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JP2012167198A - 光学材料用組成物 - Google Patents

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JP2012167198A JP2011029537A JP2011029537A JP2012167198A JP 2012167198 A JP2012167198 A JP 2012167198A JP 2011029537 A JP2011029537 A JP 2011029537A JP 2011029537 A JP2011029537 A JP 2011029537A JP 2012167198 A JP2012167198 A JP 2012167198A
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Abstract

【課題】重合硬化前の段階で、重合硬化後における黄色発生の有無の予測、良否の判断を可能にする、ポリチオールを含む光学材料用組成物、および該組成物を重合することにより得られる光学材料を提供する。
【解決手段】鉄、クロムおよびニッケルの合計含有量5.0ppm以下のポリチオールと、エピスルフィドを含む光学材料用組成物、もしくはさらにポリイソシアネート化合物を含有する光学材料用組成物、さらに硫黄を含有する光学材料用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用組成物等に関し、特に、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でもプラスチックレンズに好適である光学材料用組成物等に関する。
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに特に要求される性能は、物理的性質としては、低比重、高透明性及び低黄色度、高耐熱性、高強度等であり、光学性能としては高屈折率と高アッベ数である。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減するが、屈折率が上昇するほどアッベ数は低くなるため、両者を同時に向上させる検討が実施されている。これらの検討の中で最も代表的な方法は、エピスルフィド化合物を使用する方法である(特許文献1参照)。
耐酸化性を改善するために、エピスルフィド化合物にチオール化合物を添加した組成が提案されている(特許文献2参照)。さらに高屈折率を目指した検討も行われており、硫黄とエピスルフィドとチオールからなる組成物が提案されている(特許文献3、4参照)。
しかしながら、これらチオールを含む組成物は、重合硬化した際に黄色に変色する場合があった。光学材料用途であるため、硬化後に変色するとすべて不良となり膨大な損失が生じることになる。したがって、硬化前の段階において、硬化後の黄色の変色発生の有無を予測し、良否の判断を可能にする手法が望まれていた。
特開平9−110979号公報 特開平10−298287号公報 特開2001−2783号公報 特開2004−137481号公報
本発明が解決しようとする課題は、重合硬化前の段階で硬化後の黄色の変色発生の有無を予測、判別し、良否の判断が可能なポリチオールを含む光学材料用組成物等を提供することである。
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオールと、エピスルフィドを含む光学材料用組成物等により本課題を解決し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 鉄、クロムおよびニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオール化合物と、エピスルフィド化合物を含有することを特徴とする光学材料用組成物。
<2> さらにポリイソシアネート化合物を含有する、上記<1>に記載の光学材料用組成物。
<3> さらに硫黄を含有する、上記<1>または<2>に記載の光学材料用組成物である。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかに記載の光学材料用組成物を重合することにより得られた光学材料。
<5> 光学材料用組成物の重合後にアニール処理が施されている、上記<4>に記載の光学材料。
<6> 鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオール化合物と、エピスルフィド化合物とを混合する工程を含むことを特徴とする光学材料用組成物の製造方法。
本発明により、従来技術では困難であった、重合硬化前の段階で硬化後の黄色の変色発生の有無を予測、判別し、良否の判断を可能にする、ポリチオール化合物を含む光学材料用組成物等を提供することが可能となった。
本発明で用いられるポリチオール化合物は、すべてのポリチオール化合物を包含するが、具体的には、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル1,4−ジメルカプトプロパン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン等を挙げることができる。
以上の中で好ましい化合物の具体例としては、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。さらに好ましい化合物の具体例としては、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンであり、最も好ましい化合物はビス(2−メルカプトエチル)スルフィドである。
ポリチオール中の鉄、クロム、ニッケルの合計含有量は、鉄、クロム、ニッケルの合計の含有量を測定できるのであればどのような測定方法でも構わないが、好ましくはICP発光分析装置を用いて測定する。測定は定法に従い、ポリチオールを硫酸や硝酸等の酸で前処理したのち行う。これら測定を行い、鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオールが用いられる。好ましくは2.0ppm以下、より好ましくは1.0ppm以下、さらに好ましくは0.5ppm以下、最も好ましくは0.3ppm以下である。
鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が5.0ppmを超えた場合、これらポリチオールを含む組成物は、重合硬化した際に黄色に変色して使用不可となる。したがって、鉄、クロム、ニッケルの合計含有量を測定することで、重合硬化せずに黄色に変色発生の有無を予測、判別し、ポリチオールの品質の良否の判断が可能となる。
なお、鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が5.0ppmを超える場合、精製工程を経て5.0ppm以下とすることは有効な手法である。更に精製をかけて好ましい、より好ましい、さらに好ましくい、最も好ましい状態とすることも有効な手法である。精製の手法としては水洗、蒸留、カラム分離操作、吸着剤処理、イオン交換樹脂処理等が挙げられるが、水洗、蒸留が好ましい。
水洗は、溶媒を使用してもしなくてもよいが、通常は使用する。溶媒としては該ポリチオールを溶解するのであればどのような溶媒を用いても構わないが、好ましくは水と分離しやすいエーテル、トルエン、ベンゼン、好ましくはトルエンを用いる。したがって水洗は、通常トルエンに溶解した状態で行い、終了後にトルエンを除去する。
蒸留は、使用するポリチオールにより条件が異なるが、該ポリチオールが蒸留出来るのであればどのような条件でも構わない。好ましくは減圧下であり、より好ましくは0.01〜100Torrである。蒸留温度は分解しない温度であればよいが、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50℃〜150℃である。
本発明で用いられるエピスルフィド化合物は、すべてのエピスルフィド化合物を包括するが、具体例として鎖状脂肪族骨格、脂肪族環状骨格、芳香族骨格を有する化合物に分けて列挙する。
鎖状脂肪族骨格を有する化合物としては、下記(1)式で表される化合物が挙げられる。

(ただし、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。)
脂肪族環状骨格を有する化合物としては、下記(2)式または(3)式で表される化合物が挙げられる。

(p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。)

(p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。)
芳香族骨格を有する化合物としては、下記(4)式で表される化合物が挙げられる。

(p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。)
中でも好ましい化合物は、鎖状脂肪族骨格を有する上記(1)式で表される化合物であり、具体的にはビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィドである。特に好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(上記(1)式でn=0)、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(上記(1)式でm=0、n=1)であり、最も好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(上記(1)式でn=0)である。
また、脂肪族環状骨格を有するエピスルフィド化合物としては、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン(上記(2)式でp=0、q=0)、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン(上記(2)式でp=1、q=1)、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−1,4−ジチアン(上記(3)式でp=0、q=0)、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等を挙げることができる。
また、芳香族骨格を有するエピスルフィド化合物としては、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン(上記(4)でp=0、q=0)、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン(上記(4)式でp=1、q=1)、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィン、4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等を挙げることができる。
本発明の光学材料用組成物は、ポリチオールとエピスルフィドの合計を100重量部とした場合、ポリチオールは通常1〜30重量部であるが、好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは3〜15重量部である。
本発明の光学材料用組成物は、更にポリイソシアネート化合物を加えてもよい。該ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を複数有する総ての化合物を包含するが、具体的には、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナートメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2、2’−ビス(4−イソシアナートフェニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアナートトリル)フェニルメタン、4,4’,4’’−トリイソシアネート−2,5−ジメトキシフェニルアミン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナートビフェニル、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナートベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナートベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナート−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアナートメチル)ナフタレン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアナートメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナートメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナートメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアナートメチル)ノルボルネン、ビス(イソシアナートメチル)アダマンタン、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3,5−トリ(1−イソシアナートヘキシル)イソシアヌル酸、チオジエチルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ビス〔(4−イソシアナートメチル)フェニル〕スルフィド、2,5−ジイソシアネート−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアナートメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアナートメチルチオフェン、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネート等のポリイソシアネート類、さらには上記のイソシアネート類のイソシアネート基の全部または一部をイソチオシアネート基に変えた化合物等を挙げることができる。また、以上のうちポリイソシアネート類については、ビュレット型反応による二量体、環化三量体およびアルコールまたはチオールの付加物等のイソシアネート類を挙げることができる。以上具体例を示したが、本発明の光学材料用組成物に用いることができるポリイソシアネート化合物はこれらに限定されるわけではなく、また、これらポリイソシアネート化合物は、単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
以上の中で好ましいポリイソシアネート化合物は、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナートメチル)ノルボルネン、2,5−ジイソシアナートメチル−1,4−ジチアン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼンであり、最も好ましいポリイソシアネート化合物は、m−キシリレンジイソシアネートである。
上記ポリイソシアネート化合物の添加量は、光学材料用組成物全量に対して、通常は0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜20質量部であり、より好ましくは1〜15質量部である。
なお、本発明の光学材料用組成物に硫黄を加えても良い。硫黄を用いる場合は、あらかじめエピスルフィド化合物と硫黄を予備的に反応させておくことが好ましい。この予備的な重合反応の条件は、好ましくは−10℃〜120℃で0.1〜240時間、より好ましくは0〜100℃で0.1〜120時間、特に好ましくは20〜80℃で0.1〜60時間である。予備的な反応を進行させるために触媒を用いることは効果的であり、好ましい例として2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィン、3,5−ジメチルピラゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフィンアミド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,3−ジフェニルグアジニン、1,1,3,3−テトラメチレングアニジン、アミノグアニジン尿素、トリメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、ジメチルエチルチオ尿素、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリウム等が挙げられる。さらには、この予備的な重合反応により硫黄を10%以上(反応前を100%とする)消費させておくことが好ましく、20%以上消費させておくことがより好ましい。予備的な反応は、大気、窒素等の不活性ガス下、常圧もしくは加減圧による密閉下等、任意の雰囲気下で行ってよい。なお、予備的な反応の進行度を検知するために液体クロマトグラフィーや屈折率計を用いることも可能である。
硫黄の添加量は、光学材料用組成物全量に対して、通常は0.01〜40重量部であり、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜25重量部である。
本発明では、光学材料用組成物に対し、あらかじめ脱気処理を行うことが好ましい。脱気処理は、組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下で行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下で行う。処理条件は、0.001〜50torrの減圧下、1分間〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜25torrであり、より好ましくは0.01〜10torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分間〜18時間であり、より好ましくは10分間〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際に、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、樹脂用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により、除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のチオール等の低沸点物等であるが、本発明の効果を発現するのであれば、特に、除去の対象成分の種類は限定されない。
さらには、これらの光学材料用組成物および/または混合前の各原料を0.05〜10μm程度の孔径を有するフィルターで不純物等を濾過し精製することは、本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
以下、本発明の光学材料用組成物を重合して光学材料を製造する方法について説明する。
本発明の光学材料用組成物を重合硬化する触媒としては、アミン、オニウム塩やホスフィン化合物が用いられる。具体例としてはアミン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、ホスフィン化合物が挙げられる。中でも組成物との相溶性の良好な第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩、ホスフィン化合物がより好ましく、さらに好ましくは第4級ホスホニウム塩である。より好ましい化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい化合物は、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドであり、最も好ましい化合物は、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。重合触媒は単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
重合触媒の添加量は、組成物の成分、混合比および重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は光学材料用組成物全量に対して0.001wt%以上5wt%以下、好ましくは、0.01wt%以上1wt%以下、最も好ましくは、0.01wt%以上0.5wt%以下使用する。重合触媒の添加量が5wt%より多いと硬化物の屈折率、耐熱性が低下し、着色する場合がある。また、0.001wt%より少ないと十分に硬化せず耐熱性が不十分となる場合がある。
光学材料用組成物を重合硬化させる際に、ポットライフの延長や重合発熱の分散化などを目的として、必要に応じて重合調整剤を添加することができる。重合調整剤として好ましい化合物は、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物であり、より好ましい化合物はアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。さらに好ましい化合物は、具体的にはジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドであり、最も好ましい化合物の具体例は、ジブチルスズジクロライドである。重合調整剤は、単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。
重合調整剤の添加量は、通常は光学材料用組成物全量に対して、0.0001〜5.0wt%であり、好ましくは0.0005〜3.0wt%であり、より好ましくは0.001〜2.0wt%である。
また、本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を得るに際して、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。
酸化防止剤の好ましい例としてはフェノール誘導体が挙げられる。中でも好ましい化合物は多価フェノール類、ハロゲン置換フェノール類であり、より好ましい化合物はカテコール、ピロガロール、アルキル置換カテコール類であり、最も好ましい化合物はカテコール、ピロガロールである。紫外線防止剤の好ましい例としては、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。中でも好ましい化合物の具体例は、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。ブルーイング剤の好ましい例としてはアントラキノン系化合物が挙げられる。
また、本発明の光学材料用組成物が重合中に型から剥がれやすい場合は、公知の外部および/または内部密着性改善剤を使用または添加して、得られる硬化物と型の密着性を制御、向上せしめることも可能である。密着性改善剤としては、公知のシランカップリング剤やチタネート化合物類などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物全量に対して0.0001〜5wt%である。逆に、本発明の組成物が重合後に型から剥がれにくい場合は、公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化物の型からの離型性を向上せしめることも可能である。離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、オキシアルキレン型酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物全量に対して0.0001〜5wt%である。
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を製造する方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述した各組成成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合触媒、ラジカル重合開始剤、密着性改善剤、離型剤などの添加剤を、全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。各原料および副原料はいかなる順序で混合してもかまわない。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であれば良い。
上述の反応、処理がなされた光学材料用組成物は、ガラスや金属製の型に注入され、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合硬化反応が進められた後、型から外される。このようにして、光学材料が製造される。光学材料用組成物は、好ましくは加熱によって重合硬化され、光学材料が製造される。この場合、硬化時間は0.1〜200時間、通常1〜100時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。重合は、所定の重合温度で所定時間のホールド、0.1℃〜100℃/時間の昇温、0.1℃〜100℃/時間の降温およびこれらの組み合わせで行うことができる。また、本発明の光学材料の製造方法において、重合終了後に、硬化物に対して50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を施すことは、光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、耐衝撃性コート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、評価は以下の方法で行った。
鉄、クロム、ニッケルの合計含有量:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 ICP発光分析装置 SPS5520 を用い、ポリチオールの鉄、クロム、ニッケルの合計含有量を測定した。
黄色の測定:下記の重合方法A〜Dにより厚さ5mmの平板を作製し、カラーテクノ社製 色彩計 JS555 を用い、YI値を測定した。
鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が検出限界(0.1ppm)以下のポリチオールを用いて作成した平板とのYI値を比較し、差(ΔYI)が0.1以下を◎、0.1〜0.3を○、0.3〜0.5を△、0.5以上を×とした。以上の内、◎○△を合格とした。
(重合方法A)
ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド5重量部、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド95重量部からなる組成物に、重合触媒としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を添加し、室温で均一に混合したのち脱気処理を行った。その後1μmのPTFEフィルターにて濾過を行い、モールドへ注入し、20℃から100℃まで20時間かけて加熱し重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
(重合方法B)
1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン14重量部、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド77重量部、テトラメチルキシリレンジイソシアネート9重量部に、重合触媒としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.2重量部、ジブチルスズジクロライド0.05重量部を添加し、室温で均一に混合したのち脱気処理を行った。その後1μmのPTFEフィルターにて濾過を行い、モールドへ注入し、20℃から100℃まで20時間かけて加熱し重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
(重合方法C)
ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド79重量部、硫黄14重量部にメルカプトメチルイミダゾール0.5重量部を加え、60℃で予備的に反応させた。その後20℃に冷却したのちビス(2−メルカプトエチル)スルフィド7重量部、ジブチルスズジクロライド0.2重量部、重合触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.03重量部の混合液を加え、均一に混合したのち脱気処理を行った。その後1μmのPTFEフィルターにて濾過を行い、モールドへ注入し、20℃から100℃まで20時間かけて加熱し重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
(重合方法D)
ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド6重量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート6重量部、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80重量部、硫黄1重量部、m−キシリレンジイソシアネート7重量部にテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部、ジブチルスズジクロライド0.05重量部を添加し、室温で均一に混合したのち脱気処理を行った。その後1μmのPTFEフィルターにて濾過を行い、モールドへ注入し、20℃から100℃まで20時間かけて加熱し重合硬化させた。その後脱型し、光学材料を得た。
(ブランクの作成)
鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が検出限界(0.1ppm)以下であったビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、m−キシリレンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートを用いて、重合方法A〜Dの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。
実施例1〜3
表1に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィドを用いて、重合方法Aの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表1にまとめた。
実施例4〜6
表1に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のm−キシリレンジチオールを用いて、重合方法Bの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表1にまとめた。
実施例7〜9
表1に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィドを用いて、重合方法Cの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表1にまとめた。
実施例10〜12
表2に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートを用いて、重合方法Dの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表2にまとめた。
比較例1
表2に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィドを用いて、重合方法Aの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表2にまとめた。
比較例2
表2に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のm−キシリレンジチオールを用いて、重合方法Bの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表2にまとめた。
比較例3
表2に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィドを用いて、重合方法Cの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表2にまとめた。
比較例4
表2に示す鉄、クロム、ニッケルの合計含有量のビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートを用いて、重合方法Dの手法を用いて厚さ5mmの平板を作製した。ブランクと比較し、ブランクと比較しΔYIを求めた。結果を表2にまとめた。
上述の実施例においては、鉄、クロム、ニッケルの合計含有量が0.5ppm以下であるという条件を満たすポリチオールを用いた光学材料用組成物を重合させることにより、硬化後の黄色を防止することができた。従って本発明によれば、重合反応の前に、予め、重合硬化後における黄色発生の有無の予測、良否を判断し、良好な性状の光学材料のみを選択的に製造できる。このため、光学材料用組成物の有効活用と、優れた光学材料の製造とがいずれも可能である。

Claims (6)

  1. 鉄、クロムおよびニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオールと、エピスルフィドを含有することを特徴とする光学材料用組成物。
  2. さらにポリイソシアネート化合物を含有する、請求項1記載の光学材料用組成物。
  3. さらに硫黄を含有する、請求項1または2に記載の光学材料用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料用組成物を重合することにより得られた光学材料。
  5. 光学材料用組成物の重合後にアニール処理が施されている、請求項4に記載の光学材料。
  6. 鉄、クロムおよびニッケルの合計含有量が5.0ppm以下であるポリチオール化合物と、エピスルフィド化合物とを混合する工程を含むことを特徴とする光学材料用組成物の製造方法。
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