JP2013063989A - 抗菌性部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】筍の皮に抗菌性があることを新たに発見し、更に新たな用途を開発し、従来、その殆どがそのまま放置されるか、ゴミとして処理されていた筍の皮を有効に利用した抗菌性部材を提供する。
【解決手段】廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を用いた抗菌性部材である。ここで、抗菌性部材にはシート材、抗菌性容器、トレイ、抗菌性テープ等があり、これによって、付着した菌の増殖を防止し、極めて衛生的なものとなる。
【選択図】図1
【解決手段】廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を用いた抗菌性部材である。ここで、抗菌性部材にはシート材、抗菌性容器、トレイ、抗菌性テープ等があり、これによって、付着した菌の増殖を防止し、極めて衛生的なものとなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を用いた(原料、材料、半製品、製品を含む)に関する。
筍の皮は、従来筍の食用部分を除去した後は一部が弁当の容器等に使用されているが、その大半は廃棄処分されていた。そこで、筍の皮の有効利用を図るために、例えば、特許文献1に記載のように容器を作ることや、特許文献2に記載のように、筍の皮中の繊維分を利用して糸や布、場合によってはボードを作ることが提案されていた。また、特許文献3に記載のように肥料として用いられることもあった。
しかしながら、筍の皮は一定の時期しか入手できず、更には筍の収穫時期以外の時期には筍の皮の代替原料も少ないので、特許文献1に記載のように容器を作る産業は成立しにくいという問題があった。特許文献2には筍の皮のセルロース分に焦点を当てて種々の製品を提案しているが、筍の皮の特殊な性質を利用したものではない。また、特許文献3のように肥料を作ることも、筍の皮自体の成分では肥料としての効果は薄く、結果として他の成分を混入する必要があり、更には、大量の筍の皮を必要とし、しかもその収穫時期が限られていることから、産業としては成立しにくいという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、筍の皮に抗菌性があることを新たに発見し、更に新たな用途を開発し、従来、その殆どがそのまま放置されるか、ゴミとして処理されていた筍の皮を有効に利用するシート材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係るシート材の製造方法は、抗菌性を有する筍の皮を水洗して乾燥し、物理的手段により解繊処理を行い、繊維分以外の紛状物を除去して粉砕機に入れ粉末状物とし、該粉末状物を沸騰加熱した後、底部が透水性を有する容器に入れて、前記筍の皮に含まれる糖質をバインダーとして、固まらせて厚みが0.1〜5mmのシート材を製造した。
また、第2の発明に係るシート材の製造方法は、抗菌性を有する筍の皮を水洗して乾燥し、物理的手段により解繊処理を行い、繊維分以外の紛状物を除去して粉砕機に入れ粉末状物とし、該粉末状物を沸騰加熱した後、上型と下型の間に入れて加圧圧締する。
第3の発明に係るシート材の製造方法は、第2の発明に係るシート材の製造方法において、前記上型及び前記下型に凹凸を設け、該シート材に凹部と凸部からなる段差を設けた。
第4の発明に係るシート材の製造方法は、第1〜第3の発明に係るシート材の製造方法において、前記粉末状物の沸騰加熱に0.1〜1質量%のアルカリ剤を入れる。
なお、筍の皮には春に採取された筍から食べられる部分を除去した皮の他、若竹又は成竹の節の部分に残っている筍の皮状物を含む。いずれの場合であっても、腐敗していない乾燥した筍の皮を使用する。なお、筍の皮を採集する竹は、例えば、モウソウダケ、マダケが好ましく、他にハチク、クロチク、ヤダケ又はメダケであってもよい。
また、本発明の抗菌性部材の一つであるトレイにおいて、トレイ全体を筍の皮の繊維、粉粒状物、細片(小片)を用いて作る場合は、バインダーを除いて100%の筍の皮材を使用するのが好ましいが、脱臭性、脱ガス性、抗菌性を発揮できる程度に筍の皮材が含まれれば十分であるので、全体の重量にして40%以上(好ましくは70%以上)の筍の皮材が含まれれば十分である。
請求項1〜4記載のシート材の製造方法は、抗菌性を有する筍の皮(細片も含む又はその繊維あるいは粉)を使用しているので、抗菌性を有して極めて衛生的である。
このシート材によって、従来その殆どは廃棄処分とされていた筍の皮の有効利用ができる。
そして、筍の皮及びその繊維については、鋭意研究の結果、抗菌性の他、脱臭効果、脱ガス作用があることが実験によって確認されている。従って、筍の皮を利用したシート材は、脱臭性及び脱ガス性にも優れる。
このシート材によって、従来その殆どは廃棄処分とされていた筍の皮の有効利用ができる。
そして、筍の皮及びその繊維については、鋭意研究の結果、抗菌性の他、脱臭効果、脱ガス作用があることが実験によって確認されている。従って、筍の皮を利用したシート材は、脱臭性及び脱ガス性にも優れる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の実施の形態に係る抗菌性部材(なお、各抗菌性部材を区別するために、語尾にA、B、C、D・・・を付記する)の理解に供する。
モウソウダケ又はマダケの筍の皮を回収し、水洗して乾燥する。この乾燥した筍の皮をショットブラスト、スタンバー、ビーター、ミキサーのいずれか1の物理的手段によって、解繊処理を行い、繊維分以外の紛状物を除去したものを使用する。これによって回収した繊維を縒れば抗菌性を有する糸(抗菌性部材Aの一例)となり、この糸を織れば抗菌性を有する織布(抗菌性部材Bの一例)となる。なお、糸又は布を製造する前に、筍の皮の繊維を沸騰させて柔らかくしてもよい。この場合、必用に応じて、アルカリ剤(例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ)等を少量(例えば、0.1〜1質量%)入れてもよい。また、筍の皮の繊維をバインダーで固めてシート状とすることによって不織布からなるシート材(抗菌性部材Cの一例)とすることもできる。
モウソウダケ又はマダケの筍の皮を回収し、水洗して乾燥する。この乾燥した筍の皮をショットブラスト、スタンバー、ビーター、ミキサーのいずれか1の物理的手段によって、解繊処理を行い、繊維分以外の紛状物を除去したものを使用する。これによって回収した繊維を縒れば抗菌性を有する糸(抗菌性部材Aの一例)となり、この糸を織れば抗菌性を有する織布(抗菌性部材Bの一例)となる。なお、糸又は布を製造する前に、筍の皮の繊維を沸騰させて柔らかくしてもよい。この場合、必用に応じて、アルカリ剤(例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ)等を少量(例えば、0.1〜1質量%)入れてもよい。また、筍の皮の繊維をバインダーで固めてシート状とすることによって不織布からなるシート材(抗菌性部材Cの一例)とすることもできる。
この筍の皮の繊維を乾燥させて(湿った状態であってもよい)、ミキサー又はその他の粉砕機に入れ、粉(粉末状物)にする。それを再度沸騰させて、成形型の中に入れる。これによって、抗菌性部材Dの一例である円柱状物、角柱状物、球、円板、矩形板等の成形物ができる。筍の皮には、ぶどう糖及びその他の糖質が35〜45質量%、キシロースが15〜25質量%程度含まれており、これがバインダーとなって、特別にバインダーを入れることなく固まる。この成形物は、その重量を10〜200gの範囲で製造することによって、そのまま抗菌材(抗菌ブロック)として使用できる。
粉状となった筍の皮の繊維を板状物やシート状物(布又は紙等)に成形する場合は、ある程度水を含む筍の皮の粉(スラリー)を、底部が透水性を有する容器に入れる。容器の形状は平面視して矩形であるのが好ましいが、用途に応じて円形、多角形であってもよい。所定厚みのスラリーを入れると、底から脱水して乾燥し、図1に示すように、抗菌性部材Eの一例である所定のシート材10ができる。このシート材10の厚み(例えば、0.1〜5mm)は単位面積当たりのスラリーの量を調整することによって制御できる。このようなシート材10は、建物の壁、床又は天井に使用する建築シート、食品包装用シート、食品の上又は底に配置して使用する食品防腐用シートとして使用される。
前記シート材10は型を用いても成形できる。この場合、上型と下型の間に筍の皮の繊維の粉砕物であるスラリーを入れて加圧圧締する。乾燥も同時に行う場合は、上型又は下型のいずれか一方又は両方を加熱してもよい。
型を用いて板状物を成形する場合、上下の型に凹凸を付けると、図2に示すようなシート材11(抗菌性部材Fの一例)ができる。この場合、このシート材11は抗菌性を有するので、食品を入れる容器の内側又は中間に配置することができる。凹部12と凸部13の段差、即ちシート材11の全体厚みは例えば、2〜30mm程度とする。
型を用いて板状物を成形する場合、上下の型に凹凸を付けると、図2に示すようなシート材11(抗菌性部材Fの一例)ができる。この場合、このシート材11は抗菌性を有するので、食品を入れる容器の内側又は中間に配置することができる。凹部12と凸部13の段差、即ちシート材11の全体厚みは例えば、2〜30mm程度とする。
次に、型を用いて図3に示すように抗菌性部材Gの一例である球形容器15を造ることもできる。この場合、2つの半球16、17を連結部18で繋ぎ、使用にあっては、この連結部18で折り曲げて使用する。この球形容器15は、例えば、球形の果物(スイカ、なし、りんご)を収納するのに使用する。勿論、その他、球形の食品を収納する場合にも使用できる。
図4を参照しながら、筍の皮を利用した抗菌性部材Hの一例である抗菌ブロック(抗菌具)20について説明する。この抗菌ブロック20は、筍の皮の繊維21を結束バンド22で巻いてそのまま束ねている。抗菌ブロック20は、筍の皮の繊維21を、前記物理的手段をかけないで、そのまま繊維状物を取り出し、使用してもよいし、前記物理的手段をかけて得た繊維と混合させてもよい。また、抗菌ブロック20を通気性を有する容器に入れて使用してもよい。この実施の形態では、円柱状としたが、その形状は限定されず、例えば、角柱、直方体、矩形、球状であってもよい。
なお、型(通常、金型)を用いて図5に示すように抗菌性容器(抗菌性部材Iの一例)23を造ることもできる。この抗菌性容器23は平面視して角形であって周囲に補強のフランジ24を有している。この抗菌性容器23は平面視して角形(矩形)であるが、丸形であってもよい。型を用いて造るため、上方に広がるテーパーが形成されている。
以上にようにして、製造された筍の皮の繊維の粉末を、合成樹脂の充填材(抗菌性部材Jの一例)とすることもできる。この場合、プラスチックへの混入量は、10〜90質量%程度である。この充填材が混入した合成樹脂を用いて抗菌性シート状物、抗菌性容器が製造できる。
なお、合成樹脂は熱可塑性の合成樹脂であっても熱硬化性の合成樹脂でもよいが、生分解性の合成樹脂を使用すると、抗菌性部材自体が生物によって分解するので、廃棄処理上、好ましい。
なお、合成樹脂は熱可塑性の合成樹脂であっても熱硬化性の合成樹脂でもよいが、生分解性の合成樹脂を使用すると、抗菌性部材自体が生物によって分解するので、廃棄処理上、好ましい。
次に、図6〜図8を参照しながら、抗菌性部材Kの一例であるトレイについて説明する。図6に示すように、本発明の実施の形態に係るトレイ30は、底部31及び底部31の周囲に一体的に連接された4つの周壁32〜35を有する。そして、このトレイ30は乾燥した筍の皮材の一例である筍の皮の粉粒状物をバインダーで固めて成形している。バインダーとして、熱硬化性合成樹脂を使うのが好ましいが、この場合、発泡材を入れて発泡させるのが軽量化する上で好ましい。バインダーとして合成樹脂を使用すると、バインダーの中に筍の皮材が閉じ込められるので、トレイの内側表面の研磨加工を行って筍の皮材を露出させる。バインダーとして水溶性のものを使用すると、水洗いすることによって、筍の皮材が露出するので好ましい。
トレイ30の大きさは、収納する食品によって様々であるが、通常8〜15cm×10〜25cm、深さは2〜5cm程度である(なお、トレイの形状については、以下の実施の形態においても同様である)。
なお、この実施の形態に係るトレイ30において、筍の皮の粉粒状物の代わりに、筍の皮材の一例である筍の皮の繊維を使用することもできる。筍の皮の繊維は、筍の皮を機械的処理(物理的手段による処理)によって解繊し、繊維分を得る。筍の皮の繊維を使用することによって、トレイの強度が大きくなり、衝撃があっても壊れないトレイを提供できる。
なお、この実施の形態に係るトレイ30において、筍の皮の粉粒状物の代わりに、筍の皮材の一例である筍の皮の繊維を使用することもできる。筍の皮の繊維は、筍の皮を機械的処理(物理的手段による処理)によって解繊し、繊維分を得る。筍の皮の繊維を使用することによって、トレイの強度が大きくなり、衝撃があっても壊れないトレイを提供できる。
次に、図7(A)、(B)に示す抗菌性部材Lの一例に係るトレイ38について説明する。このトレイ38においては、予め発泡性合成樹脂の一例である発泡プラスチック等で成形したトレイ本体39の内側に、筍の皮材の一例である乾燥した筍の皮の細片40を並べて配置している。細片40の形状は例えば一辺が1〜3cmの正方形、長方形であることが製造も容易で好ましいが、自由形状であってもよい。細片40は裏面側に接着剤又はバインダーが塗布されて、トレイ本体39の内側表面に貼着されている。なお、表面の形状を揃えるため、金型を押し当てて成形するのが好ましい。
図8(A)、(B)には抗菌性部材Mの一例に係るトレイ42を示すが、トレイ本体39の内側表面に筍の皮材として筍の皮43がそのまま貼着されている。筍の皮43は、乾燥させて使用する。製造にあっては、まずトレイ本体39を作り、その内側に筍の皮43を当てて、加熱して筍の皮43の裏面側にある接着剤を溶かし、筍の皮43を接合する。
以上に説明したトレイ30、38、42はいずれも、トレイの内側表面に筍の皮、繊維又は細片を露出させており、後述する実験からも明らかなように、筍の皮は抗菌性、脱臭性、ガス吸着性を有するので、内部に入れた食品の腐敗を遅らせ、更には、トレイに食品を入れてパック等で包むと、悪臭も除去できる。
筍の皮を採集する竹としては、前述のように、例えば、マダケ、モウソウチクを用いる。この筍の皮には、炭水化物、水分、たんぱく質、脂質、及び灰分が含まれており、これらの竹から収集した筍の皮を水洗いし、表面に付着した土及び埃を取り除く。なお、水洗いは、水を吹き付けるシャワーを使用して実施できるが、水槽に浸漬させて洗ってもよいし、適当にアルカリ剤を入れて煮てもよい。このようにして、洗浄した筍の皮を乾燥させ、原料である乾燥した筍の皮を製造する。この乾燥は、筍の皮を切断又は解繊し易くするために行うものであり、熱又は熱風を利用した乾燥機を使用して実施できるが、大気中に放置する自然乾燥でもよい。
続いて、図9を参照しながら、抗菌性部材Nの一例である抗菌性テープ45について説明する。抗菌性テープ45は、粘着テープ46と、粘着テープ46の中央にあって、筍の皮の加工物の一例である多数の筍の皮の線状物47と、粘着テープ46の両側にその主要部が取り外し可能に貼着されたカバーシート48、49とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図9(A)においてカバーシート48、49は除去されている。
粘着テープ46は、素地50がゴム製又は合成樹脂製あるいは繊維製で厚みが例えば、0.2〜1mmで、用途に応じて種々のサイズのものがあるが、通常幅が例えば、12〜40mm、長さが50〜200mm程度となっている。この素地50の上に薄く粘着材(粘着剤)51が塗布されている。この粘着材51は、通常のバンドエイド(商標名)などに使用されているものと同一素材でもよく、特に、皮膚にかぶれや炎症を起こさないものであればよい。なお、素地50には適当な例えば直径が0.2〜1mmの通風孔を設けてもよい。なお、筍の皮の線状物47は、先に述べた筍の皮の繊維又は繊維状物を使用する。
図9(B)に示すように、上部のカバーシート48、49は紙又は合成樹脂シートからなって、粘着テープ46の両側の粘着材51を覆うと共に、中央の筍の皮の線状物47を覆い隠すようになっている。筍の皮の線状物47を覆う部分には、粘着材は塗布されていないので、この部分のカバーシート48、49を持って簡単に粘着テープ46から引き剥がし、両側の粘着材51及び中央の筍の皮の線状物47を露出させて、患部にこの抗菌性テープ45を貼着できるようになっている。
図9に示す抗菌性テープ45では、筍の皮の線状物47を粘着テープ46の幅方向に沿って配置して、粘着テープ46の長さ方向の折れ曲がり性を向上させたが、例えば、図10に示す抗菌性部材Pの一例である抗菌性テープ53のように、所定幅の筍の皮の線状物54を、粘着テープ46の中央に、粘着テープ46の長さ方向に沿って配置することも可能である。なお、図10(以下の実施の形態についても同じ)においては、カバーシート48、49は省略されている。
図11(A)、(B)に抗菌性部材Qの一例である抗菌性テープ55を示すが、粘着テープ46の中央部分に、筍の皮の粉粒状物56が所定厚み(例えば、0.2〜1.5mm)で貼着されている。厚みが薄い場合には、粘着材51に直接接合してもよいが、筍の皮の粉粒状物56の厚みが厚い場合には、別にバインダーを用意し、お互いを接合してもよい。なお、この場合のバインダーは極めて少量使用し、筍の皮の粉粒状物56の表面をできる限り露出させるようにする。更に、水溶性のバインダーを使用するのが好ましい。粉粒状物56のサイズは、0.1〜1.5mm程度が好ましいが、粒度の異なるものを混合するのが好ましい。
前記した抗菌性テープ55においては、粉粒状物56の厚みは一定(均等に散在)であったが、図11(C)に示すように、粘着テープ46の中央部分に分布する筍の皮の粉粒状物57の更に中央の厚みをその両側よりも大きく(密に)することもできる。これによって、中央部に位置する粉粒状物57による抗菌性の効果を中央部ほど高めることができる。なお、抗菌性テープ45においても、筍の皮の線状物47の密度を中央部ほど厚くして同様な効果を発揮させることもできる。
次に、抗菌性部材Rの一例である抗菌性テープ60について図12を参照しながら、説明する。この抗菌性テープ60においては、粘着テープ46の中央部分に筍の皮の繊維の不織布61からなる筍の皮の加工品が配置されている。この筍の皮の繊維は、乾燥した筍の皮から機械的処理によって繊維分のみを得、これをそのまま不織布にしたものである。この場合の不織布は、少量のバインダーを使って不織布とするのがよいが、筍の皮の繊維自体も多少の自己接合性を有しているので、粘着テープ46の接合力を利用して、粘着テープ46の中央部分に所定量の筍の皮の繊維を敷きつめて配置して不織布状としてもよく、本発明では、この状態も不織布に含まれる。
以下、抗菌性部材A〜N、P〜Rに使用している筍の皮及び筍の皮の繊維が抗菌性を有していることを確認するための実験例について説明する。
筍の皮(厚みが1.2mm)の抗菌力の試験は、JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌結果」5.2プラスチック製品等の試験方法を参考にして行った。ただし、検体(筍の皮)は湿熱減菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。結果を表1に、試験に用いた試験片、フィルム及び菌液の概要を表2に示す。
筍の皮(厚みが1.2mm)の抗菌力の試験は、JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌結果」5.2プラスチック製品等の試験方法を参考にして行った。ただし、検体(筍の皮)は湿熱減菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。結果を表1に、試験に用いた試験片、フィルム及び菌液の概要を表2に示す。
従って、表1、表2の結果から、筍の皮は他の物質(無加工:ポリエチレンフィルム)に比較して、抗菌性が強く、筍の皮を患部に当てることによって付着した菌の増殖を防止できることが分かる。勿論、殺菌については、別の薬品(例えば、オキシドール、赤チン、ヨーチン)を使用して例えば、傷口の消毒を行ってから、この筍の皮(又は繊維)を患部に貼着することになる。
筍の皮が脱臭作用、脱ガス性を発揮することを確認した実験について説明する。
まず、乾燥した筍の皮を1枚(約15cm×30cm、厚みが1.2mm)用意しこれを検体とした。この検体をにおい袋(25×40cm)に入れると共に3Lの空気を入れ、設定したガス濃度(100ppm)になるように試験対象ガスを入れて密封し、経過時間毎に袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、比較例として検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
この結果を、図13に示すが、時間と共にアンモニアのガス濃度が低下している。
まず、乾燥した筍の皮を1枚(約15cm×30cm、厚みが1.2mm)用意しこれを検体とした。この検体をにおい袋(25×40cm)に入れると共に3Lの空気を入れ、設定したガス濃度(100ppm)になるように試験対象ガスを入れて密封し、経過時間毎に袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、比較例として検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
この結果を、図13に示すが、時間と共にアンモニアのガス濃度が低下している。
次に、ホルムアルデヒドの吸着性を調べるために、アンモニアと同様な条件で、20ppmのホルムアルデヒドを用いて実験した。なお、これらの実験は全て常温で行った。結果を図14に示す。筍の皮はホルムアルデヒドを吸着し、その量は多くないが、時間と共にホルムアルデヒドの量が減少している。
次に、筍の皮を原料とし、解繊して繊維を取り出して、この筍の皮の繊維についてその抗菌性を調べた。
筍の皮の繊維の抗菌力の試験は、JIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法」10.1菌液吸収法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3301)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。
筍の皮の繊維の抗菌力の試験は、JIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法」10.1菌液吸収法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3301)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。
試験菌液の調整は、以下の方法で行った。
まず、試験菌株を、培地であるNutrient Agar(Difco製)平板上に画線し、37℃±1℃で48時間培養した後、1つの白金耳を他の培地であるNutrient Broth(Difco製)20mL(ミリリットル)に移植し、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、18〜24時間振とう培養した。この菌液を、Nutrient Brothで菌数が1〜2×108/mLとなるように調整し、これをNutrient Broth 20mLに0.4mL接種して、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、3±1時間振とう培養した。この菌液を、1/20濃度のNutrient Brothで、生菌数が約105/mLとなるように調整し、試験菌液とした。
まず、試験菌株を、培地であるNutrient Agar(Difco製)平板上に画線し、37℃±1℃で48時間培養した後、1つの白金耳を他の培地であるNutrient Broth(Difco製)20mL(ミリリットル)に移植し、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、18〜24時間振とう培養した。この菌液を、Nutrient Brothで菌数が1〜2×108/mLとなるように調整し、これをNutrient Broth 20mLに0.4mL接種して、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、3±1時間振とう培養した。この菌液を、1/20濃度のNutrient Brothで、生菌数が約105/mLとなるように調整し、試験菌液とした。
試験片の調整は、以下の方法で行った。
まず、筍の皮の繊維(検体)約0.4gを採取し、試験片とした。これを培養試験容器(以下、単に容器ともいう)内に入れ、容器のキャップを外した状態で上部をアルミニウム箔で覆い、湿熱滅菌処理(121℃、15分間)を行った後、自然冷却した。容器の温度が80〜100℃になったときに、容器の上部からアルミニウム箔を外し、この容器をクリーンベンチ内へ入れて1時間風乾した後、キャップを閉めた。
なお、比較例として、対照:標準布(綿)についても、上記方法により同様の処理を行った。
まず、筍の皮の繊維(検体)約0.4gを採取し、試験片とした。これを培養試験容器(以下、単に容器ともいう)内に入れ、容器のキャップを外した状態で上部をアルミニウム箔で覆い、湿熱滅菌処理(121℃、15分間)を行った後、自然冷却した。容器の温度が80〜100℃になったときに、容器の上部からアルミニウム箔を外し、この容器をクリーンベンチ内へ入れて1時間風乾した後、キャップを閉めた。
なお、比較例として、対照:標準布(綿)についても、上記方法により同様の処理を行った。
上記調整した試験菌液を、容器内の試験片上に0.2mL接種し、37℃±1℃、18±1時間培養した後、容器に氷冷した0.2%ポリソルベート80(Tween 80)加生理食塩液20mLを加え、強く振とうして試験片中の菌を液中に分散させた。この分散液中の生菌数を菌数測定用培地を用いた混釈平板培養法により測定した。なお、この測定は、筍の皮の繊維(実施例1)と標準布(比較例1)の各試験片について、3個ずつ(試験片の測定−1〜−3)行った。
ここで、比較例1については、接種直後の生菌数も測定した。
この結果を表3に示す。
ここで、比較例1については、接種直後の生菌数も測定した。
この結果を表3に示す。
表1、表3の結果から、筍の皮及びその繊維は他の物質(無加工:ポリエチレンフィルム、標準布)に比較して、抗菌性が強く、付着した菌の増殖を防止できることが分かる。また、図13、図14の結果から、筍の皮は脱臭性及びガス吸着性を有することを確認しているので、脱臭、抗菌性を有するトレイとして使用できる。
10:シート材、11:シート材、12:凹部、13:凸部、15:球状容器、16、17:半球、18:連結部、20:抗菌ブロック、21:筍の皮の繊維、22:結束バンド、23:抗菌性容器、24:フランジ、30:トレイ、31:底部、32〜35:周壁、38:トレイ、39:トレイ本体、40:細片、42:トレイ、43:筍の皮、45:抗菌性テープ、46:粘着テープ、47:線状物、48、49:カバーシート、50:素地、51:粘着材、53:抗菌性テープ、54:線状物、55:抗菌性テープ、56、57:粉粒状物、60:抗菌性テープ、61:筍の皮の繊維の不織布
本発明は、廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を用いた抗菌性部材に関する。
筍の皮は、従来筍の食用部分を除去した後は一部が弁当の容器等に使用されているが、その大半は廃棄処分されていた。そこで、筍の皮の有効利用を図るために、例えば、特許文献1に記載のように容器を作ることや、特許文献2に記載のように、筍の皮中の繊維分を利用して糸や布、場合によってはボードを作ることが提案されていた。また、特許文献3に記載のように肥料として用いられることもあった。
しかしながら、筍の皮は一定の時期しか入手できず、更には筍の収穫時期以外の時期には筍の皮の代替原料も少ないので、特許文献1に記載のように容器を作る産業は成立しにくいという問題があった。特許文献2には筍の皮のセルロース分に焦点を当てて種々の製品を提案しているが、筍の皮の特殊な性質を利用したものではない。また、特許文献3のように肥料を作ることも、筍の皮自体の成分では肥料としての効果は薄く、結果として他の成分を混入する必要があり、更には、大量の筍の皮を必要とし、しかもその収穫時期が限られていることから、産業としては成立しにくいという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、筍の皮に抗菌性があることを新たに発見し、更に新たな用途の開発になる抗菌性部材を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る抗菌性部材は、廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を、粉粒状物又は細片としている。
なお、筍の皮には春に採取された筍から食べられる部分を除去した皮の他、若竹又は成竹の節の部分に残っている筍の皮状物を含む。いずれの場合であっても、腐敗していない乾燥した筍の皮を使用する。なお、筍の皮を採集する竹は、例えば、モウソウダケ、マダケが好ましく、他にハチク、クロチク、ヤダケ又はメダケであってもよい。
また、本発明の抗菌性部材の一つであるトレイにおいて、トレイ全体を筍の皮の繊維、粉粒状物、細片(小片)を用いて作る場合は、バインダーを除いて100%の筍の皮材を使用するのが好ましいが、脱臭性、脱ガス性、抗菌性を発揮できる程度に筍の皮材が含まれれば十分であるので、全体の重量にして40%以上(好ましくは70%以上)の筍の皮材が含まれれば十分である。
請求項1記載の抗菌性部材は、抗菌性を有する筍の皮(細片も含む又はその繊維あるいは粉)を使用しているので、抗菌性を有して極めて衛生的である。
この抗菌性部材によって、従来その殆どは廃棄処分とされていた筍の皮の有効利用ができる。
そして、筍の皮及びその繊維については、鋭意研究の結果、抗菌性の他、脱臭効果、脱ガス作用があることが実験によって確認されている。従って、筍の皮を利用した抗菌性部材は、脱臭性及び脱ガス性にも優れる。
この抗菌性部材によって、従来その殆どは廃棄処分とされていた筍の皮の有効利用ができる。
そして、筍の皮及びその繊維については、鋭意研究の結果、抗菌性の他、脱臭効果、脱ガス作用があることが実験によって確認されている。従って、筍の皮を利用した抗菌性部材は、脱臭性及び脱ガス性にも優れる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の実施の形態に係る抗菌性部材(なお、各抗菌性部材を区別するために、語尾にA、B、C、D・・・を付記する)の理解に供する。
モウソウダケ又はマダケの筍の皮を回収し、水洗して乾燥する。この乾燥した筍の皮をショットブラスト、スタンバー、ビーター、ミキサーのいずれか1の物理的手段によって、解繊処理を行い、繊維分以外の粉状物を除去したものを使用する。これによって回収した繊維を縒れば抗菌性を有する糸(抗菌性部材Aの一例)となり、この糸を織れば抗菌性を有する織布(抗菌性部材Bの一例)となる。なお、糸又は布を製造する前に、筍の皮の繊維を沸騰させて柔らかくしてもよい。この場合、必用に応じて、アルカリ剤(例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ)等を少量(例えば、0.1〜1質量%)入れてもよい。また、筍の皮の繊維をバインダーで固めてシート状とすることによって不織布からなるシート材(抗菌性部材Cの一例)とすることもできる。
モウソウダケ又はマダケの筍の皮を回収し、水洗して乾燥する。この乾燥した筍の皮をショットブラスト、スタンバー、ビーター、ミキサーのいずれか1の物理的手段によって、解繊処理を行い、繊維分以外の粉状物を除去したものを使用する。これによって回収した繊維を縒れば抗菌性を有する糸(抗菌性部材Aの一例)となり、この糸を織れば抗菌性を有する織布(抗菌性部材Bの一例)となる。なお、糸又は布を製造する前に、筍の皮の繊維を沸騰させて柔らかくしてもよい。この場合、必用に応じて、アルカリ剤(例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ)等を少量(例えば、0.1〜1質量%)入れてもよい。また、筍の皮の繊維をバインダーで固めてシート状とすることによって不織布からなるシート材(抗菌性部材Cの一例)とすることもできる。
この筍の皮の繊維を乾燥させて(湿った状態であってもよい)、ミキサー又はその他の粉砕機に入れ、粉(粉末状物)にする。それを再度沸騰させて、成形型の中に入れる。これによって、抗菌性部材Dの一例である円柱状物、角柱状物、球、円板、矩形板等の成形物ができる。筍の皮には、ぶどう糖及びその他の糖質が35〜45質量%、キシロースが15〜25質量%程度含まれており、これがバインダーとなって、特別にバインダーを入れることなく固まる。この成形物は、その重量を10〜200gの範囲で製造することによって、そのまま抗菌材(抗菌ブロック)として使用できる。
粉状となった筍の皮の繊維を板状物やシート状物(布又は紙等)に成形する場合は、ある程度水を含む筍の皮の粉(スラリー)を、底部が透水性を有する容器に入れる。容器の形状は平面視して矩形であるのが好ましいが、用途に応じて円形、多角形であってもよい。所定厚みのスラリーを入れると、底から脱水して乾燥し、図1に示すように、抗菌性部材Eの一例である所定のシート材10ができる。このシート材10の厚み(例えば、0.1〜5mm)は単位面積当たりのスラリーの量を調整することによって制御できる。このようなシート材10は、建物の壁、床又は天井に使用する建築シート、食品包装用シート、食品の上又は底に配置して使用する食品防腐用シートとして使用される。
前記シート材10は型を用いても成形できる。この場合、上型と下型の間に筍の皮の繊維の粉砕物であるスラリーを入れて加圧圧締する。乾燥も同時に行う場合は、上型又は下型のいずれか一方又は両方を加熱してもよい。
型を用いて板状物を成形する場合、上下の型に凹凸を付けると、図2に示すようなシート材11(抗菌性部材Fの一例)ができる。この場合、このシート材11は抗菌性を有するので、食品を入れる容器の内側又は中間に配置することができる。凹部12と凸部13の段差、即ちシート材11の全体厚みは例えば、2〜30mm程度とする。
型を用いて板状物を成形する場合、上下の型に凹凸を付けると、図2に示すようなシート材11(抗菌性部材Fの一例)ができる。この場合、このシート材11は抗菌性を有するので、食品を入れる容器の内側又は中間に配置することができる。凹部12と凸部13の段差、即ちシート材11の全体厚みは例えば、2〜30mm程度とする。
次に、型を用いて図3に示すように抗菌性部材Gの一例である球形容器15を造ることもできる。この場合、2つの半球16、17を連結部18で繋ぎ、使用にあっては、この連結部18で折り曲げて使用する。この球形容器15は、例えば、球形の果物(スイカ、なし、りんご)を収納するのに使用する。勿論、その他、球形の食品を収納する場合にも使用できる。
図4を参照しながら、筍の皮を利用した抗菌性部材Hの一例である抗菌ブロック(抗菌具)20について説明する。この抗菌ブロック20は、筍の皮の繊維21を結束バンド22で巻いてそのまま束ねている。抗菌ブロック20は、筍の皮の繊維21を、前記物理的手段をかけないで、そのまま繊維状物を取り出し、使用してもよいし、前記物理的手段をかけて得た繊維と混合させてもよい。また、抗菌ブロック20を通気性を有する容器に入れて使用してもよい。この実施の形態では、円柱状としたが、その形状は限定されず、例えば、角柱、直方体、矩形、球状であってもよい。
なお、型(通常、金型)を用いて図5に示すように抗菌性容器(抗菌性部材Iの一例)23を造ることもできる。この抗菌性容器23は平面視して角形であって周囲に補強のフランジ24を有している。この抗菌性容器23は平面視して角形(矩形)であるが、丸形であってもよい。型を用いて造るため、上方に広がるテーパーが形成されている。
以上にようにして、製造された筍の皮の繊維の粉末を、合成樹脂の充填材(抗菌性部材Jの一例)とすることもできる。この場合、プラスチックへの混入量は、10〜90質量%程度である。この充填材が混入した合成樹脂を用いて抗菌性シート状物、抗菌性容器が製造できる。
なお、合成樹脂は熱可塑性の合成樹脂であっても熱硬化性の合成樹脂でもよいが、生分解性の合成樹脂を使用すると、抗菌性部材自体が生物によって分解するので、廃棄処理上、好ましい。
なお、合成樹脂は熱可塑性の合成樹脂であっても熱硬化性の合成樹脂でもよいが、生分解性の合成樹脂を使用すると、抗菌性部材自体が生物によって分解するので、廃棄処理上、好ましい。
次に、図6〜図8を参照しながら、抗菌性部材Kの一例であるトレイについて説明する。図6に示すように、本発明の実施の形態に係るトレイ30は、底部31及び底部31の周囲に一体的に連接された4つの周壁32〜35を有する。そして、このトレイ30は乾燥した筍の皮材の一例である筍の皮の粉粒状物をバインダーで固めて成形している。バインダーとして、熱硬化性合成樹脂を使うのが好ましいが、この場合、発泡材を入れて発泡させるのが軽量化する上で好ましい。バインダーとして合成樹脂を使用すると、バインダーの中に筍の皮材が閉じ込められるので、トレイの内側表面の研磨加工を行って筍の皮材を露出させる。バインダーとして水溶性のものを使用すると、水洗いすることによって、筍の皮材が露出するので好ましい。
トレイ30の大きさは、収納する食品によって様々であるが、通常8〜15cm×10〜25cm、深さは2〜5cm程度である(なお、トレイの形状については、以下の実施の形態においても同様である)。
なお、この実施の形態に係るトレイ30において、筍の皮の粉粒状物の代わりに、筍の皮材の一例である筍の皮の繊維を使用することもできる。筍の皮の繊維は、筍の皮を機械的処理(物理的手段による処理)によって解繊し、繊維分を得る。筍の皮の繊維を使用することによって、トレイの強度が大きくなり、衝撃があっても壊れないトレイを提供できる。
なお、この実施の形態に係るトレイ30において、筍の皮の粉粒状物の代わりに、筍の皮材の一例である筍の皮の繊維を使用することもできる。筍の皮の繊維は、筍の皮を機械的処理(物理的手段による処理)によって解繊し、繊維分を得る。筍の皮の繊維を使用することによって、トレイの強度が大きくなり、衝撃があっても壊れないトレイを提供できる。
次に、図7(A)、(B)に示す抗菌性部材Lの一例に係るトレイ38について説明する。このトレイ38においては、予め発泡性合成樹脂の一例である発泡プラスチック等で成形したトレイ本体39の内側に、筍の皮材の一例である乾燥した筍の皮の細片40を並べて配置している。細片40の形状は例えば一辺が1〜3cmの正方形、長方形であることが製造も容易で好ましいが、自由形状であってもよい。細片40は裏面側に接着剤又はバインダーが塗布されて、トレイ本体39の内側表面に貼着されている。なお、表面の形状を揃えるため、金型を押し当てて成形するのが好ましい。
図8(A)、(B)には抗菌性部材Mの一例に係るトレイ42を示すが、トレイ本体39の内側表面に筍の皮材として筍の皮43がそのまま貼着されている。筍の皮43は、乾燥させて使用する。製造にあっては、まずトレイ本体39を作り、その内側に筍の皮43を当てて、加熱して筍の皮43の裏面側にある接着剤を溶かし、筍の皮43を接合する。
以上に説明したトレイ30、38、42はいずれも、トレイの内側表面に筍の皮、繊維又は細片を露出させており、後述する実験からも明らかなように、筍の皮は抗菌性、脱臭性、ガス吸着性を有するので、内部に入れた食品の腐敗を遅らせ、更には、トレイに食品を入れてパック等で包むと、悪臭も除去できる。
筍の皮を採集する竹としては、前述のように、例えば、マダケ、モウソウチクを用いる。この筍の皮には、炭水化物、水分、たんぱく質、脂質、及び灰分が含まれており、これらの竹から収集した筍の皮を水洗いし、表面に付着した土及び埃を取り除く。なお、水洗いは、水を吹き付けるシャワーを使用して実施できるが、水槽に浸漬させて洗ってもよいし、適当にアルカリ剤を入れて煮てもよい。このようにして、洗浄した筍の皮を乾燥させ、原料である乾燥した筍の皮を製造する。この乾燥は、筍の皮を切断又は解繊し易くするために行うものであり、熱又は熱風を利用した乾燥機を使用して実施できるが、大気中に放置する自然乾燥でもよい。
続いて、図9を参照しながら、抗菌性部材Nの一例である抗菌性テープ45について説明する。抗菌性テープ45は、粘着テープ46と、粘着テープ46の中央にあって、筍の皮の加工物の一例である多数の筍の皮の線状物47と、粘着テープ46の両側にその主要部が取り外し可能に貼着されたカバーシート48、49とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図9(A)においてカバーシート48、49は除去されている。
粘着テープ46は、素地50がゴム製又は合成樹脂製あるいは繊維製で厚みが例えば、0.2〜1mmで、用途に応じて種々のサイズのものがあるが、通常幅が例えば、12〜40mm、長さが50〜200mm程度となっている。この素地50の上に薄く粘着材(粘着剤)51が塗布されている。この粘着材51は、通常のバンドエイド(商標名)などに使用されているものと同一素材でもよく、特に、皮膚にかぶれや炎症を起こさないものであればよい。なお、素地50には適当な例えば直径が0.2〜1mmの通風孔を設けてもよい。なお、筍の皮の線状物47は、先に述べた筍の皮の繊維又は繊維状物を使用する。
図9(B)に示すように、上部のカバーシート48、49は紙又は合成樹脂シートからなって、粘着テープ46の両側の粘着材51を覆うと共に、中央の筍の皮の線状物47を覆い隠すようになっている。筍の皮の線状物47を覆う部分には、粘着材は塗布されていないので、この部分のカバーシート48、49を持って簡単に粘着テープ46から引き剥がし、両側の粘着材51及び中央の筍の皮の線状物47を露出させて、患部にこの抗菌性テープ45を貼着できるようになっている。
図9に示す抗菌性テープ45では、筍の皮の線状物47を粘着テープ46の幅方向に沿って配置して、粘着テープ46の長さ方向の折れ曲がり性を向上させたが、例えば、図10に示す抗菌性部材Pの一例である抗菌性テープ53のように、所定幅の筍の皮の線状物54を、粘着テープ46の中央に、粘着テープ46の長さ方向に沿って配置することも可能である。なお、図10(以下の実施の形態についても同じ)においては、カバーシート48、49は省略されている。
図11(A)、(B)に抗菌性部材Qの一例である抗菌性テープ55を示すが、粘着テープ46の中央部分に、筍の皮の粉粒状物56が所定厚み(例えば、0.2〜1.5mm)で貼着されている。厚みが薄い場合には、粘着材51に直接接合してもよいが、筍の皮の粉粒状物56の厚みが厚い場合には、別にバインダーを用意し、お互いを接合してもよい。なお、この場合のバインダーは極めて少量使用し、筍の皮の粉粒状物56の表面をできる限り露出させるようにする。更に、水溶性のバインダーを使用するのが好ましい。粉粒状物56のサイズは、0.1〜1.5mm程度が好ましいが、粒度の異なるものを混合するのが好ましい。
前記した抗菌性テープ55においては、粉粒状物56の厚みは一定(均等に散在)であったが、図11(C)に示すように、粘着テープ46の中央部分に分布する筍の皮の粉粒状物57の更に中央の厚みをその両側よりも大きく(密に)することもできる。これによって、中央部に位置する粉粒状物57による抗菌性の効果を中央部ほど高めることができる。なお、抗菌性テープ45においても、筍の皮の線状物47の密度を中央部ほど厚くして同様な効果を発揮させることもできる。
次に、抗菌性部材Rの一例である抗菌性テープ60について図12を参照しながら、説明する。この抗菌性テープ60においては、粘着テープ46の中央部分に筍の皮の繊維の不織布61からなる筍の皮の加工品が配置されている。この筍の皮の繊維は、乾燥した筍の皮から機械的処理によって繊維分のみを得、これをそのまま不織布にしたものである。この場合の不織布は、少量のバインダーを使って不織布とするのがよいが、筍の皮の繊維自体も多少の自己接合性を有しているので、粘着テープ46の接合力を利用して、粘着テープ46の中央部分に所定量の筍の皮の繊維を敷きつめて配置して不織布状としてもよく、本発明では、この状態も不織布に含まれる。
以下、抗菌性部材A〜N、P〜Rに使用している筍の皮及び筍の皮の繊維が抗菌性を有していることを確認するための実験例について説明する。
筍の皮(厚みが1.2mm)の抗菌力の試験は、JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌結果」5.2プラスチック製品等の試験方法を参考にして行った。ただし、検体(筍の皮)は湿熱減菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。結果を表1に、試験に用いた試験片、フィルム及び菌液の概要を表2に示す。
筍の皮(厚みが1.2mm)の抗菌力の試験は、JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌結果」5.2プラスチック製品等の試験方法を参考にして行った。ただし、検体(筍の皮)は湿熱減菌(121℃、15分間)した後、試験に供した。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。結果を表1に、試験に用いた試験片、フィルム及び菌液の概要を表2に示す。
従って、表1、表2の結果から、筍の皮は他の物質(無加工:ポリエチレンフィルム)に比較して、抗菌性が強く、筍の皮を患部に当てることによって付着した菌の増殖を防止できることが分かる。勿論、殺菌については、別の薬品(例えば、オキシドール、赤チン、ヨーチン)を使用して例えば、傷口の消毒を行ってから、この筍の皮(又は繊維)を患部に貼着することになる。
筍の皮が脱臭作用、脱ガス性を発揮することを確認した実験について説明する。
まず、乾燥した筍の皮を1枚(約15cm×30cm、厚みが1.2mm)用意しこれを検体とした。この検体をにおい袋(25×40cm)に入れると共に3Lの空気を入れ、設定したガス濃度(100ppm)になるように試験対象ガスを入れて密封し、経過時間毎に袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、比較例として検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
この結果を、図13に示すが、時間と共にアンモニアのガス濃度が低下している。
まず、乾燥した筍の皮を1枚(約15cm×30cm、厚みが1.2mm)用意しこれを検体とした。この検体をにおい袋(25×40cm)に入れると共に3Lの空気を入れ、設定したガス濃度(100ppm)になるように試験対象ガスを入れて密封し、経過時間毎に袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、比較例として検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
この結果を、図13に示すが、時間と共にアンモニアのガス濃度が低下している。
次に、ホルムアルデヒドの吸着性を調べるために、アンモニアと同様な条件で、20ppmのホルムアルデヒドを用いて実験した。なお、これらの実験は全て常温で行った。結果を図14に示す。筍の皮はホルムアルデヒドを吸着し、その量は多くないが、時間と共にホルムアルデヒドの量が減少している。
次に、筍の皮を原料とし、解繊して繊維を取り出して、この筍の皮の繊維についてその抗菌性を調べた。
筍の皮の繊維の抗菌力の試験は、JIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法」10.1菌液吸収法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3301)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。
筍の皮の繊維の抗菌力の試験は、JIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法」10.1菌液吸収法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3301)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。
試験菌液の調整は、以下の方法で行った。
まず、試験菌株を、培地であるNutrient Agar(Difco製)平板上に画線し、37℃±1℃で48時間培養した後、1つの白金耳を他の培地であるNutrient Broth(Difco製)20mL(ミリリットル)に移植し、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、18〜24時間振とう培養した。この菌液を、Nutrient Brothで菌数が1〜2×108/mLとなるように調整し、これをNutrient Broth 20mLに0.4mL接種して、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、3±1時間振とう培養した。この菌液を、1/20濃度のNutrient Brothで、生菌数が約105/mLとなるように調整し、試験菌液とした。
まず、試験菌株を、培地であるNutrient Agar(Difco製)平板上に画線し、37℃±1℃で48時間培養した後、1つの白金耳を他の培地であるNutrient Broth(Difco製)20mL(ミリリットル)に移植し、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、18〜24時間振とう培養した。この菌液を、Nutrient Brothで菌数が1〜2×108/mLとなるように調整し、これをNutrient Broth 20mLに0.4mL接種して、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、3±1時間振とう培養した。この菌液を、1/20濃度のNutrient Brothで、生菌数が約105/mLとなるように調整し、試験菌液とした。
試験片の調整は、以下の方法で行った。
まず、筍の皮の繊維(検体)約0.4gを採取し、試験片とした。これを培養試験容器(以下、単に容器ともいう)内に入れ、容器のキャップを外した状態で上部をアルミニウム箔で覆い、湿熱滅菌処理(121℃、15分間)を行った後、自然冷却した。容器の温度が80〜100℃になったときに、容器の上部からアルミニウム箔を外し、この容器をクリーンベンチ内へ入れて1時間風乾した後、キャップを閉めた。
なお、比較例として、対照:標準布(綿)についても、上記方法により同様の処理を行った。
まず、筍の皮の繊維(検体)約0.4gを採取し、試験片とした。これを培養試験容器(以下、単に容器ともいう)内に入れ、容器のキャップを外した状態で上部をアルミニウム箔で覆い、湿熱滅菌処理(121℃、15分間)を行った後、自然冷却した。容器の温度が80〜100℃になったときに、容器の上部からアルミニウム箔を外し、この容器をクリーンベンチ内へ入れて1時間風乾した後、キャップを閉めた。
なお、比較例として、対照:標準布(綿)についても、上記方法により同様の処理を行った。
上記調整した試験菌液を、容器内の試験片上に0.2mL接種し、37℃±1℃、18±1時間培養した後、容器に氷冷した0.2%ポリソルベート80(Tween 80)加生理食塩液20mLを加え、強く振とうして試験片中の菌を液中に分散させた。この分散液中の生菌数を菌数測定用培地を用いた混釈平板培養法により測定した。なお、この測定は、筍の皮の繊維(実施例1)と標準布(比較例1)の各試験片について、3個ずつ(試験片の測定−1〜−3)行った。
ここで、比較例1については、接種直後の生菌数も測定した。
この結果を表3に示す。
ここで、比較例1については、接種直後の生菌数も測定した。
この結果を表3に示す。
表1、表3の結果から、筍の皮及びその繊維は他の物質(無加工:ポリエチレンフィルム、標準布)に比較して、抗菌性が強く、付着した菌の増殖を防止できることが分かる。また、図13、図14の結果から、筍の皮は脱臭性及びガス吸着性を有することを確認しているので、脱臭、抗菌性を有するトレイとして使用できる。
10:シート材、11:シート材、12:凹部、13:凸部、15:球状容器、16、17:半球、18:連結部、20:抗菌ブロック、21:筍の皮の繊維、22:結束バンド、23:抗菌性容器、24:フランジ、30:トレイ、31:底部、32〜35:周壁、38:トレイ、39:トレイ本体、40:細片、42:トレイ、43:筍の皮、45:抗菌性テープ、46:粘着テープ、47:線状物、48、49:カバーシート、50:素地、51:粘着材、53:抗菌性テープ、54:線状物、55:抗菌性テープ、56、57:粉粒状物、60:抗菌性テープ、61:筍の皮の繊維の不織布
Claims (2)
- 廃棄物として処理される筍の皮、又は成長時の竹の周囲にある筍の皮を用いた抗菌性部材。
- 請求項1記載の抗菌性部材において、シート状物となっている抗菌性部材。
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JP2003328245A (ja) * | 2002-05-02 | 2003-11-19 | Ozasa Masahiro | 繊維製品の製造方法およびそれによって得られた繊維製品 |
-
2012
- 2012-11-07 JP JP2012245787A patent/JP2013063989A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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