JP2012155889A - 端子付電線及び圧着端子 - Google Patents
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Abstract
【課題】端子付電線において、圧着端子の被覆圧着部が、電線に加わる応力に起因して電線の絶縁被覆から外れることを防止すること。
【解決手段】端子付電線1は、電線9とその電線9の端部に取り付けられた圧着端子10を備える。圧着端子10は、電線9の端部における絶縁被覆92に圧着された被覆圧着部20、及び電線9の端部における絶縁被覆92から伸び出た芯線91に圧着された芯線圧着部40を有する。さらに、被覆圧着部20における絶縁被覆92に接触する内側面のうち、折り曲げられて絶縁被覆92に対してかしめられたかしめ部230の内側面と、かしめ部230に対向して絶縁被覆92を支持する底板部21の内側面とに、絶縁被覆92に食い込む突起部221,211が形成されている。
【選択図】図6
【解決手段】端子付電線1は、電線9とその電線9の端部に取り付けられた圧着端子10を備える。圧着端子10は、電線9の端部における絶縁被覆92に圧着された被覆圧着部20、及び電線9の端部における絶縁被覆92から伸び出た芯線91に圧着された芯線圧着部40を有する。さらに、被覆圧着部20における絶縁被覆92に接触する内側面のうち、折り曲げられて絶縁被覆92に対してかしめられたかしめ部230の内側面と、かしめ部230に対向して絶縁被覆92を支持する底板部21の内側面とに、絶縁被覆92に食い込む突起部221,211が形成されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、電線の端部に取り付けられる圧着端子、及び電線と圧着端子とを含む端子付電線に関する。
一般に、ワイヤハーネスにおける電線の端部には、金属製の圧着端子が取り付けられる。また、圧着端子としては、特許文献1に示されるように絶縁被覆を押さえる部分を有する圧着端子と、絶縁被覆を押さえる部分がない圧着端子とが存在する。
絶縁被覆を押さえる部分を有する圧着端子は、電線の端部における被覆に圧着される被覆圧着部と、電線の端部における被覆から伸び出た芯線に圧着される芯線圧着部と、相手側の端子と嵌り合うことによって相手側の端子に接続される端子接続部とを有している。そして、被覆圧着部及び芯線圧着部の各々の一部が折り曲げられて絶縁被覆に対してかしめられることにより、被覆圧着部が電線の絶縁被覆を把持し、芯線圧着部が電線の芯線を把持する。その結果、圧着端子は、電線の端部に固定される。
圧着端子において、被覆圧着部は、圧着端子を電線に強固に保持する役割を担い、芯線圧着部は、主として圧着端子と電線の芯線とを電気的に接続する役割を担う。なお、被覆圧着部、芯線圧着部及び端子接続部は、それぞれインシュレーションバレル、ワイヤバレル及びコンタクトと称される。
しかしながら、従来の圧着端子における被覆圧着部と電線の絶縁被覆との間の摩擦抵抗は比較的小さく、また、電線の絶縁被覆は柔軟性を有する。そのため、従来の圧着端子が取り付けられた電線は、圧着端子の部分が固定された状態で引っ張り応力又は曲げ応力が繰り返し加わった場合に、被覆圧着部が電線の絶縁被覆から外れるという問題点を有している。
本発明の目的は、端子付電線において、圧着端子の被覆圧着部が、電線に加わる応力に起因して電線の絶縁被覆から外れることを防止することである。
本発明に係る端子付電線は、電線とその電線の端部に取り付けられた圧着端子を備える。その圧着端子は、電線の端部における絶縁被覆に圧着された被覆圧着部、及び電線の端部における絶縁被覆から伸び出た芯線に圧着された芯線圧着部を有する。さらに、圧着端子の被覆圧着部における絶縁被覆に接触する内側面のうち、折り曲げられて絶縁被覆に対してかしめられたかしめ部の内側面と、かしめ部に対向して絶縁被覆を支持する底板部の内側面と、に絶縁被覆に食い込む突起部が形成されている。
また、本発明に係る端子付電線において、突起部が、圧着端子の被覆圧着部における絶縁被覆に接触する内側面のうち、かしめ部と底板部とに連なる側壁部の内側面にも形成されていることが考えられる。
また、本発明に係る端子付電線において、圧着端子の突起部が、板状の被覆圧着部に対する絞り加工により、被覆圧着部の内側面において隆起して形成された部分であることが考えられる。
また、本発明に係る端子付電線において、圧着端子の突起部が、電線の長手方向に対して交差する方向に尾根の線を形成する格子状の突起部であることが考えられる。
また、本発明は、電線に取り付けられる前の圧着端子の発明として捉えられることもできる。即ち、本発明に係る圧着端子は、被覆圧着部と芯線圧着部とを有する。被覆圧着部は、内側に電線の端部が挿入される溝を形成し、一部が折り曲げられてかしめられることにより前記電線の端部における絶縁被覆に圧着される部分である。芯線圧着部は、電線の端部における絶縁被覆から伸び出た芯線に圧着される部分である。そして、本発明に係る圧着端子の被覆圧着部における以下に示される各面には、絶縁被覆に食い込む突起部が形成されている。
(1)第一の面は、被覆圧着部における電線が載置される底板部の内側面である。
(2)第二の面は、被覆圧着部における底板部から起立して形成された起立部のうち、底板部に対向する向きへ折り曲げられて絶縁被覆にかしめられる先端側の一部のかしめ部の内側面である。
(3)第三の面は、被覆圧着部における起立部のうち、底板部及びかしめ部に連なる側壁部の内側面である。
(1)第一の面は、被覆圧着部における電線が載置される底板部の内側面である。
(2)第二の面は、被覆圧着部における底板部から起立して形成された起立部のうち、底板部に対向する向きへ折り曲げられて絶縁被覆にかしめられる先端側の一部のかしめ部の内側面である。
(3)第三の面は、被覆圧着部における起立部のうち、底板部及びかしめ部に連なる側壁部の内側面である。
本発明に係る端子付電線においては、電線における柔軟性を有する絶縁被覆に食い込む突起部が、圧着端子の被覆圧着部における底板部と、その底板部に対向するようかしめられたかしめ部とに形成されている。そのため、本発明に係る端子付電線において、被覆圧着部と絶縁被覆との間の摩擦抵抗が、従来の端子付電線のそれに比べて大きい。従って、本発明が採用された場合、圧着端子の部分が固定された状態で電線に対して引っ張り応力又は曲げ応力が繰り返し加わった場合においても、圧着端子の被覆圧着部は、電線の絶縁被覆から外れにくい。
また、本発明において、絶縁被覆に食い込む突起部が、圧着端子の被覆圧着部における側壁部の内側面にも形成されていれば、被覆圧着部と絶縁被覆との間の摩擦抵抗がより大きくなる。その結果、圧着端子の被覆圧着部は、電線の絶縁被覆からより外れにくくなる。
また、本発明において、圧着端子の突起部が、板状の被覆圧着部に対する絞り加工により形成された部分であれば、金型成形によって突起部を作る場合よりも簡易に突起部を作ることができる。
また、本発明において、圧着端子の突起部が、電線の長手方向に対して交差する方向に尾根の線を形成する格子状の突起部であれば、被覆圧着部は、電線に加わる応力に対する耐性がより高まる。その結果、圧着端子の被覆圧着部は、電線の絶縁被覆からより外れにくくなる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<第1実施形態>
まず、図1から図7を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る圧着端子10及び本発明の第1実施形態に係る端子付電線1の構成について説明する。端子付電線1は、電線9とその端部に取り付けられた圧着端子10とを備える。
まず、図1から図7を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る圧着端子10及び本発明の第1実施形態に係る端子付電線1の構成について説明する。端子付電線1は、電線9とその端部に取り付けられた圧着端子10とを備える。
なお、図2において斜線のハッチングで表された断面は、図3に示されるE−E断面である。また、図3において斜線のハッチングで表された断面は、図2に示されるD−D断面である。また、図6における破線は、隠れ線である。
<電線>
図6及び図7に示されるように、圧着端子10が取り付けられる対象となる電線9は、長尺な導体である芯線と、その芯線の周囲を覆う絶縁体である絶縁被覆とを有する。圧着端子10が取り付けられる電線9の端部は、予め一定の長さの分の芯線の周囲から絶縁被覆が剥がれた状態、即ち、一定の長さ分の芯線が絶縁被覆から伸び出た状態に加工されている。
図6及び図7に示されるように、圧着端子10が取り付けられる対象となる電線9は、長尺な導体である芯線と、その芯線の周囲を覆う絶縁体である絶縁被覆とを有する。圧着端子10が取り付けられる電線9の端部は、予め一定の長さの分の芯線の周囲から絶縁被覆が剥がれた状態、即ち、一定の長さ分の芯線が絶縁被覆から伸び出た状態に加工されている。
以下、電線9の端部において、絶縁被覆の端から伸び出た芯線を裸芯線91と称する。また、電線9の絶縁被覆における端部の一定の範囲(数ミリメートルから十数ミリメートル程度の長さの範囲)の部分を被覆端部92と称する。
端子付電線1において、電線9の芯線は、例えば、銅又はアルミニウムを主成分とする金属の線材である。
<圧着端子>
図1から図3に示されるように、圧着端子10は、直線方向に沿って一列に並んで形成された、被覆圧着部20、第一連結部30、芯線圧着部40、第二連結部50及びコンタクト部60を有している。
図1から図3に示されるように、圧着端子10は、直線方向に沿って一列に並んで形成された、被覆圧着部20、第一連結部30、芯線圧着部40、第二連結部50及びコンタクト部60を有している。
以下、圧着端子10における被覆圧着部20から芯線圧着部40及びコンタクト部60へ向かう直線方向を延伸方向と称する。延伸方向は、圧着端子10が取り付けられる電線9の長手方向でもある。各図に示される座標軸のX軸方向が延伸方向である。
圧着端子10は、銅もしくは黄銅などの銅合金の部材、又はそれらの部材に錫(Sn)メッキもしくは錫に銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)などが添加された錫合金のメッキが施された導体の部材である。
<圧着端子:被覆圧着部>
被覆圧着部20は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9の被覆端部92が挿入される溝を形成している。即ち、被覆圧着部20は、被覆圧着部20が形成する溝の内側に挿入された被覆端部92に対して圧着される。被覆圧着部20の内側面は、電線9の被覆端部92に対向する面である。
被覆圧着部20は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9の被覆端部92が挿入される溝を形成している。即ち、被覆圧着部20は、被覆圧着部20が形成する溝の内側に挿入された被覆端部92に対して圧着される。被覆圧着部20の内側面は、電線9の被覆端部92に対向する面である。
被覆圧着部20は、第一底板部21と、対向する2つの起立部22,23とを有する。第一底板部21は、圧着端子10が取り付けられる対象の電線9における被覆端部92が載置される部分である。また、2つの起立部22,23は、第一底板部21から起立して形成された部分である。
一方の起立部22における先端側の一部の範囲を占める部分は、第一底板部21に対向する向きへ折り曲げられて被覆端部92にかしめられるかしめ部220である。同様に、他方の起立部23における先端側の一部の範囲を占める部分も、第一底板部21に対向する向きへ折り曲げられるかしめ部230である。
但し、図5及び図7に示されるように、起立部23のかしめ部230は、起立部22のかしめ部220の外側に重ねられてかしめられる。即ち、圧着端子10の被覆圧着部20は、いわゆるオーバーラップタイプの圧着部である。なお、図5は、電線9と、電線9に圧着された圧着端子10とを備える端子付電線1における被覆圧着部20の部分の横断面図である。
以下、2つの起立部22,23各々におけるかしめ部220,230以外の部分のことを側壁部と称する。一方の起立部22における側壁部は、第一底板部21及びかしめ部220に連なり、それらを繋ぐ部分である。他方の起立部23における側壁部は、第一底板部21及びかしめ部230に連なり、それらを繋ぐ部分である。被覆圧着部20が被覆端部92に圧着された場合、第一底板部21の内側面と、一方の起立部22における側壁部及びかしめ部220の内側面と、他方の起立部23における側壁部とが、被覆端部92に接触する。
図1から図3に示される例では、第一底板部21及び起立部22,23は、いずれも平板状であるが、これらは、湾曲した周面を形成する被覆端部92の外形に沿うように、湾曲した板状である場合もある。以下、延伸方向(X軸方向)に直交し、2つの起立部22,23が対向する方向を幅方向と称する。さらに、延伸方向(X軸方向)及び幅方向(Y軸方向)に直交する方向を高さ方向と称する。2つの起立部22,23は、第一底板部21から高さ方向へ起立して形成されている。各図に示される座標軸のY軸方向及びZ軸方向が、それぞれ幅方向及び高さ方向である。
また、圧着端子10において、被覆圧着部20における第一底板部21の内側面及び起立部22の内画面各々には、被覆端部92に食い込む突起部211,221が形成されている。起立部22の突起部221は、起立部22におけるかしめ部220とその他の側壁部とに渡る範囲に形成されている。
被覆圧着部20における第一底板部21の突起部211及び起立部22の突起部221は、圧着端子10の元となる板材が板状の母材から型抜きされる際に、板状の被覆圧着部20に対する絞り加工により形成される。この絞り加工により、突起部211,221は、板状の被覆圧着部20の内側面において隆起して形成されている。
絞り加工は、プレス加工の一種であり、板材の一方の面をダイで支え、他方の面をパンチで押すことにより板材を成形する手法である。そのため、第一底板部21の外側面には、内側面の突起部211に対応するへこみ部212が形成されている。同様に、起立部22の外側面には、内側面の突起部221に対応するへこみ部222が形成されている。
突起部211,221が、プレス加工における絞り加工により成形された部分であれば、金型成形によって突起部211,221を作る場合よりも簡易に突起部211,221を作ることができる。
<圧着端子:芯線圧着部>
芯線圧着部40は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9の裸芯線91が挿入される溝を形成している。即ち、芯線圧着部40は、芯線圧着部40が形成する溝の内側に挿入された裸芯線91に対して圧着される。芯線圧着部40の内側面は、電線9の裸芯線91に対向する面である。
芯線圧着部40は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9の裸芯線91が挿入される溝を形成している。即ち、芯線圧着部40は、芯線圧着部40が形成する溝の内側に挿入された裸芯線91に対して圧着される。芯線圧着部40の内側面は、電線9の裸芯線91に対向する面である。
芯線圧着部40は、第二底板部41と、対向する2つの起立部42,43とを有する。第二底板部41は、圧着端子10が取り付けられる対象の電線9における裸芯線91が載置される部分である。また、2つの起立部42,43は、第二底板部41から起立して形成された部分である。芯線圧着部40における2つの起立部42,43も、高さ方向に起立し、幅方向において対向して形成されている。
一方の起立部42における先端側の一部の範囲を占める部分は、第二底板部41に対向する向きへ折り曲げられて裸芯線91にかしめられるかしめ部420である。同様に、他方の起立部43における先端側の一部の範囲を占める部分も、第二底板部41に対向する向きへ折り曲げられて裸芯線91にかしめられるかしめ部430である。
芯線圧着部40が裸芯線91に圧着された場合、第二底板部41の内側面と、2つの起立部42,43各々の内側面とが、裸芯線91に接触する。
図1から図3に示される例では、第二底板部41及び起立部42,43は、いずれも平板状であるが、これらは、湾曲した板状である場合もある。
<圧着端子:第一連結部、第二連結部>
第一連結部30は、被覆圧着部20と芯線圧着部40とを繋ぐ部分である。また、第二連結部50は、芯線圧着部40とコンタクト部60とを繋ぐ部分である。
第一連結部30は、被覆圧着部20と芯線圧着部40とを繋ぐ部分である。また、第二連結部50は、芯線圧着部40とコンタクト部60とを繋ぐ部分である。
<圧着端子:コンタクト部>
コンタクト部60は、圧着端子10の接続相手となる不図示の相手側端子と嵌り合うことによって相手側端子と直接接触し、相手側端子に接続される部分(端子接続部)である。図1に示されるコンタクト部60は、相手側端子が嵌め入れられる孔である端子挿入孔61が形成された筒状の部分である。なお、コンタクト部60が、相手側端子の端子挿入孔に嵌め入れられる棒状の導体である場合もある。
コンタクト部60は、圧着端子10の接続相手となる不図示の相手側端子と嵌り合うことによって相手側端子と直接接触し、相手側端子に接続される部分(端子接続部)である。図1に示されるコンタクト部60は、相手側端子が嵌め入れられる孔である端子挿入孔61が形成された筒状の部分である。なお、コンタクト部60が、相手側端子の端子挿入孔に嵌め入れられる棒状の導体である場合もある。
<圧着装置>
圧着端子10は、圧着装置を用いて電線9に対して圧着される。図4は、圧着端子10及び電線9がセットされた圧着装置70の断面図である。なお、図4に示される圧着装置70の断面は、圧着端子10の被覆圧着部20を被覆端部92に圧着する部分の断面を示す。
圧着端子10は、圧着装置を用いて電線9に対して圧着される。図4は、圧着端子10及び電線9がセットされた圧着装置70の断面図である。なお、図4に示される圧着装置70の断面は、圧着端子10の被覆圧着部20を被覆端部92に圧着する部分の断面を示す。
圧着装置70は、圧着端子10を支持するアンビル71と、圧着端子10における被覆圧着部20及び芯線圧着部40各々のかしめ部220,230,420,430を内側へ折り曲げてかしめるクリンパ72とを備える。アンビル71及びクリンパ72は、不図示の支持機構により、それらの一方又は両方が移動可能に支持されている。これにより、アンビル71及びクリンパ72は、相互に対向する状態で接近すること及び離隔することが可能に支持されている。
アンビル71には、圧着端子10における被覆圧着部20の第一底板部21が載置される支持面711が形成されている。一方、クリンパ72には、圧着端子10における被覆圧着部20のかしめ部220,230に接触し、かしめ部220,230を滑らせつつ内側へ曲げる成形面721,722が形成されている。
被覆圧着部20のかしめ部220,230は、オーバーラップタイプであるため、クリンパ72において、被覆圧着部20における一方の起立部22のかしめ部220を成形する成形面721の形状と、他方の起立部23のかしめ部230を成形する成形面722の形状とは異なる。即ち、クリンパ72における被覆圧着部20のかしめ部220,230をかしめる成形面721,722は、幅方向において左右非対称に形成されている。
また、アンビル71には、圧着端子10における芯線圧着部40の第二底板部41が載置される支持面も形成されている。また、クリンパ72には、圧着端子10における芯線圧着部40のかしめ部420,430に接触し、かしめ部420,430を滑らせつつ内側へ曲げる成形面も形成されている。
図7に示されるように、圧着端子10において、芯線圧着部40のかしめ部420,430は、重ならずに裸芯線91にかしめられるタイプであり、オーバーラップタイプではない。そのため、クリンパ72における芯線圧着部40のかしめ部420,430をかしめる不図示の成形面は、幅方向において左右対称に形成されている。
アンビル71及びクリンパ72の一方又は両方が、それらが接近する方向へ移動することにより、圧着端子10は、アンビル71とクリンパ72との間で押しつぶされつつ被覆端部92及び裸芯線91に圧着される。その際、被覆圧着部20の一方のかしめ部220は、クリンパ72の成形面721に沿って第一底板部21に対向する向きへ曲がり、被覆端部92へかしめられる。また、被覆圧着部20の他方のかしめ部230は、クリンパ72の成形面722に沿って第一底板部21に対向する向きへ曲がり、一方のかしめ部220の外側へかしめられる。また、芯線圧着部40のかしめ部420,430は、クリンパ72における不図示の成形面に沿って第二底板部41に対向する向きへ曲がり、裸芯線91にかしめられる。
図5及び図6に示されるように、端子付電線1において、圧着端子10は、電線9の被覆端部92に圧着された被覆圧着部20、及び電線9の裸芯線91に圧着された芯線圧着部40を有する。さらに、被覆圧着部20における絶縁被覆92に接触する内側面のうち、折り曲げられて絶縁被覆92に対してかしめられたかしめ部230の内側面と、起立部22におけるかしめ部230と第一底板部21とに連なる側壁部の内側面と、かしめ部230に対向して絶縁被覆92を支持する第一底板部21の内側面とに、絶縁被覆92に食い込む突起部221,211が形成されている。
以上に示した構成を備えた端子付電線1において、被覆圧着部20と被覆端部92との間の摩擦抵抗は、従来の端子付電線のそれに比べて大きい。従って、端子付電線1において、圧着端子10の部分が固定された状態で電線9に対して引っ張り応力又は曲げ応力が繰り返し加わった場合においても、圧着端子10の被覆圧着部20は、電線9の被覆端部92から外れにくい。
また、図1から図3に示されるように、被覆圧着部20の突起部211,221は、延伸方向(X軸方向)に対して交差する方向に尾根の線を形成する格子状の突起部である。図1から図3に示される例では、格子状の突起部211,221が形成する尾根の線は、延伸方向に対して±45°の角度をなしている。突起部211,221がこのような格子状である場合、電線9に対して繰り返し応力を加える試験において、被覆圧着部20が被覆端部92に対する圧着状態を維持する性能がより高まることがわかっている。
<第2実施形態>
次に、図8及び図9を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る圧着端子10Aについて説明する。圧着端子10Aの被覆圧着部20には、圧着端子10の被覆圧着部20に形成された突起部211,221とは形状が異なる突起部211A,221Aが形成されている。圧着端子10Aは、図1から図3に示された圧着端子10と比較して、被覆圧着部20における突起部の形状のみが異なる。以下、図8及び図9において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、圧着端子10Aにおける圧着端子10と異なる点についてのみ説明する。
次に、図8及び図9を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る圧着端子10Aについて説明する。圧着端子10Aの被覆圧着部20には、圧着端子10の被覆圧着部20に形成された突起部211,221とは形状が異なる突起部211A,221Aが形成されている。圧着端子10Aは、図1から図3に示された圧着端子10と比較して、被覆圧着部20における突起部の形状のみが異なる。以下、図8及び図9において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、圧着端子10Aにおける圧着端子10と異なる点についてのみ説明する。
圧着端子10Aにおける第一底板部21の突起部211A及び起立部22の突起部221Aは、それぞれ複数の独立した小突起部から構成されている。図8及び図9に示される例では、突起部211A,221Aは、千鳥配列された複数の独立した小突起部から構成されている。なお、千鳥配列は、奇数列における各小突起部と偶数列における各小突起部とが同じピッチで配列され、奇数列の各小突起部と偶数列の各小突起部とが半ピッチ分だけずれて配列された配置である。
なお、図8及び図9に示される個々の小突起部は、概ね円錐状であるが、円柱状、角柱状など、他の形状であってもかまわない。また、小突起部の配置は、千鳥配列以外の並びで配置されることも考えられる。
図8及び図9に示されるような突起部211A,221Aが形成された圧着端子10A、及びその圧着端子10Aと圧着端子10Aが取り付けられた電線9とを備える端子付電線も、本発明の実施形態の一例である。
<その他>
以上に示された各実施形態の圧着端子10,10Aにおいては、2つの起立部22,23のうち、被覆端部92に直接かしめられるかしめ部220が形成された一方の起立部22にのみ突起部221,221Aが形成されている。しかしながら、他方の起立部23における被覆端部92に接触する部分、即ち、他方の起立部23におけるかしめ部230以外の部分である側壁部の内側面に、同様の突起部が形成されることも考えられる。
以上に示された各実施形態の圧着端子10,10Aにおいては、2つの起立部22,23のうち、被覆端部92に直接かしめられるかしめ部220が形成された一方の起立部22にのみ突起部221,221Aが形成されている。しかしながら、他方の起立部23における被覆端部92に接触する部分、即ち、他方の起立部23におけるかしめ部230以外の部分である側壁部の内側面に、同様の突起部が形成されることも考えられる。
また、各実施形態の圧着端子10,10Aにおいて、被覆圧着部20は、2つの起立部22,23のかしめ部220,230が重なる状態でかしめられるオーバーラップタイプである。しかしながら、被覆圧着部20は、図7に示される芯線圧着部40と同様に、2つの起立部22,23のかしめ部220,230が重ならない状態で被覆端部92に対してかしめられるタイプであってもよい。その場合、一方の起立部22に形成された突起部221,221Aと同様の突起部が、他方の起立部23の内側面に形成されることが考えられる。
また、各実施形態の圧着端子10,10Aにおいて、起立部22の突起部221,221Aは、かしめ部220とそれ以外の側壁部とに渡って形成されている。しかしながら、起立部22の突起部221,221Aが、かしめ部220にのみ形成された構成も考えられる。圧着端子10,10Aにおいて、被覆端部92に対して最も強固に圧着される部分は第一底板部21及びかしめ部220である。そのため、第一底板部21及びかしめ部220の内側面に突起部が形成されていれば、被覆圧着部20は、被覆端部92から外れにくくなる。
1 端子付電線
9 電線
10,10A 圧着端子
20 被覆圧着部
21 第一底板部
22,23 被覆圧着部の起立部
30 第一連結部
40 芯線圧着部
41 第二底板部
42,43 芯線圧着部の起立部
50 第二連結部
60 コンタクト部
61 端子挿入孔
70 圧着装置
71 アンビル
72 クリンパ
91 裸芯線(芯線)
92 被覆端部(絶縁被覆)
211,221,211A,221A 突起部
220,230 被覆圧着部のかしめ部
420,430 芯線圧着部のかしめ部
711 アンビルの支持面
721,722 クリンパの成形面
9 電線
10,10A 圧着端子
20 被覆圧着部
21 第一底板部
22,23 被覆圧着部の起立部
30 第一連結部
40 芯線圧着部
41 第二底板部
42,43 芯線圧着部の起立部
50 第二連結部
60 コンタクト部
61 端子挿入孔
70 圧着装置
71 アンビル
72 クリンパ
91 裸芯線(芯線)
92 被覆端部(絶縁被覆)
211,221,211A,221A 突起部
220,230 被覆圧着部のかしめ部
420,430 芯線圧着部のかしめ部
711 アンビルの支持面
721,722 クリンパの成形面
Claims (5)
- 電線と、
前記電線の端部に取り付けられ、前記電線の端部における絶縁被覆に圧着された被覆圧着部及び前記電線の端部における前記絶縁被覆から伸び出た芯線に圧着された芯線圧着部を有する圧着端子と、を備える端子付電線であって、
前記圧着端子の前記被覆圧着部における前記絶縁被覆に接触する内側面のうち、折り曲げられて前記絶縁被覆に対してかしめられたかしめ部の内側面と、前記かしめ部に対向して前記絶縁被覆を支持する底板部の内側面と、に前記絶縁被覆に食い込む突起部が形成されていることを特徴とする端子付電線。 - 前記突起部は、前記圧着端子の前記被覆圧着部における前記絶縁被覆に接触する内側面のうち、前記かしめ部と前記底板部とに連なる側壁部の内側面にも形成されている、請求項1に記載の端子付電線。
- 前記圧着端子の前記突起部は、板状の前記被覆圧着部に対する絞り加工により、前記被覆圧着部の内側面において隆起して形成された部分である、請求項1又は請求項2に記載の端子付電線。
- 前記圧着端子の前記突起部は、前記電線の長手方向に対して交差する方向に尾根の線を形成する格子状の突起部である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の端子付電線。
- 内側に電線の端部が挿入される溝を形成し、一部が折り曲げられてかしめられることにより前記電線の端部における絶縁被覆に圧着される被覆圧着部と、
前記電線の端部における前記絶縁被覆から伸び出た芯線に圧着される芯線圧着部と、を有する圧着端子であって、
前記被覆圧着部における前記電線が載置される底板部の内側面と、
前記被覆圧着部における前記底板部から起立して形成された起立部のうち、前記底板部に対向する向きへ折り曲げられて前記絶縁被覆にかしめられる先端側の一部のかしめ部の内側面と、
前記被覆圧着部における前記起立部のうち、前記底板部及び前記かしめ部に連なる側壁部の内側面との各々に、前記絶縁被覆に食い込む突起部が形成されていることを特徴とする圧着端子。
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