JP2013056969A - ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents
ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013056969A JP2013056969A JP2011194986A JP2011194986A JP2013056969A JP 2013056969 A JP2013056969 A JP 2013056969A JP 2011194986 A JP2011194986 A JP 2011194986A JP 2011194986 A JP2011194986 A JP 2011194986A JP 2013056969 A JP2013056969 A JP 2013056969A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyamide resin
- resin composition
- mass
- flame retardant
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Polyamides (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【解決手段】ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂50〜95質量部および難燃剤5〜50質量部を合計100質量部含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかであり、ポリアミド樹脂のDSCを用いて測定される過冷却度△Tが40℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
一方、ポリイミド、液晶ポリエステルに代表される高耐熱材料は、電気、電子部品の基板材料として用いられている。しかしながら、このような材料は、性能面で非常に優れるものの、非常に高価であり加工適性に劣るため、前記半芳香族ポリアミドをこのような用途で用いることが検討されている。
ポリアミド6Tは、そのホモポリマーの融点が370℃と高すぎるため、溶融加工時のポリアミド6Tの熱分解を抑制することができなくなってしまう。そのため、ポリアミド6Tは、共重合成分を多く導入することにより、融点を十分に下げた状態で使用されている。しかし、このような共重合されたポリアミド6Tは、結晶性が損なわれ、結晶化を速めることはできなかった。
一方、特許文献2には、ポリアミド9Tよりも成形加工性に優れるポリアミド10Tを用いたポリアミド成形体を開示している。しかしながら、これら材料であっても、結晶化は遅く、射出成形を行う場合には短時間で金型からの取出し可能なまで、十分に結晶化を速め、成形サイクルを短縮したポリアミドは得られていなかった。
また、特許文献3には、ポリアミド9Tに難燃性を付与した樹脂組成物が開示されている。しかし、結晶化が遅く、結晶性も十分でないため、成形性、機械的強度に劣るものであった。
(2)ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)難燃剤が臭素含有難燃剤、窒素含有難燃剤、リン含有難燃剤から選ばれる1種以上の難燃剤であることを特徴とする(1)〜(3)のポリアミド樹脂組成物。
(5)リン含有難燃剤がホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩であることを特徴とする(1)〜(4)のポリアミド樹脂組成物。
(6)ホスフィン酸塩が下記一般式(I)であり、ジホスフィン酸塩が下記一般式(II)であることを特徴とする(5)のポリアミド樹脂組成物。
(7)ポリアミド樹脂および難燃剤の合計100質量部に対し、さらに、無機強化材5〜200質量部を含有してなる(1)〜(5)のポリアミド樹脂組成物。
(8)繊維状強化材がガラス繊維、炭素繊維、金属繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする(7)のポリアミド樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、主成分としてテレフタル酸を用いる必要がある。その理由は、テレフタル酸は、芳香族ジカルボン酸の中でも化学構造の対称性が高く、高い結晶性を有するポリアミド樹脂を得る上で最も好ましいからである。
ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかである直鎖脂肪族ジアミンである。直鎖脂肪族ジアミンは、化学構造の対称性が高いため、高い結晶性を有するポリアミド樹脂を得る上で好ましい。
ΔT=Tm−Tcc
上記式においては、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、当該ポリアミドを溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度を融点(Tm)と定義する。また、同様に溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した場合に現れる発熱ピークの温度を降温結晶化温度(Tcc)と定義する。このΔTが小さい程、ポリマー溶融状態からの結晶化が速いことを示す。
また、本発明で用いるポリアミド樹脂のように、ポリアミド6、ポリアミド66に比べ融点が高く、成形体を得るための樹脂溶融温度が高く、樹脂が長時間にわたって成形機シリンダー内に滞留する場合には、前記樹脂の劣化、分解ガスの発生は著しくなるため、成形サイクルを短くし、溶融樹脂の成形機シリンダー内への滞留を極力抑制することは、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して耐熱性に優れた成形体を得るための成形体品質面、成形ハンドリング面において好ましいことである。
難燃剤の種類としては、臭素含有難燃剤、窒素含有難燃剤、リン含有難燃剤および窒素−リン含有難燃剤、水和金属系難燃剤が挙げられる。
中でも、難燃性の向上効果が高い点で、臭素を40〜80質量%含有するものが好ましく、50〜70質量%含有するものがより好ましい。本発明においては、高度な難燃性の付与が容易な点で、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールAが好ましく、ポリアミド樹脂との相溶性、ハンドリング面で臭素化ポリスチレン(例えば、ケムチュラ社製「Firemaster CP−44HF」等)を好ましく用いることができる。
メラミン系化合物とは、メラミンをはじめ、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物、メラミンの縮合物等であり、具体的には、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、サクシノグアナミン、メラム、メレム、メトン、メロン等のトリアジン骨格を有する化合物、及びこれらの硫酸塩、メラミン樹脂等を挙げることができる。シアヌル酸またはイソシアヌル酸とメラミン化合物との塩とは、シアヌル酸類またはイソシアヌル酸類とメラミン系化合物との等モル反応物である。リン酸またはポリリン酸類とアンモニアまたはメラミン系化合物との塩としては、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンなどが挙げられる。
リン酸エステル化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー又はこれらの混合物であってもよい。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、またはこれらの置換体、縮合物等を例示できる。これらの中でも、成形時の金型付着性、成形品の耐熱性、耐湿性等に優れるリン酸エステル化合物を好適に用いることができる。リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業株式会社製の各種リン酸エステル化合物を挙げることができ、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、CR−733S〔レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX202〔4,4’−ビフェニレン−テスラキス2,6−ジメチルフェニル〕リン酸エステル等から1種を選択、または、2種以上組合せて用いることができる。
そのような場合においてホスフィン酸塩とジホスフィン酸塩の混合物(A2)とポリリン酸メラミン(B2)との含有割合(A2:B2)は質量比で1:1〜8:1、特に2:1〜4:1であることがより好ましい。
とジホスフィン酸塩の混合物100質量%に対して0.1〜5.0質量%の水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ベーマイトなどを加えることにより、腐食を効果的に防止することができる。用いる水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ベーマイトとしては、特に制限はなく、一般的に流通しているものを使用することができるが、より好ましくは結晶化度が低いものである。結晶性が低いものを使用すると、少量添加で腐食防止がより効果的になるためである。
前記メラミン付加物の具体例としては、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート等が挙げられるが、これらの中で2より長い、特に10より長い鎖長を有するメラミンポリホスフェートが好適である。
ポリアミド樹脂とガラス繊維または炭素繊維との密着効果を得やすい点で、アミノシラン系カップリング剤が特に好ましい。
成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。成形サイクルの短縮とは、上記一つの成形体を成形するのに要する時間中、特に冷却時間の短縮を意味する。
中でも、優れた難燃性の付与が可能であることから電気電子部品に好適に用いることができる。例えば、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品、携帯用パソコンやワープロ等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品、抵抗器、IC、LEDのハウジング等で好適に用いることができる。
これら電気電子部品は、主に射出成形、ブロー成形により成形されるため、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いた場合には、成形サイクルを短縮し、樹脂劣化物、分解ガスの混入を抑制し、外観に優れた成形体を得ることができる。また、成形サイクルを短縮しているため、量産性に優れ、品質を均一にして大量に生産を行うような部品の成形においては、顕著に優れた成形性を有する。
以下のような方法にしたがって、樹脂特性の測定、成形体の性能評価を行った。
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフィ装置を用い、下記条件で調整した試料溶液にてGPC分析を行った後、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量を求めた。
<試料調製>
ポリアミド樹脂5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mlを加えて溶解後、ディスクフィルターで濾過した。
<条件>
・検出器:示差屈折率検出器RI−8010(東ソー社製)
・溶離液:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
・流速:0.4ml/min
・温度:40℃
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度(Tcc)、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tcc)を過冷却度(ΔT)とした。
ポリアミド樹脂10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥する。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱する。冷却後、メンブランフィルターでろ過した溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置で分析した。別に測定した標準物質のジアミンとトリアミンにより得た検量線を用いてポリアミド樹脂中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として用いて、オートクレーブ中にてジアミンを240℃で3時間加熱撹拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
JIS K7210に従い、ポリアミド樹脂組成物ペレットを用い、340℃、1.2kgfの荷重で測定した。単位はg/10分である。
ASTM D790に準拠して測定した。
東芝機械社製射出成形機EC−100型を用いて、シリンダー温度を(融点+25℃)、金型温度を(融点−185℃)で設定した後、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取出し時間5秒で、成形体(127mm×12.7mm×10mm)の成形を行った。
(7−1)成形サイクル
前記成形体を成形した。突出ピンで成形体に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の冷却時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。この成形サイクルは、35秒以下が好ましく、30秒以下がより好ましい。
(7−2)連続生産性(離型性)
前記成形体を(7−1)で得られた成形サイクルにしたがって連続して成形した(最大で100個)。金型からの成形体取出し時、突出ピンによる成形体の変形を伴わないような円滑な取出しが連続何回までできるかを取出せた成形体の個数でカウントした。90個以上が好ましく、95個以上がより好ましい。
ファナック社製射出成形機α−100iA型にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で試験片を成形し、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の評価基準に従って測定した。なお試験片の厚みは1/32インチ(約0.8mm)とした。ここではV−1以上を合格とした。また、難燃性の測定時の総残炎時間も示した。例えば、難燃レベルが同じV−0であったとしても、総残炎時間が短い方が、難燃性が優れていることを示す。
(9)ブリスター性
(7)で成形した成形品を恒温恒湿機(ETAC社製FH14C型)中、50℃、95%RH条件下、96時間放置し、リフロー試験機(日本パルス社製RF−330型)に入れて、外観変化を確認した。リフロー試験機の温度条件は、プレヒート(150℃、70秒)、リフロー(220℃以上、50秒)、リフロー時の最大温度(260℃、10秒以内)にて制御した。外観に変化がないものを○、外観に気泡が発生したものを×とした。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(A)ジカルボン酸成分
・テレフタル酸
・イソフタル酸
(B)ジアミン成分
・1,8−オクタンジアミン
・1,9−ノナンジアミン
・1,10−デカンジアミン
・1,12−ドデカンジアミン
(C)難燃剤
・C−1:ホスフィン酸塩とジホスフィン酸塩の混合物(クラリアント社製Exolit OP1230)
・C−2:ポリリン酸メラミン(BASF社製Melapur 200/70)
・C−3:臭素化ポリスチレン(ケムチュラ社製Firemaster CP−44HF)
・C−4:三酸化アンチモン(日本精鉱社製PATOX−M)
・C−5:ベーマイト(富田製薬社製トミタAD−220T)
(D)繊維状強化材
・D−1:ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製03JAFT692)、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・D−2:偏平ガラス繊維(日東紡社製CSG3PA820S)、長径28μm×短径7μm、平均繊維長3mm
・D−3:炭素繊維(東邦テナックス社製HTA−C6−NR)、平均繊維径7μm、平均繊維長6mm
・D−4:ステンレス繊維(日本精線社製ナスロンSUS304)、平均繊維径8μm、平均繊維長6mm
・D−5:ガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製EGB731)、平均粒径20μm
・D−6:タルク(日本タルク社製ミクロエースK−1)、平均粒子径8μm
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応と破砕を同時に行った。反応により生じた水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−1)を得た。得られたポリアミド(P−1)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、過冷却度△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。
[工程(i)]
体積平均粒径80μmのテレフタル酸粉末(4870質量部)、重合触媒としての次亜リン酸ナトリウム(6質量部)、末端封鎖剤としての安息香酸(72質量部)からなる混合物を、リボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したデカンジアミン(5050質量部、100質量%)を、28質量部/分の速度で、3時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−2)を得た。得られたポリアミド(P−2)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、過冷却度△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。
使用するモノマーの種類、製造条件を表1のように変更する以外は、実施例2と同様にしてポリアミド(P−3)〜(P−5)および(P−7)を得、各特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水400質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、4質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−6)を得た。得られたポリアミド(P−6)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、過冷却度△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−6)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を4質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量はやや低めであり、トリアミン量は多かった。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水9200質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、92質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−8)を得た。得られたポリアミド(P−8)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、過冷却度△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−8)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を92質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量は顕著に低めであり、トリアミン量は顕著に多かった。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水600質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−9)を得た。得られたポリアミド(P−9)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、過冷却度△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−9)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を6質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量はやや低めであり、トリアミン量は多かった。
用いる末端封鎖剤の配合量を変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアミド(P−10)、(P−11)を得、各特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
製造例1で得たポリアミド(P−1)71.5質量部、難燃剤(C−1)22.4質量部、難燃剤(C−2)5.6質量部、難燃剤(C−5)0.5質量部をドライブレンドし、クボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)の主供給口に供給して、溶融混練を行った。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/hとした。
ポリアミド樹脂を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例7において、難燃性評価がV−0となるよう難燃剤の含有量を増やした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
難燃剤として用いる(C−1)、(C−2)、(C−5)の混合比率は変えず、難燃剤の総量を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
なお、比較例2は、難燃剤の配合量が上限値を超えたため、溶融混練時の作業性が低下し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
製造例1で得たポリアミド(P−1)65質量部、難燃剤(C−3)30.5質量部、難燃剤(C−4)4.5質量部をドライブレンドし、クボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給して、溶融混練を行った。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/hとした。
ポリアミド樹脂を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表4に示す。
製造例1で得たポリアミド(P−1)71.5質量部、難燃剤(C−1)22.4質量部、難燃剤(C−2)5.6質量部、難燃剤(C−5)0.5質量部をドライブレンドし、クボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)の主供給口に供給して、溶融混練を行った。途中、サイドフィーダーより繊維状強化材(D−1)を供給し、さらに混練を行った。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/hとした。
表4記載の混合比にしたがってポリアミド樹脂と難燃剤をドライブレンドし、実施例19と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表4に示す。
表5記載のようにポリアミド樹脂、難燃剤、繊維状強化材の種類、配合量を変更した以外は、実施例19と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表5に示す。
表5記載のようにポリアミド樹脂、難燃剤、繊維状強化材の種類、配合量を変更した以外は、実施例19と同様にして溶融混練を行った。しかし、比較例2は、難燃剤の配合量が上限値を超えたため、溶融混練時の作業性が低下し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
表5記載のようにポリアミド樹脂、難燃剤、繊維状強化材の種類、配合量を変更した以外は、実施例19と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表6に示す。
実施例17〜42については、さらに繊維状強化材を配合したため、機械的特性、成形性がさらに向上した。
Claims (9)
- ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂50〜95質量部および難燃剤5〜50質量部を合計100質量部含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかであり、ポリアミド樹脂のDSCを用いて測定される過冷却度△Tが40℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 難燃剤が臭素含有難燃剤、窒素含有難燃剤、リン含有難燃剤から選ばれる1種以上の難燃剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- リン含有難燃剤がホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- ホスフィン酸塩が下記一般式(I)であり、ジホスフィン酸塩が下記一般式(II)であることを特徴とする請求項5記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂および難燃剤の合計100質量部に対し、さらに、無機強化材5〜200質量部を含有してなる請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 繊維状強化材がガラス繊維、炭素繊維、金属繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011194986A JP2013056969A (ja) | 2011-09-07 | 2011-09-07 | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011194986A JP2013056969A (ja) | 2011-09-07 | 2011-09-07 | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013056969A true JP2013056969A (ja) | 2013-03-28 |
Family
ID=48133109
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011194986A Pending JP2013056969A (ja) | 2011-09-07 | 2011-09-07 | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013056969A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015098581A (ja) * | 2013-10-16 | 2015-05-28 | ユニチカ株式会社 | ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いたレンズユニット用部品 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0450230A (ja) * | 1990-06-18 | 1992-02-19 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | ポリアミド樹脂およびその製造方法 |
JPH09221592A (ja) * | 1996-02-15 | 1997-08-26 | Toray Ind Inc | ポリアミド樹脂組成物 |
JP2008239908A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-09 | Mitsui Chemicals Inc | ポリアミドの製造方法 |
JP2008274288A (ja) * | 2007-05-03 | 2008-11-13 | Ems-Patent Ag | 半芳香族ポリアミド成形組成物及びその使用 |
-
2011
- 2011-09-07 JP JP2011194986A patent/JP2013056969A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0450230A (ja) * | 1990-06-18 | 1992-02-19 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | ポリアミド樹脂およびその製造方法 |
JPH09221592A (ja) * | 1996-02-15 | 1997-08-26 | Toray Ind Inc | ポリアミド樹脂組成物 |
JP2008239908A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-09 | Mitsui Chemicals Inc | ポリアミドの製造方法 |
JP2008274288A (ja) * | 2007-05-03 | 2008-11-13 | Ems-Patent Ag | 半芳香族ポリアミド成形組成物及びその使用 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
JPN6015045663; 久世勝朗、三輪慎治: '主鎖中に芳香環を有するポリアミドの研究' 高分子化学 第25巻、第277号, 1968, 318-323 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015098581A (ja) * | 2013-10-16 | 2015-05-28 | ユニチカ株式会社 | ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いたレンズユニット用部品 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2013064032A (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
US8193263B2 (en) | Flame-retardant glass fiber-reinforced polyamide resin composition | |
US7294661B2 (en) | Flame resistant aromatic polyamide resin composition and articles therefrom | |
US10808122B2 (en) | Flame retardant semi-aromatic polyamide composition and moulded products made therefrom | |
JP6129464B1 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP5686930B1 (ja) | 半芳香族ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP2013064091A (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP7129086B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
CN109312153B (zh) | 热塑性树脂组合物及将其成型而成的成型体 | |
KR20120017027A (ko) | 개선된 무-할로겐 난연성 폴리아미드 조성물 | |
JP7093104B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP6955763B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP2021167384A (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP7174431B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP6138321B1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP7055365B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP2013056969A (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
JP2018177874A (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
WO2018123563A1 (ja) | ポリアミド樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140821 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150424 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150512 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150617 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151117 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20160405 |