JP2012214943A - 紙または板紙の抄造方法およびその方法で抄造した紙または板紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の紙または板紙の抄造方法は、紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする。好ましくは、特定の条件下において、200〜15000mPa・sの粘度を有するセルロースナノファイバーや、特定の平均繊維幅を有するセルロースナノファイバーが用いられる。また、セルロースナノファイバーは、好ましくは乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2.0重量部の割合で用いられる。
【選択図】なし
Description
(2)カルボキシメチルセルロース(CMC)またはカルボキシエチルセルロース(CEC)並びにキトサンを紙力増強剤と併用する方法(特許文献4)。
(3)紙力増強剤にリン酸基を導入する方法(特許文献5)。
(4)紙力増強剤の水希釈液を湿紙にスプレーし、紙に紙力増強剤を含浸させる方法(特許文献6)。
(1)紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする、紙または板紙の抄造方法。
(2)前記セルロースナノファイバーの2%(w/v)水分散液が、200〜15000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記セルロースナノファイバーが、セルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したもの、または予め酸化剤にて酸化したセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したものであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記紙力増強剤が、カチオン性、アニオン性または両イオン性を有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかの項に記載の方法。
(5)前記紙力増強剤が、澱粉系またはポリアクリルアミド系であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかの項に記載の方法。
(6)前記紙力増強剤が、カチオン化澱粉またはポリアクリルアミドであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかの項に記載の方法。
(7)前記セルロースナノファイバーが、3〜50nmの平均繊維幅を有することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかの項に記載の方法。
(8)前記セルロースナノファイバーが、乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2重量部の割合で用いられることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかの項に記載の方法。
(9)前記セルロースナノファイバーと紙力増強剤とが、1:0.05〜1:15の重量比で用いられることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかの項に記載の方法。
(10)前記パルプスラリーのパルプ濃度が、0.5〜5.0重量%である、(1)〜(9)のいずれかの項に記載の方法。
(11)(1)〜(10)に記載の方法によって抄造される紙または板紙。
(調製例1)
セルロースナノファイバーの原料として、精製された木材由来のパルプを粉砕することによって得られる粉末セルロース(平均粒子径24μm)を用いた。この粉末セルロースと水とを混合して撹拌し、固形濃度が2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーを、ジェットミル((株)スギノマシン製)を用いて245MPaの圧力で5回処理を行い、ゲル状の分散液を得た。
<平均繊維幅の測定方法>
銅製メッシュを得られた分散液に浸して引き上げ、室温で風乾してメッシュ孔にセルロースナノファイバーの膜を形成させた。次いで、形成された膜にカーボン蒸着を行い、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEOL JEM−2100、加速電圧200kV)にて観察した。電子顕微鏡画像に写ったセルロースナノファイバーのそれぞれの繊維幅を測定し、平均値を求めた。
ジェットミルでの処理を、それぞれ10回および20回にしたこと以外は、調製例1と同様の手順で、それぞれ分散液を得た。また、分散液の粘度および繊維幅を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
15gの上記粉末セルロースと500mLの水を混合して撹拌し、これに0.078gの2,2,6,6−テトラピペリジン−1−オキシラジカルと0.075gの臭化ナトリウムを添加して撹拌し溶解させた。次いで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)50mLを添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10に調整し、酸化反応を行った。反応中、系内のpHは低下するが、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pHを10に調整した。2時間反応した後、遠心操作(3000rpm、30分)により酸化した粉末セルロースを沈殿させて、上澄みを除去した。得られた沈殿物を水洗後、再度水に分散させて固形濃度2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーを、高圧乳化機(マントンゴーリン社製)を用いて40MPaの圧力で1回処理を行い、ゲル状の分散液を得た。分散液の粘度および繊維幅を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
高圧乳化機での処理を7回にしたこと以外は、調製例4と同様の手順で、それぞれ分散液を得た。また、分散液の粘度および繊維幅を、調製例4と同様にして測定した。結果を表1に示す。
上記粉末セルロースと水とを混合して撹拌し、固形濃度2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーの粘度を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(実施例1)
製紙原料として広葉樹を原料とするクラフトパルプ(LBKP)を白水で希釈して、パルプが2.5%の濃度となるように調整した。この希釈液を、ハンドミキサー羽を取り付けた撹拌機で撹拌しながら、乾燥パルプ100重量部に対して、2重量部の硫酸バンド、0.3重量部のロジン系サイズ剤(ハリマ化成(株)製、ハーサイズNES−748)、紙力増強剤として0.3重量部のカチオン化澱粉(日本食品加工(株)製、ネオタック#40T)、および1.0重量部の調製例1のセルロースナノファイバーを、この順序で30秒の間隔をあけて添加した。
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例2〜5のセルロースナノファイバーをそれぞれ添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
調製例5のセルロースナノファイバーを、それぞれ0.5重量部および2.0重量部添加したこと以外は、実施例5と同様の手順で紙サンプルを得た。
カチオン化澱粉およびセルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
カチオン化澱粉を用いずに、それぞれ表2に記載のセルロースナノファイバーを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
セルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例6のセルローススラリーを添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
カチオン化澱粉の代わりに、ポリアクリルアミド(ハーマイドK−123、ハリマ化成(株)製)を用い、それぞれ表3に記載のセルロースナノファイバーを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
セルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例8と同様の手順で紙サンプルを得た。
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例6のセルローススラリーを添加したこと以外は、実施例8と同様の手順で紙サンプルを得た。
各実施例および比較例で得られた紙サンプルについて、比破裂強さ、引っ張り強さおよびインターナルボンドを、それぞれ「JIS P8112」、「JIS P8113」および「J.TAPPI No.54」に準じて測定した。結果を表2および3に示す。
Claims (11)
- 紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする、紙または板紙の抄造方法。
- 前記セルロースナノファイバーの2%(w/v)水分散液が、200〜15000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記セルロースナノファイバーが、セルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したもの、または予め酸化剤にて酸化したセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 前記紙力増強剤が、カチオン性、アニオン性または両イオン性を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
- 前記紙力増強剤が、澱粉系またはポリアクリルアミド系であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法。
- 前記紙力増強剤が、カチオン化澱粉またはポリアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の方法。
- 前記セルロースナノファイバーが、3〜50nmの平均繊維幅を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の方法。
- 前記セルロースナノファイバーが、乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2.0重量部の割合で用いられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項に記載の方法。
- 前記セルロースナノファイバーと紙力増強剤とが、1:0.05〜1:15の重量比で用いられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項に記載の方法。
- 前記パルプスラリーのパルプ濃度が、0.5〜5.0重量%である、請求項1〜9のいずれかの項に記載の方法。
- 請求項1〜10に記載の方法によって抄造される紙または板紙。
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