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JP2012107096A - 熱伝導性硬化性樹脂組成物及び硬化性樹脂成形体 - Google Patents

熱伝導性硬化性樹脂組成物及び硬化性樹脂成形体 Download PDF

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JP2012107096A JP2010255991A JP2010255991A JP2012107096A JP 2012107096 A JP2012107096 A JP 2012107096A JP 2010255991 A JP2010255991 A JP 2010255991A JP 2010255991 A JP2010255991 A JP 2010255991A JP 2012107096 A JP2012107096 A JP 2012107096A
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一昭 松本
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Abstract

【課題】耐熱性、耐光性、光反射率に優れた熱伝導性硬化性樹脂組成物、及び熱伝導性硬化性樹脂成形体を提供する。
【解決手段】複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物((A)成分)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物((B)成分)と、酸化亜鉛((C)成分)とを含む熱伝導性硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物を硬化させてなる熱伝導性硬化性樹脂成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、耐光性、光反射率に優れた熱伝導性硬化性樹脂組成物、及び硬化性樹脂成形体を提供するものである。
近年、パソコン、携帯電話、PDAなどの電子機器の性能向上は著しく、性能向上に伴い小型化も進み、体積あたりの発熱量が著しく増加している。特にこれらの内で発熱密度が大きい半導体として、発光ダイオードが挙げられる。
半導体には種々のパッケージを有するタイプのものが提案されているが、発光ダイオードとしては、例えば、表面実装タイプのものが製造されている。そのパッケージ用材料としては、ポリアミド樹脂あるいはポリエステル樹脂等が主として用いられている。
半導体の寿命は動作温度の上昇により減少するが、発光ダイオードは発熱密度が大きいため、上記の材料を用いたパッケージでは発熱中心の温度は150℃にせまる高温となり、温度の低下が求められている。半導体から発生する熱(半導体が発光ダイオードの場合はさらに光)が増大してきており、半導体のパッケージ用樹脂の耐熱性及び耐熱耐光性がよりいっそう求められるようになってきている。これらの要求に対して、耐熱性耐光性ともに非常に優れた、ヒドロシリル化反応によって硬化するハイブリッド樹脂が半導体のパッケージ用樹脂として適用されてきている(特許文献1)。
一方で、耐熱性を向上させる方法ではなく熱伝導性を向上させることにより発熱中心の温度上昇を小さく抑えることで、汎用シリコーン樹脂であっても耐熱性及び耐光性に耐えうるような組成物とする技術も開示されている(特許文献2)。
このような材料を用いることで半導体の温度上昇をある程度抑えることは可能であるが、近年より明るい発光ダイオードが開発されるに伴い、耐熱性耐光性熱伝導性いずれにも優れた組成物が要望されている。また同時に、発光ダイオードの光取り出し効率を向上させるためには、白色度が高く光の反射率が高い樹脂組成物も要望されている。
さらに、透明光学材料の屈折率を制御するなどの目的で、ヒドロシリル化反応によって硬化するハイブリッド樹脂に対して酸化亜鉛ナノ粒子を添加する技術が知られている。しかしながらこのような方法では、樹脂組成物は光を透過してしまうため、白色度が高く光の反射率が高い樹脂組成物を得ることはできない。またナノ粒子を添加しても粒子同士の表面が接触する機会が少ないため、樹脂組成物の熱伝導率を改善する効果が得られないことは一般的に知られている。(特許文献3)
特開2005−146191号公報 特開2010−018786号公報 特開2010−138270号公報
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、耐熱性耐光性ともに非常に優れた、ヒドロシリル化反応によって硬化するハイブリッド樹脂において、熱伝導性、白色度、光の反射率、いずれにも優れた光学部品用樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成をなす。
1)複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物((A)成分)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物((B)成分)と、一次粒子の数平均粒子径が0.10μm以上の酸化亜鉛粒子((C)成分)とを含む熱伝導性硬化性樹脂組成物。
2)前記(B)成分が、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系化合物(B−1)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(B−2)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物である、1)記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
3)前記(A)成分が、下記一般式(1)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される有機化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする1)に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
4)前記有機系化合物(B−1)が、複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であることを特徴とする2)に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
5)前記有機系化合物(B−1)が、下記一般式(2)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される有機化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする2)または4)に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
6)前記硬化性樹脂組成物をヒドロシリル化反応して得られることを特徴とする、1)〜5)のいずれか一項に記載の熱伝導性硬化性樹脂成形体。
7)熱伝導率が0.8W/mK以上、かつ波長450nmでの初期反射率が85%以上であることを特徴とする、6)に記載の高熱伝導性硬化性樹脂成形体。
本発明の熱伝導性硬化性樹脂組成物を用いれば、耐熱性、耐光性、熱伝導性、白色度、光の反射率、いずれにも優れた光学部品用熱伝導性樹脂組成物および硬化性樹脂成形体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であれば特に限定されない。
本発明の(A)成分としては、原料液の糸引き性が少なく、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。分子量の下限は50、上限は100,000の任意のものが使用できるが、好ましい下限は60、好ましい上限は5,000、さらに好ましい下限は80、さらに好ましい上限は2,000である。分子量が50より低いものは揮発性が大であり、分子量が100,000を越えるものでは一般に原料が高粘度となり作業性に劣る。
本発明の(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において3000Pa・秒未満のものが好ましく、1000Pa・秒未満のものがより好ましく、100Pa・秒未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
本発明の(A)成分としては、得られる硬化物の耐レーザー性が高いという観点から、複素環骨格または脂環骨格を有する化合物が好ましい。複素環骨格を有する化合物としては、例えば下記一般式(1)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)が挙げられる。脂環骨格を有する化合物としては、例えばビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネンが挙げられる。その中でも耐光性の観点から下記一般式(1)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される化合物がさらに好ましく、トリアリルイソシアヌレートがさらに好ましい。
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物であれば特に限定されないが、(A)成分との相容性の観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系化合物(B−1)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(B−2)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが望ましい。
[化合物(B−1)]
本発明の化合物(B−1)は、複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であれば特に限定されない。
本発明の化合物(B−1)としては、原料液の糸引き性が少なく、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。分子量の下限は50、上限は100,000の任意のものが使用できるが、好ましい下限は60、好ましい上限は5,000、さらに好ましい下限は80、さらに好ましい上限は2,000である。分子量が50より低いものは揮発性が大であり、分子量が100,000を越えるものでは一般に原料が高粘度となり作業性に劣る。
本発明の化合物(B−1)としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において3000Pa・s未満のものが好ましく、1000Pa・s未満のものがより好ましく、100Pa・s未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
本発明の化合物(B−1)としては、得られる硬化物の耐レーザー性が高いという観点から、複素環骨格または脂環骨格を有する化合物が好ましい。複素環骨格を有する化合物としては、例えば下記一般式(2)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)が挙げられる。脂環骨格を有する化合物としては、例えばビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネンが挙げられる。その中でも耐レーザー性の観点から下記一般式(2)
Figure 2012107096
(式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される化合物がさらに好ましく、トリアリルイソシアヌレートがさらに好ましい。
[化合物(B−2)]
本発明の化合物(B−2)としては、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、化合物B−1とヒドロシリル化反応して得られた成分(B)の成分(A)との相溶性が良いという観点からは環状オルガノポリシロキサンが好ましい。ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記したような各種化合物(B−2)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
化合物(B−2)の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、取り扱い性という観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
[(C)成分]
本発明の(C)成分である一次粒子の数平均粒子径が0.10μm以上の酸化亜鉛粒子は、樹脂組成物の白色性、熱伝導性、光反射性、高強度、高弾性率、高粘度、などの特性を同時に付与することができる。(C)成分は酸化亜鉛を成分として含有する物質であれば、一次粒子の数平均粒子径以外は特に限定されないが、(A)(B)成分との混合性の観点から、粉末状物質であることが好ましい。また不純物として(A)(B)成分のヒドロシリル化による硬化反応を阻害するような物質は、できるかぎり含んでいないような物質が好ましい。
(C)酸化亜鉛粒子としては、亜鉛華、活性亜鉛華、酸化亜鉛一種粉末、酸化亜鉛二種粉末、酸化亜鉛三種粉末、酸化亜鉛ウイスカーなどを好ましく用いることができる。中でも不純物が少なく安価に大量入手可能であることから、酸化亜鉛一種粉末を好ましく用いることができる。(C)酸化亜鉛粒子の粒子形状には特に規定はなく、球状、楕円形状、板状、立方体形状、繊維形状、四角錐形状、星型、など種々の形状を用いることができるが、(A)(B)成分になるべく大量に含有させるために、形状としては球状あるいは球形に近い形状であることが好ましい。
酸化亜鉛粒子(C)の一次粒子の数平均粒子径は、0.10μm以上であることが必要であるが、好ましくは0.20μm以上、より好ましくは0.25μm以上、さらに好ましくは0.30μm以上、最も好ましくは0.40μm以上である。数平均粒子径が大きいほど樹脂組成物としたときの熱伝導率や光の反射率が大きくなるうえ、数平均粒子径が大きいほうが粉体のかさ密度が小さくなり樹脂に大量添加するのが容易になるためである。数平均粒径の上限は一般的には1mm以下のものが用いられる。1mm以上であると、成形加工性が低下する傾向が見られる。
酸化亜鉛粒子(C)の一次粒子の数平均粒子径は、粉末を操作型電子顕微鏡にて少なくとも100個以上、好ましくは1000個以上観察し、撮影した写真から粒径及び凝集有無を測定することにより、算出することができる。ここでいう一次粒子の数平均粒子径とは、鱗片形状の粒子のうち投影面積が最も広くなるように観察した時に、形状が円形の場合には円の直径により算出される。また形状が円形でない場合には、面内で最も長い寸法を粒径と呼ぶこととする。即ち楕円形状であれば楕円の長径を、長方形であれば長方形の対角線の長さを、針状であれば最も長い方向の長さを、数平均粒子径とする。例えば、断面の直径が10nmで長さが500μmの繊維状(円柱状)酸化亜鉛粒子であれば、一次粒子の数平均粒子径は500μmであると定義する。
また、樹脂に対する酸化亜鉛の充填率を高める1手法として、粒子径の異なる熱伝導性充填材を2種類以上併用することが好適である。この場合、粒子径の大きい熱伝導性充填材と、粒子径の小さい熱伝導性充填材との粒径比を10/1程度とすることが好ましい。樹脂へ酸化亜鉛を高充填させる目的から、粒子サイズに特定の分布を持たせることも可能である。例えば、平均粒径5μmの酸化亜鉛粒子と平均粒径500nmの酸化亜鉛粒子とを併用させることで、平均粒径5μmの酸化亜鉛粒子の隙間に平均粒径500nmの酸化亜鉛粒子を充填させることができるため、成形性や熱伝導性を向上させることが可能となるが、粒子径や粒子比率はこのような例に縛られるものではなく、種々の組み合わせを用いることが可能である。
酸化亜鉛の使用量としては、本発明の硬化性樹脂組成物の熱伝導率を高くすることができる点から、酸化亜鉛の容積率(%)が全組成物中の5容量%以上90容量%以下となることが好ましい。5容量%よりも少ない場合は、熱伝導性が十分でなくなる傾向がある。90容量%以上とすることは材料の強度が低下したり、成形加工が困難になったりする傾向がある。酸化亜鉛の使用量が少ないほど、得られる成形体の耐衝撃性、表面性、成形加工性が向上し、混練が容易になる傾向があり好ましいという観点、及び酸化亜鉛の使用量が多いほど熱伝導率が向上する傾向があり好ましい、という観点から、さらに高い熱伝導率を望む場合は、酸化亜鉛の使用量を、全組成物中の10容量%以上85容量%以下とすることがより好ましい。より好ましくは15容量%以上80容量%以下、更に好ましくは20容量%以上75容量%以下、最も好ましくは25容量%以上65容量%以下である。
ここで熱伝導性充填材の容積率(%)とは、樹脂分及び熱伝導性充填材のそれぞれの重量分率と比重から算出されるものであり、次式により求められる。なお、次式においては、熱伝導性充填材を単に「充填材」と記載した。
充填材容積率(容量%)=(充填材重量比率/充填材比重)÷[(樹脂分重量比率/樹脂分比重)+(充填材重量比率/充填材比重)]×100
ここで、樹脂分とは、熱伝導性充填材を除いた全成分を指す。
酸化亜鉛は、それ自体熱伝導率が高いものを用いるのが好ましい。より好ましくは単体での熱伝導率が30W/mK以上の酸化亜鉛を用いるのが好ましい。
[その他熱伝導性充填材]
本発明の硬化性樹脂組成物では、(C)酸化亜鉛粒子以外の熱伝導性充填材を用いることが出来る。なかでも、熱伝導率、入手性、絶縁性や電磁波シールド性や電磁波吸収性などの電気特性を付与可能、充填性、毒性、等種々の観点から、グラファイト、ダイヤモンド、等の炭素化合物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物;炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化ケイ素等の金属炭化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;結晶性シリカ:アクリロニトリル系ポリマー焼成物、フラン樹脂焼成物、クレゾール樹脂焼成物、ポリ塩化ビニル焼成物、砂糖の焼成物、木炭の焼成物等の有機性ポリマー焼成物;Znフェライトとの複合フェライト;Fe−Al−Si系三元合金;金属粉末、等が好ましく挙げられる。
さらに、入手性、熱伝導性、電気絶縁性の観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、ダイヤモンド、結晶性シリカがより好ましい。
これらのなかでも、耐熱性、電気絶縁性に優れることから、α―アルミナ、炭酸マグネシウム、六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ダイヤモンド、が特に好ましい。
これら熱伝導性充填材は、同一種類の熱伝導性充填材だけでなく、種類の異なる2種以上を併用することもできる。
[その他フィラー]
本発明の硬化性樹脂組成物には、酸化亜鉛、その他熱伝導性充填材、以外にもフィラーを併用することができる。その他フィラーを添加すると、材料の高強度化や難燃性向上などに効果が得られる場合がある。その他フィラーとしては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、ケイソウ土、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、非晶質球形シリカ等)、硫酸バリウム、カーボンブラックのような補強性充填材;ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、亜鉛末、フリント粉末、炭酸亜鉛およびシラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末などの充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填材;各種蛍光体、等が挙げられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム、蛍光体、ドロマイト、カーボンブラック、酸化チタンなどが好ましい。なおこれら充填材の中には、わずかに熱伝導性充填材としての機能を有しているものもあり、また炭素繊維、各種金属粉、各種金属酸化物、各種有機繊維のように、組成、合成方法、結晶化度、結晶構造によっては優れた熱伝導性充填材として使用可能となるものもある。
フィラーを添加する方法としては、例えば、アルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマー又はオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド又はハロゲン化物等を、本発明の硬化性組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法等も挙げることができる。
[ヒドロシリル化触媒]
次に、(A)成分と(B)成分をヒドロシリル化反応させるためのヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO));白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh4、Pt(PBu);白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)]4、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、a、bは、整数を示す。);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl2O、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdClO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能である。助触媒の例としては、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物、水等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、上記ヒドロシリル化触媒1モルに対して、下限10−5モル、上限10モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限10−3モル、上限10モルの範囲である。
上記触媒には助触媒を併用することができる。
[その他の添加物]
本発明の硬化性組成物は、シランカップリング剤を添加して基材などとの接着性を向上させることも可能である。またシランカップリング剤を添加することで、(A)(B)成分と(C)成分との界面の密着性が向上するという効果が得られる。使用できるシランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては、[(A)成分+(B)成分+(C)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れにくく、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
シランカップリング剤は直接(A)成分+(B)成分に添加しても良いし、予め(C)成分に添加して軽く混合した後、シランカップリング剤で処理された(C)成分を(A)成分+(B)成分に添加しても良い。あるいは予めシランカップリング剤で処理された(C)成分も市販品として入手することができる。
本発明の硬化性組成物の基材との接着性をさらに向上させる目的でシラノール縮合触媒を使用することができる。使用できるシラノール縮合触媒としては、特に限定されるものではないが、具体的に例示すれば、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイド等を好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、又は、製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上併用してよい。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機硫黄化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対して、下限10−1モル、上限10モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限1モル、上限50モルの範囲である。
次に、本発明の硬化性組成物の特性を改質する目的で添加することが可能な種々の樹脂について説明する。当該樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明で得られる硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明で得られる硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明で得られる硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には、その他、難燃剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、加工安定剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、接着性付与剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
[硬化性組成物の製造方法]
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合等することにより得られる。なお混合等する際には、硬化したときに気泡の原因となる揮発分を、硬化前に真空脱揮等により取り除いておくことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、前述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、二軸等の押出機のような混練機にて混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて混練機に途中添加して製造することもできる。その他、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に所定の各成分を供給し、混練することにより製造することもできる。各成分の供給方法は特に限定されず、各々の成分を一括配合して混練しても良く、多段、分割配合して混練しても良い。
[Bステージ化]
本発明の組成物は、各成分および添加剤等の配合物をそのまま用いてもよいし、加熱等により部分的に反応(Bステージ化)させてから使用してもよい。Bステージ化することにより粘度調整が可能であり、トランスファー成形などの際に成形性を調整することもできる。
[組成物性状]
本発明の組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、トランスファー成形などによる成形性が良好であるという点においては、組成物としては150℃以下の温度で流動性を有するものが好ましい。
組成物の硬化性については、任意に設定できるが、成形サイクルが短くできるという点においては120℃におけるゲル化時間が120秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがより好ましい。また、150℃におけるゲル化時間が60秒以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。また、100℃におけるゲル化時間が180秒以内であることが好ましく、120秒以内であることがより好ましい。
この場合のゲル化時間は、以下のようにして調べられる。設定温度に調整したホットプレート上に厚み50μmのアルミ箔を置き、その上に組成物100mgを置いてゲル化するまでの時間を測定してゲル化時間とする。
[硬化]
本発明の組成物は、あらかじめ混合し組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部または全部およびを反応させることによって硬化させて用いることができる。組成物を反応させて硬化させる場合において、(A)(B)(C)(その他)各成分の必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の下限は30℃、より好ましくは100℃であり、好ましい温度の上限は300℃、より好ましくは200℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。また、一定温度で行う方が成形サイクルを短くできるという点において好ましい。
硬化時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。逆に、高温短時間で反応させる方が成形サイクルを短くできるという点において好ましい。反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。場合によって発生する揮発分を除きやすいという点においては、減圧状態で硬化させることが好ましい。成形体へのクラックを防止できるという点においては、加圧状態で硬化させることが好ましい。
組成物が使用される製造工程において、組成物中へのボイドの発生および組成物からのアウトガスによる工程上の問題が生じ難いという観点においては、硬化中の重量減少が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。硬化中の重量減少は以下のように調べられる。熱重量分析装置を用いて封止剤10mgを室温から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して、減少した重量の初期重量の割合として求めることができる。また、電子材料等として用いた場合にシリコーン汚染の問題を起こし難いという点においては、この場合の揮発成分中のSi原子の含有量が1%以下であるものが好ましい。
[硬化性樹脂成形体の性状]
耐熱性が良好であるという観点からは、組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが100℃以上となるものが好ましく、150℃以上となるものがより好ましい。この場合、Tgは以下のようにして調べられる。3mmx5mmx30mmの角柱状試験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温側度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
また、リードフレーム等にイオンマイグレーション等の問題が生じ難く信頼性が高くなるという点においては、硬化物からの抽出イオン含有量が10ppm未満であることが好ましく、5ppm未満であることがより好ましく、1ppm未満であることがさらに好ましい。
この場合、抽出イオン含有量は以下のようにして調べられる。裁断した硬化物1gを超純水50mlとともにテフロン(登録商標)製容器に入れて密閉し、121℃、2気圧、20時間の条件で処理する。得られた抽出液をICP質量分析法(横河アナリティカルシステムズ社製HP−4500使用)によって分析し、得られたNaおよびKの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。一方同じ抽出液をイオンクロマト法(ダイオネクス社製DX−500使用、カラム:AS12−SC)によって分析し、得られたClおよびBrの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。以上のように得られたNa、K、Cl、Brの硬化物中の含有量を合計して抽出イオン含有量とする。
硬化物の色としては、各種のものが用いられるが、発光ダイオードの光取り出し効率が高くなりやすいという点においては白色が好ましく、発光ダイオードをディスプレイ装置に用いた場合にコントラストが高くなりやすいという点においては黒色が好ましい。
硬化物の線膨張係数としては、特に制約はないが、リードフレーム等の金属やセラミック等との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数は100℃において50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。また、封止樹脂等の有機材料との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数は100℃において70ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましい。また、硬化時、硬化後、熱試験時にパッケージと封止剤との間に応力が発生しにくく信頼性が高くなりやすいという点においては、封止剤と近い線膨張係数および線膨張係数の温度依存性を有することが好ましい。
[硬化性樹脂成形体の成形方法]
本発明の成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形等、熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意であるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ましい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア)することも任意である。後硬化した方が耐熱性が高くなり易い。
[硬化性樹脂成形体の色]
硬化性樹脂成形体の色としては、各種のものが用いられるが、本発明の硬化性樹脂組成物から得られるパッケージの反射率が高い色であることが、光取り出し効率に優れるため好ましく、白色であることがさらに好ましい。
硬化性樹脂成形体の波長450nmでの光反射率は、初期値で好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。反射率が80%未満であるとLED用半導体素子ケース用として用いた場合に使用時間が短くなる問題が発生する場合がある。
さらに180℃,24時間劣化テスト後の反射率についても好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。また硬化物を365nmピーク波長の高圧水銀灯を用いて24時間照射(60mW/cm)した後の波長450nmでの光反射率も、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。
[硬化性樹脂成形体の熱伝導率]
硬化性樹脂成形体は、熱を効率的に伝えために高熱伝導性であることが好ましい。熱伝導率は具体的には0.8W/mK以上10000W/mK以下、好ましくは0.9W/mK以上9000W/mK以下、さらに好ましくは1.0W/mK以上8000W/mK以下、最も好ましくは1.2W/mK以上5000W/mK以下であるとよい。このような高熱伝導性材料を用いることにより、発熱部の温度が均一化し、発熱中心の温度が下がる。
[用途]
本発明の複合材料は、光学部品、電子部品、半導体基板、などとして好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
配合剤として以下のものを用いた。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛(堺化学工業製 酸化亜鉛一種、比重5.6、一次粒子の数平均粒子径0.6μm)
酸化亜鉛(堺化学工業製 LPZINC−5、比重5.6、一次粒子の数平均粒子径5μm)
(その他熱伝導性充填材)
酸化チタン(石原産業製タイペークPC−3、ルチル型、比重4.2、表面有機処理、平均粒径0.21μm)
丸み状アルミナ(昭和電工製AS−40、比重3.9、平均粒径12μm)
球状アルミナ(電気化学工業製ASFP−20、比重3.9、平均粒径0.2μm)
六方晶窒化ホウ素(水島合金鉄製HP−40、比重2.3、平均粒径7μm)
(その他フィラー)
球状シリカ(龍森製MSR−3500、比重2.2、平均粒径37μm)
球状シリカ(アドマテックス製アドマファインSO−C2、比重2.2、平均粒径0.5μm)
(合成例1)
2Lオートクレーブにトルエン696g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン463gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート80g、トルエン80g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.050gの混合液を40分かけて滴下した。滴下終了から3時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は57%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンを合計1,000ppm以下まで減圧留去し、無色透明の液体を得た。
本生成物の粘度は3.0Pa・秒であった。本生成物のGPC測定をすると多峰性のクロマトグラムが得られ、混合物であることが示唆された。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(一般式(3)、反応物B−1と称す)であり、8.8mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。
Figure 2012107096
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応、H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))が合計5,000ppm以下となるまで減圧留去し、無色透明の液体を得た。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートと反応したものであり平均的に以下の構造(一般式(4)、反応物B−2と称す)を有するものであることがわかった。
Figure 2012107096
(a+b=3、c+d=3、e+f=3、a+c+e=3.5、b+d+f=5.5)
(実施例1)
トリアリルイソシアヌレート 24.0g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.06gを混合し、攪拌、真空脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した反応物B−1 36.0g、1−エチニルシクロヘキサノール 0.06g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1.5gを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。
A液、B液、及び酸化亜鉛であるLPZINC−5(堺化学工業製)582gを混合させたものを、3本ペイントロールにて発熱を抑えロールを冷却ながら混合し、硬化性樹脂組成物を得た。得られた組成物は半固体状であったため、プレス容器に充填しプレスする方法により、タブレット状に加工して成形に用いた。
(実施例2〜9)
(A)成分及び(B)成分の配合比率を表1に示す割合にして組成物1及び組成物2を作成した。組成物1〜2及びその他配合剤の配合比率を表2に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
(比較例1)
ゲレスト社製ビニル末端ポリジメチルシロキサン DMS−V31 40.0g、ゲレスト社製メチルハイドロシロキサン ジメチルシロキサン コポリマー HMS−30 21g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.0001g、1−エチニルシクロヘキサノール 0.0005g、及び酸化亜鉛であるLPZINC−5(堺化学工業製)582gを混合させたものを、3本ペイントロールにて発熱を抑えロールを冷却ながら混合し、硬化性樹脂組成物を得た。得られた組成物は半固体状であったため、プレス容器に充填しプレスする方法により、タブレット状に加工して成形に用いた。
(比較例2)
配合比率を表2に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
(評価方法)
以下の評価を実施し表2に結果を示した。
(成形性)
実施例及び比較例の熱硬化性樹脂組成物タブレットを、トランスファー成形法にて、成形温度150℃5分間で成形した。得られた半導体パッケージは熱風オーブンにて150℃1時間、180℃30分の後硬化(アフターキュア)を行った。成形時の金型内への樹脂流れ性を評価し、非常に良好:◎、ほぼ問題なく成形可能:○、まれに樹脂未充填などの成形不良が発生する:△、樹脂充填不良が発生する:×、の基準により評価した。
(熱伝導率)
実施例及び比較例の熱硬化性樹脂組成物タブレットを、PETフィルムを離型フィルムとし、内寸法が30mmφであり厚み5mmのステンレス鋼(SUS304)製の円盤型枠を用いて、150℃/5分の条件でプレス成形した。作成した円盤状のプレス成形体をオーブン中で150℃/1時間、180℃/0.5時間の条件で後硬化させた。得られた成形体について、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置にて4φのセンサーを用い、熱伝導率を算出した。
(反射率)
実施例及び比較例の熱硬化性樹脂組成物タブレットを、PETフィルムを離型フィルムとし、内寸法が80mmx50mmであり厚み0.5mmのステンレス鋼(SUS304)製の長方形型枠を用いて、150℃/5分の条件でプレス成形した。作成した長方形板状のプレス成形体をオーブン中で150℃/1時間、180℃/0.5時間の条件で後硬化させた。得られた成形体について積分球を設置した分光光度計(日本分光(株)製、紫外可視分光光度計V−560)を用いて450nmの全反射を測定し、「450nm反射率(初期)」の値とした。反射率は、ラブスフェア製スペクトラロン板を標準板として測定した。また、この成形体を180℃の熱風循環オーブンで4時間加熱処理した後、上記と同様にして450nmの全反射を測定し、「450nm反射率(熱処理後)」の値とした。
Figure 2012107096
Figure 2012107096
本発明による硬化物は、比較例1と比べて耐熱試験後の反射率が高いことから、優れた耐熱性を有していることがわかった。また比較例2と比べて成形体の熱伝導率に優れることから、放熱性に優れた成形体が得られることがわかった。

Claims (7)

  1. 複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物((A)成分)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物((B)成分)と、一次粒子の数平均粒子径が0.10μm以上の酸化亜鉛粒子((C)成分)とを含む熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分が、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系化合物(B−1)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(B−2)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物である、請求項1記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、下記一般式(1)
    Figure 2012107096
    (式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される有機化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  4. 前記有機系化合物(B−1)が、複素環骨格または脂環骨格を有し、かつSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  5. 前記有機系化合物(B−1)が、下記一般式(2)
    Figure 2012107096
    (式中R、R、Rはいずれも有機基であり、これらのうち少なくとも2つはアルケニル基である)で表される有機化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項2または4に記載の熱伝導性硬化性樹脂組成物。
  6. 前記硬化性樹脂組成物をヒドロシリル化反応して得られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性硬化性樹脂成形体。
  7. 熱伝導率が0.8W/mK以上、かつ波長450nmでの初期反射率が85%以上であることを特徴とする、請求項6に記載の高熱伝導性硬化性樹脂成形体。
JP2010255991A 2010-11-16 2010-11-16 熱伝導性硬化性樹脂組成物及び硬化性樹脂成形体 Pending JP2012107096A (ja)

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