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JP2012205215A - 弾性表面波装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不平衡入力−不平衡出力型のフィルタおよび不平衡入力−平衡出力型のフィルタのいずれにも対応可能なパッケージ構造を有し、挿入損失が小さい表面弾性波装置を提供する。
【解決手段】表面弾性波装置は、不平衡入力−不平衡出力型の受信フィルタおよび不平衡入力−平衡出力型の受信フィルタのいずれにも対応可能な構造を有する。不平衡入力−不平衡出力型の受信フィルタを構成する表面弾性波フィルタチップ30Aは、不平衡出力端子として機能するパッド37fと、表面弾性波フィルタ部と接続されないパッド37eとを有する。配線基板の裏面には、パッド37fと接続され、受信端子として機能する単一の電極と、第2のパッド37eと接続され、グラウンド端子として機能する電極とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、弾性表面波装置およびその製造方法に関する。
所定の周波数成分を取り出すためのフィルタとして弾性表面波を用いた弾性表面波フィルタが従来から知られている。また、異なる周波数帯域を持つ送信信号と受信信号とを各々の周波数帯域で同時にフィルタリングし、送信回路から受信回路への信号の流入を防ぐデュプレクサなどの分波器に弾性表面波を用いた弾性表面波分波器も従来から知られている。
従来、たとえば、特開2003−347964号公報(特許文献1)などにおいて、携帯電話機などの通信機における高周波回路の段間フィルタや分波器などとして、弾性表面波フィルタや弾性表面波分波器が種々提案されている。
RF回路においては、弾性表面波フィルタや弾性表面波分波器に高周波集積回路(RFIC:Radio Frequency Integrated Circuit)が接続される。RFICには、2本の信号線間の電位差により信号を入力する平衡入力型と、1本の信号線とグランド線との電位差により信号を入力する不平衡入力型とがある。
RFICが不平衡入力型である場合、弾性表面波フィルタや弾性表面波分波器の受信フィルタは、不平衡入力−不平衡出力型のフィルタであることが求められる。一方、RFICが平衡入力型である場合、弾性表面波フィルタや弾性表面波分波器の受信フィルタは、不平衡入力−平衡出力型のフィルタ、すなわち、平衡−不平衡変換機能を有するフィルタであることが求められる。
特許文献1には、RFICが平衡入力型と不平衡入力型とのいずれの場合であっても対応可能な構造を有する弾性表面波分波器が記載されている。特許文献1中の図10A(以下、単に「文献1図10A」と称する。)には、受信フィルタが不平衡入力−不平衡出力型のフィルタである場合の受信フィルタチップが示され、特許文献1中の図10B(以下、単に「文献1図10B」と称する。)には、受信フィルタが不平衡入力−平衡出力型のフィルタである場合の受信フィルタチップが示され、特許文献1中の図9A(以下、単に「文献1図9A」と称する。)には、弾性表面波分波器のパッケ−ジ裏面が示されている。
文献1図10Aの例では、受信フィルタチップは、圧電基板を有する。そして、圧電基板上に、弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された3つのインターディジタルトランスデューサ電極(以下、「IDT電極」という。)と、3つのIDT電極の両側に配置されている1組の反射器と、複数のパッドと、複数の配線とが形成されている。配線は、IDT電極や反射器とパッドとを接続している。複数のパッドは、1つの入力パッドINと、2つの出力パッドOUTと、3つの接地パッドGNDを含む。受信フィルタは、不平衡入力−不平衡出力型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成されている。そのため、2つの出力パッドOUTからは、同位相の信号が出力される。
文献1図10Bの例においても、受信フィルタチップは、圧電基板を有する。そして、圧電基板上に、弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された3つのIDT電極と、3つのIDT電極の両側に配置されている1組の反射器と、複数のパッドと、複数の配線とが形成されている。配線は、IDT電極や反射器とパッドとを接続している。複数のパッドは、1つの入力パッドINと、2つの出力パッドOUT1,OUT2と、3つの接地パッドGNDを含む。3つのIDT電極のうち、中央に位置するIDT電極では、IDT電極を構成する1組の櫛歯状電極の一方が2つの分割櫛歯状電極により構成されている。そして、一方の分割櫛歯状電極が出力パッドOUT1に接続されており、他方の分割櫛歯状電極が出力パッドOUT2に接続されている。受信フィルタは、不平衡入力−平衡出力型、すなわち、平衡−不平衡変換機能を有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成されている。そのため、2つの出力パッドOUT1,OUT2からは、位相が180度異なる信号が出力される。
文献1図9Aに示すように、弾性表面波分波器のパッケ−ジの裏面には、アンテナ端子Antennaと、送信端子Tx I/Pと、3つのグラウンド端子Gndと、2つの受信端子Rx O/P1,Rx O/P2とが形成されている。
文献1図10Aおよび文献1図10Bに示すように、2つの受信フィルタチップは、パッドの配置が同じである。そのため、RFICが不平衡入力型である場合には、文献1図10Aに示す受信フィルタチップがパッケ−ジに搭載される。RFICが平衡入力型である場合には、文献1図10Bに示す受信フィルタチップがパッケ−ジに搭載される。このように、特許文献1に記載の弾性表面波分波器では、1つのパッケ−ジで、受信フィルタが不平衡入力−不平衡出力型のフィルタである場合と、受信フィルタが不平衡入力−平衡出力型のフィルタである場合の両方に対応することができる。
特開2003−347964号公報
特許文献1に記載の弾性表面波分波器では、不平衡入力−平衡出力型の受信フィルタにも対応可能とするために、2つの受信端子(Rx O/P1,Rx O/P2)を設けておく必要がある。したがって、不平衡入力−不平衡出力型の受信フィルタを搭載した場合に、パッケ−ジの裏面の2つの受信端子(Rx O/P1,Rx O/P2)から同じ信号が出力されることになる。このような構成では、次のような問題が生じる。
まず、パッケ−ジの裏面の2つの受信端子(Rx O/P1,Rx O/P2)から同じ信号が出力されるため、受信信号の流れる経路が全体として長くなる。この結果、配線の抵抗や寄生容量などの影響が大きくなり、受信フィルタの挿入損失が大きくなる。
また、パッケ−ジの裏面の2つの受信端子(Rx O/P1,Rx O/P2)から同じ信号が出力されるため、弾性表面波分波器が搭載されるRF回路の基板において、2つの受信端子(Rx O/P1,Rx O/P2)のそれぞれから出力される2つの信号を1つに合成する必要がある。そのため、高周波回路の基板に信号を合成するための配線を別途形成する必要がある。このため、この弾性表面波分波器に対応した高周波回路の基板を用意しなければならないことになる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、不平衡入力−不平衡出力型のフィルタおよび不平衡入力−平衡出力型のフィルタのいずれにも対応可能なパッケ−ジ構造を有し、挿入損失が小さい弾性表面波装置を提供することにある。
本発明に係る弾性表面波装置の製造方法は、第1の圧電基板と、第1の圧電基板上に形成されている第1の不平衡入力端子および第1および第2の平衡出力端子と、第1の不平衡入力端子と第1および第2の平衡出力端子との間に接続されている第1の弾性表面波フィルタ部とを有する不平衡入力−平衡出力型の第1の弾性表面波フィルタチップ、または、第2の圧電基板と、第2の圧電基板上に形成されている第2の不平衡入力端子、不平衡出力端子、およびグラウンド端子と、第2の不平衡入力端子と不平衡出力端子との間に接続されている第2の弾性表面波フィルタ部とを有し、第2の不平衡入力端子に対する不平衡出力端子およびグラウンド端子の配置が、第1の不平衡入力端子に対する第1および第2の平衡出力端子の配置と同じである不平衡入力−不平衡出力型の第2の弾性表面波フィルタチップを用意する工程と、互いに対向する表面および裏面を有する基板本体と、表面上に設けられている第1乃至第3のランド電極と、裏面上に設けられており、第1乃至第3のランド電極にそれぞれ接続されている第1乃至第3の裏面端子とを有する配線基板を用意する工程と、第1の弾性表面波フィルタチップまたは第2の弾性表面波フィルタチップを配線基板の表面にフリップチップ実装する工程とを含み、第1の弾性表面波フィルタチップを配線基板に実装する場合は、第1の不平衡入力端子を第1のランド電極に、第1の平衡出力端子を第2のランド電極に、第2の平衡出力端子を第3のランド電極にそれぞれ接続し、第2の弾性表面波フィルタチップを配線基板に実装する場合は、第2の不平衡入力端子を第1のランド電極に、不平衡出力端子を第2のランド電極に、グラウンド端子を第3のランド電極にそれぞれ接続する。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置の製造方法において、弾性表面波フィルタ部は、縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成される。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置の製造方法において、第2および第3の裏面端子は、裏面上において互いに隣接している。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置の製造方法において、表面弾性波装置が送信フィルタおよび受信フィルタを備える分波器であって、第1または第2の表面弾性波フィルタチップが受信フィルタである。
本発明に係る弾性表面波装置は、矩形状の圧電基板と、圧電基板上に形成されている不平衡入力端子、不平衡出力端子、およびグラウンド端子と、不平衡入力端子と不平衡出力端子との間に接続されている弾性表面波フィルタ部とを有する不平衡入力−不平衡出力型の弾性表面波フィルタチップと、互いに対向する表面および裏面を有する基板本体と、表面上に設けられている第1乃至第3のランド電極と、裏面上に設けられており、第1乃至第3のランド電極にそれぞれ接続されている第1乃至第3の裏面端子とを有する配線基板とを備え、不平衡出力端子およびグラウンド端子は、圧電基板上で線対称に配置されており、第2の不平衡入力端子は第1のランド電極に、不平衡出力端子は第2のランド電極に、グラウンド端子は第3のランド電極にそれぞれ接続されている。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置において、表面弾性波弾性表面波フィルタ部は、縦結合共振子型の表面弾性波弾性表面波フィルタにより構成される。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置において、第2および第3の裏面端子は、裏面上において互いに隣接している。
1つの実施態様では、上記弾性表面波装置において、送信フィルタおよび受信フィルタを備える分波器であって、弾性波フィルタチップが、分波器の受信フィルタである。
本発明によれば、不平衡入力−不平衡出力型の受信フィルタと不平衡入力−平衡出力型の受信フィルタとのいずれの場合であっても対応することができる構造を有し、挿入損失が小さい弾性表面波装置を提供することができる。
本実施の形態のデュプレクサ1の略図的回路図(デュプレクサ1に接続されるRFICが不平衡入力型である場合)である。 本実施の形態のデュプレクサ1の略図的回路図(デュプレクサ1に接続されるRFICが平衡入力型である場合)である。 本実施の形態(および比較例)のデュプレクサの模式的断面図である。 本実施の形態のデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップおよび受信側弾性表面波フィルタチップの模式的平面図(デュプレクサ1に接続されるRFICが不平衡入力型である場合)である。 本実施の形態のデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップおよび受信側弾性表面波フィルタチップの模式的平面図(デュプレクサ1に接続されるRFICが平衡入力型である場合)である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第4の電極層47と第3の誘電体層43との模式的透視平面図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第3の電極層46と第2の誘電体層42との模式的透視平面図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第2の電極層45と第1の誘電体層41との模式的透視平面図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第1の電極層44の模式的透視平面図である。 比較例のデュプレクサの送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと受信側弾性表面波フィルタチップ30Cの模式的平面図である。 比較例に係るデュプレクサにおける、配線基板40の第4の電極層47と第3の誘電体層43との模式的透視平面図である。 比較例に係るデュプレクサにおける、配線基板40の第3の電極層46と第2の誘電体層42との模式的透視平面図である。 比較例に係るデュプレクサにおける、配線基板40の第2の電極層45と第1の誘電体層41との模式的透視平面図である。 比較例に係るデュプレクサにおける、配線基板40の第1の電極層44の模式的透視平面図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタの電気特性を測定するための測定基板を示す図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタの通過特性を示す図である。 本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタのV.S.W.R(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)を示す図である。
以下、本発明を実施した好ましい形態について、弾性表面波分波器である図1〜図9に示すデュプレクサ1を例に挙げて説明する。ただし、デュプレクサ1は、単なる例示である。本発明に係る弾性表面波装置は、デュプレクサ1に何ら限定されない。本発明は、たとえばトリプレクサなどの、デュプレクサ以外の分波器にも適用可能である。
なお、以下に説明する実施の形態において、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。また、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
本実施の形態に係るデュプレクサ1は、たとえば、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)のようなCDMA(Code Division Multiple Access)方式に対応する携帯電話機などの高周波デバイスに搭載されるものである。デュプレクサ1は、UMTS−BAND5に対応するデュプレクサである。UMTS−BAND5の送信周波数帯は、824MHz〜849MHzであり、受信周波数帯は、869MHz〜894MHzである。
本実施の形態のデュプレクサ1は、当該デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型と不平衡入力型とのいずれの場合であっても、同じパッケ−ジで対応することができる弾性表面波分波器である。
図1は、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合における、本実施の形態のデュプレクサ1の略図的回路図である。図2は、デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型である場合における、本実施の形態のデュプレクサ1の略図的回路図である。
図1および図2に示すように、デュプレクサ1は、アンテナに接続されるアンテナ端子11と、送信端子12とを有する。また、図1に示すように、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合は、デュプレクサ1は受信端子13を有する。図2に示すように、デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型である場合は、デュプレクサ1は受信端子13a,13bを有する。
図1および図2に示すように、アンテナ端子11と送信端子12との間に、送信フィルタ20が接続されている。また、図1に示すように、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合は、アンテナ端子11と受信端子13との間に、受信フィルタ30aが接続される。図2に示すように、デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型である場合は、アンテナ端子11と受信端子13との間に、受信フィルタ30bが接続される。図1および図2に示すように、アンテナ端子11と送信フィルタ20および受信フィルタ30a,30bとの間に、インダクタL1からなる整合回路が接続されている。インダクタL1の一端がアンテナ端子11に接続されており、他端がグラウンドに接続されている。
図1および図2に示すように、送信フィルタ20は、ラダ−型弾性表面波フィルタにより構成されている。送信フィルタ20は、出力端子21と、入力端子22とを有する。出力端子21はアンテナ端子11と接続されており、入力端子22は送信端子12と接続されている。
送信フィルタ20は、出力端子21と入力端子22との間を接続している直列腕23を有する。直列腕23において、直列腕共振子S1〜S4が直列に接続されている。送信フィルタ20は、直列腕23とグラウンドとの間に接続されている並列腕24〜26を有する。並列腕24〜26には、並列腕共振子P1〜P3が設けられている。直列腕共振子S1〜S4および並列腕共振子P1〜P3は、それぞれ、弾性表面波共振子により構成されている。
また、並列腕共振子P1とグラウンドとの間には、インダクタL2が接続されている。並列腕共振子P2,P3とグラウンドとの間には、インダクタL3が接続されている。
図1に示すように、受信フィルタ30aは、縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成されている。受信フィルタ30aは、不平衡入力−不平衡出力型のフィルタである。そのため、受信フィルタ30aは、不平衡入力端子31と、不平衡出力端子32とを有する。不平衡入力端子31はアンテナ端子11と接続されており、不平衡出力端子32は受信端子13と接続されている。受信フィルタ30aは、不平衡入力端子31と不平衡出力端子32との間に接続されている、弾性表面波共振子33と、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35とを有する。
また、図2に示すように、受信フィルタ30bは、図1に示す受信フィルタ30aと同様に、縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成されている。受信フィルタ30bは、不平衡入力−平衡出力型のフィルタである。すなわち、受信フィルタ30bは、平衡−不平衡変換機能を有するバランス型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成されている。そのため、受信フィルタ30bは、不平衡入力端子31と、第1および第2の平衡出力端子32a,32bとを有する。不平衡入力端子31はアンテナ端子11と接続されており、第1および第2の平衡出力端子32a,32bは第1および第2の受信端子13a,13bと接続されている。受信フィルタ30bは、不平衡入力端子31と第1および第2の平衡出力端子32a,32bとの間に接続されている、弾性表面波共振子33と、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34a,35aとを有する。
図3は、本実施の形態のデュプレクサ1の模式的断面図である。図3に示すように、デュプレクサ1は、配線基板40と、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと、受信側弾性表面波フィルタチップ30A(または30B)とを備えている(図3においては、図示の便宜上、フィルタチップ20A,30A(または30B)を1つのものとして描いている。)。送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと、受信側弾性表面波フィルタチップ30A(または30B)とは、配線基板40のダイアタッチ面40aにバンプによりフリップチップ実装されている。配線基板40の上には、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと受信側弾性表面波フィルタチップ30A(または30B)とを覆うように、封止樹脂が形成されている。すなわち、本実施の形態のデュプレクサ1は、CSP(Chip Size Package)型の弾性表面波フィルタ装置である。デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが配線基板40に実装される。また、デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型である場合、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bが配線基板40に実装される。
図3に示すように、配線基板40は、第1〜第3の誘電体層41〜43と、第1〜第4の電極層44〜47との積層体により構成されている。第1の電極層44は、第1の誘電体層41の下に配置されている。第2の電極層45は、第1の誘電体層41と第2の誘電体層42の間に配置されている。第3の電極層46は、第2の誘電体層42と第3の誘電体層43の間に配置されている。第4の電極層47は、第3の誘電体層43の上に配置されている。配線基板40は、電極層と誘電体層とが交互に積層されて形成されている積層基板である。第1〜第4の電極層44〜47は、第1〜第3の誘電体層41〜43に形成されたビアホ−ル電極により接続されている。
なお、第1〜第3の誘電体層41〜43のそれぞれは、たとえば、樹脂や、アルミナなどのセラミックスなどにより構成することができる。すなわち、配線基板40は、樹脂からなるプリント配線多層基板や、セラミック多層基板であってもよい。
なお、本実施の形態では、配線基板が3つの誘電体層と4つの電極層との積層体により構成されている例について説明する。ただし、本発明は、この構成に限定されない。本発明においては、配線基板は、単層の誘電体でも、2層以上の誘電体層を有していてもよい。
デュプレクサ1では、送信フィルタ20のインダクタL2,L3を除く部分(図1、図2中の上側の破線部分)が送信側弾性表面波フィルタチップ20Aに形成されている。また、デュプレクサ1では、アンテナ端子11と、送信端子12と、受信端子13,13a,13bと、インダクタL2,L3とは、配線基板40に形成されている。デュプレクサ1では、受信フィルタ30a(図1中の下側の破線部分)が受信側弾性表面波フィルタチップ30Aに形成されており、受信フィルタ30b(図2中の下側の破線部分)が受信側弾性表面波フィルタチップ30Bに形成されている。
以下に、本実施の形態のデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと、受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bについて説明する。
図4は、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合における、本実施の形態のデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと受信側弾性表面波フィルタチップ30Aの模式的平面図である。
送信側弾性表面波フィルタチップ20Aは、矩形状の圧電基板を有する。図4に示すように、圧電基板上に、直列腕共振子S1〜S4と、並列腕共振子P1〜P3と、複数のパッド27a〜27fが形成されている。パッド27a〜27f上にバンプが形成される。
直列腕共振子S1〜S4および並列腕共振子P1〜P3を構成している弾性表面波共振子は、それぞれ1つのIDT電極と、当該IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された1組の反射器とを有する。すなわち、直列腕共振子S1〜S4および並列腕共振子P1〜P3を構成している弾性表面波共振子は、1ポ−ト型弾性表面波共振子である。
パッド27aは、直列腕共振子S1と接続されている。パッド27aは、出力端子21として機能する。パッド27bは、並列腕共振子P1と接続されている。パッド27cは、並列腕共振子P2,P3と接続されている。パッド27dは、直列腕共振子S2,S3と接続されている。パッド27eは、ダミ−パッドであり、電気的に独立している。パッド27fは、直列腕共振子S4と接続されている。パッド27fは、入力端子22として機能する。
受信側弾性表面波フィルタチップ30Aは、矩形状の圧電基板を有する。図4に示すように、圧電基板上に、弾性表面波共振子33と、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35と、複数のパッド37a〜37fが形成されている。パッド37a〜37f上にバンプが形成される。
弾性表面波共振子33は、1つのIDT電極と、当該IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された1組の反射器とを有する。すなわち、弾性表面波共振子33は、1ポ−ト型弾性表面波共振子である。
第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35は、それぞれ、3つのIDT電極と、当該IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された1組の反射器とを有する。第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35は、互いに縦続接続されている。
パッド37a,37bは、弾性表面波共振子33と接続されている。パッド37a,37bは、不平衡入力端子31として機能する。パッド37c,37dは、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35と接続されている。パッド37c,37dは、グラウンドに接続される接地パッドである。パッド37eは、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34,35とは接続されず、グラウンドに接続されている。パッド37fは、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35と接続されている。パッド37fは、不平衡出力端子32として機能する。なお、パッド37e,37fは、線対称な位置に設けられている。具体的には、パッド37e,37fは、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aを構成する矩形状の圧電基板の対向する2つの辺(ここでは2つの短辺)の中点を通る中心線を対象軸とした線対称な位置に設けられている。
受信側弾性表面波フィルタチップは、絶縁パタ−ン36a,36bを有する。絶縁パタ−ン36a,36bを介して、2つの配線が交差している。
図5は、デュプレクサに接続されるRFICが平衡入力型である場合における、本実施の形態のデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと受信側弾性表面波フィルタチップ30Bの模式的平面図である。なお、図5に示す送信側弾性表面波フィルタチップ20Aは、図4に示す送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと同じである。
図5に示すように、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bは、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aとほぼ同様の構成を有する。具体的には、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bは、圧電基板を有する。圧電基板上に、弾性表面波共振子33と、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34a,35aと、複数のパッド37a〜37d,37e1,37f1が形成されている。パッド37a〜37d,37e1,37f1上にバンプが形成される。
弾性表面波共振子33は、1ポ−ト型弾性表面波共振子である。第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34a,35aは、それぞれ、3つのIDT電極と、当該IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された1組の反射器とを有する。第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34a,35aは、互いに縦続接続されている。ここでは、互いに縦続接続されている2つの縦結合共振子型弾性表面波フィルタを用いたが、弾性表面波フィルタ部は1つの縦結合共振子型弾性表面波フィルタであってもよい。また、弾性表面波フィルタ部は、複数の縦結合共振子型弾性表面波フィルタを並列接続した弾性表面波フィルタ部であってもよい。すなわち、弾性表面波フィルタ部はバンドパスフィルタとして機能すれば、弾性表面波フィルタ部を構成する縦結合共振子型弾性表面波フィルタの数や接続構造は限定されない。
パッド37a,37bは、弾性表面波共振子33と接続されている。パッド37a,37bは、不平衡入力端子31として機能する。パッド37c,37dは、第1および第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部34a,35aと接続されている。パッド37c,37dは、グラウンドに接続される接地パッドである。パッド37e1は、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35aと接続されている。パッド37e1は、第2の平衡出力端子32bとして機能する。パッド37f1は、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35aと接続されている。パッド37f1は、第1の平衡出力端子32aとして機能する。
受信側弾性表面波フィルタチップ30Bは、絶縁パタ−ン36cを有する。絶縁パタ−ン36cを介して、2つの配線が交差している。
受信側弾性表面波フィルタチップ30Aと、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bとは、以下の点が異なる。
受信フィルタ30aは不平衡入力−不平衡出力型のフィルタであるため、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aにおいて、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35は、パッド37fのみに接続されている。具体的には、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35の3つのIDT電極のうち、中央に位置するIDT電極がパッド37fに接続されている。
一方、受信フィルタ30bは不平衡入力−平衡出力型のフィルタであるため、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bにおいて、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35aは、2つのパッド37e1,37f1に接続されている。具体的には、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35aの3つのIDT電極のうち、中央に位置するIDT電極は、IDT電極を構成する1組の櫛歯状電極の一方が2つの分割櫛歯状電極により構成されている。そして、一方の分割櫛歯状電極がパッド37e1に接続されており、他方の分割櫛歯状電極がパッド37f1に接続されている。
このように、受信側弾性表面波フィルタチップ30Bは、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部の構成と、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とパッドとの接続構造が、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aと異なる。その他の構成は、同じである。したがって、不平衡入力−平衡出力型の受信側弾性表面波フィルタチップ30Bのパッド37e1,37f1は、不平衡入力−不平衡出力型の受信側表面弾性波弾性表面波フィルタチップ30Aのパッド37e,37fと配置が同じである。すなわち、パッド37a,37bに対するパッド37e1,37f1の配置は、パッド37a,37bに対するパッド37e,37fの配置と同じである。
以下に、本実施の形態のデュプレクサ1の配線基板40について説明する。
図6は、本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第4の電極層47と第3の誘電体層43との模式的透視平面図である。図7は、本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第3の電極層46と第2の誘電体層42との模式的透視平面図である。図8は、本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第2の電極層45と第1の誘電体層41との模式的透視平面図である。図9は、本実施の形態に係るデュプレクサ1における、配線基板40の第1の電極層44の模式的透視平面図である。図6〜図9は、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aおよび受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bが搭載される側から配線基板40を透視した状態を示している。
図6に示すように、第4の電極層47は、ランド電極47a〜47lにより構成されている。第4の電極層47は、ランド電極層である。ランド電極47a〜47lは、配線基板40のダイアタッチ面40aに形成されており、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッドおよび受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bのパッドにバンプを介して接続されている。図6において、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aおよび受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bの搭載される領域を破線で示す。図7に示すように、第3の電極層46は、電極46a〜46iにより構成されている。図8に示すように、第2の電極層45は、電極45a〜45gにより構成されている。図9に示すように、第1の電極層44は、電極44a〜44iにより構成されている。第1の電極層44は、配線基板40の裏面40bの上に形成されている。第1の電極層44は、裏面端子層である。
第1の電極層44の電極44aは、アンテナ端子11として機能する。電極44aは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51aによって、第2の電極層45の電極45aに接続されている。ビアホ−ル電極51aは、2つのビアホ−ル電極である。電極45aは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52aによって、第3の電極層46の電極46aに接続されている。電極46aは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53a,53b,53cによって、第4の電極層47のランド電極47a,47b,47cに接続されている。ランド電極47aは、受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bのパッド37aにバンプを介して接続されている。ランド電極47bは、受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bのパッド37bにバンプを介して接続されている。ランド電極47cは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27aにバンプを介して接続されている。
第1の電極層44の電極44bは、送信端子12として機能する。電極44bは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51bによって、第2の電極層45の電極45bに接続されている。ビアホ−ル電極51bは、2つのビアホ−ル電極である。電極45bは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52bによって、第3の電極層46の電極46bに接続されている。電極46bは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53dによって、第4の電極層47のランド電極47dに接続されている。ランド電極47dは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27fにバンプを介して接続されている。
第1の電極層44の電極44cは、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが搭載された場合には受信端子13として機能し、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Bが搭載された場合には第1の受信端子13aとして機能する。電極44cは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51cによって、第2の電極層45の電極45cに接続されている。電極45cは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52cによって、第3の電極層46の電極46cに接続されている。電極46cは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53eによって、第4の電極層47のランド電極47eに接続されている。ランド電極47eは、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが搭載された場合にはパッド37fにバンプを介して接続されており、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Bが搭載された場合にはパッド37f1にバンプを介して接続されている。第1の電極層44の電極44cは、「第1の電極」を構成する。
第1の電極層44の電極44d,44f,44gは、グラウンド端子として機能する。電極44d,44f,44gは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51d,51e,51fによって、第2の電極層45の電極45dに接続されている。電極45dは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52d,52eによって、第3の電極層46の電極46d,46iに接続されている。ビアホ−ル電極52dは、10個のビアホ−ル電極である。電極46dは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53f,53gによって、第4の電極層47のランド電極47f,47gに接続されている。電極46iは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53hによって、第4の電極層47のランド電極47hに接続されている。ランド電極47fは、受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bのパッド37cにバンプを介して接続されている。ランド電極47gは、受信側弾性表面波フィルタチップ30A,30Bのパッド37dにバンプを介して接続されている。ランド電極47hは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27eにバンプを介して接続されている。
第1の電極層44の電極44hは、グラウンド端子として機能する。電極44hは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51gによって、第2の電極層45の電極45fに接続されている。電極45fは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52fによって、第3の電極層46の電極46fに接続されている。電極46fは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53iによって、第4の電極層47のランド電極47iに接続されている。ランド電極47iは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27bにバンプを介して接続されている。電極45f,46f,47iとビアホ−ル電極51g,52f,53iとは、インダクタL2を構成している。
第1の電極層44の電極44iは、グラウンド端子として機能する。電極44iは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51hによって、第2の電極層45の電極45gに接続されている。電極45gは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52gによって、第3の電極層46の電極46gに接続されている。電極46gは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53jによって、第4の電極層47のランド電極47jに接続されている。ランド電極47jは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27cにバンプを介して接続されている。電極45g,46g,47jとビアホ−ル電極51h,52g,53jとは、インダクタL3を構成している。
第3の電極層46の電極46hは、浮き電極である。そのため、電極46hは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53kによって、第4の電極層47のランド電極47kに接続されているが、第2の電極層45の電極45a〜45gと第1の電極層44の電極44a〜44iのいずれにも接続されていない。ランド電極47kは、送信側弾性表面波フィルタチップ20Aのパッド27dにバンプを介して接続されている。
第1の電極層44の電極44eは、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが搭載された場合にはグラウンド端子として機能し、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Bが搭載された場合には第2の受信端子13bとして機能する。電極44eは、第1の誘電体層41のビアホ−ル電極51iによって、第2の電極層45の電極45eに接続されている。電極45eは、第2の誘電体層42のビアホ−ル電極52hによって、第3の電極層46の電極46eに接続されている。電極46eは、第3の誘電体層43のビアホ−ル電極53lによって、第4の電極層47のランド電極47lに接続されている。ランド電極47lは、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが搭載された場合にはパッド37eにバンプを介して接続されており、配線基板40に受信側弾性表面波フィルタチップ30Bが搭載された場合にはパッド37e1にバンプを介して接続されている。第1の電極層44の電極44eは、「第2の電極」を構成する。
デュプレクサ1に対する比較例として、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合において、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aと異なる受信側弾性表面波フィルタチップ30Cが配線基板に搭載されるデュプレクサを作製した。比較例のデュプレクサでは、デュプレクサに接続されるRFICが不平衡入力型である場合、受信側弾性表面波フィルタチップ30Cが配線基板に搭載される。受信側弾性表面波フィルタチップ30Cは、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aと第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とパッドとの接続方法が異なる。
図10は、比較例のデュプレクサの送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと受信側弾性表面波フィルタチップ30Cの模式的平面図である。
図10に示すように、比較例のデュプレクサの送信側弾性表面波フィルタチップ20Aは、図4および図5に示すデュプレクサ1の送信側弾性表面波フィルタチップ20Aと同じである。
図10に示すように、比較例のデュプレクサの受信側弾性表面波フィルタチップ30Cは、パッド37fだけではなく、パッド37e2が第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部35に接続されており、パッド37e2とパッド37fの両方が不平衡出力端子32として機能する点以外は、図4に示すデュプレクサ1の受信側弾性表面波フィルタチップ30Aと同じ構成を有する。
図11〜図14に、比較例のデュプレクサの配線基板を示す。図11〜図14に示すように、比較例のデュプレクサの配線基板において、第1の電極層44の電極44e1は、電極44cと共に受信端子13として機能する点以外は、図6〜図9に示すデュプレクサ1の配線基板40と同じ構成を有する。
ここで、本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタの電気特性を測定した。デュプレクサ1では、受信側弾性表面波フィルタチップ30Aが配線基板40に搭載されている。
本実施の形態に係るデュプレクサ1は、図15(a)に示す測定基板を用いて測定した。比較例のデュプレクサは、図15(b)に示す測定基板を用いて測定した。本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとで使用する測定基板が異なるのは、配線基板40の第1の電極層44の電極の機能が異なることによる。具体的には、本実施の形態に係るデュプレクサ1では第1の電極層44の電極44cのみが受信端子13として機能するのに対して、比較例のデュプレクサでは第1の電極層44の電極44e1と電極44cとが受信端子13として機能するため、電極44e1と電極44cとから同じ信号が出力される。このため、電極44e1と電極44cのそれぞれから出力される2つの信号を1つに合成する必要がある。よって、比較例のデュプレクサの受信フィルタのフィルタ特性を測定する際には、電極44e1と電極44cのそれぞれから出力される2つの信号を1つに合成するための配線を形成した測定基板を用いる必要がある。
図16に、本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタの通過特性を示す。図16に示すように、本実施の形態に係るデュプレクサ1の受信フィルタは、比較例のデュプレクサの受信フィルタよりも、受信フィルタの通過帯域(869MHz〜894MHz)における挿入損失が小さい。また、本実施の形態に係るデュプレクサ1の受信フィルタは、比較例のデュプレクサの受信フィルタよりも、送信フィルタの通過帯域(824MHz〜849MHz)における減衰量が大きい。
図17に、本実施の形態に係るデュプレクサ1と比較例のデュプレクサとのそれぞれにおける受信フィルタのV.S.W.R(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)を示す。図17に示すように、本実施の形態に係るデュプレクサ1の受信フィルタは、比較例のデュプレクサの受信フィルタよりも、受信フィルタの通過帯域(869MHz〜894MHz)におけるV.S.W.Rが小さい。
比較例のデュプレクサでは、受信端子13として機能する第1の電極層44の電極44e1と電極44cとから同じ信号が出力されるため、測定基板の2つの信号を1つに合成するための配線などを含めて、受信信号の流れる経路が長い。このため、配線による抵抗や寄生容量などの影響が大きくなる。この結果、比較例のデュプレクサの受信フィルタでは、受信フィルタの通過帯域(869MHz〜894MHz)における挿入損失やV.S.W.Rが大きくなっている。一方、本実施の形態に係るデュプレクサ1では、受信端子13として機能する第1の電極層44の電極44cのみから信号が出力されるため、受信信号の流れる経路が短い。このため、配線による抵抗や寄生容量などの影響が小さくなる。よって、本実施の形態に係るデュプレクサ1では、受信フィルタの通過帯域(869MHz〜894MHz)における挿入損失やV.S.W.Rが小さくなっている。
以上に説明したように、本実施の形態に係るデュプレクサ1では、弾性表面波フィルタチップが不平衡入力−不平衡出力型である場合に受信端子13として機能する電極が一つに集約(図9中の電極44c)されているため、弾性表面波フィルタチップが不平衡入力−平衡出力型である場合にも同一のパッケ−ジで対応可能としながら、挿入損失を抑制することが可能である。
上述した内容について要約すると、次のようになる。すなわち、本実施の形態に係るデュプレクサ1(分波器)は、受信側のフィルタが不平衡入力−不平衡出力型(受信フィルタ30a)および不平衡入力−平衡出力型(受信フィルタ30b)のいずれの場合にも対応可能な構造を有する弾性表面波装置である。このような弾性表面波装置を製造する場合、まず、不平衡入力−平衡出力型フィルタとして、第1の圧電基板と、第1の圧電基板上に形成されている第1の不平衡入力端子(パッド37a,37b)および2つの平衡出力端子(パッド37e1,37f1)と、第1の不平衡入力端子と第1および第2の平衡出力端子との間に接続されている第1の弾性表面波フィルタ部(第1および第2の縦結合共振子型表面弾性波弾性表面波フィルタ部34a,35a)とを有する第1の弾性表面波フィルタチップ(受信側弾性表面波フィルタチップ30B)を用意する。また、不平衡入力−不平衡出力型フィルタとして、第2の圧電基板と、第2の圧電基板上に形成されている第2の不平衡入力端子(パッド37a,37b)、不平衡出力端子(パッド37f1)、およびグラウンド端子(パッド37e1)と、第2の不平衡入力端子と不平衡出力端子との間に接続されている第2の弾性表面波フィルタ部とを有する第2の弾性表面波フィルタチップ(受信側弾性表面波フィルタチップ30A)を用意する。ここで、第2の弾性表面波フィルタチップの第2の不平衡入力端子に対する不平衡出力端子およびグラウンド端子の配置は、第1の弾性表面波フィルタチップの第1の不平衡入力端子に対する第1および第2の平衡出力端子の配置と同じである。さらに、互いに対向する表面(ダイアタッチ面40a)および裏面(裏面40b)を有する基板本体と、表面上に設けられている,第1のランド電極(ランド電極47a,47b)、第2のランド電極(ランド電極47e)、および第3のランド電極(ランド電極47l)と、裏面上に設けられており、第1乃至第3のランド電極にそれぞれ接続されている第1乃至第3の裏面端子(裏面端子44a,44c,44e)とを有する配線基板(配線基板40)を用意する。そして、第1の弾性表面波フィルタチップまたは第2の弾性表面波フィルタチップを配線基板の表面にフリップチップ実装する。ここで、第1の弾性表面波フィルタチップを配線基板に実装する場合は、第1の不平衡入力端子を第1のランド電極に、第1の平衡出力端子を第2のランド電極に、第2の平衡出力端子を第3のランド電極にそれぞれ接続する。また、第2の弾性表面波フィルタチップを配線基板に実装する場合は、第2の不平衡入力端子を第1のランド電極に、不平衡出力端子を第2のランド電極に、グラウンド端子を第3のランド電極にそれぞれ接続する。これにより、同じ配線基板を共用できる不平衡入力−平衡出力型フィルタと不平衡入力−不平衡出力型フィルタとを製造することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 デュプレクサ、11 アンテナ端子、12 送信端子、13,13a,13b 受信端子、20 送信フィルタ、20A 送信側弾性表面波フィルタチップ、21 出力端子、22 入力端子、23 直列腕、24〜26 並列腕、27a〜27f,37a〜37d,37e1,37f1 パッド、30A,30B,30C 受信側弾性表面波フィルタチップ、30a,30b 受信フィルタ、31 不平衡入力端子、32 不平衡出力端子、32a,32b 平衡出力端子、33 弾性表面波共振子、34,34a,35,35a 弾性表面波フィルタ部、36a,36b,36c 絶縁パタ−ン、40 配線基板、40a ダイアタッチ面、40b 裏面、41〜43 誘電体層、44〜47 電極層、44a〜44i,45a〜45g,46a〜46i 電極、47a〜47l ランド電極、51a〜53l ビアホ−ル電極。

Claims (8)

  1. 第1の圧電基板と、前記第1の圧電基板上に形成されている第1の不平衡入力端子および第1および第2の平衡出力端子と、前記第1の不平衡入力端子と前記第1および第2の平衡出力端子との間に接続されている第1の弾性表面波フィルタ部とを有する不平衡入力−平衡出力型の第1の弾性表面波フィルタチップ、または、第2の圧電基板と、前記第2の圧電基板上に形成されている第2の不平衡入力端子、不平衡出力端子、およびグラウンド端子と、前記第2の不平衡入力端子と前記不平衡出力端子との間に接続されている第2の弾性表面波フィルタ部とを有し、前記第2の不平衡入力端子に対する前記不平衡出力端子および前記グラウンド端子の配置が、第1の不平衡入力端子に対する前記第1および第2の平衡出力端子の配置と同じである不平衡入力−不平衡出力型の第2の弾性表面波フィルタチップを用意する工程と、
    互いに対向する表面および裏面を有する基板本体と、前記表面上に設けられている第1乃至第3のランド電極と、前記裏面上に設けられており、前記第1乃至第3のランド電極にそれぞれ接続されている第1乃至第3の裏面端子とを有する配線基板を用意する工程と、
    前記第1の弾性表面波フィルタチップまたは前記第2の弾性表面波フィルタチップを前記配線基板の表面にフリップチップ実装する工程とを含み、
    前記第1の弾性表面波フィルタチップを前記配線基板に実装する場合は、前記第1の不平衡入力端子を前記第1のランド電極に、前記第1の平衡出力端子を前記第2のランド電極に、前記第2の平衡出力端子を前記第3のランド電極にそれぞれ接続し、
    前記第2の弾性表面波フィルタチップを前記配線基板に実装する場合は、前記第2の不平衡入力端子を前記第1のランド電極に、前記不平衡出力端子を前記第2のランド電極に、前記グラウンド端子を前記第3のランド電極にそれぞれ接続する、弾性表面波装置の製造方法。
  2. 前記弾性表面波フィルタ部は、縦結合共振子型弾性表面波フィルタにより構成される、請求項1に記載の表面弾性波装置の製造方法。
  3. 前記第2および第3の裏面端子は、前記裏面上において互いに隣接している、請求項1または請求項2に記載の表面弾性波装置の製造方法。
  4. 前記表面弾性波装置が送信フィルタおよび受信フィルタを備える分波器であって、前記第1または第2の表面弾性波フィルタチップが前記受信フィルタである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の表面弾性波装置の製造方法。
  5. 矩形状の圧電基板と、前記圧電基板上に形成されている不平衡入力端子、不平衡出力端子、およびグラウンド端子と、前記不平衡入力端子と不平衡出力端子との間に接続されている弾性表面波フィルタ部とを有する不平衡入力−不平衡出力型の弾性表面波フィルタチップと、
    互いに対向する表面および裏面を有する基板本体と、前記表面上に設けられている第1乃至第3のランド電極と、前記裏面上に設けられており、前記第1乃至第3のランド電極にそれぞれ接続されている第1乃至第3の裏面端子とを有する配線基板とを備え、
    前記不平衡出力端子および前記グラウンド端子は、前記圧電基板上で線対称に配置されており、
    前記第2の不平衡入力端子は前記第1のランド電極に、前記不平衡出力端子は前記第2のランド電極に、前記グラウンド端子は前記第3のランド電極にそれぞれ接続されている、弾性表面波装置。
  6. 前記表面弾性波弾性表面波フィルタ部は、縦結合共振子型の表面弾性波弾性表面波フィルタにより構成される、請求項5に記載の弾性表面波装置。
  7. 前記第2および第3の裏面端子は、前記裏面上において互いに隣接している、請求項5または請求項6に記載の弾性表面波装置。
  8. 送信フィルタおよび受信フィルタを備える分波器であって、前記弾性波フィルタチップが、分波器の受信フィルタである、請求項5から請求項7のいずれかに記載の弾性表面波装置。
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