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JP2012193959A - 試料中の総プロテインsタンパク質量の測定試薬及び測定方法 - Google Patents

試料中の総プロテインsタンパク質量の測定試薬及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料中に存在する全てのプロテインSのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を測定することが出来る、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法を提供する。
【解決手段】試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する測定試薬及び測定方法において、当該プロテインSタンパク質量の測定反応時にC4b結合タンパク質を含有又は存在させるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、試料中の総プロテインSタンパク質量を測定することができる測定試薬及び測定方法に関するものである。
本発明は、特に、臨床検査、分子生物学、及び医学などの生命科学分野等において有用なものである。
プロテインSは、生体内の血液凝固系の制御機構において中心的に機能する血漿タンパク質である。
このプロテインSは、主に血液中に存在するものであって、活性化プロテインCの補欠因子(補助因子)であり、活性化プロテインCの活性を上昇させることができ、血液中での活性化プロテインCの働きに欠かせないものである。
なお、活性化プロテインCは、ヒトにおける血液凝固を促進する活性化血液凝固第V因子(第Va因子;FVa)、及び活性化血液凝固第VIII因子(第VIIIa因子;FVIIIa)を分解することにより、血液凝固反応を抑制する役割を担った因子である。
プロテインSは、C4b結合タンパク質(補体第4因子b結合タンパク質;C4bBP)と1対1で特異的に結合し、複合体を形成する。つまり、C4b結合タンパク質は、プロテインSのリガンドとなる。
このプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体形成反応は、下に示した通りであるが、この反応は可逆反応である。
Figure 2012193959
そして、ヒト血液中においては、通常、プロテインSに比べてC4b結合タンパク質のモル濃度は小さく、また解離定数も小さいため、血液中には「プロテインS」及び「プロテインS−C4b結合タンパク質複合体」のみ存在する。つまり、下記の反応の平衡は、完全に右に寄っていることになる。
通常、健常者の血液中(血漿中)のプロテインSは、その約60%が「プロテインS−C4b結合タンパク質複合体」(すなわち、結合型)であり、その約40%は「遊離状態のプロテインS」(すなわち、遊離型)である。
なお、遊離のプロテインS(すなわち、遊離型)のみが、活性化プロテインCに対する補酵素活性を示し、活性化プロテインSの活性を上昇させることができるのである。
なお、本明細書において、「プロテインS」又は「C4b結合タンパク質」等の語は、特に複合体(若しくは結合型)又は遊離(若しくは遊離型)等の記載が無い場合は、それぞれこれらの物質の複合体(又は結合型)及び遊離状態(又は遊離型)のものの総称を意味するものとする。
活性化プロテインCは、ヒトにおける血液凝固を促進する活性化血液凝固第V因子、及び活性化血液凝固第VIII因子を分解することにより、血液凝固反応を抑制する役割を担ったセリンプロテアーゼである。
プロテインSは、活性化プロテインCの補欠因子(補助因子)であり、プロテインSの存在により、活性化プロテインCの活性は上昇し、活性化プロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応及び活性化血液凝固第VIII因子の分解反応は促進される。
血液凝固反応を抑制する働きを持つプロテインSの活性の低下又は異常は、生体内において血栓症を引き起こす原因となりうる。
実際、プロテインSの先天性異常症者は、高い頻度で深部静脈血栓症、表在性静脈炎若しくは肺梗塞などの静脈性血栓症、又は心不全の原因となる冠状動脈血栓症などの動脈性血栓症等を発症することになる。
また、播種性血管内凝固症候群(DIC)、ビタミンK欠乏症又は肝機能低下症等においても、プロテインSの活性の低下又は異常が認められる。
即ち、プロテインSの活性の低下又は異常を伴う遺伝子変異の検出は、血栓症の病態解明に大いに役立つものと思われる。例えば、プロテインS徳島のような遺伝子変異は、血中に分泌されるプロテインSタンパク質量は正常であるが、活性が低下するII型異常症であるため、プロテインS活性とプロテインSタンパク質量を測定し、プロテインS比活性(比活性=活性/タンパク質量)を求めることで、間接的にプロテインS遺伝子変異を検出することが可能であると考えられる。
また、遊離プロテインSは総プロテインSに比べて血中濃度が低く、測定誤差の影響を受けやすいので、プロテインS遺伝子変異の検出には、総プロテインSの測定が最適であると思われる。
現在、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法として、例えば、総プロテインSに対する抗体を使用したELISA法(例えば、非特許文献1参照)等が提案されているが、用手法であり、操作が煩雑なものであった。
「アセラクロム トータルプロテインS TMB」添付文書、製造者:DIAGNOSTICA STAGO社、フランス国;製造販売者:ロシュ・ダイアグノスティックス社、日本国、2008年3月改訂(第2版)
従って、本発明の課題は、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を簡便かつ正確に測定することが出来る、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題の解決を目指して鋭意検討を行った結果、プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と試料とを接触させ、前記抗体と試料に含まれていたプロテインSとの抗原抗体反応により生成した凝集物を測定することにより、試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する測定試薬及び測定方法において、抗原抗体反応の反応時にC4b結合タンパク質を含有又は存在させることにより、試料中の総プロテインS蛋白質量を簡便かつ正確に測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と試料とを接触させ、前記抗体と試料に含まれていたプロテインSとの抗原抗体反応により生成した凝集物を測定することにより、試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する方法において、前記抗原抗体反応の反応時にC4b結合タンパク質を存在させることを特徴とする測定方法。
(2) 担体粒子がラテックス粒子である、前記(1)記載の測定方法。
(3) 試料中の総プロテインSタンパク質量の測定が、次の(a)及び(b)の工程を含む方法により行われるものである、前記(1)又は(2)に記載の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法。
(a)試料と、C4b結合タンパク質とを混合し、接触させ、この混合液中において前記試料に含まれる遊離のプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体を形成させる工程。
(b)前記混合液をプロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と接触させ、前記抗体とプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体との抗原抗体反応により生成した凝集物を測定する工程。
(4) プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子を含む測定試薬において、C4b結合タンパク質を含有することを特徴とする試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬。
(5) 担体粒子がラテックス粒子である、請求項4記載の測定試薬。
(6) 次の(a)及び(b)の工程を含む試料中の総プロテインSタンパク質量の測定のためのものである、前記(4)又は(5)に記載の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬。
(a)試料と、C4b結合タンパク質とを混合し、接触させ、この混合液中において前記試料に含まれる遊離のプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体を形成させる工程。
(b)前記混合液をプロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と接触させ、前記抗体とプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体との抗原抗体反応により生成した凝集物を測定する工程。
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法は、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を簡便かつ正確に測定することが出来るものである。
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法及び測定試薬における、検量線を示した図である。 本発明による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬との相関を示したグラフである。 本発明による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬との相関を示したグラフである。 本発明による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬との相関を示したグラフである。 本発明による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬との相関を示したグラフである。 本発明による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬との相関を示したグラフである。 試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定結果と試料中の総プロテインSの活性値の測定結果との比較を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔1〕プロテインSに対する抗体
本発明において、プロテインSに対する抗体とは、プロテインSに結合することができる抗体(抗プロテインS抗体)のことをいう。
この抗プロテインS抗体としては、例えば、(プロテインSに結合することができる)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ポリクローナル抗体を含む抗血清、キメラ抗体、ヒト化抗体又は一本鎖抗体(scFv)、及びこれらの抗体の断片〔Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、sFv、dsFvなど〕等を挙げることができる。
また、前記の抗体又は抗体断片に、蛋白質又は低分子化合物を結合させた誘導体を使用することもできる。
なお、抗プロテインS抗体の由来については特に限定はなく、例えば、哺乳動物(マウス、ウサギ、ラット、ヒツジ、ヤギ、若しくはウマなど)、又は鳥類(ニワトリ、ウズラ、キジ、ダチョウ、若しくはアヒルなど)等を挙げることができる。
また、本発明においては、抗プロテインS抗体が、C4b結合タンパク質と複合体を形成したプロテインSに、より強い反応性を示す抗体であることがより好ましい。
〔2〕担体粒子
本発明において、担体粒子は、前記の抗プロテインS抗体を固定化することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。
すなわち、プロテインSと抗プロテインS抗体との抗原抗体反応を利用して試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行う測定試薬及び測定方法に使用されている担体粒子、又は使用することが可能な担体粒子であればよい。
この担体粒子の材質は、特に限定はなく、例えば、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ポリアクロレイン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、ゼラチン、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等を挙げることができる。
そして、この担体粒子としては、例えば、ラテックス粒子、金属コロイド粒子、リポソーム、マイクロカプセル、又は赤血球等の粒子等を挙げることができる。
また、本発明における担体粒子としては、ラテックス粒子であることが好ましい。
本発明において、抗プロテインS抗体を担体粒子に固定化することは、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により行うことができる。
物理的吸着法による場合は、公知の方法に従い、抗プロテインS抗体と、担体粒子とを、緩衝液等の溶液中で混合し接触させたり、或いは緩衝液等に溶解した抗プロテインS抗体を、担体粒子に接触させること等により行うことができる。
また、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、抗プロテインS抗体と、担体粒子とを、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、抗プロテインS抗体と、担体粒子の、それぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と前記の二価性の架橋試薬とを反応させること等により行うことができる。
更に、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の自然凝集や、非特異的反応等を抑制するために処理を行う必要があれば、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の表面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、担体粒子のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
なお、本発明における試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を、ラテックス免疫比濁法等の比濁法により測定を行う場合、ラテックス粒子等の担体粒子の大きさ(粒径)については、特に制限はない。
しかし、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子が、試料中に含まれていたプロテインSとの凝集物(凝集塊)を生成する程度、及びこの生成した凝集物の測定の容易さ等の理由より、担体粒子の大きさ(粒径)は、その平均径(平均粒径)が、0.01μm〜10μmであることが好ましく、0.04μm〜1μmであることがより好ましい。
また、本発明の試料中のプロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法において、担体粒子は、その大きさ(粒径)、材質、又は形状等が異なる2種類以上の担体を使用してもよい。
なお、本発明における試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を、ラテックス免疫比濁法等の比濁法により測定を行う場合、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の測定反応時における濃度は、前記の特異的結合物質の担体表面上での分布密度、担体粒子の大きさ(粒径)、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概に言うことはできない。
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、担体粒子に固定化された抗プロテインS抗体と、試料中に含まれていたプロテインSとの、抗原抗体反応が行われる測定反応時に、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の濃度が、この測定反応時の反応混合液中において0.005〜1%(w/v)となるようにするのが一般的であり、この場合、反応混合液中においてこのような濃度になるような濃度の抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子を測定試薬に含有させることが好ましい。
本発明の測定試薬及び測定方法においては、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子を、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;カルシウムイオンなどの各種金属イオン;カルシウム塩などの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤もしくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上と共存させてもよい。
そして、上記の各物質を共存させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
〔3〕C4b結合タンパク質
本発明の測定試薬及び測定方法においては、C4b結合タンパク質を含有又は存在させる。ここで、C4b結合タンパク質とは、肝細胞やマクロファージで産生される高分子糖タンパク質であり、プロテインSと1対1で特異的に結合し、複合体を形成するものをいう。
また、本発明において用いるC4b結合タンパク質は、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの等を挙げることができる。また、血漿等の体液若しくは臓器などから精製し調製したものや、又は遺伝子工学操作、細胞工学操作若しくは細胞培養操作などにより調製したもの等を挙げることができる。
本発明において、前記のC4b結合タンパク質を総プロテインSタンパク質量の測定試薬に存在させる濃度は、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、C4b結合タンパク質とプロテインSとのモル比が0.9以上(C4b結合タンパク質/プロテインS≧0.9)となるように設定することが好ましい。
なお、前記のC4b結合タンパク質を総プロテインSタンパク質量の測定試薬に存在させる方法であるが、このC4b結合タンパク質を、担体粒子に固定化された抗プロテインS抗体と、試料に含まれていたプロテインSとの、抗原抗体反応が行われる測定反応時に、前記の総プロテインSタンパク質量の測定試薬に存在させることができればいかなる方法でも良い。
例えば、前記のC4b結合タンパク質を緩衝液に含有させた試薬を調製し、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子を含む試薬と混合することによって、担体粒子に固定化された抗プロテインS抗体と試料に含まれていたプロテインSとの、抗原抗体反応が行われる測定反応時に、C4b結合タンパク質を存在させるようにすれば良い。
なお、通常、健常者の試料中には、「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」と、「遊離のプロテインS(遊離型)」の両方が存在しているが、本発明においては、C4b結合タンパク質を、試料と混合、接触させることにより、試料に含まれていた遊離のプロテインSがこのC4b結合タンパク質と複合体を形成する。
すなわち、試料中のプロテインSは、全て「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」となる。
これにより、本発明の測定試薬及び測定方法では、全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を測定することが可能となる。
〔4〕試料
本発明において、試料とは、プロテインSが存在する可能性があり、かつプロテインSの存在の有無、又は含有量(濃度)の測定を行おうとするものをいう。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、唾液、汗、尿、涙、髄液、羊水、腹水などの体液、又は肝臓、心臓、脳、骨、毛髪、皮膚、爪、筋肉、神経組織などの臓器、組織若しくは細胞などの抽出液等、プロテインSが含まれる可能性のあるものを挙げることができる。
〔5〕測定試薬
本発明の測定試薬は、プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子を含む総プロテインSタンパク質量の測定試薬において、C4b結合タンパク質を含有することを特徴とするものである。
これにより、試料中の総プロテインSタンパク質量を正確に測定することができるものである。
本発明の測定試薬は、一つの測定試薬よりなるものであってよい。この場合、C4b結合タンパク質は、その一つの測定試薬に含有される。
また、本発明の測定試薬は、二つ以上の測定試薬より構成されるものであってもよい。この場合、C4b結合タンパク質は、二つ以上の測定試薬の内の一つの測定試薬に含有されるものであってもよく、また、二つ以上の測定試薬に含有されるものであってもよい。
例えば、本発明の測定試薬が、第1試薬及び第2試薬の二つの測定試薬より構成されるものである場合、C4b結合タンパク質は、第1試薬にのみ含有させてもよく、また、第2試薬にのみ含有させてもよく、更には、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
本発明の測定試薬が二つの測定試薬より構成される場合、C4b結合タンパク質は、第1試薬にのみ含有させることが好ましい。
また、本発明の測定試薬が二つ以上の測定試薬より構成されるものである場合、C4b結合タンパク質を含有しない方の試薬は、例えば、プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子を含む緩衝液等であってよい。
なお、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬の溶媒としては、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、精製水、生理食塩水、又は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH5〜10の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
また、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬には、前記のプロテインSに対する特異的結合物質を固定化した担体粒子、及び前記のC4b結合タンパク質の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などの蛋白質;カルシウムイオンなどの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜含有させてもよい。
なお、前記の界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。

なお、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は試料中の総プロテインSタンパク質量の測定に使用することができる。
また、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬は、他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中の総プロテインSタンパク質量の測定に使用することもできる。
前記の他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、又は校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する物質の試薬等を挙げることができる。
〔6〕測定方法
本発明における試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法は、担体粒子に固定化された「プロテインSに対する抗体」と試料中に含まれていた「プロテインS」との抗原抗体反応により生成した凝集物を測定することにより、試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する方法において、該抗原抗体反応の反応時にC4b結合タンパク質を存在させるものである。
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法における測定操作は、公知の測定操作に従って行うことができる。
この測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
また、この測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
以下、ラテックス免疫比濁法を測定原理とする試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬を用いて、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行う場合を例にとって、具体的に説明を行う。
(1)まず、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬として、以下のものを準備する。
第1試薬:C4b結合タンパク質を含有する緩衝液
第2試薬:プロテインSに対する抗体を固定化したラテックス粒子を含有する緩衝液
(2)血漿等の試料の一定量と前記の第1試薬の一定量を混合し、一定温度下で一定時間静置する。
なお、試料と第1試薬の混合比率(量比)は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1〜30℃)又は微温(30〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい(例えば、37℃等)。
試料と第1試薬との混合により、試料に含まれていた遊離のプロテインSがこのC4b結合タンパク質と複合体を形成する。
すなわち、試料中のプロテインSは、全て「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」となる。
(3)一定時間後、前記の試料と第1試薬との混合液に、前記の第2試薬の一定量を添加、混合し、反応混合液として、一定温度下で一定時間静置する。
なお、第2試薬の添加量は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1〜30℃)又は微温(30〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい(例えば、37℃等)。
そして、前記の静置の時間は、1分以上、10分以下の一定時間であることが好ましく、3分以上、5分以下の一定時間であることがより好ましい。
試料と第1試薬との混合液への第2試薬の添加、混合により、ラテックス粒子に固定化した抗プロテインS抗体と、試料中のプロテインS(プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型))との抗原抗体反応(測定反応)を行わせる。
そして、この抗原抗体反応(測定反応)により、「…〔抗プロテインS抗体=ラテックス粒子=抗プロテインS抗体〕−〔プロテインS〕−〔抗プロテインS抗体=ラテックス粒子=抗プロテインS抗体〕…」の架橋が形成され、抗プロテインS抗体を固定化したラテックス粒子同士の凝集物が生成する。
(4)そして、分析装置又は分光光度計等において、反応混合液に光を照射して、生成したラテックス粒子同士の凝集物により生ずるシグナルである適当な波長の透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加を測定することにより、生成した前記凝集物の量、すなわち、試料中の総プロテインSタンパク質量を求める。
(5)そして、「試料の測定を行って得た測定値(透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値)」と、「標準液、標準血清等の標準物質(既知濃度のプロテインSを含む試料)の測定を行って得た測定値(透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値)」とを比較することにより、測定を行った試料中の総プロテインSタンパク質量(濃度)の算出を行う。
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法の効果の確認−1)
本発明の総プロテインSタンパク質量の測定試薬における検量線を作成した。
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
C4b結合タンパク質を、B.Dahlbeackらの方法〔Biochem.J.,209巻,847〜856頁,1983年〕に基づいて、ヒト血漿より調製した。
次に、0.1%(w/v)BSA、0.3mol/L塩化ナトリウム及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する50mM
MES−塩酸緩衝液〔pH6.2(20℃)〕を調製した。ここに、前記の通り調製したC4b結合タンパク質を0μg/mL、2μg/mL、4μg/mL、6μg/mL及び8μg/mLの濃度となるように添加し、C4b結合タンパク質濃度の異なる5種類の試薬を第1試薬とした。
(2)第2試薬の調製
(a)抗プロテインS抗体の調製
本発明者らが、精製した遊離状態のプロテインSを免疫抗原として、常法に従って抗プロテインS抗体の調製を行った。
プロテインSのC4b結合タンパク質との結合部位以外の部位に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行い、マウス/マウスのハイブリドーマ(9H6株)を得た。
このハイブリドーマ(9H6株)より産生されたマウス抗プロテインS・モノクローナル抗体の5mgを、0.5mLのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。
これに、0.6mgのS−アセチルメルカプトコハク酸無水物を溶解した0.01mLのN,N−ジメチルホルムアミドを加え、室温で30分間インキュベートした。
次に、これに、0.1M EDTA水溶液の0.02mL、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH7.0)の0.1mL、及び1Mヒドロキシルアミン塩酸緩衝液(pH7.0)の0.1mLをそれぞれ加え、30℃で30分間インキュベートした。
その後、これを、5mM EDTAを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化しておいた、セファデックスG−25カラムでゲルろ過を行い、メルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインSモノクローナル抗体を得た。
(b)抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
平均粒径0.192μmのラテックス粒子の10%懸濁液1.0mLと50mM MES−塩酸緩衝液〔pH6.0(20℃)〕1.0mLとを混和し、更に320mMカルボジイミド(同仁化学研究所;製品番号:348−03631)水溶液32μLを添加して混和し、氷上で10分間放置した。
前記の氷上で10分間放置したラテックス粒子懸濁液1.2mLに、前記(a)で調製したメルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインSモノクローナル抗体を0.083g/dLの濃度で50mM
MES−塩酸緩衝液〔pH6.0(20℃)〕に混和した液1.8mLを加え、4℃で一晩攪拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部を0.8%BSAを含む50mM Tris−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕にて懸濁し、37℃で3時間放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.1%BSAを含む0.05%アジ化ナトリウム水溶液で再分散し、波長700nmにおける吸光度が15.0ODとなるように懸濁した。
これを抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(c)第2試薬の調製
前記(b)で調製した抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液を、0.1%BSAを含む0.05%アジ化ナトリウム水溶液で10倍希釈し、0.1%の「抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子」を含有する懸濁液を調製した。
これを第2試薬とした。
2.試料
(1)試料希釈液の調製
抗プロテインS抗体結合アフィニティカラムを用いて調製したプロテインS欠損血漿(3.2%クエン酸血漿)を試料希釈液とした。
なお、プロテインS欠損血漿は、実施例1の(2)で作製したマウス抗プロテインSモノクローナル抗体を結合させたアフィニティカラム(9H6-Sepharose)を作製し、このカラムに健常人血漿を通し、カラムを素通りした血漿を回収することにより作製した。
また、前記アフィニティカラム(9H6-Sepharose)は、CNBr activated Sepharose(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に、マウス抗プロテインS・モノクローナル抗体を、インストラクションマニュアルに従って結合させて作製した。
(2)試料の調製
(a)試料1
前記(1)で調製した試料希釈液を、プロテインSタンパク質濃度0.0μg/mLの試料1とした。
(b)試料2
総プロテインSタンパク質濃度が24.2μg/mLの3.2%クエン酸血漿を前記(1)の試料希釈液で希釈することにより、プロテインSタンパク質濃度12.4μg/mLの試料2を調製した。なお、この試料2において、試料中の遊離プロテインS濃度は、5μg/mLであった。
(c)試料3
総プロテインSタンパク質濃度が24.2μg/mLの3.2%クエン酸血漿を、プロテインSタンパク質濃度24.2μg/mLの試料3とした。なお、この試料3において、試料中の遊離プロテインS濃度は、9.6μg/mLであった。
(d)試料4
総プロテインSタンパク質濃度が24.2μg/mLの3.2%クエン酸血漿に、プロテインS精製品(Enzyme Research Laboratories社製)を添加することにより、プロテインSタンパク質濃度が31.6μg/mLの試料4を調製した。なお、この試料4において、試料中の遊離プロテインS濃度は、17.6μg/mLであった。
(e)試料5
総プロテインSタンパク質濃度が24.2μg/mLの3.2%クエン酸血漿に、プロテインS精製品(Enzyme Research Laboratories社製)を添加することにより、プロテインSタンパク質濃度が38.7μg/mLの試料5を調製した。なお、この試料5において、試料中の遊離プロテインS濃度は、25.7μg/mLであった。
なお、ここで調製した試料2〜5は、「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」と、「遊離のプロテインS(遊離型)」の両方が存在している試料である。
3.試料中の総プロテインSタンパク質濃度の測定
(1)測定手順
(a)測定は、東芝−120FR形自動分析装置(東芝メディカルシステムズ社製)を使用して行った。
まず、測定用セル(キュベット)に、前記2の(2)の試料1〜5の3μLを添加した。
次に、これらの測定用セル(キュベット)に、前記1の(1)の第1試薬の100μLを添加し、混合した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置した。
これにより、前記の試料に含まれていた遊離のプロテインSと、前記の第1試薬中のC4b結合タンパク質との複合体を形成させた。すなわち、試料に含まれていたプロテインSは、全て「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」となった。
(b)前記の第1試薬の添加後4分40秒目(16ポイント目)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液に、更に、前記1の(2)の(b)の第2試薬の100μLを添加し、混合した。
(c)前記の第1試薬の添加後5分35秒目(19ポイント目)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液の吸光度(波長700nm)を試料盲検として測定した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置して、反応を行わせた。
これにより、前記のラテックス粒子に固定化された抗プロテインS抗体と、前記の試料に含まれていたプロテインSとの抗原抗体反応を行わせ、ラテックス粒子の凝集塊を生成させた。
(d)前記の第1試薬の添加後9分47秒目(33ポイント目)に、この測定用セル(キュベット)内の反応混合液の吸光度(波長700nm)を、前記試料の測定値として測定した。
(e)前記(d)において測定した吸光度(測定値)から前記(c)において測定した吸光度(試料盲検)を差し引き、吸光度差を得た。
なお、この吸光度差は試料に含まれる総プロテインSタンパク質量(濃度)に比例したものである。
これらの試料の吸光度差より検量線を作成し、実検体(3.2%クエン酸血漿)を同様の方法で測定した際の吸光度差を検量線に当てはめて、試料中の総プロテインSタンパク質濃度を求めた。
(2)測定結果
前記(1)において、試料中のプロテインSの測定を行って得られた、前記各試料の測定値、即ち検量線を図1に示した。

なお、この図1において、横軸は試料中に含まれる総プロテインSタンパク質の濃度、縦軸は700nmにおける吸光度の測定値を表す。
4.考察
図1から明らかなように、第1試薬中のC4b結合タンパク質濃度に比例して試料中の総プロテインSタンパク質量に比例した吸光度の上昇が見られる。また、各試料を測定した際の吸光度の上昇は、第1試薬中のC4b結合タンパク質の濃度が6μg/mL以上で、ほぼ飽和状態になることが確認できる。
なお、試料2及び試料3では、第1試薬中のC4b結合タンパク質の濃度が0μg/mLでも、試料中のプロテインSタンパク質量に比例した吸光度の上昇が確認できるが、これは、元々試料に含まれていたC4b結合タンパク質とプロテインSとの複合体に起因するものであり、試料中の総プロテインSタンパク質量を正確に反映した吸光度の上昇ではない。
これらのことより、本発明のC4b結合タンパク質を含有又は存在させた試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法であれば、試料中に含まれる総プロテインSタンパク質量を正確に測定できることが確かめられた。
すなわち、本発明は、試料中に含まれる全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
〔実施例2〕
(本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELSA法との相関)
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法と、ELSA法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法との相関を確かめた。
I.本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法による測定
(1)第1試薬の調製
第1試薬として、前記の実施例1の1の(1)の第1試薬を用いた。
(2)第2試薬の調製
第2試薬として、前記の実施例1の1の(2)の第2試薬を用いた。
2.試料
健常人9名の血漿を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSタンパク質量の測定
前記2の試料のそれぞれについて、前記の実施例1の3の記載の通りに総プロテインSタンパク質量の測定を行い、各試料の総プロテインSタンパク質量を得た。
この試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行って得られた結果を図2〜5に示した。
ここで、第1試薬中のC4b結合タンパク質濃度が2μg/mLのものが図2、4g/mLのものが図3、6μg/mLのものが図4、そして、8μg/mLのものが図5である。なお、第1試薬中のC4b結合タンパク質濃度が0μg/mLでは、検量線が作成できなかったため、測定を行っていない。
II.ELSA法による試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定方法及び測定試薬による測定
1.ELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬
(1)C4b結合タンパク質固定化マイクロプレート試薬の調製
(a) C4b結合タンパク質を、B.Dahlbeackらの方法〔Biochem.J.,209巻,847〜856頁,1983年〕に基づいて、ヒト血漿より調製した。
(b)この調製したC4b結合タンパク質を、炭酸緩衝液(50mM炭酸水素ナトリウム(pH9.6))に2.5μg/mLとなるように溶解した。
これを、96ウェル−マイクロプレート(「MODULE
PLATE F8」(商品名);ヌンク社製)の各ウェルに1ウェル当たり100μLずつ加え、4℃で一晩静置して、C4b結合タンパク質のマイクロプレートのウェルへの固定化を行った。
(c)このマイクロプレートの各ウェルを、洗浄液〔0.05%ツイーン20(Tween20)を含む50mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)〕で3回洗浄した後、ブロッキング液〔「Block Ace」(商品名)(大日本製薬社製)を純水に溶解し、25%の濃度としたもの〕を1ウェル当たり250μLずつ加え、4℃で一晩静置することによりブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
以上の操作により、C4b結合タンパク質固定化マイクロプレート試薬の調製を行った。
(2)パーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体試薬の調製
(a)抗プロテインS抗体の調製
実施例1の1の(a)に記載した方法に従ってメルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインS・モノクローナル抗体を得た。
(b)パーオキシダーゼの調製
2mgのパーオキシダーゼ(POD、又はHRP)〔ホースラディシュ由来;東洋紡績社製〕を、0.3mLの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した。
これに、0.25mgのN−サクシミジル−6−マレイミドヘキサン酸を溶解したN,N−ジメチルホルムアミドを30μL加えて、30℃で60分間インキュベートした。
その後、これを、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化しておいた、セファデックスG−25カラムでゲルろ過を行い、マレイミド化したパーオキシダーゼを得た。
(c)前記(a)で調製したメルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインS・モノクローナル抗体の2.3mgを、5mM
EDTAを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)の0.25mLに溶解した。
これに、前記(b)で調製したマレイミド化したパーオキシダーゼの1.8mgを0.25mLの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に溶解したものを添加した。
この混合物を、30℃で20時間インキュベートした後、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化しておいた、ウルトラゲルAcA34カラムでゲルろ過を行い、マウス抗プロテインS・モノクローナル抗体をパーオキシダーゼで標識した、パーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体を得た。
(d) 前記(c)で得たパーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体を、検体希釈液〔25%の「Block Ace」(商品名)(大日本製薬社製)、0.1M塩化ナトリウム、及び5mM塩化カルシウムを含む、10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH7.5)〕で、1μg/mLになるように希釈して、パーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体試薬を調製した。
2.試料
前記のIの2における試料(健常人9名の血漿)を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSタンパク質量の測定
(1)測定手順
(a)前記1の(1)で調製した「C4b結合タンパク質固定化マイクロプレート試薬」、及び前記1の(2)で調製した「パーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体試薬」を用いて前記2の試料の測定を行った。
(b) 前記2の試料と検体希釈液〔0.1%BSA、0.1%塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)〕で、5271倍希釈し、前記1の(1)で調製したC4b結合タンパク質固定化マイクロプレート試薬のマイクロプレートのウェルに、1ウェル当たり100μL分注した。
この操作を、前記マイクロプレートの9枚について行った。
そして、このマイクロプレートの各々をそれぞれ、37℃で4時間静置して反応を行わせた。
(c) この37℃での4時間の反応の後、反応を行わせたマイクロプレートの各ウェルを、前記1の(1)の(c)の洗浄液で5回ずつ洗浄した。
この操作により、固定化されたC4b結合タンパク質に結合しなかったプロテインS等の成分を前記ウェルより除去した。(BF分離)
(d) 前記1の(2)で調製したパーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体試薬を、前記(c)で洗浄した後のマイクロプレートの各ウェルに100μLずつ分注した。そして、これを25℃で1時間静置して反応を行わせた。
この操作により、マイクロプレートのウェルに固定化されたC4b結合タンパク質に結合したプロテインSに、パーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体を結合させた。
(e) この25℃、1時間の反応の後、反応を行わせたマイクロプレートの各ウェルを、前記の洗浄液で5回ずつ洗浄した。
この操作により、マイクロプレートに間接的に固定化されたプロテインSに結合しなかったパーオキシダーゼ標識抗プロテインS・モノクローナル抗体等の成分を前記ウェルより除去した。(BF分離)
(f)その後、HRP発色試薬〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を含む;「TMB
Soluble Reagent」、Scy Tek Laboratories社(米国)製〕を、前記(e)で洗浄した後のマイクロプレートの各ウェルに100μLずつ加え、室温で10分間、発色反応を行わせた。
(g) この後、この反応を行わせたマイクロプレートの各ウェルに、発色停止試薬〔「TMB
Stop Buffer」、Scy Tek Laboratories社(米国)製〕を100μLずつ加え、撹拌することにより、発色反応を停止させた。
(h) このマイクロプレートの各ウェルの、450nmにおける吸光度の測定を、EIAマイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)により行った。
(i)そして、試料中のプロテインSの測定値(濃度)を、次のようにして求めた。
実施例1の2で調製した試料を標準物質とし、これを先の試料と同様にして前記の測定操作を行って吸光度を求め、試料と標準物質の両方の吸光度を比較することにより測定を行った試料中の総プロテインSタンパク質濃度の算出を行った。
この試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行って得られた結果を図2〜5に示した。
III.測定結果
前記Iにおける試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果と、前記IIにおける試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果とを、これらの相関の図として図2〜5に示した。
これらの図において、横軸(x)は前記IIのELSA法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL」である。
また、これらの図において、縦軸(y)は前記Iにおける本発明の測定試薬及び測定方法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL」である。
また、相関の関係式を求めた結果を表1に示した。
この表1において、第1試薬中のC4b結合タンパク質濃度毎に、回帰式及び相関係数を示した。
Figure 2012193959
この図、そして相関の回帰式より、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法は、C4b結合タンパク質の濃度が6μg/mL以上の場合に、ELSA法による試料中の総プロテインSタンパク質量とより良好な相関性を示すことが分かる。
このようにELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定値と良好な相関性を示すことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法が、正確なものであることが分かる。
そして、このようにELSA法による総プロテインSタンパク質量の測定値と良好な相関性を示すことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法が、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を正確に測定することができる測定試薬及び測定方法であることが確かめられた。
また、前記のC4b結合タンパク質を総プロテインSタンパク質量の測定試薬に存在させる濃度が6μg/mL以上の場合、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、C4b結合タンパク質とプロテインSとのモル比は、0.9であった。
すなわち、本発明において、C4b結合タンパク質を総プロテインSタンパク質量の測定試薬に存在させる濃度は、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、C4b結合タンパク質とプロテインSとのモル比が0.9以上(C4b結合タンパク質/プロテインS≧0.9)となるように設定することが好ましいことが確かめられた。
〔実施例3〕
(本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法の再現性の検討)
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法により試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する際の測定の再現性について検討した。
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
C4b結合タンパク質を25μg/mLの濃度となるように添加すること以外は、前記の実施例1の1の(1)と同様に第1試薬を調製した。
(2)第2試薬の調製
第2試薬として、前記の実施例1の1の(2)の第2試薬を用いた。
2.試料
ヒトの血漿の4検体を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSタンパク質量の測定
(1)前記2の試料のそれぞれについて、前記の実施例1の3の記載の通りに総プロテインSタンパク質量の測定を行った。
(2)前記(1)の操作を繰り返して計5回行い、同時再現性の検討を行なった。
(3)また、前記(1)の操作を連続する3日間のそれぞれの日に行い、日差再現性の検討を行なった。
4.測定結果
前記の通りに試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行って得られた結果を表2に示した。
この表において、同時再現性のデータ、及び日差再現性のデータとも、それぞれの試料毎に、「平均値±標準偏差(SD)」及び「変動係数(CV)」を示した。
Figure 2012193959
この表より、同時再現性における変動係数(CV)は0.4%〜1.2%の範囲のものであり、測定値のバラツキが小さく、精密に測定できていることが分かる。
また、日差再現性における変動係数(CV)は0.7%〜1.4%の範囲のものであり、例え測定を行う日が異なったとしてもその測定値のバラツキは小さく、精密に測定できることが分かる。
これらのことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法は測定の再現性がよく、精密に測定が行えるものであることが確かめられた。
〔実施例4〕
(本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬とELISA法との相関)
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法と、ELISA法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法との相関を確かめた。
I.本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法による測定
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
第1試薬として、前記の実施例3の1の(1)の第1試薬を用いた。
(2)第2試薬の調製
第2試薬として、前記の実施例1の1の(2)の第2試薬を用いた。
2.試料
健常人50名の血漿を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSタンパク質量の測定
前記2の試料のそれぞれについて、前記の実施例1の3の記載の通りに総プロテインSタンパク質量の測定を行い、各試料の総プロテインSタンパク質量を得た。
この試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行って得られた結果を図6に示した。
II.ELISA法による試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定方法及び測定試薬による測定
1.ELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬
ELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定試薬として、市販の「アセラクロム トータルプロテイン S TMB」(製造者:DIAGNOSTICA STAGO社、フランス国;製造販売者:ロシュ・ダイアグノスティックス社、日本国)を用いた。
なお、この「アセラクロム トータルプロテイン S TMB」は次のものより構成される。
(a)抗体コーティングストリップ(抗総プロテインSマウスモノクローナル抗体)
(b)抗体コンジュゲート(ペルオキシダーゼ標識抗総プロテインSマウスモノクローナル抗体)
(c)基質液(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、及び30%過酸化水素水)
(d)希釈緩衝液
(e)洗浄液
(f)スタンダード(総プロテインS・キャリブレーター)
(g)コントロール(総プロテインS・コントロール)
(h)プレートフレーム
(i)プレートカバー
2.試料
前記のIの2における試料(健常人50名の血漿)を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSタンパク質量の測定
「アセラクロム トータルプロテイン S TMB」の添付文書の記載に従い、試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行った。
なお、この「アセラクロム トータルプロテイン S TMB」における操作方法は次の通りである。
(a) 検体(クエン酸血漿)を希釈緩衝液で101倍に希釈し、試料とする。
(b) 希釈緩衝液で101倍に希釈して調製したスタンダードを段階的に希釈し、希釈系列を作成する。
(c) 抗体コーティングストリップの各ウェルに抗体コンジュゲートを50μL分注する。
(d) 試料又は希釈したスタンダード200μLをそれぞれ分注し、18〜25℃で1時間インキュベーションする。
(e) 各ウェルの内容液を吸引除去し、洗浄液で5回洗浄する。
(f) 洗浄液を吸引除去した後、各ウェルに基質液200μLを分注し、18〜25℃で5分間インキュベーションする。
(g) 1M硫酸50μLを分注し、プレートを穏やかに揺らして内容物を混和する。15分間放置した後、1時間以内に波長450nmにおける吸光度を測定する。
(h) スタンダードの吸光度と試料の吸光度を比較し、試料中の総プロテインS濃度を求める。
このようにして、前記2の各試料の総プロテインSタンパク質量を得た。
この試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を行って得られた結果を図6に示した。
III.測定結果
前記Iにおける試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果と、前記IIにおける試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果とを、これらの相関の図として図6に示した。
この図において、横軸(x)は前記IIのELISA法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL」である。
また、この図において、縦軸(y)は前記Iにおける本発明の測定試薬及び測定方法による試料中の総プロテインSタンパク質量の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL」である。
この相関の回帰式を求めた結果、回帰式はy=0.908x−1.282であり、相関係数はr=0.97であった。(x:前記IIのELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定結果、y:前記Iの本発明による総プロテインSタンパク質量の測定結果)
この図、そして相関の回帰式より、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法は、ELISA法による試料中の総プロテインSタンパク質量と良好な相関性を示すことが分かる。
このようにELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定値と良好な相関性を示すことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法が、正確なものであることが分かる。
そして、このようにELISA法による総プロテインSタンパク質量の測定値と良好な相関性を示すことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法が、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を測定することが出来るものであることが分かる。
これらのことより、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法が、試料中の総プロテインSタンパク質量を正確に測定することが出来るものであることが確かめられた。
〔実施例5〕
(総プロテインSのタンパク質量と総プロテインSの活性値との比較)
本発明の試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定試薬及び測定方法により得た総プロテインSのタンパク質量と、比色法による試料中の総プロテインSの活性値の測定方法及び測定試薬により得た総プロテインSの活性値とを比較した。
I.本発明の試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定方法及び測定試薬による測定
1.総プロテインSのタンパク質量の測定試薬
(1)第1試薬の調製
第1試薬として、前記の実施例3の1の(1)の第1試薬を用いた。
(2)第2試薬の調製
第2試薬として、前記の実施例1の1の(2)の第2試薬を用いた。
2.試料
次の(1)〜(4)をそれぞれ試料として用いた。
(1)健常人211名の血漿
(2)プロテインSの遺伝子変異であるPS−K155Eヘテロ接合体(プロテインSの異常症の一つであるプロテインS徳島)であることが判明している7名の血漿
(3)プロテインSの遺伝子変異であるPS−K155Eホモ接合体(プロテインSの異常症の一つであるプロテインS徳島)であることが判明している1名の血漿
(4)プロテインSの遺伝子変異であるC206Fヘテロ接合体(プロテインSの異常症の一つ)であることが判明している1名の血漿
3.試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定
前記2の試料のそれぞれについて、前記の実施例1の3の記載の通りに総プロテインSのタンパク質量の測定を行い、各試料の総プロテインSのタンパク質量を得た。
この試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定を行って得られた結果を図7に示した。
II.比色法による試料中の総プロテインSの活性値の測定方法及び測定試薬による測定
1.比色法による総プロテインSの活性測定試薬
(1)希釈液
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、希釈液を調製した。
Triton X−100(和光純薬工業社、日本国) 0.06%(W/V)
ウシ血清アルブミン(BSA) 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム 0.1M
クエン酸三ナトリウム 10.6mM
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 50mM
(2)第1試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、第1試薬を調製した。
活性化プロテインC(精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc社、米国) 397pM
界面活性剤
リン脂質
塩化カルシウム 2.5mM
ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma−Aldrich社、米国) 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム 0.1M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 50mM
なお、界面活性剤は、Triton X−100(ポリオキシエチレン(n=9,10)p−t−オクチルフェニルエーテル、和光純薬工業社、日本国)を0.006%(W/V)の濃度となるように含有させた。
また、リン脂質は、ホスファチジルセリン(ブタ脳ホスファチジルセリン;PS;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)0.4mg、ホスファチジルコリン(ブタ肝臓ホスファチジルコリン;PC;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)0.4mg、及びホスファチジルエタノールアミン(ブタ肝臓ホスファチジルエタノールアミン;PE;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)0.4mgをそれぞれ試験管に採取し、エバポレーターにて溶媒であるクロロフォルムを蒸発させた後、蒸留水を添加し1分間激しく撹拌した後、60℃で10分間超音波処理を行って調製したホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの組成比が1:1:1のリン脂質を、24μMの濃度となるように含有させた。〔なお、このホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの組成比が1:1:1のリン脂質を、以下「リン脂質(PS:PC:PE=1:1:1)」ということがある。〕
(3)第2試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
活性化血液凝固第V因子(精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc社、米国) 357pM
界面活性剤
リン脂質
塩化カルシウム 2.5mM
ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma−Aldrich社、米国) 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム 0.1M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 50mM
なお、界面活性剤は、Triton X−100(ポリオキシエチレン(n=9,10)p−t−オクチルフェニルエーテル、和光純薬工業社、日本国)を0.006%(W/V)の濃度となるように含有させた。
また、リン脂質は、前記のリン脂質(PS:PC:PE=1:1:1)を、24μMの濃度となるように含有させた。
(4)第3試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.5(20℃)に調整して、第3試薬を調製した。
活性化血液凝固第X因子(精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc社、米国) 50pM
プロトロンビン(精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc社、米国) 738nM
S−2238(トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;Chromogenix-Instrumentation Laboratory社、イタリア国) 750μM
リン脂質
塩化カルシウム 5.0mM
ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma−Aldrich社、米国) 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム 0.15M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 50mM
なお、リン脂質は、ホスファチジルセリン(ブタ脳ホスファチジルセリン;PS;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)0.6mg、ホスファチジルコリン(ブタ肝臓ホスファチジルコリン;PC;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)0.4mg、及びホスファチジルエタノールアミン(ブタ肝臓ホスファチジルエタノールアミン;PE;DOOSAN Serdary Research Laboratories社、韓国)1.0mgをそれぞれ試験管に採取し、エバポレーターにて溶媒であるクロロフォルムを蒸発させた後、蒸留水を添加し1分間激しく撹拌した後、60℃で10分間超音波処理を行って調製したホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの組成比が3:2:5(すなわち、30%(W/V):20%(W/V):50%(W/V))のリン脂質を、7.5μMの濃度となるように含有させた。〔なお、このホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの組成比が3:2:5のリン脂質を、以下「リン脂質(PS:PC:PE=3:2:5)」ということがある。〕
2.試料
前記のIの2の(1)〜(4)の各試料を、試料として用いた。
3.試料中の総プロテインSの活性値の測定及び算出
各試料の総プロテインSの活性値の測定は、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7170S形汎用自動分析装置を使用して行った。
(1)前記2の試料それぞれについて、前記1の(1)の希釈液により希釈倍率15倍で希釈を行った。
(2)前記(1)で希釈した試料2.0μLに、前記1の(2)の第1試薬の98μLを添加し、37℃で1.4分間反応させた。
(3)次に、前記1の(3)の第2試薬の20μLを添加し、37℃で8.3分間反応させた。
(4)次に、前記1の(4)の第3試薬の236μLを添加し、37℃で反応させた。
(5)前記(4)における第3試薬の添加の後、主波長405nm及び副波長505nmにおける吸光度の変化を12、3分間測定した。
4.試料中の総プロテインSの活性値の算出
前記3の(5)において測定した第3試薬添加後の吸光度変化(反応のタイムコース)の値を微分して、試料中の総プロテインSの活性値を求めた。
なお、予め、総プロテインS活性値が既知の試料について、前記3の通り測定を行い、測定した第3試薬添加後の吸光度変化(反応のタイムコース)の1分間当りの吸光度変化量を時間に対して直線式(微分直線)を求め、この直線の傾きをこの既知の総プロテインS活性値に対してプロットして検量線を作成した。
そして、前記2の試料を前記3の通り測定を行って得た、第3試薬添加後の吸光度変化(反応のタイムコース)の1分間当りの吸光度変化量を、時間に対して直線式(微分直線)を求め、この直線の傾きを前記の検量線に当てはめて、試料中の総プロテインSの活性値を算出した。
すなわち、測定により得られた吸光度より吸光度変化の加速度(吸光度の二次微分値)を求め、検量線に当てはめることにより、試料中の総プロテインSの活性値を算出した。
なお、本特許出願の明細書及び図面においては、精製ヒトプロテインS(Enzyme Research Laboratories,Inc社、米国)の1μg/mLが有する総プロテインS活性値を、総プロテインS活性値1μg/mL当量と定義した。
よって、本特許出願の明細書及び図面においては、総プロテインSの活性は、「μg/mL当量」を用いて表している。
この試料中の総プロテインSの活性値の測定を行って得られた結果を図7に示した。
III.測定結果
1.図の説明
前記Iにおける試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、前記IIにおける試料中の総プロテインSの活性値の測定結果とを比較する図を、図7として示した。
この図において、横軸(x)は前記Iの本発明による試料中の総プロテインSのタンパク質量の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL」である。
また、この図において、縦軸(y)は前記IIにおける比色法による試料中の総プロテインSの活性測定方法及び活性測定試薬による試料中の総プロテインSの活性値の測定結果を表す。この測定値の単位は「μg/mL当量」である。
2.健常人の試料の比較
前記Iの本発明による総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、前記IIの比色法による総プロテインSの活性値の測定結果との比較を、次のようにして行った。
試料が健常人211名の血漿である場合について、前記Iの総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、前記IIの総プロテインSの活性値の測定結果より、プロテインSの比活性(総プロテインS活性値/総プロテインSタンパク質量)を求めた。
この健常人211名の血漿の試料のプロテインSの比活性の平均値と標準偏差(以下、SDということがある)を算出し、平均±2SD(0.98±0.26)の範囲を求めた。
この範囲を外れる試料が10あったので、この10の試料を除外した健常人201名の試料について、再度、総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、総プロテインSの活性値の測定結果より求めたプロテインSの比活性(総プロテインS活性値/総プロテインSタンパク質量)の平均値と標準偏差を算出し、平均±2SD(0.99±0.20)範囲と平均±3SD(0.99±0.30)範囲を求めた。
なお、この図は、各々の試料について、試料中の総プロテインSの活性値を総プロテインSのタンパク質量で除した比活性を表すものでもある。
この図において、比活性の平均値であるy=0.99xの式の線を実線で表した。
また、この式y=0.99xの上及び下に、平均±2SDを示す線(y=1.19x、及びy=0.79x)を破線でこの図に表した。
そして、この式y=0.99xの線の上に平均+3SDを示す線(y=1.29x)を点線で、またこの式y=0.99xの線の下に平均−3SDを示す線(y=0.69x)を実線でこの図に表した。
健常人211名の血漿の試料の測定結果において、この図7で、前記のy=0.69x(平均−3SD)の線よりも下に外れるものが、7つ認められた。
すなわち、総プロテインSの活性値を総プロテインSのタンパク質量で除した比活性が0.69以下の試料が、7つ認められた。
これらの比活性が0.69以下の7つの試料のうち、すなわち総プロテインSの活性値と総プロテインSのタンパク質量が大きく乖離している7の試料のうち、同意が得られた3つの試料についてプロテインS遺伝子の塩基配列を調べたところ、これらの3つの試料のいずれもプロテインS遺伝子のPS−K155E変異(プロテインSの異常症の一つ)であることが判明した。〔図7において、これらの3つの試料に矢印(↓又は↑)を付した。〕
このことより、試料中の総プロテインSのタンパク質量及び試料中の総プロテインSの活性値を測定し、この測定により得た総プロテインSのタンパク質量と総プロテインSの活性値とを、比活性を求める等により比較することにより、プロテインSの遺伝子の変異等のプロテインSの異常症を検出することが出来ることが確かめられた。
3.プロテインSの遺伝子変異(プロテインSの異常症)であることが判明している試料の比較
前記Iの2の(2)〜(4)のプロテインSの遺伝子変異(プロテインSの異常症)であることが判明している試料(計9名の試料)のそれぞれについて、前記Iの本発明による総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、前記IIの比色法による総プロテインSの活性値の測定結果との比較を行う。
図7において、前記Iの2の(2)のプロテインSの遺伝子変異であるPS−K155Eヘテロ接合体(プロテインSの異常症の一つ)であることが判明している7名の血漿の試料を「●」で示した。
また、前記Iの2の(3)のプロテインSの遺伝子変異であるPS−K155Eホモ接合体(プロテインSの異常症の一つ)であることが判明している1名の血漿の試料を「◆」で示した。
そして、前記Iの2の(4)のプロテインSの遺伝子変異であるC206Fヘテロ接合体(プロテインSの異常症の一つ)であることが判明している1名の血漿の試料を「□」で示した。
プロテインSの遺伝子変異であることが判明しているこれらの9つの試料(●、◆及び□)はいずれも、前記の図7におけるy=0.69x(平均−3SD)の線よりも下に外れていることが分かる。
すなわち、プロテインSの遺伝子変異であることが判明しているこれらの9つの試料(●、◆及び□)はいずれも、総プロテインSの活性値を総プロテインSのタンパク質量で除した比活性が0.69以下であることが分かる。
つまり、これらの9つの試料は、総プロテインSの活性値と総プロテインSのタンパク質量が大きく乖離していることが分かる。
よって、試料中の総プロテインSのタンパク質量及び試料中の総プロテインSの活性値を測定し、この測定により得た総プロテインSのタンパク質量と総プロテインSの活性値とを、比活性を求める等により比較することにより、プロテインSの遺伝子の変異等のプロテインSの異常症を検出することが出来ることが、これらのプロテインSの遺伝子変異の9つの試料の比較結果からも確かめられた。
本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法は、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についてそのタンパク質量を、すなわち、総プロテインSのタンパク質量を測定することが出来るものである。
よって、本発明により総プロテインSタンパク質量を求めた試料について、別途総プロテインSの活性値を求め、その試料におけるプロテインSの比活性(活性値/タンパク質量)を算出することにより、プロテインSの異常症を検出することができる。
すなわち、本発明の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬及び測定方法を用いることにより、プロテインSの異常症を検出し、血栓症等の疾患の予防、診断及び治療等に役立てることができる。
そして、ヒト血液中においては、通常、プロテインSに比べてC4b結合タンパク質のモル濃度は小さく、また解離定数も小さいため、血液中には「プロテインS」及び「プロテインS−C4b結合タンパク質複合体」のみ存在する。つまり、記の反応の平衡は、完全に右に寄っていることになる。
なお、遊離のプロテインS(すなわち、遊離型)のみが、活性化プロテインCに対する補酵素活性を示し、活性化プロテインの活性を上昇させることができるのである。
なお、本発明における試料中の総プロテインSタンパク質量の測定を、ラテックス免疫比濁法等の比濁法により測定を行う場合、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の測定反応時における濃度は、前記の特異的結合物質の担体表面上での分布密度、担体粒子の大きさ(粒径)、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概に言うことはできない。
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、担体粒子に固定化された抗プロテインS抗体と、試料中に含まれていたプロテインSとの、抗原抗体反応が行われる測定反応時に、抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子の濃度が、この測定反応時の反応混合液中において0.005〜1%()となるようにするのが一般的であり、この場合、反応混合液中においてこのような濃度になるような濃度の抗プロテインS抗体を固定化した担体粒子を測定試薬に含有させることが好ましい。
1.測定試薬
(1)第1試薬の調製
C4b結合タンパク質を、B.Dahlbeackらの方法〔Biochem.J.,209巻,847〜856頁,1983年〕に基づいて、ヒト血漿より調製した。
次に、0.1%()BSA、0.3mol/L塩化ナトリウム及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する50mM MES−塩酸緩衝液〔pH6.2(20℃)〕を調製した。ここに、前記の通り調製したC4b結合タンパク質を0μg/mL、2μg/mL、4μg/mL、6μg/mL及び8μg/mLの濃度となるように添加し、C4b結合タンパク質濃度の異なる5種類の試薬を第1試薬とした。
3.試料中の総プロテインSタンパク質濃度の測定
(1)測定手順
(a)測定は、東芝−120FR自動分析装置(東芝メディカルシステムズ社製)を使用して行った。
まず、測定用セル(キュベット)に、前記2の(2)の試料1〜5の3μLを添加した。
次に、これらの測定用セル(キュベット)に、前記1の(1)の第1試薬の100μLを添加し、混合した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置した。
(b)前記の第1試薬の添加後4分40秒目(16ポイント目)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液に、更に、前記1の(2)の()の第2試薬の100μLを添加し、混合した。
この健常人211名の血漿の試料のプロテインSの比活性の平均値と標準偏差(以下、SDということがある)を算出し、平均±2SD(0.98±0.26)の範囲を求めた。
この範囲を外れる試料が10あったので、この10の試料を除外した健常人201名の試料について、再度、総プロテインSのタンパク質量の測定結果と、総プロテインSの活性値の測定結果より求めたプロテインSの比活性(総プロテインS活性値/総プロテインSタンパク質量)の平均値と標準偏差を算出し、平均±2SD(0.99±0.20)範囲と平均±3SD(0.99±0.30)範囲を求めた。

Claims (6)

  1. プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と試料とを接触させ、前記抗体と試料に含まれていたプロテインSとの抗原抗体反応により生成した凝集物を測定することにより、試料中の総プロテインSタンパク質量を測定する方法において、前記抗原抗体反応の反応時にC4b結合タンパク質を存在させることを特徴とする測定方法。
  2. 担体粒子がラテックス粒子である、請求項1記載の測定方法。
  3. 試料中の総プロテインSタンパク質量の測定が、次の(a)及び(b)の工程を含む方法により行われるものである、請求項1又は2に記載の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定方法。
    (a)試料と、C4b結合タンパク質とを混合し、接触させ、この混合液中において前記試料に含まれる遊離のプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体を形成させる工程。
    (b)前記混合液をプロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と接触させ、前記抗体とプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体との抗原抗体反応により生成した凝集物を測定する工程。
  4. プロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子を含む測定試薬において、C4b結合タンパク質を含有することを特徴とする試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬。
  5. 担体粒子がラテックス粒子である、請求項4記載の測定試薬。
  6. 次の(a)及び(b)の工程を含む試料中の総プロテインSタンパク質量の測定のためのものである、請求項4又は5に記載の試料中の総プロテインSタンパク質量の測定試薬。
    (a)試料と、C4b結合タンパク質とを混合し、接触させ、この混合液中において前記試料に含まれる遊離のプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体を形成させる工程。
    (b)前記混合液をプロテインSに対する抗体を固定化した担体粒子と接触させ、前記抗体とプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体との抗原抗体反応により生成した凝集物を測定する工程。
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