式に含まれる複数の変数に対して所定の数値を代入することにより、前記発症確率を算出する手段と、を有し、
    前記遺伝子型数値、前記生活習慣関連値、前記閉経年齢及び前記発症確率を算出する年齢を、前記複数の変数の各々に代入する数値自体として、又は、前記複数の変数の各々に代入する数値を算出するための数値として用いることを特徴とする骨粗鬆症リスク判定システム。
  2. 前記生活習慣関連値が、カルシウム摂取量、BMI値及び握力値であることを特徴とする請求項1に記載の骨粗鬆症リスク判定システム。
  3. 前記遺伝子が、エストロゲン受容体、インターロイキン6、IGF−2受容体、アンドロゲン受容体、コネクチン37、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ及びインターロイキン−1βの7種であることを特徴とする請求項2に記載の骨粗鬆症リスク判定システム。
  4. 前記発症確率であるpを算出する数式が、
    Figure 2013097693
    であり、前記数式中のZが、
    Figure 2013097693
    であり、前記Z中の定数のパラメータの数値が、
    Figure 2013097693
    であり、前記Z中の変数が、
    Figure 2013097693
    であることを特徴とする請求項3に記載の骨粗鬆症リスク判定システム。
  5. 算出された前記発症確率を表示装置に表示する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の骨粗鬆症リスク判定システム。
  6. 骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、生活習慣感受性情報を記憶したデータベースと、
    遺伝子検査により得られた前記遺伝子型に基づいて、前記データベースから対応する生活習慣感受性情報を取得する手段と、
    遺伝子検査により得られた前記遺伝子型とともに、取得した前記生活習慣感受性情報を表示装置に表示する手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の骨粗鬆症リスク判定システム。
  7. 特定の年齢における骨粗鬆症の発症確率を算出して骨粗鬆症リスク判定を行うべくデータ処理装置を機能させるプログラムであって、
    骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、骨粗鬆症の発症リスクを示す遺伝子型数値を対応付けてデータベースに記憶する機能と、
    遺伝子検査により得られた遺伝子型を入力され、入力された前記遺伝子型に基づいて前記データベースを参照し、対応する遺伝子型数値を取得する機能と、
    生活習慣を示す生活習慣関連値、閉経年齢及び発症確率算出年齢を入力される機能と、
    前記発症確率を算出するための所定の数式に含まれる複数の変数に対して所定の数値を代入することにより、前記発症確率を算出する機能と、を実現し、
    前記遺伝子型数値、前記生活習慣関連値、前記閉経年齢及び前記発症確率を算出する年齢を、前記複数の変数の各々に代入する数値自体として、又は、前記複数の変数の各々に代入する数値を算出するための数値として用いることを特徴とする骨粗鬆症リスク判定プログラム。
  8. 前記生活習慣関連値が、カルシウム摂取量、BMI値及び握力値であることを特徴とする請求項7に記載の骨粗鬆症リスク判定プログラム。
  9. 前記遺伝子が、エストロゲン受容体、インターロイキン6、IGF−2受容体、アンドロゲン受容体、コネクチン37、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ及びインターロイキン−1βの7種であることを特徴とする請求項8に記載の骨粗鬆症リスク判定プログラム。
  10. 前記発症確率であるpを算出する数式が、
    Figure 2013097693
    であり、前記数式中のZが、
    Figure 2013097693
    であり、前記Z中の定数のパラメータの数値が、
    Figure 2013097693
    であり、前記Z中の変数が、
    Figure 2013097693
    であることを特徴とする請求項9に記載の骨粗鬆症リスク判定プログラム。
  11. 算出された前記発症確率を表示装置に表示させる機能をさらに実現することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の骨粗鬆症リスク判定プログラム。
  12. 骨粗鬆症の発症に関連する遺伝子に含まれる複数の遺伝子型の各々について、生活習慣感受性情報をデータベースに記憶する機能と、
    遺伝子検査により得られた前記遺伝子型に基づいて、前記データベースから対応する生活習慣感受性情報を取得する機能と、
    遺伝子検査により得られた前記遺伝子型とともに、取得した前記生活習慣感受性情報を表示装置に表示する機能と、をさらに実現することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の骨粗鬆症リスク判定プログラム。
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