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JP2012214943A - 紙または板紙の抄造方法およびその方法で抄造した紙または板紙 - Google Patents

紙または板紙の抄造方法およびその方法で抄造した紙または板紙 Download PDF

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Yoko Hayashi
洋子 林
Kazushige Inaoka
和茂 稲岡
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Abstract

【課題】紙力強度の高い紙または板紙を得るための抄造方法を提供する。
【解決手段】本発明の紙または板紙の抄造方法は、紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする。好ましくは、特定の条件下において、200〜15000mPa・sの粘度を有するセルロースナノファイバーや、特定の平均繊維幅を有するセルロースナノファイバーが用いられる。また、セルロースナノファイバーは、好ましくは乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2.0重量部の割合で用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙または板紙の抄造方法およびその方法で抄造した紙または板紙に関する。
一般的に、紙や板紙の強度を向上させる目的で、紙力増強剤(例えば、澱粉系、ポリアクリルアミド系など)が内添使用されている。紙力増強剤がパルプ繊維に定着する機構は、紙力増強剤のイオン性によって異なる。
アニオン性の紙力増強剤においては、別途、硫酸バンド等のカチオン性物質を添加する必要があり、これを介してパルプ繊維に定着する。一方、カチオン性あるいは両イオン性の紙力増強剤においては、カチオン性物質を必ずしも必要とせず自己定着が可能である。
しかし、近年、填料として使用される炭酸カルシウムの高配合化や古紙配合比率の増加に加えて、製紙プロセスのクローズド化が進んでいる。そのため、用水の品質が悪化しており、抄紙系内に存在する夾雑物が増加している。これらの填料成分や夾雑物の存在は、パルプ繊維間での水素結合の形成を阻害するため、いずれのタイプの紙力増強剤を使用した場合においても、十分な紙力増強効果が発揮されにくくなっている。また填料成分や夾雑物と紙力増強剤が相互作用した場合には、紙力増強剤のパルプ繊維への定着性低下に繋がり、さらに紙力増強効果が発揮されにくくなる。
このような問題に対して、紙力増強剤の添加量を増加する、硫酸バンドの添加量を増加する、紙力増強剤のカチオン量を高める等の対策がなされている。しかし、これらの対策は、抄紙系内の汚れや発泡の増加、あるいは濾水性の悪化や地合の悪化に繋がる可能性がある。
さらに、紙力増強剤の定着性を向上させる目的で、以下のような方法も提案されている。しかし、(1)〜(3)に示される薬剤の作用は、抄紙系内に存在する様々な夾雑物、パルプの表面電位、抄紙時のpH等に大きく影響されるため、十分な効果が得られない。(4)においては、製紙プロセスに新たな設備および工程を必要とし、抄造コストの増加に繋がる。
(1)両イオン性の水溶性高分子を紙力増強剤と併用する方法(特許文献1〜3)。
(2)カルボキシメチルセルロース(CMC)またはカルボキシエチルセルロース(CEC)並びにキトサンを紙力増強剤と併用する方法(特許文献4)。
(3)紙力増強剤にリン酸基を導入する方法(特許文献5)。
(4)紙力増強剤の水希釈液を湿紙にスプレーし、紙に紙力増強剤を含浸させる方法(特許文献6)。
特開2007−217828号公報 特開2004−100112号公報 特開2005−344083号公報 特開2000−27092号公報 特開平10−121396号公報 特開平11−302993号公報
本発明の課題は、紙力強度の高い紙または板紙を得るための抄造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする、紙または板紙の抄造方法。
(2)前記セルロースナノファイバーの2%(w/v)水分散液が、200〜15000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記セルロースナノファイバーが、セルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したもの、または予め酸化剤にて酸化したセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したものであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記紙力増強剤が、カチオン性、アニオン性または両イオン性を有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかの項に記載の方法。
(5)前記紙力増強剤が、澱粉系またはポリアクリルアミド系であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかの項に記載の方法。
(6)前記紙力増強剤が、カチオン化澱粉またはポリアクリルアミドであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかの項に記載の方法。
(7)前記セルロースナノファイバーが、3〜50nmの平均繊維幅を有することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかの項に記載の方法。
(8)前記セルロースナノファイバーが、乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2重量部の割合で用いられることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかの項に記載の方法。
(9)前記セルロースナノファイバーと紙力増強剤とが、1:0.05〜1:15の重量比で用いられることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかの項に記載の方法。
(10)前記パルプスラリーのパルプ濃度が、0.5〜5.0重量%である、(1)〜(9)のいずれかの項に記載の方法。
(11)(1)〜(10)に記載の方法によって抄造される紙または板紙。
本発明によれば、紙力増強剤とセルロースナノファイバーとを併用することにより、紙力強度の高い紙または板紙が得られるという効果を奏する。これは、後述するように、セルロースナノファイバーによって紙力増強剤の定着性が向上するためと推測される。
本発明の紙または板紙の抄造方法(以下、単に「本発明の方法」と記載する場合がある)は、紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする。
本発明の方法に用いられる紙力増強剤は、特に限定されず、カチオン性を有する紙力増強剤、アニオン性を有する紙力増強剤、両イオン性を有する紙力増強剤などが挙げられる。このような紙力増強剤としては、好ましくは、澱粉系、ポリアクリルアミド系などの紙力増強剤が挙げられる。
澱粉系の紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉(窒素含有量:対澱粉当たり0.2〜0.4重量%)、酸化澱粉(カルボキシル基量:10〜20meq/100g)、ノニオン化澱粉などの変性澱粉が挙げられる。これらの中でも、セルロースナノファイバーとの相互作用として、水素結合に加えてイオン的な結合を生じ得る観点から、カチオン化澱粉が好ましい。
ポリアクリルアミド系の紙力増強剤としては、アクリルアミドの単独重合体(ポリアクリルアミド)、アクリルアミドを主成分とする共重合体などが挙げられる。本明細書において、「アクリルアミドを主成分とする共重合体」とは、共重合体を構成するユニットのうち、アクリルアミドに由来するユニットが50重量%以上、好ましくは80重量%以上であり、残部がアクリルアミドと共重合可能なモノマー由来のユニットである共重合体のことをいう。
アクリルアミドと共重合可能なモノマーとしては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸類((メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、シトラコン酸、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩など)、α,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル類((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなど)、α,β−不飽和スルホン酸類(ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、その塩など)、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類((メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルなど)、4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリル酸エステル類(アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクトリドなど)が挙げられる。
ポリアクリルアミド系の紙力増強剤の中でも、セルロースナノファイバーとの相互作用として、水素結合に加えてイオン的な結合を生じ得る観点から、カチオン性あるいは両イオン性のポリアクリルアミドが好ましい。
紙力増強剤は、乾燥パルプ100重量部に対して、好ましくは0.1〜1.5重量部、より好ましくは0.2〜1.0重量部の割合で用いられる。
本発明の方法に用いられるセルロースナノファイバーは、セルロースを微粒化処理することにより得られる繊維、すなわち、セルロース系原料を解繊することにより得られるセルロースのミクロフィブリルである。このようなセルロースナノファイバーは、3〜50nm、好ましくは3〜40nm、より好ましくは3〜30nmの平均繊維幅を有する。ここで、「繊維幅」とは、セルロースナノファイバーの断面の直径のことをいう。セルロースナノファイバーは、好ましくは1〜5μm、より好ましくは3〜5μmの平均繊維長を有する。また、本発明に用いられるセルロースナノファイバーのアスペクト比は、好ましくは1:10以上、より好ましくは1:100〜1:1600である。原料となるセルロースとしては、特に限定されず、木材由来のパルプ、ケナフ、麻、イネ、バガスなどが挙げられる。
セルロースを微粒化処理する方法としては、湿式微粒化処理方法、乾式微粒化処理方法などが挙げられ、湿式微粒化処理方法が好ましい。このような微粒化処理は、ジェットミル、高圧乳化機、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ボールミルなどを用いて行われる。また、微粒化処理する前に、予めセルロースを酸化剤(例えば、2,2,6,6−テトラピペリジン−1−オキシラジカルと次亜塩素酸ナトリウムとの組み合わせなど)で酸化してもよい。
セルロースナノファイバーは、非常に広い表面積を有するため表面活性が高く、様々な物質と相互作用(すなわち結合)しやすいという性質を有する。そのため、上述の紙力増強剤と併用することにより、セルロースナノファイバーが紙力増強剤およびパルプとそれぞれ相互作用するものと考えられる。したがって、紙力増強剤が、パルプにカチオン性基や硫酸バンドなどのカチオン性物質を介して定着することに加えて、それ以外の部位では紙力増強剤がセルロースナノファイバーを介しても定着することによって定着性が向上し、高い紙力強度を有する紙または板紙を抄造することができると考えられる。
本発明の方法に用いられるセルロースナノファイバーは、2%(w/v)水分散液が、好ましくは200〜15000mPa・s、より好ましくは500〜10000mPa・sの粘度を有する。なお、粘度の測定方法は特に限定されず、例えば、B型粘度計などを用いた一般的な方法が採用される。
セルロースナノファイバーは、乾燥パルプ100重量部に対して、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.5〜2.0重量部の割合で用いられる。また、セルロースナノファイバーと紙力増強剤とは、好ましくは1:0.05〜1:15の重量比で用いられ、より好ましくは1:0.1〜1:2の重量比で用いられる。
さらに、本発明の方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般的に紙の抄造に用いられる添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、硫酸バンド、サイズ剤、顔料、染料、消泡剤、嵩高剤などが挙げられる。なお、アニオン性を有する紙力増強剤を用いる場合、通常、硫酸バンドなどのカチオン性物質が併用される。
本発明の抄造方法に用いられるパルプスラリーは特に限定されず、紙力増強剤およびセルロースナノファイバー、必要に応じて添加剤を含む。パルプスラリーのパルプ濃度は、通常0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。
パルプスラリーを調製する際、パルプ、紙力増強剤、セルロースナノファイバーなどを水の中に一括で添加してもよく、時間差を設けて順次添加してもよい。特に、パルプへの各薬剤の定着性を良好にするためパルプや各薬剤は順次添加する方が好ましい。順次添加する場合、パルプや各薬剤は、好ましくは0〜60秒程度の間隔を空けて添加される。
本発明の方法によって紙を抄造する場合、特別な抄造機を必要とせず、従来の抄造機(機械漉き、手漉き)を用いて行われる。例えば、微細な網目を有する金網にパルプスラリーを流しこんで水分を金網の下に透過させ、金網の上に残っているパルプ繊維を乾燥することによって、紙や板紙が得られる。このように抄造された紙や板紙は、パルプの使用量にもよるが、通常30g/m2〜400g/m2程度の坪量を有する。本発明の方法によれば、新たな設備などを必要とせずに紙力強度の高い紙または板紙が得られる。
本発明の抄造方法で得られた紙や板紙は、高い紙力強度を有しており、そのまま印刷・情報用紙などとして用いられたり、種々の紙製品(例えば、段ボール、紙容器など)の材料として用いられたりする。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<セルロースナノファイバーの調製>
(調製例1)
セルロースナノファイバーの原料として、精製された木材由来のパルプを粉砕することによって得られる粉末セルロース(平均粒子径24μm)を用いた。この粉末セルロースと水とを混合して撹拌し、固形濃度が2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーを、ジェットミル((株)スギノマシン製)を用いて245MPaの圧力で5回処理を行い、ゲル状の分散液を得た。
得られた分散液(固形濃度2%(w/v))を、25℃の温度に調整し、B型粘度計(TOKIMEC INC.製、VISCOMETER B8L)を用いて分散液の粘度を測定したところ、粘度は1750mPa・sであった。なお、B型粘度計の回転数は60rpmとした。
さらに、セルロースナノファイバーの平均繊維幅を、以下の方法により測定したところ、約40nmであった。
<平均繊維幅の測定方法>
銅製メッシュを得られた分散液に浸して引き上げ、室温で風乾してメッシュ孔にセルロースナノファイバーの膜を形成させた。次いで、形成された膜にカーボン蒸着を行い、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEOL JEM−2100、加速電圧200kV)にて観察した。電子顕微鏡画像に写ったセルロースナノファイバーのそれぞれの繊維幅を測定し、平均値を求めた。
(調製例2〜3)
ジェットミルでの処理を、それぞれ10回および20回にしたこと以外は、調製例1と同様の手順で、それぞれ分散液を得た。また、分散液の粘度および繊維幅を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(調製例4)
15gの上記粉末セルロースと500mLの水を混合して撹拌し、これに0.078gの2,2,6,6−テトラピペリジン−1−オキシラジカルと0.075gの臭化ナトリウムを添加して撹拌し溶解させた。次いで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)50mLを添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10に調整し、酸化反応を行った。反応中、系内のpHは低下するが、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pHを10に調整した。2時間反応した後、遠心操作(3000rpm、30分)により酸化した粉末セルロースを沈殿させて、上澄みを除去した。得られた沈殿物を水洗後、再度水に分散させて固形濃度2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーを、高圧乳化機(マントンゴーリン社製)を用いて40MPaの圧力で1回処理を行い、ゲル状の分散液を得た。分散液の粘度および繊維幅を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(調製例5)
高圧乳化機での処理を7回にしたこと以外は、調製例4と同様の手順で、それぞれ分散液を得た。また、分散液の粘度および繊維幅を、調製例4と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(調製例6)
上記粉末セルロースと水とを混合して撹拌し、固形濃度2%(w/v)のスラリーを得た。このスラリーの粘度を、調製例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
Figure 2012214943
<紙の抄造>
(実施例1)
製紙原料として広葉樹を原料とするクラフトパルプ(LBKP)を白水で希釈して、パルプが2.5%の濃度となるように調整した。この希釈液を、ハンドミキサー羽を取り付けた撹拌機で撹拌しながら、乾燥パルプ100重量部に対して、2重量部の硫酸バンド、0.3重量部のロジン系サイズ剤(ハリマ化成(株)製、ハーサイズNES−748)、紙力増強剤として0.3重量部のカチオン化澱粉(日本食品加工(株)製、ネオタック#40T)、および1.0重量部の調製例1のセルロースナノファイバーを、この順序で30秒の間隔をあけて添加した。
セルロースナノファイバーを添加してから2分後に白水を添加して、パルプ濃度を1%に調製したパルプスラリーを得た。次いで、このパルプスラリーを、水道水を張ったシートマシンに投入し、「JIS P822」に準じて抄紙し、湿紙を得た。湿紙を濾紙に挟み、圧力490kPaで1分間プレスした。次いで、回転式ドラムドライヤー(熊谷理機工業(株)製、ROTARY DRYER)で100℃にて3分間乾燥した。得られた紙を恒温恒湿室(温度23℃、相対湿度50%RH)で一昼調湿することにより、坪量65g/m2の紙サンプルを得た。
(実施例2〜5)
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例2〜5のセルロースナノファイバーをそれぞれ添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(実施例6および7)
調製例5のセルロースナノファイバーを、それぞれ0.5重量部および2.0重量部添加したこと以外は、実施例5と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例1)
カチオン化澱粉およびセルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例2〜6)
カチオン化澱粉を用いずに、それぞれ表2に記載のセルロースナノファイバーを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例7)
セルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例8)
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例6のセルローススラリーを添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(実施例8〜14)
カチオン化澱粉の代わりに、ポリアクリルアミド(ハーマイドK−123、ハリマ化成(株)製)を用い、それぞれ表3に記載のセルロースナノファイバーを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例9)
セルロースナノファイバーを用いなかったこと以外は、実施例8と同様の手順で紙サンプルを得た。
(比較例10)
調製例1のセルロースナノファイバーの代わりに、調製例6のセルローススラリーを添加したこと以外は、実施例8と同様の手順で紙サンプルを得た。
<紙力強度の測定>
各実施例および比較例で得られた紙サンプルについて、比破裂強さ、引っ張り強さおよびインターナルボンドを、それぞれ「JIS P8112」、「JIS P8113」および「J.TAPPI No.54」に準じて測定した。結果を表2および3に示す。
Figure 2012214943
Figure 2012214943
表2および3に示すように、本発明の方法によって抄造された紙(実施例1〜14)は、比破裂強さ、引っ張り強さおよびインターナルボンドのいずれの紙力強度についても、優れていることがわかる。一方、本発明以外の方法(すなわち、紙力増強剤およびセルロースナノファイバーの両方または一方を含まないパルプスラリーを用いた方法)で抄造された紙(比較例1〜10)は、紙力強度に劣ることがわかる。

Claims (11)

  1. 紙力増強剤およびセルロースナノファイバーを含むパルプスラリーを用いることを特徴とする、紙または板紙の抄造方法。
  2. 前記セルロースナノファイバーの2%(w/v)水分散液が、200〜15000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルロースナノファイバーが、セルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したもの、または予め酸化剤にて酸化したセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化したものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記紙力増強剤が、カチオン性、アニオン性または両イオン性を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 前記紙力増強剤が、澱粉系またはポリアクリルアミド系であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法。
  6. 前記紙力増強剤が、カチオン化澱粉またはポリアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の方法。
  7. 前記セルロースナノファイバーが、3〜50nmの平均繊維幅を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の方法。
  8. 前記セルロースナノファイバーが、乾燥パルプ100重量部に対して0.1〜2.0重量部の割合で用いられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項に記載の方法。
  9. 前記セルロースナノファイバーと紙力増強剤とが、1:0.05〜1:15の重量比で用いられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項に記載の方法。
  10. 前記パルプスラリーのパルプ濃度が、0.5〜5.0重量%である、請求項1〜9のいずれかの項に記載の方法。
  11. 請求項1〜10に記載の方法によって抄造される紙または板紙。
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