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JP2012243710A - 非水電解質電池用正極およびその製造方法と非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池用正極およびその製造方法と非水電解質電池 Download PDF

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知陽 竹山
Taku Kamimura
卓 上村
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Abstract

【課題】正極表面の表面粗さを小さくして表面平坦性を向上させることができ、しかも正極活物質粒子の充填率も向上させることができる非水電解質電池用正極およびその製造方法と、放電容量の大きい非水電解質電池を提供すること。
【解決手段】正極活物質粒子はスプレードライ法により作製されて、正極活物質粒子と固体電解質粒子との混合物中に二次粒子の形態で分散し、正極表面に露出する正極活物質粒子の露出部分がプレス成形で粉砕されることにより、正極表面が平坦化されていることを特徴とする非水電解質電池用正極とその製造方法、並びにこのような非水電解質電池用正極を用いた非水電解質電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質電池用正極およびその製造方法と非水電解質電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコン等の携帯用小型電子機器やEV用の電源として、リチウムイオン電池などの非水電解質電池が広く用いられている。
非水電解質電池用正極については、正極活物質粒子と固体電解質粒子(SE粒子)の混合物の成形体が開発されている(例えば、特許文献1、2)。
かかる非水電解質電池用正極は、D50(メジアン径)が10μm程度のLiCoO(LCO)粒子とSE粒子とを混合し、プレス成形工程において、得られた混合物をコールドプレス法により360MPa程度のプレス圧で圧粉して成形される。
そして、非水電解質電池用正極の上には薄膜の固体電解質が積層される。このため、非水電解質電池用正極の表面粗さ(R:JIS B0601 2001で規定される最大高さ)を小さくし、表面平坦性を向上させておくことが求められる。
プレス成形工程においては、SE粒子の塑性変形によりある程度の表面平坦性は得られる。
また、正極活物質粒子の粒径を小さくすることにより、表面粗さを小さくすることができる。しかし、正極活物質粒子の粒径を小さくした場合、正極活物質粒子の充填率が小さくなり、放電容量が小さくなる。すなわち、粒径が大きい場合には、粒子間の接触点が少なくなるため、プレス時に充填が進むのに対して、粒径が小さい場合には、粒子間の接触点が多くなるため、プレス時に充填が進みにくくなり、充填率が小さくなる。その結果、放電容量が小さくなる。
WO2010/137381A1号公報 WO2009/038037A1号公報
前記のように、従来の技術では、非水電解質電池用正極の表面平坦性と、正極活物質粒子の充填率とを両立させることは困難であった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、正極表面の表面粗さを小さくして表面平坦性を向上させることができると共に、しかも正極活物質粒子の充填率も向上させることができる非水電解質電池用正極およびその製造方法と、放電容量の大きい非水電解質電池を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を行う過程において、プレス成形の際のスプリングバックに着目した。
すなわち、正極表面から突出して露出している正極活物質粒子は、プレス成形時にプレス圧によりSE粒子中に押し込められる。このため、プレス圧を解除したときに、内部応力によりスプリングバックを起こして正極活物質粒子が再び正極表面から突出することになる。
そして、検討の結果、正極活物質として従来のようにLCOを用いるのではなく、NCA粉末のようにスプレードライ法により原料溶液を噴霧して得られる二次粒子の形態の粉末を用いることにより上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、スプレードライ法により原料溶液を噴霧して得られる二次粒子の形態の正極活物質を用いた場合、プレス成形工程において正極活物質粒子のうち正極表面から突出して露出している部分がプレス圧により容易に砕けるため、スプリングバックを起こすことなく、表面平坦性を向上させることができる。
このため、粒径の大きい正極活物質粒子を用いた場合であっても、スプレードライ法により得られる二次粒子の正極活物質粒子であれば、正極表面の平坦性を確保することができ、一方、粒径が大きいため充填率も高めることができ、非水電解質電池用正極の表面平坦性と正極活物質粒子の充填率とを両立させることが可能になる。
本発明は、上記知見に基づいてなされた発明である。以下、各発明毎に本発明を説明する。
本発明に係る非水電解質電池用正極は、
正極活物質粒子と固体電解質粒子との混合物をプレス成形して形成される非水電解質電池用正極であって、
前記正極活物質粒子はスプレードライ法により作製されて前記混合物中に二次粒子の形態で分散し、
正極表面に露出する前記正極活物質粒子の露出部分が前記プレス成形で粉砕されることにより、前記正極表面が平坦化されていることを特徴とする。
上記のように前記正極活物質粒子は、スプレードライ法により作製されてSE粒子との混合物中に二次粒子の形態で分散し、正極表面に露出する前記正極活物質粒子の露出部分が前記プレス成形で粉砕されるため、粒径の大きい前記正極活物質粒子を用いた場合であっても、スプリングバックを起こすことなく、表面平坦性を向上させることができる。
このため、正極活物質粒子の充填率が高く、しかもRzが充分に小さく、正極表面の平坦性が向上した非水電解質電池用正極を提供することができる。
また、本発明に係る非水電解質電池用正極は、
前記正極活物質粒子が、Li、Ni、Co、およびM(Mは、Al、Fe、Mnより選択される少なくとも1種)の複合酸化物であることを特徴とする。
NiはCoに比べて安価であり、Al、Fe、MnもCoに比べて安価であるため、これらとLiの複合酸化物、例えば、LiNi0.85Co0.15Al0.05などのNCAを用いることにより、従来のLiCoOを用いた非水電解質電池用正極に比べて、安価な非水電解質電池用正極を提供することができる。
そして、本発明に係る非水電解質電池は、
前記の発明に係る非水電解質電池用正極が用いられていることを特徴とする。
本発明においては、Rzが充分に小さく、正極活物質粒子の充填率が大きい正極が用いられているため、放電容量が大きい非水電解質電池を提供することができる。
また、本発明に係る非水電解質電池用正極の製造方法は、
固体電解質粒子と、スプレードライ法により作製された正極活物質粒子とを混合し、前記正極活物質粒子が二次粒子の形態で分散する混合物を作製する混合物作製工程と、
前記混合物を正極形状にプレス成形するプレス成形工程と
を備えており、
前記プレス成形工程において、正極表面に露出する前記正極活物質粒子の露出部分を前記プレス成形で粉砕することにより、前記正極表面を平坦化させることを特徴とする。
本発明においては、前記の通り、正極活物質粒子の充填率を向上でき、しかもRzを充分に小さくして正極表面の平坦性を向上させることができる非水電解質電池用正極の製造方法を提供することができる。
また、本発明に係る非水電解質電池用正極の製造方法は、
前記プレス成形工程が、コールドプレス法により実施されることを特徴とする。
前記固体電解質粒子にはLi伝導性が高い非晶質の例えばLiS−P等のLi、P、Sを含む硫化物系の固体電解質粒子が好ましく用いられる。このような固体電解質粒子は高温でプレスすると、結晶化する。例えば、前記の硫化物系の固体電解質粒子の場合、210℃で結晶化する。しかし、本発明においては、コールドプレスによりプレスするため、上記固体電解質粒子が結晶化しない。このため、正極活物質粒子間におけるLiの遣り取りがより円滑であり、より放電容量が大きい非水電解質電池用正極を提供することができる。
本発明によれば、正極表面の表面粗さを小さくして表面平坦性を向上させることができ、しかも正極活物質粒子の充填率も向上させることができる非水電解質電池用正極およびその製造方法と、放電容量の大きい非水電解質電池を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る非水電解質電池用正極の表面近傍の断面を示す倍率4000倍のSEM写真であり、(a)はコールドプレス後の状態を示し、(b)はコールドプレス前の状態を示す。
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。
本実施の形態における非水電解質電池用正極の製造方法は、次の工程により実施される。
(1)正極活物質粒子の作製工程
スプレードライによる正極活物質の製造としては、特許第4131521号公報に記載の公知の方法を適用することができる。
すなわち、例えば、LiNi0.85Co0.15Al0.05からなる正極活物質粒子を製造する場合には、Ni:Co:Alのモル比が上記した所定の範囲のモル比となるように調整されたこれらの金属元素の硝酸塩水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて塩基性金属塩を生成させ、得られた塩基性金属塩に所定量のリチウム化合物を水媒体中添加してスラリーを調整する。
そして、得られたスラリーをスプレードライした後、酸素雰囲気下で約600〜900℃で4時間以上焼成することによって製造される。
上記の製造方法を用いて製造された正極活物質粒子は細かな一次粒子が集合した球状の二次粒子である。また、一次粒子の粒子径D50は0.5〜1.5μm程度であり、二次粒子の粒子径D50は10〜20μm程度である。
(2)SE粒子の作製工程
SE粒子にはLi伝導性を有する種々のSE粒子が用いられるが、前記したように高いLi伝導性を有する非晶質の硫化物系のSE粒子が好ましく用いられる。硫化物系SE粒子は、LiSとPを原料として用い、溶融急冷法やメカニカルミリング法により製造される。LiSには高純度のもの、具体的にはリチウム塩およびN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が少ないものを用いることが好ましい。これによりガラス状電解質(完全非晶質)であるSE粒子を製造することができる。
(3)混合物作製工程
次に、正極活物質粒子とSE粒子とを混合し、正極活物質粒子が二次粒子の形態で分散する混合物を作製する。SE粒子の混合比率は、20〜60wt%であることが好ましい。
(4)プレス成形工程
最後のプレス成形工程においては、コールドプレス法により、混合物を正極形状にプレス成形する。
図1は、本発明の実施の形態に係る非水電解質電池用正極の表面近傍の断面を示す4000倍のSEM写真であり、(a)はコールドプレス後の状態を示し、(b)はコールドプレス前の状態を示す。
コールドプレス前は、図1(b)に示すように、正極表面には球状の正極活物質粒子(NCAの二次粒子)が突出している。
そして、コールドプレスを行うことにより、図1(a)に示すように、正極活物質粒子の突出部分をプレス圧で粉砕して一次粒子化して正極表面を平坦化させる。また、図1(a)は、コールドプレス後、所定時間を経過した正極表面近傍の状態を示しているが、スプリングバックを起こすことなく、表面平坦性が保持されている。
(実施例A、比較例A)
(1)実施例A
上記の実施の形態に従って、D50が15μmのNCA(LiNi0.85Co0.15Al0.05)粒子と、D50が3μmの非晶質の硫化物系SE粒子を、重量比で70:30の比で混合し、混合物を360MPaで5分間コールドプレスして、直径が10mmφ、厚みが500μmの非水電解質用正極を作製した。
(2)比較例A
NCA粒子に替えてD50が10μmのLCO粒子を用いたこと以外は、実施例Aと同じ方法で非水電解質用正極を作製した。
(3)Rzの測定
得られた非水電解質電池用正極を、レーザー顕微鏡を用いた線分析により測定した。具体的にはドライ雰囲気下に設置されたレーザー顕微鏡を用い、任意の面内5点を300μm幅で線分析を実施しRzを算出した。
(4)充填率の測定
得られた非水電解質電池用正極について、容積法により測定して正極活物質粒子の充填率を求めた。
(5)測定結果
実施例Aおよび比較例Aの非水電解質電池用正極のRzおよび正極活物質粒子の充填率の測定結果を表1に示す。
(6)考察
表1より、実施例Aは比較例Aと比べてRzが小さく、充填率が高いことが分かる。すなわち、実施例AのNCA粒子の粒径は、比較例AのLCO粒子よりも大きいにも拘わらず、実施例AのRzは比較例Aよりも小さくなっていることが分かる。この結果、NCA粒子(二次粒子)の正極表面に突出している部分がプレス圧で粉砕されることにより、非水電解質電池用正極の表面平滑性が良くなっていることが確認できた。
(実施例B、比較例B)
実施例B、比較例Bは、非水電解質電池に関する例である。
(1)実施例B
実施例Aの非水電解質電池用正極の表面に、厚さ10μmの非晶質の硫化物系のSE粒子からなるSE粒子層を形成後、SE粒子層の表面に厚さ1μmの金属リチウム負極を形成して全固体型の非水電解質電池を作製した。
(2)比較例B
正極として比較例Aの非水電解質電池用正極を用いたこと以外は、実施例Bと同じ方法で全固体型の非水電解質電池を作製した。
(3)放電容量の測定
25℃において電流密度0.05mA/cm、カットオフ電圧3.0〜4.1V(容量規定:1.3mAh/cm)で3サイクル充放電したときの3サイクル目の放電容量を測定した。
(4)測定結果
実施例および比較例の測定結果を表2に示す。
表2より、正極活物質粒子の充填率が高い実施例Aの非水電解質電池用正極を用いた場合、放電容量が高くなっていることが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。

Claims (5)

  1. 正極活物質粒子と固体電解質粒子との混合物をプレス成形して形成される非水電解質電池用正極であって、
    前記正極活物質粒子はスプレードライ法により作製されて前記混合物中に二次粒子の形態で分散し、
    正極表面に露出する前記正極活物質粒子の露出部分が前記プレス成形で粉砕されることにより、前記正極表面が平坦化されていることを特徴とする非水電解質電池用正極。
  2. 前記正極活物質粒子が、Li、Ni、Co、およびM(Mは、Al、Fe、Mnより選択される少なくとも1種)の複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用正極。
  3. 請求項1または請求項2に記載の非水電解質電池用正極が用いられていることを特徴とする非水電解質電池。
  4. 固体電解質粒子と、スプレードライ法により作製された正極活物質粒子とを混合し、前記正極活物質粒子が二次粒子の形態で分散する混合物を作製する混合物作製工程と、
    前記混合物を正極形状にプレス成形するプレス成形工程と
    を備えており、
    前記プレス成形工程において、正極表面に露出する前記正極活物質粒子の露出部分を前記プレス成形で粉砕することにより、前記正極表面を平坦化させることを特徴とする非水電解質電池用正極の製造方法。
  5. 前記プレス成形工程は、コールドプレス法により実施されることを特徴とする請求項4に記載の非水電解質電池用正極の製造方法。
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