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JP2013075944A - エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物、ガラス接着性シートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物、ガラス接着性シートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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JP2013075944A JP2011215238A JP2011215238A JP2013075944A JP 2013075944 A JP2013075944 A JP 2013075944A JP 2011215238 A JP2011215238 A JP 2011215238A JP 2011215238 A JP2011215238 A JP 2011215238A JP 2013075944 A JP2013075944 A JP 2013075944A
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博 伊達
Akihiro Takayanagi
彰宏 高柳
Shirei Koshida
伺励 越田
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Abstract

【課題】長期間保管されても架橋特性を当初設計通りにでき、ガラス板に対する接着性低下が防止されたエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を提供する。
【解決手段】本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体とシランカップリング剤オリゴマーと有機過酸化物からなる架橋剤とを含有し、前記シランカップリング剤オリゴマーは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、下記(a)(b)を満たすように加水分解および縮合させて得たものである。(a)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が0.05以下である。(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対する該シランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が0.4以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物に関する。また、ガラス板に接着性を有するガラス接着性シートに関する。また、ガラス接着性シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴い、太陽光発電の普及が急速に拡大している。通常、太陽光発電では、発電素子である複数の太陽電池セルが電気的に接続された状態で一対のシート状の封止材に挟持され、さらにこれらが保護材としてのガラス板とバックシートに挟持された太陽電池モジュールが用いられる。太陽電池用の封止材としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としたものが広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されているように、通常、封止材には、有機過酸化物からなる架橋剤が添加されており、封止加工時の加熱によってEVAの架橋反応を生じさせて、封止材の耐久性を向上させている。
また、封止材には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤も添加されており、ガラス板や太陽電池セルとの接着性を向上させている。
特開2000−174296号公報
しかしながら、特許文献1に記載の封止材では、長期間保管すると、封止加工時の架橋特性(架橋速度)が当初設計した通りにならない上に、接着性が低下することがあった。そのため、得られた太陽電池モジュールの耐久性や発電性能にバラツキが生じることがあった。
また、封止材と同様のシートが、合わせガラスの中間膜に用いられているが、封止材と同様に、長期保管後に接着性が低下し、耐久性にバラツキが生じることがあった。
本発明は、長期間保管されても架橋特性を当初設計通りにでき、ガラス板に対する接着性低下が防止されたエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物およびガラス接着性シートを提供することを目的とする。また、高い耐久性および発電性能を有する太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、封止材を長期間保管した際に架橋特性が当初設計通りにならず、接着性が低下する原因について調べた。その結果、封止材を長期間保管すると、シランカップリング剤が加水分解し、さらに縮合反応を引き起こして、三次元立体構造の重合体を形成することを見出した。その三次元立体構造の重合体は、立体障害を生じる構造になるため、架橋剤由来のラジカルがシランカップリング剤のビニル基と反応しにくくなる。これにより、シランカップリング剤が縮合する前よりも、EVAと反応するラジカル量が多くなるため、EVAの架橋特性が当初設計した通りにならなくなる。また、シランカップリング剤が縮合すると、接着性を発揮するシラノール基が減少するため、接着性が低下することを見出した。それらの知見に基づき、本発明者らがさらに検討した結果、予めシランカップリング剤をある程度縮合させておくことで、上記課題を解決できることを見出して、以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物、ガラス接着性シートおよび太陽電池モジュールを発明した。
[1]エチレン−酢酸ビニル共重合体と、該エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.05〜10質量部のシランカップリング剤オリゴマーと、有機過酸化物からなる架橋剤とを含有し、前記シランカップリング剤オリゴマーは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、下記(a)(b)を満たすように加水分解および縮合させて得たものであることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物。
(a)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が0.05以下である。
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対する該シランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が0.4以上である。
[2][1]に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物からなることを特徴とするガラス接着性シート。
[3]太陽電池セルと、該太陽電池セルを挟持した一対の太陽電池用封止材とを備え、前記太陽電池用封止材は[2]に記載のガラス接着性シートであることを特徴とする太陽電池モジュール。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物およびガラス接着性シートは、長期間保管しても架橋特性を当初設計通りにでき、ガラス板に対する接着性低下が防止されている。
本発明の太陽電池モジュールは、高い耐久性および発電性能を有する。
本発明の太陽電池モジュールの一実施形態例を示す断面図である。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物>
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」という。)とシランカップリング剤オリゴマーと有機過酸化物とを含有する。
(EVA)
EVAは、酢酸ビニル単位の割合が10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。EVAにおける酢酸ビニル単位の割合が前記下限値以上であれば、該組成物から得られるシートの透明性、接着性を高くでき、前記上限値以下であれば、耐久性をより高くできる。
EVAの質量平均分子量は10,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜100,000であることがより好ましい。EVAの質量平均分子量が前記下限値以上であれば、該組成物から得られるシートの機械的物性を良好にでき、前記上限値以下であれば、加工性を良好にできる。
(シランカップリング剤オリゴマー)
シランカップリング剤オリゴマーは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、下記(a)(b)を満たすように加水分解および縮合させて得たものである。
(a)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収(波数:1260cm−1)に対するメトキシ基の吸収(波数:2842cm−1)の比率が0.05以下であり、好ましくは0.03以下であり、より好ましくは0.01以下であり、最も好ましくは0である。
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが加水分解すると、メトキシシラン基がシラノール基となる。したがって、ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が小さくなる。ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が前記上限値以下であることは、加水分解がほぼ完了した、すなわちメトキシシラン基がほぼシラノール基になったことを意味する。ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が前記上限値を超えているものを使用した場合には、加水分解が完了していないから、長期間保管された際には架橋特性が当初設計通りにならず、ガラス板に対する接着性が低下することがある。
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収(波数:1260cm−1)に対する該シランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収(波数:980cm−1)の比率が0.4以上であり、0.5以上であることがより好ましい。また、ビニル基の吸収に対する該シランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率は1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが加水分解した後には、シラノール基同士が脱水縮合して重合する。したがって、ビニル基の吸収に対するシランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が大きくなる。ビニル基の吸収に対するシランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が前記下限値以上であることは、縮合がある程度進行したことを意味する。ビニル基の吸収に対するシランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が前記下限値未満のものを使用した場合には、長期間保管された際には架橋特性が当初設計通りにならず、ガラス板に対する接着性が低下することがある。
なお、ビニル基の吸収、メトキシ基の吸収およびシラノール基の吸収は、オリゴマーをKBrディスクに塗布した測定試料を用意し、FT−IR測定装置を用いて400〜4000cm−1の赤外線を透過法によって測定し、各吸収ピークにより同定・定量した。
加水分解および縮合の方法としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに水および有機溶媒を添加し、これらを攪拌する方法が挙げられる。その際、反応時間、pHあるいは反応温度によって反応の進行度合いを調整することができる。特に、pHは加水分解反応と縮合反応の反応速度を調整する重要な条件である。すなわち、pHが弱酸性、好ましくは3.5〜4.0の範囲で縮合反応の反応速度の極小値が現れるため、まず、弱酸性の条件で、加水分解反応を充分に行い、又は加水分解反応を完結させた後、徐々に縮合反応を進行させることで、所望の反応物を得ることができる。pHがアルカリ側(7以上)になると、加水分解反応の速度は低下する一方、縮合反応が速くなるため、所望の反応物は得られにくい。このようなことから、pHは3.5〜4.0にすることが好ましい。
縮合反応および加水分解反応は、反応温度を高くする程、反応時間を長くする程、進行するが、加水分解が充分にあるいは完全に進行し、かつ、充分な縮合度にするためには、赤外線分光計等により進行度合いを確認しながら、条件(反応温度、反応時間等)を調整することが好ましい。
pHは酸(例えば、酢酸等)またはアルカリの添加により調整すればよい。
シランカップリング剤オリゴマーの含有量は0.05〜10質量部であり、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.1〜2.0質量部であることがより好ましい。シランカップリング剤オリゴマーの含有量が前記下限値以上であれば、ガラスに対する接着性をより高くでき、前記上限値以下であれば、EVAを架橋させる架橋剤を充分に確保できるため、EVAを充分に架橋させることができる。
(架橋剤)
架橋剤は、EVAを架橋させるための有機過酸化物である。有機過酸化物としては、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
架橋剤の配合量は、EVAの100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。架橋剤の配合量が前記下限値以上であれば、EVAを充分に架橋させることができるが、5質量%を超えて配合しても架橋度の向上は頭打ちになり、未分解残渣量が増大し、耐久性(耐候性)の低下、変色等の原因になるため、不適切である。
(添加剤)
エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物には、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、架橋助剤等の添加剤が含まれてもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等が挙げられる。
架橋助剤は、重合性不飽和基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基等)を1つ以上(好ましくは2つ以上)有する化合物である。該化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
架橋助剤の配合量は、EVAの100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、0〜2質量部がより好ましい。
また、上記添加剤の他に、エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物には、変色防止剤(脂肪酸金属塩等)、顔料、染料、充填材等が含まれてもよい。
(作用効果)
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体に含まれる上記シランカップリング剤オリゴマーは、シランカップリング剤の加水分解が完了し、さらにある程度縮合しているため、分子サイズが大きくなっている。分子サイズが大きいオリゴマー同士では反応が起こりにくいため、長期間保管された際のシラノール基の減少を抑制することができる。
また、長期間保管された際にオリゴマー同士が反応しにくく、架橋剤との反応を阻害する構造になりにくいため、該オリゴマーのビニルと架橋剤との反応量は保管前後で殆ど変化しない。これにより、EVAの架橋に寄与する架橋剤量は保管前の状態とほぼ同じになるため、架橋特性を当初設計通りにできる。
<ガラス接着性シート>
本発明のガラス接着性シートは、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる。
ガラス接着性シートの製造方法としては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を成形してシート化する方法が挙げられる。シート化方法としては、例えば、Tダイを用いた押出成形法、プレス成形法等が挙げられる。また、離型シートにエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物の溶液を塗工し、乾燥することにより、シート化することもできる。
(厚み)
ガラス接着性シートの厚みは、作製する太陽電池モジュールや合わせガラスに応じて0.05〜1mmの範囲内で適宜選択される。ガラス接着性シートの厚みが0.05mm以上であれば、封止材として用いた場合には太陽電池セルを充分に封止でき、合わせガラス用中間膜として用いた場合にはガラス同士を充分に接着できる。一方、厚みが1mm以下であれば、太陽電池セルや合わせガラスを薄型化できる。
(作用効果)
上記ガラス接着性シートは、ある程度縮合したシランカップリング剤オリゴマーを含有するため、長期間保管されても、EVAの架橋に寄与する架橋剤量は保管前の状態とほぼ同じであり、架橋特性を当初設計通りにできる。また、長期保管されても、接着性に寄与するシラノール基の量が殆ど変化しないため、ガラス板に対する接着性低下が防止されている。
このようなガラス接着性シートは、太陽電池用封止材や合わせガラス用中間膜として好適に使用される。
<太陽電池モジュール>
次に、上記ガラス接着性シートを用いた太陽電池モジュールの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の太陽電池モジュールの断面図を示す。本実施形態の太陽電池モジュール10は、複数の太陽電池セル11,11・・・と一対の太陽電池用封止材12,12とガラス板13とバックシート14とを備える。太陽電池セル11は、一対の太陽電池用封止材12,12に挟持されて固定されている。また、封止材12,12は、ガラス板13とバックシート14との間に配置されており、上記ガラス接着性シートが使用されている。
(太陽電池セル)
太陽電池セル11としては、p型とn型の半導体を接合した構造を有するpn接合型太陽電池素子が挙げられる。pn接合型太陽電池素子としては、シリコン系(単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系等)、化合物系(GaAs系、CIS系、CdTe−CdS系)等が挙げられる。
本実施形態例では、複数の太陽電池セル11は、導線および半田接合部を備えたタブストリング15を介して電気的に直列に接続されている。
(ガラス板)
ガラス板13は、太陽電池セル11等の保護材として機能する。ガラス板13としては、光透過性の点から、表面に凹凸をつけた型板ガラスが好ましい。型板ガラスの材料としては、鉄分の少ない白板ガラス(高透過ガラス)が好ましい。
(バックシート)
バックシート14の材料としては、ポリフッ化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン等)、ガラス、金属(アルミニウム等)等が挙げられる。バックシート24は、単層であってもよく、複層であってもよい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
太陽電池モジュールの製造方法としては、タブストリング15を用いて電気的に接続した複数の太陽電池セル11,11・・・を一対の封止材12,12で挟み、さらに封止材12,12をガラス板13とバックシート14とで挟んだ後、加熱して、封止材12,12同士、封止材12とガラス板13、封止材12とバックシート14とを接着する方法が挙げられる。
上記製造方法における加熱は、生産性が高くなることから、架橋剤が充分に分解する条件(温度、時間)で行うことが好ましい。また、架橋剤が充分に分解する条件で加熱すれば、封止材12に含まれるEVAを充分に架橋でき、封止材11の耐久性をより向上させることができる。
(作用効果)
上記のガラス接着性シートを封止材として用いている本発明の太陽電池モジュールは、ガラス接着性シートが充分に架橋されている上に、ガラス接着性シートとガラス板との接着性は充分に高い。そのため、太陽電池モジュールは、高い耐久性および発電性能を有している。
(製造例1)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−503)50gとイオン交換水20gに酢酸を添加して得たpH3.7の酢酸水溶液とエタノール5gとを混合し、25℃にて24時間攪拌して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのオリゴマー(OMPTMS(1))を得た。
(製造例2)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50gとイオン交換水20gに酢酸を添加して得たpH3.7の酢酸水溶液とエタノール5gとを混合し、40℃にて24時間攪拌して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのオリゴマー(OMPTMS(2))を得た。
(製造例3)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gに、イオン交換水に酢酸を添加して得たpH3.7の酢酸水溶液4gを混合し、25℃にて15分間攪拌して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのオリゴマー(OMPTMS(3))を得た。
(製造例4)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン44gとイオン交換水7.8gとアセトン65.7gとジ−n−ブチルアミン1.4gとを混合し、25℃にて48時間攪拌して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのオリゴマー(OMPTMS(4))を得た。
製造例1〜4で得たオリゴマーおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)について、赤外線吸収スペクトルを、赤外線吸収測定装置(サーモエレクトロン社製Nicolet380)を用いて測定した。得られたスペクトルから、ビニル基の吸収(波長:1260cm−1)に対するメトキシ基の吸収(波数:2842cm−1)の比率を求めた。また、ビニル基の吸収(波数:1260cm−1)に対する該オリゴマーに起因するシラノール基の吸収(波数:980cm−1)の比率を求めた。それらの結果を表1に示す。
これらの結果より、OMPTMS(1)およびOMPTMS(2)は、加水分解が完了し、適度に縮合が進んだものである。
OMPTMS(3)は、加水分解が完了していないものである。
OMPTMS(4)は、加水分解が完了し且つ縮合が殆ど完了しているものである。
Figure 2013075944
(実施例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(ロッテ大山石油化学(Lotte Daesan Petrochemical))社製SEETEC EVA VE700、酢酸ビニル単位:30質量%、MFR(190℃):15g/分)100質量部、架橋剤(化薬アクゾ社製カヤヘキサAD、ジアルキルパーオキサイド)0.5質量部、架橋助剤(日本化成社製タイク)0.5質量部、紫外線吸収剤(BASFジャパン社製TINUVIN P)0.5質量部と、光安定剤(BASFジャパン社製TINUVIN114)0.5質量部、製造例1で得たOMPTMS(1)0.5質量部を混合して、エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得た。次いで、得られた組成物をプレス成形して、太陽電池用封止材として用いられる厚さ500μmのガラス接着性シートを得た。
次いで、上記のようにして得た2枚のシートに、電気的に直列に接続した複数の多結晶シリコン系太陽電池セルを挟み、これらをガラス板と、ポリフッ化ビニルおよびポリエステルからなるバックシートとで挟んで積層体を得た。この積層体を樹脂製の袋に入れ、袋内部を真空にし、加熱炉内で150℃に30分間加熱して、太陽電池モジュールを得た。
(実施例2)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(2)0.1質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(実施例3)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(2)0.5質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(実施例4)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(2)2.0質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(比較例1)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(比較例2)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(3)0.5質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(比較例3)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(4)0.5質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
(比較例4)
OMPTMS(1)0.5質量部の代わりにOMPTMS(4)1.0質量部を配合してエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得たこと以外は実施例1と同様にして、ガラス接着性シートを得た。また、そのガラス接着性シートを用いて実施例1と同様にして太陽電池モジュールを得た。
[評価]
・架橋特性の変化
得られたガラス接着性シートを、温度30℃、相対湿度80%RHの環境下に3ヶ月間放置し、1ヵ月毎の架橋特性の変化を調べた。評価結果を表2に示す。なお、架橋特性は、JSRトレーディング(株)、キュラストメータ モデル7を用いて、150℃、30分の測定条件で、時間−トルク曲線を得た。その曲線から、トルクが一定値(0.05N・cm)に達するまでの時間を測定した。その時間の変化が小さい程、経時変化が少なく当初の設計どおりの架橋特性を示すため好ましい。
・ガラス板との接着性
得られた太陽電池モジュールにおけるガラス接着性シートとガラス板との接着強度を、引張試験機(島津製作所社製AG−5000A)を用い、23℃の環境下、引張速度200mm/分で180°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。その剥離強度を接着強度とした。
また、温度30℃の環境下に3ヶ月間放置したガラス接着性シート、温度85℃、相対湿度85%の環境下、1000時間放置したガラス接着シートについても接着強度を測定した。
得られた接着強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2013075944
シランカップリング剤を適度に縮合させたオリゴマーを用いた実施例1〜4では、3ヶ月間放置しても、ガラス接着性シートの架橋特性は殆ど変化しなかった。また、ガラス板に対する接着性は充分なものであった。
シランカップリング剤をそのままを用いた比較例1では、3ヶ月間放置後にガラス接着性シートの架橋特性が大幅に変化し、接着性が低下した。
シランカップリング剤の加水分解が完了していないオリゴマーを用いた比較例2では、3ヶ月間放置後にガラス接着性シートの架橋特性が大幅に変化し、接着性が低下した。
シランカップリング剤の加水分解は完了したが縮合が殆ど進んでいないオリゴマーを用いた比較例3,4では、ガラス板に対する接着性が初期から低かった。また、比較例3,4との比較より、オリゴマー配合量を増やしても、接着性は改善されないことがわかった。
10 太陽電池モジュール
11 太陽電池セル
12 封止材
13 ガラス板
14 バックシート
15 タブストリング

Claims (3)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体と、該エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.05〜10質量部のシランカップリング剤オリゴマーと、有機過酸化物からなる架橋剤とを含有し、
    前記シランカップリング剤オリゴマーは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、下記(a)(b)を満たすように加水分解および縮合させて得たものであることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物。
    (a)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対するメトキシ基の吸収の比率が0.05以下である。
    (b)赤外線吸収スペクトルにおいて、ビニル基の吸収に対する該シランカップリング剤オリゴマーに起因するシラノール基の吸収の比率が0.4以上である。
  2. 請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物からなることを特徴とするガラス接着性シート。
  3. 太陽電池セルと、該太陽電池セルを挟持した一対の太陽電池用封止材とを備え、前記太陽電池用封止材は請求項2に記載のガラス接着性シートであることを特徴とする太陽電池モジュール。
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