JP2012241043A - 変性ポリビニルアセタール樹脂、及び、複合樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクリル樹脂との相溶性に優れ、アクリル樹脂との複合樹脂組成物が、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる変性ポリビニルアセタール樹脂を提供する。また、本発明は、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて製造される複合樹脂組成物を提供する。
【解決手段】主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】なし
【解決手段】主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】なし
Description
本発明は、アクリル樹脂との相溶性に優れ、アクリル樹脂との複合樹脂組成物が、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる変性ポリビニルアセタール樹脂に関する。また、本発明は、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて製造される複合樹脂組成物に関する。
(メタ)アクリル酸エステル等のアクリルモノマーを重合して得られるアクリル樹脂は、透明性、表面硬度等に優れることから、様々な分野で広く使用されている。しかしながら、アクリル樹脂は用途によっては機械的強度、特に靱性(柔軟性)が不充分となることが問題である。
このような機械的強度の低さを補うために、アクリル樹脂と他の樹脂とを相溶させ、混合することにより複合樹脂組成物とすることが検討されている。アクリル樹脂と相溶させる他の樹脂として、例えば、シート強度に優れたポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。
例えば、特許文献1には、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する特定のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製法であって、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを、せん断速度100sec−1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却する工程を含む製法が記載されている。特許文献1には、このようなアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が本来有していた透明性、高表面硬度、高剛性、耐候性、耐熱性などの特性を保持しつつ、且つ靭性が良好であることが記載されている。
例えば、特許文献1には、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する特定のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製法であって、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを、せん断速度100sec−1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却する工程を含む製法が記載されている。特許文献1には、このようなアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が本来有していた透明性、高表面硬度、高剛性、耐候性、耐熱性などの特性を保持しつつ、且つ靭性が良好であることが記載されている。
また、本発明者は、積層セラミックコンデンサを製造するためのグリーンシート用バインダーとして用いた場合に適度なシート強度を発現する樹脂組成物として、ポリビニルアセタール樹脂、及び、アクリル樹脂を含有する樹脂組成物であって、前記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が30モル%以下であり、前記アクリル樹脂は、前記ポリビニルアセタール樹脂及び有機溶剤を含有する樹脂溶液中で、特定の(メタ)アクリレートモノマー混合物を重合することによって得られる樹脂組成物を特許文献2に開示している。
しかしながら、本来、アクリル樹脂は比較的低極性であるのに対してポリビニルアセタール樹脂は比較的高極性であり、両者の相溶性は高いとはいえない。アクリル樹脂とポリビニルアセタール樹脂との相溶性が不充分であると、得られる複合樹脂組成物の透明性が低下するだけではなく機械的強度を向上させる効果も不充分となることから、更なる相溶性の改善が求められている。
本発明は、アクリル樹脂との相溶性に優れ、アクリル樹脂との複合樹脂組成物が、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる変性ポリビニルアセタール樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて製造される複合樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアセタール樹脂である。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアセタール樹脂は、アクリル樹脂との相溶性に優れることを見出した。本発明者は、このような変性ポリビニルアセタール樹脂と、アクリル樹脂とを含有する複合樹脂組成物は、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する。主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有することにより、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂はアクリル樹脂との親和性が高まり、アクリル樹脂との相溶性に優れる。
本明細書中、主鎖とは、変性ポリビニルアセタール樹脂中の最も長い分子鎖を意味する。従って、本明細書中、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有するとは、最も長い分子鎖の途中にエチレン性不飽和二重結合が存在していることを意味し、最も長い分子鎖にエチレン性不飽和二重結合が結合していることは含まない。
本明細書中、主鎖とは、変性ポリビニルアセタール樹脂中の最も長い分子鎖を意味する。従って、本明細書中、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有するとは、最も長い分子鎖の途中にエチレン性不飽和二重結合が存在していることを意味し、最も長い分子鎖にエチレン性不飽和二重結合が結合していることは含まない。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂のエチレン性不飽和二重結合量は、好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が5モル%である。エチレン性不飽和二重結合量が0.1モル%未満であると、主鎖中のエチレン性不飽和二重結合量が低下することにより、変性ポリビニルアセタール樹脂のアクリル樹脂との相溶性が低下することがある。エチレン性不飽和二重結合量が5モル%を超えると、変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合して複合樹脂組成物を得た場合、3次元架橋が多くなりすぎ、複合樹脂組成物の靱性が損なわれることがある。本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂のエチレン性不飽和二重結合量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は2モル%である。
本明細書中、エチレン性不飽和二重結合量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂におけるエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の割合を意味する。エチレン性不飽和二重結合量は、例えば、変性ポリビニルアセタール樹脂の希薄水溶液について、波長280nm等の紫外線領域での吸光度を測定することにより定量することができる。
本明細書中、エチレン性不飽和二重結合量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂におけるエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の割合を意味する。エチレン性不飽和二重結合量は、例えば、変性ポリビニルアセタール樹脂の希薄水溶液について、波長280nm等の紫外線領域での吸光度を測定することにより定量することができる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、30モル%以下であることが好ましい。水酸基量が30モル%を超えると、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎ、アクリル樹脂との相溶性が低下することがある。本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、25モル%以下であることがより好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の下限は特に限定されないが、20モル%以上であることが好ましい。
本明細書中、水酸基量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の割合を意味する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の下限は特に限定されないが、20モル%以上であることが好ましい。
本明細書中、水酸基量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の割合を意味する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量は、好ましい下限が70モル%、好ましい上限が80モル%である。アセタール基量が70モル%未満であると、アセタール基量が低下することにより、変性ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎ、アクリル樹脂との相溶性が低下することがある。アセタール基量が80モル%を超えると、変性ポリビニルアセタール樹脂の接着性が低下することがある。本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量のより好ましい下限は75モル%である。
本明細書中、アセタール基量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基を有する構成単位の割合を意味する。
本明細書中、アセタール基量とは、変性ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基を有する構成単位の割合を意味する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、好ましい下限が300、好ましい上限が2000である。平均重合度が300未満であると、変性ポリビニルアセタール樹脂の粘度が低下し、印刷性又は貯蔵安定性が低下することがある。平均重合度が2000を超えると、変性ポリビニルアセタール樹脂の溶剤に対する溶解性が低下し、印刷性が低下することがある。本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度のより好ましい上限は1000である。
本明細書中、変性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料である変性ポリビニルアルコールの平均重合度から求められる。
本明細書中、変性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料である変性ポリビニルアルコールの平均重合度から求められる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアルコールをアセタール化して得られることが好ましい。
上記主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアルコールとして、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと酢酸ビニルとを共重合反応させ、ケン化反応させて得られる変性ポリビニルアルコールが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと酢酸ビニルとを共重合反応させ、ケン化反応させることにより、これらのモノマーに隣接するモノマーから脱ラジカル反応を生じさせ、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を発生させることができる。なお、このようにして得られた変性ポリビニルアルコールは、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を有する。
上記主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアルコールとして、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと酢酸ビニルとを共重合反応させ、ケン化反応させて得られる変性ポリビニルアルコールが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと酢酸ビニルとを共重合反応させ、ケン化反応させることにより、これらのモノマーに隣接するモノマーから脱ラジカル反応を生じさせ、主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を発生させることができる。なお、このようにして得られた変性ポリビニルアルコールは、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を有する。
上記エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとして、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、シトラスコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水シトラスコン酸等が挙げられる。
上記アセタール化の方法は特に限定されず、従来公知の方法が用いられ、例えば、酸触媒の存在下で、上記主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水とアルコールとの混合溶液又はジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中にアルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記酸触媒は特に限定されず、有機酸であっても無機酸であってもよく、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
上記酸触媒は特に限定されず、有機酸であっても無機酸であってもよく、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
上記アルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとをそれぞれ単独で用いるか、又は、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することが好ましい。
また、上記アセタール化においては、アセタール化の反応を停止するために、アルカリによる中和を行うことが好ましい。上記アルカリは特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
また、上記アセタール化においては、アルカリによる中和を行う前後に、水等を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、純水を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することがより好ましい。
また、上記アセタール化においては、アルカリによる中和を行う前後に、水等を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、純水を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することがより好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、アクリル樹脂との相溶性に優れる。従って、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と、アクリル樹脂とを含有する複合樹脂組成物は、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と、アクリル樹脂とを含有する複合樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と、アクリル樹脂とを含有する複合樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の複合樹脂組成物は、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合して得られることが好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合する方法として、例えば、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂を有機溶剤に溶解し、得られた溶液にアクリルモノマーと重合開始剤とを添加して重合を行う方法、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂をアクリルモノマーに溶解し、得られた溶液に重合開始剤を添加して重合を行う方法等が挙げられる。なかでも、複合樹脂組成物を接着剤用途に用いる場合には無溶剤系が好適であることから、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂をアクリルモノマーに溶解し、得られた溶液に重合開始剤を添加して重合を行う方法が好ましい。重合方法は、熱重合であってもよく、紫外線の照射による重合であってもよい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合する方法として、例えば、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂を有機溶剤に溶解し、得られた溶液にアクリルモノマーと重合開始剤とを添加して重合を行う方法、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂をアクリルモノマーに溶解し、得られた溶液に重合開始剤を添加して重合を行う方法等が挙げられる。なかでも、複合樹脂組成物を接着剤用途に用いる場合には無溶剤系が好適であることから、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂をアクリルモノマーに溶解し、得られた溶液に重合開始剤を添加して重合を行う方法が好ましい。重合方法は、熱重合であってもよく、紫外線の照射による重合であってもよい。
上記アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸には、アクリル酸とメタクリル酸との両方を含む。
上記(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されないが、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂との相溶性がより高いことから、下記一般式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されないが、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂との相溶性がより高いことから、下記一般式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
CH2=CR1−C(=O)−O−(CH2CH2O)l−R2 (2)
一般式(2)中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、lは0〜3の整数を表す。
一般式(2)中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、lは0〜3の整数を表す。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、クミルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミスチリル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのなかでは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーが好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合する際、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と上記アクリルモノマーとの配合比は特に限定されず、用途に応じて設計すればよいが、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂5〜30重量%に対して上記アクリルモノマー70〜95重量%であることが好ましい。配合比が上記範囲を外れると、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とアクリル樹脂との相溶性が低下し、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れた複合樹脂組成物が得られないことがある。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合する際には、上記アクリルモノマーに、他の重合性モノマーを添加してもよい。
上記他の重合性モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記他の重合性モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されないが、上記アクリルモノマーと相溶する油溶性のフリーラジカル発生剤が好ましい。
上記フリーラジカル発生剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
また、上記重合開始剤として、UV開始剤も好適に用いられる。
上記フリーラジカル発生剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
また、上記重合開始剤として、UV開始剤も好適に用いられる。
本発明の複合樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、用途及び目的に合わせて、顔料、染料、金属粉、無機粉、可塑剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の複合樹脂組成物の用途は特に限定されないが、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れることから、本発明の複合樹脂組成物は、例えば、積層セラミックコンデンサを製造するためのグリーンシート用バインダー、プリント回路基板用接着剤、熱又はUV硬化型インク等の用途に用いられることが好ましい。
本発明によれば、アクリル樹脂との相溶性に優れ、アクリル樹脂との複合樹脂組成物が、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる変性ポリビニルアセタール樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて製造される複合樹脂組成物を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1.変性ポリビニルアセタール樹脂の作製)
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)100重量部を1000重量部の蒸留水に加温溶解した後、溶液を10℃に保ち、35%塩酸80重量部を加え、更に、ブチルアルデヒド90重量部を添加した。樹脂が析出した後、溶液を35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて溶液を10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。次いで、溶液を50℃で6時間保った後、冷却した。
次に、蒸留水にて溶液を2時間流水洗浄した後、脱水及び乾燥して変性ポリビニルアセタール樹脂A1(PVB−A1)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量74モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)を得た。
(1.変性ポリビニルアセタール樹脂の作製)
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)100重量部を1000重量部の蒸留水に加温溶解した後、溶液を10℃に保ち、35%塩酸80重量部を加え、更に、ブチルアルデヒド90重量部を添加した。樹脂が析出した後、溶液を35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて溶液を10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。次いで、溶液を50℃で6時間保った後、冷却した。
次に、蒸留水にて溶液を2時間流水洗浄した後、脱水及び乾燥して変性ポリビニルアセタール樹脂A1(PVB−A1)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量74モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)を得た。
(2.樹脂シートの作製)
変性ポリビニルアセタール樹脂A1(PVB−A1)を10g、メチルエチルケトン(MEK)90gに溶解し、得られた溶液にβ−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)90g及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.09gを添加し、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をPETフィルムに塗布し、乾燥処理を行った後、80℃3時間の硬化処理を行い、樹脂シート1を得た。また、樹脂溶液をガラス板に塗布した後、80℃3時間の硬化処理を行い、樹脂シート2を得た。
変性ポリビニルアセタール樹脂A1(PVB−A1)を10g、メチルエチルケトン(MEK)90gに溶解し、得られた溶液にβ−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)90g及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.09gを添加し、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をPETフィルムに塗布し、乾燥処理を行った後、80℃3時間の硬化処理を行い、樹脂シート1を得た。また、樹脂溶液をガラス板に塗布した後、80℃3時間の硬化処理を行い、樹脂シート2を得た。
(実施例2)
樹脂溶液を作製する際にメチルエチルケトン(MEK)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
樹脂溶液を作製する際にメチルエチルケトン(MEK)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(実施例3及び4)
樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(実施例5)
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性ポリビニルアルコールB(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度1700)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂B(PVB−B)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量74モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度1700)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂B(PVB−B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性ポリビニルアルコールB(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度1700)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂B(PVB−B)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量74モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度1700)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂B(PVB−B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(実施例6)
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性ポリビニルアルコールC(エチレン性不飽和二重結合量3モル%、平均重合度500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂C(PVB−C)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量72モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量3モル%、平均重合度500)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂C(PVB−C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性ポリビニルアルコールC(エチレン性不飽和二重結合量3モル%、平均重合度500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂C(PVB−C)(残存水酸基量24モル%、ブチラール基量72モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量3モル%、平均重合度500)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂C(PVB−C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(実施例7)
ブチルアルデヒドの添加量を60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂A2(PVB−A2)(残存水酸基量30モル%、ブチラール基量68モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂A2(PVB−A2)を用い、樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
ブチルアルデヒドの添加量を60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、変性ポリビニルアセタール樹脂A2(PVB−A2)(残存水酸基量30モル%、ブチラール基量68モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂A2(PVB−A2)を用い、樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(比較例1)
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性されていないポリビニルアルコール(ケン化度98%、平均重合度1700)を用い、ブチルアルデヒドの添加量を60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、変性されていないポリビニルアセタール樹脂(PVB−D)(残存水酸基量30モル%、ブチラール基量69モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量0モル%、平均重合度1700)を得た。
得られた変性されていないポリビニルアセタール樹脂(PVB−D)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
変性ポリビニルアルコールA(エチレン性不飽和二重結合量1モル%、平均重合度500)の代わりに変性されていないポリビニルアルコール(ケン化度98%、平均重合度1700)を用い、ブチルアルデヒドの添加量を60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、変性されていないポリビニルアセタール樹脂(PVB−D)(残存水酸基量30モル%、ブチラール基量69モル%、アセチル基量1モル%、エチレン性不飽和二重結合量0モル%、平均重合度1700)を得た。
得られた変性されていないポリビニルアセタール樹脂(PVB−D)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
(比較例2)
樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、樹脂シート1及び2を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた樹脂シート1又は2について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)透明性
得られた樹脂シート1を分光光度計を用いて観察した。透過率が98%以上であった場合を「透明」であるとし、透過率が90%以上98%未満であった場合を「やや濁り」があるとし、透過率が90%未満であった場合を「濁り」があるとして透明性を評価した。なお、80℃3時間の硬化処理を行う前の状態についても同様に透明性を評価した。
実施例及び比較例で得られた樹脂シート1又は2について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)透明性
得られた樹脂シート1を分光光度計を用いて観察した。透過率が98%以上であった場合を「透明」であるとし、透過率が90%以上98%未満であった場合を「やや濁り」があるとし、透過率が90%未満であった場合を「濁り」があるとして透明性を評価した。なお、80℃3時間の硬化処理を行う前の状態についても同様に透明性を評価した。
(2)引張り強度
得られた樹脂シート1を10mm×20mmに切り取り、試験片を作製した。この試験片についてオートグラフ(島津製作所社製)にて引張り試験を行い、破断応力を評価した。
得られた樹脂シート1を10mm×20mmに切り取り、試験片を作製した。この試験片についてオートグラフ(島津製作所社製)にて引張り試験を行い、破断応力を評価した。
(3)接着性
得られた樹脂シート2にカッターで2mm間隔の碁盤目状スリットを入れ、セロテープ(登録商標)を貼り、剥がしたときの状態を剥離率として評価した。
得られた樹脂シート2にカッターで2mm間隔の碁盤目状スリットを入れ、セロテープ(登録商標)を貼り、剥がしたときの状態を剥離率として評価した。
本発明によれば、アクリル樹脂との相溶性に優れ、アクリル樹脂との複合樹脂組成物が、強度及び柔軟性、並びに、接着性に優れたものとなる変性ポリビニルアセタール樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて製造される複合樹脂組成物を提供することができる。
Claims (4)
- 主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 主鎖中にエチレン性不飽和二重結合を有する変性ポリビニルアルコールをアセタール化して得られることを特徴とする請求項1記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 請求項1又は2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂と、アクリル樹脂とを含有することを特徴とする複合樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂の存在下でアクリルモノマーを重合して得られることを特徴とする請求項3記載の複合樹脂組成物。
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